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Microsoftが提供するMSNのHotmailやmessengerのユーザーは中国で1,000万人を越えていると言われています。とりわけHotmailはプライベートだけではなく、ビジネスにも利用している人たちが多いようです。比較的大きな企業やお役所にお勤めの方の名刺に意外にもhotmail.comのメールアドレスが印刷されていたりします。ウチの会社の中にも、クライアントとのやりとりにmessengerを利用していて、デスクに居る間は繋ぎっぱなし、と言うスタッフもいます。
今月のはじめくらいから、MSNが中国で提供するmessengerとHotmailのサービスの調子が悪くなっているようで、あちこちから不満噴出です。

さて以前にも何度かご紹介しましたように、中国では特定サイトがアク禁になります。そのほとんどは当局の仕業です。アク禁されるのは、お国のためによろしくないと判断された言葉や内容を含むサイトが中心です。中国大陸以外を本拠地とするウェブがほとんどで、大多数のネットユーザーにとっては気に懸からない程度に、"さりげなく"コントロールしている雰囲気です。ですから「どのサイトが繋がらない」なんてニュースになりませんし、当局もニュースにさせないでしょう。

ところが、さすがに影響が甚大なのか、今回のMSNのアクセス障害に関しては、ニュースサイトや新聞で報道され始めています。
広州の『信息時報』は5月10日付けで、広州の一部のネットユーザーが(5月1日から)10日間もMSNに繋がらないと言う記事を掲載、MSN(中国)の担当責任者は「北京、広州の一部の個人ユーザーがMSNにログインできない問題が発生している。(中略)内外のMSNサーバーは正常に作動しており、大規模の障害が発生していると言う報告は受けていない」と表明したと報道(SOHUの転載記事)。
同日付の北京の『北京娯楽信報』も、5月8日以来、MSN Messengerのログインができないと報道しています。しかも、やはりMSNの担当責任者によると「我々には関係が無い。MSNのサーバーには問題は無い。ローカルのネットワーク設備が主要原因と思われ、現在調査中。」とのこと。つまり、MSNの原因ではないとはっきり言い切っているのです(奥一の転載記事)。"ローカルのネットワーク設備が主要原因"と言うことは、遠まわしに"当局によるアク禁"とでも言っているのでしょうか?

北京や広州の多くのユーザーが、MSNにログインできない、Hotmailの送受信ができない、Messengerが使えない、と言う問題が生じているにもかかわらず、5月12日時点でMSN(中国)のウェブサイトはこのことについて一切触れていません。上述の記事の通り、この障害はMSNと関係ない、と言う態度をとっているようです。

仮にMSN側の問題で無ければ、当局によるアク禁という線が濃厚になりますが、さすが当局とは言え1,000万人以上のユーザーを抱えるサービスをアク禁にする暴挙に出るとは考えにくいお話です(ちなみに発生しているのは、MSNのウェブサイトが見れないという障害ではなく、Hotmailやmessengerへのログインができないという障害です)。しかも当局お墨付きメディアである『人民日報』のネット版が『北京娯楽信報』の転載という形でこのことを報道しているのです。「MSNにログインできない、頻繁に繋がらない。半身不随のサービスにユーザーの不満爆発」というタイトルの記事は、MSNのコメントとは裏腹に、障害の原因をMSNに押し付けているようですし、当局によるアク禁とは関係無い、と主張しているようでもあります。

さてMSNの障害、当局の陰謀なのでしょうか?MSN側の問題なのでしょうか?