映画のメトダ

【メトダ】とはポーランド語で【方法・方式】の事です。 世界有数の映画大学であるポーランド国立ウッチ映画大学に通う筆者が学校で学んだ事、自分で実践している事などなど、映画製作に関わる事を書いています。

カテゴリ:映画の作り方【初級編】 > 撮影編【初級】実技、課題

さて、次の課題です。

課題:『return/戻る、帰る』をテーマに5カットで短編を制作しなさい。
①編集可
②ショットではなく、あくまで5カット。完成形が5カットである事。
③合計が5分を越えない事。







さて、前回の【ワンショット】の課題は学校のカメラで撮影したままで、手元の残っていませんでした。今回の課題は手元に残っているので、参考までにご紹介したいと思います。
また当時、私が講評で教授に言われた事と当時の自己分析コメントを簡単に書いていきます。
出来れば、皆さんが課題を終えた後に見て下さい。
そうすることで、自作品との比較が出来ると思います。



【1カット目】このファーストカットは評判が良くて、先生達全員が褒めてくれました。
「最初の主人公の美しいシルエットで観客の心をつかんだのは良い。シルエットは孤独や悲しみを連想する。彼女の置かれた状態を示唆する。」
また「カメラが主人公を置きざりにして動き続けるのも良い。観客は主人公を観たいが観れない。観客をより画面へと集中させる。」
「途中置かれた鏡は風景に変化を与えた。また、荷造りを見せた上で、もう一度、彼女の荷造りを手のアップで見せる事で情況を強調し彼女の意志をみせた。」と。ほぼ絶賛。
最後には「これがストーリーテーリングだ」とまで言ってもらえた。

【2カット目】前半は「通常のカット。」教授の1人から「何で彼女を座らせたの?1カット目だけで十分理解出来るよ?」との声。別の教授からは「いや、これはこれで良い。彼女の気持ちを改めてゆっくり思いめぐらす事が出来る」
でも、共通点は最初の写真の荷物を詰める所、立って考える所。その部分について「もう少しキレイにみせる事、出来なかったの?」という指摘。確かに、そこの一連の流れはあまりに平凡でつまらない流れになっている。

【3カット目】「なんで、洗面所側から撮った!?」が第一声でした。
「男側からの視点で撮る意味がない。」「今まで続いていた彼女への感情移入が途切れる」。
私としては似た様なカットを避けようと、撮ったのですが完全に裏目。撮った当初は思って無かったですが、改めて観てみると先生の言う様に、今までの流れを崩している。思い返してみると編集がしにくかったカット。正直、その編集の違和感が全てを物語っているのでしょう。

【4カット目】このカットについても特に何も言われず…。

全体を通しては高評価を頂きました。
1年生時の2回目の授業でしたので、先生の評価も甘口です。
さらに、当時の自分のコメントとか、とても恥ずかしいです…
あと『帰る』じゃ無くて『出て行く』だろ!と、テーマについて突っ込まれた記憶が…。
まだまだ、当時の私はテーマと云う物を理解出来ていなかった様です。
さて、皆さんも色々な方に見て頂いて、感想を貰いましょう。

さて、今までで皆さんは以下の事を学んできました。

①シナリオ分析の仕方
②シナリオの書き方
③脚色の仕方
④コンテの書き方

これらの蓄えた知識を使って、実際に撮影してみましょう。
撮影機材についてはこちら。
iPhoneでも全く問題ないです。
今回の課題は最初のフィクションの授業でカメラを渡されて、やる課題です。


課題:『孤独』をワンショットで表現しなさい

①何を撮影するかは自由、人物を演出しても、しなくても良い
②編集は不可
③ワンショットの長さは最長1分半とする、短くても良い

ポイント
簡単なシナリオとコンテを書いてから、撮影にのぞむ事


撮った映像は色んな方に見て頂いて『孤独』というテーマに沿っているか聞いてみましょう。
もし、観客に伝わらなければ、あなたの思っている孤独を表現する概念が間違っている事になります。
孤独を表現する為に、色々工夫してみましょう。
定期的に何回か繰り返すのもお勧めです。また、グループになって、一緒に撮影に出かけ、
1人ずつ撮影していった後に、皆でディスカッションするのもお勧めします。
ディスカッションの際は映画監督の基本【分析】と【創造】を忘れずに!
相手を攻撃するのではなく、分析に基づいた意見と、自分ならどうするかという代替案を添えましょう。
きっと、良い刺激になると思います。

さて、次の課題はこちらです

②感情を感じさせるスナップショットを撮りなさい。


スナップショットとは

”人物などの被写体を、自然な形や雰囲気の中で早撮りした写真”

のことを言います。

要するに道などを歩いていてパシャリと撮ってみるアレです。

ここでは基本の”喜怒哀楽”をベースに考えていきましょう。

このなかから、自分が写真で伝えたい感情を1つ選んで下さい。

”喜怒哀楽”を感じさせる写真ならば、人物でも風景でもかまいません。

それでは、実際街にでて、写真を撮ってきましょう。
写真は何枚撮ってもかまいません。ただし最後に1枚だけ選びます。
選ぶのは、自分の選んだテーマ=感情を最も表現できていると思うものです。

写真を選んだら、色んな人に見せましょう。
見せる時に“喜怒哀楽”のどのテーマで撮られた写真だと思うか?を必ず聞きましょう。
もし、見た人の感想と、自分の選んだテーマが同じであれば、
あなたの人に伝える為のファーストStepは成功です。

そして、次にする事は
「どうして、そう思ったか?」を聞く事です。
理由を聞く事で、他人=観客が何を見て、それらの感情を認識するのかを知るためです。

もし、自分の選んだテーマと相手が感じ取ったテーマに相違がある場合は、
なぜ相違が起こったのかを知るチャンスです。
その相違をきちんと分析し、この課題が成功するまで何度もやり直してみましょう。

ちなみに、写真を見せるのは1人ではなくなるべく多くの人に見せましょう。
10人に見せて8人程が共通認識を持てば成功です。
そして、これらの人がどういう部分に着目し、そこに共通点があるのかを知るのも大切なこの課題の役割です。
馴れてくれば、喜怒哀楽全ての感情を撮って見るのも良いでしょう。


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以下のテーマに沿って写真を撮りなさい

①映画のロケーションにふさわしい風景


さて、いよいよ実践に入ります。

道具の回で言ったカメラを持って外に出かけましょう。

今回使うのはカメラだけです。

まず課題①は課題文の通り、映画のロケーションにふさわしいと思う場所を探します。
その後に、その場所で最も絵になる場所を探します。

この課題の最も重要なポイントは編集しない事。
撮影後、トリミングや色味調整などは一切使わないこと。
これは、美しい絵を探し出すための力を養う練習です。アプリの力や編集ソフトの力は使わないようにしましょう。

特に重要なのが構図です。

写真の善し悪しは複数の要因が考えられますが、主に構図です。
構図さえバッチリであれば、ある程度、写真は上手に見えます。
この課題は、舞台を想定する能力と構図を見極める為の練習です。
何枚も、色んな角度から納得するまで撮影しましょう。

撮影での注意点は以下の事です。

①必ず横構図で撮る事。

当然ですが映画はよほど特殊な場合を除いては横長の画面になります。
その横長の構図できちんと写真を撮れる習慣をつけましょう。

例:
IMG_0838
IMGP5867

②場所が確定できないような物のアップは撮らない

あくまで場所がメインです。その場所にあるものをメインにしないで下さい。
IMGP5868
IMGP5880
IMGP5865
これらの写真は風景の一部を切り取っていますが、場所の特定がしずらく、空間を認識するのは難しいです。
ので、なるべく広い風景を切り取りましょう。

③人物は気にしない事

とりあえず、この時点では人物の配置などは気にせずに、場所の魅力を引き出す事だけ考えましょう。
例えば人物を両脇に添えて、隙間から場所が見える…
みたいなのは、意味がありません。

IMGP5876

ただし、馴れてくると、この様に人が通るのを待って撮影してみるのも良いかもしれません。

写真を撮り終わった後は家に帰って写真を整理します。
そして、一番のお気に入りを選びます。
選んだ後に、簡単にどんなシーン、どんなシュチュエーションにふさわしい場所か簡単にアイディアを書き込んでみましょう。

例えば、上のおばさんの歩いている写真だと『放課後、一人の帰り道』という風に。
少し具体的に、映画のワンシーンを想像してメモしておきましょう。

また、これらの作業は実際に映画を撮るときの素敵なロケハン資料にもなります。
きちんと整理して保存しておけば、今後大変役に立つでしょう。

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