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ねじまき少女 上 (ハヤカワ文庫SF)
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(;`・ω・´)「今日はハヤカワ文庫の『ねじまき少女』(上・下巻)です」

(´・ω・`)「表紙に『ヒューゴー賞(SF大会参加者にる投票)・ネビュラ賞・ローカス賞・キャンベル記念賞受賞作品』とあって、なんだかとんでもない作品のようにも感じられるね」

(;`・ω・´)「どの賞が、どういうものかわかりにくいと思いますんで、簡単に説明を置いておきますね」

・ヒューゴー賞(世界SF大会参加者よる投票で決まる)
・ローカス賞(SF情報誌『Locus』の読者による投票で決まる)
・ネビュラ賞(SF作家などのプロが選ぶ賞)
・キャンベル記念賞(カンザス大学で選考委員により決定する)


(´・ω・`)「ヒューゴー賞とネビュラ賞の同時受賞で『ダブル・クラウン』と呼ばれるから、この場合はなんて呼ばれるのかね?」

(;`・ω・´)「こういう風に肩書き(?)がすごいと、読む前に期待してしまって読了してから『あれ、そんなに面白かったか?』という読後感になることが時折ありますが…」

(´・ω・`)「まあ、それは置いておこうじゃないか。著者はパオロ・バチカルビ氏」

(;`・ω・´)「名前からして何人かわかりませんよ」
(´・ω・`)「1973年にコロラド州で生まれたアメリカ人。両親がヒッピーで『アメリカの田舎者』というわけではなさそうだね、中国に住んでいた経験もあるみたいだけど現在はアメリカ在住の作家さん」

(;`・ω・´)「アジアに造詣が深いアメリカ人の手による未来のタイの物語なんですよね、この作品」

(´・ω・`)「石油枯渇後のディストピアな未来を描いている作品で、微妙に間違った日本観も未来の話だから仕方がないかと思ってしまうね」

(;`・ω・´)「タイトルにもなっている『ねじ巻き少女(原題:The Windup Girl)』も日本製のアンドロイドのことです。この人間に近いアンドロイドは、性的玩具の要素が強い存在になっているんですよね」

(´・ω・`)「で、その存在が『日本人以上に日本人らしい』なんて作中で言われていると、ちょっと待てと言いたくもなるんだよなあ」

(;`・ω・´)「この日本観も世界共通なのかと思うと、ちょっと怖いですよね」

(´・ω・`)「肝心のストーリーの方は石油枯渇、海面上昇、新種の疫病の流行と危機に晒されているタイで複数の人物が視点を入れ替えて物語が進む群像劇になってる」

(;`・ω・´)「タイのエキゾチックというか猥雑な雰囲気がよく出てますよね」

(´・ω・`)「巨大企業の会社員(外国人)、マレーシアを追われた華僑の老人、日本人のVIPに捨てられたねじまき少女、命知らずな白シャツ隊(警察のようなものか)の隊長といったように様々な人間が、それぞれの思いと信条で動いていく様は実に面白かったね」

(;`・ω・´)「物語もそうなんですけど、世界観がじつにいいんですよね。この世界ではイエネコ(ようは普通の猫)が絶滅していて、変わりにチェシャ猫(遺伝子操作により、環境に合わせて体の色を変える猫)だけが生き残っていたりするんですよ。そういう細かい未来のガジェットは実に面白かったです」

(´・ω・`)「ただ、それも日本の描写になるとちょっと脱力するのもたしか、例えばこんな感じ」

 もうひとりの税関職員がそういって半分ちぎれたソニーの屏風を示した。
 ジェイディーは古めかしい代物を調べる。そこに描かれているのは、二十二世紀後半ごろのサムライ一族に相当するとおぼしきミシモト流体力学の経営者が、農場で働くねじまきたちらしきものを監督する光景で…。(114ページ)


(;`・ω・´)「これはちょっとアレですよねえ」

(´・ω・`)「そういう訳で、日本の描写に関する部分を除けば非常に楽しい作品でした。やっぱり、読む前に期待していたほどではありませんけど」

(;`・ω・´)ヾ「では、本日はここらへんで」

(´・ω・`)ノシ「それじゃあ」

ねじまき少女 下 (ハヤカワ文庫SF)
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