この世の全てはこともなし : 異世界NTR ~仲間にバレずにハーレムを~　五里蘭堂　ファミ通文庫

「今回はファミ通文庫の『異世界NTR ~仲間にバレずにハーレムを~』を取り上げたいと思います」

「著者は五里蘭堂氏。ノクターンノベルズ（多数の18禁小説を掲載している投稿型の18禁小説サイト）からの書籍化作品になるね」

「頻繁にセックス描写が出てくる作品でしたね。描写自体はあっさり目でしたけど美少女文庫のようなアダルトレーベル（※但し18禁ではない）と遜色ないレベルです」

「今までは棲み分けが出来ていたけど、一般レーベルでもこのレベルまで『ちょっとH』をかなり踏み越えてくるとどうなるんだろうかと不安にもなってくる」

「ストーリーは、異世界に転移させられた主人公が魔王討伐を目指すというコテコテの物語となっています。最初に『これはゲームです』という割り切った文句も出てきますし」

「類型的な設定と世界観、キャラクター同士の性行為がメインとして扱われるフィクションという感じだね。この言葉以上でも以下でもない作品」

「エロはあっさりなんで、もうちょい濃厚にして美少女文庫か二次元ドリーム文庫でも良かった気はします」

「かなりゲスな主人公が純朴な青年・ケンジ（同じく異世界転移者）と共に魔王を倒す旅に出る。ケンジによってくる怪しい女をチートスキルでコマしていくストーリー」

「タイトルは『NTR（寝取られ）』ですけど、主人公はケンジに好意を寄せる女性とセックスしていくんで、実質は『寝取り』ですよね。ケンジ視点もちょっとだけありますが」

「ホモソーシャル的な友情から『コイツは人の良いケンジを騙すに違いない』と思って行為に及ぶ。これはセックス描写を入れる方便に近いとは思うんだけど、物語全体を俯瞰すると非常に同性愛的な様相を呈してくるのが面白い」

「主人公は女性とのセックス越しにケンジを視るんですよね。この奇妙な感情に物語内でもうちょい踏み込んでくれても良かったとは思います」

「最後の決戦は暗喩的なセックスだったんじゃないかと思ってしまう作品でした。一般レーベルとしてはアダルト要素が強すぎるんで興味のある方はどうぞ」

「では、今回はこんなところで」

「それじゃあ」

この世の全てはこともなし