さて、【スーパーオブジェクティブ】の設定が完了すれば、今度は【fact/真実】の設定です。
ところで【fact/真実】と一体なんのことなのでしょう?
おそらく、聞き慣れない言葉だと思います。
以前、俳優演出のページでも解説したので、聞き覚えのない方はこちらも参考に読んでみてください。
俳優演出【入門】:【FACT / 事実】の提示
俳優演出【入門】:【FACT / 事実】の提示/補足
【fact/真実】の設定は、いわゆるキャラクターの人生、性格を肉付けしていく作業ともいえます。よく【backbone/背景】などとも言われます。が、ここでは曖昧な表現を避けるためにこの言葉は使わないようにしましょう。
前回の【スーパーオブジェクティブ】での説明で、様々な【fact/真実】を追加して説明してみましたが、具体的に【fact/真実】とは一体なんのことなのでしょうか?
年齢?性別?家族構成??
はい、それらももちろん【fact/真実】の一部に入ります。
【fact/真実】には大きく分けて2つの種類があります。
【fact/真実】①データ
それが、年齢、性別、家族構成等の事実です。
その他に学歴や職歴等、キャラクターの歩んできた揺るがない事実です。
これらのデータは誰が見ても同じ客観的なもので、登場人物や見る者によって感情を左右されることはありません。
しかし、これらの客観的データは登場人物の置かれた環境を推し量ることができます。
例1)キャラ① 20歳、男性、専門学校生、
バイトを2つ掛け持ち。 東京で父親と2Kのアパート暮らし。7歳の時に母親と離別。
例2)キャラ② 20歳、男性、大学生、
6人兄弟の末っ子、複数のサークルに所属。東京で2DKのマンションで8歳上の姉と同居中。
さて、このように同じ20歳の男性であるキャラ①と②ですが、こう言った基本データを並べていくと様々なことが推察できます。
まずは例1)から見ていきましょう。
- キャラ①は 『バイトを2つ掛け持ち』『父親と2Kのアパート暮し 』 から、決して裕福で無いことがわかります。
- さらに、バイトの掛け持ちと学業の時間から、遊ぶ時間も無く、浪費している可能性も少なく、バイト代は生活費や学費に当てられていると推測できます。
- また『7歳の時に母親と離別』という情報から、おそらく父親を支える/自立を心がけた生活を長い間送ってきたことが想像できます。
- そこから、苦労人で、責任感が強く、自立心の高い人物であると推測できます。
引き続き、例2)をみてみましょう。
- 『6人兄弟の末っ子』から、大家族の末っ子という事実がわかります。末っ子はその特質上、甘えたで、要領がよく、そのくせに自立心にかけます。また、大家族という情報からその性格に輪をかけている可能性が推測されます。
- さらに 『8歳上の姉と同居中』 から、おそらく甘えたで、自立とは無縁の生活を送っていることが確信を持って想像できます。
- また2人暮らしとはいえ 若い人が『世田谷で2DKのマンション』 暮らしということから見て、ある程度裕福な家庭であることが想像できます。
- 『複数のサークルに所属』 などの情報から社交的な反面、優柔不断な性格かもしれません。
この様に、データからキャラクターの性格を想像することは大変重要です。
しかも、この想像は決して当てずっぽうではありません。
正確な情報を積み重ねることこそが、キャラクター表現の基本
なのです。