今年の受賞結果(from公式サイト＆ドンデッチ)を見ると、パルムが『ロゼッタ』以来２度目のダルデンヌ兄弟、グランプリがジム・ジャームッシュ、監督賞がミヒャエル・ハネケと、ホントに常連ばかりなんだなぁ、無難だなぁと思った次第。驚きは男優賞のトミー・リー・ジョーンズ(自らの長編初監督作品で受賞！あと脚本賞も)くらいなものか。
で、ちょっと思ったことがある。主要賞を受賞したジャームッシュ、ハネケ、アモス・ギダイ(出品作品は女優賞を受賞)といったカンヌ常連監督の今回の作品って、いずれもスターが主演の作品が揃っていたのだ。ハネケは以前受賞した『ピアニスト』でイザベル・ユベールを使っていたから、もともとスター起用の作品が多いのだろうとは思うのだけど、ジャームッシュの《broken Flowers》では『ロスト・イン・トランスレーション』以来なぜか小品への参加が多いビル・マーレイに、なんで今さら『氷の微笑』続編作るのよ？とツッこみたいシャロン・ストーン主演だし、ギダイの《Free Zone》には、『SWエピソード�掘戮�控えるナタリー・ポートマンが出演(ちなみに彼女はギダイ監督と同じイスラエル出身らしい)。そのせいか、華やかだといえば華やかだったんだろうな、今年の映画祭は。中華＆アジア方面のみ興味を示すワタシが単に気がつかなかっただけか(苦笑)。
うーん、でも、最近のハリウッドって中身がスカスカの映画ばっかりヒットして、オリジナルのアイディアが出なくなってプロデューサーはアジアンホラーや『無間道』のリメイクに手を出し、スターたちとしても自分がやりたい役柄が回ってこなくなったから、派手じゃないけど内容は濃いインディーズ監督の作品で頑張るのかなぁ、なんて思ったりして。個人的に『エターナル・サンシャイン』や『クローサー』などの、意外なスターが出演する小品ばかり観ているからそう感じるだけだったりして。ま、その一方でコンペ作品にはブルース・ウィリスやお久しぶりっこミッキー“ネコパンチ”ロークが大暴れする『シンシティ』のようなバリバリのハリウッド大作(しかもゲスト演出がクエタラだってさ！)もあるからねぇ。コンペ作品のラインナップを眺めるだけで、世界の映画事情がどうなっているかがわかるってもんだ。
中華圏も含んだアジア映画。常連のホウちゃん、初コンペのジョニーさんはどんな気持ちでコンペに臨んだのだろう。そんな中主要賞に選ばれたのは、中華blogに書いたとおり中国の《青紅》だったけど、きっと中国政府は｢我が国の映画が日本にも勝った！台湾にも勝った！｣とか言って露骨に大喜びしてるんだろーな。中国政府はいつもカンヌに政治的ちょっかいを入れてくるからねぇ。あのイーモウやカイコーだってカンヌに出品したことで政府からつるし上げられたことがあったけど、二人ともすっかり巨匠だからもうツッこまれなくなったか。政府を敵に回すと大変だからかなぁ。
韓国のホン・サンス監督(だったと思ったが…)作品は無冠。昨年の『オールド・ボーイ』の熱狂と比べると…。で、来年は韓流に一番遠い映画監督ことキム・ギドク監督のコンペ出品を願ったりして。ところで日本マスコミ的にはこっちをメインにしたかったビョンの『甘い人生』、アウトオブコンペでは人気がさっぱりだったんだって？…そうね、そんなもんよ韓流なんて、そして人生はそれほど甘くないってことだよ。韓流で大騒ぎしている人、韓流を仕掛けた人にそう言いたくてたまらない。
これまでカンヌのどこかで必ず名前を拝見していて、今年初めてコンペに参加したという日本の小林政広監督。ホントにインディーズの方らしく、全く作品を観たことがない。『バッシング』という作品は、記憶に新しいあのイラク人質事件に想を得たという。実はあのモデルになった方と昔ちょっとしたご縁があったので(昔の日記では書いたけど詳しくは書かない。多分モデルさん本人もワタシのことは知らないだろうし)、観てみたいのであるが…。一般公開はやっぱり難しいのかな。寧々ちゃんや香川さんが出演してから不可能じゃないと思うんだけど、やっぱり地味だから無理かなぁ…。
日本映画をもーちょっと。今年はコンペ以外の日本映画も常連さんが揃って賑やかだったようで。５年前の長髪も今は昔…って勢いでマッチョで怖いオッサンになっていたのでビックリな青山真治監督＆嫁に浅野くん、大ヴェテラン(柳町光男監督、小栗康平監督、そしてセイジュンさん)勢ぞろい、噂によると滞在中はずーっと映画を観まくっていたらしいジョー(《黒社会》は観たか？ジャームッシュやヴェンダースには会ったか？)など、このへんは後からこぼれ話がいっぱい出てきそうだな。
思えば、昨年が大騒ぎしすぎだったんだよね。やっぱりカンヌは世界中のアート＆インディペンデント映画がメインでなければねぇ。そんな中でのアジア映画の奮闘には今後も期待。
あ、そうだ、映画祭の受賞作品は審査員長に権限があるというなら、そろそろアジア方面からも審査員長を選出してもよろしいんじゃないでしょうか、カンヌ映画祭組織委員長ジル・ジャコブ様。イーモウやカイコー、王家衛にホウちゃん、そして北野武に今村昌平など、偉大なる監督が多いじゃないですか。俳優なら成龍さんもいるしねぇ。是非御一考を(ってこんなblog読んでねーよ、ジャコブさんは)
あ、そうだ、映画祭の受賞作品は審査員長に権限があるというなら、そろそろアジア方面からも審査員長を選出してもよろしいんじゃないでしょうか、カンヌ映画祭組織委員長ジル・ジャコブ様。イーモウやカイコー、王家衛にホウちゃん、そして北野武に今村昌平など、偉大なる監督が多いじゃないですか。俳優なら成龍さんもいるしねぇ。是非御一考を(ってこんなblog読んでねーよ、ジャコブさんは)
コメント
コメント一覧 (3)
何だか亞細亞映画再発見特集とかって、サイレントや白黒時代の中国・日本映画ばっかり上映したり、
ゴダールやアントニオーニの旧作にばっかりオマージュを捧げたりして、現代っぽい作品、バイオレンスムービーは全て却下されそうな…。それも怖いですわ。
あ、あとコンペ参加作品選定が、締め切りを大幅に遅らしたりね。パルムドール選定が紛糾して、閉幕一週間後に授賞式とか……。
やめといたほうが…(^_^;)
カンヌのセレクションは審査委員会とは別に組織委員会が選ぶようで、組織委員長が｢これから選んでねー｣というものから選ぶみたいです、聞いた話によると。特集上映も組織委員会が決めるんじゃないでしょうかねー。
いずれにしても実現したら…それはそれで怖いかな？