近年、フィットネスの世界でパーソナルトレーナーが盛況だ。大きなジムで多人数で器具など共用するのではなく、狭いスペースでひとりのトレーナーにつきっきりで指導してもらうのだ。トレーナーを独占するので費用は多少かかるが、トレーニングをしていることを他人に知られたくない人などの需要を取り込んで拡大しているという。
そのパーソナルトレーナーになった元独立リーガーがいる。滝口和眞、34歳。2009年にサラリーマンからルートインBCリーグの石川ミリオンスターズに入団。その後、監視独立リーグの大阪ホークスドリーム、紀州レンンジャーズに移籍し、4年を独立リーグで過ごした。引退後は、ジムにトレーナーとして入社、昨年一念発起独立して現在、東京・麻布でパーソナルジムを開業している。
――よろしくお願いします。ずいぶん久しぶりですね。ちょうど引退したときに、この辺りで話を聞きましたよね。
「そうですね。引退して、もう6年、7年ですかね」
――当時は、ジムでインストラクターをされたんですよね。
「そうです」
――この近所で?
「そうです。途中で異動になったりしたんですけれども。それを6年まるまるやったんで、今年7年目になるんですかね。引退して7年ですか」
――それで、独立されたのはいつなんですか?
「独立したのは去年です。もうちょっとで1年になります」
――最近、パーソナルトレーナーみたいな、こういう所が増えているんですよね。
「そうですね。都内は結構増えていると思います」
――だから今回の企画も出したら、結局、パーソナルトレーナーの連載があるからそっちにしてくれと言われたんです。それって、いつ頃からはやりだしたんですか。
「どうでしょう。ダイエットで有名なジムが結構はやりだしてから、そういうパーソナルでやるのが増えてきました」
――そうなんですか。そこは大きい器械が並んでいて1人1人が付くんじゃなくて、こういう感じ(マンションの一室)なんですか。
「フロアに5部屋、6部屋、こういうのが並んでいるという感じです、各個室に区切られていて」
――そのジムに勤務していた間にノウハウを学んだということですか。
「自分でも勉強をしたり、資格を取ったりですね」
――ジムに行ってからも、ご自分でも鍛えられたんですか。
「もちろん、いつもやっていました」
――それは、ありなんですか。
「自分がトレーニングをするというのですか」
――はい。
「休憩時間とかに、全然OKでした。個室なんで。シフトを見ると、空いている時間があるんで、お客さんがあんまり来ない時間とかで、部屋が空いている所でトレーニングをしたりです」
――トレーナーをされてからと、野球をやっているときは、どちらが筋肉自体はあるんですか。
「今のほうが全然ありますね。現役時代は全然筋トレとかをやってなかったんで」
――では、トレーニングのいろいろなやり方を学んで、あの頃できていたらなという気持ちはあるんですか?
「それはあります。ちゃんとその知識とか、栄養の部分とかでも。やっぱり筋肉が付くときに栄養がすごい重要ですし。栄養とかは、全然意識していなかったんで」
――大学のときなんかも、トレーナーなんかは付かなかったんですか?
「そうですね、僕は大学時代はそんな。弱小校でしたし」
――独立リーグ時代も、いなかったんですか。
「一応、トレーナーみたいな方はいましたけれども。当時はそんなに指導はなかったです。各選手に付きっきりで栄養とかというのをやる人はいなかったです」
――勉強会みたいなことは、チーム全体としてなかったんですか。
「チーム的にも、ほとんどなかったです」
――例えば、選手でそういう知識がすごい豊富な方はいなかったんですか。
「ある選手も、いたはいましたけれども。何というか、そんなに聞いていなかったというか、そこの重要性を僕も理解し切れていなかったという感じです」
――では、とにかくピッチャーでやるならちゃんと投げる練習をしようという意識っだったんですか?
「もちろん、体も鍛えますけれども、ウエートトレーニングで上半身を鍛えるとかというと、当時は、やっぱり邪魔になるとか言っていたじゃないですか。そこの部分も気になっていましたし、体の使い方のほうが重要かなと思っていました」
――最初の設備投資は結構(お金が)掛かるんじゃないんですか。
「そうですね。お金をためてとか、何とかして」
――じゃあ、辞めようと思った時点から、貯蓄をして辞めたということですか?
「そうですね。器具的には、普通のもっといいのがいっぱいありますけれども、今は、最低限という感じです」
――これでどのぐらいかかるんですか。
「これで最初の諸費として50~60万円ぐらい。全部でもう、この物とか全てでという感じです」
――このパーソナルジムのコンセプトとしてはどちらかというと、ムキムキじゃなくて、シェイプアップ的なことを売りにしているのでしょうか?
滝口:ダイエットと、どちらかというと、健康増進というか、健康寿命を延ばしていくというような感じです。
――だから、むきむき思考の人が来る、じゃなくて。
「そういう方も来ますけれども。結構ざっくばらんなので、若い男性とか、若い女性から、上はもう60代とかの方とかも全然来ますし」
――お客さんというのは、最初どうやって集めるんですか。
「最初は、もともとは勤務していたジム僕にで付いてくれていたお客さんというのもいますし、そこから、友達を紹介してもらったりという感じです」
――元の会社には開業するんで辞めますと言うんですか。それはセーフななんですか?
「ちょっと危ないです。正直なところ。まあ最初は5人くらいからスタートでした。今は十数人ですね。開業後、モニターという感じで募集して、最初は本当に安くやって、その人たちから、お友達に紹介してもらってみたいな感じです」
――モニターを頼める媒体というのは?
「SNSとかで。まずは、知り合いから。Facebookとかで知り合いに出したら、何人かが広めてくれて…」
――野球関係のつてというのは?
「野球関係のつては、そんなに使っていないです」
――今は、独立リーグ時代の人とはお付き合いはあるんですか?
「チームメートとかとは、あんまり会わないです。連絡は、たまにしますけれども。そのぐらいです」
――このジムの売りというのは、どんな感じなんですか。
「基本的には、本当に健康のためですね。トレーニングは、ダイエットもそうですけれども、一時的にやってもリバウンドするんで。健康習慣を付けてもらいたいという考えです」
――お客さんは、大体、どれくらいの頻度で来られているんでしょうか?
「週1,2回ですね。大体。維持するのであれば、週1でじゅうぶんです。週2ぐらいだと、ちょっと筋肉が向上していくかたちです」
――やっぱり、体力維持の人たちが割と多いんですか?」
「維持から向上ですね。週1.5回くらい来るかなみたいな」
――これは、会費制なんですか。月会費なんですか。
「チケット制みたいな感じでやっています」
――時間的には、夜が多くなるんでしょうか?
「そうですね、朝と夜が多いです。なんで、朝に出勤して、昼間は帰って、また夜に来るみたいな生活をしています」
――ウェイトなんですけれども。じゃあ、どちらかというと、軽めなんでしょうか?
「いえ、結構普通にしっかりやります。上がらないぐらいの重さでやらないと、筋肉も大きくならないので」
――例えば、腰痛とか、何か抱えている人が、リハビリとか、治したいという目的で来ることはあるんでしょうか?
「そういう人に向けては、ある程度はまずは、自分の体重でできるようにして、徐々に段取りを兼ねていってもらうという感じで」
――私も昔、結構がんがんにやっていたんですけれども。やっぱり、筋・関節は鍛えられない。ある人が言うには、10年後にくると言って、関節へその負担が。私のは、まさにそうで。ボディーパンプはご存じですか、音楽に合わせて。あれ、大体30~40人いる中で、その頃は一番重いウェイトを上げていたんです。そうすると、だんだん腰が痛くなって、いったん止めたんです。いったんやめると結構楽になるんです。でもそれが、だんだん1年、2年になってくると、走ったりもしたんですけれども。もう硬くなって。ジョギングだけでもお尻の付け根の関節が痛くて、もう。走るだけでちょっと楽になるんですけれども。ただ今はもうそれじゃ駄目で、ジムに戻っているんですけれども。ちょっとやりすぎるとやっぱり痛くなるし。かといって、今とか、コロナがあるからあんまりジムに行けないんです。
「行けないですよね」
――それで行ってなかったら行ってなかったで、硬くなって。休んだらいいかというと、例えば休みの日に、きょうはしんどいから一日中寝ようとなると、寝ると余計にもう駄目。寝ていると痛くなるんですよね。かちかちになって、余計に動かないというのがあって。
「筋力と、姿勢と、柔軟性とかがそこで関係してくるんで。大体腰を痛めるパターンというのが結構あって、猫背になって、こっちへ丸まっているタイプがあって。逆に反り過ぎているという感じですかね。こういうふうに反って、反り腰。反り過ぎているか。反り過ぎた上で、こういうふうに前に出ている方が多いんです。男性がこれ結構多いんですけれども。これは結構腰を痛めて、お尻が結構硬くなっているんですけれども」
――まさにそうです。
「お尻周りのストレッチと、あと体幹のほう、腹筋。お尻をぐっと閉じて、おへそをへこましていると戻ってくるんですけれども。常に、ここの筋肉である程度支えていないといけないんです。そのために、柔軟性を獲得したりとか、あとは、筋力をアップさせたりというのが重要なんです」
――腹筋もあんまり奥までせずに、よくいいますよね。
「あんまり上げすぎても効果的じゃなかったりしますし」
――そうなんですか。それをやると、表面ばかりになるとよく言うんで。
「インナーマッスルとか、よく言いますけれども、サイズの原理といって、筋肉は内側から先に固めないと力が入らないんです。だから、結局、普通の腹筋をやっておけば、インナーマッスルはある程度付くんですけれども。でも、細かい所だけでも、鍛えるというのも、重要は重要ですけれども。全体的にちゃんと鍛えれば、そこを支える筋力は付くかなというところです。腰痛について言えば、ランニングをすると、走る人って骨盤が前傾にやっぱり向きやすいんです。骨盤を前傾に持っていったほうが走りやすいんで。走っていたりすると、逆に腰痛とか、膝、腰を痛めたり。結構、故障のリスクが高いんです。
足を組んでもらって、ストレッチとか。頻繁にこうやっていくしかないです。そこを柔らかくして」
――これが、やっぱりしんどくなるんですよね。
「ハムストリングが、後ろ側がこっちか硬いんで、ここが伸びなくなっちゃうんですけれども。そこも、柔軟性を獲得していくと。ストレッチに関してはもう、毎日やってもいいトレーニングと言われているんで。僕は、筋トレメインで教えますけれども、それプラスアルファ。例えばスクワットの動作とかをやっても、体が硬いとうまくできないんです」
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