収益向上に貢献する物流コスト改善のコツ

会社の収益を圧迫しかねない物流コスト。会社の中で目に見えづらい物流コストを可視化し、今日からでも改善できるポイントをやさしく解説します。一緒に物流改善に取り組み、物流改善のプロとして収益向上に貢献しましょう。

2008年05月

トラックの稼働率について

トラックの効率を示す指標として、今回は「稼働率」を挙げたいと思います。

トラックの投資は安いものではありませんので、投資したからにはそれを目いっぱい活用したいものです。

そこで、この「稼働率」という指標を見ていく必要があります。
トラックの稼働率を測定する場合の分母は、24時間×365日で年間8760時間になります。
この内、車庫で停止している時間を除いた時間が稼働時間になります。

例えば、1日9時間稼働し、年間270日の営業日だったとします。
その場合の稼働率は、9時間×270日÷8760時間で27.7%となります。

一方で、1日18時間稼働し、年間300日の営業日だったとすると、稼働率は
18時間×300日÷8760時間で61.6%になります。

以外に稼働率が低いことに気がつかれたと思います。
これをタクシー会社の事例でいくと、車両の稼働率は80%以上だと思われます。

よく年末年始やゴールデンウイーク等の長期休暇中に稼働停止しているトラックを見かけますが、一方でこういう時期も極力動かしている会社もあります。

稼働率は大抵の会社ではとっている指標でしょうから、ベンチマークをとってみると興味深い結果に気づかされることと思います。

当然のことながら、1台の稼働率を向上させれば購入するトラックの台数は減ってきます。台数が減れば駐車スペースや管理費も減ってきます。
会社として、最も適切な稼働率をどこに設定するかは、投資やランニングコストにも影響を与える重要なファクターになります。

トラックの実車率について

今までトラックの効率を測る指標として、見かけの積載率と真の積載率ということについてご説明してきました。

トラックの効率を別の角度から見ますと、荷を積んで走行することで初めて付加価値をつけることができる、ということに注目すべきかと思います。

これは身近な例でいくと、タクシーの客を乗せて走って付加価値をつけるということと同義であると思います。
タクシーは空車のサインを出して流している時や、客待ちレーンに並んで次の客を待っている時間は付加価値を生じていません。メーターを倒して走って初めて「稼ぐ」ことができるわけです。

トラックもこれと同様で、荷を積んで走って「稼ぐ」ことができますが、空荷で走行したり、荷待ちで停車している時間はムダそのものです。
行きは積荷があるが、帰りは空荷というパターンが多いことと思います。契約形態によっては、往復で料率保障してもらうケースもあるかと思いますが、コスト意識の高いユーザーでは空の保障を自社で行うことはまず考えられません。そこで、復荷は自分で探さなければなりません。

ここで、この効率を示す指標として、「実車率」があげられます。総走行時間の内、どれだけ荷を積んで走行しているかの比率になります。輸送会社では、この指標をKPIとし、常にこの値を向上させるべく活動を実施することが重要です。

また、この実車率と積載率を組み合わせた指標も興味深いものになると思います。実車といっても、トラックの荷台の半分以下の荷物しか積んでいないことは不効率には変わりないからです。

いかに荷を積載して走行するか、しかも高積載率をキープしながら走行できるかを常に気にしながら輸送計画をたてていくことに努めていきたいものです。

投資と効果

先日物流効率化についてある会社の人と話をしていた時に、こんな事例がありました。

物流効率化を実施したいが、金はかけたくない、ということです。私も改善は原則としてお金をかけずにやるべきだと考えています。

しかし、少しの投資で大きな効率化ができるのが物流改善の特徴です。そういう投資対効果が大きい場合には金をかけてでもすぐに対応すべきだと思います。

典型的な事例が「輸送のための荷姿」です。物流コストのうち最も金額がかかるのが輸送です。輸送コストを下げるために、トラック積載率を向上することと、荷姿を改善して真の積載率を向上させることが必要だということは今までも述べてきたとおりです。

そこで、輸送に使う荷姿に注目するわけですが、その荷姿の充填率が低いものをよく見かけます。その要因を聞いてみると、中身の数量は変更できないが容器が大きいので「空間」ができてしまう、正規容器が足りないために一回り大きな容器を使っているので「空間」ができてしまう、という理由が聞こえてきます。

ではなぜ中身に見合った容器を開発しないのか、なぜ不足している容器を補充しないのかと聞くと、「金をかけてはいけない」という会社の方針があるからだと答えが返ってきます。

この論議の中で不足しているのが、大局的にものを見るということでしょう。物流に関心があれば、そういう荷姿を放置していることで毎日どれくらいのムダな支払いを発生させているかがわかるでしょう。しかし、大抵の会社ではそこまで物流に関心を寄せて見ていません。

容器に投資したとしても、一ヶ月で回収できてしまうことはいくらでもあります。今年は会社の予算は決まってしまったので今更追加できない、という言い分もありますが、その追加したい金額以上のムダが発生していることを放置することは利益を追求する民間企業ではある意味背信行為です。

このようなムダはぜひ会社の経営層に認識してもらうべきだと思います。

クロスドックを活用する(3)

物流についてあまり検討がされていない会社では、生産後にすべて直接ユーザーへ輸送するパターンをとっていることが多いようです。
この場合、常にトラック単位での発注がかかることはないでしょうから、どうしても積載率が低下してしまいます。

そこで配送センターを設けてそこまでは荷まとめして高積載率で輸送し、そこから客先へはオーダーに基づき配送するパターンが出てきます。
この方式を採用することで、配送センターまでの輸送効率を高めるとともに、客先へ短いリードタイムで届けることが可能になります。

一方で、配送センターには常に一定の在庫を保管しておく必要があります。在庫を保管することで倉庫代や容器代、それに伴う管理費が発生します。

そこで、クロスドックを導入し毎日一定の荷が動く場合にはその商品については配送センター方式からクロスドック方式へ変更し、コストを下げることを考えると良いと思います。

毎日トラックがいっぱいになるような荷があれば直送、複数の荷を集めればトラックがいっぱいになるようであればミルクランを行いながら混載輸送というパターンをとる。それができなければ配送センター方式やクロスドック方式を採用する、というように複数の物流パターンを考慮しながら輸送設計をしていきましょう。

また、場合によってはクロスドックと配送センターを組み合わせた物流基地を設けることも考えられます。

今回はクロスドックをご紹介しましたが、クロスドックの機能は乗せ換え機能なので、大がかりな設備は必要ないといったメリットもあります。荷を捌けるエリアがあればクロスドックを造ることは可能です。

ぜひ輸送効率化の選択肢の一つとして検討されることをお勧めします。

クロスドックを活用する(2)

クロスドックと倉庫の違いは、前者には保管機能がない(在庫を持たない)のに対し、後者には保管機能がある(在庫を持つ)ということです。

一般的な配送センターは在庫を保管し、客先のオーダーに基づき流通加工を行いながら商品を出庫していくことが主な機能になっています。
そこには一定量の在庫を保管し、売れた分だけ在庫を補充するというやり方が一般的です。

クロスドックはそもそも輸送効率化のための乗せ換えポイントにすぎないため、在庫保管機能は原則として持ちません。
その代り、荷の仕分け作業が発生します。
例えば、東北地方から輸送されてきた荷を、埼玉県にあるクロスドックで各県ごとに仕分けを行い、その県向けのトラックに積んで再度輸送されていく、といったやり方です。

そのため、クロスドックには仕分けを行うためのスペースが必要になります。
一般的には、クロスドックのフローは以下のようになります。
1. 着荷、荷降ろし(荷降ろし場)
2. 仕分け作業(仕分け場)
3. 出荷準備(出荷場)
ただし、効率化のためには、2の仕分け作業を1の荷降ろしの時に同時に実施してしまうことも行われています。
その場合には、到着したトラックから荷を降ろしながら方面別出荷レーンに並べていきます。
荷ばらしの必要のない一貫荷姿になっていればこの方式で効率化を図ることができます。

一方、一つの荷姿に複数方面の商品が混載されている場合には仕分け作業が発生します。したがって、最も多いパターンは、一貫荷姿は直接出荷準備場へ荷降ろしし、混載荷姿は荷降ろし後に仕分け場に運び、仕分けを行った後に出荷という2つの複合パターンだと思います。

このクロスドックを採用することのメリットとして、輸送積載率を向上できるということがあります。クロスドックを介さずに直接ユーザーまで輸送したり、配送センターにいったんストックして、改めてオーダーに従って配送するパターンもありますが、その違いについては次回ご紹介します。

クロスドックを活用する

多方面から荷を集荷し、また多方面へ荷を配送するといった複雑な輸送を行わなければならない会社は多々あると思います。

こういった輸送を行っている会社の代表格が日本郵政であり、ヤマト運輸や日本通運といった、宅配業務を行っている会社です。

ここまで大々的にならずとも、全国の複数の地域から集荷の上また複数の地域へ配送する場合には、効率的な輸送網をデザインすることが重要です。

そこで登場するのが「クロスドック」という物流機能です。これは一種の物流センターで、トラックが集まるターミナルのイメージです。

身近な例で説明すると、電車のターミナル駅のようなものです。
東京駅を例にとって考えてみましょう。
東京駅には東海道線や東海道新幹線、東北新幹線、総武線、地下鉄各線等々のさまざまな路線が乗り入れています。

ある人は山手線で東京駅に入り、東北新幹線に乗り換えて仙台まで行く、別の人は東北新幹線で東京駅に入り、総武線に乗り換えて千葉まで行く、といった無数の乗り換えパターンがあります。

クロスドックとは、このターミナル駅のようなもので、各地から集まった荷を何時間後には別の地域に向かうトラックに乗せ換えて出発していきます。

クロスドックの特徴の一つが、この多方面からの入りと出の機能があるということです。また、二つ目の特徴として、クロスドックを通る荷は原則としてクロスドック内に保管されないということです。つまり、荷は「在庫」となることなく、長くても一日以内にそこから出ていくのです。

クロスドックは形としては倉庫のように見えますが、物流業界ではそれを倉庫ではなく、荷の乗せ換え場という位置づけにしているのです。

物流子会社について

日本の特徴といえるかもしれませんが、メーカーではその子会社として物流会社を持っていることが多いです。その場合、一般的には物流業務をその子会社に発注することになるでしょう。

では、なぜこのような物流子会社が増えてきたのでしょうか。それは、今まで社内の一部門であった物流部門を分離独立して自社の効率化を図ろうという狙いがあったものと思われます。

親会社としては、物流専門集団とすることで物流のプロを多く育てることで結果的に親会社の物流コスト削減に寄与させようとしたのだと思います。

では実態はどうでしょうか。確かに名前の知られている物流会社には親会社に貢献するだけではなく、他社からも仕事を積極的に取り込み、業容拡大していく会社もたくさんあります。

一方でそれ以上に、親会社からの発注に頼り、それがないとやっていけない、という会社が存在します。

そもそも物流子会社の役割とは何でしょうか。私は最低でも親会社の収益に貢献できることだと思います。そのために、低コストでの業務提供を実施することは当然のこととして、さらに親会社の物流を常に診断し改善向上させていくことができなければならないと判断しています。

なんとなく「しがらみ」があり、高コストにもかかわらず子会社を使い続けているということは多々あると思います。これはそのままにしておくのではなく、期限を定めて子会社の経営支援をしていくべきでしょう。将来的には独り立ちさせることを目指してサポートしていくことは、親会社としての使命かもしれません。

物流子会社も親会社に頼りきりになるのではなく、独立できるように努力していくことが必要です。

営業拠点と物流拠点

かつて営業拠点と物流拠点が一緒になっている会社が多くありました。一階が倉庫でその二回に事務所があり営業部隊はそこにいるパターンです。

一つの会社でも、国内に何拠点もこのような支店を持ち、各地域への顧客へ対応していくことができます。

このような拠点では、緊急オーダーがあれば営業マンが倉庫に行き該当商品を出荷し自ら顧客のもとへ届けるということを行っています。

繁忙期になれば、事務所のスタッフも倉庫に行って梱包や出荷業務を実施するといったことも行われているようです。

ところが最近はこういったパターンに代わって、物流センターを設けていく会社が増えてきました。商品の発注は従来通り営業所で受け付けますが、発送は物流センターで行います。

このパターンに変更することで、今まで全国に50箇所あった物流拠点が10箇所程度に集約され効率化を図ることができます。

これは商流と物流を分離させることで、物理的な部分はインフラもシステムも人員も集約し統合し、大きな効率化を図ることができるものと考えられます。
また、物流機能を統合することで、次のステップとしてアウトソースも可能となります。それにより、さらにコストダウンを図ることができるでしょう。

そもそも商品を開発して販売することがその企業にとってのコア業務であるならば、物流機能は分離し、専業会社に任せて効率を図った方が企業収益にとって有意義かもしれません。

こういった分離は今後さらに増えてくるものと考えられます。物流専業会社であれば、このようなビジネスモデルをメーカーに提案し、積極的に物流業務を請け負っていくことも必要ではないかと思います。

在庫に着目する(4)

在庫をきちんと管理していくために、「適性在庫」を設定し、それを遵守していくことが求められます。

皆さんは工場に行かれた時に在庫置場に注目されたことはあるでしょうか。私は初めての工場に行った時は、まず「床」と「在庫」に注目します。この二つがしっかりと(床の場合はきれいに)管理されているかどうかで、大体のその工場(倉庫)の実力が推測できます。

在庫置場では「ルールを決めてそれを守っているか」を簡単に判断できる方法があります。まず部外者であるあなたが見て、ルールがあるな、それが守られているな、とわかるかどうかです。つまり、誰の目で見てもわかる状態にしておくことが基本で、質問しないとわからないようでは良く管理できているとは言えないでしょう。

まず在庫の置き場所が決められているか。固定ロケーション(座席指定)か、フリーロケーション(自由席)かは表示を見ればすぐわかるはずです。区画線もなく、このあたりに置くといったいいかげんな管理では論外です。

次に在庫の基準があり、量が見た目でわかるか。大抵の在庫置場には、在庫の最大値と最小値が表示されています。その範囲にあればまず正常だと判断できます。

どの在庫から使っていくか、つまり先入れ先出しができる置き方になっているか。他の物を移動しないと欲しいものを取り出せないような置き方になっていることは望ましくありません。そのような置き方をすると、古いものがずっと残ってしまう可能性があります。

アクションの緊急度がわかる状態になっているか。場合によっては緊急で生産指示をかけなければならないこともあります。基準値を切り、すぐにアクションを起こさなければならないと判断できる表示や目印がついているかどうか。

上記にあげた在庫管理の基準を「在庫管理の4原則」と呼びます。これはいずれも誰が見てもわかる状態になっていなければNGです。新入社員であっても、パートさんであっても、その日にたまたま応援で来た人にもです。

皆さんも、機会があればこういった観点で在庫の状況をご覧になってみることをお勧めします。

在庫に着目する(3)

商品の種類数について、もう少し付け加えさせていただきます。

商品ごとの売り上げデータを多い順に並べていくと、売上が滞っている商品が見えてきます。これらの商品は売りには貢献しない一方で、物流コストを発生させています。

売れなくても存在しているだけで保管スペースや容器などのコストを発生させています。また、それに関わる管理コストも発生させています。「在庫管理」の観点から見ても、種類数が多くなると管理も煩雑になり、間違いが発生する要因にもなります。

ここで、商品の統廃合が必要になってきます。売りに貢献しない商品は廃止することで、企業の資源を売れる商品に集中していくのです。「人・物・設備」の資源を集中し、コストの効率化を図ることで企業収益に貢献していくのです。

こういった活動を実践している業界として、大手日用雑貨メーカーの話を聞いたことがあります。この業界では、スーパーに行くとわかりますが、多くの種類の商品を販売しています。その一方で、商品数の上限を定めているそうです。日本でも屈指の物流先端企業の花王もこういった商品管理にはかなり気を配っていると思われます。

一方で失敗事例もあります。商品の統廃合を実施しても、年月がたつにつれ次第にまた商品数が増えてしまう、という事例です。せっかく改善を実施しても、「歯止め」がかかっていなかったためにもとに戻ってしまうのです。

改善のプロセスで、「歯止め」というプロセスがあります。これは改善効果を持続させるために後戻りしないための「仕組み」を作るということです。失敗事例では、この「歯止め」を設けなかったために、せっかく実施した改善が長続きしなかったのです。

こうならないためにも、「商品数の上限」という「歯止め」を定め、それで改善が後戻りしないようにしていくことが重要でしょう。

商品の種類数については、物流部門と営業部門の連携を密にとるとともに、営業部門にもコスト意識をもってもらいながら自社の最適解を見つけていきたいものです。
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