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2018年07月08日

クリムゾンの迷宮




7月になった。サッカーのワールドカップも日本代表はグループリーグを勝ち抜けたものの、ベスト16止まりとなり、一気にワールドカップへの興味も薄れつつある。残っている各国代表チームへは思い入れも無いし、今回のロシア大会は時差の関係から、試合時間が深夜になり、生中継での観戦は難しいからだ。


6月の半ばから通い始めたアルバイトの現場にも、徐々に慣れてきつつあった。アルバイトは主に土木作業なので天候に左右される事が多く、小雨が降ると待機時間になる。そういった時は外の喫煙所などで空を見上げながら、雲の行方を気にかけたりする。


いつ再開するか分からない晴れ待ち時間、同僚達は話をしたり自分のスペースに寝がまったり(ながまる:秋田弁で寝っ転がる)煙草を吸ったりしている。自分は他の人と長々とフリートークをするのは苦手なので(すぐに話題が尽きるし、他者の話に相槌を打つのも案外疲れるから)文庫本を取り出して読書をしている。


最初に読破したのが貴志祐介氏の「クリムゾンの迷宮」これは一度、図書館で読了したことがあった作品だったが、◯OOKOFFで100円だったので買い込んでおいたものだった。貴志祐介氏の作品は「硝子のハンマー」や「黒い家」「悪の教典」などを読了しており、最近も図書館で読んだ「ダークゾーン」もなかなか面白かった。


貴志氏の作風は「ソリッド・シチュエーション・スリラー」に近いものがあると思う。限られた状況下にある人間の極限の状態を現した物語が多い。(貴志氏の全作品を読了はしていないので、違っていたらごめんなさい)


クリムゾンの迷宮のあらすじは、



藤木芳彦は、この世のものとは思えない異様な光景のなかで目覚めた。視界一面を、深紅色に濡れ光る奇岩の連なりが覆っている。ここはどこなんだ? 傍らに置かれた携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された……」それは、血で血を洗う凄惨なゼロサム・ゲームの始まりだった。『黒い家』で圧倒的な評価を得た著者が、綿密な取材と斬新な着想で、日本ホラー界の新たな地平を切り拓く、傑作長編。:Googleブックスより



主人公の藤木が目を覚ますと、火星のような風景の土地に連れ去られていた。どうしてここにやって来たのかまるで記憶がない。ふと、傍らにあった携帯ゲーム機からこれがサバイバル・ゲームであることを告げられる。同じ様に集められた他のメンバーとこの不条理ゲームを戦い抜くことになる。


まるで映画「SAW」や「CUBE」のように、謎を解いたりアイテムを手に入れたり仲間と共闘したり対立したり野生の脅威にさらされたりしながら、ゴール=勝利を目指していくという話。


感想は、まぁまぁ面白かった。作中に出てくるゲームブックに話をなぞらえてストーリーが進んでいくので、少し話の展開が制限されてしまった様に思うところが残念なところ。謎解きも主人公の藤木が解決してしまうので、読者に考えさせるような要素があっても良かったような。アイテム類にしても、本当に重要なアイテムは僅かで、活用されないものが多かったように思う。


後日談にしても、「何のためのゲームだったのか?」「パートナーはどうなったのか?再び相まみえることが出来るのか?」と多くの謎が残り、いまいち勝利の余韻に浸ることが出来ない。主人公の独白で説明はあるものの、明確な答えが示されない。敢えてこのモヤモヤ感が残るエンディングにしたのだろうか。


最終ページには作中に出てくるゲームブックのトゥルーエンド(最も幸せなエンド)が引用されている。願わくば、主人公とパートナーがこのエンドのようになって欲しい。なるように希望の持てる最終ページなのかもしれない。


自分だったら、このゲームに参加させられたら、最初の選択肢で詰んでいただろう。もっとサバイバル技術を磨きたいと切に思う黒紳士だった。




 





gwabomb at 09:35│Comments(0)読書感想 | 仕事

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