1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 01:22:43 ID:l6ZTj2h2
セルゲームにて──

悟空「今までの戦いで分かった!」

悟空「これからオラが指名するヤツなら、絶対におめえを倒せる!」

セル「ほう……?」

セル「なら聞かせてもらおうか。次に私と戦う者の名を……」

悟空「おめえの出番だぞ──」

天津飯「俺にやらせてくれ!」

悟空「い!?」

引用元: 悟空「おめえの出番だぞ──」天津飯「俺にやらせてくれ!」 

 

 
2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 01:25:27 ID:l6ZTj2h2
悟空「なにいってんだ、天津飯!」

悟空「あのセルはハッキリいって、おめえがかなう相手じゃねえ!」

天津飯「孫……頼む!」

天津飯「俺はこの数日間で、セルに対抗する秘策を編み出した!」

天津飯「この勝負、俺にやらせてくれ!」

悟空「無理だ! おめえが命をかけてフルパワーの気功砲をぶつけたとしても」

悟空「セルにはまったく通用しねえ!」

3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 01:28:42 ID:l6ZTj2h2
クリリン「そ、そうだぜ、天津飯……」

クリリン「ここは悟空が指名するヤツに運命をかけるしかないぜ……!」

クリリン「一度死んだヤツはもう生き返れないんだしさ……」

ヤムチャ「そのとおりだ……。お前が死んだら、チャオズはどうなる?」

天津飯「…………」

天津飯「俺は、あの天下一武道会でお前たちと出会ってから──」

天津飯「ずっと孫の強さを追いかけてきた……」

天津飯「しかし、その差は開くばかり……」

天津飯「それどころか、戦いのレベルにすらついていけないありさまになっていた……」

4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 01:33:08 ID:l6ZTj2h2
天津飯「だが! それでも修業は重ねてきた……!」

天津飯「そして……俺が編み出した秘策がもし決まれば」

天津飯「孫でさえ敵わなかったセルに、一矢報いられるかもしれんのだ!」

天津飯「頼む……武道家としての意地だ! 俺にやらせてくれ!」

悟空「天津飯……。だけどよ……」



ベジータ「やらせてやればいいだろう」

悟空「ベジータ!」

ベジータ「くたばったら、そいつが力の差も分からんマヌケだったってだけの話だ」

トランクス「と、父さん! なんてことを!」

5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 01:36:05 ID:l6ZTj2h2
ベジータ「天津飯とかいったな……」

ベジータ「セルが待ちくたびれているぞ、とっとと行けっ!」

ベジータ「そして……ぶざまに殺されてこい」



天津飯「恩に着るぜ……ベジータ」ボウッ

バシュッ!



悟空「あっ、天津飯! く、くそっ……!」

ピッコロ(おそらく、ベジータは天津飯の気持ちが分かったんだろう。痛いほどに……)

ピッコロ(だからあんなことを……)

ピッコロ(しかし、俺の目から見ても、天津飯に勝ち目があるとは思えんが……)

6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 01:38:16 ID:l6ZTj2h2
スタッ!

天津飯「セル……俺が相手だ!」バッ

セル「ほう……。まさか、天津飯のお出ましとは……」

セル「キサマ如きでは、私を楽しませることなど到底できんだろうが……」

セル「そういえばキサマには、完全体になるジャマをされたことがあるな」

セル「よかろう、相手をしてやろう」サッ

セル「孫悟空が指名する真打ちとやらの前座には、ちょうどよかろう」

7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 01:41:19 ID:l6ZTj2h2
シ~ン……



セル「……どうした? 来ないのか?」

セル「えんりょせんでいいぞ」

セル「気功砲でも、どどん波でも、好きな技を出すといい」

セル「私は受けて立ってやる」

セル「もっとも……私に通用するはずもないがね」

天津飯(やはり、油断している)

天津飯(よし、これなら俺の秘策が通用するかもしれん!)

バシュッ!

セル(上へ……? なるほど、気功砲か)

8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 01:44:14 ID:l6ZTj2h2
ヤムチャ「天津飯が上空へ飛んでいくぞ!」

クリリン「ってことは、気功砲か!?」

悟空「天津飯、ムチャすんなーっ!」

悟飯「天津飯さん……」

トランクス(気功砲……。話には聞いたことあるが、いったいどんな技なんだ?)

ベジータ「…………」

ピッコロ「い、いや待て! あの技は──」

9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 01:48:07 ID:l6ZTj2h2
天津飯「四身の拳!」フッ…



ピッコロ「あれは天下一武道会で、悟空にやった技だ!」

トランクス「す、すごい……! 天津飯さんが四人になった!」

悟空「でもダメだ! あの技には弱点があるんだ!」



セル「ほう……まさか四身の拳とはな」

セル「しかし、キサマが四人になったところで、どうしようもあるまい」

セル「ひとりひとりのパワーは、やはり四分の一になっているしな」

セル「さっきまでの方が、まだマシだったかもしれんぞ」

11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 01:52:05 ID:l6ZTj2h2
天津飯「まだだ!」フッ…

天津飯2「ここからさらに四人で──」フッ…

天津飯3「四身の拳を」フッ…

天津飯4「行う!」フッ…



ヤムチャ「なんだとっ!?」

悟飯「天津飯さんが16人になった……!」

クリリン「だ、だけど、ひとりひとりの気はますます落ちてる……!」



セル「数が増えれば私を倒せるという計算か? 血迷いおって……」

セル「よかろう、待っておいてやる。好きなだけ分身するといい」

12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 01:55:15 ID:l6ZTj2h2
天津飯(三回目!)フッ…



天津飯(四回目!)フッ…



天津飯(五回目!)フッ…



天津飯(六回目!)フッ…



天津飯(七回目!)フッ…



天津飯(八回目!)フッ…



天津飯(九回目!)フッ…



天津飯(十回目!)フッ…

13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 01:58:42 ID:l6ZTj2h2
……

…………

………………

天津飯(二十回目!)フッ…



セル(あまりにバカバカしいので、わざわざ見てる気にもなれなかったが)

セル(そろそろ100人ぐらいにはなったか──)チラッ

セル「な!?」

セル「なんだこれは!? 空一面を天津飯が覆い尽くしているだと!?」



ウジャウジャ…… ウジャウジャ……

14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 02:02:50 ID:l6ZTj2h2
悟空「す、すげえ……!」

クリリン「空が天津飯でいっぱいだ……」

ヤムチャ「なんて光景だよ……めまいがしてきた」

トランクス「こ、こんなことができるなんて……!」

ピッコロ「いったい……何人ぐらいいるんだ!?」

悟飯「えぇ~と、たしか天津飯さんは20回あの技を使ったので……」

悟飯「4の20乗ですね」

悟飯「つまり……1,099,511,627,776人です!」

ベジータ「バカな……。い、一兆人だと……!?」

15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 02:05:55 ID:l6ZTj2h2
セル「ふん……。まさか、この短時間でここまでの数になろうとは……」

セル「だが、数が増えるほど天津飯ひとりひとりの気も減っている」

セル「仮に一兆の天津飯全員が私に気功砲を当てたとしても」

セル「結局は一人分の威力でしかない。ようするに、なんの意味もない分身だ」

セル「私のかめはめ波でまとめて消してやる!」バッ



天津飯「たしかにな……」

天津飯「今の俺たちは気功砲どころか、こうして浮いているだけで精一杯だ」

天津飯「おそらくあと一発、なにか技を使えば死んでしまうだろう」

16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 02:09:25 ID:l6ZTj2h2
セル「か……め……」



天津飯「だがセルよ、最後にいいことを教えてやる」

天津飯「たしかに四身の拳はパワーもスピードも分身するほど分かれてしまうが──」



セル「は……め……」ズゴゴゴ…



天津飯「体重は減らんっ!」

天津飯「太陽拳!」



カッ!!!

17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 02:13:22 ID:l6ZTj2h2
セル「ちいっ! 目がっ……!」

セル(まさか、太陽拳とは……!)

セル「だが、やはりまぶしさは普通だし、太陽拳などでは私は殺せんぞ!」

ボトッ…… ボトボトボトッ!

セル(ん? なんだ、大量のなにかが空から降ってきた……!?)

セル「…………!」

セル「こ、これは……太陽拳で力尽きた天津飯たちの死体!?」



天津飯『たしかに四身の拳はパワーもスピードも分身するほど分かれてしまうが──』

天津飯『体重は減らんっ!』



セル「うっ、うわぁぁぁぁぁっ!!!」



ボトボトボトボトボトッ……

18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 02:17:52 ID:l6ZTj2h2
セル(一兆もの天津飯の死体が、全て私に降り注いでくるだとぉ!?)

セル「こ、こんなもの……」ググッ…

セル「こっ、こんなものぉっ……」ググッ…

セル(そうだ! 超能力で操って、気で消滅させれば──)ググッ…



カッ!



セル「また太陽拳……!? くっ、生きている天津飯を残していたか!」

セル「はっ! しまっ──」

セル「おっ、押され……! ち、ちくしょおおおおお……!」



グチャァッ!!!

19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 02:21:18 ID:l6ZTj2h2
ピッコロ「セルの気が完全に消えた……」

ピッコロ「セルは俺の再生能力を持つが、天津飯の死体に核ごと押し潰されたようだ……」

ピッコロ「しかも天津飯の奴、地球や俺たちのためにちゃんと範囲を絞っていた……」

ヤムチャ「やったぁ!」

トランクス「すごい……! どうしようもない強さだった、あのセルを……!」

ベジータ「や、やりやがった……!」ワナワナ…

悟空「どうやらオラ、天津飯のことを見くびってたみてえだな……」

悟飯「だけど、セルを倒すのと引きかえに、天津飯さんの命も……!」

クリリン「天津飯……」



クリリン「!」ハッ

クリリン「あれ!? 天津飯の死体がどんどん消えていくぞ!」

クリリン「も、もしかして……!」

20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 02:24:04 ID:l6ZTj2h2
天津飯「ふうっ……」



クリリン「や、やっぱりだ! 死体を合体させて、天津飯が一人に戻った!」

クリリン「アイツ、一兆人のうち、何人かは生き残らせてたんだ!」

ヤムチャ「そうか、一人でも天津飯が生きていれば、天津飯は死なずに済む!」

悟空「すげえや!」

悟飯「だけど……気がほとんどゼロに近いですよ!」

クリリン「待ってろ、すぐ仙豆で回復させてやるからな!」バシュッ

21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2014/10/10(金) 02:28:29 ID:l6ZTj2h2
悟空「まさか本当にセルを倒しちまうなんて、オラ驚いちまったぞ!」

ヤムチャ「お前の武道家としての執念……見せてもらったぜ!」

クリリン「18号のカタキをとってくれて、ありがとな!」

トランクス「勉強になりました、天津飯さん!」

ピッコロ「あの技に、まさかあんな使い方があったとはな……」

悟飯「天津飯さん、すごかったです!」

天津飯「ありがとう……みんな!」

ベジータ(俺はもう……戦わん)



ナレーション『こうして、天津飯がみごとセルを倒し、世界に平和が戻った』

ナレーション『決して諦めることなく、悟空を追い続けた天津飯の修業の日々が』

ナレーション『実を結んだ瞬間であった』





~ END ~

22: ◆/COeZjjrb2 2014/10/10(金) 02:29:17 ID:l6ZTj2h2
どうにか天津飯の雨から逃れた世界チャンピオンの一言

サタン「ト、トリックだ!」