オカルトクラブに入ったらメンバーが増えていた。

 僕は朝食を早食いで食べた。夢のことはすぐに忘れてしまっていた。制服に着替え、学校に行った。

 午前中はホームルームで午後は部活の説明会であった。部活の説明会は体育館で行った。体育館には入学式で使ったパイプ椅子が並んでいて、クラスごとに出席番号順で並んだ。

 人見知りの僕はまだクラスに話す相手もいなく、携帯をいじっていた。僕の右手の中指と一指し指に歯形がような跡がついていたが、特に気にしなかった。

 生徒会の上級生が部活紹介のプリント冊子を先頭の人に配っていた。前から一部ずつとり、後ろの人に渡していく。僕も冊子を一枚取り、後ろの人に渡した。

 部活紹介と書かれている冊子には部活の主な活動、活動場所、活動時間、日時、部員数がイラストつきで書いてあった。冊子はテニス部やら野球部の部活の運動部の割合が多い、南校は運動部主体の学校だった。

 僕は中学のときは文芸部だった。学期ごとに部員で小説や、漫画、イラストなどを書き部誌を発行していた。僕は短編小説を部誌に書いていた。僕は高校も同じ文芸部に入ろうと思っていた。プリント冊子をめくって文芸部を探したがなかった。僕はどうしょうかなと思った。

 考えているうちに、部活紹介が始まった。僕の入りたいような部活はなかった。運動部は興味がなかったし、文化部で入りたいような部活もなかった。

 僕は寝不足でほとんど寝ていた。

 写真部の兄貴が部活紹介をしていたが、僕は兄貴が何か言っているなとしか思わなかった。

 そんなこんなで部活紹介が終わり、生徒会長が閉めの挨拶に壇上に登った。

「以上で部活紹介を終わりにします。二週間は部活体験の期間になります。気にいった部活がありましたら入部届は冊子の一番後のページにありますので必要事項を記入後、顧問先生に渡してください」と生徒会長が言った。

 すると、壇上に一人の先生が上がってきた。 二十代前半の女性で身長は百七十五センチぐらいでモデルのような体型で白い白衣を着ていた。赤い眼鏡を掛けていて、まだ顔にソバカスが残っている。髪はポニーテールで髪を後ろに縛っていた。

 部活紹介でいる上級生が「化学の内山だ」と言っていた。

 白い白衣を着た先生が生徒会長に何か耳打ちする。生徒会長が頷いた。

「部活の紹介ができてない部活がありました。オカルト部です。内山先生、紹介をお願いします」と生徒会長は言った。

「オカルト部顧問の内山です。オカルト部といってもあやしい部活じゃありません」

 新入生から笑い声があった。

「オカルト部は幽霊やUFOの調査研究をする部活です。オカルト部は去年に三年生が卒業して部員がいなくなりました。オカルト部は私がここの学生のときからある、伝統的な部活です。活動内容は部員で話し合って決めてください。入部希望者は職員室で待ってます。以上終わり」と言って、壇上を降りていった。

 また笑い声が起った。

 僕はやっぱりあやしい部活と思った。けどちょっと興味があった。特に入りたい部活もなかったし、昨日の心霊写真のこと聞いてみようかなと思った。


 

  僕はまったく寝付けなかった。心霊写真を見たせいか、頭がガンガンして、寝付けなかった。何者かが僕を観察しているような気がした。暗闇から視線を感じて寝ようとしても起きてしまう。

僕は階段を下りて、水を飲みに台所にいった。冷蔵庫から冷たい水を取り出して飲む。兄貴に心霊写真の話を聞くのじゃなかったと後悔していた。

 そうだ、塩を枕元に置こうか。台所から食塩の袋からスプーンで塩を取った。塩を茶封筒に入れ、セロハンテープで閉めた。

 僕は自分部屋に戻り、枕元に塩入封筒を置いた。布団を頭からかぶって寝た。

 どうやら、眠れたらしい。塩が効いただろうか。僕は夢を見た。心霊写真の幽霊の夢である。

 僕は夢の中で南高校の校舎の中にいた。教室の前の長い廊下で立っていた。夕暮れ時で太陽の光で教室全体が夕日色で染まっていた。三年二組のプレートが張ってあるの見えた。三年クラスは三階で校庭が一望できる。校庭は部活の時間なのに不思議と誰もいなかった。

 僕は誰かが歌が歌っているのを聞こえた。教室の中だ。僕は教室に入っていった。

 彼女は一番後ろの席に座っていた。彼女のほかは誰もいなかった。彼女は黒髪でロングの髪型だった。肌は色白である。白いブラウスに赤いリボン、紺のスカート、すらっとした足が見える。彼女は清楚で美しい女性だった。彼女は歌うのをやめて、僕をじっと見つめた。

 僕には彼女が行方不明の皐月葵さんだとすぐにわかった。写真で見たような怖さは全く感じなかった。 

 むしろ、僕は一目で彼女に惚れたのである。僕は彼女がこんな若さで亡くなってしまい、かわいそうにと思った。ふと、僕は彼女がさびしいのではないかと思った。

 彼女は席を立ち上がり僕にいきなり抱きついたのである。僕は夢の中とわかっていた。現実では見知らぬ女の子に抱きつかれる、なんてことはないだろう。さすがに夢の中なので抱きつかれた感覚はなかったけど、女の子のいい匂いがした。

 彼女は腕を僕の背中に回してきた。そして、耳元で呟いた。

「私を探して」

 僕は意味がわからなかったが「わかった、君を探す」と返事をした。

「約束」と言って彼女は僕から離れた。

 彼女は僕の右手を手に取り、ガブリと噛んだ。

 僕は痛みで反射的に手を引っ込めた。

 ジリジリと遠くで目覚まし時計の音が聞こえる。

 起きると朝になっていた。頭が重く、気持ちが悪かった。全く寝た気がしない。 今日は学校を休んでやると思って掛け布団をかぶって丸くなった。

  少しすると中学生の妹が起こしにきた。
「お兄ちゃん、朝ご飯だよ」妹は布団を引っ張れた
 僕はかたくなに抵抗して、布団を引き寄せ丸くなった。
「お兄ちゃんどうしたの? もう高校をいやになったの?まだ三日目だよ」と妹は言った。
「幽霊の夢で眠れなかった」 
「幽霊?」
「うん」
すると、妹は一階の台所に降りていった、家族の笑い声が聞こえる。
 僕は言わなきゃよかったと思った。
母さんが上ってきて「彰人、いい加減に起きないと遅刻するわよ」布団を取られた。

 僕はベットから落とされて学校を休むのを諦めた。


 

 

 ああ、眠れない。僕はベットの上で薄暗い天井を見つめている。

 時計を見ると午前二時を指している。

 明日も学校なのに早く寝ないと、掛け布団をかけ直した。

 眠れないのは、兄貴に心霊写真を見せてもらったからだ。 僕は布団に入る前の出来事を思いだした。

 僕は夕飯を食べ終わると、居間のテレビをつけた。霊能者と若手お笑い芸人が北海道のあるトンネルを探索している。いわゆる心霊番組というものだ。

 僕はお化けというものがいるかどうかをわからないけど。怖い物みたさというか、この手の番組が好きだった。

 兄貴が二階から降りてきた。

「彰人(あきと)、何のテレビを見てるんだ、録画したドラマを見たいだけど」

「心霊特集の番組。面白そうだから見せてくれよ。」

「そうか、俺も前に写真部で心霊写真を撮っちゃたんだよ、彰人見たいか?」

「うん、見てみたい」

 兄貴は二階の自室から一枚の写真を持ってきた。

「俺、写真部で去年の三年生の卒業写真を撮ってたんだ」兄貴は言うと、写真を僕に渡した。

 南高校の教室だろうか。卒業生のクラスである生徒が四十名ほど写っている。男女半々の人数で、中には僕の好みの女子もいた。 後ろには卒業おめでとうの文字。

 真ん中に担任の教師の若い男性が座っている。生徒は制服を着ていた。前列は椅子に座っており、中檀は中腰、その後ろ人は立っている。何のこともない普通の集合写真だ。

「これがどうしたの普通の写真じゃん」

 兄貴は複雑な顔をした。兄貴は一番上段の左奥の女の子を指した。

「この人が写ってるわけないんだ」と言い出した。

 彼女の背は百六十センチぐらい。容姿は高校生にしては大人びて見えた。黒髪で髪型はロングで肩に掛かる部分の髪がふんわりしていた。肌は色白である。目は吸い込まれるような瞳をしていた。

 なぜか、彼女は夏服を着ていた。他の生徒は冬服だった。

 僕は急に寒気を感じ、背中を振り返ったが、白い壁とソファがあるだけだ。

「この人は皐月葵(さつきあおい)さんといって、去年の卒業生だったのだが、夏休みに行方不明になったんだ。学校に警察が来ていろいろと調べたんだけど、見つかっていない」と兄貴は言った。

 僕は南高校に入学したばかりだったので、こんな事件は知らなかった。いまは四月である。

 去年の夏休みに彼女は行方不明になったのだろう。夏休み中の事件であり、当時、中学生だった僕には、初耳の話だった。

「つまり、夏休みにいなくなった人間が卒業写真に写っている。てことか。彼女が見つかったわけではなく」と僕は言った。

「ああ、写真部で俺が写真をとったんだが、そのときは気づかなかった、写真を現像しているときに 四枚の一枚に彼女が写っていたんだ。写真部では大騒ぎになったんだ。顧問の先生は箝口令を敷いた。『誰にも喋ってはいけないと』と顧問の先生は命令したんだ」と兄貴は言った。
「何で喋るんだよ、僕に言うなよ」と僕は急に弱腰になった。

「俺も誰かに喋りたくてしょうがなかったんだ。誰にも言うなよ」

「わかった、誰にもいわないよ」と僕は言ったが、 内心、箝口令が守れているか、どうかは疑問であった。

「行方不明の皐月葵さんはもう死んでいて、幽霊として写真に写ったてことだな」と彰人が言った。

「ああ、恐らくな 俺が写真を撮ったんだから、ネガは顧問の野郎が捨てちまったけどな。こっそり写真は捨てるふりして、もってきた」

「彼女は友達と一緒に卒業したかっただろうな」と彰人は言った。

「じゃあ、この話は終わり、ドラマを見せてもらうぜ。」と兄貴はリモコンでビデオをつけた。

 しかたがなく、僕は自分部屋のベットの上で漫画を読むことにした。

 時計を見ると、十一時になっていたので寝ることにした。

 

 

 

このページのトップヘ