読書感想

2018年11月25日




だんだんと冬の気配が近づいてきた11月の下旬。天気も崩れる日が多く、先週は雨が強く降って、さすがに外作業は出来ない、したがってバイトは待機時間が多くなった。


待機時間はすることが無いので、控所で同僚達は仲間グループでお喋りをしたり、自分のスペースで寝っ転がったり、携帯を弄ったりして各々、自由に過ごしている。


黒紳士は待機用に鞄に単行本を入れているので、読書をして過ごしている。全体に占める待機時間は総合するとそんなには多くはなかったが、それでも待機時間中には3~4冊は読了に至っている。


今回の待機時間に読んだのは、東野圭吾さんの「手紙」という単行本。2001年7月から2002年10月まで毎日新聞日曜版に連載されていた小説で、2006年10月に単行本が刊行され、同年11月には映画化された。



あらすじは、


弟と2人暮らしの武島剛志は、弟の大学進学のための金欲しさに空き巣に入り思いがけず強盗殺人まで犯してしまう。高校生の武島直貴は、突然独りぼっちになり途方に暮れる。とにかく謝罪しようと直貴は被害者の家を訪れるが、遺族の姿を見かけただけで逃げ出してしまう。高校の卒業式の2日前の直貴の元に、獄中の兄から初めての手紙が届く。それから月に一度、手紙が届くようになる。

獄中の兄の平穏な日々とは裏腹に、進学、就職、音楽、恋愛、結婚と、直貴がもう少しで幸せをつかもうとするたびに、彼の前には「強盗殺人犯の弟」というレッテルが立ちはだかる。 それでも、理解してくれる由実子と結婚して一時期、幸せが訪れる。しかし、娘の実紀が仲間はずれにされ、正々堂々と生きて行く意味を考えてしまう。そして剛志との縁を切るために、獄中の兄に宛てて手紙を出すのだった。            Wikipediaより



実は、この作品を知ったのは映画の方が先だった。たまたまDlifeで放映されていたものを録画して観たのだ。正直、CMが入る映画放送は作品の世界観に浸りたい自分にとっては邪魔者でしかないのだが、そんなマイナス要素も気にならないくらい映画は見事な出来映えだった。




 




映画では主人公の直貴役に山田孝之さん、兄の剛志役に玉山鉄二さん、由美子役に沢尻エリカさん、と豪華キャスト。脇役にも吹越満さん、風間杜夫さん、吹石一恵さん、田中要次さんと実力派が揃う。



ここからはネタバレ要素があるので、内容を知りたくない人はスルーを。




原作を読了してみて、「さすがは東野圭吾!!映画になるのも分かる。重い犯罪加害者の話を兄弟愛作品に昇華させている」と思った。映画よりも小説の方が細部も良く書き込まれていて、丁寧だが映画を観た後では少し冗長過ぎるかな、という感想も。



小説と映画では直貴のやりたい夢=仕事も変わっていて、小説ではロック・バンドのシンガー、映画ではお笑いコンビの芸人だった。直貴の性格を考えると(何処か冷めていて、感情を表現するのが不得意?理系が得意らしい)小説中での最初の希望、機械エンジニアが1番しっくりとくるように思う。映画でのお笑い芸人は中学生の頃から同級生の寺尾とテラタケというコンビを組んでいたが「何故、直貴がお笑い芸人を目指すのか?」という説明の下りがないので不親切。



この職業選択の違いは、作品のラストでも微妙な変化をもたらしている。兄剛志の収監されている千葉刑務所に慰問公演に赴く直貴。小説の方の直貴は友人、ギターを演奏するロック・バンドの寺尾とジョン・レノンのimagineを披露するというもの。



映画の方は同じ友人、寺尾だが、こちらはお笑いコンビとして受刑者の前でコントを披露するのだ。刑務所への送迎バスで由美子や娘の実紀も同乗してきて、二人は刑務所の外で待つところも小説とは違う。




小説の方のラストは、ステージ上から受刑者の中に剛志を見つけた直貴が合掌している兄の姿を見て感極まってしまい、歌が歌えなくなるというもの。剛志は今まで弟の苦労も知らずに手紙を出し続けてしまったこと、直貴のみならず、家族の由美子や実紀へも犯罪加害者の家族としての世間からの差別を受けることになってしまったことへの贖罪の為に直貴に合掌していのだ。




小説のラストは読者に色々と最後の場面の続きを想像させるような、如何にも小説らしい終わり方だ。一方、映画の方はこの作品、1番の見どころになってくる。



刑務所慰問の前に直貴は長年、兄への手紙を代筆してくれていた由美子に変わり、久しぶりに自筆の手紙をしたためる。それには、兄の所為で就職に困り、自分の夢を諦め、好きな人との結婚も駄目になったことが綴られ、兄への最後通牒、絶縁を告げる手紙だった。



兄が殺めてしまった被害者宅へ兄に代り、謝罪に訪れる直貴。そこで兄、剛志が犯罪被害者宅へ長年に渡って謝罪の手紙を出し続けていたことを知る。そして最後に送られてきた手紙を被害者、緒方から読むように渡される。その内容を読んだ直貴は、一度は断った刑務所慰問を決意する。



コントも佳境に入ってきた。直貴が相方、寺尾の家族をイジるネタを振る。ここまではネタ合わせどおりだったが、寺尾がつい、直貴の兄について釣られて振り帰してしまう。



絶句してしまう直貴。コントも止まってしまう。慌てふためく寺尾。ここで直貴が本当のこと(兄はこの千葉刑務所へ収監中であること)を言ってしまえば、何もかもオジャんになってしまう。



受刑者席の剛志が画面にクローズアップされる。剛志は下を向いて合掌している。「頼む、俺のことは黙っていてくれ」と言っているのか、それとも「俺が全て悪かった。すまん、許してくれ」と祈っているのか。


「うちの兄貴は・・・」

「うちの兄貴は・・・・」

「うちの兄貴は馬鹿なんですよ」



と、何とかコントを続ける直貴。



そして「本当に馬鹿でしょうがないんですけど、たった1人の兄貴だから・・・」



と、剛志の気持ちをくんで、兄を許すと言っているかのような直貴。



声を殺しながら、下を向いて号泣する剛志。本当の意味での更生が成った瞬間だろう。



ここで、黒紳士の涙腺も崩壊してしまった。いかん、これは「泣いてください」と言っているかのような演出だ。そして小田和正の「言葉にできない」が拍車をかける。




 



ラストはオープニングと同じように、桜満開の道を親子3人が歩いて行くというもの。



個人的には、直貴が兄への手紙を由美子が代筆していたことに気が付き、由美子を問い詰めるシーン。ここで、由美子の過ごしてきた境遇が明らかになり、それで由美子が直貴にシンパシーを感じ、陰になりながら直貴を支えてきた秘密が語られる重要なシーンだ。ここでの盛り上がりが映画では少し欠けていた。号泣する直貴が由美子をハグするくらいの演出が欲しかった。



犯罪加害者の家族がどのような生活を強いられるか、というテーマのこの作品。犯罪は許されるべきものではないが、ただそれだけではなく、兄弟愛や人間愛、差別への処し方など、色々な角度で観ることが出来る、優れた作品であることは間違いない。






(16:38)

2018年07月08日




7月になった。サッカーのワールドカップも日本代表はグループリーグを勝ち抜けたものの、ベスト16止まりとなり、一気にワールドカップへの興味も薄れつつある。残っている各国代表チームへは思い入れも無いし、今回のロシア大会は時差の関係から、試合時間が深夜になり、生中継での観戦は難しいからだ。


6月の半ばから通い始めたアルバイトの現場にも、徐々に慣れてきつつあった。アルバイトは主に土木作業なので天候に左右される事が多く、小雨が降ると待機時間になる。そういった時は外の喫煙所などで空を見上げながら、雲の行方を気にかけたりする。


いつ再開するか分からない晴れ待ち時間、同僚達は話をしたり自分のスペースに寝がまったり(ながまる:秋田弁で寝っ転がる)煙草を吸ったりしている。自分は他の人と長々とフリートークをするのは苦手なので(すぐに話題が尽きるし、他者の話に相槌を打つのも案外疲れるから)文庫本を取り出して読書をしている。


最初に読破したのが貴志祐介氏の「クリムゾンの迷宮」これは一度、図書館で読了したことがあった作品だったが、◯OOKOFFで100円だったので買い込んでおいたものだった。貴志祐介氏の作品は「硝子のハンマー」や「黒い家」「悪の教典」などを読了しており、最近も図書館で読んだ「ダークゾーン」もなかなか面白かった。


貴志氏の作風は「ソリッド・シチュエーション・スリラー」に近いものがあると思う。限られた状況下にある人間の極限の状態を現した物語が多い。(貴志氏の全作品を読了はしていないので、違っていたらごめんなさい)


クリムゾンの迷宮のあらすじは、



藤木芳彦は、この世のものとは思えない異様な光景のなかで目覚めた。視界一面を、深紅色に濡れ光る奇岩の連なりが覆っている。ここはどこなんだ? 傍らに置かれた携帯用ゲーム機が、メッセージを映し出す。「火星の迷宮へようこそ。ゲームは開始された……」それは、血で血を洗う凄惨なゼロサム・ゲームの始まりだった。『黒い家』で圧倒的な評価を得た著者が、綿密な取材と斬新な着想で、日本ホラー界の新たな地平を切り拓く、傑作長編。:Googleブックスより



主人公の藤木が目を覚ますと、火星のような風景の土地に連れ去られていた。どうしてここにやって来たのかまるで記憶がない。ふと、傍らにあった携帯ゲーム機からこれがサバイバル・ゲームであることを告げられる。同じ様に集められた他のメンバーとこの不条理ゲームを戦い抜くことになる。


まるで映画「SAW」や「CUBE」のように、謎を解いたりアイテムを手に入れたり仲間と共闘したり対立したり野生の脅威にさらされたりしながら、ゴール=勝利を目指していくという話。


感想は、まぁまぁ面白かった。作中に出てくるゲームブックに話をなぞらえてストーリーが進んでいくので、少し話の展開が制限されてしまった様に思うところが残念なところ。謎解きも主人公の藤木が解決してしまうので、読者に考えさせるような要素があっても良かったような。アイテム類にしても、本当に重要なアイテムは僅かで、活用されないものが多かったように思う。


後日談にしても、「何のためのゲームだったのか?」「パートナーはどうなったのか?再び相まみえることが出来るのか?」と多くの謎が残り、いまいち勝利の余韻に浸ることが出来ない。主人公の独白で説明はあるものの、明確な答えが示されない。敢えてこのモヤモヤ感が残るエンディングにしたのだろうか。


最終ページには作中に出てくるゲームブックのトゥルーエンド(最も幸せなエンド)が引用されている。願わくば、主人公とパートナーがこのエンドのようになって欲しい。なるように希望の持てる最終ページなのかもしれない。


自分だったら、このゲームに参加させられたら、最初の選択肢で詰んでいただろう。もっとサバイバル技術を磨きたいと切に思う黒紳士だった。




 





(09:35)

2018年06月14日




読書が好きな黒紳士。特に小説を読むことが多い。


読書や映画が好きなのは、自分が作品の主人公になりきってその世界に没入し、疑似体験ができるからだ。よって感情移入をしやすい作品や主人公だったら、自分が冒険や事件の体験をしたことになる。面白い作品だったら、つまらない日常から開放され高揚感や達成感に浸ることができる。だから読書はやめられない。


バイトの勤務開始までまだ間があるので、足繁く図書館に通っている。家から近い市立明徳図書館(流行りのネーミングライツで北都ライブラリーというらしいが、誰もそんな名前では呼ばない)に行くことが多いのだが、明徳館は新書や話題の作品が書棚に並ぶことが少なく、ちょっとガッカリ図書館だ。


先日、気が向いて新屋図書館に行ってみた。新屋地区へは秋田大橋を渡っていくのだが、車で渡るならなんともないが、歩きや自転車で渡るとちょっとしたスリルを味わうことになる。大橋というくらいだから結構長い橋で、橋の欄干も低く、橋の半ばくらいから雄物川を望むと高所恐怖症の人にはスリリングな眺望が広がっている。実際、川面から橋まで高さもかなりあり、野趣溢れるロケーションになっている。


風も強く、自転車を漕ぎながら被っていたキャップが飛ばされないかヒヤヒヤした。橋上はいつも強風が吹いているので、自転車で走っていて風に煽られることも少なくない。もう少し風よけ対策として防風壁を高くするとか防風ネットを設置してほしいところだ。大橋をヒーヒーいいながら新屋側に渡ると美術大学の建物が見えてくる。新屋図書館はその一角にある。


新屋図書館は新しめの建物で、内装もとてもきれいな図書館だ。雑誌類の種類が多く、明徳館よりも総じてセンスが高く、黒紳士内ではグレードが高い。小説類は数では劣っているが、読みたいような本が多い。いつものように、その日に読みたい本を作家別に分類された書架を周って選ぶ。図書館だから本を借りて家で読めばいいのだが、借りて行ってしまうと、本を読むという義務が発生してしまう。


自分は読みたい時に本を読みたいので、本を借りることはしない。これはDVDやBlue-rayの映画ソフトにも共通する。映画も観たい時に観たいのでレンタルショップは利用しない。ただ単に借りる手続きが面倒ということもあるが。


書架を周っていると、綾辻行人の館シリーズを発見。綾辻行人さんの作品は「殺人鬼」シリーズや〇〇館の殺人など、ミステリー系が好きだ。密室や辺鄙な洋館で繰り広げられる推理ミステリー。「今日はこれを読もうかな?」と思ったが如何せん、上・下刊に分かれ、厚みがかなりあった。黒紳士の図書館での平均滞在時間は2~3時間なので、とても読み切れる作品ではない。


やって来るだけで疲れる新屋図書館。(大橋を渡るのがネックなのだ)次はいつ訪れるか分からない。「読みたいのは山々だが、こいつは止めておこう」と密室洋館ミステリーは却下。読む本の選定に戻る。


で、手にとったのが淳Aさんの「弓と剣」。むむ、今流行りのライトノベルというやつか?作者の名前も聞いたことがない。表紙の装丁イラストからしてファンタジーっぽい。取り敢えず、読んでみるか。


あらすじは、


とある貴族のおちこぼれ三男が北の原野を旅していた。素直で天然な青年の名はサダ。若き日に憧れた稀代の剣士・リイが所属する北軍に入隊するためだった。 その道中、巨大なオークたちが襲いかかる。絶体絶命の危機を救うため、現れたのはリイ率いる北軍――だが、サダはたった一人、自慢の弓で六頭ものオークを全滅させた! これが後世に語り継がれる「六頭殺しの若」サダと、「北の猛虎」リイの出会い――「弓と剣」伝説の始まりだった。 荒涼とした北の地に息づく家族や軍人の想い。将来を夢見る青年たちの絆。緻密なドラマと世界観に胸が熱くなる本格ファンタジー!         Amazon紹介文より



感想は、


「とても面白かった!」ライトノベルのように文章が軽妙かつセンスが良くて、ストーリー展開のテンポが良い!登場する人物も個性的で、主人公ヴィジャヤン・サダは現代日本のどこにでも居そうな若者だがどこか憎めない愛嬌がある。ヴィジャヤン伯爵家の三男だが、貴族の家で育った割には気取ったところが無く、素直で能天気な愛すべきキャラクターだった。


ヒロイック・ファンタジーに分類されるこの作品だが、モンスターや魔法が飛び交うような話では無く、皇国内の内紛を巡る軍隊群像劇といったところか。(まだ全編を読了してはいないので、違ってたらごめんなさい)話もサダの視点から語られる他にサブキャラクターの視点で語られる話も挿入されていて面白い。


だが、なんといってもサダ視点の話がいちばん魅力的で、本人が「自分は大したことがない」「自分は取り柄のない只の三男坊だ」と思っていても他のキャラクター視点の話になると「若は本当に凄い奴だ!」となる対比が面白い。登場するサブキャラクター達も、気のいい人物が多い。従者のトビや補佐のマッギニスなど怜悧で有能なキャラにサダが腰が引けるのもウケる。



タイトルになっている弓はサダのことで、剣はサダが師範と呼び、北軍入隊のきっかけとなった敬愛するリイ・タケオ大隊長(現時点でタケオが大隊長になったところまで読んでいる)のこと。主人公の得意スキルに弓をクローズアップしたのもイカしている。この弓と剣と呼ばれるようになった二人の英雄の冒険を描いたのが、たまたま図書館で手にとったこの本だった。



新屋図書館には1巻と2巻があり、1巻を読了してその日は帰った。通常、手にとった本を読了して帰ることは無く、200ページくらい読んで脳内栞を入れて帰ることが常だった。しかし、久々にファンタジーもので面白い作品に巡り会えて、とてもラッキーだった。次の土曜日も2巻を読みに新屋へ通った。2巻も即日、読了してしまった。



帰宅してWebで調べてみると、この作品はもともとWebで公開されていたことを知った。






「おぉ、Webで続きが無料で読めるんだ。とてもラッキー!!」今までWebで小説を読むことは無かった。ディスプレイで小さなフォントを追うのは苦痛だと思っていた。「本は手にとって読むものだ」と固定観念を持っていたが、作品の面白さにその考えを覆された。便利な世の中になったものだ。



ということは、この作者の淳Aさんは職業小説家さんではないのか?「小説家になろう」というサイトに投稿されている作品らしい。ノン・プロなのに、ここまで面白い作品を執筆出来るなんて、凄い人がいるものだ。「文章というものは、難しい比喩や慣用句、文法を駆使しなくても、面白い文章を書くことが出来るんだなぁ~」と感心してしまった。



メガネを使用し、小さなフォントを拡大してノートPCに向かってこの作品を読んでいる黒紳士。眼には悪いことは確かだが、「好きなものは体に悪い」ことが多いのが世の常。



あまり読み進んでしまうと後の楽しみが少なくなってしまうので、弓剣ジャンキーにならない程度に楽しむことにしよう。



今日の一曲は、黒紳士がこの作品をイメージした曲。










(11:08)

2017年09月15日

北朝鮮が早朝に弾道ミサイルを発射し、物々しい雰囲気に包まれた朝。


規則正しい生活リズムが信条の黒紳士。朝は目覚まし時計をセットしなくても、6:00過ぎには自然に目が覚める。お袋のフィーチャーフォン(ガラケーという呼び方は好きではない。世界的にはフィーチャーフォンと呼ぶそうだ)にはもはやお馴染みになった♬ティロリロリン、ティロリロリンというエリアメール受信の着信音が流れた。


貧乏くさい黒紳士は、夜、眠る時はスマートフォンの電源を切っているのでエリアメールの受信は無かった。(ちょっと寂しい)朝、居間で新聞にざっと目を通してから自室に戻り携帯の電源を入れるので、朝、居間のラジオを点けるまではミサイルの飛来を知らなかった。


今回の報道を観ると、いよいよ弾道ミサイルの飛翔距離がアメリカ領のグアムに届くようになったらしい。Twitterマニアの米大統領がどんな対応をするのか動向が気になる。


そんな世界情勢危機とは無縁、市井の無職中年はいつものように求職活動を行うだけだ。午前中にハロワに求人検索に出掛け、新着求人をチェックする。気になる求人があるとプリントアウトをして、帰宅してからWebでその事業所を検索し、詳細分析をする。HPを開設している会社ならば、だいたいの雰囲気が分かるし、大手になれば口コミなんかも知ることが出来る。


そうこうしていると、滅多に鳴らない携帯に着信があった。発信元を見ると、先日登録したS派遣会社からの着信だった。応答すると、求人の紹介連絡だった。機械部品卸売会社の倉庫整理兼、配送業務といった内容だった。希望しているホワイトカラーの仕事では無かったので「興味が湧いたら、こちらから再度連絡します」と返答して電話を終えた。


ググってみると、派遣先の会社はまぁまぁ大きな会社で秋田にも営業所があるらしい。所在地もそれほど遠いところでは無かったが、希望をしているのは営業事務や事務職。少し譲って営業職。今回の紹介案件は倉庫業務や配送業務だったので、こちらの希望とは違う。


このS派遣会社。登録もWebだけで終了し「細かなニュアンス(面接が無かったので人柄や雰囲気、コミュニケーションスキル等)が伝わったのだろうか?」と少し不安に思う部分があったのだが、登録2日で早くも2件目の紹介だった。レスポンスが頗る良い。ただ、1件目も所謂、短期のピッキング求人でこちらの意図するところでは無かったが。


一方、M人材派遣会社のHPで気になる求人があったので、久しぶりに問い合わせをしてみた。女性オペレーターが対応したが、気になった案件は女性を採用したい求人のようだった。空振りだったので「また良い求人があったらお知らせ下さい」と電話を切った。


M社にはまったくやる気が感じられない。ここしばらくメールも来ないし、HPの掲載求人にも目新しい案件は掲載されない。営業員が所長も兼任しているようで、何度か所長に会ったことがあるが「金にならないことには興味を示さない」感じの人物だった。平気で待ち合わせ時間に遅刻してきたことがあるし、最大手M社の仕事にしては恐ろしくクオリティが低いと感じることが多々あった。


先週、面接してきたアルバイト求人は選考結果が1週間待ちだった。仕事内容は面白そうと感じたが、自分の年齢を考えると、条件的に少し低いと考えた。出来れば契約社員や正社員にステップアップ出来る仕事に就きたい。直感的に応募してしまったが「ちょっと違うかな」と思うようになった。面接の選考結果を待っている間にも、最善手を打っておかなければ。(アルバイトが不採用ならそれで良し。採用になってしまったら辞退するつもり)


午後は意を決してA人材派遣会社へ連絡をする。先日のコーディネーターさんの接遇・対応が良かったことと、派遣先の仕事も内勤がメインになるので、配送で大汗をかくこともないだろう。直ぐに繋がり、先日対応してくれた女性が電話応対してくれた。


「先日はありがとうございました。面談時にご紹介頂いた案件に応募してみたいと思ったのですが、まだ応募出来ますでしょうか?」一度断ってしまった案件なので再度、話しを蒸し返すのは切り出しにくいことではあったが、あっさりと話しを進めてくれると快諾してもらった。


「ありがとうございます。もし進捗がありましたら、お知らせくださるよう、よろしくお願いします」と応募手続きをすることが出来た。後はA人材派遣会社と先方との交渉になる。A社からお薦めしてきた求人だからA社内で応募不適格の烙印を押されることは少ないように思われた。


こうして三者三様の対応が見られた人材派遣会社。ここに来てM社の株は最安値を更新してしまった。長年の腐れ縁でM社とは付き合ってきたが、ここには何度も煮え湯を飲まされる思いをしてきた。今後はM社はアテにせず、A社とS社をうまく活用していこうと思った黒紳士だった。







(16:50)

2016年05月07日

朝から雨が降り、午前中は撮り溜めたビデオを観たりして時間を潰した。一日じゅう家の中でゴロゴロと過ごすのも悪くはないが、やはり外の空気を吸いたい。図書館までは調度良い散歩距離になるので、午後からは図書館に向かうことにした。


読書といえば小説が好きだ。小説をベースに映画化される作品も少なくないし、自分が臆病な小市民なので、犯罪小説なんかを読んでアウトサイダーの気分を味わったりするのが堪えられない。無論、犯罪小説ばっかりを読んでいる訳ではなく、青春小説や推理小説、時代小説なんかも読んだりしている。実用書やエッセイ、郷土史なんかも並んでいるけど、今のところ食指は伸びない。気が向けば手に取る事もあるのかもしれない。やはり僕は根っからの「物語大好き人間」空想することを取ってしまったら、クリープのないコーヒー状態だろう。(表現が古い)


ただ、市立図書館は予算が無いのか、話題作や最新作なんかが書架に並んでいることなんか滅多にない。仮にあったとしても貸出予約が入っていて、書架に入る暇なんかないのだろう。仕方がないので、一昔前の小説を漁る。いつもは何遍も通路をまわって、"ピン"とくるタイトルを抜き出して、大まかな本の惹句が乗っている帯を確認。作者名も確認してから、読書用の簡易椅子に着席する。(この椅子が本当に酷い。長時間座っているとお尻が痛くなってくる。ファストフードの椅子に近いものがある)


今日は読みかけの本を手に取り、お粗末な椅子へ着席。記憶を頼りに、既読部分を確認しながらページを捲っていく。僕の読書のペースはそれ程早くない。一回の来館で100ページ前後が平均。余程、続きが気になるか時間の経過が遅い場合はもう少し増える。何より、ひっきりなしに周りを人が通るので集中力が無くなってしまえば、腰を上げる事が多い。


手にとった本は、
新堂冬樹 著 「あなたに逢えてよかった」
あらすじは、
もし、かけがえのない人が自分の存在を忘れてしまったら?記憶障害という過酷な運命の中で、二人はひたむきに生きてゆく。心に深く刻まれた“あの思い出”に願いをこめて―新堂冬樹が“絶対の愛”を真正面から描いた「忘れ雪」「ある愛の詩」に続く純恋小説3部作、完結篇。


新堂冬樹さんの小説はダークな作品が多く、気持ちの悪くなるようなバイオレンスな描写の本を読んでいたので、「そんな作者さんが純愛ものーぉ?」と高を括っていた。試しに「忘れ雪」という作品を読んでみた。結末に不満が残ったものの、とてもロマンチックな純愛小説だったのだ!とても悲しくて美しい作品だった。3部作となれば、「残りの2作品も読んでみたい」と思うのは黒紳士だけではあるまい。


で、前回の続きから読んでみた。紅茶専門喫茶に勤めるヒロインの夏陽。毎朝、出勤前に訪れる純也に想いを寄せるようになる。ある日、純也から「おいしい紅茶を飲みに行きませんか?」と誘われる。想いが通じて付き合うようになる二人。だが、幸せの日々は長くは続かなかった。物語は夏陽視点で語られていく。女性の心理描写が繊細に綴られていて、彼女のストレートな気持ちが伝わってきた。


これ以上書くとネタバレになるので、自粛するが「忘れ雪」よりも良かった。いつもの100ページルールも抜きにして、続きが気になり一気に読み終えてしまった。ラストは本当のハッピーエンドとは言えないけれど、夏陽はすべてを受け入れて一歩を踏み出した。周りを憚らず、涙目になってしまうほどだった。(かなりこれは恥ずかしい)


映画にも出来そうなこの作品。ヒロインは誰が適役か?あんまり女優さん、分からないけどぱっと見「波瑠」さんあたりか。純也役は演技力が問われる。「松坂桃李」くんを起用。キャスティングまで考えてしまっている黒紳士。これだから妄想癖のある奴は手に負えない。自分に呆れる始末だった。



(15:30)