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2年ぶりに、山伏修行へ行ってきました!
10年ほど前、通訳ガイドの研修で鶴岡や羽黒山をまわり、山伏の星野文紘氏の講演を聞いて、日本古来にある山岳信仰や修験道の話に魅了されました。

ガイドで神社仏閣を案内することがよくありますが、そんな時、日本の宗教や日本人の宗教観、という話題になることがあり、星野さんの話には、外国人に分かりやすく説明する時のヒントが沢山あるように思いました。
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山形には古来、端山信仰という山の信仰があり、「端山」というのは、里に近くてあまり高くなく、美しい形で、里に住む人々に親しまれていた山を指します。
人が死んだとき、端山の近くに住む人々は、屍を端山のふもとに葬り、肉体が腐敗すると、死者の魂は肉体を離れて美しい端山の上に昇り、その頂から家の残してきた子供や孫たちを見守ってくれるというものが「端山信仰」です。山寺の立石寺のある宝珠山も、端山信仰の山の一つ。

thumbnail_IMG_1832家族が死ぬということは悲しいことですが、近くの山から自分たちを見守ってくれている...という思想は、なんだか慰められます。日本の宗教心というのはこういうことじゃないかと、私は合点したのでした。

そうこうするうちに、「山伏修行を私もやってみたいなぁ」と思うようになりました。
念願叶い、羽黒神社の神子修行に参加し、その後、宿坊「大聖坊」の修行に初めて参加したのが2年前。上記の星野さんの宿坊です。

去年はコロナで中止になったので、2年ぶりの参加でした。参加者の数を半分にし、感染対策を徹底しての2泊3日の修行でした。
参加者は主に東京からでした。星野さんは講演会を各地で行っているので、東京、関西、海外でも大変知られた方です。

参加者たちはそれぞれ思いを持って修行に来られるわけですが、私は、山伏さんたちのブレない精神と強靭な体力に憧れ、参加します。昔の日本人は自然とともに生活していたので、自然から気づきを得ることはあたり前のこととしてあり、強い精神を持っていたのではないかと私は考えます。山伏の中に、自然と共にあった昔の人々を感じるのかもしれません。
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出羽三山の精進料理は、野山で採取してきた山菜やキノコなど自然の素材の良さを生かす料理法で、遠い昔、修行中自給自足する山伏たちは、季節により異なる食材をそのまま生で口に運んでいたそうです。やがて日本海を渡って京都の精進料理の技法が伝わり、火を通す調理法や塩漬けする保存方法などが取り入れるようになり、山伏の食文化と融合し、出羽三山の精進料理として独自の発展をしてきました。
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大聖坊の山伏修行が終了すると、星野さんの奥様が心を込めて手作りしてくださった精進料理を頂きます。イタリアでスローフードという哲学が生まれましたが、出羽三山の精進料理を頂いていると、イタリアのおばあさんたちがせっせと作る手作りの料理と重なりました。食べた後の心も胃袋も満たされたあの感覚が同じです。
実際、鶴岡はイタリアと食をテーマに様々な交流を行っていることを耳にします。出羽三山の精進料理を手掛ける料理長から、ミラノ博で精進料理を振舞った話も以前聞きました。
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回の発見は、庄内地方とイタリア中部のウンブリア地方がとても似ているという点です。
10数年前、ウンブリア地方に数年住んでいたことがありますが、
月山の頂上から眺めた風景、緑の濃さは、ウンブリアのそれと大変似ていると思いました。

第二の共通点は、郷土の食材のおいしさ。ウンブリアも庄内もおいしい料理が沢山あります。

もう一つの共通点は神聖な土地柄。ウンブリアには聖フランチェスコをはじめとする3人の聖人が誕生しています。自然の豊かさの中に、何か神秘的な空気を感じるのは気のせいではないと思います。そして庄内も、神聖なお山、出羽三山がそびえます。

いつかイタリア人観光客の方々を山伏修行体験にお連れして、精進料理も食べてもらいたいなぁと思っています。


(イタリア語担当:さとうのりか)