映画のメトダ

【メトダ】とはポーランド語で【方法・方式】の事です。 世界有数の映画大学であるポーランド国立ウッチ映画大学に通う筆者が学校で学んだ事、自分で実践している事などなど、映画製作に関わる事を書いています。

2018年06月

ドキュメンタリーは大きく分けて5つの手法があります。

それが【再現 / インタビュー /観察 / 再構成/ モキュメントタリー】の5つです。

①【再現/reproduce】
こちらは、実写やアニメ等で当時の出来事を再現する手法。実写は本人が再現することもありますが、大抵が役者が演じます。よくテレビで見るような再現VTRがそれに当たります。前編再現にて構成された映画もあれば、一部だけ再現で構成された映画もあります。

②【 インタビュー/interview
こちらはインタビューをメインに構成された映画です。あるテーマに沿った内容を色々な人が語ることによって、テーマの本質を探っていく手法です。大抵のドキュメンタリーはこれに該当します。
とても有名なのはクシシュトフ・キェシロフスキの短編『トーキング・ヘッド』
こちらは古典としても知られており、ドキュメンタリーの教科書的にも使われております。


また、10年ほど前に日本でも話題になった、こちらの『ザカリーに捧ぐ』も典型的なインタビュー構成のドキュメンタリーです。こちらは「幼いザカリーがなぜ自分の母親に殺されたのか?」を周りの人々のインタヴューを通して明らかにして行きます。このザカリー事件はカナダの法律を変えた重要な事件で、この映画も大きな役割を果たしたとされています。興味ある方は検索してみてください。


③【観察/observation
こちらはインタビューや再現を極力排除して、登場人物の日常を観察=撮影した映像を元に作った映画です。実はポーランド・ドキュメンタリーは伝統的に【observation】が盛んで、ドキュメンタリー映画の基本としています。
日本でも近日公開される『祝福~オラとニコデムの家~』も典型的な観察映画です。



④【再構成/ Reconstruction】
 
こちらは過去の文献、映像、インタビュー等のアーカイブ資料を元に新たに映画として再構成する手法。
日本でも数年前のポーランド映画祭で上映された『ワルシャワ蜂起』は典型的な再構成映画の一つと言えます。

こちらは第2時世界大戦勃発の原因となった、ドイツのポーランド侵攻に対して蜂起した様子を写したアーカイブ映像をカラー化した上で、カロルという架空のカメラマンの視点を使い、当時を再現した映画です。

そして、こちらはポーランド【再構成】ドキュメンタリー映画の中の最高峰の一つとされている『聞け!私の叫びを/USŁYSZCIE MÓJ KRZYK』という映画です。
1968年にワルシャワ国立競技場で行われていた建設10周年記念の祭典中に公務員だったRyszardzie Siwcが抗議の焼身自殺をした事件を扱っています。
こちらは45分間、全てがアーカイブ映像にて構成されています。



⑤【モキュメントタリー】
皆さま、この言葉をお聞きになったことはおありでしょうか?
ひょっとしたら『フェイク・ドキュメンタリー』の方が馴染みがあるのではないでしょうか?
この映画の目的は「如何に観客を騙すか」と「如何に嘘とわかった状況を楽しませるか」に集約されています。言葉から分かるように、何から何までフェイク=嘘設定をドキュメンタリー風に撮とった作品のことをさします。

わかりやすいのはテレビ番組等でやっている『UMA探し』なんかも典型的なモキュメンタリーの一つです。とても分かりやすいサイトを見つけたので、リンクを貼って起きます。

【P.O.V映画】モキュメンタリー映画 20本【フェイクドキュメンタリー】

31 Mockumentaries You Need To See Before You Die


「えっ!?フェイクなのにドキュメンタリーに数えていいの!?」と、思う方もいるかもしれませんが、実はモキュメンタリーは立派なドキュメンタリーのカテゴリーとしての地位を確立しています。ですので、ドキュメンタリー映画祭にもモキュメントというジャンルがあります。

製作としては基本的にフィクション製作とほぼ同じです。

私個人としては嫌いなジャンルなので、これ以上の言及はしませんが、手法の一つとして覚えておいてください。

さて、基本的に①〜④の手法に関しては、1つの映画で複数の手法が使われています。例えばインタビューをメインに再構成や再現を織り込んだり。

どの手法が主軸になるか?という違いが存在するだけで、モキュメンタリー以外の手法はジャンルとして区別がしにくことも多いです。

さて、ここまで読んできて「あれ?なにやら、創作と現実が混同してないか??」とお思い始めた方もいらっしゃるのではないでしょうか?

次回はドキュメンタリーのジャンルについて説明します。
さらに『ドキュメンタリーとは何か?』に迫っていきたいと思います。















さて、前回、実話を基にしたフィクションについて少し書きました。

まずは皆さんに見ていただきたいものがあります。









さて、これらは全て映画の予告編になります。
どんな映画?アニメ映画??

いいえ、違います。ドキュメンタリー映画の予告編です。
これらは【Animated Documentary/アニメイティッド・ドキュメンタリー】という立派なドキュメンタリーの手法を使った映画です。

日本ではあまり作られていませんが、歴史は意外と古く、今では国際映画祭で1、2本は見かける一般的な手法となっております。

特徴としてはテーマとなる主人公が既に存在していない場合や史実をもとにその出来事を再現、また個人の独白音声に当てる形でアニメーションが使われたりと様々です。

時にアーカイブ映像が使われることもありますが、基本的にはアニメ手動で映画によっては実写も交えたりとかなり自由性が高いです。

さて、これらの【アニメイティッド・ドキュメンタリー】は基本的に主人公となる登場人物が映像として登場しません。時々、本人のインタビュー音声が使用されることはありますが、全く別の役者が当てることも普通に行われます。さらに、映像構成自体が実際の映像に基づいていないので、シナリオもかなり具体的なものが用意されます。

こうなると、実話を元に作られたフィクション映画との違いとは何か?と、気になる所ですね。

それを解説する前に、次回はドキュメンタリーの種類について解説していきます。

さて、ドキュメンタリー映画とは何か?

まず作るならば、作るものをキチンと理解する必要があります。

ドキュメンタリー映画とは…

極端に言えば映画です。

「は?何当たり前のことを言ってるんだ?」と、思われた方が大多数だと思います。
しかし、この "映画である" ということが何を示しているかをキチンと理解する必要があるのです。

実はドキュメンタリー映画は定義が曖昧です。
「どういうこと?」と思われるかもしれませんが『ドキュメンタリー映画』という概念は物凄く曖昧な要素で構成されているのです。

例えば、フィクション映画においてよくあるのが「事実を基にしたストーリー」というもの。

大きく分けて二つに分類されます。

【伝記映画】と【事件映画】です。

【伝記映画】はその名の通り有名な人物の生涯に焦点を当てた映画で、有名なものでいうとこういう作品達です。

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言わずもがな、ガンジーやチェ・ゲバラなどの誰もが知る有名人から知る人ぞ知る有名人、天才数学者を基にした『ビューティフル・マインド』や、そもそも本人が書いた自伝を映画化した『ウォール・オブ・ザ・ウォールストリート』等々。
特徴としては、1人の人物に焦点を当てて、その人物のとある期間から始まって、ある程度の期間を描きます。典型的なのは青年時代から、晩年までとほぼ半生を描くものから、全人生を生まれたところから死ぬところまで描いたりします。


そして【事件映画】とは実際に起きた事件を映画化した作品です。

特徴は "とある事件”に焦点を当てていたり、事件をきっかけに有名になった人物を描いていることです。
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『ホテル・ルワンダ』は1994年に起きたルワンダ虐殺事件をとあるホテルマンの視点から描いています。シャリーズ・セロンとジュリア・ロバーツがそれぞれオスカーを獲得したことで知られる『モンスター』と『エリン・ブロコビッチ』。前者は有名な連続殺人鬼についての映画で後者は無名な女性が大企業から公害問題で多額の賠償金を勝ち取る過程を描いています。これらは、事件をきっかけに有名になった人々とその事件について描かれています。
『エレファント』も有名なコロンバイン高校銃乱射事件を描いています。人物以上に事件を焦点にしている映画ですね。

さて、これらはフィクション映画です。

では、これらの事実を基にした映画とドキュメンタリー映画の違いとは何でしょう?

役者が演じている?
実録映像じゃ無い??
シナリオが書かれている???
脚色されている??????????


このどれもが正解で、このどれもが不正解です。

一体、どういうことなのか?

次回、詳しく説明していきます。






気がつけば、最後の更新が2年前の日付となっていました。

実は書き溜めていたものがあったのですが、一度、自分のミスで全部消してしまい、やる気を無くしておりました。

定期的にメッセージ等で「続きは書かないのですか?」と聞いていただき、なんとか続きを書きたい!と、思っていたのですが、苦労したものをもう一度書き直す…という作業がこれほど辛いとは思わず…気がつけば、ブログから遠のいておりました。

そこで、気分を新たに、前回までの内容はいづれ続きを更新していく…という形にして、新しいテーマからブログを再開していきたいと思います。

また、しばらく更新が続きますので皆さま、よろしくお願いいたします。

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