
「ファミ通文庫ネクスト枠の作品なんで主人公の年齢が
22歳、ヒロインが
24歳と年齢が高めの設定になっていますね」

「
ひょんなアクシデントで知り合って恋仲になった男女2人が、作家と担当編集になってしまい2人で頑張って面白いライトノベルを作り上げていく、というのが大体のストーリー」

「ヒロイン自らが『
今どき月9でもあり得ないよ』というセルフツッコミをかましていましたね」

「主人公とヒロインが恋に落ちるまではスゴく軽いんだけど、主人公の立場が『
新人賞を受賞したんじゃないんだけど編集者の目に止まり担当編集が付いたものの、デビューできずに3年7ヶ月も経ってしまっている作家の卵』となかなか重い」

「それをさらに深刻にしているのが、ライトノベルレーベルの編集長・
神田京太郎です。タイトルの『
悪魔』に相当するキャラクターで、主人公とヒロインの壁となるのが役割となっています」

「この作品の難しいところはこの神田というキャラクターが憎まれ役を引き受けつつも、実は彼らのことをきちんと考えているイイヤツという役回りになっている点。でも考えれば考えるほど
イイヤツか? という疑問が出てくる」

「主人公は既に
3年以上飼い殺されているフリーターなんですよね。今のライトノベル業界の現状で若い人の3年という貴重な時間を潰すのは、ちょっと過酷すぎじゃないか、という気もしました」

「一つの社会・業界において上層部の意見や持論というのは確かに価値がある場合もあるし、そこに気に入られると役得があるのも確か。ただ、
この作品における作家と編集長の関係性には疑問しかない」

「編集部からのGOサインが出ないと本は出せない、しかし、本が出せたとしても新人賞でも小説家になろう人気作でも主人公の作品は市場的に非常に厳しい。主人公の立ち位置は考えれば考えるほどキツいものです」

「出版をめぐる状況が変化しているのに、物凄く旧来的なモノを背負いすぎている主人公が気になりすぎた作品でした。興味のある方はどうぞ」

「では、今回はこんなところで」

「それじゃあ」