2010年08月16日

この夏、なにか一本映画を観るなら「インセプション」でも「トイ・ストーリー3」でもなく(どっちも傑作だけど)、この映画をおすすめします。
素晴らしい!

デューン・デュボア、クリス・サンダース監督「ヒックとドラゴン」観ました。

3Dで観ました。
良い映画はたいていそうだけど、この映画も最初の10秒で傑作ってわかる。
深みがある色調と、細かな質感にこだわった美術が素晴らしい。特にバイキングの肌やヒゲの表現には驚きました。主人公のドラゴンにだけ流線的なフォルムを与えているのも、メリハリの効いたよいデザイン・ワークだと思います。風の抵抗を受けて振動するドラゴンの翼のしなやかで力強い動きが美しく描写されていて、飛行シーンではまるで画面のこっちにまで風が吹き込んでくるみたいに感じました。
3D空間も丁寧に設計されていたと思います。
全体を通して画面が豊かで、眺めているだけで幸せな気分になれる映画です。

なにより、アクションとエモーションの結びつきがストレートなのがよかったです。爽快感と躍動感があって、こういうシンプルな結びつきを成功させている映画久しぶりに観た気がします。「トイ・ストーリー3」もすごいと思ったけど、複雑すぎるんだよね、アクションとエモーションの結びつきが。
鐙(あぶみ)による舵とりなど、ドラゴン・ライディングの細部へのこだわりも嬉しい。しかもそれが単なる視覚効果で終わらずに“人竜一体”を感じさせるアクションのもとになっていて、これを観てしまうと「アバター」のドラゴン・ライディングが手抜きにみえてしまいます。アクションがちゃんと対話になっているから、飛行シーンはホントに感動的。

全体的にいいとこどりのズルい映画だとは思うし、人間とドラゴンの関係性にひっかかるところはあるけど、映像の快感に満ちた傑作だと思います。物語の落としどころも素晴らしいと思いました。


(02:24)

トラックバックURL

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔