キャラクター設定に必要なのは以下の3点。
①【スーパーオブジェクティブ】
②【FACT / 事実】
③【キャラクターがどのように世界を見ているか】
さて覚えている方もいると思います。以前、俳優演出 のトピックでも取り上げましたが、もう一度これらをきちんと整理、確認していきましょう。
①スーパーオブジェクティブ
オブジェクティブとは目標という意味でしたよね。
スーパーオブジェクティブとは言ってみれば大目標。
登場人物たちが映画を通して達成しようとする目標のことを言います。
- 恋愛映画ならば思い人との恋を実らすこと
- スポ根映画なら優勝すること
- 復讐映画なら復讐を遂げること
となります。この目標は映画全編を通して決して変わることはありません。
特に主人公のスーパーオブジェクティブは、映画そのものの主題ともなります。
主人公がその目的を達成するために、迷い、苦しみ、それを乗り越えていく過程を観客は見ることになります。その為、主人公はどんなに迷い、苦しんでもその目標の為に必ず行動する事になります。その目標に沿わない行動は一切とれません。なぜなら、もう学んだ通り、人間は一度に1つの目標にしか進めないからです。それと同じように、映画も1つの目的にしか進むことができません。
例1)ここで語られている物語りは複数の要素がありますが、全ては文末の『恋を成就する』に集約されています。
今まで勉強ばかりで、コミュ症一歩手前の主人公が、偶然であった女検事に一目惚れ。奇跡的に司法試験に合格。コミュ症を克服し、弁護士として立派に成長、恋を成就する。
- 司法試験に合格→女検事に会いたい
- コミュ症を克服→女検事と話したい
- 弁護士として成長→女検事に認められたい
映画の中で、彼の行動は迷い、間違うことはあっても、その目標から逸脱することはありません。必ず、要所要所でスーパーオブジェクティブ=恋を成就するへと戻ることになります。
例2)さて、こちらはまた少し違ったパターンです。
司法試験合格を目標としていた主人公が合格と同時に目標を失う。そんな時、偶然行方不明の父親を探す女と出会う。事件性が高いにもかかわらず捜査が行われていない事実を知り、彼女に協力し始める。その過程で様々な法的、社会的矛盾と戦い弁護士として成長しながら人生の目標を取り戻す。
例1)と似た設定ですが、こちらは『人生の目標を取り戻す』事に重きが置かれています。
ここで重要なのが、映画の中で相手の女性と恋愛関係が芽生えても、あくまで主人公の目標の付随品であること。
- 協力し始める→目標を失っている主人公の探求の始まり
- 法的、社会的矛盾と戦い→目標を決定づける作業
- 弁護士として成長→目標を見つけ出し、達成する
もちろん"女"を対峙相手とすることも可能です。しかし、そうなった場合『人生の目標を取り戻す』というスーパーオブジェクティブに最大限作用する役割を"女"に与えなければなりません。
このように、スーパーオブジェクティブは映画のテーマをはっきりし、物語の内容に左右します。また、シナリオに迷った際も常に『このエピソード(登場人物の行動)はスーパーオブジェクティブに合致するか?』と、常に問うことで物語の迷走を阻止します。
スーパーオブジェクティブを設定する際に以下の事に注意しましょう
❶スーパーオブジェクティブは1つであることただし、大事な点が2点あります
❷スーパーオブジェクティブは決して途中では変化しない
❸主人公の行動を決定づけるものであること
❹短く端的であること
❶登場人物がスーパーオブジェクティブを冒頭から持っているとは限らないこれら2点は物語の幅を広げる大事な要素です。以前にも言いましたが、あなたの映画をより面白くするための選択要素となります。スーパーオブジェクティブは登場人物の行動指針である事を忘れないでください。
ただし、冒頭に目標がない場合は、物語が進む過程でその目標を見出し、それに向かって行動してゆく。大抵は8シークンス中の2〜3シークエンスでこの目標が確定されている必要があります。
❷スーパーオブジェクティブが必ずしも達成されるわけではない
俗にバッドエンドといわれるものです。その目標に向かって全身全霊でキャラクターは動き成長しますが、映画によっては主人公のスーパーオブジェクティブが必ず達成されるわけではないことを覚えておきましょう。