映画のメトダ

【メトダ】とはポーランド語で【方法・方式】の事です。 世界有数の映画大学であるポーランド国立ウッチ映画大学に通う筆者が学校で学んだ事、自分で実践している事などなど、映画製作に関わる事を書いています。

2015年06月

【キャラクターがどのように世界を見ているか】

3つ目の情報となるのがこれです。
役者が役の基本行動を設定するための最も重要な情報と言えます。

【キャラクターがどのように世界を見ているか?】


それはどういう意味なのでしょう?

では例を観ていきましょう。

【Fact/事実】から登場人物を分析して、彼女の世界観を想像してみましょう。

登場人物Aは専業主婦です。
ビジネスマンとして成功している旦那と、エリート校に通う息子がいます。
A本人も積極的にボランティアや地域の行事に参加し盛り立て役として地域の人から慕われています。Aは周囲の人から幸福な人間だと思われています。しかし、実は旦那には結婚前からつき合っている浮気相手がおり、息子は母親を嫌っています。


さて、こんなAはどのように世界を見ているのでしょうか?

悪い例: 

Aは自分を不幸せな人間だと思っている

何故悪例か?それはこの表現では登場人物の行動に直結しないからです。

役者に与える情報は必ず行動に移すために必要な物であって、どう行動して良いのか分からない情報等、要らないどころか邪魔なだけです。しかも、Aが不幸せな事くらいシナリオを読めば分かるはずです。(もし役者がそれを理解しなかった場合はシナリオに問題があります)
また、脚本を書く際の決まりと同様『(形容詞)+だと思っている』という登場人物の考えは、画面には出てきません。必ず行動として表現しなければなりません。

良い例: 

Aは家事の合間等、ふとした瞬間に、ついつい“自殺したい衝動に駆られる”。それが嫌で、常に“何かする事”を探している。


こちらの例の場合、ただ単に”不幸な人間“と形容するよりも、彼女の行動の理由が明確にわかります。
彼女がボランティアや地域活動に打ち込むのも、その衝動から逃れる為。そうなると『彼女は他人と居る時と1人になった時では全然、表情も行動も違う人間になるのではないだろうか?』『大変な2面性があるのではないか?』などと想像が膨らみます。

そう、具体的な行動が想像できる事が【キャラクターがどのように世界を見ているか?】という情報の大切な事なのです。また、忘れていけないのは、それはいつ、なん時であっても適応されるということ。

例えば…

『誕生日に婚約者から高価なプレゼントをもらう』それに対して①〜③のキャラクターは以下の様に感じます。

①嬉しさのあまり、相手の誕生日のお返しを考え始める
②「こんなに高価なもの…自分にはもったいない」と、恐縮する
③「こんな無駄遣いして、何で将来の為に貯蓄しないんだ」と怒る

ただ単にプレゼントをもらうだけでも、人それぞれ考え方が違います。

この思考回路は常に一定でなければなりません。

『平日にわざわざ婚約者が晩ご飯を作りに来てくれた』

①嬉しくて、相手にも喜んでもらえる事を考え始める(マッサージや次のデートのプランを考える)
②相手も疲れているのに、申し訳ないと思ってしまう(ついつい手伝ってしまう)
③平日の疲れてる時になんて考え無しなんだ、と思う(早く帰ってもらえるように行動する)

これらの①〜③のキャラクターは

①ポジティブで思いやりのある人
②いつも自信が無く、相手の様子をみてしまう人
③冷静で合理的な人

などと、形容するより、ずっと具体的にキャラクターを想像する事が出来ます。

人生や物事をどのように感じ、行動しているのか?

それこそが【キャラクターがどのように世界を見ているか?】なのです。

俳優演出に限らず、映画製作に重要な事は整合性がとれている事です。

【FACT / 事実】にも同じ事が言えます。

と、いうのも、せっかくキャラクターを構成する様な【FACT】を作り上げても、シナリオ上のその人物の行動が、全く【FACT】に由来しなければ意味がありません。

映画は、常に監督がシナリオを書く訳ではありません。
脚本家の書いたシナリオを受け取り、演出する事が多々あります。

じつは、良く書かれた脚本には、その中に【FACT / 事実】を導きだせる様なヒントがたくさんあります。監督はそれを読み取って、さらに役者が表現しやすいように広げて、具体的に再構成していくのです。

その為、逆に自身が書いた脚本の場合も、同じようにシナリオに沿った【FACT / 事実】を設定する必要があるのです。ですから、シナリオを書く段階から【FACT / 事実】を設定しておくのが良いでしょう。すると、シナリオ上の登場人物の行動も自然と整合性のとれたものになっていきます。

既に何度も言っていますが、役者は経験した事以外は演じられません。

人間の心理的に不可能で総合性のとれない条件で役者は演技出来ないのです。

もし、あなたが何らかの映画でそのように見える演技を見たとしても、それは見えるだけです。演出の際には必ず、監督は整合性のとれた指示を加えています。

さて、シナリオの書き方、また【FACT / 事実】の項でも言及しましたが、映画製作に置いて形容詞を使うのは厳禁です。特にストーリーテーリング、キャラクター表現、心理描写においては。それは不確かで曖昧な上に言葉のみで完結してしまう情報だからです。

日本語の特徴として、多様なオノマトペがあります。
オノマトペとは『ドキドキ』『ぐぅわ〜〜〜〜〜っと!』『モヤモヤとした』といった物があります。
日本の撮影現場で監督さんがこれらの言葉を使って表現する事がありますが、これも言語道断です。これこそ、人によって定義のハッキリしない言語表現の最たるものです。
オノマトペや擬音語での指示は演出者が思っている以上に、役者には理解できていません。
まずは、この表現をしない事から始めて下さい。

前回までは、登場人物の『オブジェクティブ / 目的』という情報について説明してきました。

2つ目に重要なのが【FACT / 事実】です。

まず、あなたは登場人物を説明する為に役者にどのように説明をしますか?

『優しいけど、優柔不断で、意気地なし。』

もし、これらの単語が俳優演出の場で出て来たらアウトです。

では、これらの単語の共通点は何でしょう。

そう、形容詞です。

皆さん覚えてますか?シナリオを書く際の大原則。

形容詞を使わない

じつは、この原則は俳優演出にも当てはまります。

何かを正確に伝える際に、形容詞での説明は大変不正確です。
なぜなら人にとって『優しい』も『優柔不断』も『意気地なし』も基準が異なるからです。
また、具体性に欠ける為に「どのように優しく、優柔不断で、意気地なしなのか?」と、指示された方は分からない事の方が増えてしまいます。

我々の目的は観客がそのようにキャラクターを認識することであって、
言葉でキャラクターを説明することではありません。


では形容詞以外でどのように、登場人物を説明すればよいのか?

それが【FACT / 事実】なのです。

例えば、こう説明します。

主人公は中学時代に虐められていた。
なぜなら、クラスメイトの1人が虐められているのを見過ごすことが出来ず、うっかり、かばう様なことを言ってしまったから。しかし、いじめグループのリーダーに威圧されて、すぐにその意見を撤回。より酷いいじめに加担してしまった。それを見ていた、他の人から“卑怯なヤツ”と思われ、いじめの標的も気がつけば主人公になり、中学時代の後半を1人ですごした。

さて、これは、キャラクターの性格を構成した過去に起こった事実です。
ここから想像されるキャラクターの性格は『優しいけど、優柔不断で、意気地なし』と説明されるより、よりリアルで具体的。さらに、現在にまで影響さていそうなトラウマ等も想像で来ます。

これらはバックボーンとも言われます。
バックボーンは役に人間的ディテールを与えるのに大変効果的です。

さらにそれだけではありません。

神経質な性格であることを表現する為に
 →リビングのサイドテーブルに大きさ順にリモコンが並んでいないと気がすまない。
 →自分の部屋に一歩でも他人が入るのが許せない。それが例え、恋人や両親でも。

このように、具体的かつ、行動を通して説明出来ることをそのキャラクターの【FACT / 事実】と言います。

俳優演出で大切なのは、事実=情報を如何に伝えるかと言うこと。
そして、その情報から俳優が如何に想像を巡らすことが出来るか、ということなのです。

それでは、以下にとあるキャラクターAの事実を並べていきます。

  1. 年齢は67歳
  2. 職業は医者
  3. 週に3回勤務
  4. ボランティアで週3回、仕事終わりに小学校を回り子供達に健康相談や定期検診を施している
  5. 患者にはどんなに悪い状況でも告知をする
  6. その際、気休めは一切言わず、医学に沿った情報のみを正確に伝える
  7. 移動は常に徒歩。バスや電車には乗らない
  8. 2DKのマンションに一人暮らし
  9. 30年前に妻と幼い子供を事故で一度に無くしている
  10. 週に1度、お手伝いさんが来て掃除、洗濯などをしてくれる
  11. 趣味は園芸
  12. ベランダに簡易温室を作って多肉植物を栽培している
  13. 毎朝、近所の店で新鮮なパンと牛乳、バターを買い、月曜と金曜日には新鮮な卵をプラスで買う
  14. 肉は鶏だけ食べる
  15. 外食は嫌いで料理は自分でする
  16. しかし、週に1、2回病院の近くにある30年来通うカフェがあり、ミルクたっぷりのオレを飲む
  17. 休日は殆ど外出せずに、植物の世話と本を読んで過ごす
  18. 本は仕事帰りで図書館で借りて来る

さて、これらは、とあるキャラクターの【FACT/事実】を箇条書きしたものです。
ここから、登場人物の性格や生活が見えてきます。

例えば、このキャラクターは妻と子供の死に大きな傷を負っているとしましょう。
言葉で「このキャラクターはトラウマを抱えている」というより、以上の様な情報の方が役者に有利に役立ちます。まずは上から、そのトラウマが要因となる情報を探して下さい。

答えは4,5,6,7,17です。
特に7はとても重要です。
このAの行動で彼の家族は交通事故で無くなったことを想像出来ます。また、かれは事故に対して大変注意深くなっています。その為、役者は彼が事故を起こさない為に何をしているかを想像します。車通りの多い所は通らない。信号は必ず守る。夜道は歩かない。等々。
これらは、監督の指示ではなく、役者が想像したこのキャラクターの追加情報です。
しかし、それは監督が求めるAのキャラクター像と合致しているはずです。

映画演出で大事なことは監督は全ての情報を与えることが出来ないと言うこと。
キャラクターの全人生を生まれてから全て役者に伝えるのは無理です。そもそも意味もありません。しかし、キャラクター構成に必要な情報は与えなければなりません。
では、与えられない情報の隙間と隙間をどのように埋めていくのか?
それが、役者の想像力と表現力です。
そして、それを活かす為の必要最低限の情報が監督には必要なのです。

さらに続けて観ていきましょう。
5と6にはAの医者としての哲学が現れています。その哲学はどこから来たのか?
事故で突然不条理に妻子を無くしたAには、患者に宣告という形で別れを言う為の時間を与えている。また、気休めを言わないのは“世の中には不条理で、人の力ではどうにも出来ないこと”を妻子の死によって知ったからである。

俳優が【FACT】によりこれらの事を想像出来れば、一見、無慈悲で冷酷に見える患者への通告も、彼がプライドと信念を持って行っている事が分かります。すると、その役は無慈悲で冷酷ではなくなり、役者はそのように劇中で振る舞う事が出来るのです。

この様に具体的な行動の理由を説明する方が、抽象的な心理状態を説明するより、ぐっとキャラクターに対する理解も深まります。

4と17はAの対立する心理状態を表していますが、もしトラウマが理由であるならばとても理にかなっています。
小学生というのが鍵で、彼は30年前に死んだ子供が忘れられず、子供と関わる仕事を積極的にしています。ひょっとしたら、忘れられないでけではなく、不幸に死ぬ子供を1人でも減らしたいと思っているのかもしれません。17は反対に、彼がなるべく人と関わりを持とうとしていない事を表しています。身近な人物を失う辛さをもう一度味わいたくないという気持ちの現れかもしれません。

「主人公は一見、冷たく冷酷に見えるが、本当はとても優しく、自分の行動に責任を持つ人物なのだ」等と言うよりも、よっぽど分かりやすく、深くキャラクターを理解できます。

この様に、事実の羅列には想像の余地があります。
「妻子の死に深いトラウマと傷がある」と言うよりも「これらの行動の理由には妻子の死が関係している」と言う風に言った方が、具体的かつ、役者がキャラクター自身の心理を想像しやすいのです。

前回【オブジェクティブとスーパーオブジェクティブ】について説明しました。

基本として

①【オブジェクティブ/目的】は1シーン又は1シークエンスごとに各登場人物が1つづつ持っている事。

②【スーパーオブジェクティブ/大きな目的】は各キャラクターが映画全篇を通して1つづつ持ってる事。また【
スーパーオブジェクティブ】は時に登場人物の人生目標に置き換える事が出来る。

これらを踏まえて
オブジェクティブとスーパーオブジェクティブ】を設定する際の注意点があります。

①【オブジェクティブ】は必ず1度に1つである事。
同時に複数、同じ登場人物が持つ事は出来ません。

②【オブジェクティブ】はシンプルかつ端的である事。
『恋人においしいごはんを食べさせる』
『貸した金を取り戻す』
『友人2人を仲直りさせたい』
など、必ず端的で 分かりやすく設定します。
実はどんなに複雑に見えるシーンでも、面白い作品、良く書かれた脚本は分析していくと必ずシンプルかつ端的な目標が設定されています。1本、お気に入りの洋画を選んで分析してみて下さい。各シーン、又は各シークエンスごとに、登場人物が何を【オブジェクティブ】として行動しているのか分析してみましょう。映画の基本は分析から始まります。まずは1本、映画を分析してみましょう。すると、自然と自分の作品の【オブジェクティブ】設定が出来るようになってきます。

ちなみに、その目的が必ず成就される訳ではない事を覚えておきましょう。
シーンの終盤等で【オブジェクティブ】が達成されない事が明らかになったりします。そう云う時に登場人物に変化が訪れます。その変化によって【オブジェクティブ】分析が分かり辛くなっている事がありますが、それに惑わされないようにしましょう。原則は常に同じです。

③【オブジェクティブ】は必ず、ポジティブ形で書く事。
文章には必ずポジティブとネガティブが存在します。
ポジティブとは肯定形として書かれている文章であり、ネガティブは否定形で書かれている事を言います。

例えば、登場人物Aの【オブジェクティブ】は?と、問われた場合『恋人に嫌われたくない』と答えればネガティブ系になります。では、どのように【オブジェク
ティブ】を設定するのか?それは『恋人に好かれたい』とポジティブ形で書くのです。
実はどちらも同じ意味ですが、大事なのはここに置ける【オブジェクティブ】は動機でなければならないということ。

『恋人に好かれたいから』→言いたい事が言えない
『恋人に好かれたいから』→同意してしまう


『恋人に嫌われたくない』→言いたい事が言えない
『恋人に嫌われたくない』
→同意してしまう

これらは一見全く同じのように見えますが、後者は動機になりません。なぜならネガティブ形は受け身になってしまうからです。受け身と言うことは動機ではありません。以前、言及しましたが人間は常に何かを考え、行動しています。常にです。

『恋人に好かれたいから』という【オブジェクティブ】だと『恋人に好かれる為』の行動に常にチャレンジする事が出来ます。例えば演技の間や、他の演者同士の会話の時にどのように行動するか…など、このようにシナリオには書かれていないけど、必要な演技は山ほどあります。そんな時、役者はポジティブな【オブジェクティブ】に向かって行動出来るのです。

また動機はある程度の強さがあるから動機と言うのです。それは演じる役者にとってもそうです。強く明確な【オブジェクティブ】がないと何をすればいいのか分からなくなってしまいます。
ネガティブ形の場合は受け身になってしまい、シナリオに書かれていない時に何をすればいいのか曖昧になってしまい、演技が曖昧になってしまうのです。

これらの基本を踏まえて【オブジェクティブ】設定をしていきましょう

また、これらの決まりは【スーパーオブジェクティブ】も一緒です。

最後に、先ほど分析を進めましたが、おススメの映画があります。
それは黒澤明の『生きる』又は『天国と地獄』です。
日本映画はこれらが不明瞭である場合が多いのですが、黒澤映画は別です。
以前、キューブリックの『シャイニング』について言及しましたが、あちらが映像とモンタージュを駆使した作品だとすれば、黒澤映画はシナリオのテクニックを最大限に生かした映画を作っています。
大変に明快で分かりやすい上に、ドラマとしても完成度の高い作品となっていますので後学の為にも是非一度分析する事をお勧めします。(『天国と地獄』は登場人物が多く構成も複雑なので初めて分析される方は『生きる』の方が良いかもしれません)

押して頂けると励みになります♪
人気ブログランキング

さて、これから解説していく事には大前提があります。

それは、俳優演出は脚本の出来と密接に関係するという事。

俳優演出は、常に脚本を書く上で登場人物に求められる条件と切っても切り離せないのです。なぜなら、それらの登場人物を表現するのが俳優だからです。

①キャラクターの作り基本【オブジェクティブとスーパーオブジェクティブ】

映画のキャラクターに常に求められれるのが、この2つです。
【オブジェクティブ】というのは【目的】のことです。
【スーパーオブジェクティブ】とは【大きな目的】のことを言います。

人は常に何かしらの目的に沿って行動します。
しかも、常に人は一つの目的に沿ってしか行動で来ません。
同時に複数の目的に向かって行動する事が出来ないのです。
これは人間の行動原理です。例外なく全ての人間がそのように出来ているのです。
そして、その行動原理を守る事はシナリオを書く際の大原則となっています。

例えば、登場人物Aはスーパーに行き、食材を買い、家に帰り、調理をします。

何の為に?

仮に "恋人に美味しいごはんを食べさせる為に" とします。

ここでAは目的を達成する為に複数の事をしています。
しかし、その行動は常に目的である"恋人に美味しいごはんを食べさせる為”に沿った物です。

たとえば、同じ目的でも…

美味しいと言われているレストランをチェックして、恋人を待ち伏せして、面倒くさがる恋人を引き連れてレストランに向かいます。

これらは同じ目的ですが、行動が違います。
kおの行動の違いによって2人の登場人ぶるの背景が違う事が想像されます。

実はこれがストーリーテーリングの原則なのです。
目的をどのように達成させるかで、キャラクターの違いや、物語を語っていきます。

先ほども言及しましたが、人間は常に1つの目的に沿ってしか行動出来ません。

例えば、美味しいと言われているレストランをチェックして、恋人を待ち伏せしている時に、親とでくわしてしまいます。小言を言う親を追い返し、帰ってきた恋人を引き連れてレストランに向かいます。

少し先ほどより複雑なストーリーになりました。
ここで登場人物Aは二つの目的を達成しました。
1つは常に同じ”恋人においしいごはんを食べさせるため“
そして2つ目は”親を追い返す“です。

ここで重要なのが、2つ目の目的を遂行するにあたってAは“恋人においしいごはんを食べさせるため”を中断して“親を追い返す”という目的に集中します。
一見すると、流れの中で同時に行われいるように見える事も、実は細分化して観ていくと1度に1つの目的にしか行動しておらず、人間は常に1つの目的の為にしか動けない事が分かります。

また、このシュチュエーションの場合、親を追い返したのも”恋人においしいごはんを食べさせるため“の過程となります。

原則として、シナリオには1シーンにキャラクターそれぞれに1つづつ【オブジェクト/目的】が必要となります。
そして、映画全篇を通して【スーパーオブジェクティブ/大きな目的】を物語っていきます。

この例で言うと登場人物Aの【スーパーオブジェクティブ】は何になるでしょうか?
Aの大きな目的は『恋人に常に愛されてること』
そのためにAは好かれる為の努力に邁進します。

さて、ここまでで、何となく登場人物がどんな人物か予想で来ませんか?

実は明確な目的はキャラクターの性質を表す重要な情報の一つなのです。また、達成方法によってより詳しくキャラクターの性質とストーリーを語っていきます。そして、それが映画のストーリーテーリングなのです。

さて、俳優演出はどうなった?と、お思いのあなた。これはとても大事な事なのです。

くどい様ですが大小はあれども人間は常に目的に沿った行動をしています。
『疲れた、休みたい』『面倒くさい仕事を適当にやり過ごしたい』という日常的な事から『次の仕事を成功させたい』『世界一の金持ちになりたい』という様な物まで。
実はどんなに目的意識を持っていないように見える人間にも、常に目的がありそれに沿って行動しています。人間の凄い所は別段意識せずとも本能的に目的を選択し、そのように行動してしまう事です。

逆に言うと、その摂理に 反した行動をキャラクターにさせようとすると“違和感”と“矛盾”が生じます。
そして、その違和感と矛盾は映画のリアリティーを欠いたり、最悪物語の破綻を結果になったります。

ここで思い出して下さい。
俳優の仕事について。
俳優は “経験した事のない事は演技出来ない”と言うことを既に学びましたね。

そうです、人間の行動原理に反したキャラクターの行動は現実にはありえない事なのです。
現実にありえない事は俳優は演じられません。

人間は常に何らかの目的に沿って行動していると説明しました。
だからこそ行動原理に沿った【オブジェクト】と【スーパーオブジェクト】という情報が俳優に必要になるのです。

また、これらが脚本の段階で破綻していると、ストーリー的にも俳優演出的にも破綻を来す事になるのです。あなたのキャラクターにはオブジェクトとスーパーオブジェクトがちゃんとありますか?
俳優との本格的な仕事に移る前に、もう一度シナリオを見直して下さい。

押して頂けると励みになります♪

人気ブログランキング

↑このページのトップヘ