2009年07月08日

スポーツを考える。

近畿大学の職員でアトランタオリンピックから3大会連続で出場し、04年アテネ大会ではバタフライ200mで銀メダルを獲得した山本貴司さんは自分の選手としての経験から次のようなことを述べています。

3歳から30歳まで水泳を続けてきましたが、いま振り返ると、競技力の向上だけでなく、人間性について非常に多く学んだと感じます。小さい時、スイミングスクールに通っている時に僕や周りの仲間が怒られるのは、挨拶ができていなかったり、コーチの言うことを聞く態度が悪かったりした場合でした。練習の厳しさ以上に生活態度の乱れを厳しく指導されてきた覚えがあります。ある程度強くなってからは、「速くなってきたからって、絶対天狗になるなよ。そんなんやったらいらん!」と言われたこともあります。

昔習っていたコーチには「勝たないとオモロないんや」と散々言われてきました。実際に競技をやっていると、勝たないと面白くないんですね。どんなに小さい大会であっても、一生懸命に全力で最後まで闘う姿勢を絶対に忘れないというスタイルは、競技生活の中で身についたと思います。そのコーチからも「絶対に天狗になるな」とよく言われました。天狗になるような選手だったら周りも認めてくれないですし、それがマナーだと思います。

現在アメリカのマイナーリーグで野球の審判員をしている平林岳さんは、日本の大学を卒業後、一般の企業に就職するも、92年に渡米して審判学校に入学。日本人初のアメリカ野球審判として、教育リーグ・マイナーリーグの審判を勤められています。氏が自分の経験からこう言われています。

野球のルールブックを見ると、「相手よりも1点でも多く得点して勝つことを目的とする」と書いてあります。スポーツの目的は勝つことで間違いないのです。ただし、アメリカで大事にしているのは、勝ち方。敗者が「お前らよくやった。ほんと凄いよ」と勝者を称えるような勝ち方をしないと、アメリカで言う、゛勝つ゛ことにはならないようなのです。ファンも正々堂々とフェアに戦う姿を見て楽しんでいる。それがスポーツの原点だと感じます。

スポーツの原点は、遊び。その延長で競技性が強くなって勝ち負けが出てきたわけですが、原点はいつまでたっても忘れてはいけないことだと思います。アメリカに行くまでの間に、少年野球の全国大会を観にいく機会がありました。ある試合で、1塁にランナーが出た時、ピッチャーが牽制球を投げるフリをし、ランナーはヘッドスライディングで帰塁しました。ここまではよくある光景です。しかしその後、ランナーが胸に付いた土をはたいている最中に、ピッチャーが投球を始めてしまいました。盗塁を許さないためにわざとそういう作戦をとっていたわけです。見ていたら全ての少年野球チームが同じ手段をとっていました。指導者がそう教えているのです。

野球のルール上、その行為を取り締まるルールはありません。でもやってはいけないことなんです。その時「これがマナーなんだ」と思いました。ルールより上位の概念があるということなのです。ルール上はギリギリOKでも。人間として恥ずかしいことがある。スポーツはそれを学べる場所でもあるのです。

greensports at 17:04コメント(0)トラックバック(0) 

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