宮崎県で猛威をふるう家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)。懸命の防疫作業が続く一方、関係者は国の特例措置で移動制限区域から避難させた高級牛ブランド「宮崎牛」の種牛6頭の経過観察(20日までの7日間)に注視している。19日現在、変調は見られないといい、6頭の無事は、口蹄疫で疲弊する宮崎県にとっては一筋の光でもある。【古田健治】

 県家畜改良事業団(高鍋町)の福之国(ふくのくに)、勝平正(かつひらまさ)などエース級種牛6頭は13日、荷台を青いシートで覆ったトラック2台に載せられ、県警のパトカーに警護されながら北西に約24キロ離れた西都市内の簡易畜舎に運ばれた。周囲5キロに畜舎はなく、獣医師など6人が牛のそばに寝泊まりしながら健康状態をチェックしている。

 この移動の2日後、事業団で感染疑い牛が確認され、約22万頭の子牛の父となったスーパー種牛「安平」など種牛49頭を含む308頭が殺処分。49頭の多くは次代を担うと期待されていた。生き残った6頭のうち5頭が安平の優良な遺伝子を受け継いでおり、関係者の希望をつなぐ。

 しかし、県などによると、種牛を育てるには通常約7年かかるという。最初の3年で生育状況をみて、種牛としての能力を検定。次の4年で県内農家の優秀な雌牛に人工授精して生まれた子牛の肉質を調べ、遺伝的に評価され、ようやく種牛と認められる。現在は年間1、2頭しか誕生しておらず、単純に49頭を復活させるには25年はかかる計算だ。

 種牛の選抜にかかわっている宮崎大の原田宏副学長(家畜育種学)も「種牛育成は長年、県内で遺伝子を固めてきており、再生のために県外の優秀な血を入れてもばらつきが出てくる恐れもある」とブランド再生の厳しさを認める。ブランド復活への道のりは長く、険しい。

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