長年日本に慣れ親しんでいるはずの夫(外国人)のみそ汁の位置が、食事中に自然と見慣れない形になるのです。ご飯左手前、みそ汁右手前で配膳するも食事の途中で気が付くとみそ汁が左奥に置かれています。指摘するもののまた、後日左奥になっている時があり「あの〜、みそ汁の位置が違うんですけど。」と言ってしまうのです。

 

大阪に住む娘が帰省し家族で夕食を囲んでいた時、夫のみそ汁が左奥になり私が指摘すると、娘は「えっ、これ大阪では常識よ」と一言。すると指摘された夫は私に向かって、「ほらね!あなたの常識と思っていることが日本の常識とは限らないのですよ。」と心なしか笑みがこぼれていました。みそ汁が右手前にあるのが常識だと思っていたため私の脳はかき乱されたような感覚を覚えたのです。

                関西で多いみそ汁の位置 左奥
配膳

             
              東日本で多いみそ汁の位置 右手前
東日本

訪日外客訪問時調査(2010年)¹では外国人のお客様にとって訪日前に期待することの1位が日本の食事62.3%との結果が出ています。日本食は来日するメインの目的となります。インバウンドツアー中、食事前にはメニュー、食材、食べ方、配膳位置などを予めお客様に説明してきたのですが、これから自分のガイドマニュアルをどのように修正すべきか。


まずは、日本政府の見解をと農林水産省のホームページ¹を見ると一汁三菜の配膳位置が示されており、ご飯は左手前、みそ汁は右手前であり、ホッと胸をなでおろしました。ご飯が左側に置かれるようになった理由を探してみると左優位すなわちお米は日本人にとり大切なものであるから左側に置く、汁物はその右横と小林食品株式会社「和食の旨み」²で紹介されていました。

 

では、関西の左奥が実際に浸透しているのでしょうか? 情報サイト「Jタウンネット」が201812月に調査した「しっくりくるみそ汁の位置」³によりますとやはり東日本では右手前(ごはんの右隣)が多数を占め、関西の三府県(大阪府、京都府、兵庫県)では左奥(ご飯の後ろ)がいずれも70%を超えています。
 
また関西、特に神戸、大阪、京都ではみその消費量が少なく大阪市、京都市は最も多い秋田市の半分以下との記事掲載もあります。みそ消費に大きな差があるのは、「気候の違いによる食文化の違い」があるから。冬に雪が降り収穫できる食材をみそで保存食を作る歴史がある一方で、温暖な大阪では天下の台所として保存食に頼る必要がなかったようです。みそに対する価値観の違いがあり、みそ汁は関西ではそれほど重要な存在ではなかったのかもしれません。

左手でお椀を持つ人が多いゆえ左奥に置くのが無駄のない所作であることやみそ汁より主菜に重きを置く考え方がみそ汁を左奥に置く「関西フォーメーション」が作り出されたのではないでしょうか。日本の伝統的な習慣にも地域という背景があり派生していったもの、多様化したものが存在していることがわかります。

 

次回から夫のみそ汁が左奥にあったら「みそ汁の位置、今日は関西フォーメーションですね」と言うことにします。
et
 
¹
 農林水産省ホームページ 「和食」を未来へ
  https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/culture/pdf/houkoku_2.pdf
²
 小林食品株式会社「和食の旨み」和食のマナー
  https://www.kobayashi-foods.co.jp/washoku-no-umami/serve-meals
³
 情報サイト「Jタウンネット」「しっくりくるみそ汁の位置」
  https://j-town.net/2018/03/02256621.html?p=all
 日経経済新聞 「関西の味噌消費なぜ少ない 天下の台所、保存食頼らず」    

   https://www.nikkei.com/article/DGXZQOHD097ND0Z00C21A3000000/