あれから2年。熱狂の夏が再びやってきた。しかもそれはこの秋まで続く。なんとも嬉しいことだ。

 NHK退局後、本格的に映画監督として取り組んだ前作が大ヒットを飛ばした大友啓史さんは、ワタシが今住む盛岡の出身。もっとも彼が高い評価を得た『ハゲタカ』からずっと応援していたのは言うまでもないし、今さら説明することでもないか。
 未だに原作未読なので、どのへんが同じでどこが違うのかよくわからないのだが、原作の5巻までをベースにして作られた前作に"The Journey Begins"という英文コピーがつけられていたので、続編が考えられることは当然予測できた。
 今回は長編の原作で人気の「京都編」をベースに映像化され、しかも前後編の2部作として発表されることになった。そして英文コピーは"Feel the Future"。
 …そうか、今回は赤壁二部作を意識しているのか、さすがウーさんをリスペクトしている大友さんなだけあるわ、と思ったのはワタシの他にも絶対いるはずだ。


 かつて剣心(タケル)と共に倒幕派の刺客として暗躍し、彼とは違って修羅の道に堕ちてしまったがために戊辰戦争後に殺されて焼かれたはずの剣客・志々雄真実(藤原竜也)が、自分を葬ろうとした現政府に復讐し、国家転覆を目論んでいることが明らかになり、彼を封じるために京都へ向かう剣心の苦難が前編では描かれる。
 志々雄の元に集う、微笑みの刺客・瀬田宗次郎(神木くん)を始めとした戦闘集団"十本刀"や、彼らと同じく維新前後の時代の中でやはり修羅の道に堕ちて剣心の命を狙う京都御庭番の四乃森蒼紫(いせやん)、彼の師匠でもある京都御庭番の頭・柏崎念至翁(田中泯)とその孫の巻町操(土屋太鳳)が新たに登場して戦いに加わり、さらには剣心の師匠である比古清十郎(フクヤマ)までもが現れる。


↑スチールの流用だけど、この限定カバーいいなあ。キャラももうこれですっかり定着しちゃったもんね。

 実は先に大火編の感想を中華blogに書いちゃいました。だーってだって、これまた見事な香港映画へのオマージュに満ちていたんだもの、アクションが! 何と言っても、前作から続いて大友さんがいろんなところで堂々とそれを語ってくれるのが嬉しい。アジア映画が世界に通じるのにはアクションしかないと言っていたが、まさかそれを時代劇という形を借りて実現させてしまったのには驚かされた。もちろんこれは彼だけの手柄ではなく、タケルたち俳優陣やスタッフの熱意、そしてなんと言ってもアクション監督の谷垣健治さんも大いに称えられるものである。彼らのすごさについては今まで幾度となく書いてきたので、ここでは省略するけどね。向こうにも書いているし。
    谷垣さんが参加されることもあって、香港映画ファンからも注目を集めたこともよかった。逆に、これがきっかけで谷垣さんを知った人には香港映画まで手を広げてもらえる希望もある。そんな可能性を秘めているのもいい。
 まあ、SNSで拾う意見の中にはアクションはすっごくいいんだけどその他は…とか、台詞で全部説明すんなよー!みたいなのもたまにある。そういうのまあ言い出したら止まらないだろうし、一方を褒めてもう一方をってーのはフェアじゃないよとも思うが、流し見して「まあ人の感想もそれぞれだからねー」と思っても、やっぱりどこかで不安になってしまうのは言うまでもない。それはやっぱり、好きなものを否定されている気分になるからだ。
 そんなわけで、ここでは大友さんの作品としての感想を書く。

 ハゲタカからプラチナまで、ここであれこれ大友さんの作品を取り上げては感想を書いてきたが、自分の考える彼の作品の魅力は何か?と考えていつもたどり着くのは、各作品で生きる男たちが実に魅力的であり、時には美しいからだ。いや、イケメン(一部除く)ばっか起用してるからってわけじゃないぞ決して。
 鷲津さんも次郎さんも、龍馬も神楽も浅間も、そして剣心も己の中に一本筋の通った信念を持っている。もちろん主人公たちだけじゃなく、脇役にもそれを備えた人物が実に多い。その信念は時に彼らを苦しめ、苛酷な運命に追い込んでいくけど、その困難は人との出会いや対決、そして共闘で乗り越えていく。その男と男の熱いぶつかり合いを濃密に、感情移入しやすく描いてくれるから好きなのだ。要するに言い換えたら、それ下手したら恋と違うか?と言いたくなるくらいの、男が男に寄せる思い入れや執着もあるのだが、ここで具体的に書き始めるととっても腐な自分が出てきそうなのでパス(笑)。さらに言い換えれば、中華blogでワタシがよく、ジョニー・トーやジョン・ウーの映画を観ては「かかかかかカッコええ…」とだけしか言えずに感想を終えてしまうのと同じくらい、男たちがカッコいいのだ。ってこれだけくどく書く必要ないか。
 まあね、現実の男を見てここまでカッコええのは?と問うと…やっぱりいないもんだわね。だからなのかも。単純だけどね。

 また、俳優たちにはそれこそ常連俳優が多いけど、けっして複数の作品に出ても同じキャラにはならないというのも魅力。それは大友組に参加する俳優たちもきっと心がけているんだと思う。
 前作が龍馬の後に作られたということもあって、よく「続・龍馬伝」的に言われていたのだけど(特に龍馬ファンに)、申し訳ないがワタシはそう感じなかった。理由はいろいろあるが、一番大きいのが剣心が全く以蔵に重ならなかったのだ。それはタケルの演技力の賜物であるのは言うまでもない。これはムネムネや優ちゃんやいせやんや泯さんも同じである。一人として以前の大友組作品と同じキャラの人物はいなかった。それゆえ、龍馬とは全く切り離して観られて安心した。
 そして実はこの京都編二部作にフクヤマが出演することに少し恐れを抱いていた。いくらタケルの事務所の先輩だとはいえ、ザ☆スターな彼がほとんど特別出演な状態で出てしまったら、みんなそっち観ちゃうじゃないか、そして龍馬と同じだったらどうすんのよ?とまで危惧したくらいだったもんで。ってホントにワタシがフクヤマに思い入れがないことがモロわかりになっちゃっててごめんなさい。
 それでもフクヤマはフクヤマじゃなく、龍馬でもなかった。未だに原作未読なので、比古清十郎がどういう人物なのかは全然わからないのだが、失意の剣心をある意味鼓舞し、彼の道を切り開くには適していたし、本当に彼でよかった。
 まあ、確かにワタシは「元祖大友組座付き俳優」である南朋くんのファンだけど、この三部作に彼を出さなかったのも正解だった。龍馬を引きずるファンに未だに半平太扱いされちゃうかもしれないし、よく考えれば元カノ出てるんだもんな(こらこら)。いいのよ、ワタシは今後の大友さんとのコンビ復活は絶対にあると思っているから。これはまた後述するけど。
 これ以上書くとますますまとまらなくなりそうなんだけど、つまるところ何が言いたいかというと、大友さんの演出には俳優への絶対的な信頼感があると思うのだ。王家衛みたいな即興じゃなく、ちゃんと準備もすれば、役者たちが己の役どころに近づく。これは過去の「役者論」セミナーでも度々語られていたこと。もちろん、俳優だけじゃなくて、スタッフへの信頼度も同じ。谷垣さんのアクション演出も、美術や衣裳や撮影も本気を感じるから、それを信頼していることも感じる。その結果が完成した映画の場面のあちこちからも感じるし、すごいものも見せてくれる。
 大変そうだけど、もし自分も映画人だったらこの現場で全力で仕事したい。でも貧血ですぐぶっ倒れるかな(笑)。

 なんだかすみません。作品自体の感想を具体的に書かないできました。
もうこれしかありません。
ものすごく満足しています。そして、これでもう終わりなんだなって思いました。でも、ホントにホントに嬉しかったし、この映画のことを考えただけどもう嬉しくなってしまう日々がすごせました。
大友さん、谷垣さん、そして、この映画に関わったすべての皆さん、もう何度も何度もいろんなとこで言ってますけど、本当にありがとうございます。

 さて、こうなると次の楽しみは次回作。
タケルは次回作も発表されているし、谷垣さんも香港映画の仕事がある。そうなると大友さんの今後は?ってことだが、まずは2年後の希望郷いわて国体の開会式典アドバイザーのお仕事が決まっている。北京五輪におけるスピルバーグや李安さんのような役割(両者とも式典の芸術顧問担当)でしょうか。
 でもその前に、やっぱり映画が1作観たい。とんでもない映画を作っちゃったので、今後のオファーはやっぱり似たようなものだったり、ベストセラー原作ものが多そうだけど、原作ものを選ぶなら、自分が読んだことのないものが選ばれるといいかな。それでまた未読のまま鑑賞に臨むってことで(プラチナでの失敗は繰り返すまい)。
 もちろん、さっきも書いたようにいずれは南朋くんとのコンビ復活を期待(別にハゲタカシリーズじゃなくてもいいのよ)するけど、多くの実力派俳優や期待の若手を使った作品もたくさん観たい。規模は大きくなくてもいいけど、そういう映画は今のうちはなかなか作れないかな?
 
 ともかく、次回作も楽しくて思い入れられる作品になるように。その未来を期待したいものです。
 以上、私感バリバリでお送りしたるろけん感想でした。…みんな本当にスマン、こんな感想で。