2006年10月01日
太陽 -The Sun-
たびたび、mixi日記でも話題にしてきた
終戦前後の昭和天皇を描いた
太陽 -The Sun-
を十三の第七藝術劇場で観てきました。
ストーリー
悲劇に翻弄され、傷ついたひとりの人間。
彼の名前は、昭和天皇、ヒロヒト。
闇は、まだ明けなかった。1945年8月。
その時、彼は庭師のように質素な身なりをしていた。
その人の名前は、昭和天皇ヒロヒト。
宮殿はすでに焼け落ち、天皇は、地下の待避壕か、唯一被 災を
免れた石造りの生物研究所で暮らしていた。
人は、彼を神の子孫だと言ったが、天皇は「私の体は君たちと変わらない」と言った。戦況は逼迫していたが、彼は戦争を止めることができなかった。
その苦悩は、悪夢に姿を変え、午睡の天皇に襲いかかる。夢の中で、米軍の爆撃機は巨大な魚に姿を変え、焼夷弾のかわりに大量な小魚を産み落とし、東京を焼き尽くすのだ。みるみるうちに焦土となる東京。失われる多くの命。うなされるように目を覚ます天皇の孤独。彼は、「私は誰からも愛されない」と呟き、遠く離れて暮らす皇后と皇太子たちのアルバムに唇を寄せた。
日本は、まだ闇の中にある。やがて、連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見の日が訪れる。彼は、ひとつの決意を胸に秘めていた…。
公式HP(http://taiyo-movie.com/story.html)
感想
この映画はロシア映画であり、日本人の俳優以外は監督アレクサンドル・ソクーロフはもちろん、スタッフも全てロシア人であった。
そのため、昭和天皇の戦争責任を問ったり、彼を独裁者として描く映画かと思っていた。
しかし、人間であるのに、現人神と周囲から祀り上げられ、絶大な権力を与えられてそのギャップに悩む彼の苦悩を淡々と描いている静かで、彼に優しい映画であった。
時代考証に関しても彼を演じるイッセー尾形や、侍従長を演じた佐野史郎の助言もあって、時系列はわざと組み変えていたようだが、素晴らしいできであった。
彼の癖として有名などんな親切で熱心な説明を聞いたあとでも、『あ、そう』とだけ答えてしまう人間くさい癖や、口をまごつかせる癖などをイッセー尾形が素晴らしい演技を見せていた。
しかし、彼のそういったエピソードを知らないとついていけず、また映画の雰囲気をそこねないために一切の説明のないシーンも多々あるため、観るものに教養を問う作品になっていることも否めない。興味を持って行かれる方はここを一読されると作品の世界に入りやすいです。
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%AD%E5%92%8C%E5%A4%A9%E7%9A%87#.E3.82.A8.E3.83.94.E3.82.BD.E3.83.BC.E3.83.89)
個人的に気になった点と入れて欲しかったシーンは次の二つです。
一つ目は彼が用いる一人称で、英語で話す際に彼は“I”と言わず、“Emperor”と言い、日本語では私と言っていた。
少なくとも戦前の彼ならば一人称は“私”ではなく、“朕”だと思っていたので違和感を感じずにはいられなかった。
二つ目は、監督自身が「日本人はヒロヒトに救われた。そのことを知らなければいけない」と言っていたのに
昭和天皇が初めてマッカーサと対面したとき
『私の命はどうなってもいいから、国民に食料を供給してくれ』
と言って、どうせ命乞いに来たのだろうと見下していた
マッカーサーの度肝を抜き、尊敬をえたエピソードが入ってなかったのが残念だった…
全体としては
マッカーサー役が男前すぎるが演技達者で、皇后役の桃井かおりも登場シーンは少ないもののすばらしい演技を見せる。
静かで、素晴らしい映画でした。
昨年公開された“ヒトラー 〜最後の12日間〜”
公式HP(http://www.hitler-movie.jp/index2.html)
華の過去ログ(http://blog.livedoor.jp/gura_w_/archives/50044386.html)
を見比べることで
戦争責任から逃げて自殺したために20世紀最大の悪人とされたヒトラーと現在は特アを除く国々から尊敬を集める天皇の明暗の違いを理解できるような気がします。
そういえば、現在アメリカ合衆国大統領が空港まで迎えに行って
頭を下げなければいけない人物が世界には3人いて。
その一人が天皇だそうです。その礎となったものが理解できる
映画だとぐらは考えています。
長文でまとまりの無い拙文失礼しました。
終戦前後の昭和天皇を描いた
太陽 -The Sun-
を十三の第七藝術劇場で観てきました。
ストーリー
悲劇に翻弄され、傷ついたひとりの人間。
彼の名前は、昭和天皇、ヒロヒト。
闇は、まだ明けなかった。1945年8月。
その時、彼は庭師のように質素な身なりをしていた。
その人の名前は、昭和天皇ヒロヒト。
宮殿はすでに焼け落ち、天皇は、地下の待避壕か、唯一被 災を
免れた石造りの生物研究所で暮らしていた。
人は、彼を神の子孫だと言ったが、天皇は「私の体は君たちと変わらない」と言った。戦況は逼迫していたが、彼は戦争を止めることができなかった。
その苦悩は、悪夢に姿を変え、午睡の天皇に襲いかかる。夢の中で、米軍の爆撃機は巨大な魚に姿を変え、焼夷弾のかわりに大量な小魚を産み落とし、東京を焼き尽くすのだ。みるみるうちに焦土となる東京。失われる多くの命。うなされるように目を覚ます天皇の孤独。彼は、「私は誰からも愛されない」と呟き、遠く離れて暮らす皇后と皇太子たちのアルバムに唇を寄せた。
日本は、まだ闇の中にある。やがて、連合国占領軍総司令官ダグラス・マッカーサーとの会見の日が訪れる。彼は、ひとつの決意を胸に秘めていた…。
公式HP(http://taiyo-movie.com/story.html)
感想
この映画はロシア映画であり、日本人の俳優以外は監督アレクサンドル・ソクーロフはもちろん、スタッフも全てロシア人であった。
そのため、昭和天皇の戦争責任を問ったり、彼を独裁者として描く映画かと思っていた。
しかし、人間であるのに、現人神と周囲から祀り上げられ、絶大な権力を与えられてそのギャップに悩む彼の苦悩を淡々と描いている静かで、彼に優しい映画であった。
時代考証に関しても彼を演じるイッセー尾形や、侍従長を演じた佐野史郎の助言もあって、時系列はわざと組み変えていたようだが、素晴らしいできであった。
彼の癖として有名などんな親切で熱心な説明を聞いたあとでも、『あ、そう』とだけ答えてしまう人間くさい癖や、口をまごつかせる癖などをイッセー尾形が素晴らしい演技を見せていた。
しかし、彼のそういったエピソードを知らないとついていけず、また映画の雰囲気をそこねないために一切の説明のないシーンも多々あるため、観るものに教養を問う作品になっていることも否めない。興味を持って行かれる方はここを一読されると作品の世界に入りやすいです。
(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%98%AD%E5%92%8C%E5%A4%A9%E7%9A%87#.E3.82.A8.E3.83.94.E3.82.BD.E3.83.BC.E3.83.89)
個人的に気になった点と入れて欲しかったシーンは次の二つです。
一つ目は彼が用いる一人称で、英語で話す際に彼は“I”と言わず、“Emperor”と言い、日本語では私と言っていた。
少なくとも戦前の彼ならば一人称は“私”ではなく、“朕”だと思っていたので違和感を感じずにはいられなかった。
二つ目は、監督自身が「日本人はヒロヒトに救われた。そのことを知らなければいけない」と言っていたのに
昭和天皇が初めてマッカーサと対面したとき
『私の命はどうなってもいいから、国民に食料を供給してくれ』
と言って、どうせ命乞いに来たのだろうと見下していた
マッカーサーの度肝を抜き、尊敬をえたエピソードが入ってなかったのが残念だった…
全体としては
マッカーサー役が男前すぎるが演技達者で、皇后役の桃井かおりも登場シーンは少ないもののすばらしい演技を見せる。
静かで、素晴らしい映画でした。
昨年公開された“ヒトラー 〜最後の12日間〜”
公式HP(http://www.hitler-movie.jp/index2.html)
華の過去ログ(http://blog.livedoor.jp/gura_w_/archives/50044386.html)
を見比べることで
戦争責任から逃げて自殺したために20世紀最大の悪人とされたヒトラーと現在は特アを除く国々から尊敬を集める天皇の明暗の違いを理解できるような気がします。
そういえば、現在アメリカ合衆国大統領が空港まで迎えに行って
頭を下げなければいけない人物が世界には3人いて。
その一人が天皇だそうです。その礎となったものが理解できる
映画だとぐらは考えています。
長文でまとまりの無い拙文失礼しました。
gura_w_ at 12:40│Comments(0)│TrackBack(0)│