9512859この日は、『世界まる見え』の収録が麹町の日テレGスタで予定されていた。9時頃、スタジオのサブコン(副調整室)で作業をしていたら、ニュースで「地下鉄で何か事故が起こっているらしい」ということが報じられる。オウム真理教による「地下鉄サリン事件」である・・



「地下鉄サリン事件」当日のビートたけし 元日テレCPが述懐


そうこうしているうちに、ビートたけしが衣装室に入ってきた。いつも、たけしのそばでこまめに気を遣っている衣装担当のスタッフがひとりいない。たけしは、いつもと違う現場の気配を敏感に察知した。

「なんかあった~?」
「地下鉄で毒ガスが」
「……。毒ガス?」

たけしは、衣装室の白い壁を見ながら、感情の窺えない表情でたばこをくわえていた。目だけがやたら神経質に動いていたと記憶している。

「スタッフが3人ほど、まだ来てないんです」 私がそう告げると、たけしはうつむき、無言で自らの頭を撫で始めた。


・「世界まる見え!テレビ特捜部」を立ち上げた吉川圭三氏 著書『たけし、さんま、所の「すごい」仕事現場』の中で「地下鉄サリン事件」当日の様子を述懐


1本目の本番が終わった後、大混乱の地下鉄駅から無事、日テレに歩いてやって来たスタッフが2人いた。もう1人のスタッフは、2本目の本番の収録が終わった夕方頃、ようやくやってきた。

一時、救急車で付近の病院に搬送されていたという。ビートたけしと一番近しい衣装担当スタッフだった。私は「たけしさんに顔を見せてあげろよ」と伝えた。


地下鉄サリン事件当時の映像



たけしは、ちょうど迎えの車に乗るところであった。恥ずかしそうにスタッフが近づくと、たけしも彼に気が付いた。ビートたけしは、声を上げるわけでもなく、彼の顔を見てニヤリと笑った。そして、車に乗り込んだ。

後日、たけしの付き人兼運転手に聞いたところ、たけしは「本番中でもいつでも、彼が着いたら手で合図をして知らせてくれ」と言っていたらしい・・


北野武×麻原彰晃 対談映像「たけしの死生観、麻原の仏教観」