第三章 民 族 と 国 防
一、民族存立の原理
民族の基本概念は、いかなる外的圧力によっても滅びることはないということである。このことは、キリスト教創成以来、被抑圧民族として生き続けているユダヤ民族を見れば明らかなことである。
民族が外的圧力によって喪失するものは、固有の民族性を失うことと、民族自体の自決権を失うことの二点である。
キリスト教を迫害したことからもたらされたユダヤ民族の悲劇は、反面で、ユダヤ民族に可塑性を与え、より強靭な民族への道を選択させた。中世以降、彼らは一般の白人社会から隔離されたゲットー(注1)に居住しつつ非人道的なあらゆる方略をもちいて、20世紀に至り、ついに世界人類の頂点に立つ地位を確保するにいたっている。一民族のこのような歴史的な足跡は、ただユダヤ民族だけのものではなく、その他多くの民族にも共通してみられるもので、この点、ユダヤ民族が特例的に歴史の俎上にあがったにすぎないものである。
続きを読む
