2005年12月13日

宇宙のトイレ

bdfde9ab.jpg 21世紀。いまや、お金さえ払えば民間人でも宇宙へ行ける様になった。また、それに伴い、民間による宇宙船の開発も活発になった。
しかし、人間が宇宙に滞在すると必ず生じる問題がある・・・






排泄物





人間として活動する以上、たべりゃあそりゃ出すもんは出す。
ただ、宇宙ではその排泄物が命取りに成りかねないほどの危険性をはらんでいる。
それを解決していくことによって有人宇宙開発は進歩して行った。
つまり、宇宙用のトイレの開発の歴史は、宇宙開発の歴史といって過言ではない!(えー!
と、言うことで表では語られない、宇宙開発の下系エピソードと交えて、宇宙用トイレの歴史を語って行こう。


<ボストーク宇宙船 〜エピソードが出てきやしねぇ〜>
 1961年4月12日。ユーリ・ガガーリンが人類で初めて宇宙に飛び立った。
まさに栄光の塊であるこの計画。それゆえに、それ系のエピソードを聞いたことが無い。
ガガーリンは、1時間48分の宇宙飛行だったが、2号に乗ったチトフは1日宇宙に滞在し、それ以降は4日、3日、5日、3日とかなり長期にわたって滞在している。
必ずトイレは存在していたはずである。
探した結果、写真に尿を吸い込むホースが映っているが、それ以上はなんとも・・・。


<マーキュリー宇宙船 〜我慢の限界だ!〜>
 ボストークとは違って、アメリカの宇宙開発のこれ系のエピソードはかなりある。
「さすが自由の国!」と、言った所だ。
 さて、アメリカの有人宇宙開発の先駆けである、マーキュリー計画。しかし、その始まりはなんともみっともない英雄の姿があった。
 1961年5月5日。レッドストーンミサイルを改造したロケットの先に、アメリカ人で初めての宇宙飛行士アラン・シェパードが押し込められた、小さなマーキュリー宇宙カプセル「フリーダム7」が乗っかっていた。
初めての宇宙飛行とは言っても、わずか15分間の弾道飛行。トイレに関しては、「乗る前にちゃんとトイレに行っておくのよ。」程度だった。
しかし、その日は初めてということもあって、打ち上げは遅れていた。せまいカプセルの中でシェパードは数時間耐えていた。そして打ち上げ直前、管制室にシェパードの悲痛な叫びが届いた。
(以下、雰囲気でお送りいたします。実際はこんなこと言ってないはず)
アラン「なぁ、トイレに行きたいんだが。」
管制官「我慢しろ。」
アラン「もう我慢の限界なんだ!宇宙服の中にしても良いか!?」
管制官「何を言っているんだ!そんなことしたら、機器がショートして死んでしまうかもしれないんだぞ!」
アラン「だめだ!もう・・・ぁ」
管制官「ちょ!おま!!!」
医師「た・・・大変です!バイタルデータが送られてきません!」
アラン「ふぅ〜・・・」
管制官「・・・」
3・2・1・・・ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
そして、小便まみれの宇宙服を着たまま、15分間の弾道飛行を終え、無事回収された。
それ以後、宇宙服の下にオムツの着用が義務図けられた。


<ジェミニ宇宙船 〜君はトイレの中で一週間生活したことがあるか〜>
 アメリカが、マーキュリーの次に開発したのがジェミニ宇宙船だ。名前のとおり、二人乗りで、マーキュリーに比べて広くなっており、2週間近く宇宙飛行が可能になった。そしてなにより、念願のトイレがついたのだ!そのトイレとは、無重力の宇宙空間において、合理的かつシンプルなものだった。
 まず、小便の方はいうならば「先に漏斗がついた掃除機」。無重力空間において、小便をそのままだすと、飛び散ってあっちこっちに引っ付き収集がつかなくなる。よって「空気と一緒に吸い込もう」という結論になった。使用方法は、まずスイッチを入れ、吸引していることを確認し、漏斗部分にナニを突っ込んで用を足す。尿はいったんタンクに溜められ、満タンになると宇宙空間に放出する。この時、放出した尿は一瞬にして氷の粒となり、太陽光に反射しキラキラと幻想的に輝く。この現象を、初めて見た宇宙飛行士ジョン・グレンの名にちなんで「グレン効果」とか「宇宙ホタル」と呼ぶ。
 次に、大便の方だが、実にシンプル!アポロの写真にあるようなビニール袋の中にするのだ。使用方法は、尻にこのビニール袋をあてがい、力んで出す。出し終わったら、しりを拭いた紙と防腐剤を入れて、密封する。そして、防腐剤が良く混ざるように手でこねた(!)後、食料庫(!!)の中に入れて持ち帰る。
 ジェミニは、軽乗用車ほどの広さはあったものの、様々な機器が詰まっておりほとんど身動きが出来なかった。もちろんその狭い宇宙船の中。トイレする姿も、臭いも同乗者に丸見えだった。
 そして、有人宇宙開発史上最も臭い災難が起こった。
 ジェミニ7号。クルーはフランク・ボーマン、ジェームス・ラベル。
彼らのミッションは、2週間にわたる長期宇宙飛行だった。そして悲劇が起こった。
 ある日、食料庫付近から金色の霧が漂ってきた。それを吸い込むと、すさまじい悪臭が彼らを襲った。そう。大便を入れたビニール袋が破裂したのだ!防腐剤と、大便を上手く混ぜることが出来ず、ガスが発生、ビニール袋が耐え切れなくなった結果だった。
ジェミニで最も長い宇宙飛行ミッション。帰ることも出来ず、窓を開けて換気なんて事も出来るわけも無く、耐え続けた。
そして帰還。帰って来た宇宙飛行士の記者会見で「どんな感想ですか?」と聞かれた時に、彼はムッとした表情で言った。

「君はトイレの中で一週間生活したことがあるか」


<ソユーズ 〜広くて快適な宇宙船〜>
 1967年に初めて打ち上げられてから、現在まで改良され続け90機以上打ち上げられた現役バリバリの宇宙船。その構造は、軌道上で宇宙飛行士が生活する「指令部」、打ち上げ時と帰還時に宇宙飛行士が乗り込む「帰還部」、発電用の太陽電池パネルとエンジンがついている「機械部」に分けられ、現在もこの基本構造は変わらず、中国の「神舟」や日本の「ふじ」などに受け継がれているほど完成している。
 トイレは写真にあるように、アメリカと同じ吸引型。しかし、その広さをいかして、トイレにはカーテンがあり、当時では最先端だった電子レンジまで備わっているほどの充実振りだった。しかし、打ち上げ前に、ある行為をしなくてはならない。
巨大な浣腸(!)をして、腸の中をからっぽにするのだ。これは、今も変わっておらず、もちろん宇宙観光に出かけた人はもれなく浣腸されて宇宙に出かけている。


<アポロ宇宙船 〜隠れてできる〜>
 1969年に、初めて人類を月に送り届けたのがアポロ宇宙船。大まかに3つに分けられ、帰還や生活をおくる「指令船」、エンジンと燃料電池を積んだ「機械船」、月に着陸する「月着陸船」で構成されている。マーキュリーやジェミニに比べ、はるかに広いスペースを持ち、トイレが隠れて出来るようになったこと以外は、ジェミニとトイレは変わっていない。


<アルマズ 〜便座がついた!〜>
 こいつのことは前に書いた、「堀江社長の宇宙船の歴史」や「堀江社長 今度は「宇宙旅行」」参照。
この宇宙ステーションは、長期の軍事偵察任務のためのもので、必然的に簡易トイレが取り付けられた。このトイレというのが、小さくて見にくいかも知れないが、地上で使われているトイレと非常に近いもので、便座(なぜか木製)があり、大便も小便と同様に吸引式になった。いまの宇宙用トイレの原型といって良いだろう。


<スカイラブ 〜なんかしずらくね?〜>
 スカイラブとは、中止されたアポロ計画でもう作って余ってしまったサターンVロケットとアポロ宇宙船を使った、宇宙ステーション。中はものすごく広く、無重力を十分感じることが出来た。
 このときから、アメリカは大便を吸入するタイプの物に代わった。


<ミール 〜初めてのリサイクル〜>
 旧ソ連が、より宇宙での長期滞在を実現するために打ち上げたのが宇宙ステーション「ミール」だ。この宇宙ステーションミールで、正に宇宙用トイレの「革命」が起こった!その「革命」とは、「尿のリサイクル」。正確には、尿を「エレクトロン」という装置によって電気分解し、酸素を発生させるのだ。しかもこの「エレクトロン」はなんと主酸素供給装置!尿で人間が吸う酸素のほとんどを発生させることができる。
ところで大便はというと、残念ながらリサイクルはされず、タンクに溜めた後、定期的に物資を運んでくる「プログレス」に詰め込み、プログレスもろとも大気圏に再突入させて焼却処分される。


<スペースシャトル 〜機能的なトイレ〜>
 再利用可能な宇宙船として有名なスペースシャトル。そのトイレは今までの宇宙用トイレのノウハウが詰め込まれた非常に機能的なトイレになっている。
写真を見てもらえば判るように、かなりすっきりとしている。このトイレの特徴は、ユニセックス(男女兼用)である点と、自分専用のカバーキャップがあり、衛生的である点。そして、ゆっくりと腰を落ち着いて用が足せるように、シートベルトで体を固定できるのだ。しかし、ちょっと訓練が必要な部分もある。空気で吸い込む時、便座の穴が大きいと効果が弱くなってしまうので、地上のトイレと比べて便座の穴が小さめになっている。小さめというのがまた問題で、地上のトイレでもそうだが、よく横にくっついてしまうのです。宇宙船の中でそういう状態になると臭いがこもって大変ですので極力避けなければならない。だから、自分の座る正確な位置を把握するために、地上で訓練をするのです。その訓練方法とは、自分のお尻の穴と便座の穴の位置が合っているかどうかを見るために、便座の下にテレビカメラが仕掛けてあります。そして前のところにモニターがあって、腰掛けながらお尻がちゃんと便器の穴と合っているかを確認する。もちろん自分の尻の穴なんか見たくない人もいるので、ズボンをはいたままでも出来る。安心ですね。
さて、気になる大便と、小便の行方はというと、出た途端に下に吸い込まれ、高速回転をする電動カッターによってこなごなに砕かれて乾燥、貯蔵され、尿はタンクに溜めた後、宇宙空間に放出する。


<まだまだ進化は続く 〜完全なるリサイクルを目指して〜>
 どうだったでしょうか?有人宇宙開発とトイレの進化が良くわかったんではないでしょうか?しかし、まだまだ宇宙用トイレの進化は止まりません。現在、アメリカで計画中の有人火星探査において、排泄物の完全リサイクルの研究が行われています。 有人火星探査では、ミッション中にクルーが出す排泄物の量が6トン近くにもなるとされています。
補給のまったく受けられない有人火星探査において、廃棄物も資源であり、排泄物をそのまま捨てず、ろ過して飲料水にしたり、廃棄物から取り出した物質を植物の肥料にするなど様々なことに利用されます。
ひいては、この技術は、地球環境に非常に優しい技術だともいえます。まさに「トイレが世界を救う!」なんてことも言えたり。いや、冗談ではなく。

長くなりましたが、それでは。

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1. 経験工学  [ なーした日記 ]   2007年04月26日 23:12
NASAでの話。最初の有人宇宙飛行(マーキュリー計画)の際、宇宙飛行士アラン・シ

この記事へのコメント

1. Posted by サム   2005年12月14日 23:01
こ、酷な話ばかりだな・・・w
まぁ、進歩してるんだねぇ・・・

6トン・・・一体どうすりゃあいいのやら・・・
本当に、思いついた人には頭が下がるね・・・

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