比企谷「八十稲羽に転校…え?マジで?…」2スレ目 前編 

355: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 10:50:50 ID:IZPNVGg.

     ガララッ!

比企谷「大丈夫か!? 由比ヶ浜!」

雪ノ下「由比ヶ浜さん!」


由比ヶ浜「!!!」

由比ヶ浜「ヒッキー……ゆきのん……」


花村「とりあえず、元気そうだな」

里中「けど……」

天城「【シャドウ】が……!」

白鐘「……ここからは、比企谷先輩に任せましょう」

りせ「きっと、大丈夫……だよね?」

クマ「クマ! センセイはやってくれるクマ!」

引用元: 比企谷「八十稲羽に転校…え?マジで?…」2スレ目

 

 
356: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 10:52:09 ID:IZPNVGg.


影・結衣『へえ……ちょうどいい所にゆきのん来てくれたね』

影・結衣『いっその事、ここでゆきのん殺しちゃいなよ!』



雪ノ下「!?」

比企谷「!?」


由比ヶ浜「な、何、言ってるのよ!?」


影・結衣『前々から気に入らなかったんでしょ?』

影・結衣『だってゆきのん、ヒッキーを見送りにも来なかったくせに』

影・結衣『ちゃっかり八十稲羽に転校しててさ……』


由比ヶ浜「や、止めて……止めてよ!」

357: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 10:53:27 ID:IZPNVGg.


影・結衣『なにそれ、意味わかんない』

影・結衣『興味ないフリして、こっそりヒッキーを盗ろうとするヤな女なんだよ?』

影・結衣『さっさと殺してしまえば、楽勝だって思ってたでしょ?』


由比ヶ浜「違う! そんな事、考えてないもん!」


影・結衣『ふふふ……そんな事言って』

影・結衣『八十稲羽に来るたび、ゆきのんとヒッキー、どんどん仲良くなっていくの』

影・結衣『歯ぎしりして悔しがっていたじゃない』


358: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 10:54:33 ID:IZPNVGg.

由比ヶ浜「違う違う違う! 違う!」


影・結衣『まだそんな事、言うんだ? それにヒッキーも酷いよね……』

影・結衣『修学旅行でこっちに来た時ですら邪魔者扱いするし』

影・結衣『言わなくても察して欲しいよね』


由比ヶ浜「止めて……もう、止めてよ!」

由比ヶ浜「あなた、いったい誰なの!? 何で、そんな事言うの!?」

359: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 10:56:16 ID:IZPNVGg.


影・結衣『私? ふふふ……私はあなただよ、由比ヶ浜結衣』


由比ヶ浜「!?」

由比ヶ浜「な、何を言って――」

雪ノ下「由比ヶ浜さん、ごめんなさい」

由比ヶ浜「むぐっ!?」

雪ノ下「今、説明するから」

比企谷「……由比ヶ浜、落ち着いて聞いてくれ」

比企谷「あれは……お前なんだ」

由比ヶ浜「!?」

     ――なんで――

比企谷「混乱するだろうが、ここはそういう世界なんだ」

360: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 10:57:17 ID:IZPNVGg.

比企谷「自分の中の最も嫌な部分、暗い気持ち……」

比企谷「そういった、人の負の一面が具現化してしまう」

由比ヶ浜「…………」

     ――なんで、そんな事言うの?――

雪ノ下「……私にもああいうのがあった」

雪ノ下「そこに居るみんなも色々と抱えていて、それぞれでそれを受け入れてきた」

雪ノ下「誰でも同じなの。 みんなそういう自分が居るの」

雪ノ下「だから……恥ずかしいけど、後ろめたい事じゃない」

由比ヶ浜「…………」

     ――それは――

     ――ゆきのんだから、じゃないの?――

雪ノ下「由比ヶ浜さん。 詳しくは後で話すわ」

361: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 10:58:09 ID:IZPNVGg.

比企谷「自分の心と向き合ってくれ、由比ヶ浜」

雪ノ下「……いい? 由比ヶ浜さん」

雪ノ下「口から手を離すわよ?」

     スッ…

由比ヶ浜「……はっ」

由比ヶ浜「…………」

比企谷「…………」

雪ノ下「…………」


影・結衣『茶番はおしまい?』


由比ヶ浜「うん……最初からわかってるよ」

362: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 10:59:13 ID:IZPNVGg.




由比ヶ浜「あなたは……私じゃないって!!」




比企谷「!」

雪ノ下「!」

一同「!」


     ズウウウウウウウウウンッ……!


影・結衣『ふふふふふふ……』

影・結衣『あはははははははははははははははははははははははははははっ!!』


     ドンッ!!


363: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:00:35 ID:IZPNVGg.


由比ヶ浜「」 ドサッ…


影・結衣?『我は影……真なる我……』

影・結衣?『……ふふふ……殺してやる』

影・結衣?『ゆきのんんんんんんっ!!』


     グワッ!!


雪ノ下「!!」


     ガシッ!!


比企谷「大丈夫か? 雪ノ下」

雪ノ下「……ええ」

364: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:01:32 ID:IZPNVGg.


影・結衣?『……なんで邪魔するの……ヒッキー』

影・結衣?『私はこんなにもヒッキーの事、大事に想ってきたのに……』

影・結衣?『どうして……私を見てくれないのぉぉぉぉっ!!』


     グワッ!! ガギィッ!!


比企谷「…………」

雪ノ下「…………」


     ……正直。 キツイと思った。


花村「比企谷! 今は【シャドウ】の暴走を止める事を考えろ!」

白鐘「そうです! あれは由比ヶ浜さん全ての意見じゃありません!」

365: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:02:30 ID:IZPNVGg.



     ……んな事は頭でわかってる。



天城「由比ヶ浜さん、今、助けてあげるから!」

里中「だから……ちょっとだけ我慢して!」

クマ「ユイちゃん、頑張るクマ!」

りせ「サポートは任せて!」



     でもよ……由比ヶ浜の【シャドウ】は……

     泣きながら雪ノ下だけを狙ってくるんだぜ?



比企谷(由比ヶ浜……)

366: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:03:41 ID:IZPNVGg.



     強いか、弱いか、で言えば

     由比ヶ浜の【シャドウ】は弱い方だろう。

     先に戦ったハイブリット【シャドウ】生田目の方が圧倒的に強い。



     しかし……精神的なダメージは、こちらの方が大きかった。

     由比ヶ浜の一面にすぎない、としても……

     雪ノ下を殺したい程憎んでいるのは間違いない。



367: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:04:49 ID:IZPNVGg.







     そんな事が……分かってしまったのだから







368: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:05:51 ID:IZPNVGg.


―――――――――――


影・結衣『…………』


花村「……終わったな」

花村(けど……)

白鐘(……比企谷先輩)

天城(由比ヶ浜さん……ここまで雪ノ下さんの事を……)

里中(これだけが由比ヶ浜さんの気持ちじゃないって、わかってても……)

りせ(辛い……)

クマ(ユイちゃん……)


由比ヶ浜「……う、ううん」


比企谷「気がついたか……由比ヶ浜」

雪ノ下「由比ヶ浜さん……」

369: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:06:59 ID:IZPNVGg.

由比ヶ浜「ヒッキー……?」

由比ヶ浜「!!」


影・結衣『…………』


由比ヶ浜「ち、違うの! あれは……!」

比企谷「落ち着け、由比ヶ浜」

比企谷「さっきも言ったが、あれはお前の一面にすぎない」

比企谷「由比ヶ浜の全てがああじゃないとわかっている」

比企谷「だから……」

由比ヶ浜「全然わかんないよ! ヒッキー!」

比企谷「!?」

雪ノ下「!?」

370: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:08:21 ID:IZPNVGg.

由比ヶ浜「わ、私が……ゆきのんを殺したい、なんて……」

由比ヶ浜「思うわけないし!」

比企谷「ゆ、由比ヶ浜……」

由比ヶ浜「あ、あんなのが私なわけ、ないって……!」

由比ヶ浜「ね、ヒッキー? そうでしょ!?」

由比ヶ浜「私は――」

由比ヶ浜「あんな事、考える人間じゃないっ!」


影・結衣『…………』


     シュウウウウウ……


一同「!!!!!!」

371: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:09:31 ID:IZPNVGg.

花村「ひ、比企谷!! やべぇ!!」

里中「由比ヶ浜さんの【シャドウ】が……!」

天城「【シャドウ】が、崩れて消え始めてる!?」

白鐘「ど、どうしたんですか? みなさん?」

白鐘「何かまずいんですか?」

りせ「前の……久保の時もこうだったの!」

りせ「自分と向き合わなかった久保の【シャドウ】は、少しずつ崩れながら消えていって……」

りせ「その時こそ何でもない感じだったけど、数日後……」

白鐘「!!」

白鐘「拘置所内での謎の変死! まさかあれは!?」

372: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:10:21 ID:IZPNVGg.

クマ「ユユユユユ、ユイちゃん! ダメクマよ!」

クマ「自分と向き合うクマ!」

花村「そ、そうだぜ! 由比ヶ浜さん!」

花村「みんな同じなんだ! 俺の【シャドウ】もそりゃ酷いもんで……」

由比ヶ浜「っ! み、みんなまで、私があんな事を考える人だと思ってるの!?」

由比ヶ浜「酷いよ! あんなの、私じゃないのに!!」


     シュウウウウウ……


影・結衣『………


雪ノ下(……どうしたら)

雪ノ下(どうしたら、いいの!?)

雪ノ下(たぶん……私が何か言っても逆効果)

雪ノ下(由比ヶ浜さんっ……!!)

373: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:11:15 ID:IZPNVGg.

比企谷「…………」



     ……これしかないな。 たぶん



比企谷「…………」



     なんで……俺は、こんな事思いつけるんだろうな?



374: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:11:57 ID:IZPNVGg.

比企谷「…………」



     考えてもしかたねぇか……



比企谷「…………」



     ぼっちには慣れているし……な



比企谷「…………」 クスッ…

375: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:13:04 ID:IZPNVGg.

里中「ゆ、由比ヶ浜さん、落ち着いて!」

由比ヶ浜「うるさいよっ! みんな、みんな……酷いっ!」


比企谷「そうか……残念だな、由比ヶ浜」


由比ヶ浜「……え?」

由比ヶ浜「ざ、残念って……どう言う意味? ヒッキー?」

比企谷「そのままの意味だ」


雪ノ下「……!」

雪ノ下(比企谷くん、まさかあなた!?)

376: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:13:56 ID:IZPNVGg.

由比ヶ浜「そのままって……訳わかんないよ!」

比企谷「だろうな」

比企谷「由比ヶ浜は俺を……俺たちを信用していないから、当然だな」


由比ヶ浜「!?」

一同「」


花村「ひ、比企谷、何を――」

白鐘(花村先輩……気持ちはわかりますが、もう時間がありません)

白鐘(比企谷先輩を信頼しましょう)

花村(…………)

花村(……わかった)

377: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:14:59 ID:IZPNVGg.


影・結衣『…


     シュウウウウウ……


由比ヶ浜「し、信用してないって……」

比企谷「何度も言うが、あれはお前なんだ」

比企谷「俺たちは経験でそれを知っている。 由比ヶ浜がどれだけ否定しようともな」

由比ヶ浜「……っ」

比企谷「だが、それでもお前は違うと言い張る。 何故か?」

比企谷「【シャドウ】を認めてしまったら、俺たちがお前を嫌悪すると思っているからだ」

由比ヶ浜「ち、ちがっ――」

比企谷「残念だな」

378: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:16:10 ID:IZPNVGg.

比企谷「花村たちはともかく、俺と雪ノ下は」

比企谷「総武高校で過ごした時間がある。 多少は信頼関係を築いていると思ってた」

比企谷「だが……そうじゃなかったんだな? 由比ヶ浜?」

由比ヶ浜「…………」

比企谷「はあ……やっぱり、か……」

比企谷「由比ヶ浜は所詮、俺をその程度にしか見てな……」


由比ヶ浜「……違う」


比企谷「……何が違うんだよ?」

由比ヶ浜「私は……ヒッキーの事、信頼してないんじゃない」

由比ヶ浜「ただ――」

比企谷「ただ?」

379: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:16:57 ID:IZPNVGg.

由比ヶ浜「ヒッキーに……」

比企谷「…………」

由比ヶ浜「ヒッキーにこんな自分を……見せたくなかった……!」

由比ヶ浜「私……ぐすっ……ヒッキーには……」

由比ヶ浜「綺麗な……うぐっ……自分を……見ていて欲しかった……」

由比ヶ浜「それだけ……ひっく……それだけ……だったの……」


一同「…………」


比企谷「…………」 チラッ

380: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:18:12 ID:IZPNVGg.


影・結


     シュウウウウウ……


比企谷(くそっ……! まだ止まらねぇ!)


比企谷「――由比ヶ浜」

由比ヶ浜「ぐすっ……えぐっ……ひっく……?」

比企谷「汚い自分と向き合った奴ってどう思う?」

比企谷「端的に言うと、花村たちって、汚い奴に見えるか?」

由比ヶ浜「ひぎっ……ぐっ……見え……ない」

比企谷「なら……由比ヶ浜も大丈夫だ」

比企谷「認めてやれ……綺麗じゃない自分を」

比企谷「そして、俺を信頼していると証明してみてくれ」

由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜「…………」

381: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:19:02 ID:IZPNVGg.


影・糸


     シュウウウウウ……


比企谷(……早く、早くしろ! 由比ヶ浜!)

雪ノ下(由比ヶ浜さん……!)

花村(ああもう……! くそっ!)

里中(認めちゃえば、なんて事ないんだからっ!)

天城(お願い、由比ヶ浜さん!)

白鐘(間に合って……どうか!)

りせ(急いで……!)

クマ(およよよよよよよよよっ!!)

382: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:19:57 ID:IZPNVGg.

由比ヶ浜「……そうだよ」

比企谷「!!」

由比ヶ浜「私……ゆきのんに……居なくなって欲しかった!!」


影・'  ピタッ


一同「!!」

一同(消えるのが、止まった!!)


由比ヶ浜「全部……全部! あいつが言ってた通りっ!」

由比ヶ浜「なんで!? どうして、いつもゆきのんばっかり、ヒッキーのそばにいられるの!?」

由比ヶ浜「おかしいよ、こんなのっ……」

雪ノ下「……っ」

383: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:20:53 ID:IZPNVGg.

由比ヶ浜「私……私の方、が……」

由比ヶ浜「絶対……頑張って、る……の……に……」

由比ヶ浜「」 ガクッ…


比企谷「……!?」

比企谷「由比ヶ浜!?」



     ――ああ、そっか――

     ――私、何になりたいのか――

     ――やっとわかった――



雪ノ下「由比ヶ浜さん! 返事して!」

384: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:22:00 ID:IZPNVGg.



     ――そうだね――

     ――確かにあなたは私で――

     ――私はあなただったんだ――



里中「!」

里中「見て! 由比ヶ浜さんの【シャドウ】!!」



     ヒィイイ……イイイ……インッ……



花村「ペ、ペルソナ……?」

天城「なんだか……弱々しい感じ」

白鐘「間に合った……のか?」

385: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:23:04 ID:IZPNVGg.

りせ「ヒミコ!」

りせ「…………」

りせ「!?」

りせ「な、なんで!? どうして!?」

比企谷「どうした、久慈川!?」

りせ「由比ヶ浜さん、信じられないくらい衰弱してる!!」

りせ「血圧、脈拍……心臓の鼓動まで弱くなってるよ!!」


一同「!?」


比企谷「ど、どういう事だ!? おい!?」

386: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:24:05 ID:IZPNVGg.

白鐘「詮索は後回しです!」

白鐘「急いでこの世界を出て、病院に向かいましょう!」

花村「そ、そうだな! それがいい! つか、それしかねぇ!」

里中「ついでに生田目も連れて行かないと……!」

天城「そういえば、あの人も弱ってたっけ……」

クマ「とにかく急ぐクマー!!」


―――――――――――


387: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:25:14 ID:IZPNVGg.



     テレビの世界を出た後

     俺たちはすぐ救急車を呼び、由比ヶ浜と生田目を病院へかつぎ込んだ。



     ここからは……俺たちにどうする事も出来無い。

     ICU(集中治療室)へ運ばれる由比ヶ浜を見送りながら

     俺は……由比ヶ浜の回復を願った。



388: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:26:04 ID:IZPNVGg.


―――――――――――


足立宅


     ルルルルル……ルルルルル……ガチャ

比企谷「もしもし……戸塚か?」

比企谷「ああ、見つかった……」

比企谷「…………」

比企谷「…………」

比企谷「……それがな、手放しじゃ喜べないんだ」

比企谷「由比ヶ浜……相当衰弱してて……」

比企谷「今、八十稲羽総合病院に居る」

比企谷「…………」

389: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:26:55 ID:IZPNVGg.

比企谷「……お前のせいじゃない」

比企谷「…………」

比企谷「……そうか」

比企谷「…………」

比企谷「なら……ひとつ、頼まれてくれないか?」

比企谷「由比ヶ浜の家族に……この事を伝えて欲しい」

比企谷「この電話を切った後、病院の連絡先をメールしておく」

比企谷「……嫌な事させて……すまん」

比企谷「…………」

比企谷「ああ……言われなくても休むさ」

比企谷「もう……限界だからな……」

390: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:27:59 ID:IZPNVGg.

比企谷「じゃ……」

     ブッ…… ツー ツー

比企谷「…………」 ピッピッピッ…

     ピピロピンッ♪

比企谷「……これでよし」

比企谷「…………」

     ドサッ…

比企谷「…………」

391: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/05(日) 11:29:51 ID:IZPNVGg.








     疲れた……







398: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:14:38 ID:OamLDi8k
     

―――――――――――


テレビ『次のニュースです』

テレビ『八十稲羽市で起こった連続殺人事件ですが』

テレビ『警察はようやく重要参考人の身柄を確保した、と発表しました』

テレビ『先ごろ捕らえられ、拘置所内で謎の変死体となった未成年の容疑者は』

テレビ『地元高校教師、諸岡金四郎さんの殺害のみである可能性が高いとし』

テレビ『誤認逮捕ではないが、真相を取り違えるところであった、と』

テレビ『やや、危うさをうかがわせる内容のコメントを行っております』

テレビ『また』

テレビ『身柄を確保した重要参考人ですが』

テレビ『衰弱が激しく意識も回復していない為、現在、病院に入院している、との事です』

テレビ『続きまして……』

399: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:15:43 ID:OamLDi8k


―――――――――――


放課後

学校の屋上


里中「はあ……」

天城「…………」

天城「あれから……もう二週間くらいになるね」

里中「……うん」

天城「…………」

里中「…………」

400: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:16:47 ID:OamLDi8k

里中「由比ヶ浜さん……まだ意識が無いんだってね」

天城「……早く、元気になって欲しい」

里中「それはあたしもそう思うじゃん」

里中「けど……」

天城「うん?」

里中「…………」

里中「今回ばかりは、比企谷くんに愛想が尽きた」

天城「千枝……」

里中「そりゃあね? 時間もなかったし、あたしには説得する自信も考えも浮かばなかった」

里中「でも、あんな……由比ヶ浜さんの心を追い詰めるみたいなやり方」

里中「納得できない」

天城「…………」

401: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:17:39 ID:OamLDi8k

里中「後出しジャンケンだけど……」

里中「もっと……由比ヶ浜さんの気持ちを考えて」

里中「そんなお前でもいい!とか、二人で一緒に受け入れよう!とか」

里中「やり様はあったと思うじゃん?」

天城「…………」

天城「……かもしれない」

天城「でも、比企谷くんも辛くない訳ないよ、きっと」

里中「…………」

里中「だとしても」

里中「あたしはもう、比企谷くんとは当分顔を合わせたくない」

天城「千枝……」

402: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:18:30 ID:OamLDi8k

里中「ともかく」

里中「真犯人の生田目は捕まったんだし……」

里中「もう事件の事、早く忘れてしまいたいじゃん」

天城「…………」

天城「……うん」

天城「それは……私もわかる気がする」

里中「はぁ~あ……」

里中「何でうちらの学校、席替えないんだろう?」

里中「雪ノ下さんと代わってもらおうかな……」

天城「…………」

403: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:19:14 ID:OamLDi8k

ジュネス バックヤード


花村「おーい、クマ」

花村「一息入れようぜ」

クマ「わかったクマ!」

―――――――――――

クマ「今日もお客さんいっぱいクマね~」

花村「売り上げ的には横ばいらしいけどな」

クマ「…………」

花村「…………」

クマ「ユイちゃん……元気になるクマよね?」

花村「たりめーだ」

404: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:20:06 ID:OamLDi8k

クマ「…………」

クマ「ヨースケ、センセイはどうしてるクマ?」

花村「ふつーに学校に来て、ふつーに授業受けて」

花村「ふつーに帰ってるぜ」

クマ「…………」

クマ「本当クマ?」

花村「嘘ついてどーすんだよ」

クマ「…………」

クマ「ヨースケ、クマは頭悪いから……よくわからんクマけど」

クマ「クマ……どうしてか、センセイと顔を合わせづらいクマ」

花村「…………」

クマ「どうしたらいいクマ?」

405: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:20:53 ID:OamLDi8k

花村「…………」

花村「……俺にもわかんねぇ」

花村「けど今は……しょうがねぇと思う」

花村「由比ヶ浜さん、元気になったら……きっといい方向に変わるさ」

花村「たぶんだけどな」

クマ「…………」

クマ「そうクマね」

クマ「ユイちゃん元気になったら、センセイもクマ達もきっと変われるクマ!」

花村「ああ」

花村「…………」

406: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:21:43 ID:OamLDi8k

鮫川 河川敷公園

ベンチ


白鐘「ふう……」

??「お疲れ様、白鐘くん」

白鐘「え?」

白鐘「……久慈川さん」

りせ「隣、いい?」

白鐘「どうぞ」

     ストンッ

りせ「まだ事件の事、調べてるの?」

白鐘「ええ」

407: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:22:39 ID:OamLDi8k

白鐘「詳しくは、生田目が目を覚ましてからですが」

白鐘「どうにも腑に落ない事がいくつかあって……」

りせ「そう……相変わらず熱心ね」

白鐘「……ただのわがままです」

白鐘「どう言えばいいのか……ほら、ジグソーパズルがあるとしますね?」

りせ「うん」

白鐘「徐々に出来上がっていくけど、あと数ピース足りない」

白鐘「……いえ、そうじゃなくて」

白鐘「似通ったピースがいくつかあって、それがどれもピッタリとハマらない」

白鐘「何だか……そんな気がするんです」

408: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:23:50 ID:OamLDi8k

りせ「ふうん……」

白鐘「…………」

白鐘「久慈川さんは……比企谷先輩と何か話しましたか?」

りせ「……ううん」

白鐘「そうですか……」

りせ「由比ヶ浜さんの気持ちを考えると……なんか、後味悪くて」

白鐘「…………」

りせ「由比ヶ浜さん、一番好きな人に一番見られたくない自分を見られて」

りせ「一番言われたくない事……聞かされたんじゃないのかな?」

白鐘「…………」

りせ「白鐘くんは、あの時の比企谷先輩 どう思ってるの」

白鐘「…………」

白鐘「……難しい質問ですね」

409: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:24:43 ID:OamLDi8k

白鐘「僕も他に方法はあったんじゃないか?と、自問自答しますし」

白鐘「自分が彼女の立場になってあれを言われたら……と考えると、恐ろしくなります」

りせ「…………」

白鐘「でも……」

りせ「でも?」

白鐘「あんなに時間が差し迫った状況で……」

白鐘「即座に、躊躇なく、あの行動を取れたのは彼だけです」

白鐘「そこは尊敬してますよ」

りせ「…………」

りせ「あたしは逆かな」

りせ「躊躇なく、あんな言葉を言えるなんて……」

白鐘「…………」

410: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:25:43 ID:OamLDi8k

八十稲羽総合病院

待合室


比企谷「…………」

比企谷(今日も変化なし……か)

比企谷(…………)



     あれから……連絡を受けた由比ヶ浜の両親は

     仕事の関係もあって、母親が単身八十稲羽に来て暮らしつつ

     由比ヶ浜の世話をしている。



411: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:26:45 ID:OamLDi8k



     由比ヶ浜の病状はずっと思わしくなく……

     動かせる状態では無いからだ。



     警察から事情を聞いて、誘拐された結果こうなったと知ると

     父親は犯人に会わせろ、と、すごい剣幕だったとか。

     ……当然だよな。



412: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:27:37 ID:OamLDi8k



     俺や花村達は、母親と面識ができ

     いつでも、毎日でも、見舞いに来てやってくれと頼まれている。

     ……父親の方は、俺たち男連中を快くは思わなかったみたいだが。



     それでも一応許可はしてくれた。

     頻繁に訪れるのは、さすがに迷惑なので3~4日に一度くらいにしている。

     後は……



413: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:28:24 ID:OamLDi8k

比企谷「…………」

比企谷(早く……目を覚ましてくれ由比ヶ浜)

比企谷(あれが最後なんて、無しだからな……)

比企谷(…………)

比企谷(じゃ、またな、由比ヶ浜)


―――――――――――


414: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:29:41 ID:OamLDi8k

翌日の放課後

教室


比企谷「…………」

     ガタッ… スタ スタ スタ…

天城「…………」

里中「……ふう」

花村「…………」

雪ノ下「…………」

里中「じゃ、雪子。 帰ろっか?」

天城「うん、千枝」

     ガタタッ…

雪ノ下「――ちょっと待ってもらえないかしら?」

415: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:30:35 ID:OamLDi8k

里中「え?」

天城「雪ノ下さん? どうしたの?」

雪ノ下「良かったら、花村くんも……できればクマくんも呼んで欲しい」

花村「……はあ?」

花村「まあ……俺は構わないけど」

花村「比企谷はいいのか?」

雪ノ下「ええ」

雪ノ下「後、久慈川さんと白鐘くんは、もう誘ってあるわ」

里中「へえ……なんか意外」

天城「千枝、失礼だよ、それ」

花村「それで、雪ノ下さん。 いったい何をするつもりだ?」

416: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:31:18 ID:OamLDi8k

雪ノ下「…………」

雪ノ下「大した事じゃないわ」

雪ノ下「ただ……それを話し合いたいの」


一同「…………」


―――――――――――


ジュネス フードコート


里中「話し合いねぇ……」

天城「千枝……さっきから態度悪いよ?」

里中「わざとよ」

里中「どうせ比企谷くんの事なんでしょ? 雪ノ下さん?」

417: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:32:11 ID:OamLDi8k

雪ノ下「ええ。 その通りよ」

里中「なら、あたしはもう話す事無いじゃん」

里中「はっきり言って、もう比企谷くんと関わり合いたくない」

花村「……おいおい。 えらく嫌われたもんだな、比企谷も」

里中「だって許せないし! あんなやり方!」

里中「由比ヶ浜さん……可哀想すぎる!」

りせ「あたしも同じ意見……いくら助ける為と言われても」

りせ「由比ヶ浜さんを試して、追い詰めるみたいな あのやり方……ないよ」

白鐘「しかし……時間的余裕はありませんでした」

白鐘「確かに褒められた説得の仕方ではありませんが」

白鐘「彼女の命を救う行動に出れたのは、比企谷先輩だけです」

418: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:33:31 ID:OamLDi8k

里中「なによ、白鐘くん。 えらく持ち上げるね? 比企谷くんの事」

里中「やっぱり惚れてるから嫌なトコは見えないんだ?」

白鐘「……客観的な事実を言ってるだけです」

里中「客観的ぃ? どう見てもベタ惚れ補正入ってるじゃん」

白鐘「……あなたの言いたい事はわかりますよ?」

白鐘「由比ヶ浜さんの様に心の内を見透かされたくないのでしょう?」

里中「な、何ですって!?」

クマ「お、およよ、止めるクマよ~」

クマ「二人とも落ち着くクマ……」

里中「…………」

白鐘「…………」

419: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:34:03 ID:OamLDi8k

花村「はあ……どうすりゃいいんだよ、こんなの」

天城「…………」

天城「雪ノ下さんは……どう思ってるのかな? 今回の比企谷くんの事」


一同「!」


雪ノ下「…………」

雪ノ下「私は……少しおかしな言い方になるけど」

雪ノ下「比企谷くんらしくも比企谷くんらしくなかった」

雪ノ下「と、思ってる」

花村「……はあ?」

里中「なにそれ? 全然意味わからないじゃん?」

420: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:36:34 ID:OamLDi8k

雪ノ下「……例えば」

雪ノ下「ジュネスに一人、忍び込もうとした事」

雪ノ下「あれは……比企谷くんらしくない」

花村「ああ、それは俺も思ったな」

クマ「センセイはユイちゃんを凄く心配しただけクマよ」

クマ「おかしくも何ともないクマ」

りせ「凄く……心配」

白鐘「…………」

天城「もしかして……比企谷くん、由比ヶ浜さんの事」

里中「まあ、あれだけアタックされれば分かんなくないじゃん?」

421: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:37:36 ID:OamLDi8k

雪ノ下「でも」

雪ノ下「一転して、由比ヶ浜さんの命を救う為とはいえ」

雪ノ下「冷静かつ的確に説得していた」

里中「そんなの好きな人の為なら当然でしょ?」

里中「どんな形でも生き残ってて欲しいと思うのが普通……」

里中「……あれ?」

雪ノ下「そう」

雪ノ下「比企谷くんが由比ヶ浜さんの事を想っている」

雪ノ下「そういう前提があれば、確かにその通り」

雪ノ下「でも……それでいてあんな事、冷静に言えるのかしら?」

花村「……比企谷らしいっちゃらしいが」

花村「由比ヶ浜さんを『好き』だったなら……もう少しリアクションありそうだよな」

りせ「それ以前に『由比ヶ浜の事が好きだ』とか言えば済む話だもんね」

422: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:38:44 ID:OamLDi8k

里中「…………」

雪ノ下「……みんなは」

雪ノ下「ああ、花村くんとクマくんは知らないだろうけど」

雪ノ下「露天風呂で由比ヶ浜さんが言ってた事、覚えてる?」

りせ「え……?」

天城「確か……」


由比ヶ浜「時々ね」

由比ヶ浜「問題の解決をする際、自分を悪者にしちゃうんだ、ヒッキー」


一同「!!」

白鐘「…………」

白鐘「……ま、まさか!?」

423: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:39:38 ID:OamLDi8k

里中「まさかって、何が?」

白鐘「…………」

白鐘「……言葉にするのは良くありませんが」

白鐘「仮に……このまま由比ヶ浜さんが……その……したとします」

白鐘「そうなったら……僕たちの中で非難は誰に集中すると思いますか?」

里中「……!!」

天城「そんな……!?」

りせ「比企谷先輩は、そこまで考えていたの!?」

花村「…………」

花村(……気に入らねぇな、比企谷)

花村(そんなのはよ……)

424: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:40:48 ID:OamLDi8k

白鐘「実際、医療現場ではままあります」

白鐘「医師は全力を尽くしても、亡くなった患者の遺族にはそれがわかりません」

白鐘「それゆえに……」

里中「だ、だけど……それは勝手な思い込みじゃん?」

里中「そうだっていう証拠は……」

天城「千枝」

里中「な、何よ、雪子……」

天城「あの時……露天風呂で由比ヶ浜さん、もう一つ言ってたよ?」

里中「もう一つ?」

425: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:41:50 ID:OamLDi8k


由比ヶ浜「見た目で何でもないってフリしてるけど」

由比ヶ浜「そんな訳ない」

由比ヶ浜「私は……きっと誰よりも心の痛みを知っているから」

由比ヶ浜「ああいう態度を取るんだと思う」


里中「!!」

天城「……すごいよね、由比ヶ浜さん」

天城「比企谷くんの事、本当に好きなのが良くわかる」

天城「ずうっと、彼の事見てて、理解しようと頑張ってたんだって」

里中「……っ」

白鐘「…………」

雪ノ下「…………」

クマ「センセイ……」

里中「…………」

426: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:42:44 ID:OamLDi8k

里中「……あたし、どうしたらいいの?」

里中「結構シカトとかしちゃってるんですけど……」

天城「千枝。 その事については謝ろう? 無視してゴメンって」

天城「私も一緒に行くから」

りせ「あたしは普通に会えばいいかな?」

りせ「……それとも謝ったほうがいい?」

白鐘「久慈川さん、比企谷先輩は受け入れてくれる人です」

白鐘「大丈夫ですよ」

白鐘「良かったら、僕が付き添いますが?」

りせ「うん! お願い!」

     アハハ……

427: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:43:55 ID:OamLDi8k

雪ノ下「…………」

雪ノ下(これで、みんなのわだかまりは溶けたかしら……?)

雪ノ下(比企谷くん……本当に馬鹿な人ね)

雪ノ下(…………)

雪ノ下(そして由比ヶ浜さん……)

雪ノ下(あなたは……すごい人だわ)


花村「じゃ……今度の休みにでも比企谷込みで」

花村「みんなして由比ヶ浜さんのお見舞いなんてどうだ?」

里中「おお! 花村にしちゃいいアイデアじゃん!」

天城「私は大賛成だよ!」

りせ「いいね! あたしも乗った!」

白鐘「僕も賛成です。 ぜひそうしましょう!」

428: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:44:48 ID:OamLDi8k

ジュネス


比企谷「…………」

比企谷「……よし」

比企谷「今晩は水炊きで行こう」

比企谷「鍋焼きうどんも捨てがたいが……」

比企谷「寒くなってきたし、ちょうどいいだろ」

比企谷「…………」

比企谷(……独り言)

比企谷(多くなった気がする……)

429: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:45:32 ID:OamLDi8k


―――――――――――


翌日の昼休み

教室


里中「比企谷くん、ゴメン!」

比企谷「……は?」

天城「この通り謝ります……ごめんなさい」

比企谷「……ちょっと待ってくれ。 何の事だ?」

里中「いやぁ~……ホラ? シカトしちゃってゴメン……みたいな?」

比企谷「…………」

比企谷「別に気にしてないが?」

里中「うん。 比企谷くんならそう言うと思ったじゃん」

天城「そうだね、千枝」

430: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:46:19 ID:OamLDi8k

比企谷「いや、だから……なんn」

里中「もういいんなら、問題ないっしょ?」

天城「うんうん」

比企谷「…………」

里中「じゃ、そういう事で」

里中「明日の休日、みんなで由比ヶ浜さんをお見舞いに行こう!」

比企谷「……へ?」

里中「うん! 決まり!」

天城「時間は後で連絡するから」

比企谷「お? おう……」

里中「んじゃ、雪子。 購買にお昼買いに行こっか!」

天城「わかったよ、千枝」

     アハハ……

431: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:47:14 ID:OamLDi8k

比企谷「…………」 唖然…

比企谷「…………」

比企谷「……おい、雪ノ下」

雪ノ下「何かしら?」

比企谷「……何かしただろ?」

雪ノ下「証拠でもあるのかしら?」

比企谷「今の二人、明らかに妙なテンションだったよな?」

雪ノ下「だからどうしてそれが私に関係していると?」

比企谷「ぐっ……証拠は……」


花村(……なんか久しぶりだな。 こういうの) クスッ

432: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:48:33 ID:OamLDi8k


―――――――――――


数日後の休日

八十稲羽総合病院


     バタ バタ…

比企谷「……?」

比企谷「なんか……由比ヶ浜の病室、忙しそうだな?」

看護師「あら? あなたたちは……」

花村「あ、どうも」

里中「あたしら、由比ヶ浜さんのお見舞いに来たんですけど……」

看護師「そう! ちょうど良かったわ」

433: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:49:37 ID:OamLDi8k

白鐘「と言うと?」

看護師「ついさっきね、患者さん……目を覚ましたの!」


一同「!!」


看護師「親御さんに連絡を入れたんだけど……すぐには来られないみたい」

看護師「でも、あなた達の事は聞いてあるわ」

看護師「お見舞いに来たら、病室に入れてあげてくださいって!」

天城「由比ヶ浜さん……良かった……本当に良かった!」

クマ「ウッホホーイ! 良かったクマー!」

看護師「こらこら。 騒いじゃダメだからね?」

クマ「ク、クマ……」

434: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:50:22 ID:OamLDi8k

看護師「彼女、目を覚ましたばかりだし」

看護師「弱っている状態だから短い時間でなら許可します」

看護師「嬉しい気持ちはわかるけど、騒がない様にね?」


一同「わかりました」


看護師「よろしい」

看護師「じゃ、彼女に会ってあげて?」


雪ノ下「…………」


435: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:51:40 ID:OamLDi8k

比企谷「由比ヶ浜……」

由比ヶ浜「……ヒッキー」

比企谷「心配したぞ……」

比企谷「今は無理せずゆっくり休んで体を治すんだ」

比企谷「わかったな?」

由比ヶ浜「……うん……わかってるよ」

比企谷「ほら、みんなもそこに居るぞ」

クマ「ユイちゃん、クマクマよ~」

里中「由比ヶ浜さん、早く元気になろうね」

天城「元気になったら、また温泉に入りましょ」

花村「おう! その時はぜひ俺も一緒に……」

白鐘「何を言ってるんですか……花村先輩」

りせ「こんな時まで下品な冗談言わないでくださいよ……」

花村「ハハハ……」

由比ヶ浜「…………」 クスッ

436: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:52:43 ID:OamLDi8k

由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜「……ゆきのんは……?」

比企谷「!」

花村「え?」

里中「そ、そういや……居ないね?」

天城「探して来ようか?」

由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜「……ううん……また……今度でいい」

りせ「そ、そっか……」

白鐘(雪ノ下先輩……そうですよね)

437: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:53:59 ID:OamLDi8k

由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜「ねえ……みんな……」

クマ「はいはい。 なにクマ?」

由比ヶ浜「……ヒッキーと……二人だけで……話したい」


一同「!」

比企谷「!」


看護師「ゆ、由比ヶ浜さん。 さすがにそれは……」

由比ヶ浜「……お願い……します」

看護師「…………」

看護師「……しょうがないわね」 フウッ…

看護師「ええと……ヒッキー?とか呼ばれてた男の子」

看護師「何か異常があったら、そこのブザーを押してね?」

比企谷「……わかりました」

438: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:54:55 ID:OamLDi8k


―――――――――――


比企谷「…………」

由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜「……ヒッキー」

比企谷「なんだ?」

由比ヶ浜「私……ヒッキーの事……好きだよ……」

比企谷「…………」


     ああ……


由比ヶ浜「……驚いた?」

比企谷「……まあな」

439: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:55:58 ID:OamLDi8k

由比ヶ浜「そっか……」

由比ヶ浜「えへへ……やっと……言えた……」

由比ヶ浜「気持ち……伝えられた……嬉しい……」


     とうとう……言われた……


比企谷「…………」

由比ヶ浜「……返事は……言わなくて……いいから……」

比企谷「……え?」

由比ヶ浜「答え……イエスでもノーでも……」

由比ヶ浜「今の私じゃ……耐えられそうにないから……」

比企谷「…………」

比企谷「……そうか」

440: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:57:10 ID:OamLDi8k

由比ヶ浜「ふふふ……」

由比ヶ浜「元気に……なった時の……楽しみにしておく……」

比企谷「…………」

由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜「……ねえ……ヒッキー」

由比ヶ浜「私……ひとつ……あの世界で……わかった事があるの……」

比企谷「なんだ?」

由比ヶ浜「ふふふ……内緒……」

比企谷「…………」

由比ヶ浜「……私が……元気になったら……」

由比ヶ浜「……教えてあげる」

比企谷「そうかよ……約束だからな?」

比企谷「絶対、守れよ?」

由比ヶ浜「……うん」

441: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:58:12 ID:OamLDi8k

由比ヶ浜「ふう……何だか……疲れちゃった……」

比企谷「なら、ゆっくり休めばいい」

由比ヶ浜「……うん……そうする……」

比企谷「…………」

由比ヶ浜「そだ……ゆきのんに……伝えて……」

比企谷「何てだ?」

由比ヶ浜「……話……したいって……」

比企谷「わかった。 伝えとく」

由比ヶ浜「じゃ……またね……」

比企谷「ああ。 またな、由比ヶ浜」

442: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 05:59:11 ID:OamLDi8k


―――――――――――


比企谷「待たせたな……って」

比企谷「ほかの連中は?」

花村「雪ノ下さんを探しに行って」

花村「この病院の食堂にいるって、さっき電話があった」

比企谷「そうか……」

花村「…………」

花村「聞くだけ野暮かもしんねーが」

花村「どんな話をしたんだ?」

443: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:00:04 ID:OamLDi8k

比企谷「悪いがそれは言えない」

比企谷「けど……」

花村「けど?」

比企谷「約束をした」

比企谷「元気になったら、ある事を聞かせてやるってさ……」

花村「そっか……」

花村「そいつは楽しみだな」

比企谷「……ああ」

比企谷「何が何でも守ってもらうつもりだ」

444: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:02:11 ID:OamLDi8k



??「……あれぇ? 君たちは……」



比企谷「?」

比企谷「足立さん?」

足立「やっぱり比企谷くん達か」

足立「どうしたんだい? こんな所で?」

花村「そりゃこっちのセリフですよ……足立さんこそどうしてこんなところに?」

花村「ちなみに俺達は友達の見舞いです」

足立「あ~……あの由比ヶ浜って娘さんの……納得」

比企谷「それで? 足立さんは?」

445: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:03:37 ID:OamLDi8k

足立「ああ、僕はこの上の階に居る生田目の様子を……」

足立「あ!!」

比企谷「…………」

花村「…………」

足立「い、今の無し。 無しだからね!?」

比企谷「……ええ」

花村「……わかってますよ」

足立「あはは……」

足立「その……様子を見た帰りに堂島さんの見舞いをしておこうと思ったら」

足立「迷っちゃってね……」

足立「この階だと思ったんだけどなぁ……じゃ!」

     スタ スタ スタ…

446: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:04:31 ID:OamLDi8k

花村「そういや……あいつもこの病院にかつぎ込んだんだっけ」

比企谷「……由比ヶ浜とは状況が違うが」

比企谷「衰弱の度合いは少しマシって程度だった」

比企谷「由比ヶ浜同様、動かせられないんだろう……」

花村「ちっ……胸糞悪ぃぜ」

花村「殺人犯が入院してる病院に由比ヶ浜さんが居るなんてな」

比企谷「…………」

比企谷「落ち着け、花村」

比企谷「今は……仕方ない」

花村「…………」

447: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:05:23 ID:OamLDi8k

花村「なあ、比企谷」

比企谷「ん?」

花村「ちょっと付き合え」

比企谷「どこにだ?」

花村「そうだな……鮫川河川敷辺りがいい」

比企谷「……何の用だ?」

花村「俺も少しお前と話がしたい」

花村「それだけだ」

比企谷「…………」

比企谷「わかった」

448: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:06:12 ID:OamLDi8k

河川敷公園


比企谷「で? 話って何だ?」

花村「…………」

花村「お前……いつまでそうやってるつもりだ?」

比企谷「は?」

花村「いつまで……『何でもない』ってフリをしているつもりだ?」

比企谷「…………」

比企谷「何を言ってるのか、わからないな」

花村「…………」

花村「そうかよ」

花村「なら――」

449: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:07:13 ID:OamLDi8k

     バキッ!

比企谷「ぐっ……!」

花村「こっち(拳)で話し合うしかないな」

比企谷「……花村ァ」

花村「けっ……」

花村「反吐が出んだよ……お前のその態度にはな」

花村「クール気取ってんのか、かっこいいとでも思ってんのか知らねぇが」

花村「いっつもムカついてんだよ」

比企谷「……そんなのは俺の勝手だろうが」

比企谷「お前こそなんだ、これは?」

比企谷「いきなりくだらねぇ青春ヤローになりやがって……」

比企谷「反吐が出るのは俺の方だっての」

450: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:08:28 ID:OamLDi8k

花村「俺は夏に忠告したよな?」

花村「由比ヶ浜さん、ないがしろにするなって」

比企谷「……っ!」

花村「で? 結果がこれかよ……」

花村「由比ヶ浜さん、何でボロボロになって病院に入院してんだ……?」

花村「なあっ? 比企谷ぁっ!!」

     ボグッ!

比企谷「ぐはっ!」

花村「答えろよ、比企谷……」

花村「お前のせいなんだぞ? 由比ヶ浜さんがああなったのは!!」

比企谷「…るせぇぇぇぇぇぇっ!!」

     バキッ!

花村「がっ!!」

451: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:09:11 ID:OamLDi8k

比企谷「お前に俺の何がわかるっ!?」

比企谷「こうなるってわかってりゃ!! 由比ヶ浜にさっさと嫌われてやった!!」

     ゴスッ!

花村「ぐおっ!」

比企谷「はあっはあっ……」

花村「…………」

花村「……けっ」

比企谷「…………」

花村「どうした、比企谷? それで終わりか?」

比企谷「…………」

比企谷「……花村ァ」 ギリッ…!

452: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:10:11 ID:OamLDi8k



―――――――――――



花村「はあ……はあ……」

比企谷「ぜえ……ぜえ……」

花村「けっ……ゲームばっかやってる割に 結構重いパンチ打ってくんのな……お前」

花村「一瞬お花畑が見えたっつーの……」

比企谷「……お前こそ肘打ちは反則だろ」

比企谷「アゴの骨……折れたかと思ったっての……」

花村「…………」

比企谷「…………」

453: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:11:13 ID:OamLDi8k

花村「……比企谷」

比企谷「……何だ?」

花村「悪かった」

比企谷「……だったら最初から言うな」

花村「けどよ……」

比企谷「…………」

花村「由比ヶ浜さんの為に……もう少し怒ってやれないのか?」

比企谷「……!」

花村「俺が言いたい事は……そういう事なんだよ……」

比企谷「…………」

花村「気づいてんだろ。 由比ヶ浜さん、お前の事好きだって……」

比企谷「……さっき本人から聞いた」

454: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:12:13 ID:OamLDi8k

花村「いきなり惚気んな」

比企谷「事実を言ってるだけだ」

花村「……で? どう答えたんだよ?」

比企谷「由比ヶ浜が、元気になったら聞かせてくれってさ……」

花村「…………」

花村「……そうか」

比企谷「…………」

花村「なあ……最後にひとつだけ聞かせてくれねぇか?」

比企谷「何だ」

花村「あの時……由比ヶ浜さん助けようとジュネスに忍び込んだ時」

花村「何を考えていた?」

455: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:13:11 ID:OamLDi8k

比企谷「…………」

比企谷「…………」

比企谷「……わかんねぇ」



     ……いや、本当は罪滅ぼしの意識があったのかもしれない。



     事情を知らなかったとはいえ、俺は由比ヶ浜の心配より

     裏切られた、というショックの方が大きかった……

     そんな気持ちをごまかす為にそういう行動に出たのかもしれない。



花村「…………」

比企谷「……けど」

456: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:14:00 ID:OamLDi8k

花村「けど?」

比企谷「由比ヶ浜を……テレビの中で、ひとりのままにしておきたくなかった」

比企谷「それだけはよく覚えてる」



     それは間違いなく本心だ。



花村「…………」

花村「……そうかよ」

花村「やっぱりお前って、素直じゃねーな」

比企谷「ほっとけ」

457: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:14:48 ID:OamLDi8k

花村「…………」

比企谷「…………」

花村「……フ」

比企谷「……ふ」


     ハハハハハ……


花村「何笑ってんだよ……」

比企谷「知るか……んな事」

花村「……ま。 俺はいろいろスッキリできたわ」

比企谷「そうかよ……良かったな」

花村「病院……戻るか」

比企谷「……そうだな」

458: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:15:46 ID:OamLDi8k



     ……まさか自分がこんな青春臭い事する羽目になるとは思わなかった。

     妹の小町が聞いたら、「小町的にはポイント高い」とか言うかもな。



     俺と花村の顔は病院に戻った時、いい具合に腫れ上がったみたいで

     里中達に驚かれた。

     そのまま病院で治療を受けたのは言うまでもないが

     なぜか……クマ以外は理由を聞く事はなかった。

     ……不思議に思った。



459: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:16:57 ID:OamLDi8k

待合室


比企谷「……痛つつ」

比企谷(今頃痛くなってきた……)


???「あれ……? お兄さんって、もしかして?」


比企谷「……?」

比企谷(この女の子……どこかで見たな?)


??「どうした? 菜々子」

菜々子「お兄ちゃん」

460: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:18:20 ID:OamLDi8k

比企谷「……菜々子?」

比企谷「!」

比企谷「もしかして……堂島さんの?」

菜々子「あ! やっぱり、夏祭りの時のお兄さんだ!」

??「知っている人なのか? 菜々子」

菜々子「うん!」


比企谷(そうだ……堂島さんもここに入院してるんだっけ)

比企谷(足立さん、そう言ってたな)

比企谷(という事は、堂島さんのお見舞いに兄弟揃って来たってトコか)


比企谷「……どうも。 比企谷八幡、と言います」

??「あ……初めまして。 俺は鳴上悠って言います」

461: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:19:16 ID:OamLDi8k

比企谷「鳴上……?」

鳴上「……菜々子の従兄弟になります」

鳴上「いろいろ事情があって……」

比企谷「そうですか……」

菜々子「お兄さんのお怪我、大丈夫?」

比企谷「うん。 ちょっと痛いけど大丈夫」

菜々子「良かったぁ……」

鳴上「菜々子、お父さんの所へ行っておいで」

菜々子「え? お兄ちゃんは?」

鳴上「俺もすぐに行くから」

菜々子「うん。 わかった」

462: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:20:20 ID:OamLDi8k


     タッ タッ タッ…

鳴上「菜々子とはどうして?」

比企谷「あの子も言ってましたが、夏祭りの時……」


―――――――――――


鳴上「そうでしたか……」

比企谷「…………」

比企谷「菜々子ちゃん……お母さんが居ないんですか」

鳴上「ええ……」

鳴上「1~2年くらい前、ひき逃げにあって……」

比企谷「…………」

鳴上「伯父さんから連絡を受けて、俺の母親がしばらく預かろうと言ったんですが」

鳴上「菜々子は、納得しませんでした」

463: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:21:41 ID:OamLDi8k

鳴上「それで俺の母親、じゃあ八十稲羽で菜々子の面倒を見よう、という事になって」

鳴上「それに落ち着いたんです」

比企谷「……大変ですね」

鳴上「事情を聞いて今日から三連休だし」

鳴上「俺の母親の手伝いがてら菜々子の遊び相手にでも……と思ってここに来ました」

比企谷「偉いですね」

鳴上「……正直言うと、軽い気持ちもあったんですよ」

鳴上「俺自身の気分転換も兼ねて、という……」

比企谷「…………」

鳴上「でも……菜々子を見て、上手く言えませんが」

鳴上「無理しているんじゃないのか?と思いました」

比企谷「…………」

464: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:22:38 ID:OamLDi8k

鳴上「本当は泣きたいだろうに……俺や俺の母親に気を使って泣けないんじゃないのか?」

鳴上「そんな風に感じました」

比企谷「…………」

鳴上「俺に……何ができるのかわからない」

鳴上「けど……」

鳴上「俺の目の前で泣いてくれる様になってくれたらな、と思っています」

比企谷「…………」

比企谷「……そうですか」

鳴上「それじゃ……俺、行きます」

鳴上「お大事に」

比企谷「いえ……そちらもお大事に」

鳴上「どうも」

465: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:23:34 ID:OamLDi8k

比企谷「…………」



鳴上「俺の目の前で泣いてくれる様になってくれたらな、と思っています」



比企谷「…………」

比企谷「…………」



花村「お前……いつまでそうやってるつもりだ?」

花村「いつまで……『何でもない』ってフリをしているつもりだ?」



比企谷「…………」

比企谷(……花村)

466: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:24:45 ID:OamLDi8k



     見た目、俺とそう変わらない歳くらいなのに

     不思議な雰囲気を持った人物だった。




     ……俺は、少しだけ花村に感謝した。





467: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:25:38 ID:OamLDi8k

夕方

大衆食堂 愛屋


     オマチー

花村「ま! 何はともあれ、由比ヶ浜さん意識が回復して良かったぜ!」

白鐘「ええ。 本当に良かった」

天城「早く元気になるといいね!」

     アハハ…

クマ「…………」

比企谷「……どうした? クマ?」

クマ「…………」

クマ「クマは……まだここに居てもいいクマ?」

468: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:26:47 ID:OamLDi8k

里中「急に何?」

クマ「クマ……最初の頃、センセイとヨースケに頼んだクマ」

クマ「クマの世界に人間を落としてる犯人を捕まえてって……」


一同「…………」


クマ「もうその約束は果たされたクマ」

クマ「だから、クマ、向こうの世界に帰らないといけないけど……」

クマ「それはユイちゃんが元気になるのを確かめてからにしたいクマ」

クマ「それでもいいクマか?」

りせ「何言ってるのよ、クマ」

花村「いいも何もねえよ。 好きなだけ居ればいいさ」

比企谷「ああ。 たぶん由比ヶ浜もそう言うと思うぞ」

469: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:27:26 ID:OamLDi8k

クマ「およよ……みんな……!」

クマ「ありがとうクマ!」

里中「お礼なんていいって」

里中「由比ヶ浜さんが元気になっても、ずっと居たらいいじゃん」

里中「ね! 雪子!」

天城「うん! 千枝!」

クマ「いつかストリップも拝むクマ!」

雪ノ下「それはもう忘れなさい!」

雪ノ下「まったく……」

     ハハハ…

比企谷「…………」 クスッ

470: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/13(月) 06:28:24 ID:OamLDi8k



     ようやく。

     俺はようやく、この事件は終わったのだと

     思える様になっていた。



479: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 18:53:45 ID:1nMeTojY


―――――――――――


数日後

八十稲羽総合病院 由比ヶ浜の病室


由比ヶ浜「……ゆきのん……久しぶり」

雪ノ下「……由比ヶ浜さん」

由比ヶ浜「…………」

雪ノ下「…………」

由比ヶ浜「私ね……」

由比ヶ浜「あの世界で……ひとつ……気がついた事が……あるの」

雪ノ下「…………」

480: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 18:54:52 ID:1nMeTojY

由比ヶ浜「……私」


由比ヶ浜「誰かの……『特別』になりたかったんだって……」


雪ノ下「特別?」

由比ヶ浜「うん」

由比ヶ浜「……私……こんなにいろいろ話せる人……今まで……居なかった」

雪ノ下「…………」

由比ヶ浜「……でも……ヒッキーとゆきのんは……」

由比ヶ浜「こんな私の、どんな話も……真面目に聞いてくれた……」

由比ヶ浜「嬉しかった……」

雪ノ下「…………」

481: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 18:55:57 ID:1nMeTojY

由比ヶ浜「……だから私」

由比ヶ浜「二人の『特別』になりたいって……思った……」

由比ヶ浜「それを……思い出したの……」

雪ノ下「…………」

雪ノ下「それなら大丈夫」

雪ノ下「あなたは、十分『特別』よ」

雪ノ下「私にとっても……比企谷くんにとっても」

由比ヶ浜「……本当?」

雪ノ下「ええ」

雪ノ下「比企谷くんは、あなたを救おうとして」

雪ノ下「深夜のジュネスに一人で忍び込むという、考えられない無茶をしたくらいよ」

482: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 18:56:45 ID:1nMeTojY

由比ヶ浜「……ヒッキーが……!?」

由比ヶ浜「そっかぁ……嬉しいな……えへへ……」

雪ノ下「…………」

由比ヶ浜「……ねえ、ゆきのん」

雪ノ下「何かしら?」

由比ヶ浜「あの日……どうしてヒッキーを見送りに来なかったのか……」

由比ヶ浜「聞かせて欲しい……」

雪ノ下「!」

由比ヶ浜「…………」

雪ノ下「…………」

雪ノ下「……バカバカしい理由よ」

雪ノ下「自分でも信じられないくらいの……」

由比ヶ浜「…………」

483: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 18:57:52 ID:1nMeTojY

雪ノ下「……私」


雪ノ下「比企谷くんに……お別れの言葉を言いたく無かった」


由比ヶ浜「……え?」

雪ノ下「それを言ってしまったら……」

雪ノ下「もう会えなくなるんじゃないかって、最後になってしまうんじゃないかって」

雪ノ下「恐ろしかったの……」

由比ヶ浜「…………」

雪ノ下「どうしようも無いくらい幼稚で、くだらない理由……」

由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜「……ううん。 そんな事ないよ」

484: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 18:59:17 ID:1nMeTojY

由比ヶ浜「私も……同じ事考えちゃったから」

雪ノ下「え?」

由比ヶ浜「……頭じゃわかってるの」

由比ヶ浜「そんなハズないって。 ……でも」

雪ノ下「…………」

由比ヶ浜「あの日……向こうでも元気でって……ヒッキーを見送って」

由比ヶ浜「遠く……離れていく電車を見続けてたら……怖くなった」

由比ヶ浜「もう……ヒッキーと……会えないんじゃないかって……」

雪ノ下「由比ヶ浜さん……」

由比ヶ浜「ふふふ……同じだね……ゆきのん」

由比ヶ浜「ゆきのんも……ヒッキーの事……好きなんでしょ?」

雪ノ下「っ!」///

485: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:00:31 ID:1nMeTojY

由比ヶ浜「もう……隠し事……しない」

由比ヶ浜「私……ヒッキーの事……好き」

雪ノ下「由比ヶ浜さん……」

由比ヶ浜「告白も……しちゃったんだよ?……えへへ」///

雪ノ下「……え!?」

由比ヶ浜「……返事は……私が元気になってから……って事になってる」

雪ノ下「そ、そう……」

雪ノ下(……油断できないわね)

由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜「ゆきのん」

雪ノ下「何かしら?」

486: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:01:36 ID:1nMeTojY



由比ヶ浜「これからも……友達でいてくれる?」



雪ノ下「…………」

雪ノ下「もちろんよ、由比ヶ浜さん」

雪ノ下「これからもよろしくね」 ニコッ

由比ヶ浜「ゆきのん……ありがとう」

由比ヶ浜「よろしくね」 ニコッ

     アハハハ…

雪ノ下(…………)

487: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:02:58 ID:1nMeTojY



     私は……何となく理解した気がした。

     由比ヶ浜さんのあの【シャドウ】は、あくまで一面にすぎない。

     でも……それは私と比企谷くんが、彼女にとって

     『特別』な存在だったから。





     だからこそ……ああなってしまったのだと……





488: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:04:09 ID:1nMeTojY


―――――――――――


翌日の朝

通学路


里中「おはよー」

花村「おう、里中。 おはよう」

天城「おはよう、千枝」

雪ノ下「おはよう」

比企谷「おはよう」

白鐘「おはようございます、里中先輩」

りせ「おはよう、里中先輩」

里中「しっかし迷惑よねー。 この霧」

里中「原因、一体何なんだろ?」

比企谷「…………」

489: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:05:15 ID:1nMeTojY



     そう……今、八十稲羽では霧が晴れない、という

     原因不明の異常気象に見舞われていた。



     専門家も首をかしげるばかりで

     通常では有り得ない現象だと言う。



     以前から長い雨の後、霧が出て慣れっこになっていたが……

     さすがにここの住民も不気味に思っている様だ。



490: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:06:13 ID:1nMeTojY

マダム1「毎日毎日、気が滅入りますわね……」

マダム2「それが奥さん……この霧、実は有害なんじゃないかって」

マダム1「まあ……そういえばお隣のタケシちゃんも」

マダム1「外に居て気分が悪くなったとか言ってまして……」

マダム2「本当ですか? 初耳なんですけど……」



ガスマスク男「みんな気をつけろー!!」

ガスマスク男「これは毒ガスだー!!」

ガスマスク男「ウィルスだー!!」

ガスマスク男「ここに居たら、みんな死んでしまうぞー!!」



一同「…………」

491: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:07:22 ID:1nMeTojY

花村「はあ……アホくさ」

花村「せっかく事件解決したっていうのに……テンション下がるぜ」

里中「まあ今は仕方ないじゃん?」

里中「どこもかしこも霧の噂話で持ちきりになってるし」

天城「……でも」

天城「本当に何なんだろうね? この霧……」

りせ「まるで向こうの世界に居るみたい」

雪ノ下「…………」

雪ノ下(……向こうの世界?)

     ゴソゴソ…… スチャッ

雪ノ下「!?」

492: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:08:16 ID:1nMeTojY

雪ノ下「み、みんな!」

比企谷「どうした? 雪ノ下?」

雪ノ下「メガネ! クマくんのメガネを掛けてみて!」


一同「……?」

     ゴソゴソ…… スチャッ

一同「!?」


白鐘「こ……これは!?」

りせ「どうして!? 視界が開ける!」

天城「うそ……このメガネはあっちの世界でしか効果がないはず……」

493: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:09:10 ID:1nMeTojY



里中「……向こうの霧が漏れてんのかな?」



一同「!?」


里中「え!? な、なんか当たりっぽかった!?」

里中「結構テキトーに言ったんだけど……」

白鐘「テレビの世界の霧が……こちら側に?」

比企谷「…………」

比企谷「推測じゃラチが開かない」

比企谷「放課後、クマに聞いてみよう」

494: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:10:16 ID:1nMeTojY


―――――――――――


放課後

ジュネス フードコート


クマ「う~ん……確かに向こうの霧に似てるクマけど……」

クマ「それ以上の事は解らないクマ」

比企谷「そうか……」

白鐘「解らない事だらけですね……」

りせ「向こうの世界に何か変わった事はない?」

クマ「それもないクマ」

クマ「詳しく調べたわけじゃないクマけど……いつも通りクマ」

りせ「そっか……」

比企谷「…………」

495: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:11:08 ID:1nMeTojY

比企谷(……そういや)

比企谷(事件の事をメインに考えていたが……)

比企谷(ペルソナやあの世界について調べていなかった)

比企谷(【マヨナカテレビ】もそうだが)

比企谷(何故こんな事が起こったのか、まったく分かっていない)

比企谷(状況に巻き込まれ、いつの間にか当たり前になっていたが)

比企谷(こんな怪現象……異常だよな)

496: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:12:30 ID:1nMeTojY

クマ「役に立てなくてゴメンクマ……」

花村「気にすんな、クマ。 わかんねーのは俺たちも一緒だし」

花村「いつか解る様になるかも知んねーからな」

比企谷「そうとも。 何か気がついたら言ってくれ」

クマ「ヨースケ、センセイ……わかったクマ!」

里中「じゃ、由比ヶ浜さんのお見舞い行く?」

天城「あ……ごめん、千枝」

天城「今日は旅館の仕事があって……」

比企谷「という事は雪ノ下も?」

雪ノ下「ええ……由比ヶ浜さんにごめんなさい、と伝えておいてくれるかしら?」

比企谷「わかった」

497: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:13:54 ID:1nMeTojY

八十稲羽総合病院

由比ヶ浜の病室


クマ「ユイちゃん、来たクマよ~」

由比ヶ浜「クマくん……いらっしゃい」

由比ヶ浜「みんなも……」

比企谷「今日な。 雪ノ下と天城、旅館で仕事があるんだそうだ」

比企谷「謝っといてくれと頼まれた」

由比ヶ浜「そっか……忙しいんだね……」

花村「よし、こんなもんかな。 花瓶の花、変えといたぜ」

クマ「おお、キレイなお花クマ」

498: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:15:43 ID:1nMeTojY

りせ「へえ……花村先輩、気が利くじゃない」

白鐘「花なんていつ買ったんですか?」

花村「ジュネスにちょっと寄ってな」

比企谷「…………」

比企谷「……これ、桔梗(ききょう)か?」

花村「お? 知ってんのか、比企谷」

比企谷「…………」

花村「それでどうかな? 由比ヶ浜さん?」

由比ヶ浜「ありがとう……花村くん……」

由比ヶ浜「とってもキレイ……」

花村「へへっ。 気に入ってくれたなら、こっちも嬉しいぜ!」

クマ「ユイちゃん、聞いて欲しいクマ~」

クマ「今日もアルバイト、大変だったクマ!」

499: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:16:53 ID:1nMeTojY


―――――――――――


待合室


比企谷「……ふう」

菜々子「あ、お兄さん」

比企谷「ん? ああ、菜々子ちゃん」

比企谷「お父さんのお見舞いかな?」

菜々子「うん! お父さん、菜々子にはちゃんと手を洗えって、言うけど」

菜々子「病院じゃ時々サボってるみたいなの」

菜々子「ずるいよね!」

比企谷「ははは…」

502: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:21:08 ID:1nMeTojY

菜々子「……でもね。 ちょっとずつ元気になってて」

菜々子「菜々子、嬉しいんだ!」

比企谷「そう……良かったね」

菜々子「うん!」

菜々子「お兄さんは? お怪我、まだ治らないの?」

比企谷「……俺の方はもう大丈夫」

比企谷「けど……ほら、覚えてるかな?」

比企谷「夏祭りの時、菜々子ちゃんと話したお姉さん」

菜々子「茶色い髪の人?」

比企谷「そう」

比企谷「で、その人、ちょっと怪我しちゃって……お見舞いに来たんだ」

菜々子「! ……そうだったの」

503: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:22:54 ID:1nMeTojY



     ……実を言えば不安を感じている事がある。

     由比ヶ浜は意識を取り戻したというのに一向に良くなる気配がない。

     気がついてから10日くらい経つが、今だに起き上がる事すらままならず

     酸素吸入器を外したり、付けたり、を繰り返している……



     みんな……クマですら薄々感じているが

     言葉にはしていない。



504: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:23:49 ID:1nMeTojY

比企谷(真犯人の生田目とかいう奴も同じ状況だとか……)

比企谷(そのせいでまだ取り調べも行われていない)

比企谷(この前、足立さんがまたうっかり口を滑らせてそう言っていた)

比企谷(……日本の警察大丈夫か?と少し思ってしまったな)


菜々子「…………」

菜々子「あのっ、お兄さん!」

比企谷「ん?」

菜々子「菜々子もお見舞いしたい!……です」

比企谷「ああ……そうだね。 きっと由比ヶ浜も喜ぶと思う」

比企谷「ありがとう、菜々子ちゃん」

菜々子「えへへ」///

505: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:25:15 ID:1nMeTojY

由比ヶ浜の病室


クマ「およ? センセイ、その子は誰クマ?」

比企谷「かいつまんで説明するが」

比企谷「夏祭りの時知り合った堂島さんの娘さんだ」

比企谷「堂島さんもこの病院に入院してて、偶然再会した」

比企谷「由比ヶ浜の事を話したら、お見舞いしたいと言うので来てもらった」

菜々子「ど、堂島菜々子ですっ」///

花村「おう! 菜々子ちゃんか、いい名前だな。 よろしく!」

里中「よろしくね、菜々子ちゃん」

白鐘「よろしく」

りせ「よろしくねっ!」

506: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:26:21 ID:1nMeTojY

クマ「菜々子ちゃん、大歓迎するクマ!」

クマ「よろしくクマね~」

菜々子「うん!」

菜々子「こんにちは、お姉さん」

由比ヶ浜「……?」

比企谷「由比ヶ浜、覚えてるか?」

比企谷「夏休みの夏祭り……」

由比ヶ浜「…………」

507: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:27:10 ID:1nMeTojY

由比ヶ浜「……あ、思い出した」

由比ヶ浜「足を怪我してた女の子……だったね……」

菜々子「はい。 あの時はありがとう、お姉さん」

菜々子「菜々子、元気になれました!」

由比ヶ浜「そっか……良かった……」

菜々子「お姉さんも早く元気になってください」

由比ヶ浜「うん……そしたら……」

由比ヶ浜「一緒に……遊ぼうね……」

菜々子「うん!」


一同「…………」

508: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:28:12 ID:1nMeTojY


―――――――――――


帰り道


     テク テク テク…

花村「…………」

比企谷「…………」

クマ「…………」

りせ「…………」

白鐘「…………」

里中「…………」

509: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:29:26 ID:1nMeTojY

里中「あ……えと、あたし、こっちだから」

比企谷「お、おう」

花村「またな、里中」

里中「うん。 じゃ、また明日」

     タッ タッ タッ…

りせ「じゃあ……あたしもここで」

花村「ああ。 俺たちも行くか……クマ」

クマ「わかったクマ……」

花村「じゃあな、比企谷、白鐘」

比企谷「おう……」

白鐘「はい。 また明日……」

510: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:30:23 ID:1nMeTojY

比企谷「…………」

白鐘「…………」

     テク テク テク

白鐘「あ、あのっ」

比企谷「ん?」

白鐘「良かったら……夕食を一緒に取りませんか?」

比企谷「……いきなりだな」

比企谷「何か話したい事でもあるのか?」

白鐘「……そういう訳じゃありません」

白鐘「それとも、そういう『何か』が無いと 僕との食事は嫌ですか?」

比企谷「そうは言ってないだろ……」

白鐘「なら、問題は無いですよね?」

比企谷「……白鐘。 お前、雪ノ下に毒されてないか?」

511: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:31:36 ID:1nMeTojY

大衆食堂 愛屋


     オマチー

白鐘「いただきます」

比企谷「いただきます」

     ズルルッ… ズルッ ズルッ…

白鐘「うん。 美味しいですね」

比企谷「ああ」

白鐘「先輩のそれ……トッピングは何ですか?」

比企谷「チャーシューを多めにコーンともやし」

白鐘「美味しそうですね」

比企谷「やらないぞ」

白鐘「ははは」 クスッ

512: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:32:39 ID:1nMeTojY

白鐘「…………」

白鐘「いいですね、こういうの。 やってみて良かった」

比企谷「ん?」

白鐘「他愛のない会話ってやつです」

比企谷「…………」

比企谷「別に俺じゃなくても良かっただろ……」

白鐘「いえ」

白鐘「比企谷先輩『と』が……いいんです」///

比企谷「そうなのか?」

白鐘「ええ……」

513: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:33:35 ID:1nMeTojY

白鐘「他の皆さんもそうですけど」

白鐘「事件絡みでしか話をしていない様な気がして……」

白鐘「そういうのじゃない、何か……明日の天気とか、普通の話題で」

白鐘「前々から話をしてみたかったんです」

比企谷(……尚の事、ぼっち歴の長い俺じゃない方がいいと思うが)

比企谷「そうか。 お役に立てて光栄だ」

白鐘「ははは」

白鐘「ところで……比企谷先輩は料理とかするんですか?」

比企谷「まあ……たしなむ程度だな」

白鐘「得意料理とか、あるんですか?」

比企谷「俺の味噌汁は、妹の小町もポイン……評判がいい」

514: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:37:43 ID:1nMeTojY

白鐘「妹さんが居るんですか」

比企谷「言っとくが、俺に似てなくて とびきり可愛いぞ」

白鐘「比企谷先輩に似ててもきっと可愛いですよ」

比企谷「……お世辞だと分かるが、喜んでおく」

白鐘「お世辞なんかじゃないです」

比企谷「…………」

比企谷「俺ばっか聞かれるのもなんだし」

比企谷「白鐘の事、聞いていいか?」

白鐘「ええ。 体のサイズ以外で答えられる範囲なら」

比企谷「……ちいっ」

白鐘「そのくらいはさすがに予想してますよ、比企谷先輩」 クスッ

比企谷「……やっぱり雪ノ下に毒されてるだろ、白鐘」

     ハハハ……

515: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:38:43 ID:1nMeTojY

白鐘「…………」

白鐘(僕は……ずるい人間だ)

白鐘(由比ヶ浜さんがあんな状態だというのに……)

白鐘(…………)

白鐘(でも)

白鐘(比企谷先輩が元気になれる存在でありたい)

白鐘(彼の……大切な存在になりたい)

白鐘(…………)

白鐘(勝ち目は……薄いのかもしれないけど)

白鐘(それでも僕は、僕の心は、そうしたいと思っている……)

白鐘(……比企谷先輩)///

516: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:39:54 ID:1nMeTojY


―――――――――――


数日後の放課後

ジュネス前


菜々子「あ! お兄さん!」

比企谷「菜々子ちゃん? それに……」

鳴上「またお会いしましたね。 鳴上です」

比企谷「どうも、比企谷です」

比企谷(……今日は平日なのに。 何で居るんだ?)

鳴上「病院に行く途中なんですが」

鳴上「伯父さんの日用品もついでにと思ってジュネスに……」

菜々子「あのね、お兄さん!」

517: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:42:05 ID:1nMeTojY

菜々子「菜々子、お姉さんが早く元気になる様にと思って、お兄ちゃんに相談したら」

菜々子「”せんばづる”っていうのを作ってくれたの!」

菜々子「ほら!」

     バッ!

比企谷(……どう見ても50羽くらいしか居ないが)

比企谷「そうか……ありがとう、菜々子ちゃん、鳴上……さん」

比企谷「これで由比ヶ浜、すぐに良くなると思う」

菜々子「えへへ!」

菜々子「菜々子もね、ちょっとだけど折ったんだよ?」

比企谷「どれかな?」

菜々子「えっとね……これとこれと……これ!」

比企谷「うん。 とっても綺麗に出来てる。 菜々子ちゃん上手だね……」

518: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:43:49 ID:1nMeTojY


―――――――――――


ジュネス店内


比企谷「そうですか……菜々子ちゃんが電話を」

鳴上「ええ」

鳴上「菜々子……『お姉さん』の為に何かしたいって相談されたんです」

鳴上「最初、『お姉さん』って誰?と思いました」 クスッ

比企谷「でしょうね」 クスッ

鳴上「事情を聞いて、それなら……と思いついたんですが」

鳴上「時間がなくて あの有様です……」

比企谷「いえ、菜々子ちゃんのその気持ちが嬉しいですよ」

比企谷「わざわざ八十稲羽に来てくれた鳴上さんもね」

519: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:45:10 ID:1nMeTojY

鳴上「俺は、菜々子の力になりたかっただけです」

比企谷「たとえそうだとしても」

比企谷「お礼をいいます。 ありがとう」

鳴上「どういたしまして」 クスッ

鳴上「……早く良くなるといいですね」

比企谷「……ええ」


??「おっ……比企谷」


比企谷「花村」

花村「よう! 偶然だな。 これからお見舞いか?」

雪ノ下「私達もこれからな……?」

520: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:46:16 ID:1nMeTojY

菜々子「こ、こんにちは……」

鳴上「……こんにちは」

里中「あ……ど、どうも」

花村「比企谷、こちらは?」

比企谷「ああ、花村達は知らないんだよな……」

―――――――――――

天城「そういう事だったの」

鳴上「初めまして。 鳴上です」

菜々子「堂島菜々子ですっ」///

雪ノ下「こんにちは、菜々子ちゃん」

クマ「ナナちゃん、ありがとうクマ……」

クマ「きっとユイちゃん、これで良くなるクマよ!」

菜々子「~~~っ」///

521: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:47:28 ID:1nMeTojY

りせ「……ねえ」

りせ「あたし達も折らない? 折り鶴」

里中「おおっ! いいアイデアじゃん!」

白鐘「僕たちも作りましょう! 千羽鶴」

鳴上「あ……それなら」

鳴上「この千羽鶴に継ぎ足しますか?」

比企谷「いいんですか?」

鳴上「ええ。 構わないよな? 菜々子」

菜々子「うん!」

花村「よし! じゃ、俺、折り紙買ってくるわ!」

522: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:48:43 ID:1nMeTojY


―――――――――――


ジュネス フードコート


クマ「出来たクマ!」

花村「……お前、何を折ったんだ?」

クマ「え? これじゃないクマ?」

花村「かたち! 明らかに折り鶴じゃねーだろ!」

クマ「クマ……」

比企谷「……やっこさんか?」

雪ノ下「折り紙の説明部分、途中から隣のを見たのね」

比企谷「それでいてこの形にするって、ある意味すげーな……」

523: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:49:49 ID:1nMeTojY

りせ「よし! 完成!」

天城「こっちも折れたよ」

里中「出来た……けど」

里中「あたしの……ぶかっこうだなぁ」

天城「千枝、こういうのは気持ちがこもってればいいんだよ」

里中「うううっ……やっぱり作り直すっ!」

菜々子「できたよ、お兄ちゃん!」

鳴上「うん。 上手に出来たな、菜々子」

菜々子「えへへっ」///

雪ノ下「鳴上……くんの折り鶴、とっても綺麗に折れているわね」

鳴上「それほどでも」

524: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:50:50 ID:1nMeTojY

花村「謙遜は良くないって」

里中「普段から折ってるとか?」

鳴上「…………」

鳴上「実は、日本折り鶴選手権大会、準優勝してます」

天城「へえ……だからこんなに綺麗に折れるんだ」

りせ「納得の出来だよね」

クマ「およよ……クマも頑張って優勝を狙うクマ!」

花村「無理に決まってんだろうが、クマ」

鳴上「…………」


鳴上(どうしよう……冗談だったのに)

525: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:51:48 ID:1nMeTojY


―――――――――――


比企谷「……こんなものかな」

菜々子「うわぁ……立派になったね! お兄ちゃん!」

鳴上「そうだな、菜々子」


里中「ううっ……やっぱりあたしが折ったの、悪い意味で目立ってるじゃん」///

比企谷「なかなかどうして。 いい味になってると思うぞ」

天城「そうだよ、千枝」

白鐘「手作り感が溢れてて、いいと思いますよ?」

里中「そ、そう?」

526: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:53:20 ID:1nMeTojY

りせ「まあ、これで力不足に思うのなら」

りせ「別のところで頑張ればいいと思うな!」

里中「別のところ?」

りせ「例えば……由比ヶ浜さんの退院祝いにケーキ作るとか!」

天城「りせちゃん、それいいアイデアだね!」

里中「それなら自信あるじゃん!」

花村「止・め・な・さ・いっ!」

花村「退院した由比ヶ浜さん、病院に送り返す気かっ!?」

里中「それどういう意味よ!?」

比企谷「キーワードは林間学校、物体X、オムライス……」

天城「あ、あれから、時間、随分経ってるし!」

りせ「れ、練習だってしてるもんっ!」

527: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:54:24 ID:1nMeTojY

雪ノ下「みんな、その辺にしておきなさい」

雪ノ下「折り鶴折ってたから、もうこんな時間よ」

里中「わっ!……本当だ、急いだ方がいいね」

クマ「どおりでお腹すいたクマ……」

花村「お前は年がら年中腹減らしてるだろ」

比企谷「よし。 そろそろ行くか」

天城「そうだね」

白鐘「行きましょう」

鳴上「菜々子、手を離さないようにな」

菜々子「うん! お兄ちゃん!」

528: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:55:21 ID:1nMeTojY


―――――――――――


八十稲羽 総合病院

由比ヶ浜の病室前


     バタ バタ…

クマ「クマ?」

比企谷「…………」

花村「お、おい……なんか」

里中「随分慌ただしいね……由比ヶ浜さんの病室」

りせ「…………」

天城「……まさか」

雪ノ下「…………」

白鐘「…………」

529: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:56:24 ID:1nMeTojY

菜々子「お兄ちゃん?」

鳴上「菜々子……今は静かにしていよう。 な?」

菜々子「う、うん……」


看護師「!!」

看護師「あなた達は……」


一同「…………」


看護師「…………」

看護師「……由比ヶ浜さん、容態が急変したの」


一同「…っ!!」

530: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:57:38 ID:1nMeTojY

看護師「今、全力を尽くして治療にあたっています」

看護師「心配に思うだろうけど、邪魔をしないでね」

看護師「じゃ……」

     タッ タッ タッ…

比企谷「…………」

雪ノ下「…………」

里中「うそ……」

天城「こんなの……こんなのって……」

白鐘「…………」

クマ「およよ……ユイちゃん……」

花村「……大丈夫……きっと、大丈夫だ……きっと……」

りせ「頑張って……由比ヶ浜さん……!」

531: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 19:58:43 ID:1nMeTojY


―――――――――――


     チッ チッ チッ…

比企谷「…………」

比企谷「…………」 チラッ

     22:24(ケータイのデジタル時計)

比企谷(……あれから、もう3時間か)


鳴上「…………」

鳴上「菜々子。 お父さんの病室に行こう?」

菜々子「やだっ……」

菜々子「菜々子、お姉さんに”せんばづる”渡すまで、ここに居るっ」

鳴上「菜々子……」

532: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:00:14 ID:1nMeTojY

     ガチャ…

一同「!!」

看護師「…………」

看護師「君……確か、ヒッキー?とか言われてたね」

比企谷「……はい」

看護師「…………」

看護師「由比ヶ浜さんのご両親……間の悪い事に」

看護師「今日、どうしても外せない用事で遠出してたの」

比企谷「…………」

533: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:01:34 ID:1nMeTojY

看護師「……連絡は入れておいたけど」

看護師「たぶん……厳しいと思う」


一同「……!!」


看護師「…………」

看護師「本来はダメなんだけど……担当の先生も」

看護師「誰か一人くらいなら見て見ぬふりしてくれるって……」

比企谷「…………」

里中「……っ」

天城「……う…そ……」

りせ「……そん……な」

白鐘「由比ヶ浜……さん……」

クマ「…………」

534: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:02:43 ID:1nMeTojY

比企谷「…………」

花村「……比企谷」

比企谷「っ!」 ビクンッ

花村「早く…行けよ……由比ヶ浜さん……ぐっ……待ってるぞ」

比企谷「花村……」

菜々子「待って、お兄さんっ」

菜々子「これ……!」

比企谷「…………」

比企谷「……ありがとう、菜々子ちゃん」

比企谷「必ず渡す」

菜々子「うんっ」 グスッ…

鳴上「…………」

535: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:04:09 ID:1nMeTojY


―――――――――――


看護師「由比ヶ浜さん、聞こえる?」

看護師「ヒッキー?君、来てくれたよ?」

由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜「……ヒッ……キー……?」

比企谷「由比ヶ浜……ここだ。 ここに居るぞ」

由比ヶ浜「…………」

由比ヶ浜「……ヒッ……キー……」

比企谷「……っ」

比企谷「由比ヶ浜……これ見ろよ」

536: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:05:26 ID:1nMeTojY

比企谷「菜々子ちゃん……いや、みんなで……」

比企谷「お前が元気になる様にって……作ったんだ」

由比ヶ浜「…………」




     ああ……ヒッキーの手だ

     ヒッキー……私の手、握ってる

     あったかいなぁ……




537: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:06:53 ID:1nMeTojY

比企谷「わかるだろ? みんなお前を……待ってるんだよ」

比企谷「それに……ほら、約束」

比企谷「元気になったら、俺に何か言うんだろ?」

由比ヶ浜「…………」




     お父さんとお母さんにも会いたかったけど……

     最後があなたで……私……嬉しい……




538: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:07:51 ID:1nMeTojY

比企谷「約束しただろっ……約束っ……うっ……」

比企谷「頼むから……守ってくれよ……」

比企谷「由比ヶ浜っ……なあっ……!」

由比ヶ浜「…………」




     ……ごめんね、ヒッキー

     約束……守れなくて……




539: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:09:18 ID:1nMeTojY







     ………………








     ……やだ








540: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:10:15 ID:1nMeTojY








     こんなの……嫌だよ……







541: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:11:15 ID:1nMeTojY







     せっかく……ヒッキーの『特別』になれたのに……

     告白の返事も聞いてないのに……









     死にたくないよっ……









542: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:12:18 ID:1nMeTojY








     これで終わりなんて……あんまりだよっ……








     ヒッキー……








543: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:13:24 ID:1nMeTojY








     私…………もっと…………あなたと……










     たくさん…………お話して…………








544: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:14:42 ID:1nMeTojY








     そん…な………………まい………にち…………を……









     すご………………し………………た………………








545: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:15:28 ID:1nMeTojY








     ………………………………………………








546: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:16:24 ID:1nMeTojY








     ピ―――――――――――――――――――――…………








547: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:17:09 ID:1nMeTojY

比企谷「……っ!!!」

比企谷「…………」

比企谷「…………」

比企谷「……由比……ヶ浜?」

比企谷「…………」

比企谷「由比ヶ浜……」

比企谷「由比ヶ浜っ……」

比企谷「……っ」

比企谷「由比…ヶ浜ぁっ……!」

548: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:18:22 ID:1nMeTojY







     乾いた電子音が響く中

     由比ヶ浜が俺の呼びかけに答える事は……







549: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/21(火) 20:19:10 ID:1nMeTojY









     もう……無かった……









557: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:23:26 ID:9X8ZOpRs


―――――――――――


     コッ コッ コッ…

堂島「……ん?」


天城「……ううっ……ぐっ……」

里中「…………こんなの……ぐくっ……」

白鐘「……っ…………っ……」

りせ「あんまり、だよ……ひっく………ううっ…」

雪ノ下「…………」

クマ「ユイちゃん………ユイちゃん………」

花村「……ぐっ……うくっ………うあっ……」


堂島「…………」

558: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:25:19 ID:9X8ZOpRs

堂島「……悠」

鳴上「! ……伯父さん」

菜々子「!」

菜々子「お父……さん」

菜々子「お父さん、お父さんっ」

     ギュッ…

菜々子「うあああああんっ…! お姉さんっ……お姉さんがっ……」

堂島「菜々子……」

鳴上「…………」

鳴上「……今は、そっとしておきましょう」

堂島「……そうだな。 俺の病室に行こう」

559: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:27:15 ID:9X8ZOpRs

由比ヶ浜の病室


比企谷「…………」


     看護師のテキパキとした動きで酸素吸入器が外される。

     もうピクリとも動かなくなった由比ヶ浜から……



     さっきまで悲しかったはずなのに……

     不思議と……もう涙は溢れてこない。


比企谷「…………」

560: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:29:03 ID:9X8ZOpRs

比企谷「……看護師さん」

看護師「……はい?」

比企谷「これ……千羽づ……百羽とちょっと鶴」

比企谷「由比ヶ浜に持たせてもいいですか?」

看護師「ええ……どうぞ」

比企谷「……ありがとうございます」


     俺は、由比ヶ浜の胸の辺りに百羽とちょっと鶴を置き

     それに由比ヶ浜の両手を添えた。


比企谷「…………」

561: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:31:05 ID:9X8ZOpRs




     何かを言おうと思ったが思いつかず……

     そのまま静かに……俺は由比ヶ浜の病室を後にした。




562: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:32:26 ID:9X8ZOpRs

雪ノ下「……比企谷くん」

比企谷「…………」

白鐘「比企谷先輩……」

比企谷「…………」

比企谷「……みんな、今日はもう帰……」



     ハナセー   ハナシヤガレッ



比企谷「!?」

里中「今の声……花村?」



     コロシテヤルッ   ブッコロシテヤルッ



天城「ええ!?」

563: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:33:44 ID:9X8ZOpRs

りせ「ど、どうしちゃったの!? 花村先輩!?」

比企谷「!」

比企谷「あいつ……まさか生田目の病室に!?」


一同「!?」


里中「生田目!? あいつ、この病院に居たの!?」

天城「じゃ、じゃあ殺してやるって……」

りせ「そ、それって、ヤバイんじゃ!?」

白鐘「ともかく、現場に向かいましょう!」


     ダダダッ……


クマ「…………」

564: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:34:51 ID:9X8ZOpRs

由比ヶ浜の病室


クマ「…………」

クマ「ユイちゃん……」

クマ「…………」

クマ「ごめんね……何の力にもなれなくて……」

クマ「クマ……できる事なら、何でもやってあげたかった」

クマ「でも……クマに出来る事は……大抵みんな出来てて……」

クマ「……っ」

クマ「ごめん……ねっ……」

クマ「クマ……役立たずで……本当にごめんねっ……」

クマ「……ううっ……ごめ、ん……ね……ユイちゃんっ……」

565: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:35:50 ID:9X8ZOpRs








     本当に……ごめんなさい……







566: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:37:09 ID:9X8ZOpRs


―――――――――――


生田目の病室前


花村「何でだよっ!?」

花村「何であいつが生きてて……」

花村「由比ヶ浜さんが死ななきゃならないんだよっ!?」

花村「山野アナだって小西先輩だって殺してるのはあいつなのに……」

花村「どうしてなんだよっ!!」

警官1「おとなしくしろっ!」

警官2「公務執行妨害、現行犯で確保する!!」

花村「放せ! 放しやがれっ!」


里中「! は、花村……」

天城「お巡りさん! 待ってください!」

天城「事情が……事情があるんです!!」

567: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:38:21 ID:9X8ZOpRs

警官1「残念だが見逃す訳にはいかん」

警官1「理由はどうあれ『ブッ殺す』などと物騒な事も言ってるしな」

警官2「ほら立て!」

花村「ぐっ……」

花村「……ううっ……由比…ヶ浜さん…………」

警官1「……ちっ」

警官1「そっち持ってくれ。 引きずってでも連れて行く」

警官2「わかった」

     ズルズルズル…

一同「……っ」

568: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:40:24 ID:9X8ZOpRs

りせ「…………」

りせ「……どうしてよ」

りせ「どうして生田目は生きてるの!?」

雪ノ下「久慈川さん……」

里中「……あたしだって」

里中「気持ちは花村と同じだよっ……!」

里中「こんなの……こんなのって……無いじゃん!」

天城「千枝……」

比企谷「…………」

白鐘「…………」


     カタンッ……!


一同「!?」

569: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:41:29 ID:9X8ZOpRs

里中「何? 今の音?」

白鐘「……生田目の部屋の方から聞こえましたね」

比企谷「確かにな」

白鐘「行ってみませんか?」


一同「!?」


白鐘「……今なら見張りの警官は居ませんし」

白鐘「せっかく出来たチャンスです。 入るべきだと思うのですが」


一同「…………」


比企谷「虎穴に入らずんば虎子を得ず……か」

比企谷「行ってみよう」

570: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:42:36 ID:9X8ZOpRs

生田目の病室


     ヒュウウウウウ……

生田目「はあ……はあ……」

生田目「……ぐっ……く……」


比企谷「生田目……」

生田目「!?」

白鐘「……やれやれ。 どうやら窓から逃げるつもりだった様ですね」

生田目「う……ううっ……」

里中「どこまで卑怯なの……」

天城「もういい加減、観念しなさいよ……!」

比企谷「…………」

571: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:44:00 ID:9X8ZOpRs

雪ノ下「あなたのせいで、由比ヶ浜さんはっ……!」

りせ「絶対に……許さない……!」

比企谷「……ここから逃げ出して どうするつもりだったんだ?」

比企谷「生田目……」

生田目「…………」

比企谷「また――」

生田目「ひっ」

比企谷「被害者を増やすつもりだったのかっ……! 生田目っ…!」

生田目「ち、違――」



     ……ピウィ~……



一同「!?」

572: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:45:33 ID:9X8ZOpRs

里中「み、見て! 【マヨナカテレビ】が……!」

雪ノ下「夜中の0時……でも」

天城「どうして!? 今日、雨降ってないのに……」


テレビ『……救済は失敗だ』


白鐘「生田目!?」

比企谷「それも鮮明な映像……本人はここに居るのに……?」

りせ「何が起こってるの!?」


テレビ『お前達に邪魔されたせいだ……』


一同「!?」

573: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:46:56 ID:9X8ZOpRs

里中「……なにそれ。 あたし達の事!?」


テレビ『だが……俺はこれからも救済を続ける』

テレビ『今回は失敗に終わったが、法律は俺を裁けない……』

テレビ『どうせすぐに釈放されるからな!!』


一同「!!」

生田目「!?」


テレビ『ふふふ……誰も俺を止められない』

テレビ『止めようとしても無駄だ。 俺は何度でも繰り返して救済するのだから』

テレビ『それでも止めたいのなら好きにすればいい』

テレビ『ふふふ……は―――っはっはっはっ……!』


     ブツンッ!


一同「…………」

574: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:48:07 ID:9X8ZOpRs

比企谷「……好きにしろ」

比企谷「か……」


生田目「ひ、ひいっ!」


白鐘「……それにしても意外でした」

白鐘「生田目の病室に こんな大きなサイズのテレビがあったなんて……」

白鐘「大人でも……充分入れそうですよね」


生田目「!!」


里中「ちょっ……ちょっと待って」

里中「それって……!?」

575: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:49:50 ID:9X8ZOpRs

白鐘「生田目は逃げようとしてましたし……」

白鐘「行方不明になっても不思議はありませんよ」

天城「し、白鐘くん! 何を言ってるのかわかってるの!?」

雪ノ下「あなたこそわかっているのかしら? 天城さん」

天城「え……?」

雪ノ下「今、【マヨナカテレビ】の生田目が言ってたわ」

雪ノ下「『法律は俺を裁けない』と……」

天城「そ、それは……」

雪ノ下「実際その通りよ」

雪ノ下「テレビに入れて殺しました……何て供述」

雪ノ下「どうやって裁くのかしら?」

天城「…………」

576: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:51:02 ID:9X8ZOpRs

りせ「で、でも……! だからって……」

白鐘「考え方を変えればいいんですよ」

白鐘「僕たちは生田目を殺すわけじゃない」

白鐘「テレビに入れるだけ……それだけです」

白鐘「後は彼次第にすぎません。 自分の【シャドウ】に殺されるかどうかは、ね……」

りせ「だけど……あそこからは、自力で出られないんだし」

りせ「結果は同じじゃない!!」


生田目「う、うわあああっ」 ダダッ!


     ガシッ!


比企谷「…………」

577: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:52:31 ID:9X8ZOpRs

生田目「や、やめてくれぇ……」


里中「ひ、比企谷くんっ……」

天城「いくら何でもやりすぎだよっ! こんなのっ!」

雪ノ下「……そう思うのなら」

雪ノ下「ここから出て行きなさい」

りせ「!?」

雪ノ下「かかわり合いになりたくないのなら、今の内よ」

雪ノ下「早く病室から去るといいわ」

白鐘「それに時間もありませんしね」

白鐘「これは花村先輩が連行される事で出来た、貴重な時間です」

白鐘「チャンスは今しかない」

578: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:53:35 ID:9X8ZOpRs

生田目「ち、違うんだぁぁ……!」

生田目「さっきの……テレビが言ってた事は……」

生田目「でたらめなんだぁぁ……!」


里中「チャ、チャンスとか、そんな事を言いたいんじゃなくて!」

天城「こんなの……やり方としておかしいって言いたいの!」

りせ「お願い、比企谷先輩!」

りせ「考え直して!」


比企谷「…………」

     ズル ズル ズル…

生田目「僕はただ……救いたかっただけなんだぁぁ……」

生田目「出来る事をやっていただけなんだぁぁ……」

579: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:54:34 ID:9X8ZOpRs

比企谷「…………」



     ……ざけんな

     何が救うだ。 お前のせいで由比ヶ浜は……!



     俺を好きだと言ってくれた由比ヶ浜はっ……!

     由比ケ浜はっ!!



比企谷「……っ」 ギリッ!

580: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:55:33 ID:9X8ZOpRs





??「……本当にそれでいいのか?」





比企谷「!?」

白鐘「……あなたは」

雪ノ下「鳴上……くん」


鳴上「もう一度言う」

鳴上「本当にそれでいいのか?」


比企谷「…………」

581: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:56:51 ID:9X8ZOpRs

白鐘「部外者は黙っててください」

鳴上「それは否定しない。 だが……」

鳴上「だからこそ、今の君たちは」



鳴上「弱った病人を寄ってたかって嬲(なぶ)っている様にしか見えない」



比企谷「…………」

白鐘「……比企谷先輩、気にする事はありません」

白鐘「たとえ見られたとしても、誰も彼の話を信じないでしょう」

白鐘「与太話で済まされる問題です」

雪ノ下「その通りよ、比企谷くん」

雪ノ下「そして迷っている時間はもう無いわ」

582: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 19:57:59 ID:9X8ZOpRs

比企谷「…………」

比企谷「…………」



     ――本当にこれでいいのかい?――



比企谷「……生田目」


生田目「……はあ……はあ……?」


比企谷「お前は……由比ヶ浜を」

比企谷「いや、他の被害者も含め、本当の意味で救おうとしたのか?」


生田目「あ、ああ! その通りだっ……」


比企谷「…………」

585: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:02:56 ID:9X8ZOpRs








     ――何かが――

     ――引っかかっているんだろう?――









比企谷「……っ!」

     パッ……ドサッ……

生田目「ぐっ……はああああ……」

586: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:04:10 ID:9X8ZOpRs

白鐘「!?」

雪ノ下「比企谷くん、何をしているの!?」

白鐘「今しか無いんですよ!?」

比企谷「……落ち着け、二人共」

白鐘「!」

雪ノ下「!」

比企谷「今の俺たちは……冷静じゃない」

比企谷「いや、冷静になれない」


一同「…………」


比企谷「少し時間を置いた方がいい……」

比企谷「その上で、生田目に話を聞くのが、一番いいと思う」

587: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:05:49 ID:9X8ZOpRs

里中「うん……あたし、その意見に賛成」

天城「そうだよ、それでこそ比企谷くんだよ」

雪ノ下「……!」

りせ「よくよく考えたら……生田目に動機とか聞いてないもんね」

白鐘「……!」

比企谷「…………」

比企谷「……これでいいか? 鳴上…さん」

鳴上「…………」

鳴上「そういえば……俺は何をしにここへ来たんだ?」

比企谷「は?」


―――――――――――


588: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:07:19 ID:9X8ZOpRs

深夜

ひと気の無い待合室


比企谷「……花村の事でしたか」

鳴上「ええ」

鳴上「俺は騒ぎを聞いて、それを伯父さんに伝えて」

鳴上「伯父さん、警官を説得して彼を自宅に返すよう指示したそうです」

鳴上「俺はそれを伝えにあそこへ……」

比企谷「そうだったんですか」

比企谷「堂島さんに後でお礼を言っておかないと……」

比企谷「わざわざすみませんでした」

鳴上「いえ」

589: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:08:26 ID:9X8ZOpRs

鳴上「それじゃ……俺はこれで」

比企谷「はい。 お疲れ様でした」

     テク テク テク…

比企谷「…………」

比企谷「じゃ……俺たちも帰ろう」

比企谷「いろいろあって疲れた……ゆっくり休んでくれ」


一同「…………」


里中「そうだね……確かに疲れたじゃん」

天城「うん……」

りせ「そういやクマ。 ずいぶん静かだけど、どうしたの?」

590: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:09:50 ID:9X8ZOpRs


     シーン……


雪ノ下「……え?」

里中「あれ?」

天城「クマくんが……居ない!?」

りせ「いつから居なくなってたの!?」

白鐘「ともかく、探してみましょう」

比企谷「だな」


―――――――――――


雪ノ下「居た?」

里中「ダメ……由比ヶ浜さんの病室にも居なかった」

りせ「どこに行ったのよ……クマ」

591: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:11:43 ID:9X8ZOpRs

白鐘「先に帰ったんでしょうか?」

比企谷「その可能性はあるな……」 ピッピッピッ…

比企谷「……だめか。 花村のケータイ、通じねぇ」

天城「そう……」

比企谷「…………」

比企谷「みんな、もう遅い。 今日はここまでにしよう」

比企谷「クマの事は心配だが……花村も もう休んだのかもしれん」

比企谷「明日にしよう……」


一同「…………」


592: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:13:00 ID:9X8ZOpRs

りせ「ううー! 寒い寒いっ!」

天城「外……こんなに冷え込んでたんだ」

里中「もうすっかり冬だね……」



ガスマスク男「霧がー! これは毒だー! 逃げろー!!」

一同「…………」



雪ノ下「…………」

雪ノ下「……あ」

白鐘「降ってきましたね……雪」

白鐘「通りで冷える訳です……」

里中「…………」

里中「それじゃ……行こ、雪子」

天城「うん、千枝。 じゃまた明日……」

593: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:14:21 ID:9X8ZOpRs

りせ「…………」

りせ「……それじゃあたしも帰ります」

りせ「また明日……」

     タッ タッ タッ…

白鐘「…………」

白鐘「あの、比企谷先輩……」

比企谷「……ん?」

白鐘「…………」

白鐘「また今度、どこかで暖かいものでも食べませんか?」

比企谷「……そうだな。 考えとく」

白鐘「…………」

白鐘「では、楽しみにしておきます」

白鐘「お休みなさい……」

594: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:19:12 ID:9X8ZOpRs

     スタ スタ スタ…

比企谷「…………」

雪ノ下「…………」

雪ノ下「……それじゃ、比企谷くん」

比企谷「ああ……また明日な」

雪ノ下「……ええ」

     テク テク テク…

比企谷「…………」

比企谷「…………」

     テク テク テク…

595: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:28:12 ID:9X8ZOpRs


―――――――――――


????


     キュム キュム キュム…

クマ「ここは……どこクマ?」

     キュム キュム キュム…

クマ「…………」

クマ「クマは……どうしてこんな所に?」

クマ「…………」

クマ「まるで……あの時みたいクマ……」

     キュム キュム キュム…

クマ「……あの時?」

クマ「!!」

596: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:29:35 ID:9X8ZOpRs

クマ「…………」

クマ「……思い出したクマ」

クマ「クマは……クマは……」

クマ「…………」

クマ「は……ははは……」

クマ「滑稽クマ……どうしてこんな事、今思い出したクマ……」

クマ「…………」

クマ「ごめんね……ユイちゃん、みんな……センセイ……」

クマ「もう……クマは……みんなと一緒に居られないクマ……」

クマ「…………」

597: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:30:28 ID:9X8ZOpRs






     さようなら……みんな……

     さようなら……












                                    ……トクン

598: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:32:01 ID:9X8ZOpRs


―――――――――――


鮫川河川敷公園


比企谷「…………」

比企谷(……もし)

比企谷(鳴上があの時来なければ……)

比企谷(俺は……どうしていた?)

比企谷(…………)

比企谷(いや……たとえ鳴上が何か言おうとも)

比企谷(生田目をテレビに放り込むべきじゃなかったのか……)

比企谷(…………)

比企谷(俺は……)

599: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:34:15 ID:9X8ZOpRs

比企谷(…………)



由比ヶ浜「一昨日から、天城屋自慢の『美人の湯』に入り続けてるの!」

由比ヶ浜「だから、結構綺麗になったでしょ?」



比企谷(…………)



由比ヶ浜「来年の今頃は……きっとまた元通りだよね?」

由比ヶ浜「来年の春、二人とも総武高校に帰ってきて、あの部室で」

由比ヶ浜「ゆきのんがいて、ヒッキーがいて」

由比ヶ浜「そして、私がいて……」

600: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:35:16 ID:9X8ZOpRs

比企谷(…………)



由比ヶ浜「うわあ……! ヒッキーに美人さんだって褒められた!」

由比ヶ浜「ね、ね! もう一回、言ってよ! ヒッキー!」



比企谷(…………)



由比ヶ浜「でさ! もうびっくりだよ!」

由比ヶ浜「まさかヒッキーの学校が修学旅行でここに来るなんて!」

由比ヶ浜「えへへー。 それにしてもここ、変わってないでしょ?」

由比ヶ浜「今すぐにでも部活動できる気がしない?」

601: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:36:59 ID:9X8ZOpRs

比企谷(…………)



由比ヶ浜「心配してくれてありがとう」

由比ヶ浜「じゃ、この話はもうおしまい!」

由比ヶ浜「天気もいいし、どっか遊びに行こうよ! 三人で!」



比企谷(…………)



司会「ところで、アピールしたい人って誰なのかな?」

由比ヶ浜「ま、まあ、とても鈍い人、とだけ言っておきます」///

602: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:38:36 ID:9X8ZOpRs

比企谷(…………)



由比ヶ浜「ヒッキーにこんな自分を……見せたくなかった……!」

由比ヶ浜「私……ぐすっ……ヒッキーには……」

由比ヶ浜「綺麗な……うぐっ……自分を……見ていて欲しかった……」

由比ヶ浜「それだけ……ひっく……それだけ……だったの……」



比企谷(……っ)



由比ヶ浜「私……ヒッキーの事……好きだよ……」

由比ヶ浜「えへへ……やっと……言えた……」

由比ヶ浜「気持ち……伝えられた……嬉しい……」

603: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:40:03 ID:9X8ZOpRs







     サクッ サクッ サクッ…







604: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:42:16 ID:9X8ZOpRs

比企谷「……!」

比企谷「雪ノ下……」



     いつの間にか……少し積もっていた雪で

     彼女の足音に俺は気がついた。



雪ノ下「…………」

比企谷「…………」



     どうしてここに? 何をしに?

     いくつか疑問が浮かんだが……俺は、それを口にしなかった。



605: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:43:45 ID:9X8ZOpRs

雪ノ下「…………」

比企谷「…………」

比企谷「……なあ、雪ノ下」

雪ノ下「……うん」

比企谷「あの時……テレビの世界での由比ヶ浜」

雪ノ下「うん」

比企谷「俺……初めて由比ヶ浜の泣き顔を見た」

雪ノ下「…………」

比企谷「それまで……俺は由比ヶ浜って、笑ってる所しか思い出せなくて」

比企谷「いつもニコニコしてて、笑顔しか出来ないのか?とか思ったりもした」

雪ノ下「…………」

比企谷「…………」

606: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:45:27 ID:9X8ZOpRs

比企谷「……そんな訳ないよな」

比企谷「あいつがどうして いつも笑っていたのか……結局わからなくて」

比企谷「わからないままに……なって……」

雪ノ下「…………」

比企谷「初めて見た泣き顔は……俺が……原因、で……」

比企谷「なのに……あいつ……ぐくっ……俺を……こんな俺を……っ」

雪ノ下「……っ」

比企谷「……もう……ぐっ……謝る……こ、と……も……ひぐっ……」

比企谷「できなく……なって……ぐっ……」

雪ノ下「…………」

比企谷「俺……ぐっ……俺は……ひぎっ……俺はっ……!」

比企谷「……うぐっ……ぐっ……はっ……っ……あぐっ……」

607: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:47:04 ID:9X8ZOpRs


     ギュッ……


比企谷「……ひぐっ……うっ……うぐっ……ぎっ……ぐっ……」

雪ノ下「…………」


     ……こんなのは

     こんなやり方は、ずるいと思う


雪ノ下「…………」


     由比ヶ浜さんが居なくなって……そんな際に出来た

     比企谷くんの心の穴を、隙を、埋めるみたいな行動……


雪ノ下「…………」

608: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:51:53 ID:9X8ZOpRs









     でも









609: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:54:47 ID:9X8ZOpRs







     こんな状況の比企谷くんを……放っておけなかった

     支えてあげたかった

     抱きしめてあげたかった

     温めてあげたかった






610: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:56:05 ID:9X8ZOpRs









     ひとりに……しておきたくなかった……









611: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:57:26 ID:9X8ZOpRs


―――――――――――


翌日の午前中

足立宅



比企谷「…………」

比企谷(……もう昼前かよ)

比企谷(…………)

比企谷(足立さん……俺を起こさなかったのか)

比企谷(…………)

     ガラッ…

比企谷「……ん? 書置きがある」

612: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:58:55 ID:9X8ZOpRs




     比企谷くんへ

おはよう、比企谷くん。

事情は堂島さんから聞いたよ。 大変だったね……。

深夜に帰って来たし、疲れていると思ったから起こさないでおいた。

何なら今日は、学校休んでもいいと思う。

今は、ゆっくりした方がいいよ。 うん。

今夜は僕が食事を作るからね。 それじゃ、行ってきます。

     足立




613: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 20:59:59 ID:9X8ZOpRs

比企谷「…………」

比企谷(……学校……か)

比企谷(…………)

比企谷(花村やクマの事もある)

比企谷(行かないとな)


―――――――――――


昼休み

教室


比企谷「……おそよう」

里中「! 比企谷くん……」

614: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:01:14 ID:9X8ZOpRs

花村「比企谷……」

天城「比企谷くん……」

雪ノ下「何かしら、その挨拶」


一同「……え?」


雪ノ下「もしかして、『おはよう』のお昼バージョンとかいう」

雪ノ下「程度の低いボキャブラリーじゃないでしょうね?」

比企谷「…………」

比企谷「……何でいきなり俺は批判されてるんだよ?」

雪ノ下「あなたが、くだらない事を言うからに決まってるでしょう?」

比企谷「否定はしないがな……暗い気分を何とかしようと軽くボケただけで」

雪ノ下「だったら、スワヒリ語とかで挨拶した方が面白いと思うわ」

615: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:03:02 ID:9X8ZOpRs

里中(…………)

天城(…………)

花村(…………)


比企谷「……っとすまん、みんな」

里中「え? い、いや、そんな事ないじゃん?」

天城「ちょっと驚いたけどね」

天城(いつも通りすぎて……)

花村(……立ち直り早すぎだろ)

比企谷「今、話せるか? 花村?」

616: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:05:55 ID:9X8ZOpRs

花村「あ、ああ。 クマの事だな?」

花村「けど……その前に謝っとくわ」

花村「心配かけて悪かった……」

比企谷「…………」

比企谷「もういいさ。 それにあれは俺よりも鳴上…さんや堂島さんに」

比企谷「礼を言った方がいいと思う」

花村「その辺は里中達から聞いた。 放課後、病院に行って堂島さんに会うつもりだ」

比企谷「そうか……」

花村「じゃ、クマの事だが……結論から言う」

花村「完全に行方不明状態だ」

比企谷「!?」

花村「俺の家に戻った形跡はない」

花村「ここのところ少し様子がおかしかったし……由比ヶ浜さんの事、ショックで」

花村「あの世界に帰っちまったのかもしれねぇ」

617: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:07:35 ID:9X8ZOpRs

比企谷「……ありえるな」

比企谷「だが……もしあの世界に帰っていなかったら、少し困った状況だな」

里中「と言うと?」

比企谷「あの世界……自由に行き来 できないかもしれん」


一同「!!」


里中「そうだった……あの世界から帰る出入り口出せるの」

里中「クマくんだけだもんね……」

天城「いつでも使えるようにって、出しっぱなしには してくれてるでしょ?」

花村「まあな。 けど、どんなイレギュラーがあるか、分かったもんじゃねぇ……」

花村「おいそれとは、行きにくいな」

618: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:09:02 ID:9X8ZOpRs

比企谷「ともかく、クマは大事な仲間だ」

比企谷「必ず探し出す」


一同「……!?」

一同(比企谷(くん)が……『仲間』って言った!?)


比企谷「……どうした?」

里中「ん!? い、いや、何でもございません事ですよ!?」

比企谷「……馬鹿にしてるのか?」

天城「そ、それより、お昼どうする?」

花村「そういや、もうこんな時間か。 俺は購買のパン、買ってく」

     ドンッ!!

雪ノ下「……比企谷くん」

比企谷「……何でしょう。 雪ノ下さん」

619: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:10:22 ID:9X8ZOpRs

雪ノ下「お、お弁当……作りすぎてね(棒)」///

雪ノ下「捨てるのも、もったいないし(棒)」///

雪ノ下「よ、よよよ、良かったら……いるかしら?(棒)」///


里中(何この大きな重箱……)

花村(……どう見ても作りすぎってレベルじゃねーだろ)

天城(今朝、厨房(ちゅうぼう:台所の事)で何かしてると思ったら……)

天城(昨夜、私より遅く帰ってきて、ほとんど寝てないハズなのに)


比企谷「…………」

比企谷「……そうだな」

比企谷「ありがたく貰おう」

620: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:11:20 ID:9X8ZOpRs

雪ノ下「!!」///

雪ノ下「そ、そう……」///

雪ノ下「良かった……」///


里中(えええええええっ!? 比企谷くん、いつものツッコミは無しなの!?)

花村(おいおいおいっ!? こんなデレッデレな雪ノ下さん、初めて見るんですけど!?)

天城(雪ノ下さん……可愛い……)


雪ノ下「じゃ、広げるわね」

比企谷「ああ。 そうだ、せめてお茶くらいは用意しよう」

雪ノ下「それもここにあるわ」

比企谷「至れり尽くせり、だな……」

621: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:12:25 ID:9X8ZOpRs


     ピピピッ……ピピピッ……


比企谷「っと、すまん。 電源を切り忘れてたか……」 ピッ

比企谷「はい、比企谷です」

比企谷「…………」

比企谷「ああ、足立さん。 今朝はどうも」

比企谷「それで? どうしたんですか?」

比企谷「……はい……はい」

比企谷「…………」

比企谷「!!!!!!!!」

比企谷「ほ、本当なんですか!? それ!?」

622: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:13:30 ID:9X8ZOpRs

雪ノ下「比企谷くん?」

花村「どうしたんだ?」

里中「足立って……比企谷くんの保護者の刑事さんだよね?」

天城「すごく驚いたみたいだけど……何かあったのかな?」


―――――――――――


623: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:14:19 ID:9X8ZOpRs





     ――ああ、僕も驚いたよ――

     ――こんな事ってあるんだねぇ――





比企谷「タクシー!!」

比企谷「ちっ……! 乗ってやがったか!」

624: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:15:05 ID:9X8ZOpRs





     ――たまたま仕事の報告をしに病院に行って――

     ――堂島さんから聞いたんだよ――





雪ノ下「比企谷くん、こっち! 捕まえたわ!」

比企谷「!! よし!」

625: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:16:13 ID:9X8ZOpRs





     ――堂島さん、早く君に知らせてやれって言ってね――

     ――もちろん言われなくてもするつもりだったけどさ――





比企谷「八十稲羽総合病院までお願いします!」

花村「それも超特急で!」

626: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:16:55 ID:9X8ZOpRs





     ――良かったね、比企谷くん――

     ――できるだけ早く会いに行ってあげなよ?――





比企谷(早く……早く……!!)

里中「ちょっとは落ち着くじゃん? 比企谷くん……」

天城「こればっかりはしょうがないよ、千枝」

627: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:17:52 ID:9X8ZOpRs





     ――きっと――

     ――首を長くして待っていると思うから――





比企谷「着いたっ!」

     ダダッ!!

雪ノ下「運転手さんありがとう。 これで……」つ金カード

雪ノ下「……え? 使えない!?」

628: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:18:47 ID:9X8ZOpRs






     ――由比ヶ浜さん――






比企谷(由比ヶ浜っ!)

看護師「! 廊下を走っちゃダメ!!」

白鐘「す、すみません!」

りせ「お小言は後で聞きますから!」

629: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:19:44 ID:9X8ZOpRs

由比ヶ浜の病室


比企谷「はあっはあっ……!」

     ガララッ

比企谷「ゆ、由比ヶ浜っ……!」


     ピッ     ピッ     ピッ…


比企谷「!!」

比企谷「由比…ヶ浜……っ!」

630: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:20:38 ID:9X8ZOpRs





     心地よいリズムで心臓の鼓動を示す電子音……

     酸素吸入器越しに聞こえるぐぐもった呼吸の音……

     由比ケ浜が……生きている事をしっかりと伝えていた……!





比企谷「…………」

比企谷「……っ」

比企谷「……うっ……ううううっ……ああっ……っ!」

比企谷「由比…ヶ浜ぁ……ぐっ……良かった……ぐくっ……」

比企谷「心配……がげさせっ…やがっでぇ……!」

631: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:22:04 ID:9X8ZOpRs

花村「生きてる……生きてるぞ……! 由比ヶ浜さんっ!」

花村「ぐっ……よ……良かった……あぐっ……良かった……!!」

りせ「こんな事って……あるんだね……っ」

りせ「良かった……本当に……良がっだぁ……ひっく……」

天城「夢じゃないよね……っ! 現実だよねっ……千枝……」

里中「うんっ……! 現実じゃん……! 生きてるじゃん……由比ヶ浜さんっ!」

白鐘「まったく……こんな一大事な時に………ぐっ………」

白鐘「どこに……行ったんですかっ……うっ……クマくん……っ!」

雪ノ下「……由比ヶ浜さん……良かった……っ……」

雪ノ下「もし……また勝手に……ぐっ……居なくなったら……」

雪ノ下「絶交……するんだからっ……ひっく……」

632: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:23:47 ID:9X8ZOpRs

看護師「良かったね……みんな」

看護師「きっと、みんなの思いが通じたんだと思う」

看護師「彼女が生きている事を見つけたのは、ご両親だけど……」

看護師「キッカケはね、由比ヶ浜さんの胸に置かれた千羽鶴だったのよ」

比企谷「……え?」

看護師「ご両親……千羽鶴がね、微妙に動いているのに気がついて」

看護師「それで確かめてみたら、心臓が動いてる事がわかったって言ってたわ」

比企谷「!!」

看護師「あれが無かったらどうなっていた事か……」

看護師「由比ヶ浜さんのご両親、今は疲れて仮眠室で眠ってるけど」

看護師「君たちに会って、ぜひ、お礼を言いたいって言ってたわよ」

比企谷「そうですか……」

633: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:25:40 ID:9X8ZOpRs




     ともあれ由比ヶ浜は無事だった。

     さらに驚くべき事に、短い時間だが意識も戻ったらしく

     言葉も少し交わし、しかも容態は以前より安定しているとの事。



     医者も首をかしげている状態で、詳しい検査をしないといけないが

     後遺症も無く治るかもしれないそうだ……本当に良かった。




634: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:27:02 ID:9X8ZOpRs




     この後、花村と一緒に会う堂島さんに……

     いや、堂島さんだけじゃなく

     菜々子ちゃんや鳴上さんにもお礼を言わないといけないな。



     由比ヶ浜が生き返ったのは、『奇跡』なのかもしれない。

     けど……『生きている』のは……上手く言えないが

     由比ヶ浜を想う、いろんな人の気持ちがあったからだ……と




635: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/01/29(水) 21:28:55 ID:9X8ZOpRs









     俺は柄にもなく、そう思った。









643: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 19:40:39 ID:JUzy8MVE


―――――――――――


宵の口

病院の待合室


比企谷「ふう……疲れた」

里中「そろそろお腹すいてきたね……」

天城「そうだね、千枝」

花村「由比ヶ浜さんのご両親……すげぇ喜び様だったな」

白鐘「あそこまで感謝されると、少々恥ずかしくもなりますけどね……」///

りせ「でも、本当に良かった……由比ヶ浜さん生き返って」

雪ノ下「ええ……」

比企谷「…………」

644: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 19:41:30 ID:JUzy8MVE

比企谷「……よし」

比企谷「いい具合に頭も冷えただろう」

比企谷「ここいらで事件の事について話さないか?」

天城「そうだね。 それがいいかも」

里中「事件か……でも犯人は生田目で決まりなんでしょ?」

白鐘「ええ、警察はそういう方向で進めているみたいです。 が……」

白鐘「僕も色々と調べてみたんですが、最初の二件」

白鐘「山野真由美と小西早紀の殺害。 やはり彼のアリバイは崩せそうにありません」

白鐘「供述に何ら不自然さはなく、何よりも動機がない」

雪ノ下「……不倫がバレそうになって、殺した、とかじゃないの?」

白鐘「事件当時、生田目は本妻の柊みすずとの仲は冷え切ってて」

白鐘「何よりも山野アナとの事は、もう彼女にバレていました」

645: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 19:42:53 ID:JUzy8MVE

白鐘「言葉は悪いですが……この場合、本妻を殺す方が自然です」

花村「人殺しを『救済』なんて言ってる奴だぜ?」

花村「これなら、動機として十分だろ」

白鐘「その可能性は僕も考えました」

白鐘「しかしそれだと、二件目の小西早紀以降の動機としては不自然です」

りせ「山野アナを好きで殺した……『救済』したなら」

りせ「【マヨナカテレビ】に映っただけの人物を『救済』するのは、無理があるよね」

花村「だったら最初は殺すつもりじゃなく、テレビに入れただけかもな」

白鐘「それだと尚の事おかしくなります」

白鐘「好きな人を実験台に……という事ですし、確実性がありません」

比企谷「……生田目には、山野アナを殺す動機が極めて薄いって事か」

646: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 19:44:11 ID:JUzy8MVE

白鐘「しかし……生田目の日記には、二件の被害者の名前と住所が書かれていました」

白鐘「一体どういう事なのか……」

花村「だぁ~もう! こんがらがってきた!」

雪ノ下「何か……何か見落としてないかしら?」

白鐘「そうですね……後は」

白鐘「比企谷先輩に送りつけられた警告状くらいですか」

里中「ああ、あったね。 そういうの」

天城「結構前の話だよね?」

りせ「どんな内容だったけ?」

白鐘「一通目は、カタカナで”これ以上助けるな”……」

白鐘「二通目は……」

647: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 19:45:47 ID:JUzy8MVE

里中「ん?」

雪ノ下「二通目?」

天城「二通目なんてあったの?」

白鐘・花村・比企谷「……あ」

―――――――――――

雪ノ下「……まったく」

白鐘「……すみません」

比企谷「悪かった……由比ヶ浜がさらわれた当日で、慌ただしかったんでな……」

花村「由比ヶ浜さんが帰ってから……という話だったんだよ」

里中「まあそれは、肉丼でも奢ってもらって忘れてあげるじゃん」

花村「確定かよ! 何もなしで忘れてくれよ!」

天城「それで? どんな内容だったの?」

648: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 19:47:48 ID:JUzy8MVE

白鐘「は、はい。 二通目は」

白鐘「これも一通目同様カタカナで」

白鐘「”今度こそ止めないと、大事な人が入れられて殺されるよ”です」

比企谷「!!」

比企谷「……おかしいぞ、白鐘」

白鐘「え?」

比企谷「殺害を『救済』と言ってる人物が」

比企谷「『殺される』なんて警告状に書くか?」

白鐘「!」

雪ノ下「もう一つおかしいわ」


雪ノ下「どうして『殺されるよ』なの?」

雪ノ下「犯人の立場なら、入れて『殺すよ』じゃないの?」

649: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 19:48:53 ID:JUzy8MVE


一同「!!」


里中「……まさか」

天城「これって……」

白鐘「……久保美津雄の事件以外は、すべて同一犯だと思い込んでいました」

白鐘「しかし……最初の二件」

白鐘「別の誰かがやっているとしたら……!」

比企谷「…………」


比企谷(…………)

比企谷(俺は、これにずっと引っ掛かっていたのだろうか?)

比企谷(それにしても……犯人はいったい誰なんだ?)

650: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 19:50:25 ID:JUzy8MVE

白鐘(…………)

白鐘(……まさか)


比企谷「……?」

比企谷「どうした? 白鐘?」

白鐘「!」

白鐘「い、いえ。 何でもありません」

比企谷「?」

白鐘「それよりも、これはいよいよ生田目から事情を聞く必要が出てきました」

花村「だな」

花村「堂島さんに頼んでみるか?」

白鐘「……正直、あまり期待できないと思いますが」

白鐘「一応相談だけはしてみましょう」

651: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 19:52:47 ID:JUzy8MVE


―――――――――――


????


イゴール「……ようこそ、ベルベット・ルームへ」

イゴール「いかがお過ごしですかな?」

イゴール「…………」

イゴール「……左様にございますか」

イゴール「お客様との旅路も随分と長くなってまいりましたが」

イゴール「この見通しの効かない霧の中で」

イゴール「同じ方向に向かおうとする お仲間もお持ちの様でございますな」

イゴール「さて……」

イゴール「正直なところ、謎は解けそうでございますか?」

イゴール「…………」

652: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 19:54:06 ID:JUzy8MVE

イゴール「ほお……」

イゴール「…………」

イゴール「なる程……」

イゴール「一応の進展はあったが、新たな謎が……ふむ」

マーガレット「霧はその濃さを増し、見えていた道すらも覆い隠す……」

マーガレット「困難の度合いが、さらに加速したみたいです」

イゴール「……いかがでしょう? お客様」

イゴール「これまでは前を向き、前ばかりを見てまいりましたが」

イゴール「ここは一度、立ち止まって」

イゴール「過去を振り返ってみるのも一案ではございませぬかな?」

イゴール「……む?」

653: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 19:55:08 ID:JUzy8MVE


     ロロロロロッ……… キキィッ


マーガレット「ただいま、進行方向を確認中です」

マーガレット「しばらく、この場にて停車いたします」

イゴール「ほう……」

イゴール「まさかこの様な事になるとは……」

イゴール「これはやはり、一度振り返るべき……なのやもしれませぬな」

イゴール「…………」

イゴール「いずれにしてもお客様に残された時間は」

イゴール「だいぶ少なくなってまいりました」

イゴール「その事だけは、お忘れなき様、お願いいたします……」

654: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 19:56:03 ID:JUzy8MVE

イゴール「…………」

イゴール「ふふふ……そろそろお目覚めの時刻にございますな」

イゴール「それでは、いずれまた」

イゴール「夢の中にて、お会い致しましょう……」

マーガレット「またね。 お客様」

マーガレット「ふふふ……」

655: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 19:57:44 ID:JUzy8MVE


―――――――――――


翌日 休日の午前中

生田目の病室前


白鐘「……意外でしたね」

比企谷「……俺もそう思う」

花村「誰かさんと同じで、素直じゃなかったけどな」

比企谷「言われてるぞ、雪ノ下」

雪ノ下「……前にもこういうやり取り、あった気がする」

りせ「デジャヴってやつ?」

里中「それはいいから早く入ろうじゃん?」

天城「そうだよ。 堂島さん、せっかく警備の隙を教えてくれたんだし」

比企谷「そうだな。 時間は限られてる」

比企谷「入るぞ」

656: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 19:59:09 ID:JUzy8MVE

生田目の病室


生田目「!!」

生田目「き、君たちは……!」

白鐘「落ち着いてください、生田目さん」

白鐘「先日は失礼しました……僕たちは頭を冷や」


生田目「僕が救ってきた子達だ……」

一同「!?」


雪ノ下「何を言――」

比企谷「落ち着くんだ、雪ノ下」

雪ノ下「…………」

657: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 20:00:28 ID:JUzy8MVE

比企谷「生田目…さん」

比企谷「あなたとは、今回で合計三回会っていますが?」

生田目「え!?」

―――――――――――

生田目「……そうか」

生田目「あの世界で僕を追ってきたのも君達だったのか……」

生田目「霧が酷くて顔すらわからなかったんだよ」

天城「時々忘れそうになるけど、クマくんのメガネ無しじゃ仕方ないよね」

里中「二回目はこの病室だけど、暗かったからか……」

比企谷「…………」

比企谷「生田目さん。 改めて言います」

比企谷「話を聞かせてください」

658: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 20:01:24 ID:JUzy8MVE

生田目「僕の話を?」

比企谷「ええ」

生田目「……信じてくれるのか?」

比企谷「おそらく、あなたの話を理解できるのは」

比企谷「ここに居る俺達だけだと思います」

生田目「…………」

生田目「…………」

生田目「……わかった。 聞いてくれ」

生田目「僕が最初……この事件に関わったのは」

生田目「真由美の【マヨナカテレビ】を見てからだ……」

659: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 20:03:21 ID:JUzy8MVE



     生田目は話し始めた。

     山野アナとの不倫報道で一時的に八十稲羽の実家へと

     身を寄せていた生田目は、前々から噂で知っていた【マヨナカテレビ】を

     酒に酔いながら興味本位で試してみた。



     そこに映し出されたのが山野真由美。



     テレビに入れる事に気がついたのもこの時で、状況としては

     俺に似ている感じだった。

     

660: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 20:05:47 ID:JUzy8MVE



     あれは悪い夢だ……そう思いながら実家を後にし

     数日後、議員秘書の退職やらの事務手続きをしている最中に

     彼女の死を知る事になる。



     生田目は物凄いショックを受けたが……

     【マヨナカテレビ】の謎についてふと考える様になり

     それ以降の【マヨナカテレビ】を注視する様になった。



     そして映し出されたのが……

     二人目の被害者となる小西早紀だった。



661: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 20:09:05 ID:JUzy8MVE



     生田目は、身の回りに気を付ける様に彼女を説得するが

     小西早紀は聞く耳を持たず……結局、山野アナと同じ運命をたどった。



     なりふり構わず、警察にも相談したが

     やはり相手にしてもらえず……彼は、ある決断を下す。



     そうだ……テレビの中なら、誰にも手出しできない。

     あそこなら安全だ。 ほとぼりが冷めたら出してあげればいい。

     実家の運送業と組み合わせれば、問題なくこなせるはず。

     この力は、その為に備わったのだ……と。



662: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 20:11:15 ID:JUzy8MVE


一同「…………」


りせ「じゃあ……本当に救おうとして……」

花村「実際、テレビに入れたら人が死ななくなったんだし」

花村「自分は被害者を救えている、と、思ったってわけか……」

天城「でも、それなら何故、【マヨナカテレビ】に映っていない千枝を?」

生田目「……申し訳ないと思った」

生田目「しかし、彼女は君から離れようとしなかったし」

生田目「場所的にも時間的にも、そして初めてだったから僕の心に余裕が無かった……」


一同「…………」


生田目「だけど……」

663: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 20:14:24 ID:JUzy8MVE

生田目「刑事さんに追われて、逃げる為にテレビに入った時」

生田目「自分のやってきた事に……疑問を感じた」

生田目「まさか、自力では出る事すら出来ない場所だったなんて……!」


一同「……」


生田目「……実に滑稽だな」

生田目「無意識でヒーロー気取りだったんだよ、僕は……」

比企谷「…………」

生田目「…………」

生田目「……今更、謝られても困ると思うが、謝らせてくれ」

生田目「すまなかった……」

664: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 20:17:14 ID:JUzy8MVE


―――――――――――


待合室


比企谷「……警告状の事も知らない様だったな」

花村「あいつの言葉を信じるならな」

白鐘「状況的にも心情的にも理解できる内容です」

白鐘「正直、歯車がカチリと噛み合った気がしますよ」

花村「…………」

里中「なんか……モヤモヤする」

里中「結局、最初の二人を殺した犯人は誰なの?」

雪ノ下「そうよね……しかも向こうは、こちらの動きを知っている感じだし」

りせ「薄気味悪い……」

白鐘「…………」

665: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 20:18:24 ID:JUzy8MVE

比企谷「よし。 今日はここまでにしよう」

比企谷「こうなったら無茶かもしれないが、新しい何かを見つけるしかない」

天城「新しい何か……って、半年以上も前の事件の?」

比企谷「そういう事だな」

花村「目撃者が居たとしても忘れてるんじゃねーのか?」

比企谷「まあ正直、俺もそう思う……が」

比企谷「時には原点に返ってみるのも一つの方法じゃないかと思うんだ」

里中「つまり……どうすればいいの?」

比企谷「聞き込み……くらいしか思いつかないが」

比企谷「他にいい方法があるか?」

666: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 20:19:27 ID:JUzy8MVE

雪ノ下「…………」

雪ノ下「……まあ、ベスト、という方法ではないけど」

雪ノ下「やるしかなさそうね……」

花村「まあいいんじゃね? 出来る事が無いよりずっといいと思うぜ!」

里中「ようし。 こうなったら、やれるだけやってみようじゃん!」

天城「うん、千枝」

りせ「ついで、と言ったら可哀想だけど……クマも探してみたいし」

りせ「ちょうどいいかも♪」

比企谷「よし……じゃ、明日から始めよう」

比企谷「それでいいか? 白鐘?」

白鐘「……そうですね」

白鐘「それでいいと思います。 そうしましょう」

雪ノ下「……?」

667: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 20:20:35 ID:JUzy8MVE


―――――――――――




足立宅


足立「ただいまー」

比企谷「お帰りなさい、足立さん」

比企谷「夕飯の準備、出来てますよ」

足立「いつもありがとう、比企谷くん。 助かるよ」

足立「おっ、今日は鍋焼きうどんか。 いいねぇ~」

比企谷「こういうのが、美味しい季節になりましたね」

668: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 20:21:55 ID:JUzy8MVE

足立「いただきます」

比企谷「いただきます」

     ズルッ… ズルルッ…

足立「アツッ! ハフハフッ……くぅ~! 美味い!」

比企谷「温まりますね」

足立「だね。 それにとってもダシが効いてるよ」

比企谷「ありがとうございます」

足立「そういえば、由比ヶ浜さんどうだった?」

比企谷「看護師さんの話だと、明日にも酸素吸入器がいらなくなるだろうと……」

足立「そうかい……本当に良かったね」

比企谷「ええ……」

669: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/02/06(木) 20:22:59 ID:JUzy8MVE

足立「こっちもね、ようやく事件解決しそうだし」

足立「この街もやっと元の静かな町になりそうだ」

比企谷「……やっぱり犯人は生田目なんですか?」

足立「ん? ああ、詳しくは言えないけど」

足立「その通りだよ」

比企谷「そうですか……」

足立「後は、この霧……早く無くなるといいんだけどね」

足立「テレビじゃ研究中、調査中、と繰り返すばかりだし」

比企谷「全くですね」