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2017年05月17日

いまさら翼と言われても

今更だけど読了。


相変わらずミステリマイブームは続いているんだけど、
特に軽めの作品が朝の通勤時に読んでも気分を妨げなくていい感じ。
その点古典部シリーズはとても良い選択だった。

今回は短編集になっていたんだけれども、
半分くらいの章で視点が折木以外だったため新鮮味を感じたし、
その一方で違和感を感じずにページを捲ることができた。


内容に関していうと、今回一番気に入ったのは"わたしたちの伝説の一冊"。
ふたりの距離の概算の中で伊原が漫研を辞めたという情報が先に出ていたけれども、
それがどういった経緯に依るものなのかが書かれている。
加えて言えば、"探偵役"である折木が冒頭以外で介入しない珍しい話でもあった。

古典部シリーズはここまでほぼ全て入学時からの時系列で書かれていたけれど、
ふたりの距離の概算ではいきなり二年生に進級したという所から始まり、
今まで以上に大きく時間が進んでいた。 
今作ではその間にあった出来事が含まれているため、巻き戻りが生じている。
これはベルーフシリーズでも同じような形になりそうな感じで、
大刀洗が新聞社を辞めた原因の話が載っている単行本はまだ出版されていないと思う。

先に情報を出してあとから回収するというのは手法の一つでしかないけれど、
物語を読み進めていくうちに
「そんなことがあったの?なんで?」という疑問とそれを知りたい欲求が同時に生まれ、
それがいざ刊行されて読んだ時に白けさせない出来というのは
単純に満足感が高くてよろしい。
プロ作家の作品に上からご高説を垂れるのは恥ずかしくもあるけれど、
今回の伊原の漫研退部というネガティブな要素(謎)に対する解が
成り行きはさておき、とてもポジティブで清々しい締め方で気に入った。

更に伊原に関して言えば、アニメ版の伊原は正直あまり好きになれなかったんだけれど、
そのイメージがだいぶ崩されたかなと思う。
何故好きになれなかったか、という問いに明確に答える事はできないんだけれども
たぶん俺は"反発系キャラクター"というのがあまり好きではない。
主人公を絶対的正義として考えたいわけではないんだけれども
登場時の伊原は如何にもキツそうで、それは物語を追う毎に緩くはなっていったし
文化祭での出来事等によって伊原の弱みも見られたけれど
折木に大して否定的であるという本質的な部分は変わっていなかったように思う。
たぶんそこが気になってた。
それについても今回"鏡にはうつらない"で回収されたけどね。


なんにせよ、この章とタイトルにもなっている"いまさら翼と言われても"は
何故?という疑問がたしかに存在するミステリ的ストーリーではあるんだけれども
どちらかと言うとドラマ性の方が強いように思う。
布石といえばいいのか、フラグといえばいいのか。
今後の刊行がとても気になる話だったのは間違いない。



物語全体でいうと既に二年の夏前まで時間が進んでいて、 
折木達の卒業までこのシリーズが続くと明言されている事を考えると
既に作中時間で1/3~1/2くらいを消化してしまっていることになる。

もちろん今回のような時間の巻き戻りは今後もあるだろうし、
1年生の時のようにトントンと話が進むかどうかは筆者の考えに依るけれども
このシリーズは長く読みたいと切に思う。

勿論ベルーフシリーズが動き始めたのも嬉しいんだけれども、
一時期を堺にまったく食指がのびなくなったどころか、むしろ嫌悪すら感じるようになった
いわゆる学園モノ、部活物にジャンル分けされる作品にも関わらず
ここまで読んでいて気持ちがいいし(読後感も)、次の刊行が待ち遠しい作品は珍しい。
他シリーズで言えば、〈小市民〉シリーズの短編が年末に掲載されるようなので
それも楽しみではある。

それでも氷菓は一度アニメ化されただけに
次に期待できる作品でもあるのでやっぱり少し特別かな。
アニメファンには申し訳ないんだけれども、
正直アニメ版氷菓はちょっと蛇足が多く、それが鼻につく感じがあった。

ただ、映像美は間違いないものだったし演出も中々良かった。
何より俺が原作を読むきっかけでもあったわけで、
今後の刊行で原作ストックが溜まったらワンチャンあって欲しいなとは思う。
2期が一生来ないという最近のアニメ業界の流れを考えると難しいかもしれないけどね・・・。

まぁそんな感じで古典部シリーズ最新作、いまさら翼と言われてもの感想でしたとさ。
おしまい。
 

guran1928 at 13:59│Comments(0)TrackBack(0)

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