2018年06月14日

弓と剣




読書が好きな黒紳士。特に小説を読むことが多い。


読書や映画が好きなのは、自分が作品の主人公になりきってその世界に没入し、疑似体験ができるからだ。よって感情移入をしやすい作品や主人公だったら、自分が冒険や事件の体験をしたことになる。面白い作品だったら、つまらない日常から開放され高揚感や達成感に浸ることができる。だから読書はやめられない。


バイトの勤務開始までまだ間があるので、足繁く図書館に通っている。家から近い市立明徳図書館(流行りのネーミングライツで北都ライブラリーというらしいが、誰もそんな名前では呼ばない)に行くことが多いのだが、明徳館は新書や話題の作品が書棚に並ぶことが少なく、ちょっとガッカリ図書館だ。


先日、気が向いて新屋図書館に行ってみた。新屋地区へは秋田大橋を渡っていくのだが、車で渡るならなんともないが、歩きや自転車で渡るとちょっとしたスリルを味わうことになる。大橋というくらいだから結構長い橋で、橋の欄干も低く、橋の半ばくらいから雄物川を望むと高所恐怖症の人にはスリリングな眺望が広がっている。実際、川面から橋まで高さもかなりあり、野趣溢れるロケーションになっている。


風も強く、自転車を漕ぎながら被っていたキャップが飛ばされないかヒヤヒヤした。橋上はいつも強風が吹いているので、自転車で走っていて風に煽られることも少なくない。もう少し風よけ対策として防風壁を高くするとか防風ネットを設置してほしいところだ。大橋をヒーヒーいいながら新屋側に渡ると美術大学の建物が見えてくる。新屋図書館はその一角にある。


新屋図書館は新しめの建物で、内装もとてもきれいな図書館だ。雑誌類の種類が多く、明徳館よりも総じてセンスが高く、黒紳士内ではグレードが高い。小説類は数では劣っているが、読みたいような本が多い。いつものように、その日に読みたい本を作家別に分類された書架を周って選ぶ。図書館だから本を借りて家で読めばいいのだが、借りて行ってしまうと、本を読むという義務が発生してしまう。


自分は読みたい時に本を読みたいので、本を借りることはしない。これはDVDやBlue-rayの映画ソフトにも共通する。映画も観たい時に観たいのでレンタルショップは利用しない。ただ単に借りる手続きが面倒ということもあるが。


書架を周っていると、綾辻行人の館シリーズを発見。綾辻行人さんの作品は「殺人鬼」シリーズや〇〇館の殺人など、ミステリー系が好きだ。密室や辺鄙な洋館で繰り広げられる推理ミステリー。「今日はこれを読もうかな?」と思ったが如何せん、上・下刊に分かれ、厚みがかなりあった。黒紳士の図書館での平均滞在時間は2~3時間なので、とても読み切れる作品ではない。


やって来るだけで疲れる新屋図書館。(大橋を渡るのがネックなのだ)次はいつ訪れるか分からない。「読みたいのは山々だが、こいつは止めておこう」と密室洋館ミステリーは却下。読む本の選定に戻る。


で、手にとったのが淳Aさんの「弓と剣」。むむ、今流行りのライトノベルというやつか?作者の名前も聞いたことがない。表紙の装丁イラストからしてファンタジーっぽい。取り敢えず、読んでみるか。


あらすじは、


とある貴族のおちこぼれ三男が北の原野を旅していた。素直で天然な青年の名はサダ。若き日に憧れた稀代の剣士・リイが所属する北軍に入隊するためだった。 その道中、巨大なオークたちが襲いかかる。絶体絶命の危機を救うため、現れたのはリイ率いる北軍――だが、サダはたった一人、自慢の弓で六頭ものオークを全滅させた! これが後世に語り継がれる「六頭殺しの若」サダと、「北の猛虎」リイの出会い――「弓と剣」伝説の始まりだった。 荒涼とした北の地に息づく家族や軍人の想い。将来を夢見る青年たちの絆。緻密なドラマと世界観に胸が熱くなる本格ファンタジー!         Amazon紹介文より



感想は、


「とても面白かった!」ライトノベルのように文章が軽妙かつセンスが良くて、ストーリー展開のテンポが良い!登場する人物も個性的で、主人公ヴィジャヤン・サダは現代日本のどこにでも居そうな若者だがどこか憎めない愛嬌がある。ヴィジャヤン伯爵家の三男だが、貴族の家で育った割には気取ったところが無く、素直で能天気な愛すべきキャラクターだった。


ヒロイック・ファンタジーに分類されるこの作品だが、モンスターや魔法が飛び交うような話では無く、皇国内の内紛を巡る軍隊群像劇といったところか。(まだ全編を読了してはいないので、違ってたらごめんなさい)話もサダの視点から語られる他にサブキャラクターの視点で語られる話も挿入されていて面白い。


だが、なんといってもサダ視点の話がいちばん魅力的で、本人が「自分は大したことがない」「自分は取り柄のない只の三男坊だ」と思っていても他のキャラクター視点の話になると「若は本当に凄い奴だ!」となる対比が面白い。登場するサブキャラクター達も、気のいい人物が多い。従者のトビや補佐のマッギニスなど怜悧で有能なキャラにサダが腰が引けるのもウケる。



タイトルになっている弓はサダのことで、剣はサダが師範と呼び、北軍入隊のきっかけとなった敬愛するリイ・タケオ大隊長(現時点でタケオが大隊長になったところまで読んでいる)のこと。主人公の得意スキルに弓をクローズアップしたのもイカしている。この弓と剣と呼ばれるようになった二人の英雄の冒険を描いたのが、たまたま図書館で手にとったこの本だった。



新屋図書館には1巻と2巻があり、1巻を読了してその日は帰った。通常、手にとった本を読了して帰ることは無く、200ページくらい読んで脳内栞を入れて帰ることが常だった。しかし、久々にファンタジーもので面白い作品に巡り会えて、とてもラッキーだった。次の土曜日も2巻を読みに新屋へ通った。2巻も即日、読了してしまった。



帰宅してWebで調べてみると、この作品はもともとWebで公開されていたことを知った。






「おぉ、Webで続きが無料で読めるんだ。とてもラッキー!!」今までWebで小説を読むことは無かった。ディスプレイで小さなフォントを追うのは苦痛だと思っていた。「本は手にとって読むものだ」と固定観念を持っていたが、作品の面白さにその考えを覆された。便利な世の中になったものだ。



ということは、この作者の淳Aさんは職業小説家さんではないのか?「小説家になろう」というサイトに投稿されている作品らしい。ノン・プロなのに、ここまで面白い作品を執筆出来るなんて、凄い人がいるものだ。「文章というものは、難しい比喩や慣用句、文法を駆使しなくても、面白い文章を書くことが出来るんだなぁ~」と感心してしまった。



メガネを使用し、小さなフォントを拡大してノートPCに向かってこの作品を読んでいる黒紳士。眼には悪いことは確かだが、「好きなものは体に悪い」ことが多いのが世の常。



あまり読み進んでしまうと後の楽しみが少なくなってしまうので、弓剣ジャンキーにならない程度に楽しむことにしよう。



今日の一曲は、黒紳士がこの作品をイメージした曲。










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2018年06月03日

新ベストプレープロ野球



カレンダーは6月になった。


1年も半分を過ぎたということだ。月日の経つのがなんとも早いこと!この半年間を振り返ってみると、悲しいかなほとんど仕事に就けていないという惨憺たる有様だ。_| ̄|○


アテにしていた派遣会社がまったく機能していないのが大きい。古くから付き合いのあるM社からはオファーが全然ない。これは担当が替わったからか。前任の支店長兼営業担当のM氏は転勤になったらしい。その辺の引き継ぎで登録者にも一言挨拶があっても良さそうなものだが。派遣案件をWebで見つけて応募してみるが、反応はなし。


「ハロワ経由の求人よりも敷居が低い」という理由で派遣会社を利用してはいるが、派遣会社の中にも登録者の序列があるようで、高スペックな登録者は優遇され紹介案件も多いが、黒紳士のような中年オジさんは「体力仕事要員」としてしか見られていないのが悲しい。


それでも何とか自力で見つけた期間アルバイトに応募。6月半ばから12月くらいまでの外作業。現場が自宅から歩いていける近場であるのが魅力だった。出来れば、正社員求人に応募したいのが本音だが、応募したい求人も無いし応募しても書類が返ってくるので仕方がない。


速攻でハロワから紹介状をもらい書類を送った。数日後、電話連絡が来て面接をしてもらえることになった。指定の時間よりも15分くらい早く着いたが、事業所を訪ねていくと待たされることなくすぐに面接が始まった。面接官は50代くらいの事務職風な女性と作業着を着た現場担当者と思われる中年男性。


アルバイト職なので「ドギツい質問はないだろう」と想定していたとおり、作業に関する説明や体調や既往症・通院の有無といったフランクな面接だった。10分くらいで終了し、即決で使ってもらえることになった。ただ、この日は5月の第4週。アルバイト開始まではひと月くらい待たなければならないのだ。


正直、「すぐにでも働きたい」のが本音なのだが、期間の短さ以外にウィーク・ポイントの見つからないこの仕事を逃すのは、打率の低い黒紳士にしてみればリスクが大きい。「何か即戦力になる資格を取って次に繋げる」という学習期間に充てるためにもこのアルバイトに通うことにした。


さて、準備期間があり過ぎる間、何をしよう?ハロワ詣でをしなくなって暇を持て余すようになった。取り敢えず、図書館で時間を潰すのをメインとして(黒紳士は読書好きなので、その気になれば図書館に住み込めるほど小説を読むのが大好きなのだ)家の中では何をしようか?


そこで思い出したのが、「ベストプレープロ野球」


知る人ぞ知る、野球シミュレーションゲームだ。


ファミスタやパワプロなどの選手を操作して打ったり走ったりする野球アクションゲームではなくて、コントローラーはあるが選手を駒のように動かしてバントやエンドランなどの作戦で勝負するシミュレーションを楽しむゲームだ。以前、中古屋でPS2用のソフトを偶然に入手していた。以来、暇が出来ると遊んでいた。



   




ゲームは動画のような感じ。プレイヤーはチームの監督になり、スターティングオーダーを決めたり、先発投手を決めたりして後は選手が自由にプレイするのを見守るだけ。攻撃時だったら、盗塁のサインを出したりバントさせたり、エンドラン、の指示を出す。守備側だったら、守備位置や(前進守備・中間守備、長打警戒の三種類しか無いが)ランナーが出たら盗塁警戒や強打者が打席なら長打警戒などのサインを出せる。


このゲームの特筆すべき点は、選手やチームのデータをプレイヤーが修正できるので、オリジナルチームを作ったり、1985年に猛打を誇って日本一になった阪神タイガースを再現できたりするところ。


選手データはS~Eまであって、Sがメジャーリーガークラス。Eが最低の数値。素人に毛が生えたくらいか。読売巨人の坂本勇人選手をデータで再現してみると、


      投 打 タ 捕123遊外 肩足眼実ス巧長 信頼 対左打撃
坂本勇人6  R     R    S                  A        A B B B B B B      +1 ー 300 


という感じ。坂本勇人選手は右投げ右打ちの中距離ヒッターで、クリーンアップを打つこともある得点圏打率が高いクラッチヒッター(チャンスに強い)。守備も遊撃手として、ゴールデングラブ賞を受賞するなど高い技術を持っているのでAをつける。もともとこの選手は内角打ちが上手く、若い頃は引っ張り(P)タイプだったが、首位打者を獲得した前後から広角打法(S)にモデルチェンジしてきた。


盗塁も1シーズンに10~20くらいするのではB。巧打力はマニュアルによると「バットにボールを当てる巧さ。エンドランや三振数等に影響する」とある。他にバントの成功率にも影響する。右打ちが巧くなってきた坂本選手なのでBにした。


打力はSにすると35本以上。A~30本前後。B~20本。というような感じ。これにスタミナの要素やボールの反発係数も設定出来るので、それによっても変わってくる。坂本選手は以前は30本のホームランを打ったことがあるが、右中間・左中間が狭い東京ドームでも近年では14~15本くらいで推移している。だからB。広角打法にスタイルを変えたことで確実性と打率がアップしたと思われる。


打者ではもうひとり、ソフトバンクホークスの柳田悠岐選手を再現してみると、


      投 打 タ 捕123遊外 肩足眼実ス巧長 信頼 対左打撃
柳田悠岐9  R   L    P                        A  A B B B A D A     +2 -1 310



くらいか。実際のパ・リーグ打撃成績を見てみると、柳田悠岐選手はもっと数字が上だが、あまり能力を高くし過ぎてしまうと、ゲームバランスが崩れてしまう。スタミナAと長打力Aでシーズン35本塁打くらいを想定。柳田選手はフォアボールで歩かされるケースも多いが、長打力Aでランナーがいるとコンピューターは敬遠気味のフォアボール策をとってくるのではB。これくらいでいいはず。


選球をAとしてしまうと、それこそ手がつけられないバッターになってしまうので、Bとした。三振も多いバッター(2017年は123個)なので。柳田選手はホークスの得点源なので信頼(得点圏打率)を+2のチャンスに強いバッターにした。対左というのは左バッターが左投手に対した時の数値。左投手を苦にしない左バッターは-1にする。


一方の投手のデータを見てみると、


試しに楽天イーグルスの則本昂大投手を作ってみると、


      投法 打 タイプ 球速  切制安質術ス 回復 指数
則本昂大14 RO  L B+  148   SBBBCA  22  200


くらいか。則本投手は開幕投手も務めた楽天イーグルスのエースピッチャー。ストレートが早いピッチャーなので平均球速は148kmにする。タイプは速球にフォークボールがあるので、B+。そのフォークボールで三振を多く取るので変化球の切れはS。タミナも完投能力があるのでA。則本投手はパ・リーグの投手なので打席に立つことはないが、右投げ左打ちなので打席はL。


とは投球術のことで打者を打たせて取る技術のこと。タイプ的に昔の桑田真澄投手はAになる。則本投手はタイプ的にパワーピッチャーなので、平均値のCにした。尤も、エースクラスのピッチャーだからBでもいいような気がするが、148kmの球速にするとそれだけでバッターに対した時に奪三振率が上がるので打たれ辛くなるのでバランスをとってCにした。


もうひとりピッチャーの例を挙げると、
千葉ロッテマリーンズの涌井投手を再現してみる


      投法 打 タイプ 球速  切制安質術ス 回復 指数
涌井秀章16 RO  R A+  142   BBCCAA  22  200


くらいか。マリーンズファンには申し訳ないが、涌井投手は定感がCくらい。安定感とは登板する時の調子のことで、Cだと調子が良かったり悪かったり。イメージ的に好不調の波がある投手のように思う。


球種が多いピッチャーなのでタイプはA+。球速はスピードガンが出ても140km中盤くらいなので平均値142km。イメージ的に三振を多くとるというよりは、打たせて取る技術に長けたピッチャーなので、変化球の切れはBとした。とは球質のことで、ZOZOマリンスタジアムは広いとは言え2017年の涌井投手の被本塁打数(ホームランを打たれた数)は20本なのでC。Dでもいいくらいだが。投球術はさすがのA。


投手のタイプとはS~Eで表すのではなく、投手のタイプ別に


A 本格派投手やルーキーピッチャー。基本的に速球とカーブで勝負する。チェンジアップを投げない  楽天・岸投手や阪神タイガースのメッセンジャー投手が近いか。国鉄の金田投手が最も近いか。

A+上記のAに落ちる球種を加えたタイプ。他に、球種の多いピッチャーもこのタイプ。


B 速球派投手。ストレートとスライダーが武器。オリックス・バファローズの近藤大介投手か。
 (BS中継を観ていたらストレートしか投げていなかった)

B+上記のBにフォーク系の落ちるボールを加えたタイプ。このタイプの投手が今、NPBには多い。
  クローザーを務める投手にも多い。

C スライダーやシュートなど、内外角に投げ分ける技巧派タイプ。昔で言うところの広島カープの
  北別府学投手。

D 軟投派。ストレートは少なく、変化球をメインに多投するタイプ。


凝り性な黒紳士は、本屋で2018年度プロ野球選手名鑑を買ってきて実在プロ野球球団のデータを作成してペナントを楽しんでいる。最近の選手名鑑には、投手の変化球を投げる割合や、バッターの打球方向がデータとして載っているので助かる。


だが、名鑑だけでは追いきれない選手も多いので、(ルーキーや新外国人などデータが無い選手)補足するためにBSでプロ野球中継がある時にはプロ野球球団のスカウトのような視線で中継も観ている。リアルにプロ野球を再現出来るこのゲームなのだが、最近、少しづつ現れてきたカットボール(スライダーより球速が早く変化が小さい)を投げる投手や広角打法でもホームランを打てるバッター(広角にすると打率は上がるが、ホームランは少なめになる傾向がある)の再現が難しい。


今回は恐ろしく趣味の話になってしまったが、NPBは交流戦の真っ只中。我が贔屓のチームは調子が悪く、監督目線になりながら「あ~だ、こ~だ」言いたいのを我慢して中継を観戦している。


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2018年05月24日

Money Ball



5月も半ばを過ぎた。前職で、まさかの4日間での退職以来、毎日仕事を探しているがなかなか面接までたどりつけない。秋田はド田舎だから、「仕事がない」「ブラック事業所ばかり」「40も半ばを過ぎると雇ってもらえない」という要因から仕事さがしは難航している。


前述の速攻退職した職場から連絡が来たと思ったら、「先日振り込まれた4日分の給料から社会保険料を控除し忘れたから差額分を返納して欲しい」という言語道断な依頼だった。既に4日分の給料など使い切っているのに。


これにはさすがにカチンときた。控除し忘れは明らかに向こうの不手際である。今更、「返納してよこせ!」などとよく言えたものである。さらには連絡をよこしたのは臨時職員で、当該業務担当者の正規職員が連絡をよこすのが筋だろう。相手は公的機関なのでこちらがごねても事態は進展しないので、「振込用紙を送る」という旨を了承した。まったく、気分が悪い。


こんな塩対応をする馬鹿職場、辞めて正解だった。


嫌な気分を払拭するため、夜にBS7で放送されていた映画「Money Ball」を鑑賞した。


実在するメジャーリーグ球団、オークランド・アスレチックスでGMを勤めるビリー・ビーンというGMのことを描いた作品だった。アスレチックスと言えば、緑地黄色いツバの黒紳士的には超格好いいキャップのチーム。盗塁王リッキー・ヘンダーソンや筋骨隆々なホームランバッター、マーク・マクガイアを擁したチーム。このへんの選手は昔、ファミスタでメジャーチームのMチームに出てきた有名選手だ。


さらにはハロルド作石氏の漫画「ストッパー毒島」の所属チーム、京浜アスレチックスのモデルになった実在球団だ。京浜アスレチックスも本家のように貧乏弱小球団で、破天荒なクローザー投手毒島とクセのあるチームメイト達の軌跡のペナント奪取を描いた黒紳士の大好きなプロ野球漫画だ。


京浜A’s(アスレチックス)は架空のチームだが、漫画には実在のパ・リーグ球団が登場する。球団のマスコットはチックくんと呼ばれ、マスコットなのにファンには無愛想という名物キャラだ。当時はまだ、人気のセ・リーグ。実力のパ・リーグと言われていた時期で、パ・リーグ弱小球団の悲哀が感じられる作品だ。


他にもA’sが与えた影響としては、現行のオリックスバファローズのキャップのロゴマークもオークランド・アスレチックスのA’sを模倣していると思われる。バファローズはB’sマーク。(オリックスファンには申し訳ないが、限りなくパクリに近い)


肝心の映画のあらすじは、


ビリー・ビーンは、かつて超高校級選手としてニューヨーク・メッツからドラフト1巡目指名を受けたスター候補生だった。スカウトの言葉を信じ、名門スタンフォード大学の奨学生の権利を蹴ってまでプロの道を選んだビーンだったが、鳴かず飛ばずの日々を過ごし、さまざまな球団を転々としたのち現役を引退。スカウトに転身し、第二の野球人生を歩み始める。

2001年のディビジョンシリーズで、オークランド・アスレチックスはニューヨーク・ヤンキースに敗れ、オフにはスター選手であるジョニー・デイモン、ジェイソン・ジアンビ、ジェイソン・イズリングハウゼンの3選手のフリーエージェント移籍が確定的となった。この時アスレチックスのGMに就任していたビーンは、2002年シーズンに向けて戦力を整えるべく補強資金を求めるも、スモールマーケットのオークランドを本拠地とし、資金に余裕の無いオーナーの返事はつれない。

ある日、トレード交渉のためにクリーブランド・インディアンスのオフィスを訪れたビーンは、イエール大学卒業のスタッフ、ピーター・ブランドに出会う。ブランドは各種統計から選手を客観的に評価する『セイバーメトリクス』を用いて、他のスカウトとは違う尺度で選手を評価していた。ブランドの理論に興味を抱いたビーンは、その理論をあまり公にできず肩身の狭い思いをしていた彼を自身の補佐として引き抜き、他球団からは評価されていない埋もれた戦力を発掘し、低予算でチームを改革しようと試みる。     Wikipediaより



感想は、


野球好きな自分としては、とても面白かった。何より、事実に基づきあまり脚色をせずに丁寧に作られた作品だった。ちょくちょくAL(アメリカン・リーグ)の地区優勝決定戦に駒を進めていたA’sだったが、その裏ではこんな苦労があったとは、知らなかった。やはり「プロスポーツチームの運営には莫大な資金力が必要なのだな」と感じた。


判官びいきではないが、裕福な金満チームよりも貧乏な弱小チームをつい、応援したくなる。ビーンがチームマネジメントに応用した「セイバーメトリクス」はよく耳にする理論だったが、今ではMLBでも
活用するチームが多い。かの老舗人気球団、ボストン・レッドソックスもセイバーメトリクスを活用し、常勝チームを作り上げた。


日本人選手も積極的に登用。岡島秀樹投手、松坂大輔投手、上原浩治投手や田澤純一投手もデータ活用を重視するレッドソックスの方針で活躍の場が与えられた。他にも打者では出塁率が高いということで見出され、主力打者として活躍したデイビット・オルティーズが記憶に新しいところ。


こうして見ると、隠れた才能を持った選手や一芸に秀でた選手、周りからはあまり評価されない選手の能力を数値化することで、適材適所として活用出来るこのセイバーメトリクスはまさに画期的と言える。しかし、古くからの慣習や既成概念、既得権益にとらわれた人々にとっては、「はいそうですか」と受け入れることが出来ない改革だった。


マネーボールとは「不公平なゲームに勝利する技術」と言う意味があるそうだ。かつて南海ホークスで選手として、ヤクルトスワローズや阪神タイガース、楽天イーグルスの監督として活躍した野村克也氏もデータを活用した。野村氏曰く「弱者の兵法」とかにも通ずるものがある。


人材マネジメントとしてこの理論を求人採用にも応用できないものか?だいたい凝り固まった古い形式の字面だけ多い履歴書を見て、相手に何が伝わる?企業は求人採用に至ってはインターンシップのようなお試し期間を設けて、応募者を検討すればいいのだ。


応募者だって、お試し期間中に応募先の良いところ、悪いところが分かる。求人応募なんて実際に働いてみなければ活躍できるかどうかは分からないのだ。旧態依然(採用担当者による応募者の選り好み、これが大きいと思う)とした採用活動を続けていけば、少子化による労働力人口の減少に歯止めはかからないと思う。


話しがそれてしまった。映画ではマネーボールが浸透するまでA’sは苦戦する。アスレチックスの古株スカウト陣や試合の陣頭指揮をとる監督が懐疑的だったからだ。自身の進退問題にまで追い詰められるビリーだったが、セイバーメトリクス理論は正しかった。徐々に機能し始めたチームは20連勝を遂げる。だが、それでもワールドシリーズ進出は達成出来なかった。


2002年オフ。ビリーのもとに名門レッド・ソックスから連絡が入る。セイバーメトリクスの有用性を感じたボストンは、破格の条件でビリーをGMに迎えようとA’sからヘッドハンティングしようと手を打ってきたのだ。年俸はなんと1,250万ドル!


ビリーの選択が注目されたが、結局ビリーはA’sの残ることにした。ビリー自身がプロ入りの際、契約金に目が眩み大学進学を蹴ってプロ入りした。金を選んだために人生を棒に振ってしまった(野球選手として大成できなかったこと)過ちを繰り返したくないという理由から。


黒紳士だったら、ボストンの破格オファーにほいほいと乗ってしまうところだろう。潤沢な資金を持ち栄光と歴史のある人気球団の誘いを断るなんて、よほどの信念を持っていない限り無理だろう。そこが凡人とビリーの違いか。


ビリーは、A’sがワールドシリーズに勝利し、世界一になってこそマネーボールの達成だと考えているのではないだろうか。ボストンで優勝出来たとしてもビリーにとっては本当の勝利ではないのかもしれない。今季のAL西地区でA’s は現在5位。同じ地区には大谷翔平擁するエンジェルスもある。


いつか本場アメリカでアスレチックスの試合を観戦出来る日が来るといいな。






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