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アメリカの一大休日シーズンである感謝祭(11月26日)は、七面鳥を焼き、家族が集ってお祝いをするというのが慣例です。
日本でいうと、お盆と正月みたいなもので、帰省ラッシュで空港も道路も大混雑になるものですが、今年はコロナの影響で家族が集まってパーティを開くことを控えるよう保険当局からお達しが出ているようです。

そんな状況もあってか、シカゴ交響楽団では、巣ごもりで過ごす人たちのために無料のネット配信をしてくれました。

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1989年5月11~13日の三晩にわたって行われたコンサートの中から、ベートーヴェンの交響曲第5番の映像です。(収録日付は明記されていません)
残念ながら、コンサート前半のムター独奏によるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲は含まれていません。
その代わりと言ってはなんですが、映像前半は交響曲第5番のリハーサル風景と、ピアノの前に座ったショルティの解説とが含まれています。


ショルティというと、VPOとの数々のDECCA録音では、名門スーパー・オーケストラを絞り上げたという逸話が伝わっていますが、自らがシェフのCSOに対しても、かなり厳しく細かい指示を出しているのがリハーサル映像からわかります。
しかし、伝えられるライナーやベームのような、今なら立派なパワハラとなるに違いない人格攻撃とかは見られません。(カメラが入っているからかもしれませんが、多少の笑いもとっています)

そのあとのコンサートの映像を見てみますと、リハーサルでオーケストラに要求していたことが見事に反映されており、プロのオーケストラというのは、こういうものかと、改めて認識してしまいます。

ショルティの演奏というと、筋肉質のザッハリッヒな音楽というイメージが付きまといますが、第2楽章などは意外とロマンティックな響きを聞かせてくれています。
とはいえ、第3楽章、第4楽章になると、世評のイメージどおりの演奏で、強烈な推進力の力強さが、CSOの馬力ある響きで導かれています。
ただ、細かなところで、ショルティ独特のアクセントを付けているところが散見されて、わたしの勝手なイメージとは違うところには少々驚かされました。

今年はベートーヴェン・イヤーということで、色んな交響曲演奏を散々聞かされていますけれども、その中でも傑出したベートーヴェンであることは間違いありません。

バルトークの「青ひげ公の城」(ラトル/LSO) ネット映像

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今年の9~10月に予定されていたラトル/LSOの来日公演がコロナ禍のために中止になってしまいました。
その埋め合わせという意味も含んでいるのでしょう、来日公演の予定プログラムの中から、バルトークの「青ひげ公の城」を演奏会形式で収録し、Youtubeで招聘元の梶本音楽事務所が公開しています。
ただし10月25日(日)19:59までの限定公開となっています。

とても手が出せるチケット価格ではなかったので、視野のうちに入ってもいませんでしたが、改めて来日公演プログラムを眺めていると、マーラーあり、リゲティありと、なかなか意欲的な構成でした。


【プログラムA】
マーラー/交響曲第2番 ハ短調 「復活」
 ソプラノ:エルザ・ドライジグ
 メゾソプラノ:エリーザベト・クールマン
 合唱(9/29 10/3):首都圏音大合同コーラス
 合唱(10/4):関西二期会合唱団・神戸市混声合唱団・びわ湖ホール声楽アンサンブル ほか

【プログラムB】
バルトーク:管弦楽のための協奏曲
バルトーク:オペラ『青ひげ公の城』(演奏会形式上演/字幕付き)
 青ひげ公:ジェラルド・フィンリー(バリトン)
 ユディット:リナ・シャハム(メゾ・ソプラノ)

【プログラムC】
リゲティ:アトモスフェール
ワーグナー:歌劇『ローエングリン』第1幕への前奏曲
ウェーベルン:管弦楽のための6つの小品 op.6
ワーグナー:楽劇『トリスタンとイゾルデ』から前奏曲と愛の死
ブラームス:交響曲第2番 ニ長調 op.73

収録は2020年9月と表記されており、コロナ対策から、楽員間の距離をとった奇妙な並び方になっています。
奇妙といえば、プロローグが英語だったので、これは英語版かなと思っていたら、歌が始まると原語(ハンガリー語)でした。
幸い日本語字幕まで付けてくれてるので、そこも助かります。

歌手は、青ひげ公は予定されていたジェラルド・フィンリー、ユディットはリナ・シャハムではなく、カレン・カーギルという、やはりメゾ・ソプラノの方です。
ユディットは、普通ソプラノが歌うことが多く、ラトルはもう少し低い声が欲しかったのでしょうか。

そして演奏会形式とはいっても、最近見かけることが多い、簡単な舞台装置を左右に配し、その間を各部屋の曲に応じて位置を移動します。
そして中央背後には静止映像を投射するという形をとっています。

この曲は、ケルテス/LSO盤で聞き覚え、ショルティ/LPOの映像で雰囲気をようやく掴んだもので、いずれもイギリスのオーケストラによるものでした。
東欧の音楽は、ケルテスやマッケラスがいた関係でしょうか、イギリスで取り上げられることが多い気がします。

とは言っても、ラトルの導き出すバルトークは、ケルテスやマッケラス、それにショルティとは大きく異なります。
切っ先鋭いリズムを刻むのではなく、ゆったりと柔らかい響きを聞かせてロマンティックな音楽に仕上がっています。
画面上で見るオーケストラは、それほどたっぷりとした人数ではなさそうなのに、そこそこの厚みある響きを聞かせてくれていますけれども、よく見ると楽員間には透明なプラスティックの遮蔽が置かれており、録音も大変であったように思われます。

最初聞いたときは、いままで聞いてきた録音とはかなり方向が違い、民族色の薄い音楽となっていたため、違和感満載ではありましたけれども、もう一度聞き直してみると、インターナショナルになったバルトークは、こういう演奏になるのかなという気もしてきました。
ただ、ユーディットを歌うカレン・カーギルという方は、ソプラノの領域まで軽々歌いこなすクリスタ・ルートヴィッヒとは違って、やはり高いところが音域的にきつそうな感じもします。
青ひげ公のジェラルド・フィンリーは、録音のせいもあってか、やや声量に不足感はあるものの、大きな不満はありません。
その一方で、強く印象に残る個性も感じられません。

わたしの中では、こういうバルトーク演奏のスタイルもあるんだという、そんな印象です。



















レハールの「メリー・ウィドウ」(アンドリュー・デイヴィス/MET) ネット映像

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METが珍しくオペレッタを上演し、それもご贔屓アンドリュー・デイヴィス指揮というので配信映像を見てみました。

主な配役等は次のとおりです。

ハンナ・グラヴァリ(未亡人):ルネ・フレミング
ダニロ・ダニロヴィッチ伯爵(ハンナの昔の恋人):ネイサン・ガン
ヴァランシエンヌ(ミルコの妻):ケリー・オハラ
カミーユ(フランス人のヴァランシエンヌ愛人):アレック・シュレイダー
ミルコ・ツェータ男爵:トーマス・アレン

指揮:アンドリュー・デイヴィス
演出:スーザン・ストローマン
案内:ジョイス・ディドナート
2015年1月17日収録


序曲が終わり始まってびっくり、これは英語版でした。
しかも正調アメリカ英語です。(一部ブリティッシュ・アクセントの方もいますが)
ですから、広いMETの舞台で、豪華な衣装でミュージカルを見ている気分になれます。

どうやらヴァランシエンヌ役のケリー・オハラという方はブロードウェイの歌姫で、演出のスーザン・ストローマンもブロードウェイで活躍する演出家であるようです。
フレンチ・カンカンのシーンなどを見ていますと、実に豪華なミュージカルです。

しかしそうなると、ルネ・フレミングがちょっと異質に感じてきます。
声はひときわ立派なのですが、全体のアンサンブルからすると浮いてしまうのです。
難しいものです。

ご贔屓アンドリュー・デイヴィスは、オペレッタだからはしゃぐところもなく、真面目なところを見せて、無難にまとめている感じがします。
シカゴのリリック・オペラの音楽監督でもある彼に、オペラを任せずに、わざわざオペレッタを選んだのか、それをまたアンドリューが受け入れたのか、ちょっと不思議な感じもします。
せっかくサー・アンドリューのMET登場であったのですが、長く記憶に残る舞台ではなかったような気がします。

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