北京でネットバブルを相変わらず煽っている人たちと、facebookの時価総額がバブルか適正かという議論になりました。
お酒も入っていて、数字の桁が合っているか心配だったので、ホテルに戻って再検証してみました。


IPOを間近に控えたfacebookの時価総額は1,000億ドル(8兆円)と言われています。
目論見書によると、2011年の売上は37億ドル 、純利益は10億ドル(純利益率27%)。つまりP/E(株価収益率)は100ということになります。
facebookがいまのままの利益しか出さないのであれば、投資家は100年立たないと元手が戻って来ない、ということです。

ちなみに、GoogleのここのところのP/Eは20くらい。
とは言え、faceookは更なる急成長が期待されていて、2012年の売上予測は57億ドルとも言われているので(eMarketer)、
近い将来の落ち着きどころとしてP/E30くらいだろうと想定してみると、
この数年で、時価総額(に変化が無いとして)1,000億ドル÷P/E30=年間33億ドルほどの純利益が必要になります。
純利益率も、更に高められて30%と想定すれば、年間売上として100億ドル。

facebookの売り上げに占める広告収入の比率は、2011年で89%と言われていますが(前述eMarketer記事=売上額は過大だったが、売上比率は近似と判断)、
ソーシャル・コマース収入などが伸びて、近い将来に広告収入の比率が75%まで下がると仮定すると、
75億ドルの広告収入が期待される、ということになります。
facebook広告のCPC(1クリックあたりの単価)は、日本の場合4ドルを超えていますが、
USで2.4ドルくらい(Facebook JapanInside)。
近い将来の全世界平均CPCを3ドルで想定すると、
75億ドルの広告収入を得るには、15億クリックしてもらう必要があります。

facebookのユーザー数は、現状8.5億人。アクティブユーザーは4.8億人ほど、と言われています(Tech Crunch)。
仮に3〜5年後のアクティブユーザーも5億人だと想定すると、
一人あたり、年間3クリック。

つまり、ユーザーが年平均3回程度、facebookに表示された広告をクリックすれば、売上100億ドルは達成され、時価総額=企業価値1,000億ドル(P/E30)は、さほどバブルなお話では無くなるわけです。
ソーシャル・コマースでfacebookがマネタイズを本格化すれば、より納得感のある金額になりそうです。


数の論理からいけば、中国のネット企業の時価総額ももっと高く評価されて然るべきだ、というのが、彼らの結論であったことに、間違いはありません...。