映画のメトダ

【メトダ】とはポーランド語で【方法・方式】の事です。 世界有数の映画大学であるポーランド国立ウッチ映画大学に通う筆者が学校で学んだ事、自分で実践している事などなど、映画製作に関わる事を書いています。

New 2019.6月1日3日 『おねがい、静かに』東京、渋谷にて上映!!


上映日:6/1(土)10:30、6/3(月)16:40
会場:渋谷ユーロライブ 

東京ろう映画祭にて上映です。

  • 2017 – Filmschoolfest Munich - ノミネート (ドイツ)
  • 2018 - TRT Documentary Awards - PANORAMA  (トルコ)
  • 2018 - 37. Koszaliński Festiwal Debiutów Filmowych MŁODZI I FILM -ノミネート (ポーランド)
  • 2018 - Transatlantyk Festival - ノミネート (ポーランド)
  • 26th Curtas Vila do Conde - International Film Festival  -  Take One! European Schools 最優秀賞 (ポルトガル)
  • Film and Art Festival TWO RIVERSIDES - 監督賞受賞 (ポーランド)
  • 5th Montaż Film Festiwal 2018  最優秀賞(ポーランド)
  • 2018 Seminci - ノミネート (スペイン)
  • 2018 DOK Leipzig - PANORAMA - Panorama  (ドイツ)
  • 2018 Minsk international film festival “Listopad" - screening (ベラルーシ)
  • 2018 Verzio FF  特別賞 - (ハンガリーy)
  • 2019 21st Mecal Pro, Barcelona International Short and Animation Festival - 監督賞受賞 (スペイン)
  • 2019  Bethlehem Student Film Festival -competition (Israel )

さて、前回「リストに載っていないような映画大学なら行く必要はない」などと大口を叩いてしまいましたが、当然リストには載ってはいませんが、良い大学、学校は沢山あります。

ベルギーやデンマークの国立映画大学はドキュメンタリーにも強く、良い作品がありますし、英国やフランス、ドイツにもいくつか良い学校があります。ここでは詳しく解説しませんが、大事なのは自分に合った環境の大学を見極めることです。同じく、どうしようもない学校も沢山あるので、ある程度の実績が見える学校を選びましょう。

ちなみにウッチ映画大学はフィクションとドキュメンタリーを同時に必ず学ぶという世界でも稀有な大学です。多くの学校がフィクションかドキュメンタリーにコースが分かれていますので、そこも注意です。
ちなみに、フランスのラ・フェミスに双頭するルイ・ルミエール映画大学は技術に特化した学校なので、カメラマンを目指す人たちはこちらに進学します。こういった学校の特色を知るのも大事です。

せっかく苦労して留学するのであれば、満足した結果を求めましょう!

そこで、学校選びで学費と現地の生活費以外に確認しておいて欲しいポイントをまとめました。


①制作費はどこから出るのか?
学校から実習費が出るのか?それとも自腹なのか?

②実技メインなのか?理論メインなのか?
学校に入って「さあ!映画撮るぞ!」と、張り切っていたら「実は理論メインであまり実技がありませんでした」なんてことがあったりします。
実技の頻度、年にどの長さのものを何本撮れるのかを確認しましょう。

③どんな学科があるのか?
映画学校には2つのタイプがあり、最初から希望の学部に分かれている場合と、入って基礎教育を受けてから、別れるタイプとがあります。どちらが良いのか、自分できちんと見極めてください。
また、学部が分かれている場合はどんな学部があるのか?それは共同作業する可能性が高いからです。
カメラ、編集、アニメ、音響、シナリオこれらが揃っていればまずまず。これに美術専攻などもあれば尚素晴らしいです。

④在学生の実績と作品を確認する
最近ではVimeoやyoutubeで作品を公開しています。また、有名映画祭の短編部門や学生部門をチェックするのも手です。学校名や受賞ノミネート作は1年以上前のものであれば前編観れるものがあったりします。そこから校風や作品レベルが見えてきます。

⑤可能であれば卒業した留学生の実績等を調べる
大事なのは現地人の卒業生ではなく、留学生がどのように活動しているのかです。帰国しているのか?現地に残って映画を撮ってるのか?それとも別のところに行っているのか?
可能ならば、コンタクトを取って話を聞かせてもらうのも良いかもしれません。もちろん、丁寧に相手を煩わせない明確で的確な質問が前提です。

これらを念頭に置いて、じっくりと自分に合った映画学校選びをしてください。


さて、長い間『海外で映画を学ぶという事/学校選び』と題して書いてきましたが、次回は海外で映画を学ぶ意味と意義について詳しく述べたいと思います。

もう少し、お付き合いください。

海外で映画を勉強するならば一流校以外は意味がない

ここで、今一度、海外で映画を勉強する意味を考えてみましょう。
前回、世界で最高クラスの映画学校を紹介しましたが、それには意味があります。個人的にはあのリストに入っていないような映画学校以外は海外でわざわざ映画を学ぶ価値はないと思います。

その最大の理由が映画は1人では作れないから

映画大学にいく最大のメリットは自分以外の優秀なスタッフと出会うことにあります。あなたがどんなに素晴らしいアイディアの持ち主でもそれを実現させてくれる仲間がいないと、映画は完成しないのです。

正直、私はウッチ映画大学に来て衝撃を受けました。周りには才能ある人しかいないのです。
もちろん、経験という意味では1年生のレベルと5年生のレベルは違います。(ウッチ映画大学は5年制)

また、完全分業制であるところにも心底感心しました。映画はやはり各パートのエキスパートが力を合わせて作り上げるものだと再認識しました。1年生は必ず2年か3年生のカメラマン、編集マンと組まされます。彼らはすでに技術を学び経験を積んだ才能ある人なので、こちらが示したビジョンを作る技術があります。そこでは自身の能力をフルに発揮できると同時に『すでに技術あるスタッフをどう動かすかという、自分の映画監督としての実力が純粋に試される』のです。日本で映画撮っていたときのような、スタッフみんなが素人ではなく「お前はこれだけ能力ある奴らを使うんだから、失敗は全て自分の過ちだ」と、明確に見えると同時にレベルの低い人に悩まされることがありません。
(もちろん、個人差、相性ありけり何ですが…)

ちなみに、私が一緒に映画を作って来たカメラマンはサンダンスの短編部門の撮影賞受賞者やアムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭の学生部門1位を撮った作品を手がけた一流ばかりです。
日本の大学ではあったこともない経歴の人たちです。
そういった一流のスタッフと仕事できる可能性が出来るのが有名校なのです。

そして、もう一つ。
一流校である必要がもう一つあります。

それは映画を作る設備です

残念ながら映画制作は金がかかります。そして設備も必要です。
カメラ、ライト、三脚、ドリー、車両、スタジオetc...

もちろん、カメラと三脚だけで映画が作れないこともありません。しかし、あなたがプロとしてやっていきたいと思うならば、これらの大掛かりな現場を知らねばなりません。もしあなたが撮影監督になるならば、日々進化する最新機材を扱えないといけません。有名校は設備が整ったところも多く、またメーカーとの交流も多く、最新の機材を学ぶ場が多くあります。

日本の大学で映画を学ぶにしても、それなりの学費が必要です。しかし、その学費に見合った機材があるのか?残念ながら私の通っていた大学にはありませんでした。
私立の芸術系ならばウッチ映画大学と同じぐらいの学費です。しかし、語学であなたは苦労するのです。その苦労を考えたら、同じぐらいの金額で、優秀な人材と出会える可能性が高く、良い設備を持つ場所の方が良いでしょう。

映画大学に行く最大のメリットは人と機材であることを認識しましょう。

さて、映画といえばハリウッド。
今も昔も映画教育の最高峰は南カリフォルニア大学。
そう、アメリカに良質な映画大学は集中しているのです。
また、そのほかにも有名どころといえばカリフォルニア大学ロサンゼルス校、ニューヨーク大学芸術学部など、多くの素晴らしい学校があります。

しかし、アメリカで映画を学ぶのはめちゃくちゃハードルが高いです。
その最大の理由が学費です。アメリカの大学は学費のみで年間500万円を超えます。
これに生活費を足すと凄い金額になります。

さらに、映画製作の実費は自腹です。
ただし、ここには多少裏があり、例えば南カルフォルニア大学などはハリウッドと直結しています。ですので、学びながらに直接プロとのコネクションが出来ます。そして、自分の映画の制作費は自力で無数あるスタジオから出資してもらえるように式集めをするのです。しかし、これは完全なる実力主義です。学生のうちからすでに商業主義の厳しい環境下に置かれます。当然、ハリウッドのスポンサーたちは面白いと思わなければ一銭も出してくれません。なので、下手したら、高い学費を払った上で1本も映画が取れずに卒業…なんてこともあるかもしれません…

それに比べて、EUの映画学校は入学の門は狭いですが、基本学費は150万前後であり、その中には制作費も含まれています。
例えば、我がウッチ映画大学ですと、学年が上がるにつれて作品の予算が上がり、合計すると5年間の学費支払いの半分ほどが制作費として戻ってきます。これは授業数や使える設備などと照らし合わせると、100%払った学費の分だけの元が取れます。これも、私がウッチ映画大学を選んだ理由です。

他の学校の詳しい情報は分かりませんが、EUの学校は差はあれど制作費が予算として出ます。ですので、ドイツやチェコの映画大学に入ると、下手したらタダどころか制作費がもらえるプラスとして学ぶことができます。

以前言及した英国国立映画テレビ学校は微妙なところで、学費が400万ぐらいとアメリカとほぼ同じ。さらに、英語ができたとしても入試のハードルがめちゃくちゃ高いです。

ちなみにアジアでいうと世界のTOP3の映画教育機関に入る北京電影学院。
こちらは学費は100万程度のようです。が、残念ながら私の知識では留学生がどのように学んでいるのかはわかりません。現ウッチ映画大に通っている友人曰く、やはり物凄くハードルが高いそうです。が、留学先として視野に入れるのもありかもしれません。

そのほかにもアジアでは香港や韓国のフィルムアカデミーも評価が高いです。
こちらに最新のハリウッドレポーター誌が出している学校ランキング(米国を除く)を載せておきます。

The Top 15 International Film Schools




そして、こちらが米国も含めたバラエティー誌のTOP20です。

The Best Film Schools in 2018



是非、参考にしてみては?


さて、留学するには目的は具体的であればある程良いです。

私の場合は「映画監督になるための勉強がしたい!」でした。

それを踏まえた上で、ウッチ映画大学にした理由がいくつかあります。

まず、EUの映画大学には2タイプのものがあります。それは現地語での履修が必須のコースと英語で履修できるコース。前者はタイプが色々です。例えば、我が校は前提としてポーランド語必修ですが、70%の講師陣は英語が出来ます。ですので、授業はポーランド語で行われます、わからない所は英語でカバー出来ます。さらに、入試が外国人とポーランド人で別れています。外国人でもEU国籍を持っていて、ポーランド語が出来ればポーランド人と同じ試験を受けて、同じ権利(学費無料)で勉強する事が出来ます。倍率は20倍程度。

外国人は外国人枠として各学科最高5人まで入れます。倍率的には2〜3倍ですが、ある一定のレベルに達していないと5人に満たなくても落とされます。こう書けば、外国人試験楽そうじゃん!と、思われますが、入学した面々の顔ぶれを見ると、母国ですでにアート、または映像の学科を卒業してる。ファッションデザイナーとしてすでに母国で活動していた。母国でジャーナリストとして活動していた。高校生の時に作ったアニメーションがきっかけでピクサーから奨学金を得て、アニメ制作をしていた20歳…
と、ぱっと見驚きの経歴が並びます…

外国人枠は倍率自体は少ないですが、すでに経験豊かなスキルのある人が応募してくるので、競争自体はそれなりにあります。個人的には日本の高校生が受験しても相当映画製作の経験がないと入学できないのが現実です。

特徴としては入試で合格した後に外国人にポーランド語を学ぶことを求めるので、その部分を踏まえても入試自体のハードルはかなり低いです。入って、1年ポーランド語を学べばこっちのモノ…ここだけの話、英語を突き通す人たちも結構います…。

その逆にドイツのミュンヘン、ベルリンなんかは大前提でドイツ語学試験をパスして受験の権利を得なければなりません。その後に現地人に混じって実技の授業を受けます。その試験には当然、文章制作も入り、入試の時点でかなり語学力が必要でありハードルが高いです。英語と違って、耳慣れない現地語を習得するには相当な時間と死ぬほどの努力が必要です。

また、英語で授業が受けられる国際コースタイプはチェコの名門FAMUがあります。FAMUは毎回世界の映画大学ランキングに上がるほどの超名門。しかし、それはチェコ語の本科に対する評価。国際コースは有料な上、散々である…と、有名です。残念ながら英語で授業を教えるコースは現地語のコースに比べて格段とレベルが落ちます。しかし、それなりには学ぶ事が出来ます。問題はその "それなり"に満足できるかどうかです。

ここで学費と入学難易度をEUの名門映画大学で比較してみましょう。

①ラ・フェミス(フランス) 
フランス語のみの試験で入学できるのは受験生の1%
EU最高峰な上EU国籍ならば学費はタダなため、EU中から受験者が集まります。
EU以外の学生は年間の学費 $13,105(およそ150万円)

②ミュンヘン&ベルリン(ドイツ)
ドイツ語での受験資格を得た後に、現地の生徒と混ざって受験。倍率は不明ですが、今の所、日本人の合格者はいない(数年前の情報です)
また、国籍関係なく破格で学べるため、世界中から受験生が集まります。
国籍関係なく授業料はおよそ$850(およそ10万)

③FAMU(チェコ)
1、チェコ語コース
現地語で試験できれば資格は必要なし。現地人と共に受験します。
ポーランド語に並び、最も難しい言語の一つのため、習得がかなり難しいです。
学費は国籍関係なくタダ

2、国際コース
英語での試験。
学費は$20,655(およそ350万)

④ウッチ映画大学
英語、または他の言語も事前相談によっては通訳使用可。
学費は$7,411~$16,058 (学科や条件によって変わります。私の場合は大体100〜120万前後でした)
授業はポーランド人、外国人関係なく行われます。しかし、外国人はポーランド語必須なため、本科に入る前に語学コース(30万ほど)を受ける必要があります。

とりあえず、5つのタイプの学費と入試方式を代表するEUの学校を並べてみました。

EUで唯一、英語での授業が受けれて高い教育を受けられる所に英国国立映画テレビ学校があります。
これについては次の記事で詳しく解説します。

(なお、今回挙げた授業料との情報は古い可能性もあります。またレートの違いにより、日本円表記にも差が出ます。興味ある方は必ず、自分で調べてください。)






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