夏へのトンネル、さよならの出口 (ガガガ文庫)


助手-デフォルト反転500px「今回はガガガ文庫の『夏へのトンネル、さよならの出口』を取り上げたいと思います」

博士-デフォルト500px「著者は八目迷(はちもく・めい)氏。第13回小学館ライトノベル大賞ガガガ賞&審査員特別賞をダブル受賞してデビューした作家さん。受賞時のタイトルは『僕がウラシマトンネルを抜ける時』。PVも公開されているね」




助手-デフォルト反転500px「特別審査員の浅井ラボ氏による講評はこんな感じになってます」

 はっきり言うと、送る賞と審査員を間違っていると思います。それほど人への優しい眼差しと、平凡ゆえの邪悪とは言いにくい邪悪さをも描き、端正な作品となっています。登場人物がこう考え、こういう言動になる、という精密な心理描写は大きな美点です。
 ライトノベルというジャンルで久しく見ることなく、脳の辞書から消えていた、品性という単語を急に思い出しました。
 よくぞ投稿先を間違えてくれたと思います。大賞としても良かったのですが、後述の理由で、異例ながらも審査員賞とのW受賞とさせていただきました。
公式サイトより)

博士-デフォルト500px「今のライトノベルの流行だと送る賞を間違えているということになるのか。同じダブル受賞作品の『クラスメイトが使い魔になりまして』の時の講評と比較すると面白いんで興味のある方はどうぞ」



助手-デフォルト反転500px「ジャンルはなんなんでしょうかね? ちょっとライト文芸的に感じましたけど、一番は夏SFですかね。ごく普通の少年(高校生ですが)が夏休みに非日常に足を踏み込んでしまうというストーリーはライトノベルとしては王道的とも言えます」
博士-デフォルト500px「最近観た『天気の子』とも印象が重なるかな。どちらも『子供であるということの絶望』というのが作品において重要なウェイトを占めているし」

助手-デフォルト反転500px「ど田舎の高校生である主人公は、地獄のような家庭環境に『諦め』を持って生きている人間なんですよね。最愛の妹を事故で亡くしていて、彼女の幻を見るような悲惨な状況が出発点です」

博士-デフォルト500px「講評にある『平凡ゆえの邪悪とは言いにくい邪悪さ』という箇所が実にこの作品に登場するキャラクターをよく現している。特に主人公の父親の邪悪さと弱さは悪役になりそうでなれていない。それこそがさらに主人公を苦しめている」

助手-デフォルト反転500px「そんな主人公がPVにあるように『ウラシマトンネル』と呼ばれる、外の世界とは時間の流れが違う奇妙な場所を発見してしまい、それを主人公達がどうするのか? というのがメインのストーリーになっていきます」

博士-デフォルト500px「なんというかオルフェウスの神話じみてもいたんだよなあ」

助手-デフォルト反転500px「ああ、確かに」

博士-デフォルト500px「地方都市における破綻した家庭の少年が持つ『絶望』と『諦め』、そこに現れる転校生とウラシマトンネル、この要素が実によく絡み合って講評にあるような端正な作品となっていたね」

助手-デフォルト反転500px「こういう、地方の高校生モノは大好きです」

博士-デフォルト500px「ひょっとしたら時代を超えていく作品になるんじゃないか? と思わせるような傑作でした。オススメしときます」

助手-挨拶100px「では、今回はこんなところで」

博士-挨拶500px「それじゃあ」

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