9月も半ばになり、暢気な黒紳士にも危機感や焦燥感が現れはじめた。


毎日、午前・午後ともハロワに赴き求人検索は行ってはいるものの、ベテラン求職者の黒紳士。ちょっとやそっとの求人案件には目もくれない。別に高望みをしている訳ではない。これだけ長い間求職活動をしてきた経験から、パッと求人票を見ただけでその求人企業のランクが分かるのだ。


某大型インターネット掲示板の転職スレッドに書き込まれているような、黒色求人企業は論外。書かれていることが眉唾ものだったとしても「火のないところに煙は立たない」ではないが、従業員の不平不満が蔓延しているような企業に入ったところで、長続きするはずがない。そういった会社に従事する人を「社畜」と冷めた目で見てしまう。我慢をしながら働いているのは尊いことだが、それが原因で身体を壊したり、精神を病んでしまっては本末転倒だ。人は会社の為に生きているのではない。自分の為に生きているのだ。


先日、新聞に他県の企業だったが、労働基準監督署から長時間残業の是正を何度も勧告されていた運輸会社が「改善に踏み切らない」という理由から、実名公表されていた。これは喝采モノだ。会社の利益だけを追求し、労働環境や人的環境を蔑ろにして従業員にばかりに辛い目にあわせる経営者。海外企業に比べ、日本の企業は時間あたりの生産性が低いとネットのコラムで報じられていた。従来のやり方をそのまま踏襲しても生産性は上がらないのだ。無駄や効率を考えてコストパフォーマンスを上げて行かなければ収益は向上しない。


「グローバルだのワールド・スタンダードだの今、流行りの横文字に踊らされている思慮分別の足りない、企業トップは猛省しろ!」と言いたい。少子高齢化の進む日本社会はこれから労働力人口不足が加速していく。それでもこれまでは勤勉日本人従業員達のたゆまぬ努力で何とかなってきた。


だがそれも破綻状態。かの流通大手、◯マト運輸では、インターネット通販最大手◯マゾンの時間指定配達を請け負っていたが、流通量の増大から現場の配達が追いつかずシステムが崩壊した。ドライバー不足や再配達制度の効率の悪さが足を引っ張り、現場の不満は限界に達した。それに伴い、◯マゾンから撤退し、一部時間指定配達を取りやめることになった。


まぁ、こういった事は首都圏中心の話しなので、田舎にいてもあまり実感することではないが。


あまりのハロワ求人の代わり映えのなさに、業を煮やした黒紳士。あまり乗り気ではなかったが、人材派遣会社に登録することにした。考えてみれば、こいつら人材派遣会社が労働者達から正社員登用の道を奪っている元凶なのだ。構造改革や規制緩和という劇薬を使って踏み込んではいけない聖域をぶっ壊した元某総理大臣と◯中平蔵は未だに大嫌いだ。


派遣会社は毒ではあるが、毒も使いようによっては薬になる。今ではどこの派遣会社もWebから登録が出来るので、暇な時間に2社ほど登録をした。元々、M社には前から登録していたが、この会社、とても対応が杜撰で大手のクセにまったくあてにならない。まぁ、登録者のグレードというか格付けで黒紳士は大して仕事が出来ないとランク付けされているのだろう、仕方がないか。


派遣会社をハシゴすることにより、各社の競争意識を煽ろうと思ったのが狙いだ。とはいえ田舎のことなので、被っている案件があるのが、こちらからしてみれば「一番良い対応というか、誠意を見せてくれたところの仕事に応じてやろう」と思うのが人情というもの。


今日は午前にA社の登録があり、A社の秋田支社に訪問してスキルチェックをすることになっていた。「Webで全部、済ませてくれよ」というのが本心だが、Webからのスキルチェックはシステムがバグっていて行うことが出来なかった。実際、面談することによりA社の担当にも細かいニュアンスが伝わるだろう。幸い、A社秋田支社は家から近いので、面倒ながらも暇つぶしに赴いた。


出迎えたのは若くはなさそうな女性。最初にPCブースで「派遣とは何ぞや」のビデオを見せられ、その後スキルチェックをすることになった。PCはDELLのデスクトップだったが、キーボードのスペースキーが変な形をしている気持ち悪いキーボードだった。キーストロークも感触が悪く「何じゃこりゃ。こんな変態チックなキーボードを使用させるとは趣味が悪い」とタイピングチェックの出来は諦め加減になった。


3種類くらいのPCを使ったテストをやらされた。適正チェックでは「はい・いいえ・どちらでもない」の3択から選ぶ性格テストで50問以上あった。この手のテストは嘘を選ぶと後で整合性が取れなくなるので「どう思われてもいいや」と本心の答えを選んでいった。結果をみると「社交性のあるコミュニケーション能力の高い性格」と出た。


その後、応接ブースに移り先程出迎えてくれた女性と面談になった。簡単な経歴を聞かれ、都度答えるのも面倒なので、持参した職務経歴書を提出し「不明点はそれを見て下さい」と進呈した。他社からも紹介されて案件を「こちらなど、どうでしょうか?必要なスキルもお持ちのようですし、おすすめですよ」と紹介された。


その案件はハロワでも見ていたもので、条件は普通。仕事はほぼ内勤のようだったが、ある事業所の一部の業務を請け負っている会社への派遣で、AのところへBが行って仕事をするのだが、それに派遣のCが加わるととてもややこしくなる。AへのCからの派遣が普通だが、Bへの派遣なので何かあった時の責任問題というか、指示命令系統が大変ややこしい。だったら、はじめからBを受ければいいことで派遣で応募する意味は薄い。


丁重に断ってまずは、初回の顔見せは終了した。面談中に「他社へも登録している。良い派遣があれば他社から就業するかもしれない」と3又を掛けていることを話した。これに奮起して、お宝案件を回してくれれば良いのだが。


ハロワ求人に本命が無い以上、派遣求人も視野に入れて転職活動をしなければならない。もう少しして進展が無いようなら、アルバイトでも探して小遣いを稼がねば。そのバイト求人すら、良いのが無いのが田舎の辛いところ。「上場一部大企業も人件費の削減を考えるならば、田舎の良質な人材を雇用すれば何分の一の経費削減に繋がるのになぁ~」と考えるのだった。