全国各地の主婦らにダイレクトメールを送り、あて名書きの内職を紹介すると持ちかけて契約時の保証金をだましとったとして、石川県警は11日、金沢市高尾台1丁目、あて名書きあっせん業「エルモア」経営の酒井敏之容疑者(47)を詐欺容疑で逮捕した。県警によると、酒井容疑者は全国の約4800人から約14億円を集めているとみられ、被害額は数千万円に上る可能性があるという。
調べでは、酒井容疑者は02年、岡山県倉敷市の主婦(33)にあて名書き内職を募集するチラシを郵送。「30万円の保証金を預託してもらうが、仕事を辞める時に全額返還する」として、04年6月、この主婦に保証金30万円を振り込ませ、だまし取った疑い。酒井容疑者は「預かった金の一部は返金している」と容疑を否認しているという。
エルモアをめぐっては、「内職をしたが報酬が支払われなかった」「契約を解除しても保証金が返ってこない」など各地で被害の訴えがあった。
国民生活センターによると、04年度までの過去10年間に1628件の相談があり、うち近畿地区が289件と最も多かった。
民事では、03年夏以降、29都道府県の主婦ら計53人が損害賠償を求めて3度にわたって静岡地裁に集団提訴。同地裁はこれまでに訴えをほぼ認め、エルモアに計約2400万円の支払いを命じている。
(平成17年5月12日朝日新聞)