収益向上に貢献する物流コスト改善のコツ

会社の収益を圧迫しかねない物流コスト。会社の中で目に見えづらい物流コストを可視化し、今日からでも改善できるポイントをやさしく解説します。一緒に物流改善に取り組み、物流改善のプロとして収益向上に貢献しましょう。

2008年03月

作業を減らす

前回は作業をなくしてみることについてお話ししました。改善の第一歩として作業そのものの必要性を再考することが必要だと思います。

今まで続けてきた作業が、何となく続いており本来の必要性について考えたことがない場合もあるのではないでしょうか。前回もお話した「検査」はその典型であると考えられます。

確かにその作業が始まった時には、品質を保証するために全数「検査」をしていた可能性があります。しかし、その作業が始まって何年も経ったとしましょう。その間に作業の品質も向上していることと思われます。こんな場合、今まで通り全数検査作業を続ける必要はあるでしょうか。

検査作業はムダな作業であると言い切ってよいと思います。その作業自体、何の付加価値も生み出しませんから。不良品が後工程に流出することを防ぐといった、決して前向きの作業ではありません。

そうだとすると、この作業自体はなくすことができればそれにこしたことはないはずなのです。

ただし、そこまで品質レベルが十分でないとしたら、一気に検査作業をやめることは危険かもしれません。一方、作業開始当初より品質が向上していることは明らかでしょうから、検査回数を減らすことは可能でしょう。

これが「作業をなくす」という第一ステップの改善に続く、「作業を減らす」という第二ステップです。

ですから、今の品質の実態を考慮し「作業を減らす」改善に取り組んでみましょう。もちろん、作業をなくす、または減らすために何をどう改善すべきか、要因系の改善方策にまず取り組むことが大切です。

作業そのものをやめてみるという発想

前回、改善のステップの第一歩として、『その作業自体をなくせないか』検討する必要性についてお話しました。

ムダな作業はやめることが第一であることは言うまでもありませんが、その作業自体がムダであることに気づかない、または必要であるという思い込みが改善の障害となります。

我々は物流のプロですから、物流作業のことは熟知しています。しかしながら、それが故に新鮮な発想で考えられない場合があります。むしろ素人の方が問題点を認識しやすいこともあるのです。

よく指摘されるのが検査作業です。
・ 製品が納入されたときの検査
・ ピッキングを終えた後の検査
・ 出荷準備を終えた後の検査

といったように、作業の流れの中で何度も検査作業を行っているケースがあります。また、これは品質保証をする上で不可避な行為だと考えられています。

ではこの検査行為をやめたらどうなるでしょうか。誰かがチェックしてくれるから大丈夫、といった安心感が工程にはありませんか。もし検査をしないとなった場合、仕事のやり方は変わってきませんでしょうか。

品質は工程内で作り込むという表現を良く使いますが、自工程で品質を保証し次工程には迷惑をかけないという意味です。
物流上の品質には数量の保証や異品を出さない保証、製品ダメージを与えない保証などがありますね。それらが保証されるための改善を行うことで品質を作り込みたいものです。

まずは検査を全廃できないにせよ、データを取った上で品質の高い工程から順次回数を減らしていってみましょう。また、納入業者の納入精度のデータも取り、同様にチェック回数、チェック件数を減らしてみましょう。

検査はムダな作業だという発想に立って考えると、改善は進むのではないかと思います。

否定型作業を改善する

まずは定型作業と否定型作業を分け、否定形作業を目立たせるという話をしてきました。
次はこの否定型作業を改善することになります。

改善のステップとして次の順序で考えましょう。
? その作業自体をなくせないか
? その作業を減らせないか
? その作業を変えられないか

ムダと思われる作業はなくすことがベストであることは言うまでもありません。したがって、まずはなくすことの検討が第一歩となります。
例えば、オーダーシートへの記入作業や検査作業はなくすことを第一に考えます。

その作業はなくすことはできないものの、減らすことは可能であるといった場合があります。作業自体は残るものの、極力軽減します。
例えば、歩行を減らしたり、台車運搬距離を減らしたりします。

作業自体は残ってしまうものの、作業のやり方やモノを変えることで作業が改善される場合もあります。
例えばダンボール箱から通い箱にすることでゴミ処理作業をなくしたり、オーダーシートからランプ指示方式に変更することでオーダーシートのチェック作業をなくしたりすることができる場合があります。

したがって、次の流れで改善を検討していくと有効でしょう。

1. 定型作業と否定型作業を分ける
2. 否定型作業を外出(そとだし)し、目立たせる
3. 否定型作業をなくせないか検討する
4. 否定型作業を減らせないか検討する
5. 否定型作業を変えられないか検討する

ここで一件付け加えますと、『金をかけるのは最後の手段』であるということです。ややもすると改善には金が必要といった発想に向かいがちですが、まずは金をかけずに進めることが重要です。

定型作業と否定型作業を分ける

今回は作業を効率的に行うコツについて、『定型作業と否定型作業を分ける』というテーマでお話したいと思います。

生産ラインでは、定型作業と否定型作業を分けることは非常に重要です。以前お話したことがありますが、生産ラインの本業はモノを生産する作業なので、それに付随する作業は極力生産ラインから排除し別のライン外作業者にやらせるべきです。

これと同様のことが物流作業にもいえます。例えばピッキング作業を例に考えてみましょう。ピッキング作業はオーダーに従って必要な製品を取っていくことです。これをピッキング作業者の本業と定義した場合、それに付随する作業にはどんなものがあるでしょうか。
いくつか例を挙げると
・ ピッキング後空になった箱を処理する
・ 製品の箱を開ける
・ ピッキング台車をピッキング場まで移動させる
のようなものがありそうです。

ここでもう一度ピッキング作業を『製品を取って台車に置く』という定型作業だと定義した場合、それに付随する否定型作業はムダな作業と定義してみましょう。まずムダと定義するところから改善がスタートします。

まずこれらのムダをピッキング作業者から切り離します。もちろん、すぐに廃止できる作業であればなくしてしまうのがベストです。一方で、すぐになくせない場合には、別の作業者を指名し、その作業者にこれらのすべての付随作業をやらせます。理由はムダをなくすことと同時に、ピックング作業者がリズミカルに作業できるようにするためです。

こうすることで、まずムダを顕在化させます。
ピッキング作業者にやらせたままにしておくと、見かけ上必要な作業に見えてしまい、ムダが隠れてしまうからです。

以上のように、まずは定型作業と否定型作業を定義付けして分けた上で、否定型作業を集めて目立たせることにトライしてみましょう。

改善成果発表会の実施

改善効果をシェアすることでモチベーションを上げる重要性について、前回お話してきました。これは特に業者マネジメント上大切なことであると思います。

いかに周りの人たちを動機付けしてていくかについて、私たちは考えていかなければなりません。一方的なリクエストにはなかなか人はついてきてくれません。上手に周りの協力を得られるような工夫が必要だと思います。

ある会社の事例ですが、年に一回、全取引先に参加いただき改善成果発表会を開催しています。特に優秀な改善事例に対しては賞を与えて皆の前で褒めることにしています。そのため、各社とも日々改善に取り組み、発表できるアイテムを準備しています。

これが各業者内でも同様の活動が広がりを見せているそうです。
倉庫業務と輸送業務を請け負うA社は、特にコスト改善に力を入れており毎月小集団活動を実施しています。5〜6人で一つのグループを作り改善活動を進めています。さらに半期に一度会社内の改善成果発表会を実施しています。この社内の発表会で最も優秀と評価された事例が、ユーザーの年一回の改善成果発表会で報告することになっているそうです。

このようにユーザーが取引先が発表する場を提供し、特に優れた改善報告に対して表彰する場をセットすれば、モチベーションも向上しますしユーザー・取引先の一体感も高まるものと思います。

ぜひ皆さんの会社でも、こういった改善に対するモチベーションを向上させるしかけを作っていただければと思います。

これが結果として品質、コスト、デリバリー、安全等々の諸々の水準向上につながっていくことでしょう。

改善効果をシェアする

今回は、業者とユーザーで共同で進める改善について、『効果をシェアする』というテーマでお話させていただきたいと思います。

お互いの成長のためには、共同でさまざまな分野で改善を進めていく必要があります。確かに単独でできる改善もありますが、どちらかの協力がなければ進めづらい改善も多数あると思われます。こういったアイテムこそ共同で取り組む価値があるのではないでしょうか。

一方で、共同改善を行った効果はどうしていったら良いでしょうか。単独改善であれば、実施した側で効果を享受するのは分かる気がします。では共同で行った場合は・・・?

まず原則として共同改善の効果はお互いシェアするといった考え方でやるべきだと思います。ただ単に相手を儲けさせるだけではモチベーションも上がりません。ユーザーだけが強い立場に立って事を進めても、途中で壁にぶつかるでしょう。

ではどういう方法で効果のシェアをしたら良いでしょうか。一つには50%:50%、つまり効果は半々とするという考え方があるでしょう。これは説得力あるでしょうか。もし改善のアイデアをたくさん出すし、実際の活動も大半やった側にとってみると納得できない方法かもしれません。

やはり提案した側がより多く、実際活動における貢献度が高いほど多く効果を享受すべきではないでしょうか。
改善一件ごとに効果配分を行っても良いですし、初めから提案した側が60%とる、といった単純化したルールをあらかじめ決めておくのも一法かと思います。

効果のシェアの例としましては・・・・
輸送改善を実施し、輸送一回あたりのコストが2,000円下がったとします。この改善を共同で実施した場合、提案した側(業者と仮定)、提案された側(ユーザーと仮定)とで以下のようにシェアします。
輸送料率を800円のみ下げ、ユーザー側が享受する。一方、業者側は下がったコストの内1,200円相当を内部に留保する。

このように、お互い改善効果を享受できるようにすることでモチベーションを上げ、改善にドライブをかけていきたいものです。

ミスを減らす

人が行う作業についてミスはつきものです。しかし、このミスが取引関係に影響を及ぼすような重大な事態に発展してしまうこともあります。ミスはどうやってなくしていったらよいでしょうか。少しこれについて考えてみたいと思います。

いつも申し上げるのですが、私は物流現場のすべての基本は5Sだと考えています。5Sができていない現場に良い仕事ができるとは思えません。5Sがしっかりできていないとミスも発生しやすいと思います。

例えば、モノの置き方が決まっていない、現場に表示がされていない、在庫管理がしっかりできていないといった現場では大きな間違いを起こしかねないのではないでしょうか。

まず5Sをしっかりやった上で、ちょっとした工夫をすることがミスをなくすきっかけになるでしょう。

以下はちょっとした工夫の例です。
・ 類似品は写真を撮り、差異のある部分をクローズアップし、注意を喚起する
・ 商品番号が類似している場合、差異のある桁のみ大きな文字または色文字で表記する
・ 類似品の置き場所をあえて離す
・ ピッキング作業と出荷準備作業を別の担当者にやらせる

一方で、サポートシステムを導入している会社もあります。これらの整備には一定の投資が必要です。
・ ピッキング場にランプ指示装置を設置し、オーダーのかかった商品をランプが点灯して知らせる
・ ピッキングリストと商品ラベルにバーコードを取り付け、両方を読ませて一致を確認する

まずは金をかけずに、現場の工夫によりミスを減らす努力が必要です。私は金をかけるのは最終手段だと思っています。

徹底的に作業を標準化し、それを基準書に織り込むこと、ヒューマンエラーを避けるために注意喚起の表示をつけること、倉庫内の照度を保つこと等がまず我々としてやるべきことだと思います。

物流購買改善のコツ(13)

契約した会社とはお互いの成長のためにも、あらゆる分野で改善を進めていくことが必要だと述べてきました。

ユーザー側にとってみると、品質やコスト等が改善することでメリットがありますし、業者側にとって見ると、改善を進めることで企業体力とイメージが向上し、新たな顧客をつかむきっかけになるものと思われます。

欧米では一般的に行われている、SLA(Service Level Agreement)という手法があります。これは一定のパフォーマンス目標値を定め、それの達成度合いで支払い金額が変動するというものです。支払い金額を固定分と変動分に分け、固定分はパフォーマンスにかかわらず一定とし、変動分の支払い方についてルールを決めます。

以下に一つの例で説明します。
1)基本金額を100とし、固定分70、変動分30とする。
2) 変動分について、目標達成度合いにより以下の範囲で変動させる
〔槁乎成率 120%超  30×1.5
◆ ‘院  。隠隠亜鹹供 。械亜滷院ィ
  同   100%超  30×1.0
ぁ ‘院   。坑亜鹹供 。械亜滷亜ィ
ァ ‘院   。牽亜鹹供 。械亜滷亜ィ
Α ‘院   。牽亜鶲焚次。械亜滷
3) 結果として総支払い金額は70〜115の間で変動する

この基準は契約時に決めればよいと思います。
パフォーマンスの良否が直接支払い金額につながるため、業者の動機付けにもなり、一生懸命改善しようという気になります。

一方で、あまりにも達成のハードルが高すぎると、変動分は捨ててそこそこに仕事をすればいいや、という気にさせてしまいますので目標設定のさじ加減は慎重に行う必要があります。

ユーザー側としても何とか目標を達成できるよう、指導、サポートを行っていく姿勢が求められます。

物流購買改善のコツ(12)

業者との契約方式について、前回は新たに発生した仕事についてお話しましたが、今回は従来からの長期的な継続業務について考えてみたいと思います。

長期契約と一口に言っても、その実態は1年契約を自動更新しているパターンが多いのではないかと思います。契約書に5年とか10年とか明記してあるケースは少ないのではないでしょうか。

今まで特に問題と思うことがなかったため、お互い契約解除を申し入れることもなく、自動的にさらに1年更新しているパターンだと思います。

ここで『問題と思われることがなかった』ということがポイントです。問題がなかったのではなく、問題に気づかなかったということではないでしょうか。厳しい目で見たときに、品質、コスト、デリバリー、安全、マネジメント等について全く問題はなかったでしょうか。

前回もお話しましたが、継続的業務でもお互い改善を行いパフォーマンスを上げていく活動は必要です。しかし、今までお互い特段のプレッシャーをかけるでもなく進めてきた業務に、このような改善活動を行っていくことに抵抗を感じる場合もありそうです。

でも良く考えてください。改善もせずに日々業務を行っているだけでは何も進歩しません。改善しながらお互い成長していく関係が重要ではないでしょうか。そういう意味でも、じっくりと話をして将来の改善計画を作りましょう。その上でパフォーマンスをお互い評価していきます。そこから先は、前回お話したやり方と同様です。

いくら長い付き合いとはいえ、一定の緊張感は必要だと思います。ある程度の期間改善に取り組み、あまり進歩がないようでしたら契約を見直すことも考えるべきではないでしょうか。

物流購買改善のコツ(11)

今まで考察してきた入札方式と長期契約方式ですが、こうしたら良いのではと思われる、一つのやり方を紹介したいと思います。

まず新たな仕事が発生した場合は、必ず入札を実施し各候補会社に公平にチャンスを与えます。入札による決定プロセスについては以前お話させていただいたとおりです。
この時、継続的に仕事が発生する場合の取引期間は3年程度とします。期間を区切ることで、業者にも緊張感を持ってもらいます。

また、取引期間中は改善活動についてお互いに一定の目標値を合意します。これは必達目標とし、さらにチャレンジ目標を設定すると良いでしょう。
この改善活動では、品質、コスト、デリバリー、安全、マネジメント等カテゴリー分けして目標を設定します。

これらについて共同で改善活動を進めますが、定期的にお互いのパフォーマンスを評価します。評価の結果、遅れている部分については挽回方策を作成し合意の上実行します。また時期が来たらパフォーマンスの評価を行います。これを繰り返すことで、P−D−C−Aサイクルを回していきます。

契約更改の時期になりましたら、この結果で契約継続の可否を判断します。良いパフォーマンスを示していたならば、まず従来の業者に優先交渉権を与え、次回の契約交渉を行います。この交渉の結果が満足行くものでなければ入札へ移行します。
もしパフォーマンスが不十分であれば、従来業者との交渉を経ることなく、次回契約は入札で決めることにすれば良いと思います。

ここで大切なことは、取引期間中の改善活動について合意し、それを実行していくことです。これがお互いの発展に寄与していくことは間違いないと思います。
改善は共同活動ですので、一方だけがメリットを享受するだけではなく、Win−Winの状態にすることは言うまでもありません。

今回紹介した例は、パフォーマンス次第では優先交渉権により契約期間を延長可能なオプション付きのパターンです。

次回は従来からの長期契約についてどうするかについて考えてみたいと思います。
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