68先ごろ、自然の摂理の神秘を感じさせる“形”が科学者たちによって発見された。これまで誰もが考えてもみなかった、その多面体のフォルムとは――



まったく新しい形「スキュートイド多面体」が発見される


 戦国時代や中世ヨーロッパの戦争は兵士の集団がぶつかり合う肉弾戦となり、ドラマでは手に汗握る迫力の合戦シーンとなる。こうした戦闘の中、戦況に応じて守りを固めるとすれば、部隊を防御すべく最前列の兵士たちが構えた盾をピッタリと寄せ合って体勢を整えることになる。

 こうした状況を想定した場合、盾はどんな形をしていれば理想的なのだろうか。今回、科学者たちはそこに1つの答えを見いだした。エネルギーをロスせずに強力な防御が可能な自然の摂理にかなっている“盾”の形はscutoid(スクートイド)という多面体であったのだ。

 米・リーハイ大学の研究チームは生物の上皮細胞を研究する過程で、皮膚や血管、臓器の上皮組織において、細胞がユニークな多面体構造をしていることを発見し、scutoidと名づけた。

 皮膚や血管、内臓を構成する上皮細胞は柔軟であることが特徴だが、組織表面の細胞はこれまで円柱型やボトル型ばかりではないかと考えられていた。


・スキュートイド多面体






 リーハイ大学の研究チームは胚から上皮細胞が形成される過程で、表面の細胞がどのような形状であれば最もエネルギー効率が良く、最大限の安定性を得られるのかを、ボロノイ図作成技術(Voronoi diagramming)を用いて研究した。その結果、この何とも奇妙な多面体であるscutoidが導き出されたのである。

「驚いたことに、この形状は数学上においても名前を持たないものでした」(ハビエル・ブセタ氏)

 そして研究チームは、我々人類にとってまったく新しい“形”にscutoidと名づけたのだ。研究チームは上皮細胞の組織構成においてこのscutoidが最もエネルギー効率が良く、最も安定した姿で、最も密閉構造を成す形状であると説明している。
 
 興味深いことに、このscutoidはカブトムシやコガネムシら甲虫の形態に見られるという。つまり、このscutoidは甲虫の骨板(scutum)や胚珠(scutellum)に、androidのoid(のようなもの)を組み合わせた造語であり、自然の摂理に適った形状であることが示唆されることになったのである・・


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