今日(平成27年9月8日)は司法試験合格発表の日である。合格した受験生にとっては大変おめでたいお話であるが、トンデモナイ話がニュースになっていてびっくりした。

 YAHOO JAPANのニュースを転載する(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150908-00000038-jij-soci)。
 今年の司法試験の内容が漏えいした問題で、法務省は8日、試験問題作成などを担当する「考査委員」を務めていた明治大法科大学院の青柳幸一教授(67)が、試験前に教え子の受験生に問題の内容を漏らしていたと発表した。
 
 考査委員は非常勤の国家公務員として守秘義務が課せられており、法務省の司法試験委員会は同日、国家公務員法違反(守秘義務違反)容疑で青柳教授を東京地検に告発した。
 
 法務省の調査に対し、青柳教授と受験生は漏えいの事実を認めており、同省は同教授を考査委員から解任。告発を受けた地検特捜部は、漏えいの経緯などについて本格的に捜査を始めた。教授は明大を通じ、「大学と社会を騒がせて申し訳ない」とコメントした。

 法務省などによると、青柳教授は作成に関わった憲法の論文試験1問の出題内容や論述すべき事項を、今年5月の試験前に教え子の20代女性に漏らした。試験を採点していた別の考査委員が、他の受験生と違って答案の内容が高度なため不審に思い、漏えいを指摘したという。

 漏えい先はこの女性1人で、法務省は女性を採点の対象から除外するとともに、今後5年間、司法試験などを受験することを禁止する行政処分を行った。

 上川陽子法相は同日、記者会見で「誠に遺憾。深刻に受け止め、徹底した原因究明と厳正な対応を検討するよう指示した」と話した。法務省はワーキングチームを設置し、再発防止策などを検討する。

時事通信 
  問題漏えいが発覚したのは明治大学法科大学院で、行ったのは長年司法試験の問題作成を担当する考査委員であり著名な憲法学者である青柳幸一教授である。青柳教授が書かれた憲法の基本書は司法試験委員によって書かれた書籍ということもあって、かなり売れている。聴くところによれば、来年2月頃には2版が出版される予定とのことである。

憲法
青柳 幸一
尚学社
2015-02-02


 
 漏えいした女性と青柳教授が具体的にどのような関係だったのかはよく分からないが、事件を見てみると、法曹養成制度を揺るがす大問題である。親心で試験問題漏えいを行ったというのであれば、とんだ勘違いである。師匠はどこまでもフェアでクリーンでなければならないはずである。親心だからこそ学生にフェアに接し、自分の力で合格を勝ち取ってこいと言うべきなのである。それが普通であろうし、圧倒的多数の法科大学院の先生方はこちら側に与しているはずである。

 現実的な話ではないが、制度として法科大学院(大学教員)が法曹養成を行わなければこのようなことは起こらなかったのだから、法科大学院制度を廃止して昔のような司法試験制度に戻すべきだという人たちの声も出てくるだろう。小生は法科大学院教授と問題作成に当たる司法試験考査委員とが兼任できないものとすることが最低限であろうと思う。



 

 法曹離れが叫ばれる中で優秀な人材を確保するためにも法曹養成の場でこのようなアンフェアなことは行われるべきではない。問題漏えいなどという実に低レベルで幼稚なことで法曹への社会的な信頼が失墜してしまったわけなので、これを挽回するためにも何とか司法試験を受験するに際して公正が担保された動きがあることを望みたいと思う。


 最後に、今年度司法試験に合格された皆様には心から祝福申し上げたいと思う。 


■追記

 満点を取ることが不可能だと言われている本試験問題はこちら