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ベートーヴェン:交響曲第8番(トスカニーニ、NBCso)


あまりモノラル録音を聞かないわたしですが、夢似果さんが色んなカートリッジを紹介される中で、トスカニーニのベートーヴェン交響曲第3番の第4楽章を取り上げられていました。


なかなかの力演で、リズム感も素晴らしい演奏のように聞こえたものですから、同じベートーヴェンでもあまり長くなくて、重たくない交響曲第8番を取り出してみました。
これはわたしのものではなく、娘がイタリアにいるとき買い求めたもので、自分の部屋を整理した折にわたしの棚に勝手に押し込まれていたものです。
わたしの並べ方とは異なるところにあって気づいたものの、なにせイタリアのCDということでずっと放置していたものです。
実際に取り出してしげしげ見てみるとBMGのロゴが入って、Made in Germanyとなっていたので、一度くらい聞いてみるかとなった次第です。

1952年11月10日カーネギー・ホール録音となっていますが、あとはイタリア語しか書かれていないので、わたしはさっぱりわかりません。
第1楽章が鳴り始めた途端、わたしの耳には違和感が充満します。
多くのNBCのトスカニーニ録音独特の、直接音を主体としたオーケストラの響きです。
ホール・トーンはほとんどなくて、個々の楽器が次々と目の前に出てきて奏されている気分になります。
わかりやすく言うと、ビッグ・バンドで、ソロ・パートになると立ち上がって演奏を始める、あの感じです。
若い頃はSP世代の方々の中にトスカニーニを推奨されることがあったのですが、もうステレオの音場で育ったわたしには高価なLPを買ってまで聞く対象とはなり得ませんでした。

しかしモノラルをステレオと同じように聞く夢似果さんはじめ、ブログ上のお付き合いが増えるにつれて、わたしも徐々にモノラル録音も聞くようになり、加えて一時期の円高効果もあって輸入盤が信じられない廉価で聞くことができるようになって、棚に並ぶモノラル盤も少しは増えてきました。

そうした効果もあったのでしょうか、最初の違和感も聞き進むと徐々に薄れていきます。
むしろこの力強い躍動感は、耳に刷り込んだ60年代カラヤン盤(DG)に近いものを感じます。
カラヤンの演奏スタイルに関し、トスカニーニの強い影響に言及するものを多く見かけますが、それを実感するところがあります。

第2楽章も愛らしいリズムをテンポよく刻みつつも、同時に鳴らすところではかなり力強い響きを聞かせてくれますが、大げさに感じるものではありません。

第3楽章で印象に残ったのは木管楽器もさることながら、トランペットの鳴らし方です。
一瞬、ここではベートーヴェンでありながらイタリア・オペラ風味をわたしは感じてしまいました。
ちょっと颯爽とした粋がった吹き方なのです。

第4楽章は、第1楽章同様、極めてエネルギッシュな音楽に仕上げてきています。
それでいて爆演風ではなくて、メリハリをきちんとつけてきます。
それが、場合によっては堅苦しく感じるところもあります。

この録音を聞いてみて、トスカニーニのうしろにはカラヤンがつながっているということを、自分なりに感じ取ることができたのが大きな収穫です。