映画のメトダ

【メトダ】とはポーランド語で【方法・方式】の事です。 世界有数の映画大学であるポーランド国立ウッチ映画大学に通う筆者が学校で学んだ事、自分で実践している事などなど、映画製作に関わる事を書いています。

カテゴリ:映画の作り方【初級編】 > コンテ編【初級】

さて、実際に絵コンテからどのような映像になるのかを見てみたいと思います
私のポーランド初の練習作(既に4年近く前の物!)を参考にご覧下さい。

まずは絵コンテから。
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写真(3)

そして実物。

   

最初期の練習作です。最低限の機材…家庭用カメラと三脚を使っただけの映像です。

どうでしょう?絵コンテ通りになっていたでしょうか?

次回からはシナリオ→絵コンテ→撮影までの流れの実践解説に移ります。

さて、前回で字コンテの決まったフォーマットが無いと言いましたが、実は絵コンテにも決まったフォーマットはありません。
大事なのは必要な情報が書かれている&分かりやすいです。

まずはこちらから。
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この絵コンテは見にくい方に入ると思います。というのも、こちらは1分作品の絵コンテ。しかも、ワンシーンのみ。と、言う事で、色々省力しちゃっています。

ここで見て頂きたいのは青で囲まれた部分。これは全てワンカットの説明となっております。
パン(P)による絵の動きが書かれていますが、左下には部屋の見取り図も書かれています。
ちなみに、番号が付いて横に文章が書かれていますが、これはカメラの動きと役者の動きが順番に書かれています。

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さて、お次ぎはこちらを…

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こちらは、きちんとした絵コンテです。ちなみに、私が書いた物です。
日本で使っていた物をそのままポーランドでも使っているので一番上の欄が日本語のままです。
5つの欄があり左から順にシーンナンバー、カットナンバー、絵、内容、セリフとなっております。
【内容】の欄にはカメラの動き、【セリフ】の欄にはシナリオ上での登場人物のセリフと動きが書かれています。
絵コンテで大事なのは省略記号。内容の部分を見て頂けば分かると思いますがFI(フレームイン)FO(フレームアウト)などの省略記号を使っています。ちなみに丸で囲んであるアルファベットは登場人物の頭文字です。

省略記号のチェックはこちらから↓

また気になるのは矢印表現だと思われます。
以下を見て下さい。
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大きい水色のフレームと、小さな紫色のフレームがあります。それを繋ぐように矢印(赤丸の部分)がありますね。
これはZU(ズーム・アップ)又はDI(ドリー・イン)の指示です。
矢印が小さいフレームの方に向いていればZU(ズーム・アップ)又はDI(ドリー・イン)、反対に大きいフレームに向いていればZO(ズーム・アウト)又はDO(ドリー・アウト)となります。

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さらに、登場人物が混同してしまいがちになるときは、きちんと名前や頭文字を書きます。

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こちらのカットナンバーの部分をご覧下さい。5の下に矢印が見えますが、この矢印が引かれている部分だけ、そのカットの説明となります。カット5の場合は手元から顔の前までのティルト・アップの指示を2枠使って書かれています。

シーン3、カット1の部分は登場人物BがFO(フレーム・アウト)した後に
DI(ドリー・イン)の指示が書かれています。

絵 コンテ字コンテは自分の書きやすさと言うのがあると思います。人によってはシーンとシーンの間を1枠あけて、そこに次のシーンの場所、時間設定を書き込む 人もいます。絵コンテのフォーマットはエクセルで簡単に作れるので、色々と試してみて自分なりに分かりやすい&使いやすい絵コンテを描いてみて下 さい。

まずはこちらをご覧下さい。

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これはポーランド語の字コンテです。
実はコンテには決まったフォーマットがありません。
しかし、前回書いたように書かなければいけない情報があります。

さて、どのようにして書かれているか一例としてご覧下さい。
以下は上記の翻訳です。
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①④シーン番号/場所/時間
シーン番号以外はシナリオのト書きの部分と同じように書いていきます。

②③⑤⑥カット指示
左から順にカット数、フレーミング、技術の指示、ショット内でのカメラの動きが、分かりやすく見だしにして書かれています。

撮影内容、範囲
紫色の枠で囲まれているのはシーン内容になります。誰が何をするかがきちんと書かれています。シナリオの内容に沿って書くことで、正確にどのタイミングでどのように画面に被写体が映るかが指示されています。水色の部分がカメラに関係する指示です。②はワンカットにドリーを中心に、人物のフレームイン・アウトなどが複雑に組み込まれています。

③⑤⑥のカットには具体的な説明は書かれていませんが、最初のカット指示にドリーと書かれています。そう言う場合は、ただ単にドリーするだけなので、詳しく書きません。ただ、シナリオ上の何処から何処までを撮影するかを示しておきます。
ちなみに⑥のカットは人物が書かれていません。と言う事は、人物無しの絵になります。

さて、意外と簡単だと思いませんか?
字コンテはきちんとしたシナリオ、カメラ指示の把握が出来ていれば脚本をベースに簡単に書く事が出来ます。

コンテとは情報です。
その為、コンテには描かなければならない情報=指示が沢山あります。

①シーン、カットナンバー
シーンとカットナンバーはシナリオの段階では付いておりません。シナリオの頭から順に番号を付けていきましょう。(番号はシナリオ完成時に付けて行きます)また、カットナンバーはシーンごとに付けていきます。例えば以下の様なシナリオの場合。

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S-1アレクサンドル邸
  C-1 無人のホール
  C-2 無人の玄関
  C-3 無人の廊下
  C-4 廊下の端、佇む少年の影、マテウシュ(8)。女の~…
S- 2 アレクサンドル邸 玄関ホール
  C-1 メイドが~…

と、言う風に割り振っていきます。Cカットを示します。撮影現場ではショットとは言わずにカットと言う事が多いです。理由はシーン(scene)とショット(shot)を混同しやすいのと、撮影現場では撮るのは“ショット”だけなので区別する必要がないからです。

②場所 

これは、ト書きに書かれている部分になります。

○(回想)アレクサンドル邸
○同・玄関ホール
○同・サロン

というふうにきっちりと書きましょう。

③時間
これは朝、昼、晩に加え朝日、夕暮れといったように1日のどの時間かを書いておきます。これは照明さんが光を作る為に必要な情報になります。

④出演者
ショットごとにどの出演者が必要かを書いていきます。

⑤部分
シナリオの何処からどの部分をそのショットで撮るかを書きます。

⑥カメラ、照明、エフェクトの指示

カメラの指示とは、引き、バストショット、アップ等に加え、ドリーやズーム等の有無について書いていきます。
照明に関しては通常は③の時間指定に含まれているので書きませんが特殊な場合のみ書き足します。例えばカット中で光が変化する場合(夕方から夜)や雨が降っている場合等に書き込みます。

これらが不明瞭な場合はコンテの意味をなしません。ということで、絵コンテ・字コンテともに必ず全ての情報を書き込みましょう。

さて、具体的にコンテを書く事で何に繋がるのか、明確に解説していきます。

なぜコンテを描くのか?以下の理由があります。

①撮影スケジュールを立てるため

 全体で何カット撮影するか、どのようなショットを撮るかを明確にする事で各カットにかかる時間、撮影日数などを計算します。長回しや、特別な機材を使えばそれだけで撮影時間は長くなります。これは、予算計算にも繋がる大事な事です。

②映画全体の完成形の形を予想するため

 現場でイメージを共有する事で仕事をスムーズにします。また、撮影後のある程度の編集の仕方が見えてきます。ですから人によっては編集マンと話し合い『きちんと絵が繋がるか?』などを話し合い、撮影のリスクを減らします。また、監督が自身でコンテを切る事で、自身のイメージの具体化に役立ちます。

③現実的に撮影が可能かを検討するため
  どんなに、凄いカットを頭に思いついても実際に撮影できなければ意味がありません。そもそも、撮影は物理的に無理な事は不可能です。その為に、経験と知識 のあるカメラマンさんと話し合い、そのアイディアが現実可能かを話し合います。さらに、難しいカットであればある程、特別な道具が必要になります。レンズ に始まりドリー、クレーン、ステディカム、CGを使いたいならグリーンスクリーン。これらは事前に準備せねばならないものの一つです。撮影当日にいきなり” こんな絵が撮りたい!”といっても、自分たちが映画で観る様なクレーン撮影も、ブレの無い絵も道具無しではカメラマンさんは撮れません。
物理的に無理なのです


さて、コンテの重要さを知った所で
絵コンテと字コンテの違い
を知りましょう。

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さて、これが絵コンテです。
見ての通り、絵によってカットの説明をします。人によってフォーマットが微妙に違います。メリットは見てすぐに理解でき、実際に撮影する絵のイメージをしやすい所です。デメリットは書くのに時間がかかる事。また、ある程度の画力が必要な事。


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これが字コンテです。(思いっきりポーランド語ですみません…)
メリットとデメリットは正に絵コンテの逆、読むのに時間がかかる上、絵のイメージを共有するのに差が生じます。しかし、書くのに時間はかかりません。

しかし、絵コンテも、字コンテも必要な情報=書く事は同じです。次回から、それぞれの詳しい書き方を解説していきます。


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