江戸しぐさの終焉 (星海社新書)


前作「江戸しぐさの正体」の記事

(;`・ω・´)「今回は星海社新書の『江戸しぐさの終焉』を取り上げたいと思います」

(´・ω・`)「著者は原田実氏。2014年8月に同じく星海社新書で出した『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統 』の続編になる作品だね」

(;`・ω・´)「あれは衝撃的な作品でした、特に江戸っ子大虐殺という今までに聞いたこともない与太話が教育の場で罷り通っているというトンデモに恐怖すら感じました」

(´・ω・`)「目次はこんな感じ」

第1章 「江戸しぐさ」とは何か
第2章 「江戸しぐさ」の推進の歴史
第3章 「親学」の正体
第4章 「江戸しぐさ」をめぐる風向きの変化
第5章 弱体化する推進団体
第6章 「江戸しぐさ」問題の責任
第7章 「江戸しぐさ」の終焉

(;`・ω・´)「1章あたりは、前作と内容が被ってましたね」

(´・ω・`)「今作で面白かったのは2章4章かな。徹頭徹尾デタラメの『江戸しぐさ』がいかに普及、もっと言ってしまえば権力にコミットしていったかの歴史が綴られている」

(;`・ω・´)「初期は素朴で、なんか独自のマナー講座で一旗揚げよう! みたいなけっこう怪しいベンチャー企業的空気を感じるんですよね。創始者の芝三光氏はヤマ師的な感じで色々と活動していたみたいですし」

(´・ω・`)「小規模で活動していたモノが様々な人物を受け入れ、創始者の意図とは別に大きくなっていく様というのは得体のしれないモンスターの誕生を見ているようで面白かった」

(;`・ω・´)「そして、3章の親学を語る項へと行き着くと疑似科学のバーゲンセールになっていきます」

(´・ω・`)「まさか森昭雄氏(『ゲーム脳の恐怖』の著者)が出てくるとは思わなんだ」

(;`・ω・´)トンデモはトンデモを呼ぶですよねえ……」

(´・ω・`)「実は、こういうカルトができるまでの流れ自体はと学会の関連本でよく見たものだったんだけど、今回『時代が変わったなあ』と思わざる得なかったのが4章

(;`・ω・´)「4章は著者が前作『江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統』を発刊してからの世間の反響と、そこから『江戸しぐさ』が衰えていく様を淡々と描いていっています」

(´・ω・`)「ブログ主はかなり昔からと学会の作品を読んでいるんだけど、そこでの経験として一旦、巷説にトンデモが流布してしまえば、論理的に否定、批判する方が優勢・正当性であったとしてもトンデモ自体が覆るとか滅亡するケースは稀ということを知っているんだよ」

(;`・ω・´)ホメオパシーしかり、アポロは月に行ってない説しかり、血液型性格診断もそうですね」

(´・ω・`)「しかし、ことこの『江戸しぐさ』にいたっては恐らく近年中に消えることになるんじゃないかな?とも思う。google検索しても批判記事の方が上に来るし、NPO法人えどしぐさの活動も死に体だし」

(;`・ω・´)「批判に対する直接的なエビデンスに基づいた反論、というのは未だにないですからね。ネット全盛の時代になると論理的な正しさや数多くの批判によってこんな風にトンデモが淘汰されるようになっていくんですかね?」

(´・ω・`)「逆にわかりづらい疑似科学は流行るような気もするしなあ」

(;`・ω・´)「微妙なところです」

(´・ω・`)「江戸しぐさの顛末を記録した作品として面白かったです。オススメしときます」

(;`・ω・´)ヾ「では、今回はこんなところで」

(´・ω・`)ノシ「それじゃあ」


江戸モアゼル (バーズコミックス スピカコレクション)
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