まかり通る中東問題の嘘を検証する

 1月19日金曜日


先日京都で、中東問題の講演会がありました。
講演者は、国際政治学のジャンルで著名な学者でした。
内心楽しみにしていたのですが…。 
講演内容があまりにも偏ったものであり、事実に立脚しているようには思いませんでしたので、私は内心苛立ちのようなものを感じていました。
こうして誤解がまた広がっていくことになるからです。 

講演の内容は、トランプ大統領によるエルサレム首都問題です。
歴代のアメリカ大統領は、政財界に隠然たる影響力を持っているユダヤロビーの支配に置かれていると言う前提での講演でした。
いわゆるユダヤ陰謀論です。
いまだにこんなことを信じ込んでいる人がいるのですから、やり切れません。 
ジャーナリスト上がりのこの学者によると、そもそもイスラエル建国そのものがユダヤ勢力に支配されたアメリカによって策謀されたもので、中東のど真ん中にアメリカの最前線基地を作るためのものであったと言うのです。
イスラエルは、世界戦略上の理由からアメリカによって建国されたと言うのは本当なのでしょうか?
事実を調べてみましょう。

1948年5月14日、イスラエルが独立を宣言した時、アメリカはこれを国家として承認をしていません。
いち早く、イスラエルを国家として承認したのは意外なことにソ連でした。
アメリカは、ベングリオンを首班とする臨時政府を承認しただけで、国家としては認めなかったのです。これには理由があります。当時アメリカの政府内部には深刻な対立があったのです。
大統領であったトルーマンは、イスラエル建国に積極的でしたが、国防省と国務省は大反対だったのです。
本来大統領の意向に逆らう事は、閣僚にはできなかったはずですが、トルーマンは立場が弱い大統領でした。というのは、選挙によって選ばれた大統領ではなかったからです。
前任者のルーズベルト大統領が急死したために、当時副大統領であったトルーマンがそのまま大統領に繰り上がったのです。
閣僚たちは皆、ルーズベルト大統領が集めた人材でした。彼らはルーズベルトに忠誠を誓っていたのです。
もちろん、憲法上の序列においては副大統領はナンバーツーです。
しかし、ルーズベルトはトルーマン副大統領を蚊帳の外に置いていました。
何しろ、マンハッタン計画で原子爆弾を密かに作っていることすら、トルーマン副大統領には伏せていたのです。
ルーズベルト大統領は、イスラエル建国については反対でした
死の一週間前にサウジアラビアの国王に送った手紙には、「パレスチナへの対応は、常にアラブと十分に協議した上で決定する」と約束しています。
アラブの意向はイスラエル建国に反対することです。それはパレスチナ分割決議で、すべてのアラブ諸国が反対票を入れていることによって明らかです。そのアラブと十分に協議した上で初めてイスラエル建国問題について決定すると言うのですから、事実上の反対表明なのです。

ルーズベルトがそのように考えたのは、戦後の世界でアラブからの石油を確保するためです。 既に中東には、ソ連の南下戦略が働いていました。
石油大国のサウジアラビアを、アメリカ側につなぎ止めておくためには 、アラブ側の意向を汲まなければならなかったのです。わざわざアラブを怒らせるような選択をすることは、アメリカの国益に反する事でした。
中でもマーシャル国務長官は、イスラエル建国反対の最右翼でした。第二次世界大戦における陸軍参謀総長で、アメリカに偉大なる勝利をもたらしたマーシャルは、大統領へ凌駕するほどの絶大な人気を得ていました。
トルーマン大統領といえども、簡単に首を切ることができない相手だったのです。ある時トルーマン大統領が常時マーシャル国務長官に言いました。
「(ファーストネームの)ジョージと呼んでもいいかな?」
「いいえ。マーシャル将軍とお呼びください。」
このエピソードに彼らの人間関係がよく表れています。
マーシャルは、大統領が持て余すような人物でした。有能ではあるけれども、国民の絶大な支持の背景に言いなりにはならないタフな男だったのです 。大統領にとっては実にやりにくい部下だったのです。いや自分の部下と思っていない部下だったのです。
 
さて、国連でパレスチナ分割決議が採択された1947年11月29日。
アラブ世界はこぞって、この決議に反対し、ユダヤ人国家阻止に動くと宣言します。
そしてこの日のうちにパレスチナ全土で、テロが始まり、流血事件が拡大していくのです。イギリス軍がパレスチナに駐屯している時ですら、暴動と衝突が止みません。
イギリス軍が撤退した後は、アラブ側とユダヤ側に戦争が起こるのは目に見えています。
そこで両者とも、全力を尽くして武器と弾薬の確保に走り回ることになるのです。
 
アメリカの国務長官マーシャルは、建国前のイスラエル臨時政府に建国を断念させるために、中東に対する武器輸出禁止政策を実行しました。
アラブにもユダヤにも、アメリカは武器を売却しないと言うわけです。
一見両者に対して公平な扱いをしてるようですが、そこには裏がありました。
アラブ側は、イギリスを始めとして多くの国々から武器の供給を受けることができたのに対し、ユダヤ側はアメリカだけが頼りだったのです。  
アメリカから武器が得られないなら、ユダヤ側はなすすべもありません。 

こうしておけば、時間が経てば経つほどアラブは多くの武器を手に入れることになり、ユダヤは武器を手当てできなくなります。
その結果、ユダヤは自発的に建国をあきらめるしかなくなるだろうと踏んだのです。

実際にアメリカがイスラエルを国家として承認したのは、1949年1月31日です。
つまり第一次中東戦争でイスラエル側が勝利したのを見届けてから追認したのです。
要するに勝ち馬に乗ったのです。
イスラエルはアメリカの陰謀によって無理やりに作られた国なのか、事実を見ればそれが真っ赤な嘘であることが明らかになります。
イスラエルは、当時の超大国であったアメリカが反対しているにもかかわらず建国されたのです。

もう一つついでに申し上げておきたいことがあります。
「第一次中東戦争で、アラブ側の国々がイスラエルに攻め込んできたのは、分割決議の内容が最初からユダヤ側を不当に優遇する内容であったからだ。これもアメリカを初めとする大国の意向によって押し付けられたもので、アラブ側が激怒は当然のことである、」と言う意見です。

大抵のパレスチナ問題入門書には、割り当て面積の違いのことが取り上げられています。
すなわち人口が少なかったりユダヤ側には58%もの土地を割り当て、人口が多かったアラブ側には42%しか土地を割り当てなかったのは不公平だと言うわけです。ここにもアメリカを筆頭とする大国の意向が反映されていると言うのです。事実でしょうか?
 
そもそも、パレスチナの分割領域を決めたのは、国連によって任命されたパレスチナ特別委員会です。全部で11の国が選ばれます。スウェーデン、インド、オーストラリア、カナダ、チェコスロバキア、イラン、オランダ、グアテマラ、ウルグアイ、ペルー、ユーゴスラビアです。
この中に大国はありません。
皆アラブ側にもユダヤ側にも特定の権益を持たない中立的第3国ばかりが選ばれたのです。
スエーデンを団長とする11カ国からの代表調査団たちは、3ヶ月にわたってパレスチナの土地をくまなく視察しました。
その結果割り当てられた比率が58対42になったのには理由があります。
ユダヤ川に割り当てられた58%の土地の7割は、ネゲヴ砂漠なのです。
イスラエルでは、南部地方に行けば行くほど、アフリカ大陸に近づくにつれて砂漠地帯になります。
砂漠と言うよりも、荒涼たる岩漠です。
年間降雨量が極端に少ないため、ほとんど植物が生息しない荒野なのです。
アラブ側に割り当てられた土地は、降水量が多い、肥沃な土地でした。 
そしてそこは、ユダヤ人の先祖たちが歩き回った聖書時代の町が数多くある場所でした。

現在、日本一値段の高い土地は銀座5丁目銀座中央通りです。
1平方メートルあたり4032万円です。
日本で1番値段の安い土地は、北海道 勇払郡厚真町です。
1平方メートルあたり580円です。同じ日本の土地でも、利便性が高い所と僻地では土地の持つ価値がまるで違います。

アラブ側に割り当てられた土地は、歴史的に見ても由緒のある、そして肥沃な土地でしたが、ユダヤ側に割り当てられた土地は未開拓の荒れ地だったのです。ただ広さだけを持って、不当であるとか不公正であるとかを決めつけることができません。
 
これらは11カ国の土地の専門家が熟慮に熟慮を重ねて出したものです。
陰謀に寄ったのではなく、科学的知見によって出した結論なのです。  
 

 
  

 
  
 



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トランプ大統領によるミサイル攻撃

世界の火薬庫中東と東アジアートランプ外交から読み解く国際情勢の裏側

対シリアミサイル攻撃から見えてくるもの
2017年4月4日、シリア反政府支配地域で化学兵器サリンが使われた。子供を含む多くの市民が、毒ガス兵器特有の症状でもがき苦しみ犠牲となった。これに激怒したトランプ大統領は、6日に2隻の駆逐艦から59発のトマホークミサイルをシリア空軍基地に打ち込ませた。

1 サリン攻撃をしたのは一体誰なのか。
アサド政権がサリンを使って攻撃をした証拠をアメリカはいくつか握っているようだ。
イスラエルの新聞によると、本シリアの化学兵器戦担当だった亡命将軍が、アサドは未だに数百トンのサリンを貯蔵していると証言している。この将軍はザハル・アル・カット准将で、2013年に某国に亡命するまで、第五師団の化学兵器担当責任者だった。彼はアサド大統領から三度にわたってサリンの使用を命じられた。だが彼は水で希釈して被害を限定的なものにした。被害者の数が少なかったためアサドから疑いをかけられ、息子までが拷問にかけられるようになった。それで亡命したと言うのである。これらのサリンは、表向きは全て廃棄されたと申告されているが、実際はその半分の量がホル山地下深くの貯蔵設備に管理されているという。 

2 シリアは、ロシアに無断でサリン攻撃を行ったのか。
ロシア側は、アサド政権軍のサリン使用を事前に把握していたと、アメリカは結論づけている。というのは、負傷者が搬送された病院の上空にロシア軍の無人偵察機が飛行し、被害状況を観察していたからだという。だからこそ国務長官のティラーソンは「ロシアは共謀していたか、無能だったのかのどちらかだ」とまで言い放ったのだ。表には出ていない動かぬ証拠を、アメリカ側握っているようだ。

3 なぜアサド政権はサリン攻撃に踏み切ったのか。
シリア内戦はこの3月で7年目に入った。政府軍が形勢有利とは言え、戦費のために国家財政が限界にきているのだ。
実は、化学兵器は大費用効果で絶大な威力を発揮する代物なのだ。1度に大量の死傷者を生み出す無差別兵器だ。そのために、心理的効果が高く、敵兵に恐怖心を植え付けることができる。戦意喪失に絶大な効果を発揮する。そしてなんといっても、生産コストが安いのだ。材料の入手も容易で、簡単な技術や設備で大量生産することができる。シリアの場合は、新たに作るまでもなく既に貯蔵されているものを使えばよいのだ。アサドはこの禁断の兵器を使用する誘惑にあらがえなかったのである。
これはアサドを支援しているロシアについても言えることである。現在ロシアは、シリア内戦のためにいちにちあたり百万ドル以上の戦費を余儀なくされている。さらにクリミア半島併合以来、隣国のウクライナと戦争状態になっている。つまりロシアはニ正面戦争を戦っているのだ。原油安、ルーブル安、西側からの経済制裁と言う三重苦でロシア経済はすっかり弱り切っている。原油高時代に積み立ててきた900万ドルの資金は、すでに残り3分の1となっていると言われている。ロシアもまた、消耗戦に疲れているのだ。

4 アメリカはシリアを戦場にしてロシアとわたりあうことになるのか。
アメリカは、泥沼状態に陥っているシリアに、自ら関わっていくつもりはない。もっと初期の段階では、やれることも他にあっただろう。内戦がここまで深刻化した現在、アメリカにできる事は限られている。トランプは、ロシアを使ってシリアの内戦問題を片付けるつもりだ。だからこそ、ミサイル攻撃の2時間前にロシア側に攻撃を通知し、被害が出ないように配慮している。また攻撃の5日後11日、12日にかけて、ティラーソン国務長官がロシアを訪問している。これは就任後、初のロシア訪問だ。ロシア側もこの訪問を受け入れている。ロシアのラブロフ外相と会談した後、彼はプーチン大統領と2時間にわたって会談している。
5 アメリカのミサイル攻撃の目的は何か。
第一にオバマ政権との違いを見せつける事だ。オバマ時代の8年間、中東におけるアメリカのプレゼンスは後退に次ぐ後退だった。その理由は、オバマ大統領が軍事力を使うことを徹底的に手控えたからだ。
第二に、アサド政権に化学兵器使用を本気で断念させるためだ。表沙汰にはなっていないが、アサドはシリア全土の50カ所以上でサリン攻撃をした可能性がある。その証拠をティラーソンはロシア側に突きつけたと言われている。化学兵器の使用に平気になった独裁者ほど、恐ろしいものはない。特にイスラエルはこのことに神経をとがらせている。地中海の駆逐艦からトマホークミサイルが発射された時、最短距離でシリア空軍基地に打ち込まれたのではなかった。ミサイルは一旦南下し、イスラエルの上空を飛び、そこから北上して問題の空軍基地に打ち込まれた。1つには、ロシア空軍基地の上空を通過しないためだ。だがもう一つ裏のメッセージが隠されている。シリアがロシアと共謀してサリンを使うならば、アメリカはイスラエルと共に徹底攻撃をすると言うメッセージなのだ。
第3に、アジアにおけるシリアの同盟国だった北朝鮮への警告だ。このミサイル攻撃については、米中首脳会談の最中に、トランプから習近平に伝えられた。アメリカにとって死活的問題の解決については、単独でも思い切ったことをすると言う意思表示だ。シリアの後見人ロシアの鼻先に、ミサイル攻撃を躊躇しないトランプの選択は、習近平に確かに届いたことだろう。だから中国はその持てる影響力を行使して、北朝鮮の核・ICBM開発を断念させるために動く。ただし、中国にできる事はそんなに多くはない。確かに中国は北朝鮮に石油を供給している。だが、中国がその供給を止めるならば、すかさずロシアが北朝鮮を助ける。この厄介な北朝鮮と言う国は、厄介であるがゆえに大国を牽制するための駒になるのだ。

6 アメリカによる北朝鮮空爆は近日中にあるか。
私は、4月の中旬から約10日間、韓国で取材をしていた。韓国の国内は、全く緊張感がなかった。原子力空母カールビンソンが接近していても、平壌で大規模軍事パレードが行われていても、市井の人たちの間ではほとんど話題にもならなかった。朝鮮戦争停戦状態が50年以上続いて、異常事態に慣れきってしまっているようだった。分析官の1人が言った。「韓国には、在韓米軍兵士以外に、その家族が15万人住んでいます。彼らに対して、退去・避難命令が出ていません。アメリカが本気で、攻撃をするときには、真っ先に韓国在住のアメリカ民間人の安全を図ります。今はその気配が全くない以上、北朝鮮攻撃はないと言うことです」どうやら戦争の印は、アメリカ人の動向に注目すれば良いと言うことなのだ。






ダニーボーイgt516  at 16:20  | コメント(0)  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ! 

ロシアに接近するトルコの動きから世界を読む

9月8日木曜日

今日は本当に久しぶりの更新だ。忘れないうちにトルコの事について、書いておこうと思った。
トルコに注目するのは、この国が聖書の終末預言に登場するからだ。
それはエゼキエル書38章に登場する、ベテ・トガルマがそれである。
また同じくゴメルは、現在のトルコの1部をなしていると思われる。
というのは、AD 1世紀のユダヤ人歴史家ヨセフスは、ゴメルのことをカッパドキアでやると紹介しているからだ。カッパドキアは言わずと知れた、現在のトルコの領域の中にある遺跡である。

最近トルコのエルドアン大統領は、ロシアとイランに急接近している。
これは今までの国際常識から考えると、ありえないことだ。というのはトルコはれっきとしたNATOの一員であるからだ。 そもそも等とは、冷戦時代ソ連のワルシャワ条約機構に対抗するために作られた西側の
軍事同盟である。
プーチンのロシアは、ソ連の後継国家として恐ろしいまでに野心的である。
冷戦後初めて、武力によって国境を変更したのがロシアなのだ。つまりクリミア半島の制圧である。
オバマ大統領は、この包みやすいやつ行こうロシアとは険悪な関係になっている。それにもかかわらず、トルコがロシアとイランに接近している理由について考えておきたいのだ。 
 エゼキエル38章には、ロシアをリーダーとしながらベテ・トガルマがその配下に加わり再建されたイスラエルに侵入することが預言されている。しかも同盟国の中には、ペルシャが加わっているのだ。ペルシャと言うのは、今のイランに他ならない。
聖書の予言を、何でもかんでも今の国際情勢に当てはめて考えるのは危険なことであるという事はよく承知している。
だが世界の潮流の変化を考えていく上で、この現場に分析を加えておくことは意味があると私には思えるのだ。

 オスマン帝国の復興を目指すエルドアン大統領

世界有数の親日国のことを悪く言うのは気が進まないものである。
だがこの国の将来が、これから世界に与える影響を考えると見逃すわけにはいかない。
トルコのことである。
7月15日、トルコでクーデター未遂事件があった。
エルドアン大統領は、自らのことを、暴力的勢力から民主制度を守る正義の味方であるかのように振舞って見せた。だが、このクーデターを呼び起こしたのは、彼自身がトルコの民主的システムの破壊者であったからに他ならない。

エルドアンが抱える2大致命傷
2年前に、彼は大統領宮殿を建設した。大統領官邸は、ホワイトハウスの30倍以上の広さを誇り、部屋数だけで1,150室あると言われている。隣接する土地には、家族が住む居住空間を建設中で、客間だけで250室もある。毒見役だけで5人もいる。さらに4,000人収容可能なモスクを建てている。建設費は日本円にして700億円をはるかに超えると言われている。この巨大建造物を、法的な根拠もなく自然公園の真ん中に税金で建て、自分の手下とも言うべき閣僚たちを集めて閣議を開いて国家の方向性を決めている。これは大問題である。
そもそも、議員内閣制のトルコでは、行政権のトップは首相にある。閣議を開くのも首相の専管事項である。大統領は国璽行為にのみ専念するお飾り的存在なのだ。2003年から首相を連続三期務めた彼は、法律上再選できないのだ。そこで大統領に鞍替えし、後任の首相には操り人形を指名する。法的には権限のない大統領が、影の首相として国を動かしているのだ。

目に余る大統領の横暴を批判してきた新聞社は、廃刊に追い込まれ、多くのマスコミ関係者はスパイ容疑で逮捕されている。そんなエルドアン大統領が、クーデター直前に、無視できない反撃を受けていた。それは大統領の学歴詐称疑惑である。
トルコの法律では、4年制大学卒業者だけが大統領に就任できる。エルドアン大統領は、1981年にマルマラ大学の行政・政治経済学部を卒業し学位を得たことになっている。だが彼が学んだ教育機関は、83年になってマルマラ大学に編成された。彼が卒業したときには、カレッジであって4年生大学ではなかったのだ。元検察官のオメル・エミナガオグル氏はアンカラの検察当局に大統領辞任の申し立てをしていた。これは複雑な疑獄事件ではない。調べればすぐにわかることである。エルドアン大統領は、窮地に立っていたのだ。

トルコには賄賂受付窓口がある。正式名称は「トルコ青年教育福祉財団」と言う。
この財団の最高顧問はエルドアン氏の実子、ビラル・エルドアンと娘婿のアルバイラクである。イスラム国が支配するシリアの地域には、貴重な古代文明の遺跡がある。IS は、これらの遺跡を爆破したが、一部の考古学的遺跡物や財宝についてはトルコ経由に密売していた。ベラル氏は、これら盗掘品の密売に関わる黒幕だと言われている。またアルバイラク氏は、トルコのエネルギー大臣である。IS は、シリアの支配地域で取れた石油を、格安でトルコに横流ししていたと言われている。これらの石油は、エネルギー大臣の黙認の下でトルコの輸出品として転売されていったと言われている。運搬に使われたのはビラル・エルドランの所有する海運会社BMZ社だと言われている。これらの事を暴いたのは、ロシアのプーチン大統領である。もしこれが事実であるならば、国際社会共通の敵であるIS の外貨獲得手段に、エルドアンファミリーが関わっていたと言うことになる。

エルドアン氏がギュレン氏を目の敵にする理由
クーデター未遂失敗の直後、エルドアン大統領はアメリカに亡命中のギュレン氏の身柄引き渡しを要請した。91年からアメリカ住まいの老人を、彼は心底恐れている。ギュレン氏とは、何者なのだろう。トルコ最大のイスラム団体「ギュレン運動」の精神的リーダーである。
イスラム団体といっても、決して過激な組織ではない。むしろその対極にある考え方をする団体なのだ。つまり現世の民主主義、市場経済社会と調和する開かれたイスラム世界を目指すと言う考え方なのだ。
そのような社会実現のために、ギュレン運動は人材育成に力を注ぐ。
国内の有名大学への進学率が高い優秀な私立高校、有力予備校、進学塾等を手広く経営している。その数は2千校を超えると言われている。そのほとんどの学校は、全寮制で寮長たちもギュレン運動の教師たちである。日本で言うなら、開成高校、灘高、ラサール高および駿台予備校、河合塾、ゼット会を経営しているようなものである。ギュレン運動の教え子たちは、有力大学を卒業すると、その多くは政府機関や行政機関に入る。特に、警察と検察に多くの人材を送り出しているのである。そしてこのことこそは、エルドアン大統領がギュレン運動を恐れる理由なのだ。
ギュレン運動出身者である警察や司法当局は、昨年の12月に政府の汚職操作に踏み切った。その結果3人の閣僚が、辞任した。捜査過程でクローズアップされた団体が「トルコ青年教育福祉財団」だった。身の危険を感じたエルドアンは、汚職捜査に「クーデターの企み」と言うレッテルを貼り付け、捜査に関与した警察官と検察官350人をクビにした。

エルドアンは、クーデター失敗を反対派祝粛清の口実として最大限に利用している。事件に関与したとして軍とともに、警察及び司法関係者たちが約6万人逮捕監禁、解雇された。またギュレン運動の教育機関は全廃された。

それでもエルドアン氏を支持する人々が多数派を占める理由
エルドアン氏は、13年間でトルコ経済のGDPを3倍以上に伸ばした。経済的に成功したという事は、大きなポイントである。しかしそれ以上に彼が支持される理由がある。
近代トルコは、政教分離の国是の下、90年間政教分離が徹底された国であった。国民のほとんどがイスラム教徒のトルコで、イスラム色を前面に押し出すことが禁じられていたのである。この時代において、イスラム主義者たちは日陰者扱いをされてきた。今までの抑圧に対する反動こそ、エルドアン氏を支えるエネルギーなのだ。クーデター未遂失敗からの3カ月間、国家非常事態体制がしかれている。彼は、窮屈な体制を国民に納得させるために、クルド人との戦闘激化させるであろう。トルコはますます、エルドアンの手によってイスラムして行くだろう。彼が最終的に目指すのは、オスマン帝国の復興である。そして憲法改正し、自らが終身のアメリカ型大統領となって、21世紀に復活したオスマン帝国のスルタンになることなのだ。

次の火薬庫は中央アジアから東アジアか
トルコでクーデターが起こった3日後の18日、カザフスタンの最大都市アルマトイで、内務省がイスラム系武装集団によって襲撃された。カザフスタンは、ソ連時代からの独裁者ナザルバエフ氏が、終身大統領として君臨する国である。中央アジアには、カザフスタン、ウズベキスタン、トルクメニスタンなど終わりがスタンで終わる国々が固まっている。スタンと言うのは、トルコの言葉で国と言う意味である。これらの国々は、すべてトルコ盟主とする兄弟諸国なのだ。彼らは皆、トルコ系の言葉で通じあうのである。これら中央アジアのトルコ系国家のリーダー格がカザフスタンだ。西の同族国家の盟主トルコと東の同族国家のリーダー、カザフスタンでイスラム勢力が勢いづくことで、中央アジア諸国で紛争が始まる可能性がある。これが東アジアに飛び火することも考えておかなければならない。なぜなら、長年中国政府によって弾圧されてきた新疆ウイグル自治区のウイグル人たちは、トルコ系民族であるからだ。


中東から世界が大きく崩れて明日気配が濃厚なのである。目を覚まして注目していきたいと思う。


ダニーボーイgt516  at 21:31  | コメント(0)  | トラックバック(0) |  この記事をクリップ!