前々回 真姫「私で遊ぶのはいいけど」 

前回 真姫「私で遊ぶのはいいけど」2  

521: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/12(土) 21:56:03.84 ID:9uDcysww0
湿った空気が夜風の冷たさに乗せられて肌寒さを感じさせる

夜の公園はなんだか寂しい

日があるうちなら小さい子が泥だらけになっているこの場所も、夜には街灯が公園の一部を照らすだけ

その街灯も年季が入っているのかついたり消えたりを繰り返している

太陽のありがたさがよくわかる気がする

私の太陽は未だに昇ってこない

どうしてこんな場所に私を呼び出したんだろう

そのくせ、本人はまだ現れる気配がない

私が場所を間違えたのかしら

なんて待っていると、息を切らして走ってくる少女が見えた

多分、メールをよこしたあの人だ

引用元: 真姫「私で遊ぶのはいいけど」  


522: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/12(土) 21:56:37.24 ID:9uDcysww0
「はぁ、はぁ、はぁ、お、おまたせ!お母さんに出かける前に説教されちゃって!」

「……」

「あのね、いきなり呼び出しちゃってごめん!どうしても言いたいことがあって!」

私はただ黙っていた

「わかったの、なんで真姫ちゃんが帰っちゃったか、なんで真姫ちゃんが何も言ってくれないのか」

「え?」

私は動揺する

それを穂乃果が言ったら、彼女は自分を傷つけてしまう

「穂乃果のせいなんだよね?」

心臓が飛び出そうになる

一番聞きたくなかった言葉

「穂乃果がお酒の入ったチョコレートを食べて、酔っぱらって、真姫ちゃんになにかしちゃったんだよね」

「それで、真姫ちゃん怖くなって帰っちゃったんだよね」

ちがう、そうじゃない

「そんな姿見たら、怖くなっちゃうよね」

お願い、それ以上自分を傷つけないで

523: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/12(土) 21:57:13.02 ID:9uDcysww0
「だからその、ごめんなさい!私のせいで」




私の体が勝手に動く



吸い寄せられるように穂乃果の体を抱きしめる



「言わないで!それ以上もう自分を傷つけないで!」

「ま、真姫ちゃん、でも……」

「でももだってもない!私が言わなかったから、あんなことになったんだから……!」

体が震える

どうして?

寒いの?怖いの……?

524: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/12(土) 21:58:55.48 ID:9uDcysww0
「真姫ちゃん……」

「もういいの、私も悪いの、だから、一人で抱え込まないで……」

「……ごめんね」

穂乃果の腕が私を包む

穂乃果の声も震えてる

「穂乃果、黙っていてごめんなさい」

「ううん、私の方こそ、怒ったりしてごめん」

お互いに謝りあって、そのあと静寂が訪れる

「…ねぇもし、よければ、穂乃果と仲直り、してくれる?」

穂乃果が震え声で私との関係を戻そうとする

私はそんなんじゃ満足できない

今だから言えることだってある

今しか言えないことだから

「……仲直りじゃ、いや」

「え?」

525: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/12(土) 21:59:27.62 ID:9uDcysww0
「一度しか言わないからよく聞いて。私は……」

大型トラックがけたたましく公園の前を何台も通り過ぎる

それでもかまわず私は言葉を紡いだ

「……いいかしら?」

言い終わって、穂乃果の顔を窺う

「……うん!」

穂乃果は満面の笑みでうなずいてくれた

「良かった……」

また二人で抱きしめあう

冷えた心と体がどんどん暖かくなっていく、満たされていく

……おかえり、私の太陽

「じゃあ、これでもう真姫ちゃんの心も穂乃果のモノだね」

「……ばか」

口ではこういうけど、この人になら私の心、持っていかれてもいいかも、なんてね

-雨の後に おしまい-

533: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 02:15:13.85 ID:zO1eRFZ80
-キスの味-

穂乃果「ねぇねぇまきちゃん、ちゅーしよ、ちゅー」

真姫「……何言ってんのよ」

穂乃果「だってさ!私たちが恋人になってからもう一週間だよ?でもなんもしてないじゃん!」

真姫「仕方ないでしょ?みんなには隠すって決めたんだから」

穂乃果「でもさー」

真姫「……それにそういうムードでもないでしょ?」

真姫「焦らなくたっていいじゃない、時間はまだまだいっぱいあるんだから……ね?」

穂乃果「むー」

穂乃果「ねぇ、もう一回、お泊りしない?」

534: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 02:16:13.99 ID:zO1eRFZ80
真姫「えぇ?」

穂乃果「だってさ、前に真姫ちゃんが来たときは帰っちゃったでしょ?だからまたやり直したいなーって」

真姫「あぁ……けどうち、今私以外誰もいないし……」

穂乃果「ほほう?」

真姫「あ……」

穂乃果「じゃあなおさらやろうよ!ねぇねぇいいでしょ?」

真姫「……仕方ないわね」

穂乃果「やったぁ!」

535: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 02:16:43.41 ID:zO1eRFZ80
-西木野邸-

真姫「で、ご飯どうするの?パスタとかなら作れるけど」

穂乃果「うーん、そうだ、一緒に作らない?」

真姫「……いいわよ」

穂乃果「冷蔵庫にはー……わぉ」ガコッ

真姫「調味料以外なにもないわね……」

穂乃果「買いにいこっか!」

真姫「仕方ないわね、そうしましょうか」

穂乃果「手、繋いでいこ?」

真姫「……」

536: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 02:19:03.80 ID:zO1eRFZ80
穂乃果「どうしたの?」

真姫「みんなに見つかったら、どうしようかなって」

穂乃果「あ、そっか……」

真姫「でも、考えてても仕方ないわよね、いいわよ、行きましょう」スッ

穂乃果「わぁ……うんっ!」ギュッ

真姫「もう、いちいちリアクションしすぎよ」

穂乃果「だって嬉しいんだもーん」♪

537: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 02:19:49.75 ID:zO1eRFZ80
-HANAMARU store-

穂乃果「何食べよっか!」

真姫「何でもいいわよ」

穂乃果「そういうのが一番困るのー!おばさんに言われなかったのー?」

真姫「わかったわよ、じゃあ……オムライス」

穂乃果「おっけー!じゃあ卵とウィンナーと……」

真姫「お米はあるはずだからそれを使いましょう」

穂乃果「そうだね、あとはサラダ!レタスとか使いたいよね!」

真姫「そうね!あとトマトとかもいいわよね!」

穂乃果「おぉ、真姫ちゃんがノリノリ!」

真姫「あ、そ、そんなことないわよ!」

穂乃果「いいのいいの、私といるときは楽しくいようよ、ね?」

真姫「……そうね、そうする」

穂乃果「よーし、早く買い物終わらせちゃお!」



にこ「……穂乃果と、真姫ちゃん?」

538: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 02:20:17.69 ID:zO1eRFZ80
真姫「買いたいものは大体買ったわね、これであとは作るだけね」

穂乃果「うん!じゃあ早くかーえろ!」

真姫「ええ」

穂乃果「じゃあ手つないで帰ろ!」

真姫「はい」スッ

穂乃果「わーいわーいえへへへへっ♪」ギュー

真姫「喜びすぎ、作る前に疲れちゃうわよ?」

穂乃果「はーい♪るーんたーったったーるーんるーんるーん♪」

真姫「まったく……ふふっ♪」

にこ「……」ジッ

539: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 02:33:22.89 ID:zO1eRFZ80
穂乃果「あ、ちょっと寄り道していい?」

真姫「どこに?」

穂乃果「自分の家!着替え持ってこなきゃ!」

真姫「あぁ……」

穂乃果「ほら、急ご!」グイッ

真姫「はいはい、引っ張らないの、転ぶわよ?」

穂乃果「むー」プクー

-穂むら-

穂乃果「お待たせー!」

真姫「早かったわね」

穂乃果「そう?いいや、早くもどろ!」

真姫「ええ」

穂乃果「あ」

真姫「どうかした?」

穂乃果「荷物もうちょっと減らすべきだったな、両手ふさがって手つなげない……」シュン

真姫「…………」

真姫「じゃあこっちの取っ手を手首に提げて」

穂乃果「え?」

真姫「こうしたら、手、つなげるでしょ?」

穂乃果「……うんっ!」

真姫「……ふふふっ」

540: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 02:33:58.98 ID:zO1eRFZ80
-西木野邸-

穂乃果「よーし!始めよう!」

真姫「まずは玉ねぎとか野菜を切るところからね」

穂乃果「玉ねぎ……どうしても涙が出ちゃうんだ」

真姫「切るときに顔が近いんじゃないかしら」

穂乃果「なるほど、じゃあ出来るだけ離れてやってみるよ!」

サクッ サクッ

穂乃果「…ほんとだ!涙でないよ!」

真姫「よかったわ、じゃあ私は卵といてるわね」

カンッ バリッ 

真姫「う……」

穂乃果「真姫ちゃん、力入れすぎだよ、もうちょっとリラックスリラックス」

真姫「う、うん……」

カンッ パキッ

真姫「出来たわ!」

穂乃果「やったね真姫ちゃん!」

真姫「ええ!」

541: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 02:34:31.63 ID:zO1eRFZ80
穂乃果「何とかできたね!」

真姫「そうね、穂乃果が焦がしたりしないか心配だったけど」

穂乃果「真姫ちゃんだって指きりそうだったじゃん!」

真姫「……ふふ」

穂乃果「あははっ」

ほのまき「あははははははは!」

真姫「……食べましょうか」

穂乃果「うん!」

ほのまき「いただきます」

穂乃果「………」モグモグ

真姫「……」モグモグ

542: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 02:34:58.43 ID:zO1eRFZ80
穂乃果「……おいしいねっ!」

真姫「そうね、このサラダもおいしい……」

穂乃果「なんか、初めて恋人っぽいこと、できたね」

真姫「……そうね」

穂乃果「あーっ、しまった、写真撮るべきだったなー」

真姫「いいじゃない、記憶に残るほうが素敵でしょ?」

穂乃果「……それもそうだね!」


穂乃果「はぁ、美味しかったぁ……」

真姫「えぇ、料理を作るのも悪くないわね」

穂乃果「また一緒にやろうね!」

真姫「うん」

穂乃果「じゃあ、お風呂はいろっか」

真姫「一緒に入るの?」

穂乃果「恋人なんだから!」

真姫「……わかった」

550: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 15:59:58.30 ID:zO1eRFZ80
-風呂場-

穂乃果「真姫ちゃんちのお風呂ってオシャレだから一緒に入りたいなって思ってたんだよねー」

真姫「なによ、それ……」

穂乃果「ほらほらこの……アロマキャンドル?とか、すごい雰囲気出てるし……」

穂乃果「ねぇ、これって9個あるけど、もしかして」

真姫「…………」コク

穂乃果「嬉しいな、こんな形で真姫ちゃんも私たちのこと大事にしてくれて」

真姫「……今はその中でもあなたが一番大事よ」

穂乃果「……あ、あらいっこしよ」

551: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 16:01:23.49 ID:zO1eRFZ80
真姫「別に一人でもできるでしょ?」

穂乃果「…………」プクー

真姫「はいはい、じゃあやりましょ」

穂乃果「わーい♪」ニコニコ

真姫「じゃあ先に穂乃果の背中流してあげる」

穂乃果「うん、お願い」

コシコシ

真姫「綺麗な背中ね」

穂乃果「そ、そう?それより真姫ちゃんの洗い方、くすぐったい」

552: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 16:01:51.24 ID:zO1eRFZ80
真姫「ん、もう少し力入れたほうがいいかしら?」

穂乃果「うん、もうちょっとだけ」

真姫「はーい」ゴシゴシ

穂乃果「うん、それくらいでいいよ」

真姫「もう結構洗ったから流すわよー」

穂乃果「うん」

ジャバー

穂乃果「はぁ、気持ちいいー」

真姫「じゃあ、次、お願いしていい?」

穂乃果「お任せあれ!」

553: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 16:02:17.71 ID:zO1eRFZ80
真姫「……後ろにいるからってまた耳とかいたずらしないでよ?」

穂乃果「保証はできませんなぁ……」ニヤニヤ

真姫「背中、流させないわよ?」

穂乃果「もう、冗談だってば」

真姫「わかってる。お願いね」

穂乃果「うん!」

ゴシゴシ

穂乃果(ほんと綺麗な背中、くびれた腰、羨ましいなぁ)

真姫「あなたってこういうのうまいわね」

穂乃果「そう?喜んでもらえてうれしいな」

真姫「えぇ、その調子でお願いね」

穂乃果「はーい」

554: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 16:02:53.55 ID:zO1eRFZ80
穂乃果「ところで真姫ちゃん、いたずらってどんなことしちゃだめなの?」

真姫「んー?例えば、鳥肌が立ったりとか、気持ち悪い感じがするとか」

穂乃果「なるほど……」

真姫「ねぇ、変な事しようとしてるんじゃないわよね?」

穂乃果「そうじゃない、と……思う」

穂乃果(……これなら、いいよね)

真姫「ねぇ、ちょっと……ひゃっ!」

穂乃果「…………」ツー

真姫「な、なにしてるの!?」

穂乃果「……おまじない」ツツー

真姫「な、なんの?」

穂乃果「ん、おしまい」

555: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 16:05:42.04 ID:zO1eRFZ80
-真姫の部屋-

穂乃果「また一緒に寝られるね」

真姫「そうね」

穂乃果「ねぇ、キス……しない?」

真姫「えぇ?でも……」

穂乃果「今なら二人きりだよ?……だめ?」

真姫(……えぇい、どうにでもなれ!)

真姫「わかった、いいわよ」ムク

真姫「感謝しなさい、この私のファーストキスをもらえるんだから」グイッ

穂乃果「……うん」

556: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 16:06:22.12 ID:zO1eRFZ80
穂乃果「でも、穂乃果が下なの?」

真姫「別にいいでしょ?」

穂乃果「いいけど、私一応年上だし……」

真姫「気にしないの」

真姫(あぁ、このたまに見せる大人っぽい顔がたまらない)ゾク

穂乃果(真姫ちゃんの唇、すごくやわらかそう)

穂乃果「……ん」ドキドキ

真姫「…………」ドキドキ

真姫「……ん…」チュッ

真姫(ん……ミントの味がする、歯磨きしたからかしら)

穂乃果「……んぅ……」

真姫「ん……ふぅ……」

557: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 16:07:26.44 ID:zO1eRFZ80
穂乃果「はぁ……あむ……ちゅ……」

真姫(穂乃果の唇、とっても気持ちいい)

穂乃果「ん……んんっ!」バッ

真姫「ゃっ」

穂乃果「はぁ、はぁ、ご、ごめん、息が、続かなくて」

真姫「……いいのよ、いくらでも、できるでしょ?」ギュッ

穂乃果(あ、真姫ちゃんの手が……)

穂乃果「うん……」ギュウッ

真姫「どうする、つづける?それともやめる?」

穂乃果「……もちろん、まだまだ」

真姫「……寝られるなんて思わないでね?」

穂乃果「きゃあ♪」

-キスの味 おしまい-


ブーッブーッブーッ

プルルルルルルル

にこ「…やっぱり、出ないか……」

563: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/13(日) 16:14:50.10 ID:zO1eRFZ80
>>554と>>555の間にこれ入れるの忘れてたんだぜ

真姫「ねぇ、私の背中に何してたの?」

穂乃果「……当ててみて?」

真姫「むぅ……字を書いていたのはわかるけど……」

穂乃果「お、いいねぇ、いい線いってる!えっとね、4文字だよ!」

真姫「…………」

穂乃果「じゃあもうちょっとだけヒント!」

真姫「いらないわ」

穂乃果「え?」

真姫「カタカナで……ダイスキ」

穂乃果「わぁ……」

真姫「……違った?」

穂乃果「真姫ちゃん、だいすき……」ギュッ

真姫「あん、……私もよ」キュッ

穂乃果「今日、来てよかった」

穂乃果「真姫ちゃんが私のこと、ちゃんとわかっててくれてるのが分かってすごくうれしい」

真姫「当たり前でしょ?私たち恋人……なんだから」

567: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 03:03:43.57 ID:XxLtpQ5T0
-バレた!-

真姫ちゃんとキスをしてから毎日がすっっっごく楽しい!

あれから二人っきりのときはずっと二人でキスしてるんだ♪

だーい好きだよ、真姫ちゃんっ

でもね、練習の時はみんなと息を合わせないといけないから離れなきゃいけないんだ

休憩中にももちろん気を配るよ?気づかれたら大変だからって真姫ちゃんが言ってたからね

穂乃果には考えもしなかったことをちゃんと考えているから真姫ちゃんはすごいや

そんな真姫ちゃんの会話を聞いてるとね

「真姫ちゃん、すごく動きよくなったよね」

「そう?調子がいいだけよ」

「いいなぁ、何か秘訣でもあるの?」

「みんなといるのが楽しいから……それだけかしら?」

「真姫ちゃんもホント変わったにゃ、明るくなった、ていうか」

「私だって何も変わらない人間なわけじゃないのよ?凛だって女の子らしくなってるし」

「えへへ、ありがと♪」

真姫ちゃん、本当に楽しそう

真姫ちゃんが楽しそうなら、私も楽しい

真姫ちゃんは私が楽しいなら真姫ちゃんも楽しいよね?

真姫ちゃんもそうだよね?

そうだったらうれしいな、なーんて♪

568: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 03:06:32.08 ID:XxLtpQ5T0
悩みの種が一つある

真姫ちゃんと穂乃果がこのところ急に仲良くなった

それだけならいい

グループ全体の結束が強まる事は私としても歓迎だし

けど、

スーパーでのあの二人のやり取りを見ていたら、なんというかとても距離が近いというか

まるで、恋人同士の関係といったほうがしっくりくる

経緯はどうであれ、どうしてあの二人が?

いずれにしても二人にガツンと言ってやらなくては

練習が終わったら真姫ちゃんを終わったら呼ばなくちゃね

「真姫ちゃん、終わったらちょっと話あるんだけど、いい?」

「え?いいけど……」

「じゃあ終わったら喫茶店でね」

「ええ……」

一瞬、真姫ちゃんの視線が穂乃果の方を向くのを、私は見逃さなかった

穂乃果も一瞬固まっていたのが見えた

569: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 03:07:20.34 ID:XxLtpQ5T0
真姫ちゃんがにこちゃんに連れていかれちゃったー!

どうしよう、これからの予定全部パーだよっ!

これから真姫ちゃんと勉強して、真姫ちゃんとおしゃべりして、真姫ちゃんとご飯食べて、真姫ちゃんとお風呂入って、真姫ちゃんとキスして、真姫ちゃんと一緒に寝て……

どうしよう、どうしようっ!?

とりあえず……あとを追いかけよう

あ、でも見つかったら駄目だよねっ!

ここは変装して……服とかも変えなきゃ

帽子もつけて……

家に帽子あるかな?あ、お父さんの借りよう!

とにかく家に帰ろう!

570: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 03:07:51.20 ID:XxLtpQ5T0
「それで話って何?」

にこちゃんに呼び出されて喫茶店にいる

本当なら家で勉強して、穂乃果と楽しく過ごしているはずだったんだけど……

あまり不機嫌な態度を出さないように出されたコーヒーを口にすると、次ににこちゃんは予想外の言葉を口にする

「単刀直入に聞くわ。あんたと穂乃果って、付き合ってるの?」

え?

え???

え?????

うそ

嘘でしょ?

見られた?

いつ?

どこで?

なんで?

572: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 03:08:44.30 ID:XxLtpQ5T0
「……どうなの?」

そんな私をしり目に、にこちゃんは追い打ちをかけてくる

コーヒー吹いてない?

取り乱してない?

ポーカーフェイスは大丈夫?

ここはどうやって切り抜ければいい?

何か、何かいい手は……

「つ、付き合うぅ?私たち女同士よ?ありえないわ」

ごめん、穂乃果、嘘ついちゃった

もしここにいたら、ほんとごめんなさい

573: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 03:09:12.32 ID:XxLtpQ5T0
「……本当に?」

しつこいなぁ……

「本当よ?何なら穂乃果にも……」

「え?」

え?

なんで穂乃果の声が聞こえるの?

「真姫ちゃん……」

どうして?

どうして……穂乃果がいるの?

「ほ、穂乃果?」

「ねぇ、私たち、付き合ってるんだよね?」

そう、そうよ!私たちは……

「…………」

にこちゃんやめて、そんな目で見ないで

574: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 03:10:15.34 ID:XxLtpQ5T0
いや、その嘘をついたことは謝る!

……あれ?何で声が出ないの?

「ねぇ、真姫ちゃん、あのお風呂でのおまじないの言葉も、部屋でしたキスも、全部うそだったの?」

「あ……ちが……」

「嘘だったの!?どうして!?ひどいよ!」

あ……あ……

私の中のすべてが崩れ落ちていく音がした

「いや、うそ、あれ?え?なに?なんで……?」

心が壊れていく

嘘をついたから?穂乃果と付き合ったから?穂乃果と出会ったから?

ちがう、ちがうちがうちがうちがうちがうっ!ぜんぶちがうっ!

「私、帰るわ。また明日ね」

なんで?!こうなった原因作ったのにこちゃんなのに、なんで帰っちゃうの?

まってよ!

575: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 03:11:08.62 ID:XxLtpQ5T0
にこちゃんがどんどん離れていく

待ちなさいよ!この疫病神っ!

「……穂乃果が悪いの?ねぇ、答えて?」

「穂乃果、頑張って直すから、ね?」

「……ごめんなさい」

「……ばか、ばかぁ!」

あっ!そ、そんなつもりじゃ!待って、行かないで!穂乃果ぁ!

結局、追いかけることもできず、私は椅子にもたれかかってぬるくなったコーヒーをひっくり返して泣いていた

人目を気にし始めたのはひとしきり泣き止んでからだった

576: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 03:11:44.97 ID:XxLtpQ5T0
しくじった

それ以上に二人の関係があそこまで進展しているなんて思いもしなかった

いや、あの二人の姿を見たら十分考えられることだったはずだ

穂乃果がどう動くかを考えなかったことが私のミスだ

明日から、どうなるだろう

μ’sのためにと思ってしたことがまさかこんなことになるなんて思わなかった

私のせいで、μ’sが壊れてしまうかもしれない

……痛っ!

あっちゃぁ、やっぱり考え事しながら料理してたら駄目ね

指切っちゃった

えーと、ばんそうこう、ばんそうこう……

582: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:11:31.58 ID:XxLtpQ5T0
真っ白い天井ずっと遠くに見える

世界が灰色に見えるってこういうことを言うんだ

嫌われた 嫌われた 嫌われてしまった

当然よね

嘘つきが好かれるはずがない



初めての恋がこんな形で終わるなんてひどい


もう学校も

μ’sもなくなってもいい

…………

いや、ここからまた始めればいいんだ

サヨナラ私の恋

おかえり私のもとの生活

……おかえり

583: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:12:00.43 ID:XxLtpQ5T0
嫌われちゃったの?穂乃果、嫌われちゃったの?

そんなことないよね?

でも電話しても真姫ちゃんでないし、メールも帰ってこない

疲れて寝ちゃってるのかな

無視されちゃってるのかな

そんな簡単に穂乃果、捨てられちゃうくらい軽いのかな……?

……どうしてあの時逃げちゃったんだろう

あの時逃げ出したかったのは真姫ちゃんの方だよね

どうして受け止めてあげなかったんだろう

あの時辛かったのは真姫ちゃんだよね

584: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:12:29.35 ID:XxLtpQ5T0
明日どうやって練習に出ようかな

真姫ちゃんと約束した通りに動けばいいのかな?

でも、真姫ちゃんとどうやってお話すればいいのかな

どうやって、真姫ちゃんと顔を合わせればいいのかなぁ……

考えても仕方ないし、明日はちゃんと練習に出よう

そうだ、カラオケにでも行って思いっきり歌おう!

そしたら、少しは気分、晴れるよね

585: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:13:12.20 ID:XxLtpQ5T0
翌日、私の不安と裏腹に天気は快晴

朝練はいつも通り神田明神でみんな集まった

穂乃果も真姫ちゃんもいつもと変わらない様子で何事もなく練習に来ていた

みんなは微妙な変化に気づいていない

知っているのは私と穂乃果と真姫ちゃんだけ

あのことりと海未でさえ穂乃果の変化に気づけていない

……声をかけなきゃいけないかな?

「ねぇ、真姫ちゃん」

花陽が先に声をかける

「朝一緒に来てから気になってたんだけど、目、どうしたの?真っ赤だけど……」

心臓が跳ねる

586: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:14:09.53 ID:XxLtpQ5T0
「あぁ、これ?昨日眠れなかったから家にあった映画見てたらなんでか知らないけど号泣しちゃって、それでね」

「真姫ちゃんが無意識でなくって信じられないにゃ~」

「ホントよ、今度見せてあげるわ」

「穂乃果、すこし声がかれてませんか?気のせいか瞼も少し腫れていますよ?」

「あ?これ?昨日ボイストレーニングでヒトカラ行っちゃって、それでかな?」

「カラオケ行ったの?誘ってくれればよかったのに~」

「ごめんごめん、今度一緒に行こうね!」

どっちも嘘だ

私は全部知っている

けど言い出せない

心が痛む

罪悪感で押しつぶされそうになる

どうして私はここにきてしまったんだろう

今更ながら激しく後悔してる

587: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:14:36.83 ID:XxLtpQ5T0
「にこっち、どうかしたん?」

「なによ、なんか顔についてる?」

「マヨネーズ、ほっぺたについとるよ?」

「え、嘘?」

慌てて頬をぬぐう

何もついてないじゃない

……あ

「うっそー♪やっぱりなんか隠しとるね?」

「…………なんでもないわよ」

「嘘つくとワシワシするよ?」

「……好きにしなさい、今それどころじゃないの」

「……結構深刻な問題みたいやね。わかった、あとで話聞くよ」

「……うん」

こういう時の希は本当に頼りになる

588: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:15:22.33 ID:XxLtpQ5T0
「なるほどね、穂乃果ちゃんと真姫ちゃんが……」

朝練が終わって、学校の昼休み、希と絵里が私を囲う

「偶然二人が一緒に買い物してるところを見ちゃったのよ」

「それだけならよかったのよ。偶然会って、偶然同じことをしてるんだって思ったから」

「けど、あの時の二人はそうじゃないって、直感でわかったの」

「そんなに、凄かったの?」

片眉をひきつらせた絵里が問う

私がそれを言いたい

「ええ、それで追いかけてみたら、あの二人、手をつないで帰ってた」

「おぉ……」

あの希もだいぶ驚いているようだ

589: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:16:05.57 ID:XxLtpQ5T0
「それも、恋人つなぎよ?気づかない方がどうかしてるわ」

「なるほど、で、にこはそういうのがよくないから二人を引き離そうとしたのね?」

「……そうよ」

「スクールアイドルとして活動している以上はどんな形であれアイドル。アイドルは恋愛をしてはいけないの」

「……気になってたんだけど、どうしてアイドルは恋愛をしてはいけないの?」

「……テレビや雑誌に出るアイドルはゴシップ記事とかスキャンダルとか、自分のステータスにかかわることだから極力出ないようにする、それは当然だと思うわ」

「でもね、アイドルの本質として私は恋に心を奪われたらどうなるかってことを考えたの」

「恋に傾いて本来するべき活動に支障が出て、それでファンが離れていったら元も子もないじゃない」

「だから、アイドルは恋愛をしてはいけないのよ、どんな形であっても」

「ふーん、なるほど、ね……」

「希、絵里、私の言ってることって間違ってるかしら?」

吐き気がするほど嫌な質問をしてる

私が正しいか、穂乃果たちが正しいかを聞いているのも同じだ

590: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:17:02.69 ID:XxLtpQ5T0
「そうねぇ、真姫たちが一方的に悪いとは思わないし、にこの考えを否定することもないと思うわ」

「……どういうこと?どっちつかずってこと?」

「にこっち、こういうことって正しい、正しくないだけで済む話じゃないと思うんよ」

「希……」

「確かに、にこの言っていることにも一理あるわ。そんなことになったらみんなに迷惑かけちゃうもの」

「絵里……」

「二人が私たちに隠し事をしていたこと、真姫が体裁を取り繕うために嘘をついたこと、それは許されるべきことではないわね」

なぜか、糾弾される二人のことが、心地よく聞こえた

「けど考えても見て?あの二人、そんなにベタベタしてた?」

「あ……」

今になって考えてみると、二人は練習中でも必要以上にくっついてなかった

591: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:23:28.96 ID:XxLtpQ5T0
「多分、心のどこかでそういう事になるのを感じていたから、隠したんだと思う。たぶん真姫の発案だと思うわ」

私はうつむく

自分の視野の狭さに恥ずかしさを感じていた

何が上級生だ、何が先輩だ、何が部長だ

「じゃあ、絵里たちはどうすればいいと思う?」

「うーん……あっちから話してくれるのを待つかしら」

予想外の返答だった

というか、今の二人にそれを求めることができるだろうか

「ねぇ、ここまで話したら今日のあの二人がどういう風に映ったかわからない?」

「……確かに、見方を変えれば今朝のあの二人の様子はちょっと不気味やったね」

「まるで、何事もなかったかのように……」

歪んでいるのはどちらか

どちらも歪んでしまったのか

ただ仮面をつけているだけなのか

「ここまで来ると、私たちにできることってないと思う」

「そうやね、暗に刺激して二人が余計に傷つくのも見てられんし」

ここにきて、なんも出来ないなんて、なんて無力なんだろう

いや、なんて最低なんだろう

かき乱すだけして、後始末をつけられない自分に、無性に腹が立って涙が頬を伝った

592: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:24:49.35 ID:XxLtpQ5T0
夜、気づいたらあの公園に来ていた

私と穂乃果が結ばれたあの場所

あの日の通り一つしかない街灯は点いては、消えてを繰り返している

嘘が回りまわって私を傷つけた

みんなに言うべきだった

隠さないで正直にいるべきだったんだ

そうしたら、にこちゃんのことを疫病神なんて思うことも

大事な穂乃果を泣かせることもなかった

最低だ

あれだけ人前で泣いたのに、まだ涙が出てくる

人もいない、何もない

私の泣きじゃくる声しか聞こえない

公園の片隅で私は地面に座ってただただ泣いていた

593: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:25:34.12 ID:XxLtpQ5T0
「見つけたよ、真姫ちゃん」

……え?

「ごめんね、あの時びっくりして帰っちゃったけど、そのあと家で何でかなってずっと考えてたんだ」

どうして……

「ねぇ真姫ちゃん、穂乃果のこと、ほんとに嫌いになっちゃったの?」

私は泣きじゃくりながら首を横に振る

「そっか、よかったぁ……」

安堵した声で穂乃果は私を抱きしめる

駄目よ、離して

「やーだ、泣き止むまで絶対はなさないよ」

……ばか

594: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:26:08.81 ID:XxLtpQ5T0
「真姫ちゃんがね、なんで嘘ついたのかなって、ずっと考えてた」

「私より頭のいい真姫ちゃんのことだから、絶対口を滑らすなんてことはないって思ったし」

「多分、気づかれちゃったんだね」

……そう

「ごめんね、隠し通せなくて」

ちがう

「やっぱり穂乃果に隠し事は無理みたいだよ、えへへ」

まってよ、隠そうなんて言った私が悪いのよ

「うーん、どうしたら真姫ちゃんばっかり気にしないでいられるかな?」

いいのよ、あなたが苦しむことなんてない

595: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:26:41.05 ID:XxLtpQ5T0

「じゃあ私たちが悪いってことにしない?」

え?

「幸せは2倍、辛さは半分こ、こうしちゃわない?」

でも、でも!

「これが私たちの初めての辛さ。大丈夫だよ、私がいるから」

……うん

「ほらほら、元気だーして♪」

「ありがとう、穂乃果ぁ……」

穂乃果を抱きしめ返す

救われた気がした

壊れた心が治っていく気がする

596: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:27:35.45 ID:XxLtpQ5T0
「明日、みんなに言おうね」

「うん」

「なんて言われちゃうかな?」

「うん」

「もう、聞いてるんだよ?」

「うん」

「もう……」

穂乃果は私の頭をそっとなでる

「よーしよし」

優しい手、すべてを許してくれる、温かい手

「もっと……」

今は甘えたい

「はいはい」

撫でる手が心地いい

抱きしめてくれる体がとても暖かい

冷めきった心が再び熱を帯びる

597: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/14(月) 12:28:17.28 ID:XxLtpQ5T0
「私、幸せ……」

「じゃあ終わったらご褒美のチュー、して?」

「もう、ここ外なのよ?せめてうちでやらない?」

「へーきだって、誰も来ないよ」

「ムードがないわよ、ムードが」

「じゃあムードがあったらしてくれる?」

「そういうことじゃ……あるけど」

目をそらした瞬間穂乃果は否応なしに私の唇を奪う

「ん……」

甘くて、永遠のようなキス

醒めるのは、一瞬

「ねぇ、続きはうちでやらない?」

「……うん」



-バレた! おしまい-

真姫ちゃんが笑ってたら、私も笑う

真姫ちゃんが悲しんでたら、私が慰めてあげる

穂乃果は真姫ちゃんが大好き

真姫ちゃんは穂乃果のモノだからね

心も、体も、全部、ぜーんぶ穂乃果のモノっ♪

うふふっ♪

だから穂乃果も真姫ちゃんに全部あげるね♪

だから、穂乃果が笑っていたら真姫ちゃんも笑っていてほしい

穂乃果が悲しんでいたら真姫ちゃんが慰めてほしい

真姫ちゃんも、穂乃果のことが大好きだからね♪

609: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:44:04.71 ID:M2Tq9n7k0
~カップル宣言!~

「おはよう、真姫ちゃん!」

「おはよう穂乃果、今日も元気ね」

「元気しか取り柄、ないからね」

「そんなことないわよ、あなた、可愛いんだから」

「もう、真姫ちゃんったらー」

穂乃果の手が私の腕を抱く

もう、そういうのは外じゃやらないって……

「真姫ちゃん、今日は私たちにとっても大事な日だよ」

「……そうだったわね、今日は大事な日」

「みんなとちゃんと向き合う日」

「認められなかったら、どうする?」

「認めてもらうまで、やり通す」

「そうね、頑張りましょう」

「うん!」

610: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:46:13.03 ID:M2Tq9n7k0
-部室-

「みんな、聞いてほしいことがあるんだけど」

口火を切る穂乃果

私は今は横で見守るだけ

にこちゃんは来たか、という顔をしている

にこちゃんだけじゃない、希とエリーも同じような表情でこちらを見る

ここで知らないのは凛、花陽、ことり、海未の4人だけだとこの時わかった

「どうしたんですか、穂乃果。藪から棒に」

「あのね……ま、真姫ちゃん」

「ええ」

震える穂乃果の手を私が握る

穂乃果は安心した顔でこっちを見る

きょとんとする4人、あぁ、そうかという顔をする3人

611: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:46:44.65 ID:M2Tq9n7k0
「い、行くよ、真姫ちゃん」

「ええ」

「わ、私たち、付き合ってるんです!」

言った

言ってしまった

顔を真っ赤にして、目も合わせられない

穂乃果の顔も見れない

あぁ、誰か何か反応して

せめて言い訳させてよ

「……おめでとう」

え?

612: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:47:26.49 ID:M2Tq9n7k0
「にこちゃん……」

「あんたたちが恋愛してるって知った時はやめさせようって思ったけど、ケンカさせた原因でもあるし、仕方ないから特別に許してあげるわ」

にこちゃん……

「でも、どうして?」

「アイドルが恋愛禁止っていったのはね、たとえば失恋したとき、本気で好きだった人にフラれたときでもファンを笑顔にさせられるパフォーマンスができるかわからないからよ」

「人々を笑顔にさせる仕事が、その時本気でできる?私にはできるかどうかわからない」

「だけど、あんたたちが今こうしているのを見たら遊びとか、冗談なんかじゃないってわかったから、だから許すの」

「ずっと続けなさいよ、それが私との約束」

「にこちゃん、ありがとう……」

「あの、すみません、話が飲み込めてないのですが……」

海未はやっぱり話についてこれていなかった

というか、事情を知らない4人は少なくとも何でこんな話になっているのかもわかってないはずだ

613: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:48:07.04 ID:M2Tq9n7k0
「とりあえず、まず、ほほほ穂乃果と真姫がつつつ付き合ってるというところからはなしてもらえましぇんか?」

海未、テンパりすぎ

「じゃあ、穂乃果から話すね。実は……」

それから、全部穂乃果が話した

私と付き合うようになった理由、それは私も初めて知ったんだけど

ケンカして、それから付き合うようになったこと

みんなに隠していたこと

それから二人で幸せに過ごしていたこと

私の家で初めてキスしあったこと

にこちゃんに見つかって破局寸前だったこと

全部、全部話した

「……というわけなの」

614: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:48:41.83 ID:M2Tq9n7k0
全部話し終わった穂乃果の表情は晴れやかだった

「……なるほど、よくわかりました。しかし」

「納得できないにゃー!」

「よかったね!穂乃果ちゃん、真姫ちゃん!」

「え、えっと、おめでとう、なのかな?」

「ことり、花陽!ここはやはり元の関係に戻すべきですよ!」

「で、でも……」

「真姫ちゃん、海未ちゃんがぁ……」

「大丈夫よ穂乃果、私がついてるから……」

「それに認めるまでやり通すって言ったのはあなたでしょ?」

あぁ、おびえる穂乃果が本当にかわいい 私は穂乃果を抱きしめる

615: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:49:37.02 ID:M2Tq9n7k0
「そうだね……」

穂乃果も私を抱きしめ返す

あぁ、幸せ……

「……女性同士が付き合うなんておかしいです……」

「じゃあ、海未ちゃんは男の人と付き合いたい?」

「そ、それとこれとは別です!」

「じゃあ、ことりは海未ちゃんをもらっちゃおうかな~」

「こ、ことり!今は冗談を言ってる場合では……!」

「海未ちゃん、ダメなの……?」

ことりが涙目で海未を誘惑する

海未はこうなったことりには弱い

「こ、ことり……」

616: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:50:07.83 ID:M2Tq9n7k0
「真姫ちゃん、穂乃果ちゃんのこと、よろしくね?仲良し3人組がこうしてバラバラになっちゃうのは残念だけど、しっかり者の真姫ちゃんがいてくれたらそれでいいよ」

「そのことなんだけど、ことり、私たちは……」

「確かに恋人だけど、海未ちゃんやことりちゃんといる時も楽しいから、離れようなんて思わないよ」

「え?」

「私たちはμ’sのことも大事。だから遠慮しないでほしいの」

「真姫ちゃん……」

「だから、これまで通り一緒に居よう?ただ、真姫ちゃんは穂乃果のモノだからあげないけど」

「ほ、穂乃果!」

「穂乃果ちゃん、恥ずかしいこと言ってるってわかってる?」

「えー?だってホントのことだし……」

「うぅ……」

言う場所とか、考えてよ、もう……!

617: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:51:40.16 ID:M2Tq9n7k0
「あ、真姫ちゃん顔真っ赤にゃー♪」

「からかわないでよ!」

「さて、真姫。あなたにちょーっとお仕置きをしないとね」

「え?」

「私たちに隠し事した落とし前、しっかりつけなきゃね」

「うっ……」

嘘をついた手前、私に拒否権なんてない

「やめて絵里ちゃん!悪いのは穂乃果だから!」

「いいのよ穂乃果、私は大丈夫だから」

「でもぉ……」

「大丈夫だから。で、エリー、なにすればいいの?」

618: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:52:20.33 ID:M2Tq9n7k0
「練習、2倍♪」

満面の笑顔で、冷たい言葉が贈られる

あぁ、これが怖い笑顔ってやつなんだ

でも、いいの

「いいわよ、やってやるわ!」

「真姫ちゃん、穂乃果もがんばるよ!」

「穂乃果……」

「駄目よ穂乃果、あなたは別」

「でも絵里ちゃん!」

「こんなピンチくらい、穂乃果なしでも乗り切って見せなさい?」

……そうよ、みんなといるときはみんなのために動かないと

「わかってるわ。心配しないで、穂乃果。そういう約束なんだから」

「う、うん……」

619: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:53:13.94 ID:M2Tq9n7k0
-練習後-

「はぁ、はぁ、もう、無理ぃ……」

屋上でみんなを前にへたり込む私

あぁ、情けない……

「まきちゃーん!死なないでー!かむばーっく!」

「穂乃果ぁ、私はもう……」

もう、体力の限界……

「まきちゃああーん!」

「ふふ、これに懲りたら二度と隠し事をしないようにね♪」

「…鬼ぃ……」

「大丈夫?真姫ちゃん、帰ろ?ほら、手伝ってあげるから」

こういう時、穂乃果が本当に女神のように見える

「う、うん……」

620: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:53:55.82 ID:M2Tq9n7k0
-帰り道-

「本当にあとをつけるんですか?」

「だって気になるじゃない」

「それはそうですが……」

「あ、ほら行っちゃうよ!」

「7人で固まると見つかるかもしれないわ!二手に分かれましょう!」

「いえっさー!」

「ふふ、楽しくなりそうやね!」



「真姫ちゃん、人も少なくなってきたよ」

「そうね……」

「じゃあ、いつもの、やっていい?」

「え?あぁ、うん……」

「えーいっ♪」

「あんっ……」

「むぅ、真姫ちゃんの反応薄いよ?」

「ごめん……今日はちょっと流石に……」

「謝らないでよ、真姫ちゃんのこと、わかってるつもりだから」

「ありがと……」

621: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:55:03.71 ID:M2Tq9n7k0
「おぉ、穂乃果ちゃんが手をつないで抱き付いております、希隊長!」

「うふふ、なんかお似合いのカップルって感じやん」

「ああいうの、眩しく見えるなぁ……」

「本当にラブラブだったのね」

「でも真姫ちゃんのテンション低いにゃー」

「ふらふらしてるね」

「絵里ちが無茶させるからやね……」

「うーん、私のせい?」

「どうせだったら甘々な二人を見てみたかったにゃ」

「……ごめん」


「わぁ、本当にらぶらぶ~」

「うぅ、今すぐにでも引き離したいですね……」

「海未、無粋なことすんじゃないの」

「わ、わかっていますが……」

「じゃあ海未ちゃんはことりとやろ?いいでしょ?」

「ここでやったら私帰るから」

「あ、ご、ごめん……」

622: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:55:55.47 ID:M2Tq9n7k0
-西木野邸前-

「はぁ、やっと着いた……」

ここまでの道のりがいつもより長かった気がする

「お疲れ様、真姫ちゃん。……中にはいろっか」

「ええ」

「おっじゃましまーす♪」


「あぁーっ!入ってっちゃった!」

「うーん、これ以上の追跡は不可能ね」

「でもいいもん見れたんやし、今日はこの辺にしとこ?」

「はーい」

「かよちん、ご飯食べて帰ろ!」

「うん!」

623: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:56:41.93 ID:M2Tq9n7k0
「ただいまー……って相変わらず誰もいないのよね」

「いつ帰ってくるの?」

「一週間後ね……あーもう無理、少し寝かせて……」

「こんなところで寝ちゃだめだよ、ベッドに行こう?」

「ん」

私は穂乃果に手招きをする

すると、穂乃果はニヤニヤしながら私の手を引くと

「……今の真姫ちゃん隙だらけだから、何してもいいよね?」

「え?」

「ふふふふふ……ていっ!」

「きゃっ!」

お、お姫様抱っこ?!

「ちょ、ちょっと!」

「あばれないあばれなーい♪このままお部屋までれっつごー♪」

「も、もう……」

624: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 00:58:49.10 ID:M2Tq9n7k0
-真姫の部屋-

「はい、とうちゃーく」

「ん……」

穂乃果は私をベッドに優しく寝かせる

「ふふん、今日はこれだけで終わらせる気はないよー?」

「え?ちょ、何を……」

「こんなにかわいい真姫ちゃん、独り占めできるんだから」

穂乃果は獲物を見る目で私を凝視して、私の腕をつかんで、私を逃げられなくする

逃げる気なんかないのに……

「キスだけもいいけど、もうちょっと別のことしてみたいな」

「例えば……こうやって制服を脱がせて……」

「あ、ちょ、勝手に……!」

「うん、すっごく色っぽい……」

「や、やめてよ、恥ずかしい」

上気した顔で穂乃果は私の鎖骨にキスをする

ビクッと体が動くけど、それだけしかない

体がもう完全にいう事を聞かなくなっていた

エリー、覚えておきなさい……

「もっと真姫ちゃんの体、いじめたいな♪」

「馬鹿……」

それから、穂乃果になすがまま、耳とか足をいじられたのは覚えてる

-カップル宣言!おしまい-

625: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 01:01:06.27 ID:M2Tq9n7k0
-わんわん、にゃあにゃあ-

「さぁ真姫ちゃん、9時になったら私としゃべるときは『にゃあ』って言うんだよ!」

「何でよ……」

「それはね、私たちがお互いどれだけ通じ合っているかを知るためだよ!」

「……そういわれても犬や猫だって意思の疎通を鳴き声で行っているのよ?」

「だからさ、それを私たちもやろうよっ!」

「…………」

顔をひきつらせて、なんか嫌そうって感じ

こういう事に真姫ちゃんはノリが悪い

だから穂乃果はね、こう言うんだ!

「真姫ちゃん、自分ができないから出来ないんだよね……」

626: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 01:01:32.91 ID:M2Tq9n7k0
「うっ……!」

ほーらね、こうすると真姫ちゃんは弱い

もっと追い討ちしちゃおう

「真姫ちゃん、私のこと、嫌いなんだ……」

「わ、わかったわよ!やるから!」

「わーい♪真姫ちゃん大好きー♪」

「じゃあ真姫ちゃん、『にゃあ』って言ってね!」

「穂乃果は『わん』とか、『くぅ~ん』とか使うから!」

「……わかったわよ」

こうして、真姫ちゃんが羞恥心と戦う日が始まった!

真姫ちゃんの恥ずかしがる顔、とってもかわいいからね!

627: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 01:02:05.80 ID:M2Tq9n7k0
-部室-

わんわん!(真姫ちゃん、何読んでるの?)

(これは……私が読んでいるものを聞いているのかしら)

「にゃあ(小説よ)」

おぉ、真姫ちゃん察しがいいなぁ

じゃあ、次はこれだ!

わんわんわん!(真姫ちゃん、頭撫でて!)

(頭を伏せた……頭を撫でればいいのかしら?)

「って穂乃果、あなたさっきから行動で示してない?」

「……」

628: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 01:02:52.31 ID:M2Tq9n7k0
「……何よ」

「真姫ちゃん、普通にしゃべってるよ」

「あ」

「あとで真姫ちゃん罰ゲームね」

「なによそれ!聞いてないわよ!」

「じゃあいいよ、今回は見逃してあげる」

「……にゃあ」

「わんっ♪」

「二人とも、何をしているのですか……」

「あ、海未ちゃん」

629: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/16(水) 01:03:20.39 ID:M2Tq9n7k0
「あぁ、これ?穂乃果の発案よ」

「で、そんなのに真姫も乗っているわけですか……」

「仕方ないでしょ、穂乃果の考えることなんていつもいきなりなんだし」

「わんわんわんわん!ぐるるるる……(真姫ちゃんひどい!さっきのなかったことにするよ)」

「にゃ、にゃあ……」

「真姫ちゃん、何してるの?」

「あ、凛ちゃん」

「にゃあっ!?」

ぷくくっ、真姫ちゃん、テンパりすぎ!

「真姫ちゃんも語尾ににゃをつけるようになったのかにゃ?」

「ち、ちがっ!これは穂乃果にやれって言われたからで、別に口癖にしようとかじゃなくって!」

「真姫、落ち着いてください」

「にゃん……」

ふふっ、真姫ちゃんかーわいい♪

-わんわん、にゃあにゃあ おしまい-

636: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/17(木) 00:12:55.24 ID:SLBUbjvp0
-続・わんわん、にゃあにゃあ-

「じゃあこの間のステップの確認から始めるから、3人一組に分かれましょう!」

エリーの掛け声でみんなが一斉に散る

なのに……

「なんで穂乃果がこっちに来るのよ!」

「わんわんわーん!(真姫ちゃんと一緒がいいんだもーん!)」

「わんわん、くぅーん(あと、このルール今日の九時までだからねー)」

……そういえば9時までだっけ、これ

「……にゃあ」

「ねぇ、穂乃果、真姫、あなたたちなにしてるの?」

「にゃっ!?」

637: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/17(木) 01:23:20.68 ID:SLBUbjvp0
「ま、真姫……」

「え、ああっ!ご、ごめんなさい!これはその……」

うわ、うわ、うわああああああああ恥ずかしい!よりによってエリーに見られるなんて!

「真姫、あなた疲れてるのよ……」

やめて!同情の目で見ないで!

「ふふふ……」

くっ、穂乃果……!

「はぁ、真姫ちゃんかわいい……!」

「ねぇ、穂乃果。ちょっと来なさい」

「ちょっと待って絵里ちゃん!まだ照れてる真姫ちゃんの姿を見させて」

くっ……!

638: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/17(木) 01:24:11.13 ID:SLBUbjvp0
「私に本気で怒られるのと今説教されるの、どっちがいいかしら?」

「すみませんすぐ行きます」

「ということだから真姫、すこーしまっててね」

あぁ、エリーの目がいつかの日と同じに……!

「待って、絵里ちゃん!話せばわかるよ!話し合おう!平和的に!」

「いいから、これから話し合いをするのよ?大丈夫よ~?」

「絵里ちゃん笑ってるけど目が笑ってないよ!怖いよ!助けてー!真姫ちゃーん!」

さよなら、穂乃果……必ず、帰ってくるのよ

「真姫ちゃんのうらぎりものー!」

「くくくっ、何今の、にゃあって」

「何でもにゃいわよ、気にしないで」

640: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/17(木) 01:25:45.10 ID:SLBUbjvp0
「ぶふふっ、何でもにゃい……!あはっ、あはははっ!」

「い、今のは噛んだのよ!」

「顔真っ赤ですけど大丈夫ですか~?」

くぅっ、ここにも邪な心を持った人間が……!

「真姫ちゃん!凛の口癖使わないでよ!」

「文句言うなら穂乃果に言って!私だってやりたくてやってるんじゃないんだから!」

「やってるの真姫ちゃんだし今穂乃果ちゃんいないもん!だから真姫ちゃんが悪い!」

「どうしてそうなるのよー!」

「問答無用!いつかのおかえしにゃー!」

凛は私の額に強烈な一撃を叩き込む、すっごい痛い

641: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/17(木) 01:26:15.30 ID:SLBUbjvp0
「いった~い!なにすんのよー!」

「真姫ちゃんが悪いんだもーん!ふーんだ!」

うぅ、海未やエリーに恥ずかしいところを見られたり、にこちゃんに嘲笑われるし、凛にはどつかれるし、もうこれ以上はないってくらいひどい日ね……

全部穂乃果のせいよ!穂乃果が悪いわ!

その穂乃果はまだ帰ってこないの!?

「きゅう、くぅ~ん」

「にゃあ……?」

穂乃果……?

「くぅ~ん、くぅ~ん(絵里ちゃん、怖かったよぉ~)」

私にすり寄る穂乃果、可愛い

「穂乃果が悪いのよ、真面目にやらないんだから」

「きゃいーん!(ひいぃ!)」

642: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/17(木) 01:26:45.91 ID:SLBUbjvp0
「エリー、私からも謝るわ、ごめんなさい」

「……仕方ないわね、珍しく取り乱した姿に免じて許してあげるわ」

くっ、傷をえぐってくるとは……

「さ、時間がもったいないからステップの練習、しちゃいましょ」

「はーい」

643: 逆襲のマッキーはやるつもり ◆KZH78Pv7kI 2014/07/17(木) 01:27:22.98 ID:SLBUbjvp0
-練習後-

「じゃあ、また明日ね!」

また明日、そういってみんな散り散りになっていく

そんな中、私と穂乃果に近づくのが一人……

「ちゅんちゅん!(穂乃果ちゃん!)」

「わん!?」

「ぴーぴー!(穂乃果ちゃんたちのやり取り見てたら混ざりたくなっちゃったの!)」

「わんわん!くぅ~ん!(いいよ!真姫ちゃんノリ悪いし!)」

「ちょ、ちょっとことり!」

644: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/17(木) 01:28:12.56 ID:SLBUbjvp0
「ちゅん?(なぁに?)」

「うっ……!」

まずい、穂乃果の行動パターンは大体読めるけど、ことりは全然読めない!

というかこの子普段何を考えてるの!?

「ちゅんちゅん、ぴよ?(穂乃果ちゃん、ことりがもらっちゃうよ?)」

くぅっ!何が言いたいのよ!

「ちゅんちゅん♪(穂乃果ちゃん、いこ)」

「わん!(うん!)」

え!?な、なんでことりが穂乃果の腕を!

「ちゅーんちゅん♪(ほーのかちゃん♪)」

「わーんわん♪(こーとりちゃん♪)」

「にゃあああああああああああっ!」

650: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/17(木) 14:08:50.53 ID:SLBUbjvp0
「にゃあっ!にゃにゃにゃっ!(ダメっ!穂乃果は私のもの!)」

「ちゅ、ちゅぅん……」

「にゃああっ!」

私は一心不乱にことりから穂乃果を引きはがす。そして

「にゃあんっ!」

穂乃果を背中から抱きしめる

「にゃにゃあっ!(見なさい!)」

「わんっ!?(真姫ちゃん!?)」

「…はぁ、楽しかった。じゃあね、穂乃果ちゃん、真姫ちゃん」

そういってことりは私たちから離れていく

私たちは、そのまま、ことりが去っていくのを見ていることしかできなかった

645: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/17(木) 01:28:46.35 ID:SLBUbjvp0
-夜・穂乃果の部屋-

「はぁ、もうこりごりよ」

「えへへ、やっぱり真姫ちゃん私のことわかっててくれたんだね」

「私からすれば穂乃果ってことりのこともちゃんとわかってるのが分かって、やっぱり幼馴染って羨ましいにゃって思ったわ」

「…………」

なに、こっちのことじっと見て……

「真姫ちゃん、にゃが定着しちゃってるわん!」

「もう!こんなのいやー!」

-続・わんわん、にゃあにゃあ おしまい-

646: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/17(木) 01:44:40.28 ID:SLBUbjvp0
-逆襲のマッキー Maki's counter attack-予告

「最近ね、思うことがあるのよ」

「どうしたの真姫ちゃん、いきなり深刻そうな顔して」

「……私、穂乃果にいじられてばっかりで私は何もしてないのよ」

「それは真姫ちゃんがいじられキャラだからにゃ」

「どういう意味?」

「そのまんまの意味にゃ」

「……そう、そういうことだったのね」

「真姫ちゃん?」

「わかったわ、これからは私がいじるキャラになる!」

「真姫ちゃんそういうの無理だと思うにゃー」

「見てなさい凛、私は必ずやり遂げるわ!そして穂乃果をわが手中にッ!」

「穂乃果ちゃん相手だと逆に手玉に取られちゃいそうだよね」

「うんうん」

「大丈夫よ、私には秘策があるわ!」

(空振りしそうな予感……言わないでおこうっと)

656: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:13:24.44 ID:+On5Itoz0
~逆襲のマッキー~

凛「ところで、秘策って何?」

真姫「穂乃果をおびきよせるわ」

花陽「そのあとは?」

真姫「穂乃果と二人きりで……」

凛「二人きりで?」

真姫「穂乃果をしかりつける」

花陽(逆効果だと思うな……)

凛「えー、それだけー?」

真姫「なによ?」

657: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:14:08.84 ID:+On5Itoz0
凛「ふっ、やっぱり真姫ちゃんはヘタレだにゃ」

真姫「はぁ!?どういう意味よ?」

凛「そのまんまの意味だにゃー」

真姫「じゃあ凛のやり方、教えなさいよ。それだけ言うなら自信あるんでしょうね?」

凛「ふっふー、でもこれは切り札にしてほしいにゃ」

真姫「いいわよ、さ、早く教えなさい」

凛「んー、教えてもいいけど、やっぱり態度っていうものがなってないにゃ~」

真姫「うっ……教えてください、お願いします」

凛「ラーメンおごってくれたら教えてあーげる♪」

真姫「わかった!わかったわよ!」

花陽(凛ちゃんなんか楽しそう……)

凛「ふふーん、えっとねぇ……」

658: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:14:51.87 ID:+On5Itoz0
-1日目-

真姫「穂乃果、帰りましょ」

穂乃果「うん!」

あぁ、穂乃果のこの甘えん坊な子犬のオーラ、とってもかわいい

しかし、今日はこの子犬をしっかり躾してあげなくては

穂乃果「今日なにしよっかー?」

真姫「課題でもしなさい」

穂乃果「真姫ちゃん手伝って!」

真姫「いやよ、自分でやんなさい」

穂乃果「えーっ、いつもみたいに手伝ってよ!」

659: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:15:51.94 ID:+On5Itoz0
真姫「私だって自分の勉強があるの、たまには自分の力でやりなさい」

穂乃果「……真姫ちゃんが海未ちゃんみたいになった」

真姫「みんなだって同じことしてるのよ?」

穂乃果「むーっ、そういうこと言う真姫ちゃんきらーい」

真姫「いいの?困ったとき教えてあげないわよ?」

穂乃果「ふーんっ!いいもん!真姫ちゃんなんか知ーらなーい」

……あれ?

あれ?

失敗したのかしら……?

穂乃果「まきちゃーん!おいてくよー!」


真姫「あ、まちなさいよ、もう」

穂乃果「えへへ、手、繋いで帰ろ?」

真姫「……ほら」

穂乃果「わーい♪」

660: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:17:03.43 ID:+On5Itoz0
穂乃果「じゃあ、また明日ね、真姫ちゃん」

真姫「ええ、また明日」

穂乃果「……むー」

穂乃果が私にキスをせがむ

私に拒否権なんてない

真姫「……ん」

穂乃果「んむっ……また……明日ね」

真姫「ええ」

最近、穂乃果の浮き沈みが激しくて少し心配

けど、穂乃果の笑顔がなくなったわけじゃないから、いいのかしら

と、穂乃果のことばかりじゃいけないわ

今更わかったけど、穂乃果にきついことを言うとかえって反発を生んでしまうのね

次は……あまり気は進まないけど、凛の案でいってみましょう

661: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:17:51.03 ID:+On5Itoz0
-2日目-

真姫「ほーのかっ」

穂乃果「ま、真姫ちゃん?」

真姫「ねぇねぇ、練習終わったらあなたの家に行ってもいい?また漫画の続き、読みたいの」

凛曰く、相手になりきってみよう作戦……

うう、こういうのがらじゃないから全然好きじゃないのに……

凛には穂乃果の真似したら腹抱えて笑われたし、花陽もさすがに苦笑いしてたし、通りがかったにこちゃんにも笑われるし

凛にはあとできっついお仕置きしてあげないとね……

穂乃果「別にいいけど……真姫ちゃん、なんか、変だよ?大丈夫?熱とかない?」

うっ……そうなるわよね

662: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:22:47.73 ID:+On5Itoz0
って、え?

穂乃果「うーん、熱はなさそうだね」

額同士くっつけるとか、顔近い……

穂乃果「よかった♪……んむ」

真姫「あ……」

油断してたらすぐキスする……

ともあれ、これも失敗ね……

穂乃果「ねぇねぇ、終わったら一緒にパフェ食べに行かない?美味しそうなのできたんだって!」

真姫「へぇ……いいわよ。それよりあなた、そろそろ中間試験近いけど勉強できてるの?」

穂乃果「うっ……大丈夫だよ!海未ちゃんやことりちゃんがいるし、真姫ちゃんも数学教えてくれるから前よりできるようになったし!」

真姫「ならいいけど……」

ともかく、次は……最終手段ね……

663: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:24:59.90 ID:+On5Itoz0
-3日目-

真姫「ねぇ、穂乃果」

穂乃果「んー?」

真姫「あ、あの、私のお願い、聞いてくれない?」

穂乃果「おお、真姫ちゃんからお願いしてくるってなんか新鮮だね!なあに?」

真姫「……あの、その…………」

穂乃果「ん?」

真姫「……ごめん、なんでもないわ」

あああ!やっぱり無理!私が頭下げるなんて性に合わないもの!

穂乃果「えー?真姫ちゃんのお願いだったらなんでもするのに~」

664: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:27:02.53 ID:+On5Itoz0
真姫「……あなた、私が死ねって言ったら死ぬの?」

穂乃果「うーん……って真姫ちゃん!そういう質問はひどいよ!」

真姫「冗談よ、冗談」

穂乃果「もう……そんなことよりねぇねぇ真姫ちゃんお願い、して?」

真姫「え?」

穂乃果「真姫ちゃんがお願いしてくることって見たことないからさ、お願い♪」

真姫「お願いすることをお願いするってどうなのよ……」

穂乃果「ほらほら、早く早く♪」

真姫「……仕方ないわね。……あ、あのね、明日一日中、わ、私のいう事、全部聞きなさい!……うぅ」

は、恥ずかし……

穂乃果「……ああ、なるほど、いいよ!」

え?嘘でしょ?

本当にわかっているのかしら、この子……

…でも、結果オーライよね

665: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:28:52.96 ID:+On5Itoz0
-4日目-

穂乃果「真姫ちゃん!きったよー!」

真姫「ようこそ穂乃果。うふふ、今日はたっぷり楽しんでいきなさい」

穂乃果「はーい!……で、今日は何するの?」

真姫「ねぇ穂乃果、今日一日中、あなたに甘えたいの」

穂乃果「え……」

穂乃果「ま、真姫ちゃんやっぱり何か悪いものでも食べたんじゃ……」

……そうよね、そうなるわよ

でも、ここでへこたれる私ではないわよ!

真姫「そんなことないわ、でも……お願い」

穂乃果「う、うん……」

真姫「ほら、入って」

666: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:29:59.76 ID:+On5Itoz0
穂乃果「ねぇ真姫ちゃん、何する?」

真姫「そうね……ふふ」

穂乃果を部屋に招き入れた私は早速穂乃果を抱き寄せ、ベッドへと押し倒す

穂乃果「わっ、ま、真姫ちゃん?」

真姫「今日は、今まであなたにされたことのお返しをしようと思うの」

穂乃果「え?それって……」

真姫「さ、まずはマッサージよ」

穂乃果「でも、体凝ってないし……」

真姫「大丈夫よ、痛くしないわ」

穂乃果「……優しく、お願いします」

真姫「もちろん♪」

穂乃果はしおらしく私のベッドにあおむけに寝そべる

667: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:31:07.10 ID:+On5Itoz0
私は穂乃果に馬乗りになって背中を圧す

これでいいのかしら?

穂乃果「んっ……」

穂乃果がそっとうめく

痛いかしら、くすぐったくないかしら?不安になる……

真姫「大丈夫?人にやるのは初めてだからよくわからなくって」

穂乃果「うん、大丈夫だよ?」

真姫「本で見たとおりにやるのって難しいのね、練習は一応したつもりなんだけど……」

穂乃果「平気平気、すっごく……くぅ~っ、いいよ~」

668: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:32:23.12 ID:+On5Itoz0
穂乃果はつたない私を励ますように明るく言葉をかけてくれる

それが嬉しい分、これからすることに少し抵抗を覚えてしまっている

いたずらや不正ができないって、こういう時、損な気がする

でも、そういうのはもうおしまい

穂乃果「はぁ、いいきもち~」

真姫「気に入ってくれて何よりだわ」

ここで油断していた私は耳に息を吹きかけられ、思う存分いじられた

ここで私も……

真姫「ふっ」

穂乃果「ひゃあ!ま、まきちゃん!」

669: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:35:26.66 ID:+On5Itoz0
真姫「うふふ、まだまだ、あーん」

間髪入れず耳を甘く噛む

穂乃果「ひゃやぁっ!ちょちょ、ストップ!」

真姫「んむっ……何言ってるのよ……これからよ?」

穂乃果「ねぇ、真姫ちゃん、もしかして……」

真姫「覚悟なさい、今日はたっぷり仕返ししてあ・げ・る」

穂乃果「ひゃあ……」

真姫「うふふっ」

穂乃果「ひゃんっ」

真姫「どう?私だってあなたに振り回されてばかりじゃないのよ?」

穂乃果「い、いいよっ……真姫ちゃんの、ひゃっ、ためなら……」

670: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:36:32.98 ID:+On5Itoz0
真姫「え?そう……」

……なんだろう

すごく、むなしい

どうして抵抗してくれないんだろう

こんなことをしたかったわけじゃないはずなのに……

ただ、いつもあなたがしていることをあなたみたいに楽しみたかったはずなのに

真姫「ねぇ、どうして、抵抗してくれないの?」

穂乃果「だって、穂乃果は真姫ちゃんのモノだもん、嫌なはずないよ」

真姫「でも、気持ち悪いことされてるでしょ?」

穂乃果「ううん、真姫ちゃんのやることなら全部、受け入れる」

真姫「……!」

本当にこの子の考えることはわからない

671: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:37:41.57 ID:+On5Itoz0
私はそれと同時に虚しさの理由が分かって少しスッキリした気もする

穂乃果は私を拒絶しない

だから、抵抗する姿を見れなくて退屈なこと

そして私には、他人をいじったり、おちょくる才能がないのね

だから、私は……

真姫「ねぇ、今度はあなたがマッサージ、して?」

穂乃果「えー、もう終わりなの?」

真姫「ええ、私の肩が疲れちゃったの。いいかしら?」

穂乃果「うん!いいよ!じゃあ肩から行くね」

真姫「ええ」

672: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:39:26.41 ID:+On5Itoz0
これでいいのよ、立場を逆転するとか、どっちが上かなんて、そんなもの必要なんてない

たまにふざけあったりするくらいで十分よ

だって、穂乃果はどこにもいかないから……

穂乃果「ふへへ、楽しんでいってくだせえよ」

真姫「その口調、やっぱり気持ち悪いわ」

穂乃果「あー!ひーどーい!」

真姫「ふふっ、ふふふふふ」

穂乃果「ねぇ真姫ちゃん」

真姫「なに?」

673: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:40:07.53 ID:+On5Itoz0
これでいいのよ、立場を逆転するとか、どっちが上かなんて、そんなもの必要なんてない

たまにふざけあったりするくらいで十分よ

だって、穂乃果はどこにもいかないから……

穂乃果「ふへへ、楽しんでいってくだせえよ」

真姫「その口調、やっぱり気持ち悪いわ」

穂乃果「あー!ひーどーい!」

真姫「ふふっ、ふふふふふ」

穂乃果「ねぇ真姫ちゃん」

真姫「なに?」

674: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 00:41:31.89 ID:+On5Itoz0
穂乃果「真姫ちゃんがいろんな話し方してくれて、穂乃果、すごくうれしかった」

真姫「あ、あれはいわないでよ、恥ずかしいから……」

穂乃果「ううん、すごく、可愛かった」

穂乃果「だから、もっと見せてほしいな、真姫ちゃんのいろんな姿」

真姫「あ……」

もう、穂乃果の馬鹿……

そういう人たらしなところ、本当に、ずるい

穂乃果「今度、お洋服一緒に買いに行かない?真姫ちゃんのセンスで、穂乃果を可愛くしてね?」

真姫「……いいわよ、この真姫ちゃんのファッションセンスにおののきなさい?」

~逆襲のマッキー おしまい~

679: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:19:48.95 ID:+On5Itoz0
~お買い物!~

真姫ちゃんとお買い物しに行くことになったよ!

そしてなんと!真姫ちゃんが私の服を選んでくれるんだって!

真姫ちゃんってお金持ちだから服のセンスとかすっごくいいんだろうな

ん~、楽しみ~♪

なーんて思ってたら……外は雨!

せっかくのお買い物なのに~

雪穂「お姉ちゃん、そろそろ真姫さんとショッピング行くんでしょ?いかなくていいの?」

穂乃果「何で楽しいショッピングのはずなのに雨なのー!もー!」

雪穂「むくれたって仕方ないでしょ?雨なんだもん」

680: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:20:36.51 ID:+On5Itoz0
穂乃果「むぅ~!こうなったら雨よ、やめ~、やめぇ~」

雪穂「無駄だと思うけど……」

なーんて外に念を送っていたら、うちの呼び鈴が

雪穂「あ、誰だろ」

穂乃果「いいよ雪穂、私が行くから」

いそいそと階段を駆け下ってドアを開くと……

真姫「やっぱり」

真姫ちゃんが傘をさしてあきれ顔で私を見る

穂乃果「真姫ちゃん!えっと、やっぱりって……?」

真姫「その恰好見ればわかるわよ。雨だからぶーたれてたんでしょ。なんでまだ部屋着なの?」

あっちゃあ、ばれてる……

681: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:21:17.72 ID:+On5Itoz0
穂乃果「ごめんごめん、すぐ仕度するね!」

真姫「いいわよ、時間もまだあるし、ゆっくりなさい」

穂乃果「うーん、じゃあ外は雨だし、真姫ちゃんも上がって待ってて」

真姫「……そうね、そうさせてもらおうかしら」

よく見ると今日の真姫ちゃん、いつもよりずっとめかしこんでるなぁ

ねずみ色のジャケット、白にピンク色の花柄のワンピース、ハートマークの銀色のネックレス、雨だからなのかロングブーツ……

すごいなぁ、私には真似できないや

私はどんなのにしよっかな?真姫ちゃんにバカにされないようにしなきゃ……

682: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:22:29.19 ID:+On5Itoz0
-15分後-

穂乃果「おまたせー」

結局、悩みに悩んであんまり移動に苦労しないパンツルック

いいもん、動きやすいし

真姫「ん、煎餅もおいしいのね、このお店。あとで買いに来てもいい?」

居間でおせんべいかじりながらテレビ見る真姫ちゃんってなんか面白いかも

穂乃果「いいけど、今じゃないの?」

真姫「これからショッピング行くのに余計な荷物を増やしたくないのよ」

穂乃果「おぉ、なるほど」

真姫「さて……行きましょうか」

穂乃果「はーい」

真姫ちゃんなんも言ってくれなーい、さびしい~

って、いつもとあんまり変わらないから仕方ないのかな

683: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:22:55.82 ID:+On5Itoz0
-銀座-

真姫「さてと……穂乃果、私に何も言わずについてきて」

穂乃果「?どういうこと?」

真姫「着いてみればわかるわ、さ、行くわよ」

真姫ちゃんが私の手を握る

そして人ごみの中を駆け抜ける

穂乃果「わわっ!ちょ、ちょっと真姫ちゃん!」

真姫「いいから着いてきなさい!」

そのまま私は真姫ちゃんの手を握ったまま、途中何度か人にぶつかったりして、着いた先は……

穂乃果「はぁ、はぁ、はぁ……」

684: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:23:25.56 ID:+On5Itoz0
真姫「ふふん、着いたわよ。早くここに来たかったから、早くここに来たかったからつい走っちゃった」

すごく感じのいいブティック

私なんかが絶対行きそうにないキレイなお店

穂乃果「で、でも穂乃果、お金ないし……」

真姫「大丈夫よ、ほら、行きましょ」

穂乃果「わわっ」

真姫ちゃんが私の背中を押してお店に入る

今日の真姫ちゃん、すごく積極的……

ドアを開くとイギリス?フランス?っぽい、とにかく外国の雰囲気をしたお店が待っていた

685: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:24:19.03 ID:+On5Itoz0
店員「いらっしゃいませ」

うわー、背が高くてきれいな美人さんが店員だ……

真姫「どうも、西木野です」

店員「お世話になっております、西木野様。そちらのお方は……」

真姫「ゲストです。以前連絡を入れた」

店員「少々お待ちください……」

あ、どっかいっちゃった

すごいなぁ、ゲストだって

ここって会員制っていうやつなのかなぁ



真姫「…どう?入ってみた感想は」

686: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:24:56.35 ID:+On5Itoz0
穂乃果「……あ、え、えっとそうだね、なんか外国のお店に来たみたい」

真姫「ふふ、あなた外国に行ったことあるの?」

穂乃果「…ないけど、テレビで見たことはあるよ!」

真姫「あぁ、そう……。海外旅行も行ってみたいわね、みんなで」

穂乃果「いいね、それ!」

なんて立ち話をしていたらさっきの店員さんが戻ってきて

店員「お待たせいたしました。高坂穂乃果様でよろしいですか?」

穂乃果「はい、そうです」

真姫「かしこまりました、どうぞ店内をご覧ください。何かありましたらお気軽にお声をおかけください。それでは」

穂乃果「あ、行っちゃった……」

687: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:25:34.57 ID:+On5Itoz0
真姫「じゃあ穂乃果、行きましょ?今日はあなたのファッションセンスを上げるいい機会になるし」

穂乃果「えっと、一応聞くけど、今のこの恰好、どうかな?」

なんか、いまさら聞くのも恥ずかしいかも……

真姫「そうね、穂乃果らしいんじゃないかしら。でも、あなたもっとかわいい格好しても罰は当たらないんじゃない?」

穂乃果「え?」

真姫「……ほ、ほら、行くわよ」

また穂乃果の手を握って先を歩く真姫ちゃん

でも穂乃果は見逃さなかったよ

真姫ちゃんが顔真っ赤にして恥ずかしがってるところ♪

688: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:26:22.20 ID:+On5Itoz0
-30分後-

真姫「じゃあ、これ全部試着してみましょうか」

穂乃果「いいけど、大丈夫かな?笑われたりしないかな?」

真姫「大丈夫よ。それとも私のセンスが悪いって言いたいの?」

そうじゃない、そうじゃないんだけど……

穂乃果「穂乃果にこんな綺麗な服、似合わないんじゃないかなって……」

真姫「…………」

真姫ちゃんの顔が曇る

私が不安にさせてるからだよね

でも、どうすればいいのかな

なんて言ってあげたらいいかな

689: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:27:11.06 ID:+On5Itoz0
真姫「ねぇ、穂乃果。聞いてくれる?」

穂乃果「……なあに?」

真姫「ここね、前ママと一緒に来て、その時に今度つれてきたらどうかって言われたの」

穂乃果「へぇ……じゃあ2度目?」

真姫「そうね、そうなるわ。穂乃果が私とママとの距離を縮めてくれたからこうしてここにいるのよ」

真姫「だから、これは……」








真姫「私の、小さな恩返し」

690: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:27:50.88 ID:+On5Itoz0
真姫「思えばあなたにはいろんなことをさせてもらったわ」

真姫「腕立て伏せしたり、作曲したり、みんなと合宿したり」

真姫「最初は変な人、鬱陶しいなって思ったけど、あなたを知るたびにどんどんあなたに憧れていた」

真姫「何事にも恐れない、ひるまないあなたが、とてもかっこよく見えたの」

真姫「そんなあなたに、私は夢中になった」

真姫「そして、今私とあなたは恋人同士。このことに何の後悔もないわ」

真姫「だから、その、えーと……」

真姫「前向きにすすむあなたをもっと見たいから、この服、着てみて?」

真姫ちゃん……

真姫「ご、ごめんなさい、うまく伝わったかしら?言葉があまり出てこなくって……」

691: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:28:34.49 ID:+On5Itoz0
顔を赤くして目を伏せながら髪の毛をいじる真姫ちゃん

その姿がすっごくかわいい

真姫ちゃんの言葉一つ一つが穂乃果にエールをくれる

だから、穂乃果も応えなきゃ

穂乃果「うんっ!」

そういって真姫ちゃんを抱きしめる

この人を好きになって、本当に良かったって思うくらいの気持ちでぎゅーって

真姫「ほ、穂乃果、ちょっと苦しい、っていうか人が見てるから……!」

穂乃果「ありがとうね、真姫ちゃん」

真姫「もう……しょうがない人なんだから……」

穂乃果「えへへー♪」

真姫「もう、早く着替えてらっしゃい」

穂乃果「はーいっ」

692: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:29:36.84 ID:+On5Itoz0
-2時間後 喫茶店-

穂乃果「んふふー♪」

真姫「さっきからテンション高いわね、帰る前に疲れちゃうわよ?」

穂乃果「大丈夫大丈夫ー♪」

穂乃果「それよりさ、次どこに行く?」

真姫「そうね……当面の目標は達成されちゃったし……」

穂乃果「じゃあさ、穂乃果の行きたいところに行くのはどう?」

真姫「別にいいけど……」

穂乃果「真姫ちゃんもさっきは何も言わずに穂乃果を引っ張ったから今度は穂乃果の番ね!」

真姫「うっ……仕方ないわね」

穂乃果「よーしっ!さっそくいこっ!」

真姫「はいはい」

穂乃果「れっつごー♪」

693: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:31:01.50 ID:+On5Itoz0
-ペットショップ-

穂乃果「とうちゃーく」

真姫「ペットショップ?なんで?」

穂乃果「穂乃果のおうちってペットだめだからさ、見ることしかできないんだよね」

真姫「……それで?」

穂乃果「たまにはここにいるワンちゃんや猫ちゃんと遊びたいなーって」

真姫「そう……」

穂乃果「うわぁ~かっわいい~!ねね、このワンちゃん、可愛いよ~」

真姫「ふふ、ちょっと不細工だけど」

穂乃果「そこがまた可愛いんだよ!いいなぁ、うちで飼いたいなぁ~」

真姫「我慢なさい、おうちに迷惑かけちゃうでしょ?」

穂乃果「むぅ~」

真姫「……ねぇ、猫だけなら触ったりできる場所あるけど、どうする?」

穂乃果「ほんとに!?行く行く~!」

694: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:31:33.62 ID:+On5Itoz0
-猫カフェ-

にゃ~みゃ~

穂乃果「わは~猫ちゃんだ~!くぁいい~!」

真姫「ほんとね、人懐っこくて」

にゃあ~

穂乃果「ふふふ、こんにちは!」

にゃあ~ん

真姫「もうメロメロね、穂乃果……あら」

みゃあ~みゃあ~

穂乃果「わぁ~真姫ちゃんモテモテだねぇ~!」

695: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:32:06.58 ID:+On5Itoz0
真姫「も、もう……」

穂乃果「真姫ちゃんってネコ科っぽいからね、同族っぽいし!」

真姫「どういう意味よ?」

穂乃果「可愛いってことっ!」

真姫「ば、ばかぁ……!」

なんでそんな恥ずかしいことはっきり言えるのよ、もう……

これだけはどうしてもなれないなぁ……

穂乃果「わぁ、こっちにも来たよ!可愛い~!一匹持って帰っちゃだめかな!?」

696: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:32:38.61 ID:+On5Itoz0
真姫「駄目よ、お店の大事なスタッフなんだから」

穂乃果「だよねぇ、でもいいなぁ、こんなにかわいい子たちがお店のお手伝いしてるって!うちでも出来たらな~」

真姫「……出来たら、いいのにね」

穂乃果「うん!もしもできたら穂むらの売上絶対上がるよ!ニュースにも取り上げられちゃうかも!」

穂乃果「あっ、どこ行くの?待って~穂乃果も行く~」

一匹が離れたら穂乃果もつられてついて行く

すると私の周りにいた猫もつられて穂乃果についていく

私が猫なら、あなたは子犬ね

無邪気で、いろんなものに興味をもってみんなを巻き込む

697: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:33:46.81 ID:+On5Itoz0
みゃあ

真姫「……こんにちは、猫さん。あなたは行かないの?」

みゃあ~

真姫「あ、このクッキー食べたい?……はい、どうぞ」

私は注文した時にもらったクッキーを食べやすいように割って、猫に差し出す

すると、その猫はお辞儀をして私の指をなめるようにクッキーをもっていった

真姫「きゃっ、くすぐったい……はぁ、本当にかわいいわね。うちでも飼ってみたいかも」

頑張って噛み砕くその愛くるしさに、私はすっかり顔がゆるんでいた

真姫「うふふ、可愛いわね、あなた」

食べ終えた猫を私はひょいと持ち上げる

猫は嫌がることもなく私を受け入れる

698: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:34:13.55 ID:+On5Itoz0
私も足の上に乗せて、猫を撫でる

ゴロゴロゴロ

猫も気持ちいいのか、慣れているのか喉を鳴らす

真姫「うふふ、ほんと、可愛い」

ゴロゴロ

穂乃果「てーいっ!」

穂乃果の掛け声とともにパシャっというカメラのシャッター音が鳴る

穂乃果「えへへへへ、あまりにも可愛い顔してねこさん撫でてるからつい♪」

真姫「え、ちょ、あ……」

699: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:35:17.21 ID:+On5Itoz0
穂乃果「いいじゃん、前にも言ったよね?いろんな真姫ちゃんが見たいって」

真姫「う……」

穂乃果「恥ずかしがらないでよ、すごい可愛いんだよ?」

真姫「でも、似合わないし……」

穂乃果「そんなことないよ、可愛いって」

穂乃果「ねぇ、真姫ちゃん」

穂乃果「あのね、真姫ちゃん。私ね、真姫ちゃんに会えて本当に良かったって思ってる」

穂乃果「初めて音楽室で真姫ちゃんの弾き語りを聴いて、作曲を頼んで」

穂乃果「そのあともμ’sに入ってくれないかって何度も誘って、それから一緒に歌って踊って」

穂乃果「こうして今いられるのも、真姫ちゃんのおかげ」

穂乃果「真姫ちゃん、大好き!」

穂乃果「そんな真姫ちゃんがこれからもいっぱい見たいから、私の前で遠慮しないで?」

真姫「……うん」

穂乃果「じゃあ、そろそろでよっか、またねー!ねこさんたちー!」

みゃあ~

700: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:35:17.21 ID:+On5Itoz0
穂乃果「いいじゃん、前にも言ったよね?いろんな真姫ちゃんが見たいって」

真姫「う……」

穂乃果「恥ずかしがらないでよ、すごい可愛いんだよ?」

真姫「でも、似合わないし……」

穂乃果「そんなことないよ、可愛いって」

穂乃果「ねぇ、真姫ちゃん」

穂乃果「あのね、真姫ちゃん。私ね、真姫ちゃんに会えて本当に良かったって思ってる」

穂乃果「初めて音楽室で真姫ちゃんの弾き語りを聴いて、作曲を頼んで」

穂乃果「そのあともμ’sに入ってくれないかって何度も誘って、それから一緒に歌って踊って」

穂乃果「こうして今いられるのも、真姫ちゃんのおかげ」

穂乃果「真姫ちゃん、大好き!」

穂乃果「そんな真姫ちゃんがこれからもいっぱい見たいから、私の前で遠慮しないで?」

真姫「……うん」

穂乃果「じゃあ、そろそろでよっか、またねー!ねこさんたちー!」

みゃあ~

701: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:49:31.31 ID:+On5Itoz0
穂乃果「ふぁ~可愛かった~!また行こうね!」

真姫「そうね、今度はちゃんと予約していきましょう」

穂乃果「うん、30分って本当にあっという間だったね……あ」

真姫「どうかした?」

穂乃果「見て見て真姫ちゃん!雨やんでる!」

いつの間にか雨雲はどこかに行って、代わりに太陽が顔を出している

真姫「あら、本当ね。さっきまでしとついてたのに」

穂乃果「ん~……」

穂乃果は太陽を見てからあたりを見回している

真姫「なに探してるの?」

穂乃果「ん~あった!見て真姫ちゃん!雨上がりと言ったらやっぱり虹だよ!しかも2つもかかってる!」

穂乃果が指をさしたほうを向くと、小さい虹と、大きい虹が奥に一つかかっていた

真姫「…綺麗……」

思わず、私も口から漏れ出す


702: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:50:10.62 ID:+On5Itoz0
穂乃果「ねえ真姫ちゃん知ってる?恋人同士で虹が2つかかってるのを見ると、絶対結ばれるって」

真姫「初耳ね。でも、そういうロマンティックなの、嫌いじゃないわ」

穂乃果「…ずっと一緒にいてね?」

真姫「……考えとく」

穂乃果「えへへ」

真姫「次、どこに行く?」

穂乃果「ゲームセンター、かな?」

真姫「……うん」

穂乃果は右手を差し出す

私も左手を出して、穂乃果の手を握る

穂乃果「ゆっくりいこっか」

真姫「ええ」

703: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:52:22.03 ID:+On5Itoz0
-夜 公園-

電車を使っていろんなところを巡っていたら2人で見た虹も消えて、いつの間にかあたりは暗くなっていた

穂乃果「すっかり遅くなっちゃったね」

真姫「いろんなところに行ったもの、ゲームしたり、ご飯食べたし」

穂乃果「ふわぁ……」

穂乃果があくびをする

それに私もつられそうになる

やっぱり、この子はその場のテンションでぐんぐん進むから、すぐにばてちゃう

真姫「ちょっと、寝ないでよ?」

704: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/24(木) 05:55:58.18 ID:+On5Itoz0
穂乃果「ねぇ、膝枕、してもいい?」

真姫「まさか寝るつもり?もう冷えてくるわよ?」

穂乃果「お願い、ちょっとだけでいいから」

真姫「……仕方ないわね、ほら、どうぞ」

穂乃果「わーい♪ネコさんが気持ちよさそうだったから穂乃果もやりたかったんだ~」

真姫「あぁ、そういう……」

穂乃果「真姫ちゃんあったかい……」

真姫「ちょっと、風邪ひいちゃうから寝ないでよ?」

穂乃果「んー……」

真姫「あ……もう……」

上着、かけてあげなきゃ……

うぅっ、寒い……

穂乃果「ふぇ~あったか~い……」

それに比べてこの子は本当にお気楽なんだから……

潤う夜風にあたって秋月を眺めていたら、光の筋が一つ、真っ暗な夜空に流れた

-お買い物! おしまい-

716: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:07:48.19 ID:h0nqROVc0
~医者の不養生~

くしゅんっ!

うぅ、くしゃみが止まらない……

鼻水も出てるし……

これは風邪ね

医者の娘が風邪を引いたなんて医者の不養生ってみんなにバカにされちゃうわね

とりあえず薬を飲んで……

花陽「おはよう真姫ちゃん」

凛「おはようにゃ!」

真姫「おはよう、花陽、凛」

717: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:18:41.49 ID:h0nqROVc0
凛「……真姫ちゃん、なんか顔赤くない?」

真姫「そう?そんなことないわよ」

花陽「大丈夫?風邪ひいたんじゃ……」

真姫「私が?医者の娘がそんなことするわけないでしょ?」

凛「でも医者の不養生っていう言葉もあるにゃ~」

うぐっ、この子妙に核心をつく言葉を使うところあるわよね……

真姫「……念のため薬飲むわ、それでいい?」

花陽「真姫ちゃんがなんともないならいいんだけど……」

凛「バカは風邪をひかないっていうけど真姫ちゃんも引くっていう事は真姫ちゃんはやっぱり馬鹿じゃないんだにゃ」

718: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:19:22.97 ID:h0nqROVc0
真姫「…………そうね」

心なしかだるいせいで反応する気も起きない

無理は……禁物ね

何事もなく朝練が終わって、あっという間に放課後

真姫「ん……」

ちょっとだけ足が揺れる

足?ううん、頭かしら?

花陽「真姫ちゃん、部室いこ?」

真姫「あ……?…ええ」

凛「大丈夫?なんか朝より顔赤く見えるけど」

真姫「平気よ……」

花陽「無理しない方がいいよ?今日は休んだ方が……」

真姫「平気だってば。ほら、行くわよ」

凛「う、うん……」

こんなことでみんなに迷惑かけてられないから……

719: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:19:56.35 ID:h0nqROVc0
凛「きったにゃー!」

花陽「お、お疲れ様です!」

海未「お疲れ様です、凛、花陽」

ことり「お疲れ様~、クッキーあるよ~」

真姫「……」

海未「真姫?どうかしましたか?」

真姫「…えっ?あ、ごめん、ぼーっとしちゃって」

海未「大丈夫ですか?なにか体調が悪くなることでも……」

真姫「大丈夫だってば、もう海未まで凛たちみたいなこと言うんだから」

凛「凛は真姫ちゃんが心配なだけだにゃ~」

真姫「……ごめん」

穂乃果「……」

720: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:20:39.95 ID:h0nqROVc0
真姫「あ、穂乃果……」

穂乃果「ちょっときて」

穂乃果に袖を引っ張られ、奥の部室に連れていかれる

穂乃果、怒ってるかしら

穂乃果「本当に大丈夫?無理してない?」

部室のドアを閉められるなり、穂乃果は私を抱きしめて震える声で聞いてくる

真姫「ごめん、ほんとは少し無理してるかも」

私は穂乃果の耳に入るくらいの声で伝える

穂乃果「……風邪ひいちゃったの?」

真姫「……わからない」

721: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:23:08.77 ID:h0nqROVc0
穂乃果「ねぇ、今日は帰ったほうがいいよ。真姫ちゃんお願い、無理しないで」

真姫「駄目よ、花陽と凛に顔向けできないわ」

穂乃果「意地はっちゃだめだよ、ね?」

真姫「ここでみんなに迷惑かけられないの。私も危なくなったら下がるから」

穂乃果「無理しちゃだめだよ?絶対だよ?」

穂乃果の目に涙がたまってる

真姫「えぇ、絶対」

穂乃果「……わかった」

穂乃果が私から離れる

ただ、泣きそうな目はそのまま

722: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:23:58.42 ID:h0nqROVc0
真姫「もう、泣かないでよ」

穂乃果「だって、だってぇ……」

穂乃果が目を覆う

真姫「もう、わかったから」

今度は私が穂乃果を抱く

穂乃果「うん……」

真姫「さ、戻りましょ?」

穂乃果「うん」

泣き顔な穂乃果をハンカチで拭いて、ちょっとだけ間をおいてからドアを開ける


723: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:24:57.85 ID:h0nqROVc0
真姫「お待たせ、この通り元気だから練習には参加するわ、いいわよね?」

ことり「真姫ちゃんが言うなら止めないけど……」

海未「穂乃果、いいのですか?」

穂乃果「こうなった真姫ちゃんは止められないから、仕方ないよね。あはは」

海未「まったく……穂乃果の悪い癖がうつったのではないですか?」

絵里「お待たせー、練習始めましょう!」

最後にエリーたちが部室にやってくる

さぁ、練習が始まる

頑張らないと……

724: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:25:33.31 ID:h0nqROVc0
-1時間後-

どうしたんだろう、今朝の時と違ってまるで自分の体じゃないみたい

全身に錘がついたみたいに重い

真姫「はぁ、はぁ……うぅ」

あれ?目の前が暗く……

「真……だ……じょ……」

え?何?なんて言ってるの?

「し……て!……ま……」

なに……?なにいってるのよ……?

725: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:26:38.71 ID:h0nqROVc0
-穂乃果の部屋-

真姫「う……」

目が覚めたら、知ってる天井が見えた

あたりを見渡して、ここが穂乃果の家だということがはっきり分かった

真姫「あれ、なんで……」

起き上がると、濡れたタオルが掛布団の上に落ちる

それで大体の事情が分かった

真姫「……私の馬鹿」

私は練習中に倒れた

で、どういう経緯かはわからないけど、穂乃果の家に担ぎ込まれた

うちに今は両親がいないことも穂乃果なら知ってるし、むしろ当然だったかもしれない

726: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:27:24.94 ID:h0nqROVc0
穂乃果のベッドから這い出ようとすると、ここの部屋主がふすまを開けて鍋をもって部屋に戻ってきた

穂乃果「……大丈夫?いきなり倒れたんだよ?」

真姫「……ごめんなさい、私……」

穂乃果「………か」

鍋を机にそっと置く穂乃果が小さくぽつりと囁いた

私はなんて言ったのかわからなかったから聞き返す

すると



穂乃果「バカぁっ!」




いきなり大声でバカにされた

727: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:27:54.11 ID:h0nqROVc0
真姫「え、ちょ……」

穂乃果「ばかバカ馬鹿ばかバカ馬鹿ばかバカ馬鹿!あんなに無理しないでって言ったのに!」

あまりにバカと言われたのであっけにとられて、思わず私はごめんとしか言えなかった

穂乃果「ばかっ、ばかっ、馬鹿ぁ……死んじゃうんじゃ……ひっく、ないかって、ぐすっ……思ったんだから……」

真姫「ごめんってば……」

穂乃果「うん、いいよ……」

真姫「ねぇ、誰がここまで私を?」

穂乃果「……穂乃果と、海未ちゃんでだよ」

真姫「そう……あとで海未にもお礼しないと」

728: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:28:50.85 ID:h0nqROVc0
穂乃果「そんなことよりも早く風邪を治して!ほら、お粥食べるよ!」

鍋のふたを開けて、ぐつぐつ煮だったお粥をレンゲで掬って、私に向ける

穂乃果「はい、あーん」

真姫「じ、自分で食べるから!」

穂乃果「だーめ、病人は安静に、だよ」

むくれ顔でレンゲを口に近づけてくる穂乃果

いや、この場合は押し付けてくると言った方が正しいかもしれない

真姫「わかった、わかったから……」

レンゲのご飯を口に含むと、案の定というか

真姫「あっつ!あつ!あつつつ」

729: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:29:34.78 ID:h0nqROVc0
穂乃果「あ、あぁごめん、冷まさなきゃね。ふーっ、ふーっ」

真姫「うぅ……まああふかっはあゆふははいわお(また熱かったら許さないわよ)」

穂乃果「なんて言ってるかわかんないよ、真姫ちゃん。はい、あーん」

真姫「……あー」

言われるままにレンゲを口に入れる

もぐもぐ。さっきよりは熱くないけど、舌がしびれてどんな味かもわからなかった

穂乃果「美味しい?」

真姫「ん~」

穂乃果「ほら、まだまだあるから」

真姫「んー」

730: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:30:09.75 ID:h0nqROVc0
-30分後-

真姫「ふぅ、ごちそうさまでした」

穂乃果「はい、お粗末さまでした。いい食べっぷりだったね」

時間もたって、食べているうちに舌もどうにか機能して、穂乃果も穂乃果で機嫌を取り戻していた

真姫「朝もお昼もあまり食べてなかったからね」

穂乃果「ほら、汗かいたでしょ?お風呂はいろ♪」

真姫「一人で入れるから……」

穂乃果「だーめ♪穂乃果に捕まったからには真姫ちゃんは穂乃果の命令を聞いてもらうからね♪」

どうやら私はここでは何もさせてもらえないらしい

さながら、蜘蛛の糸に絡め取られた蝶のような、そんな気持ちになった

ただ、違うのはそこにいても私は逃げようなんて思わない

真姫「……はいはい」

穂乃果「それじゃあお風呂にれっつごー♪」

真姫「……おー」

731: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:30:38.50 ID:h0nqROVc0
-お風呂-

穂乃果「はぁ、気持ちい~」

真姫「……」

穂乃果「真姫ちゃんも入りなよ~、もう私たちが最後だからさ」

真姫「……狭いからいやよ」

穂乃果「え~、きてよぉ~」

真姫「だって、あなたに風邪移したら悪いもの」

穂乃果「今更そんなこと言うの?穂乃果、もう真姫ちゃんにベタベタくっついてるんだよ?」

真姫「…………」

確かに、今思い返してみたらそうだ

でも……

穂乃果「ねー真姫ちゃ~ん、来てよぉ~」

732: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:31:26.18 ID:h0nqROVc0
真姫「……どうしても?」

穂乃果「どうしても!」

真姫「……しょうがないわね」

穂乃果「わーい、いらっしゃーい」

真姫「…お邪魔します」

私が入って、お湯がどんどん外に溢れる

穂乃果「ねぇ、抱きしめてもいい?」

真姫「……どうせ嫌って言ってもするんでしょ?好きになさい」

穂乃果「がおー♪」

真姫「ん……」

733: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:32:01.67 ID:h0nqROVc0
穂乃果「……ごめんね、怒鳴ったりして」

真姫「いいのよ、謝らなきゃいけないのは私の方なんだから」

真姫「みんなに迷惑かけちゃいけないからって無理しちゃったけど、やっぱりそういうのはダメみたい」

真姫「逆にみんなに迷惑かけちゃうって、わかったわ」

穂乃果「……もしかしたらさ」

真姫「ん?」

穂乃果「あの公園で膝枕してくれた時に、真姫ちゃん風邪ひいちゃったのかな」

真姫「…………」

多分、そうだ

でも確信を持って言えることじゃないし、だからといってここではいと言って穂乃果を追い詰めていいものだろうか

734: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:32:46.94 ID:h0nqROVc0
……そうだ

真姫「じゃあ、私が風邪を引いたのは私たちのせいってことね」

穂乃果「え?」

真姫「前穂乃果が言ってたでしょ?幸せは二倍、辛さは半分って」

穂乃果「……うーん……」

まさか、覚えてないの?自分で言った言葉じゃない……

真姫「せっかく恋人同士だもの、こういうことも二人でいれば、辛くないでしょ?」

穂乃果「で、でも……」

真姫「私がいいって言ったら良いの!」

穂乃果「……うんっ!」

735: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:33:21.61 ID:h0nqROVc0
穂乃果「ところでさ、そろそろのぼせちゃいそうなんだけど……出ちゃダメ?」

真姫「だめ、私まだあんまり入ってないし、あなたが出たらお湯が少なくなるもの」

穂乃果「穂乃果の身がどうなってもいいのっ?」

真姫「その時は私が助けてあ・げ・る♪」

すかさず頬にキスをする

暑さのせいかはわからないけど、穂乃果の顔がどんどん赤くなっていた

穂乃果「……もう、真姫ちゃんなんか知らないっ」

真姫「なによ、不満?」

736: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:34:08.64 ID:h0nqROVc0
穂乃果「……なら、……がよかったのに……」

真姫「なぁに?」

穂乃果「……お先にっ!」

抱き付いた体を離して、そそくさと穂乃果はお風呂場から逃げるように出ていった

真姫「あ……お湯、少なくなっちゃってるじゃない」

私も出よう

ここで体を冷やして風邪をひどくしたなんて言ったら、もっとみんなに、穂乃果に迷惑をかけちゃう

それにしても、出る前に穂乃果はなんて言ったんだろう

あんなに近かったのに

737: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:38:50.50 ID:h0nqROVc0
-穂乃果の部屋-

穂乃果「まーきちゃん、今日は一生に寝ようね」

真姫「あなたのベッド狭いじゃない、いやよ」

穂乃果「えー?お風呂は一緒に入ってくれるのに?」

真姫「あなた寝相悪いから、蹴っ飛ばされたりするのがいやなの、わかる?」

穂乃果「うっ……」

なんていうのは嘘

真姫「狭いからむしろ蹴落とされるかもしれないじゃない、その時責任取ってくれるの?」

穂乃果「ううっ……」

少しだけ、しかりつける

738: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:40:32.24 ID:h0nqROVc0
真姫「……ま、しないって約束するなら、寝てあげてもいいけど」

本当は一緒に寝てほしい

今夜は少しだけ不安だから

穂乃果「わはぁっ!真姫ちゃん大好きー!」

真姫「わっ、ちょ……ちゃんとするの?」

穂乃果「しますしまーす!約束しまーす!」

真姫「……不安だわ…」

穂乃果「じゃあもう遅いし、寝ちゃおっか」

真姫「…そうね」

穂乃果「電気消すよー」

739: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:46:10.34 ID:h0nqROVc0
真姫「おやすみ」

穂乃果「えへへ」

真姫「ちょっと穂乃果、熱いんだけど」

布団に潜り込むなり、穂乃果は私を抱きしめる

穂乃果「今日の穂乃果は真姫ちゃん専用の抱き枕だからね」

真姫「……暴れないでよ?枕に蹴っ飛ばされるなんて夢見が悪いわ」

穂乃果「へへへ、はいーい」

真姫「でも、こんなにくっついていたら、あなたに風邪移しちゃうわよね」

穂乃果「もう、今更言いっこなしだよ」

真姫「むぅ……じゃあ、もしあなたが風邪ひいたら、今度は私があなたを看病してあ・げ・る」

740: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:47:22.45 ID:h0nqROVc0
穂乃果「……うん、お願い」

真姫「ねぇ、穂乃果」

穂乃果「んー?」

真姫「お風呂から出るとき、なんて言ったの?」

穂乃果「……聞きたい?」

真姫「当然」

穂乃果「……どうせキスするなら、口がよかったのにって思っただけ、それだけだよ」

あぁ、なるほど

じゃあ……

真姫「穂乃果、ちょっと起きて」

穂乃果「ふえ?」

741: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/25(金) 10:48:28.09 ID:h0nqROVc0
抱き付いた穂乃果を起こして、今度は私が抱きしめる



そして



真姫「ん……」

穂乃果「まきちゃ……ん……」

真姫「んっ……ちゅ……」

穂乃果「むぅ……、んふ……」

真姫「ふ……はぁ」

穂乃果「ふぁ……」

真姫「これで満足?」

穂乃果「……もっとぉ」

真姫「しょうがない子ね……」

穂乃果「えへ……んむぅ……」

真姫「…ねぇ、舌、入れてみてもいい?」

穂乃果「……うん」

こうして、私たちの関係はまた一つ大人に近づいた気がする

~医者の不養生 おしまい~

748: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 06:04:31.12 ID:+xo611NN0
~罰ゲームはご褒美?~

凛「ババ抜きするにゃー!」

穂乃果「いえ~い!」

真姫「ババ抜きって……」

花陽「でも面白そうだし、やらない?」

ま、3人が乗り気ならいいか……

真姫「いいわよ、始めましょ」

凛「じゃあカード配るにゃ~」

早速箱からカードを取り出してシャッフルする凛

ただ、どこでも見るような山札の下を上に乗せるやり方じゃなかった

749: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 06:05:07.49 ID:+xo611NN0
花陽「凛ちゃん、何?それ」

凛「ショットガンシャッフルっていうんだって!テレビでやってるの見て凛も真似したくなったんだにゃ~」

穂乃果「おぉ~かっこい~!」

凛「えへへー、もっとほめて!」

凛「はい、シャッフルおわりにゃ!真姫ちゃん配って!」

真姫「はいはい」

凛から渡されたカードの束を丁寧に一枚ずつ4つに分ける

凛「真姫ちゃんもっと早く配るにゃ~」

真姫「うっさい」

文句を言われながらも私は配るのをやめない

花陽「だ、大丈夫だよ、花陽より早いし!」

真姫「花陽、そういうこと言わない」

750: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 06:05:54.86 ID:+xo611NN0
花陽「あ、うん、ごめん……」

穂乃果「ふへへ」

真姫「……何よ」

穂乃果「いやぁ、真姫ちゃん変わったなーって」

真姫「そう?花陽の前では普通よ?」

花陽「うん、真姫ちゃん私のお姉ちゃんみたいで……」

凛「かよちん、凛は?」

花陽「凛ちゃんは私のとっても大事な親友だよ」

凛「か、かよちーん……」

真姫「はい、配り終えたわよ」

穂乃果「うむ、ご苦労~」

真姫「何言ってんのよ」

穂乃果「ともあれ、ゲームスタート!」

凛「いっくにゃー!」

751: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 06:06:42.73 ID:+xo611NN0
-10分後-

凛「わーい、いっちばーん」

花陽「わ、嘘、2番目!?」

真姫「ということは……」

穂乃果「穂乃果と真姫ちゃんの一騎打ちだね!」

凛「かよちん、どっちが勝つと思う?」

花陽「う~ん、穂乃果ちゃんの運を信じるなら穂乃果ちゃんだし、駆け引きとかうまそうなのは真姫ちゃんだし……決められないよぉ」

凛「なるほど……」

真姫「なに二人で実況してんのよ」

穂乃果「よし、こっちだ!……あー!」

752: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 06:07:20.28 ID:+xo611NN0
真姫「甘いわね穂乃果、ジョーカーよ」

穂乃果「むぅ~まだまだ負けないんだからね!はい、引いて!」

穂乃果が私に見えないようにカードを一枚一枚机の下で入れ替える

なんというか、その姿が少し面白い

穂乃果「よっし!真姫ちゃん引いて!」

甘いわよ、穂乃果

さっきあなたは左側にジョーカーを加えた

そして11回あなたは入れ替えを行った

つまり

今は右側にジョーカーを持っているんでしょ?

真姫「悪いけど穂乃果、この勝負もらったわ」

753: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 06:08:36.51 ID:+xo611NN0
穂乃果「なにおー、穂乃果だってまだまだこれからだよ」

真姫「ふふふ、あなたが私に勝とうなんて百年早いのよ」

穂乃果「そういうのは勝ってから言おうよ!っていうか人生ゲームやったら負けたじゃん!」

真姫「はいはい……ふふん、私の勝ちよ、穂乃果」

穂乃果「あぁー!なんで真姫ちゃんこっちにジョーカーないってわかったの?エスパー?」

真姫「さぁね、まぁそうかもしれないわよ?」

なんていたずらっぽく笑ってたら

凛「エスパーだったらとっくに上がってるにゃ」

花陽「凛ちゃん、そういうこと言っちゃだめだよ……」

754: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 06:09:08.51 ID:+xo611NN0
真姫「なに言ってんのよ、向かい側だった花陽が私の欲しいカード持ってたら捨てられないでしょ?」

凛「あ、そっか!真姫ちゃん賢いにゃ~」

穂乃果「…………」

花陽「…穂乃果ちゃん?」

穂乃果「…納得いかなーい!もう一回やろー!」

始まった、穂乃果の負けず嫌い

真姫「私はいいけど……、二人は?」

凛「凛はいいよー!」

花陽「うん、いいよ」

755: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 06:10:32.10 ID:+xo611NN0
真姫「ありがとう」

穂乃果「はいはーい!ここで穂乃果は大富豪を提案しまーす!」

花陽「じゃあそうしよっか」

穂乃果「大貧民は罰ゲームね!」

真姫「穂乃果、そうやって罰ゲームを作らないの」

穂乃果「そうしたほうが緊張感が上がるじゃん!」

凛「いいよー!テンション上がるにゃー!」

花陽「ま、負けたらどうしよう……」

真姫「花陽、そういうネガティブ思考もだめよ、前向きにいきましょう」

穂乃果「大富豪だったら穂乃果負けないもんね!」

756: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 06:11:00.99 ID:+xo611NN0
-さらに10分後-

真姫「はい、あがり。大富豪ね」

凛「おぉー、真姫ちゃんつよいにゃ~」

真姫「ま、今回は手札がよかっただけよ」

花陽「えっと、穂乃果ちゃんがあと一枚だから……4の2枚で!」

穂乃果「あぁー!」

凛「凛も6のダブルで行くにゃー」

花陽「じゃあ9のダブルで!あがりー!」

凛「そしたらこれが流れて凛の番で……残った5!あっがりー!」

穂乃果「みんなで穂乃果をいじめるぅ……」

757: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 06:11:54.47 ID:+xo611NN0
真姫「……元気出しなさいよ穂乃果」

穂乃果「ふえぇん……」

あら、泣いちゃった

無理もないわね、自分で提案したゲームで負けちゃったんだもの

花陽「ご、ごめんね穂乃果ちゃん。罰ゲームって言われたら」

真姫「いいのよ花陽、言い出しのは穂乃果の方なんだから」

穂乃果「真姫ちゃんのいじわる~」

真姫「恨むなら後先考えない自分を恨みなさい」

凛「ねね、真姫ちゃんは穂乃果ちゃんに罰ゲーム、何をするのかにゃ?」

真姫「……そう言われてもね……」

758: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 06:16:24.20 ID:+xo611NN0
穂乃果「いいもん、真姫ちゃんの罰ゲームだったら何でもやるもん」

ふふ、少しいじわるしようかしら

真姫「……そうね、じゃあ足でも舐めてもらおうかしら」

凛「おぉー!真姫ちゃん王様っぽい!」

真姫「なんてね、そんなこと穂乃果には……ひゃんっ!?」

冗談で済ませて、ジュースでも買いに行かせようとしたらそれよりも穂乃果は早かった

穂乃果「真姫ちゃん私、やるよ!!」

真姫「あっ、だめっ!やめっ!ひゃあっ!あんっ!」

穂乃果「じゅるっ……うむっ……はむっ……」

指の間をなぞるように舐め、足の裏を舌で撫でる

なんでこういう事ばっかりうまいんだろう

759: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 06:17:08.22 ID:+xo611NN0
真姫「あぁ、んあっ!くすぐった!もうやめ、ほの、かぁっ!……んんっ!」

穂乃果「……うん」

真姫「あん……ふぁ……はぁ……」

花陽「う、うわぁ、真姫ちゃんの顔が……///」

凛「穂乃果ちゃん、すっごいにゃ~……」

真姫「はぁ、はぁ、うぁ……」

もう……これじゃあどっちが罰ゲームかわからないじゃないのよ……

穂乃果「まだだよ、もう片方もやらなきゃ」

真姫「い、いいから!もういいから!」

穂乃果「ううん、罰ゲームだからやらなきゃ……」

760: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 06:21:22.21 ID:+xo611NN0
真姫「…慰めてあげるから、ね?」

穂乃果「……」

真姫「おいで、穂乃果」

穂乃果「……」

手招きに穂乃果は応じない

真姫「……もう、意地にならないの」

だから、私から行って抱きしめる

穂乃果「ふぇ……」

真姫「よしよーし♪」

穂乃果の頭を撫でる、柔らかくて、きれいな髪が手にとても気持ちいい

穂乃果「くぅ~ん……」

真姫「にゃ~ん♪」

りんぱな「…………」

……しまった、ついうっかり穂乃果とたまにするあれが……

真姫「…………」

761: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 06:23:34.26 ID:+xo611NN0
凛「やっぱり恋するっていいにゃ~」

花陽「うん、真姫ちゃんがすごく暖かく見える」

真姫「……何よ、私がまるでいつもは冷たいみたいじゃない」

凛「初めて会った時の真姫ちゃんはそんな感じだったにゃ」

真姫「あ、あれは別に他人とつるむ気がなかったっていうか」

今ではいじられたくない、少し恥ずかしいことだから顔をそらす私

花陽「でも今の真姫ちゃん、すごくかわいいよ」

真姫「う……ありがと。穂乃果、そろそろ……穂乃果?」

可愛いとかって言われると気恥ずかしくなる

でも穂乃果はそんなそぶり見せないし、私だけなのかしら

穂乃果「くぅ……」

花陽「寝てる!?」

真姫「はぁ、仕方ないんだから、もう」

~罰ゲームはご褒美? おしまい~

767: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:35:26.43 ID:+xo611NN0
~まきちゃん~

その日、私は何かに追いかけられていた

真姫「はぁっはぁ……!」

???「まきちゃん」

真姫「こないで!」

???「まきちゃん」

真姫「なんなのよ!もう!」

???「まきちゃん」

???「まきちゃん」

私は暗い建物の中をひたすら走る

768: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:36:08.20 ID:+xo611NN0
途中光にさらされて、捕まりそうになりながら必死に走った

それから、目の前の扉を押し開けると、視界が開けて大広間にたどり着いた

急いでその扉を閉める

真姫「はぁ、はぁ……」

私は辺りを見渡しながら大広間を歩く

よかった、もう追っては来ないみたい

胸をなでおろそうとしたとき、突然鉄格子が頭上から落ちて、私を囲った

真姫「え、ああっ!」

私は逃げ場所を失った

まんまと罠にはまったのだ

769: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:37:19.45 ID:+xo611NN0
その上、あたりにはさっきのあの奇妙な何かが私を鉄格子の外から囲っていた

???「まきちゃん」

???「まきちゃん」

真姫「あ、いや、嫌あ!助けて、誰かぁ……穂乃果ぁ……!」

このまま捕まって殺されるのだろうか

私は大好きなあの人の名前を力なく呼ぶ

諦めかけていた次の瞬間、奇妙ななにかと鉄格子は一瞬で消え失せた

代わりに私の目の前に立っていたのは……

穂乃果「真姫ちゃん」

真姫「穂乃果!」

穂乃果が助けに来てくれた









……はずだった

770: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:39:40.24 ID:+xo611NN0
穂乃果「……お別れだよ」

真姫「え?」

私が絶句する隙に、穂乃果は私の胸を突き刺した

真姫「あ……?かはっ」

胸に激痛が走る

穂乃果「さよなら……」

涙を一筋流しながら胸に突き刺した刃を引き抜く

真姫「どう、して……」

穂乃果は問いに答えてくれない

背中から落ちているはずなのに、床に体がつかない

私の体が落ちているんだ

それに気づいたときには穂乃果の姿はどんどん遠くなっていって

そこで、私の……

771: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:40:35.19 ID:+xo611NN0
真姫「はぁっ!」

すがすがしい朝……もとい、まだ夜明け前

隣には心地よさそうに寝ていた穂乃果がいる

汗びっしょりで、パジャマがすっかり濡れていた

ものすごい疲労感が私を包む

夢……だったんだ

そうよ、穂乃果がそんなことするはずがない、穂乃果が……

穂乃果「ん~?真姫ちゃん、どうかしたの?」

異変に気付いた穂乃果が寝ぼけ調子で目を覚ます

真姫「あ、な、何でもないわ……」

773: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:42:34.70 ID:+xo611NN0
穂乃果「……おいで、真姫ちゃん」

起き上がった穂乃果は私の様子を察したのか、私を求める

不安を覚えていた私は穂乃果のもとへ飛び込まずにはいられなかった

穂乃果「おぉっとと……怖い夢でも見たの?」

勢いをつけすぎて少しのけぞる穂乃果

穂乃果はそんな私を受け止めて、撫でてくれる

質問にぎくりとする私

真姫「……うん、変な奴に追っかけられて、捕まって……」

隠しても仕方ないから、すべてを話すことにした

穂乃果「うわぁ、私も嫌だなぁ」









真姫「穂乃果に殺される夢」

774: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:45:22.45 ID:+xo611NN0
穂乃果「……え?」

背中を撫でる穂乃果の手がピタッと止まる

撫でる手は、私を強く抱きしめる手に変わった

真姫「私も何が何だかわからないけど……そんな夢を見たの」

穂乃果「穂乃果が、真姫ちゃんを殺す……?む、無理無理、絶対できないよ」

真姫「うん、ただの夢だから」

穂乃果「穂乃果、夢でも真姫ちゃんがいなくなったら怖い」

真姫「私もよ」

二人で互いに体を抱きしめる

穂乃果「穂乃果、真姫ちゃんのこと絶対守るからね」

真姫「うん、うん……」

穂乃果「じゃあ、まだ外も暗いしもう一眠りしよ?」

真姫「その前にシャワー浴びてきていい?汗で服がベタベタになっちゃったし、また風邪ひいちゃうわ」

穂乃果「んー、じゃあこの際起きちゃおうよ」

真姫「そうね」

穂乃果「一緒にいこ♪」

真姫「ええ」

ベッドから出た私たちは、手をつないで、部屋を出た

~まきちゃん おしまい~

775: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:53:33.34 ID:+xo611NN0
~サプライズは音楽で~

今日は真姫ちゃんたち一年生は遠足!

だから一日中真姫ちゃんたちとは会えない……

でも!真姫ちゃんがいなくても穂乃果にはみんながいるもん!

寂しくなんかないよ

穂乃果「でさ、真姫ちゃんにお洋服買ってもらってね~」

ことり「えぇ!?どんな服?」

穂乃果「本当にすごいの!普段ことりちゃんが選んでくれるような可愛いのじゃなくって、綺麗っていうか……」

ことり「ほぇ~ことりも真姫ちゃんとお買い物してみたいかも、今度一緒に行ってもいい?」

穂乃果「いいよ!真姫ちゃんがよければだけど……」

海未「穂乃果もとうとうのろけだしましたね」

776: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:54:00.07 ID:+xo611NN0

絵里「いいんじゃないかしら、仲がいいって素敵なことだし」

希「うんうん、真姫ちゃんとってもかわいいしな♪」

穂乃果「そこで、真姫ちゃんに恩返しがしたい!」

にこ「で、なにするのよ?」

穂乃果「……う~ん……なにしよう?」

にこ「決まってないんかい!」

海未「いつものことですね……」

穂乃果「す、すみません……」

ことり「でも面白そう!真姫ちゃんってなにしたら喜ぶかな?」

絵里「そうねぇ……」

777: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:56:07.67 ID:+xo611NN0
にこ「穂乃果、ジュース一本」

穂乃果「え?」

にこ「ジュースおごってくれたら、いいアイディアあげるわ」

穂乃果「わー!なになに!?」

にこ「いつもあの子がやっていることをあんたがやればいいのよ」

穂乃果「……例えば?」

希「うーん、ピアノの演奏とか?」

穂乃果「おぉ!それだー!」

そうと決めたら早速音楽室へゴー!

絵里「あ、……あの子ピアノ弾けるの?」

海未「……無理だったと思います」

にこ「ちょっと希、どうすんのよ」

希「まぁええんちゃう?面白そうだし」

にこ「あの子、どうせピアノのカバーに顔伏せて途方に暮れるわよ」

絵里「私が行くわ。ピアノだったら弾けないこともないし、別のモノ使ってみてもいいかもしれないし」

絵里「みんなは先に屋上に行っておいて、後で追いつくから」

778: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:57:00.72 ID:+xo611NN0
-音楽室-

音楽室のピアノのカバーを開いて一番に思ったんだけど……

穂乃果「……どうしよう、穂乃果ピアノ、弾けないじゃん」

カバーを閉じて途方に暮れていたら、絵里ちゃんが来た

絵里「ふふ、やっぱりにこの言ったとおりになってるわね」

穂乃果「絵里ちゃん……」

絵里「穂乃果、ギターやってみない?やり方教えるから」

穂乃果「ほんとに!?」

779: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:57:49.45 ID:+xo611NN0
絵里「ええ、うちに来ればギターもあるし」

穂乃果「うん!」

絵里「ただ、すぐにできるものでもないから根詰めて練習しないといけないわよ?」

穂乃果「大丈夫、穂乃果頑張るから!」

絵里「その意気よ!さ、みんな待たせてるから練習行きましょう」

穂乃果「はーい!」

真姫ちゃんがピアノで、私がギター!なんかちょっとミスマッチな気もするけど、いいよね!

780: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:58:36.76 ID:+xo611NN0
-練習後-

絵里「穂乃果、うちに来て練習よ」

穂乃果「はーい!絵里ちゃん先生!」

絵里「あと、これは真姫には秘密にしましょうね、そっちの方がサプライズにもなるでしょ?」

穂乃果「おぉ、なるほど!」

海未「私も言っていいですか?絵里のギター、聴いてみたいものです」

絵里「私は構わないわよ?あ、海未が来たら亜里沙も喜ぶわね」

海未「ふふ、そうですね」

781: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:59:02.85 ID:+xo611NN0
ことり「ことりはこれからアルバイトだから先に帰るね!じゃあねー!」

にこ「伝説のメイドも大変ね……」

希「あとで様子見に行ってみよっか」

にこ「いいけど、カップルジュースとか嫌よ」

希「わかってるって」

にこ「それより穂乃果!ジュース代!」

穂乃果「あー!ごめんにこちゃん!今わたすー!」

782: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:59:32.92 ID:+xo611NN0
-数日後-

真姫「穂乃果、帰りましょ」

穂乃果「ご、ごめんね真姫ちゃん!今日は用事ですぐ帰らなきゃいけないんだ!じゃあね!」

真姫「あ、ちょ……」

凛「かよちん、かえるにゃー」

花陽「うん」

真姫「花陽、凛、私も一緒に帰っていい?」

凛「いいよー?穂乃果ちゃんとどうかしたの?」

783: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 15:59:58.36 ID:+xo611NN0
真姫「……多分」

花陽「じゃあどこかいって話そっか」

凛「凛はラーメン食べたいにゃー」

真姫「飽きないわね、凛」

凛「えへへー♪ラーメンは世界を救えるはずにゃ」

花陽「白いご飯もみんなで食べれば幸せになれると思うな♪」

真姫「二人とも……」

784: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 16:00:49.94 ID:+xo611NN0
-喫茶店-

花陽「それで、穂乃果ちゃんと最近喧嘩でもしたの?」

真姫「……してないわ、少なくとも穂乃果を怒らせることは一つも」

凛「そっか……いつからなの?」

真姫「う~ん……4,5日前かしら」

花陽「そっか……あれ?」

真姫「どうかした?」

花陽「……ううん、その日って確か私たち遠足あったくらいだよね?」

真姫「確かに……もしかしたらエリーたちなら知ってるかも」

凛「絵里ちゃんたちに聞いてみよっか」

785: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 16:02:18.46 ID:+xo611NN0
花陽「うん、そうしよう」

真姫「…………」

凛「真姫ちゃん?」

真姫「なんか、こうして穂乃果に置いて行かれると、寂しいなって……」

花陽「でも、穂乃果ちゃんは真姫ちゃんのこと嫌いなわけじゃないんだよね?」

真姫「だと思うんだけど……ごめんって言ってたし」

凛「じゃあ心配ないんじゃないかにゃ?」

真姫「凛の言う通りね、でもこのまま待ってるだけなのも癪だし、穂乃果に直接聞いてみようと思う」

花陽「いいの?また穂乃果ちゃんに逃げられちゃったりしたら」

真姫「その時は追いかけるわよ、捕まえる」

凛「頑張って、真姫ちゃん!」

真姫「頑張ることでもないけど……頑張る」

真姫「二人とも相談に乗ってくれてありがと。このことはもう自分で決着付けるわ」

花陽「いいの?」

真姫「ええ。自分のことですもの」

786: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 16:02:47.43 ID:+xo611NN0
-高坂家-

穂乃果「いたた……」

いやぁ、ギターってあんなに難しいんだね

綺麗な音を出すだけでも精一杯だよ

雪穂「大丈夫?指真っ赤だよ?」

穂乃果「絵里ちゃんの指導のおかげだよ」

雪穂「なにやってるの?」

穂乃果「えへへ、ちょっとギターの練習を……」

787: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 16:04:47.16 ID:+xo611NN0
雪穂「お姉ちゃんが!?何で!?どういう風の吹き回し?」

穂乃果「えっとね、真姫ちゃんにサプライズで演奏したくて、そしたら絵里ちゃんが教えてくれるって」

雪穂「なるほどねぇ……」

ピンポーンってうちの呼び鈴が鳴る

お母さんは忙しいみたいで出れないみたい

雪穂は単語カードとにらめっこしてるし、私が出なくちゃね

穂乃果「私出るね」

雪穂「んー」



穂乃果「はーい……あ、真姫ちゃん」

真姫「今日はすぐ帰るから……上がってもいい?」

穂乃果「……いいけど」

788: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 16:05:24.67 ID:+xo611NN0
-穂乃果の部屋-

穂乃果「えっと、それで、何の用かな?」

真姫「最近、私に隠し事してるんじゃないの?」

穂乃果「そ、そんなことないよ」

真姫「嘘おっしゃい」

穂乃果「ないったらないもん」

真姫「じゃあなんで最近私をほったらかしてほかの子と仲良くしてるの?」

穂乃果「ち、違うよ!絵里ちゃんとはそういう事じゃないから!」

789: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 16:07:02.52 ID:+xo611NN0
真姫「……はぁ」

真姫ちゃんはため息をつく

穂乃果「……な、なに?」

真姫「やっぱり隠し事してるじゃない、私はエリーのことなんか一言も言ってないわよ?」

しまった、つい……

穂乃果「あ、あっちゃあ……」

真姫「さ、話しなさい。ここ数日私に内緒でなにをしていたの?」

穂乃果「実は……絵里ちゃんにギターを教わってたの」

真姫「?なんでまた?」

790: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 16:10:20.27 ID:+xo611NN0
穂乃果「本当はもうちょっと弾けるようになってから話すつもりだったんだけど……」

穂乃果「サプライズでギターの演奏を真姫ちゃんに聴かせてあげようってことになったの」

穂乃果「で、絵里ちゃんに教えてもらってたんだけど……」

真姫「なるほどね……まぁまだそういう段階じゃないわよね」

穂乃果「お恥ずかしい話で……」

真姫「……いいわ、今のは聞かなかったことにする」

穂乃果「え、でも……」

真姫「その代わり、私を感動させるような演奏ができるようになりさいよ?」

穂乃果「……うん!」

真姫「最近穂乃果が構ってくれない理由が分かって良かったわ、嫌われたんじゃないってわかってほっとしたし」

穂乃果「そ、そんな真姫ちゃんのこと嫌いになるはずないじゃん!」

791: ◆KZH78Pv7kI 2014/07/28(月) 16:10:49.26 ID:+xo611NN0
真姫「ふふ、冗談よ、冗談。話はそれだけ。じゃあ遅くなるといけないから今日は帰るわ」

穂乃果「あ、真姫ちゃん、ちょっとちょっと」

真姫「ん?」

立ち上がってふすまに手をかけた真姫ちゃんに私は後ろから抱き付く

穂乃果「穂乃果、頑張るから。だから、待っててね」

真姫「……楽しみにしてる」

真姫ちゃんも、優しい声で応えてくれる

穂乃果「真姫ちゃん、大好き。また明日ね」

真姫「ええ、また明日」

~サプライズは音楽で おしまい~

798: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:25:03.75 ID:JzLNpQwF0
~お弁当デート~

穂乃果「ねぇねぇ、今度お弁当作ってどこかに行かない?もう秋だしお山にハイキングとか!」

真姫「そうね……じゃあ私の天体観測に付き合ってもらおうかしら」

穂乃果「お星さま見るの?」

真姫「そうよ。夜になっちゃうけど……」

穂乃果「おもしろそー!やろう!」

真姫「いいの?星に興味ないと退屈なだけだと思うけど」

穂乃果「真姫ちゃんが教えてくれるんでしょ?」

真姫「……いいけど……でも」

穂乃果「でも?」

799: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:25:36.24 ID:JzLNpQwF0
真姫「お弁当、夜だと食べづらいし」

穂乃果「いいの!で、星のこと教えてくれる?」

真姫「……」

穂乃果「教えて……ほしいな、真姫ちゃん」

真姫「…うん」

真姫「じゃあ、少しくらいは、勉強しておきなさい。たっぷり教えてあげるから」

穂乃果「うん!」

穂乃果「じゃあ、夜なら今日やっちゃおうよ!」

真姫「ええ……え!?」

穂乃果「決まりだね、早速家でお弁当作ってくるー!」

真姫「あ、ちょっと!……行っちゃった」

800: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:38:41.98 ID:JzLNpQwF0
-西木野邸-

真姫「うーん……」

真姫ママ「あら、台所でお料理なら私がやるのに……って」

真姫「どうしたのよこれ!真っ黒!何を作ったの?暗黒物質?」

真姫「……違うわよ。……た、卵焼きを…」

真姫ママ「卵焼き!?どうしてこんな真っ黒になっちゃったのよ!」

真姫「う……ごめんなさい」

真姫ママ「……よくみたら手もボロボロじゃないの。話しなさい」

真姫「……ごめんなさい」

真姫ママ「今は謝罪なんてどうでもいいの。そんなに急ぐことでもあったの?」

801: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:40:36.79 ID:JzLNpQwF0
真姫「はい」

真姫ママ「二回目にひっくり返すときは早めでいいわ」

真姫「……ほんとだ」

真姫ママ「少し長く焼きすぎなのよ、私もよくやったのよね……」

真姫「ママも?」

真姫ママ「一人暮らしを始めたときにね。料理は苦手だったのよ?」

真姫「ふふ、ママでも苦手なこと、あったんだ」

真姫ママ「そう?普通よ」

真姫「あ、ご飯炊けたみたい」

真姫ママ「どれどれ……真姫ちゃん、今日お弁当持っていくのはやめなさい」

802: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:41:10.24 ID:JzLNpQwF0
真姫「え?どうして?」

真姫ママ「お米に対して水の量が多すぎてびちゃびちゃになってるわ。これじゃあ……」

真姫「……そんな……」

真姫「……行ってきます」

真姫ママ「……あまり遅くなるようなら連絡してね?」

真姫「…………うん」

803: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:42:07.09 ID:JzLNpQwF0
真姫「はぁ、もうなんで私ってこんなにダメなのかしら」

真姫「料理くらい、ちゃんとできれば……」

真姫「はぁ……」

穂乃果「まっきちゃーん」

真姫「ううぇあ!」

穂乃果「うわお、驚きすぎだよ~」

真姫「びっくりするでしょー!もう!」

穂乃果「えー?そんなに?」

真姫「まったく……あ、それで」

穂乃果「穂乃果もお弁当、ちゃんと作ってきたよ!あとで食べさせあいっこしようね!」

804: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:42:38.26 ID:JzLNpQwF0
真姫「あの、その……」

穂乃果「早速お星さまを見にれっつごー♪」

真姫「あ……うん」

穂乃果「荷物重そうだけど、持とうか?」

真姫「……大丈夫よ、あなたはお弁当のことを心配しておきなさい」

穂乃果「はーい」

真姫「…じゃあ、行きましょ」

穂乃果「うん!」

805: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:43:33.50 ID:JzLNpQwF0
穂乃果「はぁ、着いたー」

真姫「穂乃果、空、見て見なさい」

穂乃果「ん?……ほぇー、きれいだねー」

真姫「この辺りは電灯も少ないし星がよく見えるのよ」

穂乃果「じゃあ早速望遠鏡を……」

真姫「はいはい、スタンド開いてもらえる?」

穂乃果「いえっさ!」

真姫「ありがと。ピント合わせとかに時間がかかるから、少し待ってもらっていいかしら?」

穂乃果「んー、なんかできることとかない?」

真姫「ありがとう、でも本当に何もないのよ」

穂乃果「そっかぁ、じゃあのんびりまってよーっと」

806: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:45:26.15 ID:JzLNpQwF0
穂乃果「んー、いい風吹くなー」

真姫「…………ねぇ、なんでこっち見てるの?」

穂乃果「だってやることないし、真姫ちゃんがせっせと組み立ててるところ楽しそうだし」

真姫「恥ずかしいからやめてよ……」

穂乃果「いいじゃん、可愛いんだもん」

真姫「……ばか」

真姫「……よし、できたわよ」

穂乃果「まってました!」

真姫「レンズ見て、何が見える?」

穂乃果「わぁ、綺麗なお星さまがいっぱい見えるよ!」

807: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:54:46.11 ID:JzLNpQwF0
真姫「真ん中に星が4つ見えると思うの。それが秋の四辺形って言われる星よ」

穂乃果「んー……ん?どれだろ……」

真姫「見えない?」

穂乃果「うん。真ん中……あっ!見えたよ!」

真姫「ちゃんと右上と左下で星が見えてる?」

穂乃果「うん!それだよそれ!うわー、きれいだなぁ……」

真姫「今日は雲もかかってないし、6つの星座も見れそうね」

穂乃果「6つもあるの?」

真姫「ええ、おひつじ座やうお座が見られるわ」

真姫「って、何も調べてないの?」

808: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:55:26.76 ID:JzLNpQwF0
穂乃果「ごめん、お弁当作りに夢中になってて、それで……」

真姫「…そう」

穂乃果「……真姫ちゃん、なんか変だよ?どこか具合でも悪い?」

真姫「べ、別にそんなことないわよ」

穂乃果「ほんとに~?」

真姫「うん……」

穂乃果「真姫ちゃんがそういうならそうなんだろうけど……じゃあ、お弁当食べよ♪」

真姫「っ!」

穂乃果「真姫ちゃん?」

真姫「……穂乃果っ!」

809: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:56:33.12 ID:JzLNpQwF0
穂乃果「わわっ、どうしたの?」

真姫「……あの、私ね、お弁当、持ってきてないの」

穂乃果「え……」

真姫「本当ならはやく伝えたかった」

真姫「電話でも、メールでも、……会った時でも伝えられたはずなのに」

真姫「隠すつもりはなかったんだけど……ごめんなさい」

穂乃果「はい、真姫ちゃん」

真姫「え?」

穂乃果「実はね、ちょっとお弁当作りすぎちゃって、二つ持ってきたんだ」

真姫「……」

810: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:57:12.74 ID:JzLNpQwF0
穂乃果「あ、別に真姫ちゃんが作ってこないと思ったからじゃないよ!せっかくいっぱい作ったんだし、たくさん食べたいよねって思ったからで!」

真姫「……」

穂乃果「一緒に食べよ?」

真姫「……でも」

穂乃果「もう、ばか真姫ちゃん」

真姫「……むぅ」

穂乃果「…穂乃果だって星のこと調べようともしなかったんだよ?」

穂乃果「それでお相子。それじゃあだめ?」

真姫「……駄目よ。お弁当がメインだったんだから」

穂乃果「……もう、わからずや」

811: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:57:55.06 ID:JzLNpQwF0
真姫「…ごめん」

穂乃果「いいよもう、食べるの?食べないの?」

真姫「……」

グウゥ

真姫「っ!」ビクッ

穂乃果「えへへ、体は正直みたいだねぇ」

真姫「……うるさいわね///」

穂乃果「食べよっか」

真姫「……ええ」

穂乃果「……じゃーん、中は炊き込みご飯!」

812: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:58:34.40 ID:JzLNpQwF0
真姫「……おいしそう」

穂乃果「おかずもいっぱいあるよ!じゃんじゃん食べてね!」

真姫「ええ」

ほのまき「いただきます」

真姫「……美味しいわね、これ」

穂乃果「でっしょ?お母さんに教えてもらったんだ」

真姫「このお肉も……」

穂乃果「真姫ちゃん、あーん」

真姫「え?いや……」

穂乃果「ほらほら、あーん♪」

813: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:59:19.17 ID:JzLNpQwF0
真姫「……あー」

穂乃果「えへへ、どーぞ♪」

真姫「……あむっ」

穂乃果「ほら、真姫ちゃんも穂乃果にやって?」

真姫「わ、私が?」

穂乃果「うん!はやくはやくー」

真姫「……仕方ないわね、はい、あーん」

穂乃果「あー、んっ」

真姫「…なんでそんな嬉しそうなの?」

穂乃果「だって、楽しいもん!」

814: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 03:59:57.94 ID:JzLNpQwF0
真姫「私もお弁当、持ってこれればよかったな…」

穂乃果「もう、そういうの言いっこなし!悪い癖だよ?自分が悪いとかそういう事考えるの」

真姫「ごめん」

穂乃果「うー、謝らないでよ。怒ってるわけじゃないもん」

真姫「……ありがと」

穂乃果「まだいっぱい残ってるし、早く食べちゃお」

真姫「……ええ」

穂乃果「ふぁー、美味しかった」

真姫「そうね、とっても美味しかったわ」

穂乃果「ねぇ、真姫ちゃん」

815: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 04:01:01.20 ID:JzLNpQwF0
真姫「……なに?」

穂乃果「今度、真姫ちゃんのお料理、食べたい」

真姫「私の?」

穂乃果「うん、真姫ちゃんなら絶対美味しいの作れるって思うから」

真姫「……」

穂乃果「だめ?」

真姫「だって、私、卵焼きもできないもの

穂乃果「出来るよ!絶対できるって!二人でやった時だってちゃんとできたし!」

真姫「あれは、穂乃果が焼いたりしたからで、私は卵を割ったり、野菜きっただけで……」

816: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/17(日) 04:04:52.55 ID:JzLNpQwF0
穂乃果「…一人じゃ、やっぱり不安?」

真姫「……」

穂乃果「じゃあ約束!」

穂乃果「穂乃果のために、作ってほしいな。それじゃあだめ?」

真姫「……そんなこと言われたら、頑張るしかないじゃない」

穂乃果「ファイトだよ!真姫ちゃん!」

真姫「…いつも、ありがとう穂乃果」

穂乃果「穂乃果の方こそ、いつもありがとう。真姫ちゃん」

真姫「そういえばそろそろテスト近いけど、大丈夫なの?」

穂乃果「うっ……す、数学が……」

真姫「仕方ないわね、また泊まり込みで海未たちと勉強会しましょうか」

穂乃果「お、お手柔らかに、お願いします」

真姫「何言ってんの、みっちりやるにきまってるでしょ?」

穂乃果「ふぇ~ん、真姫ちゃんの悪徳業者~」

~お弁当デート おしまい~

828: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/20(水) 01:34:57.06 ID:nz0EmiwX0
~元気のヒミツ~

穂乃果「ま~きちゃ~ん」ヨヨヨ

真姫「どうしたのよ、元気ないわね」

穂乃果「テストあんまりできなかったの……」ズーン

穂乃果「せっかく真姫ちゃんや海未ちゃんに教えてもらったところだったのに……」

真姫「はぁ……ん」チョイチョイ

穂乃果「……?」

真姫「んんー……」チョイチョイ

穂乃果「言ってくれなきゃわかんないよー」

真姫「っ……も、もう、言わせないでよ。…慰めてあげる」

829: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/20(水) 01:35:46.44 ID:nz0EmiwX0
穂乃果「!?」

真姫「……嫌ならやらないけど。私、用が」クルッ

穂乃果「ぎゅーっ!」ダキッ

真姫「わぁっ!」

穂乃果「えへへ、真姫ちゃんあったかーい」

穂乃果「穂乃果、元気百倍!だよ!」

真姫「…もう、後ろから抱き付かれたら……」

穂乃果「ん?なに?」

真姫「……なんでもない。気が済んだら早く離れて、私用事あるんだから」

穂乃果「えー?……すぐ戻ってきてよー?」

真姫「……また後でね」

穂乃果「うん!」


カツカツカツ


ピタッ

真姫「…後ろからじゃ、抱きしめ返せないじゃない。穂乃果のばか」

830: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/20(水) 01:36:29.20 ID:nz0EmiwX0
-音楽室-

真姫「うーん……」

真姫「次のライブまで時間があるって言っても……」

真姫「どうしよう、完全に手が止まっちゃった」

真姫「スランプ……なのかしら」

穂乃果「あ、いたいた、真姫ちゃーん」ガラッ

真姫「せっかく海未が頑張って作詞してくれたのに」

真姫「曲ができてなかったら振り付けもままならなくなっちゃう」

穂乃果「まきちゃーん」

真姫「……駄目よ真姫ちゃん!ここで弱気になってたら、できるものもできなくなっちゃうわ!」

831: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/20(水) 01:36:59.27 ID:nz0EmiwX0
真姫「……とはいっても……」

真姫「はぁ……」

穂乃果「まっきちゃーん!」

真姫「うぇええええ!」ガターン

穂乃果「きゃー!」ドサッ

真姫「きゅ、急に出てこないでよ!びっくりするでしょうが!」

穂乃果「いたたたた……何度も呼んだよー?そんなことよりふさぎ込んでたみたいだったけど、大丈夫?」

真姫「……平気よ」

穂乃果「むー……」クイクイ

真姫「……私のことなら大丈夫だから」

832: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/20(水) 01:37:38.38 ID:nz0EmiwX0
穂乃果「むぅー…………」クイクイクイ

真姫「……何よ」

穂乃果「……真姫ちゃんも人のこと言えないじゃん」

真姫「……なんのことよ」

穂乃果「ぎゅーっ」ギュッ

真姫「ん……」

穂乃果「真姫ちゃんもー」

真姫「……やだ」

穂乃果「やろうよー、ほかには誰もいないよ?」

真姫「……ぎゅ」

833: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/20(水) 01:38:11.91 ID:nz0EmiwX0
穂乃果「意地っ張り」

真姫「っ……!ぎゅー!」

穂乃果「えへへっ、ぎゅー!」

真姫「……あっ」

穂乃果「ん?どうかした?」

真姫「ええ、実はね、曲のアイデアが全然浮かばなくって」

穂乃果「もう、ほんと意地っ張り。みてれば分かってたけどさ」

真姫「うっ……」スッ

穂乃果「まぁそこが真姫ちゃんのいいところなんだけどね」

穂乃果「一人だから、自分しかできないことだから頑張ろうってする姿、私は好きだな」

834: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/20(水) 01:39:03.23 ID:nz0EmiwX0
穂乃果「穂乃果には作曲どころか、作詞も、振り付けも、勉強だってできないから。えへへ」ポリポリ

真姫「……何もできないってことはないと思うけど」

穂乃果「…でも」

真姫「私だって、できないこと、いっぱいあるわ」

真姫「あなたは、他人をやる気にさせる才能があると思う」ナデナデ

真姫「簡単にできることじゃないのよ?みんな、何か目的があるからやってるだけで」

真姫「それをみんなが楽しんでやるなんて、とっても難しいの」

真姫「誇りなさい?この私をやる気にさせたこと」ギュッ

穂乃果「真姫ちゃん……」

真姫「あなたは紛れもなく、μ’sのリーダーよ」

835: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/20(水) 01:40:38.18 ID:nz0EmiwX0
穂乃果「えへへ……元気づけてるはずだったのに、また元気づけられちゃったね」

真姫「私だって、あなたの元気たくさんもらってるから。それで、私にも……一つだけできたらいいなってことがあるの」

穂乃果「ん?なあに?」

真姫「ん……やっぱりなんでもない」

穂乃果「えー?隠し事はなしって決めたじゃん」

真姫「……忘れちゃったのよ、悪い?」

穂乃果(……頭がいい真姫ちゃんがこんなこと言うなんて、嘘つき。まぁいっか)

穂乃果「別にいいよーだ」プイッ

真姫「なに、怒ってるの?笑ったり沈んだり、忙しいわね」ナデナデ

穂乃果「ふーんっ」ギュッ

真姫「もう……」ナデナデ

~元気のヒミツ おしまい~

839: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:03:14.68 ID:aWnqnxiE0
~あの子の心がつかめない~

-二年教室-

海未「相談?曲についてですか?」

真姫「曲については出来上がったから。……その、穂乃果についてよ」カミノケクルクル

ことり「穂乃果ちゃんのこと?」

真姫「あの子の考えてることが、たまにわからなくなるの」

真姫「なんていうか、ふらっと遠くに行かれちゃう気がして」

海未「それで、私たちに相談ですか」

ことり「穂乃果ちゃん、面白いと思ったことには正直だし、見てないとすぐどこかいっちゃうからね」

真姫「そう、そうなのよ……」カミノケマキマキ

840: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:03:41.25 ID:aWnqnxiE0
海未「そこは私もことりもだいぶ苦労したところですね。でも、大丈夫です。穂乃果はちゃんと真姫のところに戻ってきますよ」

真姫「無責任なこと言わないでよ、……不安なんだから」フイッ

ことり「……ううん、真姫ちゃんなら大丈夫だと思うな」

真姫「ことりまで……」

海未「幼馴染を取られた嫉妬心とか、面倒だからとか、そういうので言っているわけではありませんよ?これは経験則です」

ことり「うん、真姫ちゃんだったらできるって、そう思ってるから」

真姫「私が聞きたいのはそういう事じゃなくて……」

ことうみ「…………」ニコニコ

真姫「……もう」

真姫「わかったわよ、もうちょっと自分で頑張ってみる」

海未「ええ」

ことり「頑張ってね!真姫ちゃん!」

841: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:04:20.76 ID:aWnqnxiE0
-同時刻・部室-

穂乃果「凛ちゃん、花陽ちゃん!ちょっと相談なんだけど!」

凛「なになにー?凛で良ければ聞くよー!」

穂乃果「あのね、…真姫ちゃんのことなんだけど」

花陽「真姫ちゃんのこと?」

穂乃果「うん、真姫ちゃんって希ちゃんとは違ったスピリチュアルなところあるでしょ?掴みどころないっていうか」

凛「んー、そうかな?」

花陽「スピリチュアルっていうより、ミステリアス、だよね?」

穂乃果「そうそう、それそれ!で、どうかな?そう思わない?」

花陽「真姫ちゃんクールだし、頭もいいしね。先のこととか、しっかり考えてそう」

842: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:05:07.20 ID:aWnqnxiE0
凛「あ!でも、真姫ちゃんって案外考えてることわかりやすいよね?」

穂乃果「あー、うん、隠し事が下手っていうのはわかるかも」

花陽「え?どうして?」

凛「かよちんと一緒で、癖があるんだにゃ」

花陽「え!?そうなの!?」

穂乃果「花陽ちゃんも何かあるの?」

凛「うん!かよちんは隠し事があると指を合わせる癖があるんだー」

花陽「りんちゃ~ん、やめてぇ~」

穂乃果「へぇー。真姫ちゃんもね、隠し事があるとそっぽ向くんだ」

凛「へー!」

843: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:06:35.18 ID:aWnqnxiE0
穂乃果「面白いよね!」

花陽「そこまで分かっているのに、なにがよくわからないの?」

穂乃果「……あのね、隠し事はしないって言ってるのに、それでも隠し事するんだ」

穂乃果「真姫ちゃん、照れ屋さんだから。だから知りたいんだけど、全然わからないんだ」

絵里「ずいぶん考えてるのね」

穂乃果「絵里ちゃん、希ちゃん、にこちゃん……」

希「愛しの真姫ちゃんがどうかしたん?」

穂乃果「愛しのって……えへへ。なんか、真姫ちゃんが私に素直になってくれないっていうか」

絵里「そう?随分あなたに甘えてる気はするけど」

穂乃果「そうかな?二人きりの時は海未ちゃんみたいにすっごーく怒るんだよぉ?」

861: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/26(火) 10:06:32.01 ID:YIJp4nVDO
にこ「そりゃあんたがだらしないからでしょ……」

穂乃果「うっ、にこちゃんまでそう言う~」

花陽「でも、真姫ちゃんなら大丈夫じゃないかな?」

穂乃果「どうして?」

凛「凛もそう思うよー!」

穂乃果「え?なんでなんで?」

花陽「だって、好きな人に言いたくても言えないことって、本当は真姫ちゃんが隠したくないことだと思うよ?」

にこ「ま、意地っ張りだからねあの子」

凛「にこちゃんもそうだにゃー」

にこ「うっさい」

穂乃果「ん?んん~?よくわかんない……」ポリポリ

絵里「答えを焦りすぎる必要はないわ。真姫ならいつかちゃんと話してくれるわ」

844: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:07:25.99 ID:aWnqnxiE0
希「そうやね、穂乃果ちゃんはせっかちすぎるんよ。たまにはじっと待ってみるのもいいんやない?」

穂乃果「みんな……うん。そうしてみる」

穂乃果「ちょっと海未ちゃんたち迎えに行ってくるね。多分用事が終わってこっち来るだろうけど」スッ

絵里「じゃあ私たちは先に着替えて準備してるから」

穂乃果「はーい」ガチャ

――バタン

絵里「…なんてね」

希「…えりち、趣味悪いんと違う?」

絵里「いいじゃない、μ’s公認のカップルよ?少しくらいのぞき見したってばち当たらないわ」

希「……まぁ、面白そうなのは否定しないけどね!」

凛「じゃあ凛は先行ってるにゃ!かよちんもいこー」

にこ「だめよ、女として生まれた以上、あんたもしっかり恋愛っていうものを見ておきなさい」

希「とかいって、本当は自分も見たいだけだったりー?」

にこ「うぐぅっ……!に、にこー♪にこの恋人はー、アイドルだからー、彼氏なんていらないっていうかー♪」

花陽「あ、あはは……」

845: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:07:57.50 ID:aWnqnxiE0
穂乃果「待ってみる、か……うーむ……」

海未「穂乃果?」

穂乃果「あ、海未ちゃん、ことりちゃん!用事終わった?」

ことり「うん!穂乃果ちゃんはどうしたの?」

穂乃果「ちょうど二人を迎えに行こうと思って!」

海未「ありがとうございます、では私たちは先に部室へ行きますね」

穂乃果「あ、うん。絵里ちゃんたちは先に屋上に行ってるから!」

ことり「わかった~」

海未「穂乃果、本当に迎えに来てほしい人は、すぐ近くにいるんですからね?」ボソボソ

穂乃果「え?」

海未「ではまたあとで」

穂乃果「……?」

846: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:08:56.41 ID:aWnqnxiE0
真姫「……うっ」ビタッ

穂乃果「……あ」

ほのまき「…………」ソワソワ

ほのまき「あ、あの!」

ほのまき「…………///」モジモジ

穂乃果「ま、真姫ちゃんどうぞ!」

真姫「……穂乃果から先でいいわよ?」

穂乃果「ううん!ここは後輩に譲るのが先輩の優しさっていうか!」

真姫「今更先輩後輩もないでしょ!もう、仕方ないわね……」

穂乃果「うん、お願い」

847: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:09:30.24 ID:aWnqnxiE0
真姫「……」モギュ

穂乃果「?」

真姫「あんまり、ふらふらとどこかにいったりしないで」

穂乃果「え?」

真姫「あなたがたまに怒っているときとか、悲しんでることがよくわからないの」

穂乃果「……そっか、真姫ちゃんって案外にぶちんさんなんだね」

真姫「……そうよ、悪い?」ムス

穂乃果「ううん、そんなことないよ」ニコ

真姫「すぐ近くにいるのに、どこかに行ってしまうって思ったら、寂しいのよ」

真姫「あなた、すぐどこかにふらふら行っちゃうから」

848: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:10:56.15 ID:aWnqnxiE0
穂乃果「そう、かな?」

真姫「そうよ?海未たちも認めてたわ」

穂乃果「うー、反省します」

真姫「もう逃がさないんだから。私だけを見ていて」

穂乃果「わがままだなぁ、真姫ちゃん」

真姫「私だって、できないことあるんだから」

穂乃果「あ、この前言ってたことって」

真姫「……うん」

穂乃果「そっか、じゃあ……」スッ

真姫「ん?」



オデコニチュッ

849: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:11:52.68 ID:aWnqnxiE0
真姫「ちょっ、なっ、ななな!ここ学校よ!?」

穂乃果「穂乃果はいつでも本気だよってこと、伝えたかったんだけど……」

真姫「…………ばか、本気なら…その、口にやりなさいよ」

穂乃果「うんっ♪……ん」チュッ

真姫「ん!?……んん……ふぁ、久しぶりにキスした気がする」

穂乃果「……今日帰ったら、続きしようね///」

真姫「……うん///」

穂乃果「じゃあみんな屋上で待ってるから、いこっ!」タッ

真姫「え!?…ええ」

穂乃果「早く早くー!」

真姫「急がなくてもいいでしょー?」

穂乃果「私たち遅れてるんだよー!?」

真姫「焦らなくていいわよ」

850: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:12:59.16 ID:aWnqnxiE0
ジーッ……

にこ「アイドルが恋愛ぃ?やっぱり認められないわぁ」ゴゴゴゴゴゴ

絵里「まさか学校で見せつけてくれるなんてねぇ、お熱いですこと」ニコォ

海未「そうですねぇ、私も久々に弓ではなく竹刀を持とうかと」ニコニコ

凛「な、なんか絵里ちゃんたちの目が笑ってないにゃ…」

花陽「三人とも怖い……」

ことり「とりあえず、海未ちゃん、落ち着いて?ね?」

海未「学校であのような破廉恥なことを認めるわけにはいきません!絵里!にこ!行きますよ!」

絵里「もちろん!」

にこ「きついお灸をすえてやるわ!」

希「ふふ、穂乃果ちゃんたちも大変やな♪」

~あの子の心がつかめない おしまい~

851: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:14:14.50 ID:aWnqnxiE0
-真姫の部屋-

真姫「来週はあなたたち研修旅行ね」

穂乃果「うん!沖縄だよ、沖縄っ!楽しみだなあ~」

真姫「いまから楽しみにしてたら疲れるわよ?」

穂乃果「大丈夫だもん!ついたらもっと元気になるから!」

真姫「……そうだったわね、ふふ。楽しんでらっしゃい」

穂乃果「…………うん」シュン

真姫「……どうしたの?」

穂乃果「真姫ちゃんも一緒にこれたらなって…思って」

真姫「仕方ないわよ。学年が違うもの」

穂乃果「そうだけど……不安なんだ」

852: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:14:43.81 ID:aWnqnxiE0
真姫「え?何が?」

穂乃果「……」

真姫「黙ってないで……聞かせて?」

穂乃果「私がいない間、真姫ちゃんが浮気しないかとか、誰かに言い寄られないかとか……」

ほのまき「…………」

真姫「………………ぷっ」

真姫「あはははははっ!なによそれ!」

穂乃果「わ、わらわないでよー!真剣に考えてたんだよ!?」

真姫「ご、ごめん、くくっ、だって、面白いんだもの!」

穂乃果「うぅ~真姫ちゃんのいじわるぅ……」

853: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:16:00.60 ID:aWnqnxiE0
真姫「はぁー……、大丈夫よ。穂乃果。私は誰にもとられないし、どこにもいかない」

真姫「……だって、心も体も、あ、あなたのものだから……っ///」ナデナデ

穂乃果「真姫ちゃん……」

真姫「…………///」プシュー

穂乃果「ん?だ、大丈夫真姫ちゃん!?顔真っ赤だよ!?」ユサユサ

真姫(言ってから思ったけど恥ずかしすぎるわよ!なんであんたや漫画の人物はこんなことさらっと言えるの!?イミワカンナイ!)

穂乃果「真姫ちゃーん!かむばーっく!」ペチペチ

穂乃果「だめだ、こうなったら……!ごめんね真姫ちゃん!」バッ

真姫「……はっ!え?」

穂乃果「てりゃー!」バッシィーン





真姫「いったあぁーい!」

854: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:16:47.72 ID:aWnqnxiE0
穂乃果「………………」セイザー

真姫「……………」ムスー

穂乃果「…………あ、あの……」ビクビク

真姫「………………」ムッスー

穂乃果「ま、真姫……ちゃん」オソルオソル

真姫「…………ふんっ」プイッ

穂乃果「」ガーンッ

穂乃果(うわーん真姫ちゃんおこってるよ~)

穂乃果(どうしたら機嫌直してくれるかな……)グス

真姫「っ!」ビクッ

真姫「ご、ごめん!そんなつもりじゃなかったのよ!ただ、反省してほしくて……」オロオロ

855: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:18:09.85 ID:aWnqnxiE0
穂乃果「ふぇ?てっきり本気で怒ってたんだと思ってたんだけど……」

真姫「怒ってたら追い出すわよ!じゃあ、その、まだ痛いからさすりなさい!……うぅ///」

穂乃果「……!うん!」

真姫「や、優しくしてよ?まだ痛いんだから……」

穂乃果「……あ。えへへ。いたいのいたいのとんどけー♪」ナデナデ

真姫「な、なにその子供みたいなの?」

穂乃果「痛くなくなるおまじない!やったことない?いたいのいたいのとんどけー♪って」

真姫「……ないわね」

穂乃果「そっかぁ、でもいいよね?効いてると思うし」

真姫(効いてるわけ……あら?)

856: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/25(月) 23:19:05.26 ID:aWnqnxiE0
真姫「……痛くなくなってきたわ」

穂乃果「えへへへへ、いいおまじないでしょ?」スリスリ

真姫「……ええ、悪くないわね」

真姫「さてと、あなたの旅行が楽しくなるようにお買い物でも行きましょうか」

穂乃果「一緒に行ってくれるの!?」サスサス

真姫「買い物だけよ。ほら、行くわよ」スクッ

穂乃果「うぅ~、もうちょっと~」スリスリスリ

真姫「もう、動けないじゃない」ストン

穂乃果「えへへ、真姫ちゃんのほっぺたきもちいいんだもん~♪」サスサスサス

真姫「まったく……これじゃ動けないじゃない」

-おしまい-

862: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/31(日) 15:35:52.43 ID:ZxT2ejrs0
誰も待ってないだろうけどお待ち

イベントはたぶん勝ったんじゃないかなって



凛「はぁ~、今頃穂乃果ちゃんたち楽しんでるだろうなあ、沖縄」

花陽「来年は私たちもいけるんだよね。楽しみだね」

凛「それよりも……」チラッ

花陽「……うん」チラッ

真姫「…………なによ」ムッ

凛「真姫ちゃん、穂乃果ちゃんがいないからって動揺しすぎにゃ」

真姫「ど、動揺?この私が?ありえないわ」

凛「ふ~ん……じゃあなんで英語のノートにアラビア語書いてるのかにゃ?」

真姫「……えっ!?あ、いや違くて!これは、その……」

凛「ほら、やっぱり嘘ついてる」

863: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/31(日) 15:41:04.91 ID:ZxT2ejrs0
真姫「わ、私は嘘なんて!」

ガシ

真姫「っ!な、なによ!?」

凛「穂乃果ちゃん言ってたよ?なんか隠してるときはそっぽ向くって」

真姫「べ、別に私は!」グググ

凛「ほら、顔逸らそうとする」

真姫「……!……むぅ」

花陽「真姫ちゃん、私たちじゃやっぱり力不足かな?」

真姫「え?」

花陽「私、真姫ちゃんの寂しさがよくわからないから。だから、その寂しさも埋めてあげられないのかなって」

真姫「そ、そんなことない!あなたたちだって大切な私の友達よ!」

花陽「……そっか、よかった。じゃあ今日は久しぶりに一緒に帰らない?」

真姫「……ええ」

凛「一緒に遊んで帰るにゃー」

真姫「ふふ、そうね。……ありがとう、二人とも」

凛「えへへ、凛たち、友達だもん!」

花陽「うん!」

864: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/31(日) 15:41:40.18 ID:ZxT2ejrs0
-同時刻・沖縄-

穂乃果「ついたー!おっきなわー!」

海未「穂乃果!みっともないからやめなさい!」

穂乃果「だって沖縄だよ?沖縄!海きれいだし、あったかい!」

海未「なっ、いきなり何をいっているのですかっ///」

穂乃果「へ?なんで海未ちゃんが赤くなるの?」

海未「え?」

ことり「海未ちゃんのことじゃないと思うよ……?」

海未「…………あ///」ボンッ

海未「帰ります!帰らせてください!ここから私を逃がしてくださいいいいい!」ジタバタ

穂乃果「う、海未ちゃーん!」

先生「高坂ー、園田ー。ついでに南もあとでこっちこい」

ことり「え?ええ~!?」

865: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/31(日) 15:42:12.34 ID:ZxT2ejrs0
-学院・テニスコート-

真姫(私としたことが、なにやってるのかしら)

凛「真姫ちゃーん、いくよー!」パコーン

真姫「はーい!」パーン

真姫(穂乃果がいなくなったからなによ、もう会えなくないわけじゃないのに)

凛「えいっ!」パコーン

真姫(おかけで凛と花陽に心配かけちゃったし)

真姫「ふっ!」パーン

真姫(でも……)

凛「ていっ!」パコーン

866: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/31(日) 15:42:54.06 ID:ZxT2ejrs0
真姫(やっぱり、寂しいかな)

真姫「やあっ!」ポコン

真姫(今日にも電話しようかしら)

凛「チャンス!必殺・凛ちゃんスマーッシュ!」スパァーン

真姫(あ。でも迷惑よね……)ボーッ

花陽「ま、真姫ちゃん!避けてー!」

真姫「え?」

ギュウゥーン

ベシィッ

バタッ

花陽「ま、まきちゃあーん!」

867: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/31(日) 15:50:37.40 ID:ZxT2ejrs0
真姫「ん……」

花陽「あ、よかった!気がついた~」ナデナデ

真姫「あれ?私どうして……」

凛「ごめんね真姫ちゃん、凛がスマッシュ打っちゃって、それがおでこに……」

真姫「んー………んっ…いつつ」

花陽「ちょうどタオル交換するところだったんだ。はい」ペタ

真姫「ありがと……あぁもう、なんで避けられなかったのかしら」

凛「あの時の真姫ちゃん、なんかボーっとしてたよ?」

真姫「……私が?……そうかもしれないわね」

花陽「やっぱり穂乃果ちゃんのこと、引きずっちゃってる?」

868: ◆KZH78Pv7kI 2014/08/31(日) 15:52:42.96 ID:ZxT2ejrs0
真姫「……多分」

真姫「初めてだから、よくわからないのよ。こんなに人を好きになって、けど少しだけ会えないだけなのに、そう思ったら胸が苦しくなって」

凛「真姫ちゃん……」

花陽「なにかできることあったらなんでも言ってね?」

真姫「…じゃあもうちょっとだけ、そばにいて……」

花陽「うん。いいよ」

真姫「ありがと……花陽の膝枕、とってもあったかい……」スゥ

凛「思ったより真姫ちゃん重症だにゃー……」

花陽「どうしたらいいのかな……」

凛「穂乃果ちゃんたちが戻ってきてくれたら、いつもの真姫ちゃんに戻ってくれるにゃ。あとで絵里ちゃんたちにも相談しよ?」

花陽「…そうだね」

真姫「…………」スゥ、スゥ―――

877: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/05(金) 21:45:48.80 ID:zH5K5g6mo
放課後

にこ「は?真姫がグロッキー?」

花陽「うん。それも重度の」

絵里「あんまり想像できないんだけど……、どれくらいひどいの?」

凛「もうすっっごくひどいの!凛でも間違えないような英語の間違いしたりさ」

花陽「現文の音読でも穂乃果ちゃんの名前呼んだり」

希「まさに恋する乙女やん……」

にこ「で、その本人は今どこなのよ」

凛「先生に呼び出されてるよ。多分、お説教だにゃ」

にこ「あんたじゃあるまいし……」

878: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/05(金) 21:46:32.27 ID:zH5K5g6mo
絵里「とにかく、この件はあなたたちに任せるわ」

凛「えー、絵里ちゃんは!?」

絵里「私は生徒会の引き継ぎとか色々あるから」

花陽「そっか。じゃあ希ちゃんもだね」

希「ごめんね、できるだけ早く終わらせるから」

絵里「そう言うわけで矢澤部長、部員のケアをお願いします」

にこ「……仕方ないわね。遅かれ早かれこの問題には直面していただろうし、むしろ早くて助かったわ」

凛「?」

にこ「前も話したでしょ?失恋したアイドルのこと」

花陽「あ、うん。覚えてるよ」

879: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/05(金) 21:48:15.48 ID:zH5K5g6mo
希「今の真姫ちゃんはそう言う状態だってこと?」

にこ「ま、それに近い状態だとは思うわ。だから私たちで気を紛らわさせてあげましょ」

凛「うん、凛たちもそうしようって話してたんだ」

にこ「完全に立ち直らせられなくても、きっかけにはなるはずだわ」

絵里「話もまとまったみたいだし、真姫が来たら練習始めちゃってね」

ガチャ

真姫「お待たせー……どうかしたの?」

希「お、ちょうどいいところに」

にこ「遅れたんだから早く来なさい……ぶっ……な、なによそのおでこ!あっはは!」ケラケラ

真姫「な、わ、笑わないでよ!」ダッ ガンッ

880: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/05(金) 21:50:48.09 ID:zH5K5g6mo
真姫「いい~~~~~~~っ!」ゴロゴロ

絵里「ま、真姫……」

にこ「あははっあはははははっ!おっかしー!あははははは!」バタバタ

希「にこっち、笑いすぎよ?」

にこ「だって、だってあの真姫があんな……!」ゲラゲラ

希「それ以上笑ったら、わかっとるやろな?」ワキワキ

にこ「ひぃっ!」ビクッ

凛「真姫ちゃん、大丈夫?」

真姫「いったぁーい……も、もう少ししたら立てると思うわ……」

花陽「よく見たら頭にもいっぱい埃とかついてるけど、どうかしたの?」

881: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/05(金) 21:51:26.73 ID:zH5K5g6mo
真姫「……笑わない?」

花陽「うん」

真姫「先生に渡されたプリントを運んでて、……その、転んだのよ」

5人(重症だ……)

絵里「ま、まあ全員集まったことだし、練習始めちゃって」

真姫「なに言ってるの。まだ穂乃果たちが来てないじゃない」カミノケクルクル

5人(相当な重症だぁ……)

絵里「……とにかく、練習始めててね。私たちは生徒会の仕事があるから。じゃね」

希「部長、きばってなー」

ガチャ バタン

希「絵里ち、どうするん?」

絵里「あそこまでひどい症状だとは思わなかったわ……。とにかく、穂乃果に現状報告しないとね。」

希「うん……うちらだけでどうにかできるとおもう?」

絵里「……きっかけを作ることぐらいは私たちでも、できるはずよ」

882: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/05(金) 21:52:17.26 ID:zH5K5g6mo
穂乃果「海未ちゃんが暴れるからー」ムス

海未「穂乃果が騒ぐからでしょう、少しは自分の非を認めてください」

ことり「二人とも、そこまでにしようねぇ」ピキッ

穂乃果「」ゾッ

海未「」ビクッ

穂乃果「どうしよう海未ちゃん、珍しくことりちゃんが怒ってるよ」ヒソヒソ

海未「ここはもう意地を張り合っている場合ではありませんね」ヒソヒソ

穂乃果「ご、ごめんね海未ちゃん!穂乃果、もう勝手なことしないから!」チラ

海未「こ、こちらこそ取り乱しすぎました!なんとお詫びすればよいか……」チラッ

ことり「……うん、仲直りしてよかった♪」

ほのうみ(ほっ……)

ことり「それじゃ、いろんなところの見学いこっ♪」

穂乃果「うん!いこいこー!」

海未「やれやれ……」

ヴーッヴーッ


絵里「……出ないわね……仕方ない。時間を改めましょう」

希「そっか……ほな、うちらも仕事仕事」

絵里「……そうね」

883: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/05(金) 21:53:09.18 ID:zH5K5g6mo
にこ「ワンツースリーフォー」パンパン

凛「いい感じにゃ!」

にこ「ラストー気を抜くんじゃないわよ!」パンパン

真姫「……あっ!」ズルッ ドテ

花陽「真姫ちゃん!大丈夫?」タタッ

真姫「ごめん、次はちゃんとやるから」

にこ「次は次はって、もう4回目よ?真面目にやってる?」

真姫「やってるわよ!」

にこ「…………」イラッ

スタスタ グイッ

884: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/05(金) 21:54:17.91 ID:zH5K5g6mo
真姫「な、なにすんのよ!」

にこ「あんた!やる気がないならとっとと帰んなさい!練習の邪魔よ!」

真姫「なんですって!」バッ

凛「ちょ、ちょっとにこちゃん、真姫ちゃんも」

にこ「なによ、穂乃果がちょっといなくなったくらいでウジウジして!

真姫「私は別にウジウジしてなんか……!」

にこ「私が知ってる西木野真姫は!恋なんかで腑抜けになったりしない、人一倍プライドの高い女よ!」

にこ「今のあんたは西木野真姫の皮かぶった別人よ、ていうかあんた誰?」

花陽「に、にこちゃん、言い過ぎだよぉ……」

真姫「……言わせておけばぁ……、にこちゃんのくせに生意気よ!」

にこ「生意気で結構!言われたくなかったらちゃんとやんなさい!」

真姫「言われなくてもそうするわよっ!ほら、花陽、凛、続きいくわよ!」

凛「わかったにゃ!」

花陽「う、うん!」

にこ「ふん、最初からそうしておけばいいのよ」

888: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 02:55:38.41 ID:Z7bly4muo
「やればできるじゃない、まったく」

「ふん、これくらい当然よ」

「もう辺りも真っ暗だし、今日はこの辺にしましょ」

「さーんせーい!お腹減ったにゃ~」

「うん、今日は一緒に帰ろうね、真姫ちゃん」

「ええ、なんだか久しぶりね。あなたたちと帰るの」

「私は妹たちのご飯作らなきゃいけないから先帰るわ。真姫、明日もこの調子でやんなさいよ?」

「わかってるわよ。……今日はその、ありがと」

「……元気になったんならいいわ、じゃあね」

「…うん」

「ねぇねぇ真姫ちゃん、浮気かにゃ?」

「ばっ、そんなんじゃないわよ!」

889: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 02:57:08.51 ID:Z7bly4muo
-カラオケ-

「で、なんでカラオケなの?」

「最近ダンスレッスンの方が多かったし、久しぶりに真姫ちゃんの歌が聴きたいなーって」

「別にこんなことしなくても、頼めば音楽室でやるわよ?」チュー

「だってお昼に行っても放課後に行ってもいっつも真姫ちゃん、穂乃果ちゃんと一緒にいるし」

「最近音楽室で真姫ちゃんと穂乃果ちゃん、ずっとキスしてるって噂だよ?」

ブファーッ!

「真姫ちゃん、飲み物吹くとか汚いにゃ~」

「げほっ、ごほっ!だっ、誰よ!そんな根も葉もない噂を流したの!するわけないでしょ!」

「誰だっけ……にこちゃんだったっけ?」

「ううん、いつの間にか流れてきたにゃ」

890: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 02:58:01.88 ID:Z7bly4muo
「……そう、そうなの……」

「実際はどうなの?」

「そりゃあ、ボイトレとか、たまにデュエットするくらいよ」

「…………」ジーッ

「…何よ」

「御馳走さま、おかわりはいらないにゃ」フッ

「なにその笑顔、どういう意味?」

「ふふ、真姫ちゃんが楽しそうだから」

「ちょっとぉ、はっきり言いなさいよ」

「さーって、歌うにゃー!」

「おー!」

「ちょっとー!話終わってないでしょー!」

891: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 02:58:49.69 ID:Z7bly4muo
「はぁ、調子に乗ってのどガラガラ……」ケホ

「今日はもう復習も終わったし、寝ちゃいましょうかね」

「……お休み、穂乃……いないんだった」

「……寝よ」

-一時間後-

「……んん」パチ

「……眠れない」

「…………」キョロキョロ

「今なら……問題ないわよね」チャッ

プルルルルルルル

「なんで出ないの……?」ムッ

プルルルルルルル――――

「……はぁ、ばっかみたい」ポイッ

「……おやすみ」ボスッ

892: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 03:00:32.29 ID:Z7bly4muo
-ホテル-

「ふぅ~いいお風呂だった♪」

「ふぁ~、ベッドに吸い込まれる~」グテー

「風邪ひきますよ?」

「わかってるよぉ~」

「今日楽しかったね!明日は平和祈念館行くんだって」

「ほぇ~」ゴロゴロ

「穂乃果、先人たちが築き上げた平和のもとに、私たちがこうして楽しめているのですよ?」

893: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 03:01:20.35 ID:Z7bly4muo
「そうだね~」

「まったく……」

「まぁまぁ海未ちゃん、今日は結構動き回ったし、ゆっくり休も?」

「…そうですね、穂乃果、寝ますよ」

「ぐぅ……」

「あ、もう寝ちゃってる……」

「掛布団もかけずに……ことり、電気をお願いします」

「はーい」

パチン

894: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 03:02:38.66 ID:Z7bly4muo
-穂乃果の部屋-

「あれ?お姉ちゃんの部屋の漫画ってこんなきれいに整えられてたっけ」

ヴーッーヴーッ

「ん?」

ヴーッーヴーッ

「あ、お姉ちゃんスマホ忘れてんじゃん!まったくー……」

「真姫さんからの着信だ……あ、切れちゃった」

「どうしよ、かけなおしたほうがいいのかな?」

「ひとまず、海未さんに伝えるか……」

プルルルルルルル

895: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 03:03:07.14 ID:Z7bly4muo
『もしもし?』

「あ、雪穂です。実は……お姉ちゃん、スマホ忘れてったみたいで……」

『本当ですかそれは!?……少し待っていてください。穂乃果、起きてください、穂乃果!』

『んぇ~、なぁに~?』

『雪穂から電話です、穂乃果の携帯が家にあると』

『…………』

「さっさと出ろ……」イライラ

『とにかく、代わってください』

『ん~』

「もしもし、お姉ちゃん?」

896: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 03:03:38.37 ID:Z7bly4muo
『んー、そうだよー……』

「真姫さんから何回か着信あったよ?」

『え?それ、ほんと?』

「うん、出なかった言い訳とか考えておきなよ?」

『……わかった、今日はもう遅いし明日するよ』

「ん、じゃあ連絡おしまい。じゃあね」

『あーい』

ピッ

「まったく世話が焼けるんだから……」チラ

「漫画借りていこーっと」

897: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 03:04:22.94 ID:Z7bly4muo
-翌日-

「ふぁー、よく寝たぁ……」

「おはようございます、穂乃果」

「うん、おはよう、海未ちゃん」

「穂乃果ちゃん、海未ちゃん、おはよ~」

「おはようございます、ことり」

「おっはよー!今日もいい天……」

ヒュゴォォォォォォォガサッガガッ

「じゃあ、ないね……」

「天気予報では今日には近くに来るとは言ってましたからね」

898: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 03:04:52.87 ID:Z7bly4muo
「これじゃあホテルに缶詰めだよぉ~」

「こんな時は……そうです、トランプでもしましょう」

「うん、いいよ」

「退屈がしのげるだけましかぁ……」

コンコン

「はい」

「お、三人とも起きてるな。さっき先生たちで話していたんだけどな―――」


899: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 03:07:12.78 ID:Z7bly4muo
~~~~~

「さよなら、真姫ちゃん」

「まってよ!お願い、お願いだから……」

「……違うよ、真姫ちゃん」

「え?」

「私を一人にさせてるのは、真姫ちゃんの方だよ」

「どういう事……?」

「真姫ちゃん、ずっと忙しくて、穂乃果のこと構ってくれないじゃん」

「そ、それは……」

900: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 03:08:03.11 ID:Z7bly4muo
「いいよ、仕方ないもん。真姫ちゃんは立派なお医者さんだもん」

「……けどね、私が欲しかったのは『お医者さんの真姫ちゃん』じゃなくて『私の真姫ちゃん』」

「あなたは、私からどんどん離れていったから。だから別れるの」

「そんな、そんなのって……ないわよ……」ジワ

「…………」フワッ

「ま、待って!」

「…………」スゥーッ

「行かないで!一人にしないでぇ!」

「ほのかあああああああああああ!」

901: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 03:37:50.83 ID:Z7bly4muo
チュンチュン

「……はっ!」ビクンッ

「はぁ、はぁ……」ガバ

「……また、嫌な夢」

「……さよならか……」ズキン

「ひどい汗、シャワー浴びましょ……」モソモソ

「……」

「私たち、このままでいられるのかしら……」

「このまま、医者になっていいのかしら」

「…………あー、もうっ!」

902: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 03:42:29.69 ID:Z7bly4muo
「どうしたの、真姫ちゃん」

「あ、ママ……おはよう」

「おはよう。それで、何か悩み事?」

「…………もし、もしもよ」

「どうしたの、そんなにかしこまって」

「…もし、私が医者にならないって言ったら……どうする?」

「……そう。……そしたら、家から追い出す。」

「……そ、そうっ、よね……」

「私たちは、今まであなたを医者として育ててきたつもり」

「けど、それが重圧になって、障害になるなら、私はやらせない」

903: おやすみー ◆KZH78Pv7kI 2014/09/11(木) 03:46:10.20 ID:Z7bly4muo
「医者は常にプレッシャーとの戦い。命を何人も救わなければいけないわ」

「その覚悟もない人には私たちの家業を継がせるわけにはいかない」

「……」シュン

「……なんてね。あなたの人生だから、あなたが考えなさい」

「え?」

「……あなたの取るべき道、取りたい道は何か。結論はじっくり決めること。ママとの約束よ」

「……はい」

「さ、シャワー浴びてらっしゃい。そのあいだに朝ごはん作っておくから」

「……え?なんで…」

「汗びっしょりのパジャマ着てるんだからわかるわよ、それくらい。ほらほら、はやく行きなさい」

「あ……うん」

906: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 05:22:39.62 ID:ASIx9rVho
「私が考えろ、か……」

一人寂しくぽつり

確かに、医者になるってことは私にとってはパパとママがいたから

私のこの将来って、誰かからの受け売りでしかないのよね

自分でやりたいから――それは、やりたい仕事だけど

けど、そうしたら失うものも出てくる

あの夢みたいに穂乃果が――いなくなってしまうかもしれない

「そんなの……いや」

少し想像しただけで胸がギュッと締め付けられて、切なくなる

こんな気持ち、なくなってしまえばいいのに

907: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 05:23:05.22 ID:ASIx9rVho
ヴーッーヴーッ

「…電話?」

キョロキョロ

えっと、どこに……

そういえば昨日投げ捨てたんだっけ

それならベッドの辺りに……

「あった」

海未から?何かあったのかしら

「……もしもし」

『もしもし?おはよう真姫ちゃん』

908: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 05:24:18.60 ID:ASIx9rVho
「え?穂乃果?」

『そうだよー、まぁいろいろ事情がありまして……』

「…それはいいんだけど、どうしたの?」

『あのね、実は今日明日は台風のせいで動けなくなるんだって』

「……そう。仕方ないわね」

『だから、帰ってくるのが明々後日の土曜日になるって」

「あ、その日……」

『なにかあるの?』

「模試があるから、迎えに行けないわ」

『えー、そうなの?残念』

909: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 05:24:56.39 ID:ASIx9rVho
「……ごめん」

『仕方ないよ。台風が悪いんだし』

「……まだ何かある?」

『ん~、ないよ?』

「そう。じゃあ切るわね」

『あ、待って!』

「ん?」

『何か悩み事とかしてない?』

「どうして?急に聞いてくるなんて珍しいわね」

『なんか、真姫ちゃんの声、あんまり元気ないから』

910: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 05:25:30.30 ID:ASIx9rVho
そんなことない……けど

「……ありがとう、でも大丈夫よ。寝起きでテンション上がらないだけだから」

なんて誤魔化す

だって、悩みの種があなたのことなんだもの

『ならいいけど……』

「じゃあ、学校行くからきるわ。またね」

『あ、あと一個だけ!』

「もう、何よ」

『模試、頑張ってね!』

「……ありがと。それじゃ」

『うん、またね!』

ピッ

「……妙なところで嗅覚鋭いんだから」

でも穂乃果が元気そうで何より

私も元気もらえたし、今日もがんばろう

911: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 05:26:03.27 ID:ASIx9rVho
-ホテル-

「ふぅ、ありがと、海未ちゃん」

「いえ、真姫の様子はどうでしたか?」

「ん~、少し元気なかったかも」

「大丈夫なの?体調が悪いとか……」

「寝起きだからとか言ってたよ」

「そうですか」

――嘘だとおもうけどね

「あーあ、それにしても暇だなー。どうしようか」

「また、トランプでもして遊ぶ?」

912: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 05:26:36.24 ID:ASIx9rVho
「それしかやることないもんね。あ、ミカたち呼ぼうか」

「そうですね。人数が多いほうが楽しいですし」

「そういって、ババ抜きまた最下位になるよー?」

「今度は負けません!」

海未ちゃんって表情すぐ読めるから、ババ抜きしたらまた最下位になるんじゃないかな

「じゃあちょっと誘ってくるね」

「お願いします」

「行ってらっしゃーい」

海未ちゃんとことりちゃんは私を送り出す

部屋を出て、ちょっと考え事

真姫ちゃんが迎えに来てくれない

ほんとなら、真姫ちゃんと空港で待ち合わせして、どこかでご飯食べようとか考えてたんだけど

真姫ちゃんだって忙しいもん

勉強に、アイ活に―――

そうだ、いいこと思いついちゃった

913: 9・1・3!9・1・3! ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 05:28:28.23 ID:ASIx9rVho
-二日後-

いつも通りの模試だった

なんてことはない、私はいつも通りスラスラと問題を解く

それだけだった

お昼に集まったのに、外に出ればもう日は沈んで、代わりに星と月が煌々と輝いている

まわりの電飾のせいで星は全然見えないけれど

帰ったら模試の解き直しをしよう

今回はそんなに難しい問題もなかったけど、もしかしたらケアレスミスをしているかもしれないし

それに、一歩引いて分かることだってあるし

それが終わったら、曲を考えて……

914: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 05:30:46.16 ID:ASIx9rVho
今度はどんな曲調にしようかしら

やっぱり明るい曲がいいわよね

にこちゃんや花陽から借りたCDを聴いて、本当に良かった

人を元気にさせる曲も、悪くないって思えたから

お祭りみたいに、パーッと――

これも、穂乃果のおかげなのよね

穂乃果といえば―――

明日から研修旅行から帰ってきた3人が練習に復帰する

今頃ことりや海未はともかく穂乃果は長旅で疲れて寝ているかしら

なんて月を眺めながら考えていたら、もういつの間にか家の前

今日はゆっくりと終わるのを待とうって、家のドアを開いたら……

915: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 05:31:34.59 ID:ASIx9rVho
「おかえりなさーい!」

「え?」

なんで―――

「えっへへー♪」

玄関にいるのは……私の大好きな人

「なんで、あなたがいるの?……穂乃果」

「いいじゃんいいじゃん、気にしない気にしない」

「気にするわよ。どうやって入ったの?」

「さっきおばさんから許可もらったよ♪」

「あら真姫ちゃん、おかえりなさい」

916: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 05:40:37.92 ID:ASIx9rVho
「た、ただいま……」

「穂乃果ちゃんの家からおまんじゅういただいちゃったの、あそこの美味しいからまた頼んでもいい?」

「もちろんです、これからも和菓子屋穂むらをよろしくお願いしまーす♪」

「あらあら、こんなかわいい売り子さんに言われちゃったら行かなくっちゃね♪」

ていうか、何で、この二人ってこんなに仲良くなってるの……?

「どうしたの真姫ちゃん、そんなところで固まって」

「な、何でもないわよっ。それよりなんで穂乃果がうちにいるの?」

「真姫ちゃんが迎えに来れないっていうから、代わりに穂乃果が真姫ちゃんをお出迎えしに来ましたっ!」

いや、そんなドヤ顔で言われても……

「聞いたわよ、研修旅行から帰ってきたばっかりだって。長旅で疲れたでしょう?今日はうちで泊まっていっていいわよ」

917: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 05:41:03.94 ID:ASIx9rVho
「わーい!真姫ちゃんちにお泊りー♪」

「ちょっと!なに話をどんどん進めてるのよ!」

「あら、嫌だった?」

「えー、真姫ちゃん、ダメなの?」

「せっかく疲れてるところを追い返すの?性格悪いわね」

ぐっ……

「べ、別にそんなこと言ってないでしょ!」

「決まりね」

「わーい♪」

はぁ、どうしてもこうなっちゃうんだから……

918: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 05:53:12.72 ID:ASIx9rVho
それから、あっというまにもう寝る時間

ああん、もう、時間さん。もうちょっとだけ遅く進んでもいいじゃない

私はとっとと復習を切り上げて、穂乃果とベッドで寝る仕度してた

穂乃果は相変わらずウキウキした様子で私のベッドを転げている

「はぁ~、やっぱりこのベッドは格別だねぇ~。ふかふかで、いい匂いで……」

「ベッドなんてどこも同じでしょ?」

「そんなことないよっ、あ、そうだ。ねぇ真姫ちゃん」

「なに?」

「はい、おみやげ」

穂乃果から差し出されたのは―――

919: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 05:56:11.89 ID:ASIx9rVho
「ストラップ?」

「うん、中にお塩が入ってるんだ」

「へぇ、お札じゃないのね」

「うん、それで真姫ちゃんのは赤いので、穂乃果のはオレンジ!」

相変わらず安直ね……

でも、こういうのって気持ちがストレートに伝わるから、ちょっとうれしい

「ありがと。大事にするわ。……そうだ。ねぇ、沖縄での話、聞かせてよ」

「うん、いいよ!まずね、沖縄着いて、空港で私と海未ちゃんが騒いじゃって、ついでにことりちゃんも説教されちゃって……」

いきなり何してるのよ、まったく

「それでことりちゃんが珍しくご機嫌ななめだったから、なんとか取り直して……」

920: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 05:57:11.04 ID:ASIx9rVho
「ことりが怒るって珍しいわね」

「でしょ?それから、水族館とか、いろんなところ行って―――」

真っ先に水族館が出るのが、穂乃果らしいわね

穂乃果の喋るその姿がとても楽しそう

本当に、楽しかったんだろうな……

「あ、もうこんな時間。明日から練習だし、そろそろ寝よ?」

「ええ。続きは明日ね」

「うん」

「電気、消すわね」

「はーい」

リモコンで部屋の明かりを消す

921: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 06:06:24.81 ID:ASIx9rVho
「お休み、穂乃果」

―――だめ、待って、私

「おやすみー」

暗がりの中、穂乃果は眠りにつく

今なら、話せるじゃない

でも、私は穂乃果に背を向ける

胸の中のザラザラした、嫌な気持ちがおさまらない

どうしよう、疲れている穂乃果を起こしていいかしら

「ねえ、真姫ちゃん」

なんて考えていたら、不意に、寝ているかもしれなかった穂乃果が話しかけてくる

922: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 06:07:08.55 ID:ASIx9rVho
「……起きてたのね」

「なんか、やり残したことがあった気がして、寝られなくってさ」

「…そう」

何もないふりして、そっけなく返す私

「だからさ、ちょっとお話しよ?」

「別にいいけど……」

「おとといさ、電話したでしょ?」

「うん」

「あの時、本当に何にもなかったの?もう隠さなくていいんだよ?」

「……本当にいいの?」

923: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 06:07:34.24 ID:ASIx9rVho
「おねがい」

「…分かった…あの、本当はあの朝、嫌な夢を見たの」

「…どんな夢?」

「ほ、穂乃果と、その…別れる夢」

「え……」

「それでね、うん、私は医者になりたい。けど……」

「……けど?」

「そしたら、私は今よりもっと忙しくなって、あなたと一緒にいられなくなっちゃう」

「……うん」

「私、それが怖い。あなたといられなくなって、あなたに寂しい思いをさせる」

924: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 06:08:02.54 ID:ASIx9rVho
「……真姫ちゃん」

「私、あなたと別れたくない」

「ごめん、こんなに弱くて。ごめんなさい、こんなに、頼りなくて」

「……ねぇ真姫ちゃん、ちょっとごめん」

そういって穂乃果は私に覆いかぶさる

私は何も言わず、思わず視線を合わせないようにシーツに顔をうずめる

「……私、真姫ちゃんが今まで頑張って来たの、少しは知ってるつもりだよ」

「……」

胸の中がゴチャゴチャして、何を言っていいのかわからない

「今まで頑張ってこれたのは真姫ちゃんがやりたいって思ったからでしょ?」

925: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 06:08:45.51 ID:ASIx9rVho
「私のことなら大丈夫だよ。真姫ちゃんがいてくれたら、それだけで幸せだから」

ハッとして、私は思わず穂乃果の顔を見る

「応援する。どんなにすごくつらい道でも、私は隣にいるから」

彼女を支えるその腕が、私を抱きしめる

そのぬくもりが、とても暖かい

「この先もずっと一緒にいようね、真姫ちゃん」

「っ……うん、うんっ…」

無意識に涙がこぼれる

嬉しくて、悲しくて

どうしてこの人は私の心の隙間を埋めてくれるんだろう

926: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 06:09:20.82 ID:ASIx9rVho
私は何もしてあげられていないのに

どうして、この人は私に勇気をくれるんだろう

私はあなたに何かしてあげられているのかしら?

「……真姫ちゃん、泣いてるの?」

「…な、泣いてなんかっ、ないわよっ……」

嗚咽を必死に隠す

そんな私に、穂乃果は―――

「……ん」

「んんっ!?……んぅ」

「ん……ちゅ……」

「はぁ……あむ……れろ……」

「んぅ……ふぅ……」

「んっ、んんっ……んんんっ」

「ん…ぷはっ……えへへへへ、帰ってきたら、ずっとしたいって思ってたんだ」

927: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 06:09:49.39 ID:ASIx9rVho
「……いじわる」

本当にずるい

私の心の中にずいずい入ってきて、私を幸せな気持ちにさせてくれる

「今日は、ずっと一緒だよ、真姫ちゃん……」

「……離れちゃいやよ?…私を一人にしたら、許さないんだから」

「……らーじゃ♪」

穂乃果が私の耳元で優しく囁く

その甘く優しい声が、吐息が私だけのもの

体がゾクゾクする

もっと聞きたい

もっと抱きしめていたい

もっと、もっと聞かせて―――

928: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 06:10:29.52 ID:ASIx9rVho
「ん……」

私、いつの間にか、寝ちゃってたんだ……

「おはよう、真姫ちゃん」

気づけばもう朝

「……ふあぁ、おはよう、穂乃果」

「おねぼうさんだね」

ニコニコ笑顔で私の頬をつんつんつつく穂乃果

「くすぐったい……もう」

「なら起きてー、元気出せー!」

穂乃果は掛布団を引きはがす

929: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 06:12:38.34 ID:ASIx9rVho
朝の寒気が私の体を刺す

「きゃああっ、さ、寒い!」

もう、冬なんだ……

「これくらいへっちゃらへっちゃら!」

穂乃果はもう、練習に行く準備もできているようだった

「うう~。あなたが元気すぎるだけよ」

「えへへ、そうかもね。じゃあ朝ご飯食べにいこ」

笑顔で手を差しのべる穂乃果

私は、黙って穂乃果の手をとる

「よっこいしょっと」

930: 旅行編おわり ◆KZH78Pv7kI 2014/09/13(土) 06:15:22.61 ID:ASIx9rVho
握られた手からぐいと引っ張られる

「きゃっ」

思わずびっくりして、声が漏れる

そのまま手繰り寄せられた私の体は穂乃果の体と重なる

穂乃果の両腕は私をぎゅうっと抱きしめる

「どう?目、覚めた?」

「……ばか」

体がぐっと熱くなる

もう寒さなんてどこへ行ったのやら

すごく、ドキドキしてる

胸が重なって、穂乃果の胸の鼓動が私に伝わってくる

私の胸の音も、あなたに伝わっているかしら?

私、頑張る。あなたと一緒になら、どんなことだって耐えられるって、そう思えるから―――

934: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:13:36.96 ID:FrADt3r4o
「穂乃果ー、そっちは終わったー?」

寒空の下、お母さんが私の名前を呼ぶ

私は今、お母さんと物置の整理をしています

年をまたぐのも近いし、年末の大掃除に使うものの用意しなきゃいけないからね

「うーん!これそっちに運んだら終わりー!」

って私は返す

うぅっ、寒いなぁ……

早く終わらせて炬燵であったまろーっと

「……あれ?なんだろ、これ」

目にしたのは小さい黒い箱

何が入ってるんだろう?

少しワクワクしながら開けてみると、中には―――

あれ?なんで眠く―――

935: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:16:31.34 ID:FrADt3r4o
翌朝。いい気分で家の戸を開く

すっごい晴れやかな気分。新しい自分ていうのかな?

少しだけ家を早く出て、ステップを踏むように軽やかにいつもの待ち合わせ場所に行く

するとその先には……いたいた

「真姫ちゃん、おはよーう!」

赤毛のあの子が、鞄を両手に待っている

私の声で、その髪がふわりと揺れる

「おはよう穂乃……果?」

「ん?どうかした?」

「どうしたの?頭でも打った?熱はない?なにか悪いものでも食べた?」

936: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:17:07.81 ID:FrADt3r4o
真姫ちゃんが私の額に手を当てる

「ちょっとちょっと。もう、ベタベタ触らないでよ。ちょっとイメチェンしてみたくてさ」

「……やっぱりあなたどこかで頭やっちゃったんじゃないの?」

「なんで?」

「いつも触ってくるのはそっちじゃない」

「別に?なんとなく」

「あなたねえ……」

「いいでしょ?」

「……だからって」

「あなたのトレードマークは!?サイドポニーはどうしたの!?なんでポニーテールにしてるの!?エリーと被ってるわよ!?」

937: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:17:35.79 ID:FrADt3r4o
「あ、まさかエリーに影響されたとか、そういうことかしら?」

あれ?そうだったっけ?

「そうじゃないよ、そうじゃないから」

「あと!なんでズボンなのよ!」

「い、いいじゃん、別に。校則は守ってるし、第一学校指定のズボンだよ?」

「そ、それはそうだけど……」

「それより、どうかな?……やっぱり、似合ってない?」

くるりと回って私を大きく見せる

真姫ちゃんは、少し顔を赤くして、

「そんなこと……ないけど」

と、絞り出すような小さい声でぽつり

938: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:18:08.76 ID:FrADt3r4o
似合ってないなんて言われたら、どうしようって思ってたから、少し安心

「うん、ならよかった。ほら、学校遅れちゃうし、早くいこ?」

嬉しくなって、手をつなぎたくなる

だから、思わず手を出しちゃった

「え、ええ……」

真姫ちゃんも、合いの手をおずおずと出して、私の手を握る

けど、私のことは見てくれない

うーむ、私の魅力不足かな?

「おはようございます、穂乃果」

「うわ~イメチェンしたんだね!すごい新鮮~♪」

939: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:20:59.47 ID:FrADt3r4o
待ち合わせ場所で少しおしゃべりしていたら、海未ちゃんとことりちゃんも合流して

「あ、二人ともおはよ。うん、少しね」

「ええ。凛々しく見えます。昨日までの穂乃果とは大違いですね」

「褒めてもなんも出ないよ?それとも、いつもと違う私に心奪われちゃった?」

「えっ!?」

真姫ちゃんがすごく驚いてる

ふふふ、もっといじっちゃる

「な、なにを言ってるのですか!?」

「うわ~カッコいい~♪ことり、真姫ちゃんから穂乃果ちゃんを奪っちゃおうかなっ?」

ことりちゃんのキャラって時々変な方向に行くよね

私のせいだけど

「こ、ことり、真姫が怒りますよ?」

940: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:21:25.27 ID:FrADt3r4o
「でもでも~」

私は手でことりちゃんの頬を撫でるしぐさから、唇に人差し指を当てる

「ごめんねことりちゃん、穂乃果の心はもう真姫ちゃんでいっぱいだから……」

「ふわぁ~!言われてみたいなそういう台詞~♪」

すっかり、ことりちゃんはこの私に夢中なよう

対する真姫ちゃんは顔を真っ赤にして、くちをぱくぱく、魚みたいにしてる

「この容姿は穂乃果で間違いないようですが……」

「…………か」

「真姫?顔赤いですよ?大丈夫ですか?」

「あ、あんな歯の浮くようなセリフ本人の前で言われたら恥ずかしくって……見てらんないわよバカー!」

941: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:24:34.01 ID:FrADt3r4o
「あっ、ちょっと!……行っちゃった」

へへ、やりすぎちゃったかな?

でも、手を振り払わなくたっていいのに

「いいのですか?追いかけなくて」

「んー、大丈夫だよ、真姫ちゃん怒ってるわけじゃないから」

「そうですか?バカと言ってましたが……」

海未ちゃん、私より鈍いかも

「……海未ちゃんに恋人が出来るのは当分なさそうだね」

「?何故です?」

942: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:25:47.80 ID:FrADt3r4o
「そうだね、恋愛映画もまともに見られないし」

「なっ!い、今は関係ないでしょうっ!」

「いこ、ことりちゃん」

「うん」

「あ、ことりちゃん、久しぶりに手つないでいく?」

「んー、ん~……する!」

「はーい」

「ちょ、二人とも!まだ話は終わってませんよ!」

「海未ちゃんもやろー!」

「わ、私は、結構です」

「素直じゃないなー」

こうして、少しだけ違う、不思議な私の一日が始まりました

943: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:26:46.70 ID:FrADt3r4o
「はぁ……」

教室に着くなり、私はまたぼんやりしていた

穂乃果が悪いのよ、穂乃果が

そこに、凛と花陽がやってくる

「真姫ちゃんまたぼけーっとしてるにゃ」

「わかってるわよ……」

「穂乃果ちゃんと何か悪いことでもあったの?」

「なんにも、ただ顔見られないくらい今の穂乃果と会いたくないって言うか」

「もしかして、穂乃果ちゃんのこと嫌いになっちゃったの?」

「まさか。そうじゃないわよ」

944: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:27:39.65 ID:FrADt3r4o
「じゃあどうして?」

「……会ってみればわかるわ」

なんていうか、口にもしたくないくらい今の私の心は複雑

いつもの穂乃果じゃないから……

「なんの話してるの?」

「ふわあぁっ!!」

「ひいぃっ!」

後ろから、穂乃果が音もなく忍び寄ってきていた

心臓が飛び跳ねそうになって、思わず私と花陽は叫ぶ

多分、花陽は私の声に驚いて、だと思うけど

945: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:29:14.92 ID:FrADt3r4o
「そんなに驚かなくてもいいじゃん、穂乃果はおばけじゃないよ?」

「急に出てこないでよ!」

「ごめんごめん、次は気を付けるよ。あぁそうそう、借りてたノート返しに来たんだ。はい」

右手に持ったノートを、丁寧に渡してくる穂乃果

わざわざここまで……

「…持ってこなくてよかったのに」

「本当は登校中に渡そうと思ったんだよ?でも真姫ちゃん走って先にいっちゃうんだもん」

「むぅ、悪かったわよ……」

「ま、逃げたらどこまでも追いかけるからね。絶対逃がさないよ」

心なしか、下から見るとポニーテールにした穂乃果の表情が、とても大人っぽく見えた

946: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:30:06.80 ID:FrADt3r4o
「ば、やめてよ……み、みんな見てるじゃない、恥ずかしいし……」

その顔がまぶしくて、見ていられなくて

「恥ずかしくなんかないよ。なんなら、みんなに見せつけてあげようか……」

穂乃果の顔が近づいてくる

「え、ちょ、だめ……」

席に座ってる私は、蛇に睨まれた蛙のように硬直する

「そんなに緊張しないで、大丈夫だから……」

穂乃果の右手はわたしの口元をそっと撫で、左手が髪をかすめて、体を絡め取るように私を抱く

期待してる。キスしてもらえる

怖がってる。みんなの視線と、後でなにを言われるか

947: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:31:09.07 ID:FrADt3r4o
結局、私は前者を選んだ

けれど、精一杯の抵抗のつもりで、両手を穂乃果に押し当てる

「だめ、だって……」

近づいてくる

待ちわびてる

けど、怖い

穂乃果の吐息が私に触れる

スイッチが入ったように体中が熱くなって、頭が溶けてしまいそう

「す、ストップー!」

そこに、見かねた凛が私を現実に連れ戻す

948: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:31:48.03 ID:FrADt3r4o
穂乃果を私から引きはがした

あぁ、もう少しだったのに

……じゃなかった、助かった……

「おっとっと」

「穂乃果ちゃん、積極的……」

「花陽ちゃんにもしてあげようか?」

ニシシといたずら顔で花陽を誘惑する穂乃果

「け、けけけ結構です!」

花陽が赤面してる

もう、そういう事は私だけにしてよ

949: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:32:16.94 ID:FrADt3r4o
「にゃー!かよちんは凛のなのー!」

「そっち!?」

「冗談だよ、じょーだん。あ、もうこんな時間。じゃあまたあとでねー」

教室の引き戸をスタイリッシュに引いて、台風の目は消えていった

「……見ての通りよ」

「う~っ、いつもの穂乃果ちゃんじゃないみたいにゃー」

「なんていうか、男の人っぽかった……」

「あんな恥ずかしいの、人前でされたら恥ずかしすぎるわよ……はぁ」

……本当だけど、嘘

悟られないように、両手で顔を隠す

今の私、絶対変な顔してる

950: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:32:47.78 ID:FrADt3r4o
「ねえねえ西木野さん、今の人誰!?うちの制服着てたよね?」

「なんか王子さまっぽいオーラだしてたよね!」

そこに、クラスメイトがいろいろ話しかけてくる

普段はあまり話さない、少し洒落っ気のある子たちだ

王子様?そんなんじゃない

なんて反論しようとして顔を上げると、気づいたら、教室にいた子たちみんなこっち見てる

あぁ、なんか消えてしまいたい

「……穂乃果よ、高坂穂乃果。2年の」

「え!じゃあイメチェンしたの!?すっごー……」

別に、そんなすごいことでもないと思うけど

951: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:33:58.43 ID:FrADt3r4o
「穂乃果ちゃんモテモテにゃー」

凛の何気ない一言に、私の心が不協和音を奏でる

モテモテ?私を置いていこうって?そんなの許さないんだから

「……とりあえず、なんでああなったのか、原因を探ってみましょう」

(かよちん、真姫ちゃんやきもち妬いてるにゃ)

(そっとしておいてあげよ?)

「……聞こえてるわよ、二人とも」

「にゃっ、にゃあ~あはは……」

「ご、ごめんね!わざとじゃないんだけど……」

「わかってるわよ、その代わり、協力してよね?」

952: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/14(日) 14:36:44.07 ID:FrADt3r4o
「うん!」

「あの穂乃果ちゃんを野放しにしてたらかよちんがとられちゃうにゃー」

まだ言ってるし

「凛、一応あなたも割と恥ずかしいこと言ってるからね?」

「え?そうなのかよちん?」

「う、うん、学校ではちょっと……ね?」

「そっかぁ、わかったにゃ!」

分かってるのかしら、この子……

※ここで一旦ラスト

次の更新でこのスレラストにしようと思います

960: 気づいてるかもしれんが今回は少し不思議もの ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:03:57.86 ID:Dsiq0Krzo
授業の終わるチャイムが鳴る

……と、私の中の記憶は言っている

とりあえず授業はまじめに受けたけど、なんせ数学が苦手だって

解けない問題ではなかったと思うけど……

「ほ、穂乃果?」

「ん?なにー?」

海未ちゃんが私に話しかける

その怪訝そうな顔に私は言い知れぬ不安を覚える

「本当に、あなたは穂乃果ですか?」

やっぱり。この子はそんなにも不真面目なんだろうか

偶然とはいえ宿主を間違えたかもしれない

でも、今の私は高坂穂乃果

ひとまず、ここは何とかうまく切り抜けないと

「ひどいよ海未ちゃん、何が違うってのさ!」

961: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:04:58.60 ID:Dsiq0Krzo
「え、いや、その……授業を真面目に数学を受けているのを見ると……」

「ふーん、私はまじめじゃないですよーだ」

「穂乃果ちゃん、あれは穂乃果ちゃんが苦手な数学を受けてるのが嬉しいんだよ、海未ちゃんは。ね?」

「そうなの?」

「うっ……そ、そうですが……」

「じゃあ不安な顔するよりむしろ褒めてよ!ひどいじゃん!」

「す、すみません……」

「なーんてね、気にしてないよ♪」

ふぅ、この場は切り抜けられたね

「それより、なんか今日の先生気合入ってたね。ことり、ちょっと疲れちゃった」

「ええ、板書も大量にありましたし」

この人たちは知らない

私がいるから、疲れているだけだって

962: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:05:31.37 ID:Dsiq0Krzo
-昼休み-

「希、いるー?」

「ん?あら真姫ちゃん。どうかしたん?」

「ちょっと、相談があるの」

「ふーん、穂乃果ちゃんのこと?」

「うぇっ」

相変わらず、すごい勘ね

思わずたじろいじゃった

私の心が読まれてるのかしら

……私って読まれやすいのかしら?

「……そうだけど」

「そっか。それで?」

「あの、穂乃果が変なの」

「ほうほう」

「ええ、なんか調子狂うというか」

963: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:06:08.78 ID:Dsiq0Krzo
「ちょっと、具体的にお願い」

「あ、絵里……」

「気になるじゃない、私にも教えてよ」

「……まぁいいけど」

「あら、真姫。3年の教室にいるなんて珍しいわね。どうしたの?」

「にこちゃん……とりあえず穂乃果には内密で」

「いいから、続けて」

「今朝、二度も穂乃果に誘惑されたのよ、それも人前で」

「おぉ……」

「なんだそんなこと。まぁいつかやるとは思ったけど、さ」

「ちょっと、私だってまだ混乱してるのよ?」

第一、人前でやることじゃないし……

「それだけじゃないのよ?なんか格好も全然違くて」

「あぁ、見たわよ。なんか女子高生らしからぬ制服ズボンだったわね」

「そう。なんかいきなりボーイッシュになったというか、男に目覚めたというか」

964: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:06:47.92 ID:Dsiq0Krzo
「ふむふむ。それに何か原因があるって思ってうちのところに来たんやね?」

「ええ、何かわかると思って」

「ふーむ、聞いてる限りでは人格が変わったみたいやね。記憶に関しては?」

「何もないわね。何かあった方が面倒だけど」

「無いなら、確証があるまでは下手に動かない方がいいわね」

「でも……」

「もしかしたら穂乃果ちゃんの気まぐれかもしれんし」

「きまぐれって、そんなことするような子でもないと思うけど」

「なんだっていいわよ、どーんと構えてればいいじゃない。穂乃果の彼女なんだから」

今更、穂乃果の彼女と言われて赤面してしまう

改めて、私と穂乃果の関係が特別なものなんだって思わされる

特別な関係、誰も介入できない私たち二人だけの楽園

そう考えたら、私の苦々しく結んだ口が、甘さを見つけて少しふやける

965: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:07:46.12 ID:Dsiq0Krzo
「あ、真姫ちゃん照れてる照れてる~」

にこちゃんに茶化されて、緩みかけた口がまた堅くなる

「て、照れてなんかないわよ!話はおしまい!じゃあねっ!」

逃げるように3年の教室から足早に出て行く私

教室から出ていくとき、ちらりと3人の顔がそろって微笑を浮かべていたのが見えて、余計に足は速く動いた

なによ、三人して私のことからかって!

それにしても彼女、か……

……少し、ううん、すごく心地のいい響きがするわね

「ふふっ、ふふふっ♪」

速足はいつのまにか普通に戻っていて、それに少しだけ歩調が軽くなった気がした

そんなところに、彼女は現れた

「どーしたの?真姫ちゃん」

「うぇっ!?」

「上機嫌だったけど、何かいいことでもあった?んん?」

「……何もないわよ」

966: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:08:24.20 ID:Dsiq0Krzo
「ふぅん……」

私が何も言ってくれないからか、目を伏せて眉を曇らす

その姿が、なんとなくしょげた子犬に見えて、少し愛らしい

もう少し見ていたい気もするけど、せっかく会ったことだし、今朝のことを注意しようかしら

なんて思っていたら、次に話しかけてきたのは、穂乃果の方だった

「ねぇ、ちょっと来てもらっていい?」

急にかしこまるなんていつもの穂乃果らしくない

いや、穂乃果のまじめな話なのかもしれない

どちらにせよ、聞いておくに越したことはないと思う

「いいわよ。じゃあ中庭で……」

「で、できれば、誰もいないところがいいな……」

目をそらして、顔を赤くしている

誰もいないところで話すこと……なら、今朝の話、というわけではなさそう

「そう。なら屋上に行きましょう」

手を差し出す

穂乃果は少しためらったあと、ゆっくりと優しく私の手を握る

暖かい手に少し安堵して、けれどいつもと違う穂乃果の様子に少し不安を覚えて、私は彼女の手を握り返す

「……うん!」

私の目に映るその笑顔は、まぎれもない穂乃果の物だった

967: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:09:26.80 ID:Dsiq0Krzo
-屋上-

「それで、話って?」

私は屋上の柵のところに腰かけて、単刀直入に問う

            ―――やっぱりいうのが怖い

穂乃果はこの問いに、目を伏せて、黙りこくるだけ

            ―――だって、こんなこと言ったら言われる言葉なんて決まってるから

「なによ、はっきりしてよ」

            ―――私は、どうであれ拒絶されてしまう

「穂乃果。しっかりしなさい」

「え?」

「話たいことがあるから、私をここまで呼んだんでしょ?」

「話してスッキリさせちゃいなさいよ」

            ―――この人は、私の不安を一緒に抱えようとしてる

「あの、私、高坂穂乃果じゃないんです」

「……は?」

            ―――あぁ、やっぱり

968: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:11:14.29 ID:Dsiq0Krzo
……少し意味が分からなかったけど、何となく言いたいことはわかった

正直、混乱しているけれど

            ―――言わなければよかった

「……それで、あなたは誰なの?」

            ―――…え?

「教えてよ、そんな呆けた顔してないで」

            ―――……言わなければ良かったなんて、思わなければよかった

「あ、はい!私は……」


それから、一言一句逃さぬよう真剣に私は彼女の話を聞いた

どうやら穂乃果は憑りつかれているらしく、憑りついているのは小さな霊らしい

「それで、あなたはどうしたいの?」

「……生前にできなかった、恋というものをしたくて……」

「……なるほどね」

「この人、いえ、穂乃果さんは羨ましいです、あなたみたいな素敵な人に恋をして」

969: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:11:48.13 ID:Dsiq0Krzo
「……女同士、だけどね」

「愛に性別は関係ありません!私の想い人も、同性でしたし……」

なんか、穂乃果の顔と声で丁寧に話されても違和感あるっていうか……

その、不思議な感じ。ふふっ

こんなことが起こるなんて予想もしてなかったから

            ―――そんなに、笑わなくても……

「わかったわ。それで……あっ」

立ち上がった瞬間、体が悲鳴を上げた

気づいたら、膝をついて、前につんのめっていて、何が起こったのか分からないでいた

「何で、どうして……?」

「あ、あの、私のせいなんです」

穂乃果が私を抱き起こして、柵の所に腰かけさせる

「……どういうこと?」

「私が近くにいると、周りの人の精気を奪ってしまうんです」

「どうにかできないの?」

970: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:12:16.65 ID:Dsiq0Krzo
「こればかりは、どうしようも……」

            ―――最後のごめんなさい、が言えない

            ―――こんなこと言っても許してくれないだろうから

穂乃果の顔が曇る

けれどここまで嘘偽りなく話していたことや、今自分に起きていることを考えたら、これも嘘ではなさそう

もとより、信じるほか道はないのだし

「……どうすれば抑えられるの?」

「…あまり、話さないようにすれば。多少は抑えられるかと」

「……そう。これが終わるにはあなたが成仏できるまで、私と恋人でいられればいいってことね」

「……端的に言えば」

この子の口から知的な言葉が出ると変

いや、厳密には穂乃果本人ではないのだけれど

でも、こんな知的な穂乃果もたまには見てみたいと思っていて……

そういえば……

「改めて聞くけど、どうしてあなた、ズボンなの?」

971: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:15:15.78 ID:Dsiq0Krzo
「あの、はい、生前は男として厳しく育てられたもので、そのせいで」

「何回か私に近寄ってきたのは?」

「恋人、というものが分からなかったのでどうしていいかわからず……」

バカらしさでため息一つ

この人、ある意味穂乃果よりバカかもしれない

安心で胸をなでおろす

こんなバカに憑りつかれて、穂乃果も不運ね

けれど、こういう真面目なバカは嫌いじゃない

「それじゃあ、よろしくね」

「……はい」

972: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:15:45.87 ID:Dsiq0Krzo
「先に行ってて。私は少し休んだら行くから」

「……はい」

「それと、私以外といるときはちゃんと穂乃果のフリしなさいよ?」

穂乃果は小さくうなずいて、私の前から消えた

直後、とてつもない疲労感で私はそこにうずくまる

心臓が握られてるかのようにぎゅうっと締め付けられて

汗が噴き出して、動悸が激しくなる

まるで全力疾走をした後みたい

「……つら」

辛い、けれど

穂乃果を取り戻すためなら、なんだっていい

973: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:16:12.94 ID:Dsiq0Krzo
放課後、いつも通りの練習……だったはずなのに

「な、なんで今日こんなしんどいの……」

「わ、わかりません……」

体力があまりない方のにこちゃんと花陽が、開始30分ほどですぐに根を上げた

無理もないと思う

今日のダンスステップはいつもより複雑だし、動きも多いし

けれど、それ以上にあの穂乃果がそばにいることが原因

「確かに……私も今日体、重いわね……」

「絵里ちの場合はそのボディが原因と違う?にしし」

「の、希……」

いたずらっぽく希は笑っているけど、当の希は眉ひとつ変えないでいる

こういうのにも耐性があるのかしら

「それより、ことりちゃんと海未ちゃん、あれ大丈夫なの?」

凛も案外平気そうだ

それよりも、凛が指差した先の……もはや死体と言っていいくらいの二人が、シートの上で倒れ伏していた

974: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:17:50.90 ID:Dsiq0Krzo
「ごめんねぇ……なんか、全然力はいらなくて……」

「すみません、私も疲れがたまっているようで……」

「無理することはないわ。……今日はまともにみんな出来そうもないし」

「えー!?凛もっとやりたいー!」

「仕方ないわよ。みんなと合わせなきゃいけないパートもあるし、一人が抜けていたらダメでしょ?」

「凛の言いたいこともわかるけど、こんな調子だと何もできない気がするわ。……私も含めて」

「今日のところは各自ゆっくり休養を取るほうがええな」

「さんせーい」

次々意見がまとまっていく

それより不安なのは、この中で唯一無言を貫いたあの子が、気がかりだった

「穂乃果、一緒に帰りましょ。今日、うちで泊まっていっていいから」

「ふぇっ!?あ、ああ、うん!」

975: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:18:29.90 ID:Dsiq0Krzo
「それじゃ、海未とことりを部室に連れていくの手伝うから、穂乃果は先に変える仕度しておいて。希、凛、手伝ってくれる?」

「はーい」

「任せとき。……ねぇ、真姫ちゃん」

やっぱり気づいてる

むしろ気づかない方がどうかしてる

最初に相談を持ち掛けた相手だし、こういう系統に関してはいろいろ頭が回るんだろう

「……私に任せておいて」

「……わかった、気ぃつけてな」

いつもハの字の優しい眉が、今回ばかりは心配そうに少しだけ歪んだ

多分、悪い予想をしている

彼女の予想は、当たる

976: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:19:33.72 ID:Dsiq0Krzo
練習を中止した、帰り道

私と穂乃果は二人であの公園に来ていた

まだ少し前のことなのに、なんだかずいぶん昔のように感じられる

「うぅっ、寒……」

穂乃果が手をこすり合わせて、手のひらに息をかける

あの時も少し肌寒さがあった

穂乃果は俯いて、消沈した様子をずっと続けている

「……ここね、私と穂乃果が初めて結ばれた場所なの」

穂乃果は何も答えない

「…初めて、恋っていうものを実感したわ。好きな人の体に触れたところが吐息が触れたところがものすごく熱くなって」

「胸が、ドキドキして、心がふわふわして。この気持ちを伝えられたらって」

「あなたも、覚えがあるんじゃないかしら?」

「……どきどき、ふわふわ」

思案する様子で、胸に手を当てて目を閉じる

            ―――……懐かしい

977: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:20:35.72 ID:Dsiq0Krzo
思い出に浸っているのかしら

嬉しそうな顔してる

「はい、よく、覚えてます」

穂乃果の顔が優しい笑顔を浮かべる

            ―――…けれど、私の恋は……

「けれど、恋って苦い」

また、穂乃果の顔が曇る

きっと、悲恋で終わったんだ

「……そうね」

私も、穂乃果を傷つけたことを思い出す

「……けれど、苦さは甘さに変わるわ」

978: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:24:39.36 ID:Dsiq0Krzo
「……そうですね」

穂乃果は、気まずそうな笑顔を浮かべる

元の記憶と、穂乃果の記憶が混在しているのかもしれない

ふと、目の前が真っ黒になりそうになる

「……ぅっ」

「あっ、大丈夫ですか!?」

「へ、平気よ、少し意識が飛びそうになっただけ」

思ったよりも体の消耗が激しい

もしかしたら明日はピクリとも動かなくなるかもしれない

それでも耐えなきゃ、この子のためにも、穂乃果のためにも

「さ、思い出話はこれくらいにして、帰りましょう?」

979: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:25:41.46 ID:Dsiq0Krzo
夜、私は今、穂乃果と一緒のベッドに寝ている

穂乃果は、もうすっかりこの家に泊まり込むために用意した寝間着を着ている

正直、今にも意識がなくなりそう

けれど、私たちにはやり残したことがあるから

「あの、接吻……いえ、キスしてもいいですか?」

彼女が、最も欲したもの

「…そういうのは聞くものじゃなくて、そういう風に仕向けるものよ」

なんて、私が言えた義理じゃないけど

「……どうやって?」

「……教えてあげる」

私は、穂乃果の体を抱く

穂乃果の胸の音と、私の胸の音が重なる

「あっ……」

穂乃果の顔が、カーテンから漏れる外の明かりで逸れるのが分かる

「緊張してる?」

「……当たり前です」

980: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:26:16.27 ID:Dsiq0Krzo
「私は、もう慣れっこ」

            ―――光に映る彼女の優しい顔。あの人を思い出させる

            ―――ほしい、その、唇が……

穂乃果が、待っている

慣れたとは言ったけど、相変わらず私の胸は大きく鳴りっぱなし

少しずつ、近づく―――

ぎりぎりまで近づいて、私は止まってしまった

「……ごめん」

「…どうしたんですか?」

「あなたとは、キスできない」

私が穂乃果以外とすれば

それは穂乃果を裏切ることになる

体が穂乃果なのはわかってる、けれど

「……」

穂乃果が、また黙りこくる

981: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:26:45.05 ID:Dsiq0Krzo
             ―――私はどうすればいいだろう

「ごめん、ごめんなさい……」

涙が、溢れる

             ―――泣いてる

「ひっく、ぐすっ……」

静寂の中、私の泣き声だけが部屋に響く

そんな中、穂乃果は私の頬を指でなでる

「……綺麗な涙、優しいんですね」

「違う……だって!」

「他人のために流せる涙は、美しいものだと以前教わりました」

「……私は、私は……」

違う、優しくなんかない、ただ自分の気持ちを優先してるだけ

あなたは穂乃果じゃないから

だから、できないだけ

             ―――この人のために、できることは

982: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:27:31.30 ID:Dsiq0Krzo
             ―――ごめんなさい、嘘つきになります

「……大丈夫だよ、私は、いなくなったりしないから」

「え?」

穂乃果?穂乃果なの?

「真姫ちゃん、私、真姫ちゃんとずっと一緒にいるから」

「うん、うん……」

どんな形でもいい、穂乃果がいてくれる

だから、私は……

「ん……」

「んん……」

「んっ……あむっ、んふ……」

「ふぅ、んう……」

「……ちゅっ、ふぁ……あん」

「ぁ……ふあぁ……」

983: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:28:02.60 ID:Dsiq0Krzo
              ―――これが、キスの味、私の追い求めたもの

              ―――これで、思い残すことはない

「……ありがとう」

              ―――私の、最後の言葉

それを最後に、穂乃果は眠りについた

私も……もう、眠い……

984: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:32:12.56 ID:Dsiq0Krzo
真姫ちゃんが眠ってから3日。真姫ちゃんは目を覚ましてくれない

私が目を覚ました時には、真姫ちゃんは寝ているふりをしているだけだと思った

けれど、そんなことはなくって

真姫ちゃんが何かしてたっていうのは覚えてる

けど、全部覚えているわけじゃない

なんで、なんでそうやってどこかに行っちゃうの

どうして、一人で無理するの?

「一人に、しないでよ……」

寂しいよ、真姫ちゃん……

涙が、瞼にたまる

そこに、ドアのノックが鳴る

「穂乃果、今日も来てたのね」

「絵里ちゃん……」

慌てて目をぬぐう

恥ずかしくて、見せられないから

985: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:32:57.85 ID:Dsiq0Krzo
「ホント、寝坊助ね、この子。みんな心配してるってのに」

にこちゃんが悪口と一緒に入ってくる

けれど、その右手のに提げてるお見舞いのものから、本気で心配してるってのはわかる

「真姫ちゃん、心配やね……」

「ただ、こん睡してるだけだって、お医者さんは言ってたけど」

「原因がわからないものね。だから対処しようがないし……」

「ま、王子様のキスでもすれば起きるんじゃないの?」

「にこっち!」

「……ご、ごめん、どうしても、ただ寝てるっていうのが信じられなくて」

「……邪魔したわね、そろそろ私たちは帰るわ。穂乃果もあまり遅くならないようにね」

「……うん」

王子様のキス、か……

眠っている真姫ちゃんにそんなことしていいのかな

患者さんに触っちゃいけないって、小さい頃に教わったことがある

私は、悪いことしようとしてる

986: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:33:47.06 ID:Dsiq0Krzo
けど、絵本で呼んだあの童話も……

今の真姫ちゃんを、起こせるなら……

誰もいない、やるなら、今しかない

どんなことでもいいから、なんでもやりたい

ぐっと身を乗り出す

息をのむ

冷たくなった左手をぐっと握りしめて、右腕で真姫ちゃんを抱きしめる

「……一生のお願い、起きて、真姫ちゃん」

ゆっくりと、少しずつ……唇に触れる

冷たい、唇

このまま、目を覚まさなかったら、死んじゃうのかな

死んじゃやだ、死んじゃやだ!

そんな気持ちで、ずっと、ずっとキスしてた

その時、少し左手を握り返された気がした

987: ◆KZH78Pv7kI 2014/09/18(木) 00:34:15.00 ID:Dsiq0Krzo
「え?」

びっくりして、思わず離れる

それから、ぎゅっと、左手がもう一度握られる

「……うそ」

「……嘘じゃないわよ」

心が跳ねあがって、怒りたくって、泣きたくなって

「ずっと、呼んでたでしょ?」

けど、すごく嬉しくって

「……おかえり、真姫ちゃん!」

もう一度、驚く真姫ちゃんを壊れちゃうくらい強く抱きしめて

私は、幸せを感じていた

-おしまい-