ドヴォルザークの「レクィエム」(アンチェル/チェコpo)

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Maria Stader: soprano Sieglinde Wagner: contralto Ernst Haefliger: tenor Kim Borg: bass Prague Philharmonic Choir Markéta Kühnová Czech Philharmonic Orchestra Conductor: Karel Ančerl Recorded in 1959, at Prague (Praha)


私の多感な時代は、もう反帝反スタ(反帝国主義。反スターリニズム)だったから、1956年のフルシチョフによるスターリン批判、それに続くソ連軍ハンガリー侵攻(ハンガリー動乱)の衝撃は知りません。わずかに真継伸彦の小説「光る聲」で、当時の若者の混乱ぶりを知るくらいです。(ついでに言えば、高度成長前の日本で、貧困層に巧みに取り入って信者拡大を図っている創価学会の姿も活写しています。)

その後「人間の顔をした社会主義」を目指したチェコスロバキアは、1968年にソ連軍に蹂躙され、つかの間の「プラハの春」は潰えます。まさにその時期に在チェコ日本大使館に勤務していた春江一也の小説「プラハの春」は、甘ったるいラブ・ロマンスに彩られてはいるものの、チェコスロバキアの人々の雰囲気は伝わってきます。

この録音の指揮者カレル・アンチェルは、ナチス時代にアウシュヴィッツに収容され、家族はガス室で殺害されたものの奇跡的に生き残り、クーベリック辞任後のチェコpoを世界トップクラスのオーケストラに仕上げます。1959年にはチェコpoとともに来日公演を行い、そのときの東京体育館(!)で行われたコンサートの「売られた花嫁」序曲の激烈な演奏はNHKのアーカイブに残されて、2015年にビエロフラーヴェクとともに行われたチェコpoのコンサート映像放映時に披露されていました
ソ連軍のチェコスロバキア侵攻に抗議して、アメリカ楽旅中のアンチェルはチェコpoを辞任し、小澤征爾の公認としてトロントsoの指揮者になりますが、健康を害したようで、かつてのような活躍は見られませんでした。
かろうじてグレン・グールドと共演したベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番のスタジオ録画映像が残っていますけれども、日本公演時のエネルギッシュな姿とは程遠いものがあって、なんか辛いものがあります。
同時代に生きたものととして、元気なときの指揮姿をチェコpoとともに聞いてみたかった人です。(1973年没)

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