こういってしまうとものすごく身も蓋もないのだが、俺は少女漫画っぽかったりロリっぽかったりする絵柄が好みである。また、エロゲをやりながらもレンアイにはあまり興味が持てず、ましてド直球の愛なんてのになるともう完全に置き去り。悲劇なんてのはエロゲヒロインを攻略するために存在する鍵・きっかけでしかないと捉えている。そんな腐りきった俺だってたまには感動して涙を流したりとかすることもあるのだが、ここまで俺の好みとかけ離れていそうなノベルゲームでそうなるとは夢にも思わなかった。


ファタモルガーナの館

ファタモルガーナの館

恐ろしいまでに没頭してプレイした。純粋な読み物としての面白さと、時に軽やかだったり重厚だったりする音楽と、美しいビジュアル。それらが完全に調和して、完璧な世界観を生み出している。もうすごい、絶賛したい。

正直言って、序章はともかくとして、一章途中までのプレイ中は「メルヘンな童話かあ……お花畑的な美しい悲劇になるのかな……」なんて思っていたのだが、そんな甘っちょろいものじゃあなかった。でも、しかし、どうなるのかを書いてしまうとネタバレになってしまうから回避。とにかく「悲劇」ってのは間違いないしにても、相当にキツイ重い刺さる類のものだったので、こりゃあちょっと本腰を入れてプレイしないといけないと思ったのである。

そして二章。時代は代わり……っていきなり様相が変わりすぎだろってくらい変わるのだが、より救いようのない方向へと話が展開していく。この時点で、あれ? またこの人? ってのに何やらただならぬ複雑な構造を感じなくもなかったが、一気に狂気じみた物語になる。もう一人のベステアについては、そりゃあ予想はつく。だってあの人、死亡フラグびんびんなんだもん。でも、この章に登場する女性キャラって本当に何の罪もない善良で純真な人なのよ。まあベステアも純真っちゃあ純真なのだけれども。

三章。お前かよ! 俺は叫んだよマジで。もう完全に入り込んでいたのだろう。また、例のあれっぽい人が出てくるので、こいつが真相に最も近いところに居そうな予感はするのだが、これまでの展開で一章を除き全く裏の見えない、悪意を感じさせないキャラのままであるため、逆にあやしすぎるってのがあったのだろうけれども、完全に読み違えていたのかもしれない。

で、四章以降はまさに怒涛の展開で、悲劇が提示され、少し真相が見え、またさらなる悲劇が展開されて…… しかもその悲劇の度合がどんどん深まってゆく。ここまで重く鬱々としている話を読み続けたくなるテキストと構成は本当に称賛に値するものだと思う。頭のなかは「どうせまた悲劇って判っている」のにもかかわらず、さらにその上を行くキツイ悲劇。ホント誰か一人くらいでいいからちゃんと報われて欲しいよと心底思った。そして、複雑に絡み合う不幸な運命のめぐり合わせが生み出した悲劇を、「主人公」がなんとかするわけだ。今にして思えば、よくアレがこんなに綺麗にまとまったな、としか思えないのだが、これ以上ないくらいにしっかりと救いがもたらされる。悲劇は悲劇のままであるものの、それを生み出した因果を紐解き、贖われる感じか。

いや、心底思うが、ここまで没入できるノベルゲームって今まで出会ったこと無いです。普段エロゲだアニメだゲームだとかしか書いてないおっさんがこんなこと言ってもあれだろうけれども。でも、登場人物が複雑に絡み合うことによって物語が構成されているため、それらについて触れることがそのままネタバレに直結しかねないものかもしれないため、具体的にここがこうだったとか誰がどうたったってのがほとんど伝えられないのが残念でもある。とにかくすごいよこれ。

ファタモルガーナの館[同人PCソフト]
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