生き物が大好きな黒紳士。家で飼っているのは、母がまだ訪問介護のパートをやっていた時に訪問先で「もう面倒をみれないから貰って」と半ば押し付けられて貰われてきたクサガメ。今や我が家のアイドル、"キッキ"だ。


その前はやはり、母が100円ショップの開店セールの時に景品として貰われてきた和金のペチャ。ペチャは10数年生き、5cmだった体長は最終的には20数cmになった。ペチャは庭の一角で永眠している。 


インスタグラマーとしても活動中の黒紳士。よくインスタでは自分の食べたメニューの画像をアップする人がいるが、そういう投稿にはまったく興味がわかない。「見て見て!私のランチはこれを食べたのよ。すっごく美味しかったのよ。いいね・コメントちょうだい」みたいな自己満足にしか見えないからだ。


食べ物の投稿よりだったら、よっぽど風景画像や人物、動物やスクープ画像を見るほうが楽しい。食い物系フォロワーさんは切りたいところだが、フォロワー数が少ないので我慢をしている次第だ。


黒紳士のインスタ投稿に一役かってくれているのが、野良猫さんたち。よく川反界隈を通るのだが、裏小路あたりに天気が良いと野良猫さんたちがたむろっている。正直、猫さんは昔、爪を立てられたことがあって、あやし方も分からず苦手なのだが、猫ビギナーを全く意に介さず野良猫さんたちは自由気ままに過ごしている。繁華街に暮らしているのだから、飼い猫さんたちよりも人馴れし逞しいのかもしれない。












そんな野良猫さんたちをInstagramに収めようとしていたら、耳に挟んだイヤフォンからあの曲が流れてきた。










BUMP OF CHICKENの「K」だった。初めてこの動画を見た時は何とも言いようがない気分になったものだ。唄というよりも、これはFairytale(おとぎ話)なんじゃなかろうか。まんま、一冊、児童書や絵本になってもおかしくはない完成度。(もう刊行されていたら申し訳ない)この曲を知ってからは苦手だった猫にもちょっとは興味が湧き、外で猫に出くわすと様子を見たり、構うようになった。



K BUMP OF CHICKEN


週末の大通りを黒猫が歩く
ご自慢の鍵尻尾を水平に 威風堂々と
その姿から猫は忌み嫌われていた
闇に溶けるその身体目掛けて 石を投げられた

孤独には慣れていた。寧ろ望んでいた
誰かを思いやることなんて煩わしくて
そんな猫を抱き上げる若い絵描きの腕
「今晩は素敵なおチビさん 僕らよく似ている」

腕の中もがいて 必死で引っ掻いて 孤独という名の逃げ道を

走った 走った 生まれて初めての
優しさが 温もりが まだ信じられなくて

どれだけ逃げたって 変わり者は 付いてきた

それから猫は絵描きと 二度目の冬を過ごす
絵描きは友達に名前をやった「黒き幸」Holy Night
彼のスケッチブックは ほとんど黒尽くめ

黒猫も初めての友達に くっついて甘えたが ある日
貧しい生活に倒れる名付け親 最後の手紙を書くと彼はこう言った

「走って 走って こいつを届けてくれ 夢を見て飛び出した僕の 帰りを待つ恋人へ」

「不吉な黒猫の絵なんて売れないが それでもアンタは俺だけ描いた それ故アンタは冷たくなった 手紙は確かに受け取った」


雪の降る山道を 黒猫が走る
今は亡き親友との約束を その口に銜えて

「見ろよ悪魔の使者だ」石を投げる子供
何とでも呼ぶがいいさ 俺には 消えない名前があるから

「Holy Night 聖なる夜」と呼んでくれた
優しさも温もりも全て詰め込んで呼んでくれた

忌み嫌われた俺にも 意味があるとするならば
この日の為に生まれてきたんだろう どもまでも走るよ

彼は辿り着いた 親友の故郷に 恋人の家まであと数キロだ

走った 転んだ すでに満身創痍だ 
立ち上がる間もなく襲い来る 罵声と暴力
負けるか 俺はHolyNight! 千切れそうな手足を
引き摺り なお走った 見つけた! この家だ!


手紙を読んだ恋人は もう動かない猫の名に
アルファベット1つ 加えて庭に埋めてやった
聖なる騎士(Holy Knight)を埋めてやった