2: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:39:21.52 ID:A0HSPIcD0

~アイテムアジト~

絹旗「ううん」

絹旗「ふあ、もう朝…」ムクッ

絹旗「!」ガバッ

絹旗「さささささむい!超寒いです!」ブルブル

絹旗「おかしいなエアコン……-5℃!?なななんですかこのありえない温度設定は!?ああっ!しかも上がらない!」ピピッ

ピピッ

絹旗「超異常な故障です…着替えも出してないしこれじゃ布団から一歩も出られません」ブルブル

絹旗「誰かに電話してヘルプ要請しましょう」

絹旗「まだ誰も起きてないですよね…麦野は寝起き的に超アウト」

絹旗「フレンダが妥当ですか」trrrrrrr

絹旗「………」trrrrrrr

絹旗「………これは出なそ」trrrrピッ

『もしもーし?何か用?』

絹旗「あ、フレンダおはようございます。えっと…」

『うんうん』

絹旗「実は私の部屋が氷河期でし」

『ふーん?それで?』

絹旗『え?いやその…超寒くて動けないのでとりあえず来てください』

『あー、それは分かるわー』

絹旗「へ?」

『結局大変だよね。うんうん』

絹旗「はい?」

『なんつって!ただいま電話に出ることができません。結局、用件はピーという音のあとに入れといて下さいな訳よ!きゃはっ☆



『ピーッ』

絹旗「」

引用元: 絹旗「おこた」 

 

3: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:40:31.71 ID:A0HSPIcD0
絹旗「なんつー留守電作ってんですかあんの金髪ぅぅぅ!!」ダンダン

絹旗「滝壺さんは1番起きそうにないですが」trrrrrrr

絹旗「………………」trrrrrrr

絹旗「案の定ですね…」

絹旗「くっ…浜面」trrrrrrr

絹旗「出ろ出ろ出ろ出ろ!」trrrrrrピッ

『もしもし?』

絹旗「もしもし浜面ですか?音声ではない浜面ですか?」

浜面『はぁ?いや俺だけど…なんだこんな朝っぱらから』

絹旗「そうですか。なら超大至急私の部屋のドアを開けに来て下さい。そうすれば全て分かります。らいらうぇい!」

浜面『へ?お前の部屋?なん』プツッ

絹旗「はあぁぁ布団から出なくても寒いです…せめてパジャマ着るべきでした」ブルブル

絹旗「まてよ?布団かぶってドアまで行けばいいじゃないですか」ノソリ

絹旗「一時寒いですけど…部屋の外はあったか」ノソノソ

コンコン

浜面「おーい、開けんぞ?」ガチャッ

絹旗「あっ、ちょっと待っ…」

浜面「!?寒っ!!ってお前何してんだ…?」

絹旗「……」

浜面(オーケー、冷静に考えよう)

浜面(こんな冬にわざわざ部屋をこんな寒くして俺を呼び出し、そこには布団にくるまり突っ立っている絹旗が…駄目だ意味が分

からん)

4: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:41:12.80 ID:A0HSPIcD0
絹旗「…」

浜面(何この気まずい沈黙…なんか言うべきか?)

浜面「そのなんだ、あれか、お前『超ミノムシのマネ』的な一発芸を思いついてまず俺に見せて実験を…」

絹旗「超違います!!この布団は…あっ」スルッ

浜面「!」ブッ

絹旗「~~~~~!!!」

浜面「え!?なにそういうこと!?俺の為に公開ストリッp」

絹旗「それも違います!しねっ!もげづら!もげづら!」ゲシゲシ

浜面「痛い!それまじで痛い!ってか足冷たっ!」

絹旗「はっ!そうでした」ガバッ ダダダ

絹旗「よかった、リビングは超暖房効いてます」

浜面「おいどういうことか説明…」

絹旗「…」ギロッ

浜面「んな睨まれてもな…悪かったって。お前の自爆だけど」

絹旗「ちっ…まあそういうことにしときますよ。そのかわり部屋のクローゼットから服取ってきて下さい、左端にあるやつでいい

です」

浜面「あのクソ寒い部屋からかよ…ったく」

浜面「あ。あと絹旗、その態で下着が黒だとなんというか…」

絹旗「うるさああああい早く取ってこい!!」

浜面「ひいっ!取りに行って参ります!」シュダッ


絹旗「ふん、もうすぐ超成長期がくるんですよーだ。…たぶん」

5: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:42:00.24 ID:A0HSPIcD0
カチャッ

滝壺「あれ…きぬはた。今日は早いね」

絹旗「あ、滝壺さんおはようございます」

滝壺「おはよう」

絹旗「いつも寝起きみたいだと思ってましたが、寝起きの滝壺さんは超寝起きなんですね」

滝壺「いやぁ…//」テレッ

絹旗「馬鹿にしてはいませんけど、褒めてもないですよ」

滝壺「なんでふとん被ってるの?」

絹旗「え?あ、いやその…」

浜面「絹旗ー、着替えってこれで良いのか?」

絹旗「あ」

浜面「おお、滝壺起きてたのか」

滝壺「………」

浜面「ん?」

絹旗「うわあ…」

滝壺「きぬはた。」

絹旗「はい、なぜか。が怖いですがなんでしょう」

滝壺「なんで、ふとん、被ってるのかな?」

絹旗「あわあわ」

滝壺「なんで、きぬはたの着替えをはまづらが持ってきてるのかな?」

浜面「なんでって、こいつが下g…あっ!?」

滝壺「下着………?」ゴゴゴゴゴ

浜面「ちがう!いや違わないけど別にそういうんじゃ…」

滝壺「………」パカッ

浜面「だめだ滝壺!体晶はだめ!ダメ!ゼッタ…アッー!」

6: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:42:48.72 ID:A0HSPIcD0
滝壺「……」モグモグ

フレンダ「あははは!結局それで絹旗はハジメテを浜面にとられちゃった訳ね!」

浜面「その言い方はあらぬ誤解を招くからやめて頂きたい」

絹旗「まぁ超見事なまでの鼻血ブーでしたが」

浜面「そうだっけ!?」

麦野「文字通り出血大サービスね」モグモグ

絹旗「サービスしたのは私のほうですけどね」モグモグ

フレンダ「エアコンは替えてもらわないとねー。でもなんで浜面なの?」モグモグ

絹旗「浜面は最後にかけましたよ…思い出した、なんですかフレンダあの超無駄な留守電」

フレンダ「え?あれ聞いた?どう?会話できてた?」

絹旗「最初だけ成立してましたよ。そして超ムカつきましたとくに最後」

フレンダ「そっかそっか!大成功って訳ね!」

絹旗「フレンダの頭は大失敗って訳ですね」

麦野「私の携帯には着信入ってないんだけどどういうこと絹旗」

絹旗「あははーこんな理由で麦野に迷惑かけちゃいけないなーとあははー(棒)」

麦野「今日の朝食に鮭が入ってないんだけどどういうこと滝壺」

滝壺「ごめんね、切らしてた」

麦野「夕食には入れてね」

滝壺「うん」

7: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:43:22.84 ID:A0HSPIcD0
絹旗「夕食がここってことは、今日は仕事ないんですか?」

麦野「あるけど、昨日みたいに大変なやつじゃないらしいから。詳しくは昼前にキタラーから電話があるはずよ」

フレンダ「ついに電話の女の口癖が渾名に転じた訳よ」

絹旗「なるほど。ついでにその時エアコンのことお願いします」

麦野「おーけーだにゃーん」



~ファミリーレストラン・ジョセフ~

店員「(また来たよ…)ご注文は?」

麦絹フ「ドリンクバーで」

滝壺「私も」

浜面(この申し訳なさももう慣れたわ…)

浜面「えっと、俺もドリンクバーと、あとこの……本日のスペシャル定食『卵ふんわりまるでマシュマロゥ!?セット』を…」

店員「はい、本日1つですね」ピッ

浜面(コノヤロウ…)

店員「ドリンクバーは5つ、でよろしいですか。はいかしこまりました」サッ

浜面「…」

麦野「…」ニヤニヤ

絹旗「…………くっ…ぶっ」

フレンダ「――ッ!―――ッ!!」バンバン

浜面「おいお前ら何笑ってやがる」

麦野「べつにー?」バンバン

絹旗「だ…だって……」

8: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:43:58.55 ID:A0HSPIcD0
フレンダ「あはっ!なにメニュー名完璧に言っちゃってんのよ!『まるでマシュマロゥ!?』とか感情込めすぎだっつーの!!あ

ははははは!腹いてー!」ダンダン

絹旗「しかも二文字で超さらっと返されましたしねー…くふっ」

浜面「俺だって言おうか言うまいか迷ったよ!くそっ!」

滝壺「……ふふ」

浜面「滝壺にまで笑われた…」

滝壺「大丈夫。私はそんな律儀なはまづらを応援してるぶふっ」

浜面「ありがとよ…」

trrrrrrr

麦野「早いわね」ピッ

電話の女「やっほー!ご機嫌麗しゅうー??」

麦野「耳が痛くてちっとも麗しくないわね」

電話の女「こいつときたらー!全員揃ってんでしょうねー!?」

麦野「揃ってるの知ってるからかけてきたんでしょ。で、依頼は?」

電話の女「まぁ予告通り大したことないんだけどねー。研究施設の調査ってとこ!」

麦野「…殺しは?」

電話の女「場合によっては」

麦野「了解」

電話の女「んじゃっ、詳細はメールで送るから!届いたら届いたって返信しなさいよー?」

麦野「はいはい」

電話の女「んじゃ、頼んだよー!」

9: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:44:31.23 ID:A0HSPIcD0
絹旗「麦野麦野」エアコンエアコン

麦野「あ、そうだキタラー」

電話の女「へ?」

麦野「お前だよ、キタラー」

電話の女「なにその呼び方!?こいつときたらー!」

麦野「滞在中の部屋のエアコンが1個壊れたから替えて欲しいんだけど」

電話の女「ふーん?給料天引きでいい?」

麦野「将来溶けて死にたいならそれでも良いけど」

電話の女「くっ…!わかったわよ!経費で出すから今は自分で買いなさい!」

麦野「どうもだにゃーん☆」ピッ

絹旗「え、買ってきてもらえないんですか?」

麦野「もう切っちゃったわよ。第一あんたの部屋のなんだから、私が行く必要ないしどうでもいいわ」

絹旗「そんなぁ…私が壊したわけじゃないのに」ガーン

フレンダ「運も実力のうちってね!」

絹旗「それは超違うと思います」

浜面「俺がついてってやろうか?」

絹旗「…本当ですか?」パアッ

滝壺「…」ムッ

浜面「まぁ雑用係だしな。つーかそうか、雑用係だから俺が一人で行くべきだな。帰ったら行ってくるわ」

絹旗「えっ…」シュン

フレンダ「…」

フレンダ「いや、絹旗も行くべきな訳よ」

10: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:45:03.41 ID:A0HSPIcD0
浜面「なんでだ?」

フレンダ「結局、色々あるとはいえ、絹旗はまだ小さいんだし、何でも任せっぱなしってのは成長の上でも良くないじゃない」

フレンダ「今回みたいな多少理不尽なケースでも、自己責任を問われることってこの先よくあると思うから。そういう意味でもさ



浜面「あれおかしいな、フレンダが真人間に見える」

フレンダ「うっさいなぁ。で、どうなの?」

浜面「いやそりゃ勿論、絹旗がよけりゃあだが…」

フレンダ(ほらほら絹旗!一緒に行きたいんでしょ?)ヒソヒソ

絹旗「ええ!?そそそんな訳ないじゃないですか!」

浜面「?」

フレンダ(しっ!もー、せっかく後押ししたげたのが無駄になっちゃうでしょ)ヒソヒソ

絹旗(うぅ…分かりましたよ)ヒソヒソ

絹旗「なんか子供扱いなのは納得行きませんが、一理ありますね。そう、責任です責任。だ だから…」

絹旗「は 浜面が超どうしてもって言うならついて行ってあげましょう!あくまで責任のためですけどっ!」

フレンダ(何このツンデレっ子可愛すぎて生きるのがry)

浜面「お おう、よろしく…」


名探偵浜面(あれれ~?いつの間に俺がついてこられる側になってるぞぉ~?)

滝壺「…」ムスー

11: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:45:37.93 ID:A0HSPIcD0
麦野「茶番は終わった?メール来たから全員に転送するわ」カチカチ

~♪

絹旗「きましたー」

フレンダ「こっちもきた訳よ」

ピロリーン

滝壺「きた」

絹旗「滝壺さんは相変わらずデフォですね」

ラッラーラ ランドセルーハー テッテーテ テンシノハ~ネ~♪

浜面「!?」

麦野「それ、浜面の携帯よね?」

浜面「そのはず…でもこんな着信音にしてねえぞ!?」

絹旗「大方ウケか意外性狙いでしょうか。浜面の時点でどちらにしろ超駄々滑りですが」

滝壺「はまづら…」

フレンダ「……」ニタニタ

浜面「いやだから俺じゃ…おいそこのパツキンてめえかこれやったの」

フレンダ「え それあたしー?言い方ふるーいきもーい何のことだかさっぱりー。きゃはっ☆」

浜面(こいつだ。間違いなくこいつだ)

絹旗「超見苦しいですよ浜面。いい加減認めて私にこの抹茶パフェを奢るがいいです」

浜面「なんでだよ!つーか本気で俺じゃねえから!」

滝壺「そんなhmdrは応援できないかも…」

浜面「せめてお前だけは味方してくれ!そして母音を返してくれ!!」

麦野「うるせぇよ」

浜面「あ、はい…」

12: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:46:11.71 ID:A0HSPIcD0
麦野「各自確認したわね?出発は1時間後。それまでミーティング」

フレンダ「きゃっほーう!ミーティングミーティング!」ガサゴソ

麦野「相っ変わらずのサバ缶ね」

絹旗「サバ肉的な意味では超正確ですね。合衆国ではミート+イーティングをかけてミーティングと言うくらいですし」

浜面「まじでか!?」

絹旗「ええ。今私がそう決めました」

浜面「ちくしょう大ウソだったよ!どこの絶対君主だよ!」

絹旗「騙されやすすぎです。さすが超バカ面ですね」

浜面「お前やっぱエアコン自分で買いに行くか?」

絹旗「え…そんな!私を独りにする気ですか?」ウルウル

浜面「うっ…冗談だよ!冗談」ドキーン

絹旗「ですよねー」ケロッ

浜面(うわまた騙された)

滝壺「…」イライラ

麦野「浜面ぁードリンクまだー?」

フレンダ「ジンジャーエールー」

絹旗「私オレンジで」

浜面「はいはいよ」

浜面「滝壺は?」

滝壺「…いらない」

浜面「え?ドリンクバー頼んだのに?」

滝壺「いらない」ブスッ

浜面「そ、そうか。了解」タッタッ


浜面(ジンジャーにオレンジ、麦野は烏龍茶で良いか)ゴー

浜面(…心なしか滝壺がなんか不機嫌だったな)ゴー

13: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:46:56.35 ID:A0HSPIcD0
~第7学区(依頼現場)~

麦野「うーん、特に変わった動きもナシ、か」

麦野「滝壺。AIMの方は何か感じない?」

滝壺「特にないと思う。体晶を使えばもっと正確に探れるけど」

麦野「…今日はいいわよ」

麦野「…」trrrrrrピッ

絹旗『もしもし。こちら絹旗』

麦野「どう?何か気づいたことは?」

絹旗『特に無いですね。至って平凡です。麦野コホッ…麦野は?』

麦野「こっちもしばらく観察に徹してみたけど、メールにあったような不審な動きは見られないわね」

絹旗『どうします?コホッ 今日は引き返しますか?』ズッ

麦野「そうね。っていうか絹旗咳でてるけど?風邪?」

絹旗『そうがも知れませんねゴホッ…む むぁ問題ありません』ズズッ

麦野「中々重症に聞こえるんだけど。まぁいいわ。各自車の場所に集合で」ピッ

麦野「…」trピッ

フレンダ『はいはーい♪』

麦野「早いわね…」

フレンダ『だって麦野からだもーん♪あー、もしかしてちょっと惚れ直s』

麦野「今日は撤収。罠回収して車に集合その前に1回死んでこい」ピッ

フレンダ『ちょっ!?今日も私のトラップ大活躍の予定って言っ…もしもーし!?』

麦野「行くわよ」

滝壺「うん」

14: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:47:27.19 ID:A0HSPIcD0
~車~

ドンドン

浜面「お、誰か帰って…絹旗か」ガチャッ

絹旗「今日は…超撤収みたいです」ゴホゴホッ

浜面「お前大丈夫か?顔まっ赤だぞ?咳出てるし」

絹旗「ケホッ 大丈夫ですよ…」ハァ ハァ

浜面「いやどうみても辛そうだぞ。とりあえず助手席座れ」グイッ

絹旗「あぅ…大丈夫ですってば…コホコホッ」

浜面「熱あんじゃねーのか」ピタッ

絹旗「ひゃっ!手超冷たいです!」

浜面「お前の額が熱すぎなんだよ…めちゃくちゃ高熱じゃねーか。無理なら早く戻ってこいよ」

絹旗「甘いですよ浜面ゴホッ…いつ何が起こるか分からない仕事中にそんな悠長なこと言ってたら身を滅ぼしますよ」ハァ ハァ

浜面「けどよ…」

麦野「ただいま」

浜面「お おう、撤収だってな」

麦野「ええ、久々に読みが外れたわ」

絹旗「…」ハァ ハァ

麦野「…」

麦野「絹旗はそのまま助手席でいいから。リクライニングにして寝ときなさい。私と滝壺は後ろに乗るわ」

絹旗「はい…ゴホッすみません」ハァ ハァ

浜面「あれ?するとフレンダの席は?」

麦野「あんたの膝の上でいいじゃない」

浜面「よくねーだろ!色んな意味で!」

麦野「なら助手席の後ろね」

浜面「…マトリックスだな」

15: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:48:04.93 ID:A0HSPIcD0
~アジト到着~

浜面「着いたぞー」

絹旗「…」スー スー

フレンダ「せ…背中がサバ折りされたように痛い訳よ…」

麦野「お似合いじゃない。浜面、絹旗部屋まで運んであげて」

浜面「え、俺?」

麦野「何よそのいやらしい顔。変なことしたら溶けて死ぬわよ」

浜面「考えてねーよ!つかそれお前が言うとリアル過ぎだ!」

麦野「なら早くしなさい」

浜面「分かったよ…うお、すげえ軽いな」ヒョイ

フレンダ「お姫様だっこ!1枚いただきな訳よ!」ピロリーン

浜面「バッ…撮ってんじゃねえ!」

フレンダ「にししっ!うっわー浜面鼻の下伸びてるー!編集して鼻血出しとこーっと」

浜面「いじめだ!やめろ!早く消去しろ!」

フレンダ「やだよーん。ほら寒いんだから早く絹旗死んじゃうよ?」

浜面「ぐっ…後で覚えてろよフレンダ!」

フレンダ「きゃー浜面に襲われるうー助けて麦野ー♪」

麦野「いっそ襲われて〇〇を〇〇にされて〇〇すりゃあいいのに」

フレンダ「ひ…ひどい!ひわい!」


浜面「えー絹旗の部屋はっと…」

浜面「あ」

浜面「そうだよエアコン壊れてんじゃねーか…俺の部屋ってわけにもいかねーしな…」

16: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:48:51.98 ID:A0HSPIcD0
浜面「可哀相だがリビングか…」

浜面(なんかこうして見ると絹旗って可愛いよなぁ。ちょっとほっぺとか触っ)

滝壺「はまづら」

浜面「はいい!ど どうしたたた滝壺!」ビクウッ

滝壺「きぬはた、私のベッドで寝かせていいよ」

浜面「え、いいのか?」

滝壺「うん」

浜面「そうか、それは助かる。ありがとな」

滝壺「どういたしまして」



フレンダ「で、買い物はどうする訳よ」

浜面「ん?今行くとこだけど」

フレンダ「じゃなくて、絹旗は?」

浜面「いや、今は無理だろ」

フレンダ「今日じゃなきゃダメ?」

浜面「まぁ早い方が良いしな。今ならギリギリ即日で取り付けもできるだろうし」

フレンダ「…」

フレンダ「あー、私ドライヤー調子悪いから新しく買うんだったー」

浜面「そうなのか?ならついでに買ってくるぜ?」

フレンダ「ばーか。手伝いに行ってあげるっつってんの」

浜面「なんと、お前も熱があったか」

フレンダ「馬鹿にしてない…?いいじゃん。こんな美女とお買い物できるんだから」

浜面「いいけど…お前の場合美人つーより美少女だろうよ」

フレンダ「へっ? あ…そう?」


フレンダ(ふ 複雑…//)

18: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:49:25.67 ID:A0HSPIcD0

浜面「この辺って電気屋あったっけ?」

フレンダ「さぁー。ここに滞在し始めたの最近だし」

浜面「ま、カーナビに任せるか」


浜面「10分くらいで着くっぽいぞ」

フレンダ「んー」

浜面「金持ったよな。うし出発」ブロロロロ


~アジト~

麦野「さてと、滝壺。私はお昼寝してるから」キイ

滝壺「うん」

麦野「絹旗の世話、任せちゃうけど」

滝壺「大丈夫。まかせて」

麦野「ん」パタン

滝壺「…」

絹旗「…」スー スー


~車~

フレンダ「浜面さー」

浜面「あん?」

フレンダ「バイクは乗れないの?」

浜面「いやあれば一応大型まで乗れるぞ。無免だけど」

フレンダ「バイクがよかったなー」

浜面「なんで?寒いだろ」

フレンダ「デートっぽいじゃん」

浜面「ぶっ!?おわっ!あばばばば」キキー

フレンダ「ちゃんと運転しなさいよー」

浜面「あぶね…お前が変なこと言うからだろうが!!」

フレンダ「冗談に決まってんじゃん」

浜面「え?あ、当たり前だろ…」ドキドキ

フレンダ「…本当にそうかな」

浜面「あん?」

フレンダ「じゃあさ」


フレンダ「私が本気で浜面を好きって言ったら、付き合ってくれる?」

20: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:50:35.47 ID:A0HSPIcD0
~滝壺部屋~

絹旗「んっ…」

絹旗「ふぁ?あれ…滝壺さ…」ムクッ

絹旗「!痛っ」ズキン

滝壺「大丈夫?きぬはた」

絹旗「超頭痛が…いえ、何でもありません」ハァ ハァ

滝壺「頭痛いの?」

絹旗「……少し」ハァ ハァ

滝壺「我慢しないで言っていいよ。お薬持ってくるね」

絹旗「すみません…」ハァ ハァ


滝壺「はい。薬とホットミルク」

絹旗「えと…薬って水かお湯じゃないと…」

滝壺「空腹の時はこっちの方がいいの」

絹旗「そうなんですか…頂きます」ポイッ ゴクッ

滝壺「それじゃ、また来るから。ゆっくり寝ててね」

絹旗「ありがとう…ございます」スゥ


~車~

浜面「…………」エーットー

フレンダ「前見て運転」

浜面「は、はい」クルッ

浜面(ははっ、オーケー、何だって?こりゃあミスヒアリング若しくはミスヒアリングだよな?)

浜面「あのう、最近ちょっと耳が遠くてですね、お手数ですがpardon meしてくれると…」

フレンダ「……2度もいわせないでよ。恥ずかしいんだから」

浜面(ちくしょおおお!何だってんだ!?槍でも降ってくんのか!?)

浜面「えっと…」

フレンダ「すぅーーー」

フレンダ「はぁーーー」

21: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:51:17.96 ID:A0HSPIcD0
フレンダ「もーいいや!やめたやめた」ヤレヤレ

浜面「…はい?」

フレンダ「普通に聞くのもつまんないからちょっと遊んでみたけど、浜面チキン臭しかしないんだもん」

浜面「なっ チキンてお前…」

フレンダ「単刀直入に聞くけどー、あんた誰が好きなの?滝壺じゃないの?」

浜面「た 滝壺!?滝壺はその…好きっつーかほら、優しいし、嫌いにはなれないよな」

フレンダ「ふーん。じゃあ絹旗は嫌いな訳?」

浜面「き、嫌いなわけないだろ!」

フレンダ「じゃあ私は?麦野は?」

浜面「…嫌いじゃない」

フレンダ「ほら」

浜面「ぐっ…つーか何でお前らから1人選ばなきゃならねーんだよ!」

フレンダ「じゃ、誰が好きでもないってこと?」

浜面「いやだから!好きっつーと誤解を招くだろ!?そりゃ好きだけど、友達としての好きっつーか…」

フレンダ「友達?」

フレンダ「あんたいつから私達と友達になったの?」

浜面「あ…」

フレンダ「私達は暗部。どんなに親しく見ても仕事仲間が限界」

フレンダ「こっちの世界で友達なんてモンは存在しちゃいけないの。こんなの言わずもがなでしょ?」

浜面「……」

22: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:51:47.65 ID:A0HSPIcD0
浜面「…そうか、それは残念だったな」

フレンダ「何でよ」

浜面「確かにお前らは、それが当たり前の世界で今までずっと生きてきたんだろよ」

浜面「仮にもスキルアウトのトップとかになって、自分が闇の世界の最深部にいると一瞬でも思っちまった俺とはまるで環境が違う」

浜面「俺には仲間が沢山いたからな」

フレンダ「…」

浜面「派閥みてぇなもんもあった。馬が合わないやつも、考え方の違うやつも沢山な」

浜面「でもそいつらは、全員仲間であり、全員友達だった」

浜面「どんな関係だろうと、俺は共に生きるやつを友と呼んできたんだよ」

浜面「それはこんな闇の世界であっても変わらない」

浜面「『アイテム』は俺の生きる場所だ。『お前ら』は俺の生きる『仲間』だ」

浜面「だから『お前ら』は全員、俺の生きる『友達』だ」

浜面「たとえお前らがそう思ってくれなくても、俺はずっと友達として片想いし続けるつもりだ。残念だったな」

フレンダ「…」

フレンダ(片想い…か…)

浜面「おい、もう着くぞ」

フレンダ「…」

フレンダ「ていっ」ダキッ

浜面「!?」

23: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:52:14.17 ID:A0HSPIcD0
浜面「ちょっ!首…バカ!前見づれえだろ!」

フレンダ「ふふーん。なに格好よくキメようとしてんのよバッカじゃないのー」

浜面「うるせえよ!つーか早く離せ!」

フレンダ「これで両想いだね」

浜面「!!」

フレンダ「あれ?なんか浜面ドキドキしてない?」ニヤニヤ

浜面「ち ちがわい!」ドキドキ

フレンダ「ま、こんな美 少女に抱き着かれちゃしょうがないか!浜面の友達第1号としてお祝いに駐車終わるまでこうしててあげる♪」

浜面「まじですか…ってなんで第1号なんだよ!いっぱいいるよ!多分!」

フレンダ「ほらほら早くしないと。腕がだんだん締まるの刑~」

浜面「苦しい!苦しいから!停められんねえだろ!」

フレンダ「…ありがと。浜面」ボソッ

浜面「ぐ…?あん?何か言っ」

フレンダ「おぉっとボーナスステージ!おめでとうございます!締まる速度2倍な訳よ!」

浜面「ぐはああああ!」









~滝壺の部屋~

滝壺「…」カチャッ

滝壺「あ」

絹旗「!滝壺さん」

滝壺「きぬはた起きたんだね。具合はどう?」

絹旗「お蔭様で今はだいぶ楽になりましたよ」

滝壺「そう。よかった」

24: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:52:46.35 ID:A0HSPIcD0
絹旗「あの薬が超効いたんですかね。頭痛も綺麗に無くなりました」

滝壺「あのお薬、半分がやさしさで出来てるって」

絹旗「じゃあ残りの半分がよほど効いたんですね」

滝壺「残りの半分は私のやさしさだよ?」

絹旗「あは、全部やさしさじゃないですか。なら私の飲んだ白い粒はなんだったんでしょうね」

滝壺「……ヨーグレットかな?」

絹旗「甘くなかったですよ」

滝壺「……ヨーグレットかな」

絹旗「はいはい、超ヨーグレットでした」

滝壺「うふふ」

絹旗(気に入ったんですね)

絹旗「にしても超汗かいちゃいました…滝壺さんのベッドなのに…」

滝壺「今日はお布団出して寝るから大丈夫。それよりお風呂ためといたから一緒に入ろう、きぬはた」

絹旗「ありがとうございま…ってえぇ!?一緒にですか!?」

滝壺「イヤ?」

絹旗「そんな!全然イヤとかじゃないですけど…」

滝壺「じゃあレッツゴー」

絹旗「…よ よろしくお願いします//」

25: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:53:20.46 ID:A0HSPIcD0
~電気店『秋原葉』~

浜面「エアコンの類は3階か」

フレンダ「こーゆーとこ久々に来た訳よ!」

浜面「俺はエアコンとか見てくるけど、お前は先にドライヤー見てるか?」

フレンダ「わほーい!ねぇ見て浜面!ニンテントー4DSだって!すごーい!」

浜面(聞いちゃいねぇ)

フレンダ「うわ!なにあれ!のわ!あっちも!」スタタタター

浜面「…ま、まぁ別に迷子とかになるわけでもなし、先行ってよう」

フレンダ「きゃーこれアイポだアイポ!こんな可愛いのあるんだー!見て見て浜面!」

フレンダ「…ありゃ?いない」

フレンダ「…」ムーッ


浜面「ああ、あったあった」

浜面「ん…?なんだこの冷蔵庫。明らかに異質な感じが」

冷蔵庫「よォ」

浜面「!!?」

冷蔵庫「おいなんだその顔は。あ、間違えた、おいなんだその馬顔は」

浜面「言い直してんじゃねえ!つーかなんだこの冷蔵庫!?」

冷蔵庫「ニャンだかんだと聞かれたら…答えてあげるが世の情け」

冷蔵庫「愛と真実の悪を貫く、ラブリーチャーミーな…ry」

冷蔵庫「ムry!コry!銀河ry…白い明日がry…にゃーんてにゃ!」

浜面(何故終わる前に逃げなかった10秒前の俺…)

26: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:53:51.58 ID:A0HSPIcD0
冷蔵庫「帝凍庫だ。以後よろしくオーナー」

浜面「勝手に購入決定してんじゃねえよ!いらんわこんなもん!」

帝凍庫「そう言うな。俺は実用的だぞ」

浜面「逆に実用的じゃなかったら困るぞ」

帝凍庫「いやいや、保冷はもちろん保温も同時に出来たり」

浜面「中身がドレッドノートエラいことになるな」

帝凍庫「品質を保つだけでなく変性できたり」

浜面「本来の目的ごと破綻したな」

帝凍庫「電源要らずだからポータブルだ。しかも自分で歩ける」

浜面「一瞬実用的だと思ったが、気味悪いだけだな」

帝凍庫「その他65点ほど他製品より優れたポイントがある」

浜面「そのうち65個ぐらいは期待できないな」

帝凍庫「ははっ。テメェ如きじゃ俺様はまだまだ扱えないみてぇだな」

浜面「元より扱う気もねぇって…」

ピンポンパンポーン♪

『迷子の、呼び出しをいたします』

『〇〇からお越しの、浜面 仕上君。浜面 仕上君。お姉様がお探しです』

『いらっしゃいましたら、1階のエレベーターホール横にある、迷子センターまでお越し下さい。』

『もう一度繰り返します…』

浜面「」

帝凍庫「おいおいこんな店で迷子かよ」

27: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:54:21.53 ID:A0HSPIcD0
帝凍庫「ん?どうしたよ」

浜面「いや…1階行ってくる…」

帝凍庫「迷子はテメェかよ!ははっこりゃ傑作だ!」

帝凍庫「みなさあぁぁん!寄ってらっしゃい見てらっしゃい!世にも珍しいチンピラ迷子ちゃんでぐふぅっ」メキッ

浜面「黙ってろ!お姉様って誰だクソッタレ!」ダダッ

浜面(この状況じゃ思い浮かぶのなんて1人しかいねぇけどな…!)


フレンダ「あ、来たみたいです。ありがとうございました」ペコッ

係員のおばちゃん「あらもう?よかった。5歳って言ってたけど、賢い子なのねー」

浜面「やっぱてめぇの仕業か!フレンダ!」ドドドドド

係員のおばちゃん「」

フレンダ「もー、しークンはぐれちゃダメって言ったでしょー?」

浜面「誰がしークンだ!いや店員さんまじすんませんした!ほら行くぞ!」グイッ

フレンダ「あーれぇー」オヤメニナッテー

ドドドドド

係員のおばちゃん「随分大きな5歳児もいるものねぇ…」

バイト君(馬鹿だコイツ)


~再び3階~

浜面「…」ハアッ ハアッ

フレンダ「なんで走んのよー」

浜面「ったりめーだろ!つか何てことしてくれてんだてめぇは!」

フレンダ「だって置いてかれたんだもーん」ブー

28: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:55:07.18 ID:A0HSPIcD0
浜面「いや寧ろお前が勝手にどっか行ったに近いだろが」

フレンダ「男がちゃんとエスコートしなきゃダメじゃん」

浜面「彼女みたいなこと言うな!」

フレンダ「え、違うの?」

浜面「違いますよ!?」

フレンダ「そう、なんだ…」シュン

浜面「そう何度も同じ手に引っかかんねーぞ」ビシッ

フレンダ「あたっ!…ちぇー、結局流石のバカ面でもバレバレかー」

浜面「大体車じゃ友達がどうこう言ってたくせに、恋愛はいいのかよ?」

フレンダ「んー?ムズカシイニホンゴワカラナーイネ」

浜面「難解なワードがどこにあんだよ!こんな時だけエセ外人ぶるな!」

フレンダ「浜面さ、人間の三大欲って知ってる?」

浜面「? 食欲、性欲、と睡眠欲でよかったっけか?…それが?」

フレンダ「ま、それに従うなら恋愛は仕方ないって事なのよ」

浜面「恋愛と性欲をイコールで結ぶな!」

フレンダ「あれぇ?私恋愛=性欲だなんて言ってないんだけどぉ?」ニヤニヤ

浜面「!」

フレンダ「結局、浜面はそういう考えしか出来ないって訳よ。あー怖い怖い」

浜面「ぐっ…!確かに早計だったけどよ、どうやったって他の二欲は恋愛に当てはまらねえじゃねぇか!」

29: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:55:45.76 ID:A0HSPIcD0
浜面「これはどう説明つけるってんだ?さぁ!」

フレンダ「おや、あっちにエアコン発見!急ぎましょう隊長!」タタッ

浜面(また逃げられた…)

帝凍庫「どうやら迷子は見つかったみてぇだな」

フレンダ「!?」

浜面「うわー、関わりたくないやつナンバーワンに再び邂逅してしまった」

帝凍庫「なんだお前ら、姉弟だったのか」

浜面「なわけねーだろ…」

フレンダ「れ 冷蔵庫が…喋って…ふにゃあ」ドサッ

浜面「フレンダ!?」

帝凍庫「おいおいねーちゃん大丈夫か」

浜面「どうした!?起きろ!お~い!」

帝凍庫「お茶」

浜面「うるせぇよ!なんかお前のせいで気絶しちまったっぽいぞ!?」

帝凍庫「ははっ。よくあることさ。俺様の秀麗さに目が眩んで倒れるなんざ」

浜面「世の中に絶対は無いというが言おう、それは絶対お前の勘違いだ」

帝凍庫「まぁそれはともかく、そのお姉ちゃんを寄越しな」

浜面「だからお姉ちゃんじゃねぇよ。なんでだ?」

帝凍庫「くぱあ」パカッ

浜面「きめええ!扉を開いただけなのに変な効果音をつけられたせいで超きめええ!」

帝凍庫「さ、さぁ、早くナカに入れるんだ」ハァ ハァ

浜面「おぼろろろろろ」

30: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:56:15.29 ID:A0HSPIcD0
帝凍庫「ま、冗談はさておき早く入れろ」

浜面「やっていい冗談と悪い冗談があんだよ……つか何で?」

帝凍庫「すっきり目が覚める」

浜面「ほんとかよ…どういう理屈でだ」

帝凍庫「話が進まないから早くしろ。元は電気屋にこんな時間かけるつもりは無かったらしいんだから」

浜面「誰の代弁!?まぁわかったよ…」グイ グイ

帝凍庫「んっ…痛ッ!は、入ったぁ!!」

浜面「おぼろろろろろろ」

帝凍庫「きゅんきゅん」パタン

浜面「おぼろろろろろろ」ゴウンゴウン

帝凍庫「さてとだ」

帝凍庫「…」

帝凍庫「!」シャキーン

帝凍庫「うおお!目が覚めたああ!俺の!」

浜面「お前の!?」

帝凍庫「ほらよ」ペッ

浜面「あ、フレ……ブッ!」

帝凍庫「安心しろ。まわりに人が居ない時を見計らってる」

浜面「ちょ…それ以前になんで服脱がしてんだよ!」ドクドク

帝凍庫「ああ、あれだ…女の服を食うとチカラが湧く…」

浜面「なに月の光浴びたらみたいなこと言ってんの!?」

フレンダ「ぶくぶく……はっ」

浜面「げっ!」

フレンダ「え?私…ってあれ!?なんで服…」

浜面「お、おはよう…」

フレンダ「はーーまづらぁー?」

31: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:56:55.67 ID:A0HSPIcD0
~事情説明後~

帝凍庫「痛い!悪かったからもう蹴らないで!」メコッ メコッ

浜面「おいもうその辺に…」

フレンダ「あんたもあんたでしょ!」ゲシッ ゲシッ

浜面「ひいっ!理不尽だ!」モゲッ モゲッ

フレンダ「まぁ服は普通に無事だったから良かったものの」

帝凍庫「マズくて食えなかったもんでな」

フレンダ「…」ゲシッ ゲシッ

帝凍庫「サーセン!サーセン!」メコッ メコッ


浜面「そんなこんなでようやくエアコン売り場にたどり着いたぞ」

バイト「しゃっせー。何かお探しですかー」

浜面「ああ、エアコン欲しいんすけど。あと取り付けも」

バイト「ええっと、大きさはどのくらいで?希望のメーカー等ございます?」

浜面「はて…全く考えてなかったな」

フレンダ「メーカーは問いません。8畳用で、耐久性に優れたものが良いのですが」

バイト「はぁ、今売り場担当者を呼んできますので少々お待ちを」

フレンダ「すみません」

浜面「…」

フレンダ「何よ」

浜面「いや、お前なんか今日はバカ丁寧だなーって思って。いいことでもあったのか?」

フレンダ「別にー?なんとなくよ。そういう日もあるってだけ」

浜面「…そんなもんかね」

32: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:57:33.50 ID:A0HSPIcD0
~脱衣所~

滝壺「~♪」ヌギヌギ

絹旗「///」

滝壺「どうしたの?」

絹旗「いえ、何でも…てあれ、汗で張り付いてうまく脱げません」

滝壺「きぬはた、ばんざい」

絹旗「へ?」

滝壺「ばんざいして」

絹旗「あ…はい」バンザイ

滝壺「脱がしてあげる」スルッ

絹旗「やっ…//もう、滝壺さん!子供じゃないんですから自分で出来ますって!」

滝壺「うん、下着は大人っぽいね」

絹旗「///」

滝壺「でもからだは子供っぽいね」

絹旗「ぐはっ!」グサッ

滝壺「じゃあ、入ろう」

絹旗「はい…」ズーン


滝壺「きぬはたはいつもどのボディーソープ使ってるの?」

絹旗「あ、Agreeです」

滝壺「へっへっへ、お背中流しますぜ」

絹旗「全然似合ってないですよ」

滝壺「ぶー」ゴシゴシ

絹旗「なんか背中超くすぐったいです//」

滝壺「感じちゃう?」ゴシゴシ

絹旗「なわけ無いでしょう!やめてください!滝壺さんのキャラを壊さないで下さい!」

滝壺「ぐへへ、からだは正直だZE」サワサワ

絹旗「ふああっ//そんなぁ…」

中略

絹旗「」

滝壺「きぬはた」ポンポン

絹旗「!」ビクン

絹旗「あ…れ…?いつの間に湯舟に浸かって…」

33: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:58:08.83 ID:A0HSPIcD0
滝壺「おはよう」

絹旗「おはようって、私眠ってたんでしょうか?」

滝壺「うん」

絹旗「そ、そうですか。私なんて夢を//」

滝壺(うそだけど)

絹旗「ていうか何で超抱いてるんですか//」

滝壺「だきまくら」

絹旗「枕じゃないですよ//」

滝壺「だきぬはた」

絹旗「上手くないですよ」

滝壺「ぶー」

絹旗(それより背中に当たるこの柔らかい感触は…ってああ!どこのラッキースケベ主人公ですか私は!)

滝壺「ねえ、きぬはた」

絹旗「なんですか?」

滝壺「ちょっとお湯口に含んでみて」

絹旗「へ?何故ですか?」

滝壺「見たいものがあるの」

絹旗「良い予感が超しないんでやりません」

滝壺「こちょこちょ」コチョコチョ

絹旗「ひゃふっ!?あはははっ!た、滝壺さ…!!やめ…あははは!」

滝壺「やる?」コチョコチョ

絹旗「や、やりますっ!あははっ!超やりますからぁ!!」

滝壺「よろしい」ニコッ

絹旗「うう、超鬼がいます…」ズズッ

絹旗「へ、ほーふえは?」タプタプ

滝壺「きぬはた、はまづらのこと好きなの?」

絹旗「ブッフォア!!!!?」ブフ-

滝壺(飛んだ…)キラキラ

絹旗「な、ななな何を言って…!?」

34: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:58:42.91 ID:A0HSPIcD0
滝壺「ちょっと潮吹きが見てみたかっただけだよ?」

絹旗「どことなく誤解を招く発言は控え…ってそうじゃなくて!何ですか今の質問は!」

滝壺「好きじゃないの?」

絹旗「っ…!ち、超有り得ませんね!なんで私が浜面なんか!」

滝壺「そうなんだ」

絹旗「そうですよ!」

滝壺「よかった」

絹旗「ええ全く……えっ、よかったって…?」

滝壺「私は好きだよ。はまづらのこと」

絹旗「!?」

絹旗(なんですと!?)

滝壺「もしかしたらきぬはたも、はまづらを狙ってるんだと思ってた」

絹旗「うっ…」

滝壺「きぬはたは何でも積極的に行けるし、はまづらなら押されたらきっと断れないと思う」

絹旗「そんなことは…」

滝壺「それに比べて私はまだそんな勇気ないから。もし先に取られちゃったらどうしよう、って思ってた」

絹旗「…」

滝壺「でも、きぬはたがそういう気持ちじゃなくて安心したよ」

絹旗「それは…」

滝壺「じゃあ、きぬはた」

絹旗「は、はい」

滝壺「もうあまり、はまづらに近付かないでね」ニコリ

絹旗「…!!」ゾクッ

滝壺「そろそろあがろう。のぼせちゃう」ザバッ

絹旗「はい…」ガタガタ

滝壺「~♪」

35: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 20:59:31.82 ID:A0HSPIcD0
担当者「お待たせしました。こちらの製品などどうでしょう。少々お値段は張りますが、自信を持ってお勧め致します」

フレンダ「じゃあそれでお願いします」

浜面「早っ」

フレンダ「結局、私のじゃないからね。何でもいいのよ」

浜面「なんてやつだ…」

フレンダ「さ、手続きして帰ろ」


店員「こちらの書類の太枠内に必要事項をご記入下さい」

浜面「あ、はい。名義は俺でいいか」

浜面「あれ、住所が分かんねぇな…フレンダ分かる?」

フレンダ「知らなーい。ちょっと待って」ピポパ

フレンダ「…」

フレンダ「うーん、誰も出んわ。電話に」

浜面「そうか。参ったな、発送が出来ん」ウーン

浜面「すんません、住所分からないんで普通に持ち帰りたいんすけど、車まで運ぶのにカートとか貸して貰えないっすかね?」

店員「お運びしますよ」

浜面「そりゃどうも」

フレンダ「ね、そこスルーする?普通。スルーするー?」

浜面「あ、支払いカードで」

店員「清算完了です。お車はどちらに?」

浜面「2Fっす」

店員「では参りましょう。お買い上げありがとうございました」

フレンダ「ああん放置ね!結局、放置プレイな訳ね!」

36: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:00:07.77 ID:A0HSPIcD0
浜面「後部座席がエアコンか…シュールだな。出発いたす」ブロロロ

フレンダ「…」

浜面「ん?どしたよ」

フレンダ「…」ツーン

浜面「なんか不機嫌…ってああ!そういやお前の買い物がまだだったか!」

浜面「すまん、引き返すか?」

フレンダ「いい」

浜面「けどよ…」

フレンダ「そういうことじゃないもーん」

浜面「は?じゃあ何…」prrrrrr

浜面「と、電話だ。悪いフレンダ出てくれ」パス

フレンダ「ふん」ピッ

フレンダ「もしもしー」

フレンダ「ん?うん、そう。…あー、そんなこと言ってたっけ。りょーかいな訳よ。じゃあね」ピッ

浜面「誰が何だって?」

フレンダ「滝壺。ほら、夕飯に使うとか言ってた鮭。あと材料」

浜面「ああ。つまり買って来いってことか」

フレンダ「そ」

浜面「一旦お前家に降ろしてくか?」

フレンダ「いいよめんどくさい。途中にスーパーあったでしょ」

浜面「いつもなら喜んで帰るのに…」

フレンダ「悪い?」キッ

浜面「いえ、大変嬉しゅうございます!」

フレンダ「そういう日も…あるのよ」

浜面「そ、そうだったな」

フレンダ「お目当てのサバ缶もあるしね」

浜面「それかい!」

37: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:00:43.16 ID:A0HSPIcD0
滝壺「暇になっちゃった」

絹旗「…」ガタガタ

滝壺「大丈夫?寒いの?」

絹旗「いえ…すみません、もう大丈夫です」

滝壺「きぬはたが寝てる間に、はまづら達に夕飯の材料頼んでおいたから。帰ってくるまで何しよう」

絹旗「うーん、洗濯は終わりましたし…まだあまり動きたくないですね」

滝壺「じゃあゲームしよう」

絹旗「ぷよぷよですか?」

滝壺「うん」キラキラ

絹旗「えー…滝壺さん超強いんですもん。それより映g」

滝壺「いや」

絹旗「いいじゃないですか!新しいの超手に入れたのに誰も一緒に観てくれないですし…」

滝壺「じゃあ、きぬはたが私に1回でも勝ったらいいよ」

絹旗「数えてないですけど今まで0勝50敗くらいですからお断りします」

滝壺「じゃあ1分耐えたらでいいよ」

絹旗「…それは流石にナメすぎですね。いいでしょう、受けて立ちます」

滝壺「うん」


えーい!

やったなー!

やったなー!

やったなー!

滝壺「^^」

絹旗「20連敗…だと…」ズーン

滝壺「1分も持たないなんて、きぬはたは敏k」

絹旗「アーアーアー」

滝壺「1分も持たないなんて、きぬはたは早r」

絹旗「言わせねーよ!」

38: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:01:14.79 ID:A0HSPIcD0
滝壺「ちっ」

絹旗「だんだんと滝壺さんのイメージが超絶賛崩壊中です…」

滝壺「それじゃあ約束通り罰ゲームだよ」

絹旗「約束を捏造しないで下さい!」

滝壺「結婚してください」

絹旗「うわああ罰ゲームで超プロポーズされました///どうする私!?ライフカードはどこですか!?」

滝壺「これをきみに受け取ってほしい」

絹旗「ゆ、指輪って///どんだけ手の込んだ冗談ですか!」

滝壺「冗談じゃないよ」ズイッ

絹旗「へっ!?かかか顔が近いですよ滝壺さん!」

滝壺「きぬはた」

絹旗「…はい」

滝壺「私は本気」

絹旗「はうっ//」

滝壺「誓いのちゅーをしてください」

絹旗「そんな…でも私達は…」

滝壺「目を閉じて」


絹旗「……//」スッ

滝壺「…」

絹旗「…」

滝壺「…」ポーン

絹旗「…?」パチッ

滝壺「これは良い映像」フンフン

絹旗「うっわああああああなんですかその携帯!?え、まさか撮った!?今の超撮ったんですか!!?」

滝壺「大丈夫、写真は撮ってない」

絹旗「え、そうなんですか」

滝壺「ムービーだから」

絹旗「もっと悪いです!!今すぐ超今すぐ消してくださいらいらうぇい!うわああああ!」

39: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:01:49.71 ID:A0HSPIcD0
絹旗「ひぐっ…超ひどいです滝壺さん…」グスッ

滝壺「よしよし、元気出して」ナデナデ

絹旗「撫でてないで早く消して下さい…」

滝壺「わかった。でもyoutubeにあっぷするからちょっとウェイトぷりーず」

絹旗「ぷりーずできるかああ!!世界放映はダメです絶対にダメですダメゼッタイ!!!」

滝壺「大丈夫、恥ずかしいのは私も同じだから」

絹旗「滝壺さんは声だけじゃないですか!」

滝壺「きぬはたは可愛いからきっと需要あるよ」

絹旗「お、おだてても駄目ですからね!」

滝壺「じゃあ見てみる?」

絹旗「っ……」

絹旗「その…気になるんで1回だけ…」

滝壺「ふふ、再生~」ピッ


『きぬはた』

『…はい』

『私は本気』

『はうっ//』

『誓いのちゅーをしてください』

『そんな…でも私達は…』

『目を閉じて』


『……//』スッ

『…』

『つ紙[↑こいつ、最高にアホ]』

『…』

『…』ポーン


滝壺「ね?」

絹旗「こっらああああ!!なんですかあの紙!!めちゃくちゃバカにしてんじゃないですかちっくしょおおお!!」

滝壺「プライベートフォルダに保存」

絹旗「うわああ!滝壺さんのばかぁーー!」ダッ

40: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:02:16.77 ID:A0HSPIcD0
滝壺(自分の部屋行っちゃった。ちょっとやりすぎたかな…)

滝壺(消さないけど^^)


~車~

フレンダ「君を見つけ出したときの感情が~♪」

浜面「ゴキゲンだな、さっきから」

フレンダ「今もー…うん?そう見える?」ニシシ

浜面「どうみてもな。なんでだ?」

フレンダ「分かってるくせにー!おらおら!これが目に入らぬかぁ!」ジャーン

浜面「ああ、缶詰ね…了解した」

フレンダ「…」

フレンダ「おらおら!これが物理的に目に入らぬかぁ!」グイグイ

浜面「いでででで!!馬鹿やろ運転中はやめろっつってんだろ!いや運転中じゃなくても金属を肉眼に押し付けるな!」

フレンダ「ふん。興味なさそうにするのがいけない訳よ」

浜面「実際興味ねーしな」

フレンダ「…」ガサッ

浜面「缶詰の袋を投擲せんばかりに構えてらっしゃるようですがマジで事故るのでおやめ下さい」

フレンダ「もう教えてあげないもーんだ」プイッ

浜面「そうか」

フレンダ「これはね、1年前に忽然と現れ瞬く間に消えた、無名の会社ながらマニアの間で一躍大ブームとなったいわば伝説のミックス缶な訳よ!あんな店に残ってたなんてー//」ウットリ

浜面「結局語るんかい」

41: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:02:46.27 ID:A0HSPIcD0
フレンダ「くどくどくどくど」

浜面(やべえよ缶詰蘊蓄がBGMになってきたよ…缶詰でここまで語れる女子高生は世の中猫ヒロシと言えどコイツ1人しかいねえよ…)

フレンダ「くどくどくどくど」


~アジト着~

浜面「ツキマシタヨー…」

フレンダ「結局さ、だから缶がアルミの製品は…ってあれ、もう着いたの?」

浜面「」ゲッソリ


~リビング~

ガチャッ

麦野「あら、まだ滝壺ひとり?」

滝壺「おはよう、むぎの」

麦野「おはよ」

滝壺「きぬはたはさっきまで暴れてたから大丈夫。はまづらとフレンダはまだ帰ってないけど、そろそろだと思う」

麦野「暴れてたってアイツは全く…というか遅いのね、バカ面とボケンダは。どこ寄り道してんだか」

滝壺「晩ごはんの材料買ってもらってる」

麦野「あ、そう。そういえばもうそんな時間ね。お腹すいちゃった」

滝壺「帰ってきたらすぐ作るから待ってて」

麦野「うん。それにしたって遅いわ。浜面とフレンダは帰ったら…お仕置きね」ニヤッ


浜フレ「!?」ゾクッ

浜面「なあフレンダ…いま背中触ったか?」

フレンダ「浜面こそ…セクハラならぶん殴るけど?」

浜面「とにかく…なんか急ごう」

42: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:03:21.82 ID:A0HSPIcD0
浜面「あれ、鍵かかってんな」ガチャガチャ

浜面「誰もいないのか?」ピンポーン ピンポーン

麦野『…どちら様ですか?』

浜面「へ?俺だけど…ってかカメラあるから分かんだろ。いるなら開けてくれよ」

麦野『りょーかいだにゃーん☆そこから動かないでね』

浜面「…」

フレンダ「すごい嫌な予感がする訳よ…」タラー

浜面「まさか…な…」タラー

フレンダ「うん、やばい。もげ面フラグだわ。ってことで避けろ!」グイッ

浜面「わわっ」


バシュウッ!!!!


浜面「」

フレンダ「扉と塀が…」

麦野「二人ともー。死んでるー?」

浜面「その確認はおかしいだろ!!」

麦野「ちっ、無事か」

浜面「露骨に嫌な顔と舌打ちをされた!つーか玄関くらい普通に開けられねーのかお前は!」

麦野「何よ、アンタが開けろって言ったんじゃない」

浜面「風穴開けろっつった覚えはねえよ!!鍵開けろ鍵ィ!!」

麦野「はー、こりゃ修理費は給料天引きねー。浜面の」

浜面「ふざけんな!自分で払いやがれ!」

フレンダ「む ぎ のー!いやーびびったよー。浜面はともかく私に当たったらどうすんのさー」

麦野「拍手喝采」

フレンダ「そ、そげなぁ…」ガーン

43: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:03:59.19 ID:A0HSPIcD0
滝壺「はまづら、フレンダ、おかえり」

浜面「おお、滝壺…なんという癒し効果」

滝壺「ごはんにする?お風呂にする?それとも…//」

麦野「で、米面、材料は?」

浜面「買ったよ。危うく溶けるとこだったがな。あと晩飯待ちきれないからって人の名前に日本人の主食を混ぜるな」

滝壺「…」ブー

麦野「もうおなかペコちゃんだから早くしてね」

浜面「あいよ。不二家のパイでも食って待っとけ。じゃ、やるか滝壺」

滝壺「…」

浜面「おーい」

滝壺「あたま撫でてくれないとやらない」プイ

浜面「なんで!?」

滝壺「……」

浜面「わ、わかったよ…ほら、これでいいか?」ナデナデ

滝壺「うん//」

フレンダ「…」ジトー

浜面「なんだその目は」

フレンダ「私も頭撫でて♪」

浜面「無理。あ、俺一旦絹旗の様子見てくるから滝壺は先に始めててくれ」

滝壺「うん」

フレンダ「差別?ね、差別?国籍が違うからってそんなのあんまりよ…」シクシク

浜面「お前国籍日本だけどな」

フレンダ「そうだっけ?」

浜面「じゃなきゃ学園都市に住めない」

フレンダ「さーそれはどうかしら?」キャハッ

浜面「さて絹旗絹旗」

フレンダ「えーん」

44: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:04:30.07 ID:A0HSPIcD0
浜面「自室にいるのかな。おーい絹旗、起きてるかー」コンコン

浜面「寝てんのかな?入るぞー」ガチャッ

そこには、再び布団にくるまってミノムシの真似をする絹旗の姿が!

浜面「なんてことはなく、寝てるな」

絹旗「すー…ぐすっ…」

浜面「ん?泣いてるのか?よくみると微妙に泣き跡があるような…まだ熱あんのかな」ピタッ

絹旗「…ふえ?」

浜面「あ、悪いな、起きちまったか」

~絹旗ears~

浜面「あ、(くそ、タイミング)悪いな、起きちまったか(、お楽しみはこれからだってのに)」

絹旗「!!」

絹旗「しねぇぇぇぇ///!!!」ボカッ

浜面「サノバビッチ!!」

絹旗「寝込みを襲うなんて、超いい性格してますね…」ハァ ハァ

浜面「なっ、そんなわけ…」

絹旗「黙れ超エロ面!大方私の反応をツイートでもする算段だったんでしょう!」ドカッ

浜面「ぐふぅ…とんでもない誤解を受けているなう…」

絹旗「お仕置きが必要ですね、固め技でいくんで超覚悟してください」ガシッ

浜面「理不尽だ!窒素はやめて!」


浜面「」

絹旗「はぁ、はぁ…これで少しは懲りましたか」

浜面「肩は凝りました…」

絹旗「…」ギチギチ

浜面「ギブギブギブ」

45: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:05:00.41 ID:A0HSPIcD0
浜面「うう…心配して来たのに…」

絹旗「え、夜這いでは無いんですか?」

浜面「断じて違うわ…まぁ元気になったみたいでよかったぜ…ぐふっ」バタッ

絹旗「大変、浜面が瀕死です。元気のかけらを与えます」

浜面「半分だが復活した…」

絹旗「ところでどこ行ってたんですか?」

浜面「秋原葉って電気屋と、近くのスーパーだよ」

絹旗「え、じゃあエアコンは…」

浜面「ああ、買ってきたぞ。直に持ち帰りだったから車に積んである」

絹旗「そう…ですか、ひとりで行っちゃったんですね」

浜面「いや、フレンダと二人で行ってきた」

絹旗「ふたっ…二人きりで!?」

浜面「だな。まぁ何の役にも立たなかったけどって痛い痛い!なんで急に絞め…ぐはぁ!」

絹旗(フレンダぁ…超抜け駆けじゃないですか…!)ギチギチ

浜面「あばばばばばやめろ折れる!折れ…折れ…折れ折れ詐欺…」

絹旗「浜面」

浜面「はひ…」

絹旗「おこた」

浜面「…?」

絹旗「家におこたが超欲しいです」

浜面「何だって…?」

絹旗「だから、明日買いに行きましょう!ふ、二人きりで!」

浜面「絹旗…」

絹旗「…///」

浜面「おこたって…何…?」

46: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:05:43.18 ID:A0HSPIcD0
絹旗「えっ?」

浜面「おこたって何だ?信州名物か?」

絹旗「食べ物じゃありませんよ。こたつです、こたつ」

浜面「……………」

浜面「………ああ」ポン

絹旗「さすが浜面、理解が遅い……ってなんで超ニヤついてるんですか」

浜面「いやだって、ははっ、おこたっておま…!」

絹旗「な、何笑ってるんですか!!」

浜面「あはは、いや別におかしくなんか…でもおこたって…!…!!」

絹旗「おこたの何がおかしいんですか!?言い方は人の超自由でしょう!」

浜面「そ、そうだな…!!悪気はねぇんだよ、すまんすまん………ぶはっ…!」

絹旗「あああああ浜面超ウゼェェェ!!生意気です!超生意気です浜面!!超生面!!」

浜面「……!……!」バンバン

絹旗「くぅ…!!なんなら他の人に聞いてみましょうか!?絶対超通じますから!」

浜面「へ?誰に?」

絹旗「他のメンバーです!さぁ早速検証と行きましょう!」グイ

浜面「いててて!分かったから引っ張んな!」


絹旗「麦野っ!」

麦野「ん?何よ、アンタ起きて大丈…」

絹旗「最近超寒いですね」

麦野「まぁ、冬だしね」

絹旗「こんな時期にはおこたが超欲しいですよね?」

47: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:06:17.23 ID:A0HSPIcD0
麦野「……」

絹旗「……」

浜面「……」

麦野「おこたって何?」

絹旗「!!」

浜面「ぷっ…!」

絹旗「む、麦野の超ばかああああ!」ダッ

麦野「!?」

浜面「あ、おい待てよ!」ダッ

麦野「……何なのよ一体」


浜面「知らなかったな」

絹旗「違います。それは麦野がおば…おっと、世代が超異なるからです」

浜面「ティーンズだろうに」

絹旗「今のは無効です。ギャルギャルしいフレンダなら知ってます」

フレンダ「誰がギャルギャルしいのよ誰がっ!」ポカッ

絹旗「いたっ!痛くないですけどいたっ!超丁度良いところに来てくれました」

浜面「つーかギャルギャルしいって何だよ…」

フレンダ「何か用?てか結局、絹旗は動いて大…」

絹旗「最近超寒いですね」ジロ

フレンダ「へっ…?そ、そうかもね」

絹旗「こんな時期にはおこたが超欲しいですよね?」ジロジロ

フレンダ「……」

フレンダ(おこたって何だろう)

絹旗「欲しいですよね…?」ウルウル

フレンダ(…なんか知っててあげないといけない気がする訳よ)

フレンダ(ねぇ浜面、おこたって…)ヒソヒソ

絹旗「なああああああああ!!」クワッ

浜フレ「ひいっ!?」

48: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:06:58.95 ID:A0HSPIcD0
絹旗「ですよねー!超欲しいですよね!フレンダならそういうと思ってました!いやぁ超よかったです!あはは、それじゃっ!」ダッ

浜面「ばっ…だから引っ張んなって!」

フレンダ(……なんかごめん、絹旗)


絹旗「はぁー、はぁー」

浜面「家の中なのにクソ走ったな…」ハァ ハァ

絹旗「まだです…滝壺さんならきっと…!」グスッ

浜面(不憫すぎる……)

浜面(……)パカッ


滝壺「鮭のむにえるんるるん~」

ピロリン

滝壺「む?はまづらからメール…?」

滝壺(……なんの方程式だろ、これ)


絹旗「さ、これで2対2ですね。あとは滝壺さん次第で私の超勝利か浜面の超敗北が決まるわけです」

浜面「どっちにしろ俺負けてんじゃねえか」

絹旗(うう…頼みますよ滝壺さん!)ガチャッ

浜面「おお、早くも良い匂いが」

滝壺「あ、はまづら。さっきのメ」

浜面(……)シーッ

滝壺「…?」

絹旗「た、滝壺さん」

滝壺「どうしたの。きぬはた」

絹旗「最近超寒いですね」ジッ

滝壺「うん」

絹旗「こ、こんな時期にはおこたが超欲しいですよね!」ジジッ

滝壺(…おこた?……ああ、さっきの)

滝壺(欲しいかも)

絹旗「……」ウルウル

49: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:07:37.18 ID:A0HSPIcD0
滝壺「うん、欲しい」

絹旗「!!」パアッ

浜面「……」ホッ

絹旗「ですよね!暖まりたいですよね!さすが滝壺さん超分かってます!」

滝壺(こたつでみかん…)ホワホワ

浜面「あちゃー、俺の負けだな」

絹旗「だから言ったでしょう!これは超罰ゲームですね浜面」

浜面「何ィ!?そんなん聞いてねえぞ!」

絹旗「定番の何でもひとつ命令を超聞くってやつでいいですか?いいですね!さぁ何にしましょうぐふふ…」

浜面「勝手に話進めんな!ちょっ絹旗!?おい、待て!」ダッ

滝壺「あ、はまづら…」

滝壺(いっちゃった)

滝壺(……)パカッ

『おこた=こたつ』

滝壺(……こたがゼロでないと仮定して)

『お=つ』

滝壺(……!)

滝壺(夕飯の準備お疲れ、って意味なのかな)

滝壺(はまづら…//)

滝壺(……)

滝壺(手伝ってくれるんじゃなかったっけ)


~夕飯時~


浜面「それじゃ、いただきます」

麦野「いただきます」

フレンダ「いただく訳よ!」

絹旗「超いただきます」

滝壺「いただきまさちゅーせっつ」

浜面「魚はみ出てるぅ!?」

フレンダ「ビール付いてる!小皿多っ!」ビシッ

麦野「何それ…」

50: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:08:17.08 ID:A0HSPIcD0
絹旗「がんばれ浦島超太郎じゃないですか」

浜面「それ長太郎に聞こえるぞ」

麦野「意味わからん。あ、滝壺これ鮭料理?」

滝壺「うん。鮭のむにえる」

フレンダ「あれ?そいや今日入手した新缶は?さっきここに置いてたと思うんだけど…」

絹旗「ああ、あれならつい先程フレンダが手洗ってる隙に超唐突に室伏のマネがしたくなって、窒素ハンマー投げの練習に窓から山の方へ超ぶっ飛ばしてしまいました」

フレンダ「おかしくない!?ってか結局"隙"とか言ってる時点でわざとじゃない!?」

絹旗「はははそんなまさかフレンダに超恨みなんてありませんよ」

フレンダ「なんか恨まれてる訳よ!何もしてないのに私恨まれてる!」

浜面「まだ何個かあったろ。取ってきてやるから席着け」

フレンダ「ぐすん…お願い」

麦野「これは……滝壺」

滝壺「?」

麦野「味付けがプロ並ね。すごく美味しいわ」

滝壺「えへへ//」

絹旗「本当、超美味ですね。おかわり下さい」

滝壺「ごめん。人数分しか無い」

絹旗「あ、大丈夫です。ここにありました」

麦野「ちょっと絹旗。半分頂戴」

絹旗「ラジャ」


浜面「はいよ缶詰……あれ?俺のおかずは?」

51: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:09:30.48 ID:A0HSPIcD0
~翌日~

浜面「朝か…何時だ?…もう8時か。今日も仕事だっけな」

浜面(いつの間にか規則正しい生活になっちまったな、俺)ガチャッ

浜面(……まぁコイツらの下働き、つーか生活面はほとんど世話だけど、やってりゃそうなるか)

麦野「……」zzZ

絹旗「すぴー」zzZ

フレンダ「がおー」zzZ

浜面「畜生……呑み明かしやがったな」

滝壺「……」ウトウト

浜面(珍しいな、いつもは呑まないのに。こりゃ後始末は俺がやるしか…)

滝壺「みけらんじぇろーにもっ!!」クワッ

浜面「ひっ!!?」

滝壺「あへ?おはよぉはまづらぅふ」ヨロッ

浜面「おはよ…って、ちょっ大丈夫か滝壺!」ガシッ

滝壺「だいじょうるーだよぉ…いま晩ごはん作ぅから待ってちぬるぷ」グテー

浜面「見るからに大丈夫じゃねぇぇ!!今は朝だ!」

滝壺「今日は安全日だかぁ大丈夫なぬぅ」

浜面「そんな心配してません!どんだけ泥酔してんだ!」

滝壺「うふふ…これがはまづらの…はまづらのぉ!」

浜面「ぎゃあああ!何!?俺の何!?」

滝壺「……」スヤスヤ

浜面「ね、寝たか……こんな滝壺は初めて見た」

浜面(とりあえず元の位置に、と)トサッ

浜面(何缶あんだよ…)

52: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:10:03.96 ID:A0HSPIcD0
~お昼前~

麦野「あだまいだい」

フレンダ「結局、久しぶりに呑んだからね……私も」

絹旗「皆情けないですね、私なんて超ピンピンしてますよ」

麦野「アンタはほとんどジュースしか飲んで無いでしょうが」

滝壺「なははぁ~いひひ」グテグテ

絹旗「究極のイカレポンチがここにいますけどね…」

フレンダ「滝壺がこんな酒に弱い上に酒豪だとは思わなかった訳よ…」

浜面「はぁ…ゴミ捨て3往復とか…ってあれ、起きたのかお前ら」

絹旗「あ、浜面。居ないと思ったら超何やってたんですか」

浜面「いつもの炊事洗濯をこなしてお前らが起きないから朝食を五人前食って片付けたら買い物行ってから、惨劇跡のような部屋の掃除をして今に至ったところだよ…」

絹旗「なるほど。ところで麦野、今日も仕事では?」

麦野「その予定だったけどパス……昨日と同じ簡単なやつだから行ける人で行ってこい…」

フレンダ「私もちょっと無理…うぇ」

滝壺「ひひ…くされびっち」

絹旗「これはひどい」

浜面「俺と絹旗しか使える奴いねえ…」

絹旗「!」

絹旗「おーおーこれはこれは。超不本意ですが浜面と2人で行くとしましょう」

浜面「…そうするか」

53: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:10:34.72 ID:A0HSPIcD0
~第7学区(依頼現場)~

絹旗「さて、超不本意ながら浜面と2人っきりで仕事場に到着したわけですが」

浜面「不本意を強調しすぎだろ…」

絹旗「前回と変わった様子はありませんね。ただの研究所のようですし、裏がある感じはしません。読み違いでしょうか」

浜面「でもよ、規模の大小は抜きに奴らからの依頼でハズレはほとんど無かっただろ?」

絹旗「そうですけど、本当に何も感じないんですよ。長年の勘ってやつです」

浜面「まあ暗部の仕事に関しちゃ圧倒的に俺が経験で負けてるから何とも言えねぇけど…」

絹旗「それが逆に超怪しいんですがね。外から観察していてはこれ以上の進展は見込めません。中に侵入しましょう」


チリンチリーン

絹旗「超おっじゃまー」

研究員「!?」

浜面「どこが侵入!?つーかなんで鈴の音?ここ喫茶店か何か?」

絹旗「シッ!無益なツッコミはやめてください浜面。せっかく友好的に接して怪しまれないようにしてるんですから」ヒソヒソ

研究員「………」(ジト目)

浜面「いや無理だろ」ヒソヒソ

絹旗「ちっ!相手が訝しんでしまっては尻尾を掴むのが困難です!超なんとかしてください!」ヒソヒソ

浜面「俺がかよ…」ヒソヒソ

54: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:11:19.90 ID:A0HSPIcD0
研究員「あの、どちら様で?」

浜面「え、いやその俺達は…」

浜面(何言うにしてもこのナリじゃ言い訳が立たねえよ…)

研究員「! もしやあんたら…」

絹旗(勘づかれた?こうなったら強行突破で)

浜面「社会科見学だ!!」

絹旗「えっ」

研究員「えっ」

浜面「いやー、実は今とある小学校が社会科見学をやっていて、俺はその引率をしてるんすよ!」

絹旗「ちょ、浜面何言っ」

浜面「で、この子は研究職に興味があるみたいでここを見るなり勝手に入っちまって…驚かせてすいませんあはははは」

研究員「………」

絹旗「馬鹿ですか!そんな嘘が通るわけ…」ヒソヒソ

研究員「素晴らしい!実に素晴らしい!!」

絹旗「えっ」

研究員「将来ケーキ屋さんやスポーツ選手を夢見るようなこんな小さな頃から研究に関心を持つなんて…!

絹旗「えっ」

研究員「研究者としてまず第一に持つべきもの!それは好奇心!未知なる神秘を探るべく、飽く無き探究心をもって研究に没頭できる姿勢!そういうものが君に~(中略)~だろう!自由に見学していってくれ!」スタタター

浜絹「」


浜面「なんかうまくいったな」

絹旗「超浜面ァ……」

55: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:11:59.92 ID:A0HSPIcD0
絹旗「今のは超どういう了見ですか!!」

浜面「仕方ないだろ、咄嗟に社会科見学ってのが浮かんだんだ」

絹旗「そこは良いんです!そうじゃなくて何故『小学校の』が付いたのかですよ!」

浜面「低年齢のほうが油断するかと思って…」

絹旗「私は超高校生ですが!!」クワッ

浜面「盛るなや」

絹旗「すみませんやり直します」

絹旗「私は超中学生ですが!!」クワッ

浜面「そうだけどよ…実際通じたじゃねえか」

絹旗「その通じたのが問題なんですよ!こんな大人の色気むんむんな私を小学生と超見做して研究所内を自由行動させるだなんて…!罠です!これは超罠ですよ浜面!」

浜面「罠なら罠で相手からネタ晴らししてくれんだから丁度良いだろ」

絹旗「う、それはそうですけど」

浜面「ならとっとと回ろうぜ。ほら行くぞ」

絹旗「ぐぬぬ…超浜面の分際で…」


~研究所内某所~

研究員『所長』

所長「何だ?」

研究員『恐らくですが、来ました』

所長「…学園都市の"闇"か」

研究員『無理に追い返すのは不自然と判断し、機密の漏洩を防ぐため敢えて自由に行動させています。今そちらに映像を』

所長「ああ」

所長「こいつは……」

56: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:12:42.45 ID:A0HSPIcD0
~アイテムアジト~

フレンダ「やっと頭痛が引いてきた訳よ…」

滝壺「むにゃむにゃ…ぐへへ」zzZ

麦野「滝壺はまだまだみたいね」

フレンダ「一番酔ってたからねー…ってああ!!」

麦野「どうしたの?」

フレンダ(酔った麦野に飛び込んでキャッキャウフフの計画が…!私も酔いすぎて忘れてた訳よ!)

麦野「?」

フレンダ(今からでも遅くない…かな?よーし)

フレンダ「うふふ~(はあと)むぎのぉ~私なんかくらくらするぅ~」ダキッ

麦野「あ?」

フレンダ「ああっまだアルコールが~…ちょっとこのまま休ませてぇ~」ギュッ

麦野「そう。じゃ今すぐ楽にしてあげるわ」ポウッ

フレンダ「きゃあああうそうそ!ごめんなさい!素面だから撃たないで!」ギュウッ

麦野「なら更に抱き着くな。離れろ鬱陶しい」

フレンダ「うう…やっぱだめかぁ」

滝壺「ん~ん~」ゴロン

滝壺「えふっ」ダキッ

麦野「あら」

フレンダ「あ…滝壺が麦野に」

滝壺「あれ…なに、これ」

麦野「私よ。大丈夫?お水飲む?」ナデナデ

フレンダ「!?」

滝壺「うん…ほしい」

麦野「フレンダ、コップでお水持ってきて」

フレンダ(グスッ…この扱いの差…!)

57: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:13:23.76 ID:A0HSPIcD0
フレンダ「はいお水…」

麦野「ん。滝壺、顔起こして。飲ませてあげるから」

滝壺「むぎの、ありがとう」ゴクッ

フレンダ(う、羨ましくなんかないんだから!)グスッ

麦野「あんた何泣いてんのよ」

フレンダ「泣いてなんかないもん…」グスッ

滝壺(お水しょっぱい…)

滝壺「!」

滝壺(これは…?)


~第七学区・研究所~

浜面「うーん、至ってまともそうな研究所だけどな」

絹旗「そうですね。上からの依頼内容もいつもより漠然としていて詳しいことが書かれていませんし、何より麦野と滝壺さんが超何も言ってないですから」

浜面「ただの調査だしな。名目上は、だけど」

研究員'「……」

絹旗「うわあー!あれ見ておにいちゃん!なんかすごいキカイがあるよー!!」グイッ

浜面「」

絹旗「あっちも見てみたいなー!ほら行こっ!」ダッ

浜面「は!?てか痛い!引っ張ん…」

スタタタター アッー

研究員'「……」


浜面「なんだ今の…」ゼェ ゼェ

絹旗「何言ってんですか。ちゃんと社会科見学しないと怪しまれますよ」

浜面「でもお兄ちゃんてお前…」

絹旗「う、うるさいです!悪いですか!?//」

浜面「……」

浜面(アリだな)

58: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:14:04.65 ID:A0HSPIcD0
研究員『…やはり暗部でしょうか?』

所長「少なくとも少女の方はそうだな。学園都市に目下複数個存在する暗躍部隊のうち『アイテム』に属する、窒素使いの大能力者だ」

研究員『この金髪の男は?』

所長「私の手元にこの男の情報は無いが、ニューカマーか何かだろう」

研究員『何にせよ、能力が分からない以上は警戒する必要がありますね』

所長「しかし妙だな。アイテムには第4位超能力者の麦野沈利がいるはずだが、来ていないのか?」

研究員『現在確認できているのはこの2名のみですが…まだ調査段階ということですかね?悟られないよう追い返しますか?』

所長「いや、下手に干渉するな。どうせなら気の済むまで詮索させてやれ。奴らがここに気付くことはまず無い。君も通常の勤務に戻って良いぞ」

研究員『承知しました。また動きがあれば報告致します』プツッ


所長(とうとうこの研究所も目を付けられたか。やはり学園都市は恐ろしい…)

所長(だが、ようやく面白くなってきているんだ。みすみすこの施設を手放したりはせんぞ)


~アイテムアジト~

滝壺「……」ガバッ

麦野「ちょっと滝壺、急に立ったら危ないわよ」

滝壺「うっ…」フラッ

59: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:14:50.65 ID:A0HSPIcD0
麦野「言わんこっちゃないわ。まだアルコールが残ってるんだから大人しくしてなさい」

滝壺「はまづら…きぬはた…!」ハァ ハァ

フレンダ「どうしたのよ滝壺?浜面達なら今…」

滝壺「昨日の、仕事の場所。第七学区研究所…」ハァ ハァ

フレンダ「へっ?何で分かったの?」

麦野「……」

滝壺「むぎの、フレンダ、行こう。あそこは何かおかしい…!」ハァ ハァ

フレンダ「え?どういうこと?」

麦野「行くわよ。フレンダは先に降りて足確保してきて」

フレンダ「ちょっとちょっと!説明を要求する訳…」

バシュッ

フレンダ「…よ?」

麦野「聞こえなかったの?耳詰まってんなら次はそこに風穴開けてあげるけど」

フレンダ「ひぃっ!?い、行ってきまあす!!」ダッ

滝壺「……」ハァ ハァ

麦野「さ、私達も行くわよ。肩貸してあげる」

滝壺「むぎの、うまく説明できないんだけど…」

麦野「いいのよ。車の中でゆっくり聞くから」

滝壺「でも」

麦野「貴女が言うことだもの。きっと正しいわ」

滝壺「……ありがとう、麦野」


フレンダ「あ!ヘイそこの車のおにーさん!可憐な美少女と一緒にドライブなんて……ってああ!なんで逃げる訳よぉ!!」

60: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:15:30.34 ID:A0HSPIcD0
絹旗「これで一通りまわりましたね。何か超気になるところはありましたか?」

浜面「全然だな。絹旗は?」

絹旗「……」

浜面「何か気が付いたのか?」

絹旗「いえ、私も全然ですよ。若干拍子抜けしただけです」

浜面「そうか。ま、時にはこんなこともあんだろ」

絹旗「ひとまず今日のところは撤退しましょう」

浜面「麦野達にも一応連絡入れとくか。起きてるか分かんねえけど…ってあれ、携帯が無い」ゴソゴソ

絹旗「落としたんですか?」

浜面「いや、たぶん充電しっぱで置いてきた…」

絹旗「雑用係なのにとことん使えないですね浜面は。私が電話します」サッ

絹旗「……」

絹旗「あれれ、画面が超真っ黒です」

浜面「おい」

絹旗「そういえば昨日飲み明かしたので充電してませんでした…」

浜面「…とにかく、一旦帰るしか無いな」

絹旗「そうですね。私は職員の方に挨拶してきます」

浜面「分かった。車、入り口の近くまで動かしとくわ」

絹旗「ええ」


絹旗「あのー」

研究員「ん?」

絹旗「所長さんはいらっしゃいますか?もう帰るので見学のお礼をと思いまして!」

研究員「それは残念だなあ、所長は今日は不在なんだ」

61: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/28(月) 21:16:25.21 ID:A0HSPIcD0
絹旗「そうですか…では所長さんに、とても興味深い研究でしたとお伝えください!」

研究員「あはは、言っておくよ。でも直接伝えたほうがきっと所長も喜ぶ。もし機会があればまたおいで」

絹旗「はい!今度来るときは所長さんとお話ししたいです!それでは!」

研究員「じゃあね」

研究員(ふう…やり過ごしたか)


浜面「挨拶は済んだのか?」

絹旗「はい」

浜面「うし、そんじゃ戻ろう。麦野の理不尽な怒りを買う前にな」

絹旗「それなんですが、私はちょっと寄っていきたい所があるので浜面は先に帰ってて下さい」

浜面「あん?ならそこで降ろしてくぞ?」

絹旗「いえ、方角が逆ですから結構です。浜面は超特急で帰らないと命に関わるかもですよ」

浜面「そうか。迎え要るなら電話…って、バッテリー切れてんだっけ」

絹旗「ま、公衆電話なるものが超ギリギリ生存してるので大丈夫です。浜面の電話番号も仕方なくバッチリ暗記してますし」

浜面「…流石、レベル4様は記憶力も違う。んじゃ、気いつけてな」

絹旗「ええ」


絹旗(気をつけて、ですか。浜面のくせに)ハァ

絹旗(単に記憶が良いから番号を覚えてるわけじゃないんですよ…?)

69: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/29(火) 21:13:06.44 ID:0Ld1oMZg0
所長(アレイスターの策略により街中に散蒔かれているナノサイズの滞空回線(アンダーライン)…この部屋はそれからの隔離に成功している)

所長(奴の情報網の一端に過ぎないが、これだけでもかなり機密性は高いはずだ)

所長(事が露顕するとすればやはり…)

ピッ

研究員『所長』

所長「…奴らはどうなった?」

研究員『所内を隈なく見回っていたようですが、何らアクションは起こさず帰っていきました』

所長「そうか。それならいいが、念のため今日はもう閉める。職員・研究員全員にそう伝えろ」

研究員『了解しました。失礼します』プツッ

所長「……」

所長(搬入ルートにもう少し注意を払う必要があるか…)


~車内~

麦野「…ったく、ヒッチハイクも碌に出来ないの?」

フレンダ「だって皆逃げちゃうんだもん。うーん、美人すぎると逆効果なのかな」

麦野「haッ」

フレンダ「アルファベットで笑われた!」

麦野「結局私がやった上に、運転する嵌めになったじゃない」

フレンダ「あれはヒッチハイクじゃなくて強奪な訳よ…。てか麦野、免許持ってたんだ」

麦野「運転って案外楽しいのね」

フレンダ「無免許どころか初運転!?」

70: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/29(火) 21:13:59.86 ID:0Ld1oMZg0
麦野「バレなきゃいいのよ」

フレンダ「免許よりも経験があって欲しかった訳よ…」

麦野「で、滝壺。どういうことなのかしら?あの研究所に何か感じるんでしょ?」

滝壺「……感じてた」

フレンダ「た?」

滝壺「うん。今はほとんど何も感じない。でもさっき、きぬはたとはまづらの位置が正確に分かった」

滝壺「その場所があの研究所で、そこから…なんだろう、うまく言葉にできないんだけど…なにか"違う"能力の感じがしたの」

麦野「……」

フレンダ「つまり…どういうことだってばよ?」

滝壺「けど今は何も感じない。はまづらもきぬはたも、その違和感も」

麦野「それって…」

フレンダ「つまり…どういうことだってばよ?」

麦野「もしかすると、一時的に滝壺の能力が発動したのかもしれないわね」

滝壺「でも、体晶を使ったときの嫌な感覚は無かったよ」

麦野「その辺のことはよく分からないけど、実際能力追跡が出来ているじゃない。何か体晶とは別の要因で覚醒していたとすれば…なにかしら」

フレンダ「つまり…どういうことだってばよ?」

麦野「お前少し黙ってろ」

滝壺「……」

麦野「まさかと思うけど……アルコール…?」

71: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/29(火) 21:15:21.56 ID:0Ld1oMZg0
フレンダ「まさかー。お酒飲んだくらいでそんな効果が…」

麦野「もちろん見当違いかもしれないし、それに滝壺の能力はかなり特殊だから」

フレンダ(もしかして、私も酔えば能力発動する可能性あるのかな…?)

麦野「これは今いくら考えても仕方ないわね。滝壺、どんな風に"違う"能力だったかもう少し詳しく表現できる?」

滝壺「うん。さっき感じたのはこう、薄くて、強度が小さくて、じゅわ~って微かに染み出してくる感じで」

フレンダ「ジュンじゅわー…」

麦野「お前少し黙れ」

滝壺「でもその感じ方の強さはあまり重要じゃない」

滝壺「能力者の発するAIM拡散力場には一応系統みたいなものがあるんだけど、あれは今まで捕捉したことのある力場のどの系統とも一致しなくて、似て非なるというか、近くて遠いというか…」

滝壺「同じだけど、違った」

フレンダ「結局それ、どっちな訳よ」

麦野「同じだけど違うっていうのはよく聞く表現だけど、全く理解できないのよね。矛盾以外の何物でもないわ」

滝壺「例えて言うなら、ねるねるねるね」

麦野「おかしいわね、例えっていうのは物事を分かり易くするためにあるものだと思ってたんだけど…」

72: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/29(火) 21:16:23.70 ID:0Ld1oMZg0
滝壺「何かを混ぜて出来た未知の味って、混ぜた何かの味にも感じたり、新しい味だと感じたりもする、そんな具合かな」

フレンダ「解ったような解らないような…」

麦野「とにかく、後は現地へ行ってからね」

フレンダ「てかさ、こういう時ってまず電話して現状把握するべきじゃない?」

麦野「出る前にしたわよ。絹旗は繋がらなかったわ」

フレンダ「浜面は?」

麦野「かけてみなさい」

フレンダ「…?まあいいけど」

trrrrrrピッ

フレンダ「あ、もしもs」

『おかけになったはまづらは現在使われておりません』

フレンダ「えっ」

滝壺『番号を確認し、かけ直してください。おかけになったはまづらは…』

フレンダ「なるほど…てか何してんの滝壺…」

麦野「肝心な時に忘れていきやがって。まったく、後でオシオキ確定ね」


~別の車内~

浜面「へーっくし!」

浜面「あー、なんかさっきからくしゃみが…」

浜面「えっと、くしゃみ1回が良い噂で2回が悪い噂、3回が誰かに惚れられてて4回もすりゃ風邪、だったっけか?」

浜面「今ので2回だから…あれ、それとも1回が悪い噂で…まあいいか。急ごう」

浜面「へーっくし!」

73: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/29(火) 21:17:15.14 ID:0Ld1oMZg0
~研究所内某所~

研究員『当直の警備員を残し、職員並びに研究員すべて退勤させました』

所長「ご苦労だったな。君ももう帰って良い」

研究員『所長はまだお帰りにならないので?』

所長「もう少し調整をしてからだな。すぐ終わる」

研究員『そうですか。では、お先に失礼します』プツッ

所長(…さて、調整再開だ)


所長「ふう」

所長(一時乱れた脳波もだいぶ安定したな。もう暫く経過を見ながら次の段階を考えるとしよう)

所長(じきにここは手狭になりそうだ。さて、どうやって移動させたものか)

所長「…こう人数が多いと、引っ越しも大変だ」

所長「その為にも表側の研究でも成果を出さねば資金面が苦しいか…問題は山積みだな」

所長「うーむ」

所長「いつの間にか独り言になってしまっていた。私も歳を取ったものだ」

所長「しかしこのような呟きも、聴衆がいる場合には独り言にならないものなのかね」

所長「どうお考えかな?暗部君?」

絹旗「……気付いていたんですね」

所長「おや、これは驚いた。降りてきたまえ」

ガコン

絹旗「……」

所長「来るならそろそろかとは思ったが、まさか本当に来てしまっていたとは」

74: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/29(火) 21:18:17.50 ID:0Ld1oMZg0
絹旗「鎌掛けだったんですか。残念、私が黙っていりゃ一人芝居の超イタい人だったんですがね」

所長「そんな気がしたのさ。私は予感が結構当たるんだ。それよりどうしてここが分かったんだい?」

絹旗「ほとんど勘ですが、強いて言うなら階段です。1階の踊り場に僅かな違和感を覚えましてね」

所長「ほう」

絹旗「一見この建物に地下はありませんが、その階段はまるで地下へ続くはずの空間を無理矢理埋めたかのような構造をしていました」

絹旗「外周してみたところ1つだけ地面から伸びる排気口を発見し、もしやと思って侵入してみたらここに辿り着いたわけです」

所長「なるほど。大の大人が通れない程度の大きさに留めたのが徒となったか」

絹旗「それは超間抜けですね。ここは学園都市ですよ」

所長「ここは元々あった地下1階と2階を切り開いて合わせたものだ。そしてこの空間のみ、壁や床、天井、排気管全てを独自に開発した特殊素材でコーティングしてある。ある目的の為にね。そういった設計の関係上、やむを得なかった面もあるんだよ」

絹旗「その目的とやらは?」

所長「一括りに言えば…外部、特にアレイスターへの情報の漏洩を防止することだな」

75: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/29(火) 21:19:33.63 ID:0Ld1oMZg0
絹旗「…さっき資金不足を超嘆いていましたよね。学園都市の中心は正義の味方じゃないんですよ?」

絹旗「例え非人道的な研究であっても、奴らが有益なものと超判断すればいくらでも補助金が出されるでしょうに」

所長「そうだろうな」

絹旗「だったら何故?」

所長「…簡単な話だ。独占欲が強いんだよ。研究者というのはね」

所長「研究成果を学会で発表するのは表側で充分だ。それとは別に、結果が出るまで誰にも干渉されることなく、独自に研究したいテーマもある」

所長「目標を達成するまでの過程で得られた新しい技術や見識をアレイスターなんぞに横取りされては面白くない。そんな我が儘な理由だよ」

絹旗「……」

所長「しかしだな」

所長「やはり研究成果というのは、他人に認識されて初めて存在すると思うわけだ」ピッ

キュイイイイイイイイイン

絹旗「…何の音ですか、これは」

所長「記念すべき私の研究の初披露会が幕を開ける音さ」

バチッ!!

絹旗「!」バッ

絹旗(電撃!?)

所長「成果を他人に知られたいが情報を漏らしたくない。さてどうするか」

絹旗「……」

所長「よく言うだろう。死人に口無し、知った人間を排除すればいいのだよ」

80: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/30(水) 16:59:04.28 ID:9iaYEdgC0
66
~第七学区内コンビニ~

少年「あ、あれ?お金入れてきたと思ったんだけど…」

店員「……」

少年「すみません!すぐ下ろしてきますんで!」

少年「ぎゃあああ今度はATMがカードを受け入れてくれない!ふ、不幸だぁーー!!」

店員「あの…」

少年「すみませんすみません!出直してきます…」ダッ


~第七学区内車道~

麦野「ようやく学区内ね」

フレンダ「! 麦野、あれ…」

麦野「…よりによってこんなときに検問かよ。フレンダ、今すぐ免許証偽造しなさい今すぐ」

フレンダ「む、無理に決まってんじゃん!」

ハーイ、ツギノクルマドウゾー

麦野「チッ…舌噛むなよ」グッ

フレンダ「ふおぅっ!?」

滝壺「はやい」

門番「ちょっ…ちょっと!止まりなさい!」

アッー

フレンダ「びっくりしたなぁー。結局、加速するならするって言って欲しい訳よ」

麦野「舌噛むなって言ったでしょ」

フレンダ「ま、ともかくこれで無事突破でき」

アンチスキル女(巨乳)「こらー。止まるじゃんそこの車」

滝壺「…てないみたいだね」

麦野「当然、前後に部隊を潜伏させてるわよね」

フレンダ「すでに囲まれてる訳よ」

麦野「はぁ。面倒くさ…」キキイッ

81: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/30(水) 16:59:35.86 ID:9iaYEdgC0
滝壺「むぎの、どうするの?」

麦野「あんた達は中で待機。フレンダ、いつでも発進できるように運転席に座ってなさい」

フレンダ「え、私運転なんt」

麦野「は?」

フレンダ「大好きなのよねー!きゃっほう!腕が鳴るぜ!…ぐすん」

アンチスキル男「武器は持っていないだろうな。その場で両手を挙げて動くなよ」

麦野「……」

アンチスキル男「よし、とりあえず確保だ」

アンチスキル達「はっ」ザッ ザッ

麦野「……」ニヤリ

ギュオン!!!

アンチスキル達「ぐああああッ!!」

アンチスキル女(巨乳)「なっ!?足場が…なんだ今の光線は!」

アンチスキル男「何者だ?…貴様、それ以上抵抗するなら容赦はせんぞ。銃撃翌用意!」

アンチスキル女(巨乳)「馬鹿!相手はまだ少女じゃん!」

麦野「あら…いいのよ別に」ビュッ!!

アンチスキル達「ぐはああっ!!」

アンチスキル女(巨乳)「くっ…」

麦野「悪いけど急いでるの。道を開けて貰うわよ」


~別の車内~

浜面「公衆電話使うにも財布も忘れてたとか…余計に時間くっちまった」

浜面「飛ばさねぇと…」

浜面「ん?アンチスキル?何の騒ぎだ?」

浜面「ってあれ!?む、麦野!?」

82: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/30(水) 17:00:09.16 ID:9iaYEdgC0
アンチスキル女(巨乳)「うっ……全滅…じゃん」

アンチスキル男「なんてことだ…応援要請を…」

麦野「無理よ。通信機器は全部破壊したわ。あとは」

ドオン!!!

麦野「これで通りやすいわね。それじゃ、おさらばだにゃーん」テヘペロッ

アンチスキル男「……」

アンチスキル男「この"怪物"が」

麦野「」ピクッ

アンチスキル男「お前のその能力…第四位の原子崩し(メルトダウナー)だな。クソが……俺はな、てめえみたいな"化け物"じみた能力をもつガキが付け上がんねぇように、アンチスキルを引き受けてんだ」

アンチスキル女(巨乳)「おい……!」

アンチスキル男「嫌だねぇ、偶然得たチカラを振り翳して生意気にも大人に反抗する世間知らずの子供ってのは。俺ら一般人からすっとな、てめえは社会の"異分子"なんだよ」

麦野「……」

アンチスキル男「カカッ。どうした?表情が険しくなったぞ」

麦野「ピーピーうるせえよ。大人しく野垂れ死んだフリしときゃ苦しまずに済んだろうに」

麦野「気が変わった。てめえはブチ[ピーーー]」

アンチスキル女(巨乳)「や、やめるじゃん!!」

麦野「世間知らずってのはな、てめえみたいな奴のことを言うんだよ」

バシュッ

83: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/30(水) 17:00:41.34 ID:9iaYEdgC0
バチイッ!!

絹旗「くっ!」

絹旗「あなた、いつ能力を…それが研究の成果ですか?」

所長「ん?違う違う。私はただの研究者。無能力さ」ヂリィッ

絹旗「ッ…!発電能力者でもなければ、電撃の槍なんて飛ばせませんよ」

所長「たしかにこれは能力による発電だ。だが、その能力源は私ではない」

絹旗「理解が超及びませんね。どうみてもあなたから電撃が発せられているんですが」

所長「まあまあ、徐々にタネ明かしと行こうじゃないか。しばし待ちたまえ」カタカタカタ ピピッ

絹旗「?壁が…」

所長「こういうことさ」

絹旗「これは……子供!?」

所長「比較的最近の話だが、幻想御手(レベルアッパー)なるものが流行ったのはご存知かな?」

絹旗「共感覚性を利用し膨大な人数分の脳をリンクさせ、演算能力を高めることで能力レベルを引き上げる音楽ソフト…そう聞いていますが」

所長「その通り。人それぞれ異なる脳波パターンを無理に連携させた結果、使用者はすべて昏睡状態に陥ってしまっていたがね」

絹旗「あなたもそれを利用しているってことですか」

所長「違うな。共通点は脳のリンクという一点のみだ。そこは私も以前から注目していたんだよ」

84: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/30(水) 17:01:10.86 ID:9iaYEdgC0
所長「自分だけの真実(パーソナルリアリティ)が脳のどこに眠っているのか、これは未だ誰も解明できていない。その段階では、能力は脳を所有している人物からしか発動は出来ない」

所長「しかしだ。脳のリンクと、この私の頭に装着してある演算補助装置(サブカルキュレータ)を組み合わせにより可能になったのだよ。能力の譲渡というものがね」

絹旗「能力の譲渡…」

所長「借用、と言ったほうが正しいか。カプセルの中で生命維持を受けている子供達は、開発により各々の自分だけの真実を開拓し、学習装置(テスタメント)により仮想的に訓練を受け、能力を鍛えている。何年も前からね」

所長「子供達の脳内では自分だけの真実に干渉し、能力を発動させるための演算が行われる。そして直接的乃至は間接的に身体を媒介し、能力が顕現するわけだが…私はここに注目した」

所長「能力が実現する一歩手前で、一旦信号を遮断し終了させる。言わば仮演算だ。その情報をサブカルキュレータに送り再開、脳をリンクさせていることで、不安定ながらも能力が発動することになる。今度は私の身体を媒体としてね」

絹旗「……」

所長「無論、サブカルキュレータが行うのは交信だけではない」

85: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/30(水) 17:02:07.92 ID:9iaYEdgC0
所長「寧ろ本業は受信した仮演算情報を逆算し、再演算する所にある。追加して信号を送ることで、発動する能力の不安定性を解消できる」

所長「結果として、無能力ながら能力の使用が可能になった訳だ」

絹旗「……」zzZ

所長「えー」

絹旗「ハッ!超そういうことですか…」グヌヌ

所長「今『ハッ』って言ったよね。寝てたよね。途中聞いて無かったよね」

絹旗「いくら脳をリンクさせたとは言え、脳波パターンが異なれば互換性に問題が生じます」

所長「うわ、ちゃんと聞いてた」

絹旗「それに、子供達が複数いるということは、子供達の脳もリンクさせて演算能力を高めているんですよね?両者とも、幻想御手と同様の結果を超招くんじゃないですか?」

所長「…まず前者に答えようか。人間の脳波パターンというのは先天的な面もあるが、実は後天的要素も大きい。特に生後の数年間はな」

所長「何年もカプセルの中に居る、というのは、生後間もない頃から、という意味だ。始めから脳をリンクさせ私の脳波パターンに触れさせておけば、私のものに似るか、それと調和のとれる周期関数に落ち着く可能性が比較的高くなる。それでも相当数失敗したがね」

絹旗「…!」

86: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/30(水) 17:03:00.41 ID:9iaYEdgC0
所長「次に後者の疑問に答えよう。ふふ、実は」

絹旗「その前に1ついいですかね」

所長「…なんだ?これからが面白くなるとこだったのだが」

絹旗「さっきから不思議に思っていたんですよ」

所長「ほう。なにかな?」

絹旗「ここは第七学区。学生こそ集うものの、小さな子供達を集めるには適していません」

絹旗「しかしあなたは言いました。その子達は"生後間もない頃から"カプセルの中で操作されていると」

絹旗「更には"相当数失敗した"と」

所長「その通り」

絹旗「……」

絹旗「その大量の子供達は、一体どこから超仕入れてきたんですかね?」

所長「?君がそんなことを知ってどう…って」

所長「ああ。そうか」

絹旗「……」

所長「君"も"置き去り(チャイルドエラー)だったっけな」

絹旗「ッ!やはり…!」

所長「まあまあ、こうして有用な研究に活かされているんだし、単に死ぬより価値がある」

絹旗「こんな研究が…何を生むって言うんですか」

所長「まだ研究の真髄は明かしてないんだがな。…生産性は重要じゃない。ただね」

所長「"楽しい"のさ。これに尽きる!」

絹旗「…ハッ」


絹旗「下衆が。死ンでください」

87: ◆uZgf.zR4f6 2011/11/30(水) 17:03:39.83 ID:9iaYEdgC0
バキン!

麦野「……何?今の手応え」

アンチスキル男「うっ…何が…」

麦野「!」

少年「だ、大丈夫ですか?」

麦野(男が生きてる!?まさか、確実に命中したはず)

アンチスキル女(巨乳)(この少年、小萌先生んとこの…?)

少年「何がなんだか分かんねえけど…お前、そんなもん撃ったらこの人死んじまうだろ!」

麦野「当たり前でしょ。そのために撃ったんだから」

少年「…!この惨劇もお前らの仕業か?何が目的だ?」

麦野「今はただここを通り抜けたい、そしてその男をブチ殺したい。理由は貴方には分からないでしょうし、分かる必要もないわ」

少年「そうかよ…!何をしようとしてるか知らねぇけどな、お前らがこれ以上暴れて被害を大きくするってんなら、そんな幻想は俺がぶち[ピーーー]!」

フレンダ「ぶちブチ殺し合戦って訳ね…」

滝壺「フレンダ、空気読んで」

麦野「…何の能力か知らないけど、私とタイマン張ろうっていうのね。いいわ、来なさい」

少年「言われなくてもな!」ダッ

麦野「…ふん」バシュウッ!!

少年「!」

パキーン!

麦野「ッ!?また…」

少年「おらぁ!」ブンッ

麦野「チッ!」

ドゴッ!

麦野「ぐっ…!」

96: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/01(木) 21:01:40.16 ID:Ce6WEQ3D0
滝壺「…どうなってるの」

麦野(くっ…なんとかガードしたけど)

少年「綺麗なお姉さんを殴るのは気が引けるけど、もう一丁だ!」ブンッ

麦野「がはっ!!」

フレンダ「麦野っ!」

麦野「うう…」

少年「これに懲りたら大人しく捕まれ」

麦野「いっ」

少年「?」

麦野「ってぇなコラァァ!!!!!」ギュオン!!!

アンチスキル女(巨乳)「なっ…光線が集まって巨大なボーリング状に…」

麦野「ブチ殺しィィィ!!」ギュワッ!!

少年「くっ!」

ズガァン!!パリン!!ドカァン!!

麦野「……」ハァ ハァ

麦野「チッ、胸糞悪い。骨まではイッてねぇみたいだが…」

少年「終わりか?」ガラッ

麦野「!?」

フレンダ「あいつ…なんで…?」

滝壺「……」

少年「なら今度はこっちの番だ。覚悟しろよな」ダッ

麦野(ッ!上手く立てな…)

フレンダ「麦野っ!!」

麦野「くっ!」サッ


ドゴッ!!


麦野「…?」

少年「ぐあっ…」ヨロッ

滝フレ「「あっ!」」

浜面「おいおい…何がどうなってんだよ!」

麦野「浜面…」

浜面「大丈夫か麦野。お前らしくもない」

麦野「うるさいわね…それより絹旗が危険かもしれない」

浜面「へ?」

97: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/01(木) 21:03:16.81 ID:Ce6WEQ3D0
浜面「あいつなら一緒に研究所を出て、寄る所があるからって」

麦野「どこへ?」

浜面「それはちょっとはぐらかされた感じで言わなかったけど…」

麦野「チッ…やっぱりね」

浜面「あん?」

麦野「あの研究所には何かあるのよ。それに気づいた絹旗は、独りで乗り込んだわけ」

浜面「はぁ!?なんでわざわざ…」

麦野「……あんたが危ないからよ」

浜面「…え?」

麦野「いや…あ、あんたと行動してちゃ、どう足手まといになって自分が不利な状況に追い込まれるか分かったもんじゃないからよ!いつもの仕事でもそうでしょ!」

浜面「な、なるほど」ズーン

浜面「それならそうと、急がないとまずいんじゃないか?」

麦野「そこに邪魔が入ったのよ。あの男、何の能力かしら…原子崩しが効かないなんて」

少年「痛ってぇ…」

浜面「……」

浜面「麦野、ここは俺に任せて先に行け」

麦野「何言ってんのよ、あいつは私が…」

浜面「あいつは無能力者(レベル0)だ」

麦野「!?」

浜面「あいつの右手は特殊でな、超能力が効かない。聞いたことあるだろ、幻想殺し(イマジンブレイカー)って」

フレンダ「幻想殺し…!」

滝壺「あれが噂の…」

98: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/01(木) 21:04:30.25 ID:Ce6WEQ3D0
麦野「幻想殺し…」

浜面「俺も無能力者だ。能力ナシなら純粋に喧嘩で勝負できる」

麦野「この勝負は私が買ったのよ。それに体術だって私のほうが」

浜面「お前じゃ勝てないとか言ってるんじゃない!けどよ、今は絹旗が危ないんだろ?もしあいつがピンチなら、助けられる可能性が一番高いのはお前だ!」

麦野「そうだけど…」

浜面「それに、だ」

浜面「麦野は女の子だろ?」

麦野「……!」

浜面「殴り合いは男同士って相場が決まってるんだ、昔からな。だから頼む、先に行っててくれ。俺も後から向かう!」

麦野「……」

麦野「わ、分かったわよ!行けばいいんでしょ」

浜面「…絹旗を頼む」

麦野「ええ。フレンダ、エンジンかけて!」

フレンダ「え?あ、うん!りょーかいな訳よ!」ブオン!

麦野(何よ浜面、格好付けちゃって)

少年「!逃がすか…」

ガッ

浜面「てめえの相手はこの俺だ」

少年「お前…あの時の」

浜面「よう、久方ぶりだな幻想殺し。いつかの決着、ここで」

少年「鼻血ブーの…」

浜面「うおおおおだまれ!!せっかくの活躍シーンを台無しにするな!」


麦野(やっぱ格好悪いわ)

滝壺(はなづら…)

99: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/01(木) 21:05:57.11 ID:Ce6WEQ3D0
絹旗「うらァァァ!!!」ブワッ!!

所長「おっと!これはまずい」ヒョイッ

絹旗「ふっ!!」

所長「うわったたた」サッ

絹旗「チィッ、ちょこまかと超機敏ですねェ…体に流れる電気信号でもいじってンですか?」

所長「御名答。これ使うと激しい筋肉痛に見舞われるんだが、大能力者(レベル4)相手じゃ仕方ない」

絹旗「そちらは強能力(レベル3)ってとこですかねェ。学習装置じゃ異能力(レベル2)が限度だと思っていましたが。それともやはり幻想御手と同じ手口でも使ってンじゃないですかァ?」

所長「先の後者の疑問に答えるようだが、さっきも言ったように幻想制手との類似はあくまで脳のリンクという点のみで、演算能力の向上は目的としていない。また学習装置による仮想的な能力の開発は君の言う通り、異能力が関の山だ」

絹旗「異能力にしちゃァ随分と強力なチカラじゃないですか」

所長「盲目の人の聴力が発達する。言語障害を持った人の芸術に対するセンスが大きく向上する。こんな話を聞いたことはないかい?」

絹旗「…はァ?」

所長「人間にはね、脳に何らかの欠損が生じたとき、別の部位がそれを補填するように飛躍的に発達する能力が備わっているんだよ」

100: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/01(木) 21:07:55.05 ID:Ce6WEQ3D0
絹旗「それが超何だって言うンですかァ?」

所長「同じことが起きているんだよ」

所長「乳児期より生命維持装置の中でひたすら開発を受けて過ごしてきた。そんな彼等が使うのは計算の為の頭脳と、生命維持に関わる最低限の器官だけ。脳の中では使う必要もなく、萎縮してしまう部位が発生する」

所長「そこへ脳内の能力演算エリアが範囲を拡大、物理的に常人より優れた演算能力生み出せる。それにより、個人差はあるものの一般に学習装置で会得できる能力値より高い、強能力が身についたという訳だ。今や大能力に近い者もいる。そして…」

バチィ!!

絹旗「ッ…」バッ

所長「こうして実戦を積むことで、更なるレベルアップが期待できるんだよ!」ジジッ!

絹旗「ふっ!」シュッ

所長「大能力者ともなれば尚更だ!おかげで段々と馴染んできた」バッ

絹旗「くっ…うらァ!」グワッ

所長「おっと」バリバリ

絹旗(ちっ、部屋の隅で電撃のバリアですか。迂闊に近づけねェなァ)

絹旗「なるほど…私は決して招かれざる客ってンじゃ無かったって訳ですか」

所長「実戦は目的の延長に過ぎん。真の目的はやはり研究成果を認識させることだ。見せびらかすと換言しても構わない」

101: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/01(木) 21:09:24.42 ID:Ce6WEQ3D0
絹旗(上から攻めようにも天井が超邪魔ですねェ)

絹旗「ふっ!」

ドゴッ パラパラ…

絹旗「…?おかしいですね。コンクリートくらいなら余裕で破壊出来るンですが」

所長「残念。特殊素材で一面コーティングしてあると言ったろう」

絹旗「屈強な炭素繊維か何かですか」

所長「まさか。そうだな、便宜的にAIMニュートラライザとでも呼ぼうか」

絹旗「…初耳ですね」

所長「今命名したからね。文字通りに理解してもらっては違うんだが、イメージ的には力場の中和のようなものだ。能力というのは能力者の発するAIM拡散力場そのものと言って良い」

所長「AIM拡散力場の測定をしているうちに、ある素材がそれを通しにくいことを発見。それに改良を加えていったことで、従来の透過率の20%にまで下げることに成功した。そうして完成した素材を幾枚も重ね、ほぼ完全に力場を遮蔽することが可能になったのだよ。おまけに外側は厚さ50cm、硬質の合金製だ。どのみち君程度の能力では部屋の破壊は無理だろう」

絹旗「これも外部への情報漏洩対策って訳ですか…」

所長「そうさ。現在外部にある観測機械の計測閾値ではまず引っ掛からない」

絹旗(……困りましたねェ)

102: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/01(木) 21:10:38.30 ID:Ce6WEQ3D0
絹旗(ならばこちらも飛び道具で攻めますか)

絹旗(何か投げるもンは…この椅子でいいか)

絹旗「はァっ!」ビュン

所長「おっと」

絹旗「隙ありっ!」

所長「!」

ズドォン!!

絹旗「……」

所長「…いやはや、危ない危ない」フゥ

絹旗「逃げ足だけは超天下一品なンですねェ」

所長「この後に来るであろう筋肉痛が恐ろしいね」

絹旗「安心して下さい。あなたの言う目的とやらは達成したンですよねェ。なら筋肉痛に襲われる前に心置きなくぶっ殺して差し上げますから」

所長「ん?何を言っているんだ?」

絹旗「真の目的は研究成果を他人に見せ付けること。そンなことを聞いた覚えがあるンですがねェ」

所長「そうだとも」

絹旗「『能力の譲渡』という研究成果はもう充分に認識しました。大能力者である私と相対することの出来るレベルでね。あなたの目的は達成です」

所長「違うな」

絹旗「…?」

所長「そういえば、後者の疑問への答えが中途半端だったか」

所長「君は私が『複数の子供達の脳をリンクさせ、幻想御手のように演算能力を高めている』と考えたわけだが…答えはノーだ」

所長「そして、これが正解だ」ボッ!

絹旗「!?」

108: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/02(金) 20:25:50.70 ID:m3JcqHFy0
所長「ふんっ」

ボワッ!!

絹旗「なっ…」バッ

絹旗(炎…!こいつ、二重能力(デュアルスキル)を!?)

絹旗「ちっ、喰らえッ!」ダッ

スカッ

絹旗「!?擦り抜…」

所長「こっちだ」バチバキイッ!

絹旗「がはァっ!」

絹旗「なん…ですか、今のは」

所長「ポ○モンであるだろう、かみなりパンチという」

絹旗「いや、技名とか超聞いてないンですが…」

所長「暗闇の五月計画により、君は第一位の能力に類似した自動防御を獲得した。しかしそれはあくまで窒素装甲(オフェンスアーマー)によるもの。一方通行(アクセラレータ)ではない」

所長「高電圧をかけることで、窒素はアンモニアや硝酸イオン状に分解する。窒素を操る能力である以上、別の物質に化けてしまった分子は君を守る鎧とはならない。打撃が有効な範囲だけで良いんだ
、集中させればレベル3程度の電力でも可能だよ」

絹旗「……」

絹旗「それより研究成果ってのは…多重能力(マルチスキル)…ですか?」

所長「その通り。幻想御手事件の時、木山とかいう科学者が似たものを発現させていたが、あれとは異なる。彼女は一万人もの脳を統制しようとして失敗し、結局能力の暴走を起こしてしまった」

109: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/02(金) 20:27:00.65 ID:m3JcqHFy0
所長「やはり脳波パターンの連携に障壁があるのが原因だ。赤の他人のものだから当然とも言える」

所長「一方、先も述べた通りこの子達の脳波は私のそれと類似、または調和させることに成功したものだ。連携使用により生ずる副作用のリスクは低い。そして、次が重要だ」

絹旗「……」

所長「個々人の能力の種類というのはあくまで自分だけの現実に依存する。仮に脳波パターンが全く同じだからといって、必ずしも能力が同じになるとは限らない」

所長「逆に言えば、すなわち『能力の種類は、脳波パターンに依存しない』んだ。実はここは非常に認識を誤りやすいところでもある」

所長「そこに着目したからこそ、現に私は多重能力を使えるまでに至った!他にも方法は無数にあるだろうが、現時点で多重能力を確立したのは私だけだろう!」

絹旗「…理論は何となく分かりました。でも能力が使えるのはこの場所限定じゃないンですか?」

所長「それについてはこれから考えるさ。小型化か、ネットワークの拡大のどちらかになるだろうな」

絹旗「ハッ。こんなクソみてェな自己満で幼い子供達の全てを奪うような研究、これ以上進展する前に私が潰してみせますよ」

所長「……」

110: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/02(金) 20:28:05.95 ID:m3JcqHFy0
所長「君にはこの研究に秘められた夢が分からないようだな」

絹旗「夢も希望もありゃしませンよ。その子達にはね」

所長「いいだろう。とりあえずは私も満足だ。…そうだ、君は単に消すのではなく、研究材料として使うことにしよう。大能力者なんて滅多にお目にかかれないしな」

絹旗「そりゃ超御免ですねェ。あなたに触れられると思うと反吐が出ます。毛の一本も残さず破壊してあげますよ」

絹旗「あァ、失礼。元から毛なンて無かったですねェ」ニヤニヤ

所長「…来い。クソガキが」

絹旗「行きますよ。クソジジィ」


絹旗「っらァ!!!」ビュオッ!!


~第七学区内車道~

少年「…」ハァ ハァ

浜面「…」ゼェ ゼェ

アンチスキル男「なんという激しい戦い…!」

アンチスキル女(巨乳)「お互い一歩も譲らないじゃん…!」

少年「やるな、お前」ハァ ハァ

浜面「お前もな…ところで」ゼェ ゼェ

少年「ん?」

浜面「いつまで匿名表記のつもりだ…」

少年「未だに名前が登場してないから仕方ないだろ…」

浜面「じゃあ聞くぞ、名前は?」

少年「上条当麻だ。お前は?」

浜面「浜面仕上だ。よろしくな上条」

上条「ああ、こちらこそな。浜面」

グッ

111: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/02(金) 20:29:26.16 ID:m3JcqHFy0
アンチスキル女(巨乳)「友情って…素晴らしいじゃん!!」

浜面「お前もだ黄泉川ァ!!つーか何だその(巨乳)って!事実だけど要らねぇだろ!事実だけど!」

黄泉川「まあ、台詞だけだと分かりにくいじゃん?」

浜面「丸分かりだわ!他にそんな口調の奴見たことねぇよ」

アンチスキル男「俺は!?俺の名前は!?」

浜面「知るかボケェ!!」

上条「ところで、これは何の騒ぎだったんだ?」

浜面「そうだ、ギャグパートかましてる場合じゃなかった!俺はもう行くぞ!」

黄泉川「…お前、また危ないことに首突っ込んでるじゃん?」

浜面「悪い黄泉川、今回は見逃してくれ」

黄泉川「……はぁ、気をつけるじゃんよ」

浜面「すまねぇ」

上条「お、おい。何しに行くんだよ?」

浜面「…ちょっとな」


浜面「女の子のもとへ、ヒーローごっこにだ」


~研究所内地下~

絹旗「…」ハァ ハァ

絹旗「流石は多重能力。一筋縄ではいきませンね…!」

所長「私も若干大能力者を侮っていたようだ。軍隊に起用できるレベル、なるほど確かにそれくらいの機動力はあるかも知れんな」ハァ ハァ

絹旗「あなたもその齡でそこまで動けりゃ大したもンですよ」ハァ ハァ

112: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/02(金) 20:30:46.72 ID:m3JcqHFy0
絹旗「電撃、火炎、偏光…そして風。まるで4対1で戦ってる気分ですね。でも、だんだんと動きが超鈍ってきてますよ?」

所長「そうだな…。老体にはちょいとハードワークすぎる」ハァ ハァ

絹旗「おやおや、諦めムードが漂っていますねェ」

絹旗「なンならさっさと楽にしてあげます、よっ!」ブンッ!

スカッ

絹旗「また偏光ですか!読めてンですよ!」グワッ!

スカッ

絹旗「これも…いや…!?」

所長「はっ!」ボウッ!

絹旗「熱ッ…!!」

所長(…やはり安定な窒素に炎は通じにくいか)

絹旗「今のは…偏光による虚像ではありませンでしたね。どういうトリックですか?」ハァ ハァ

所長「少しは自分で考えることも大切だぞ」

絹旗「……」ハァ ハァ

所長「…まあいい」ヒュッ

絹旗「!?」

所長「これが答えだ!」バチッ!!

絹旗「あっ…がああああッ!!!」

絹旗「」ドサッ

所長「わかったかな」

絹旗「ぐっ……まさか…瞬間移動まで…?」ハァ ハァ

所長「そうだ。私は現段階で5種類もの能力を操るに至った。繰り返すようだが能力の種類は個人の自分だけの現実に依存する。つまりは今後も扱える能力は増えていくんだよ」

所長「"素材"が尽きない限りね」

120: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/10(土) 21:31:55.58 ID:+8YE5lJAO
絹旗「それは置き去りのことを言ってンですかねェ…?」グッ

所長「いかにも。定期的にここへ送られるようになっているから当面は大丈夫だと思ったが、おそらく今回はそこから目をつけられたからね。搬入ルートを見直す必要があるようだ」

絹旗「このやろォ…!」

絹旗(くっ、さっきの電撃で体が痺れて動かない…)

所長「ふむ、君は子供達のこととなるとムキになるね」

所長「私の多重能力の仕組みは説明したろう?それが厄介なら、その能力源を断ってしまえば良い。すなわち子供達を破壊すれば済む話だ。まあ、私がそうさせないつもりではあったがね」

所長「しかし君は彼等を壊そうという素振りも見せなかった。それは何故か」

絹旗「壊すとか壊さねェとか…モノみたいに言ってくれやがりますね」

所長「それだ。君はまだ彼等をヒト扱いしている。自分と同じ置き去りという境遇への同情の念もあるのかも知れない」

絹旗「知ったよォな口を…!」

所長「確かに、まだ彼等は生きている。彼等と呼ぶのはそれを尊重してのことだ」

所長「しかし人間が生きているからといって、必ずしもそれをヒトと呼ぶのだろうか?」

絹旗「……」

所長「考えてもみろ」

121: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/10(土) 21:33:21.79 ID:+8YE5lJAO

所長「ヒトは何を以てヒトたりうるのか」
所長「自らの身体を保ち、生き続けていればヒトなのか?はたまた脳以外が消滅し、尚脳のみでも生存していればそれはヒトなのか?」

所長「生まれて間もなくして捨てられ、生命維持装置の中で一部の頭脳だけを働かせて生き続ける。果たしてそれはヒトなのか?」

所長「尊厳死というものがあるだろう。人間が自らの力のみでは生存できず、機械に頼って生命を維持しているような時、ヒトとしての個を尊重して生命維持をやめ、死に至らせる」

所長「尊重、と言えば聞こえは良いが、それは同時に自ら"ヒト"であることを諦め、"ヒト"であることを捨てたと解釈出来るのではないかと私は思うんだよ」

所長「同じことだ。機械によって生命維持をしているに過ぎない彼等を私は"ヒト"とは見做せない。言わば能力発現に携わる"モノ"、機械だと認識している。人聞きが悪いかも知れんがね」

所長「これを踏まえた上で、君は彼等をどう考えるかな?」

絹旗「…クソッタレが」

絹旗「勝手にヒトをモノにしないで下さいよ」

所長「……」

絹旗「生命維持装置の中で生かされてるだけ…確かにヒトと呼ぶにはあまりに寂しすぎるかもしれませン」

122: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/10(土) 21:34:58.80 ID:+8YE5lJAO

絹旗「ですが結局それはどこまで行っても生きている人間ですから。誰がどう考えようと、モノの如く扱われようと、その事実は揺るがねェンです」

絹旗「そして、生きている以上、ヒトとしての尊厳を取り戻す可能性はゼロではない。他人が自分の観点からモノだと断定して扱うのは、その先の可能性を身勝手に潰し、ヒトであることを諦めさせる傲慢な行為でしかない」

絹旗「あなたの理論は己の悪行を超正当化する詭弁に過ぎませンよ」

所長「……」

所長「それが君の考えか。どうやら私と君とでは反りが合わないようだ」

絹旗「そのようですねェ。実に喜ばしい」

所長「さて、もう充分楽しんだ。そろそろ眠って貰おう。良い研究材料になりそうだ」ニヤ

絹旗「……」フッ

絹旗(やはり体が…もう駄目ですかね)

絹旗(長かったような短かったような)

絹旗(始めは運命を超呪いましたっけ。それから暗部に入って、残酷な仕事に明け暮れて)

絹旗(でも、皆と過ごす時間は…)

絹旗(麦野、フレンダ、滝壺さん)

絹旗(そして…浜面)

絹旗(浜面…)

絹旗(浜面ッ…)

絹旗(あれ…?)

絹旗(なんで…?走馬灯って一生の出来事が駆け巡るんじゃ…)

123: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/10(土) 21:35:41.97 ID:+8YE5lJAO

絹旗(なんで…)

絹旗(なんで…浜面のことばっかり浮かんできてしまうんですか…?)ポロ ポロ

所長「おやまあ、泣いてしまうとは。今さら怖くなったのかな?」

絹旗(すみません浜面。一緒にお買い物行くって約束、果たせそうにありません)ポロポロ

絹旗(って、これは私が一方的にした約束でしたっけ。えへへ…)ポロポロ

所長「何を笑っているんだ…?まあいい、死なない程度の圧の電流で気絶してもらおうか」

絹旗(もしも"次"があるのなら…また出会えるといいですね)

絹旗(今度はこんな闇の中ではなくて、普通に)

絹旗(普通の街で。普通の…男女として)

所長「……」スッ

絹旗(さようなら)




ゾクッ

浜面「!!」

浜面「なんだ…?今ものすごい悪寒が…」





キキッ

フレンダ「つ…着いた訳よ」グッタリ

麦野「アンタが右と左を間違えるほど馬鹿だったとは驚いたわ。最新のカーナビがあるのに道間違えるなんて」

フレンダ「しょうがないじゃん!運転なんて初めてで恐くてテンパってたんだから!なのに麦野はもっとスピード出せとか…溝を利用してヘアピンカーブしろとか」グスン

麦野「言ってないわよ…どこの頭文字Dよ」

124: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/10(土) 21:36:21.27 ID:+8YE5lJAO

麦野「とにかく、中へ入りましょう。行くわよ滝壺!」

滝壺「うん」

フレンダ「私は待機ね」

麦野「あ」

麦野「行くわよ滝壺!フレンダ!」

フレンダ「素で忘れられてた!?直前まで会話してたのに!」

麦野「もう素性がバレてるかもしれないけど、強行せず慎重に行くわよ」

滝壺「入口に警備員がいるね」

麦野「うーん、ここはフレンダの出番ね」

フレンダ「え?トラップ仕掛けるにはまだ…」

麦野「外人のフリして、困った感じであの警備員と話すの。困惑しているところを狙うわ」

フレンダ「なにそれ…結局、やるにしても何言えばいい訳よ?」

麦野「何でもいいから適当に早口の英語で捲し立てなさい。ほら早く」

フレンダ「えー…仕方ないなあ…」


フレンダ「Excuse me!!」

警備員「?」

フレンダ「'Chart?' Ezzie said blankly. 'What chart,Benjie?' 'This chart takes up the whole wall,Ez,how could you miss it? It's a chart about early people,and it shows human progress up from the apes,the side view of all those different kinds of prehistoric people,like Cro-Magnon man and Pithecanthropus. That chart.'」ペラペラ

125: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/10(土) 21:37:01.65 ID:+8YE5lJAO

フレンダ「'Oh,yeah,I saw it.So?' Benjie could see that Ezzie was eager for him to get on the good part,the violence. His shoulders dropped. He wet his lips. He said,'Well,when I was passing this chart on my way out of history ― and I don't know why I did this ― I really don't. When I was passing this chart, Ez, on my way to math ―' He swallowed several times. 'When I was passing this chart, I took my pencil and I wrote Marv Hammerman's name on the bottom of the chart and then I drew an arrow to the picture of Neanderthal man.'」ペラペラ

警備員「」

フレンダ「'What?' Ezzie cried,'What?' He could not seem to take it in. 'What did you do it for,Benjie?' 'I don't know.' 'You crazy or something?' 'I don't know.' 'Marv Hammerman!' Ezzie sighed. It was a sorrowful sound. 'Anybody else in the school would have been better. I would rather have the principal after me than Marv Hammerman.' 'I know.' 'Maybe Hammerman doesn't know you did it though,' Ezzie said.」ペラペラ

警備員「あの…」

麦・滝「長っ…」

126: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/10(土) 21:37:54.58 ID:+8YE5lJAO

フレンダ「'Did you ever think of that? I mean, who's going to go up to Hammerman and say his name is on the prehistoric chart?' Ezzie leaned forward. 」ペラペラ

滝壺「いつまで続くの?これ」

麦野「ストーリーが終わるまでじゃない?今いいところよ」

フレンダ「'Hey,Hammerman,' he said,imitating the imaginary fool,'I saw a funny thing about you on the prehistoric chart! Now, who in their right mind is going to―'」ペラペラ

警備員「」

フレンダ「'He was right behind me when I did it,' Benjie said. 」

警備員「」

滝壺「なんと…そういうオチか」

フレンダ「'What?' 'He was right behind me,' Benjie said stiffly. He could remember turning around and looking into Hammerman's eyes. It was such a strange, troubling moment that Benjie was unable to think about it.」ペラペーラ

麦野「警備員さん。この人道に迷ったみたいで、なんとかっていう研究所に行きたがって…」

警備員「」チーン

滝壺「失神してる」

フレンダ「And the…あうちっ!」バシッ

麦野「もういいわよ…ご苦労さん、結果オーライだわ。行きましょう」

127: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/10(土) 21:38:38.06 ID:+8YE5lJAO

麦野「それにしても人気が無いわね」

フレンダ「人気?麦野の?」

バシュッ

フレンダ「Woops!!!」ビクッ

滝壺「『にんき』じゃなくて『ひとけ』だよ、フレンダ」

麦野「どうやったら音声を字面で間違えるのよ」

フレンダ「だってー…読み手に分かりづらいじゃん!『大人気ない』とかと同じで誰しも一瞬読み間違えるって!」

麦野「読み手って何言ってんのアンタ」

滝壺「…頭沸いてるの?」

フレンダ「うああ…滝壺に本気で心配そうな顔して言われるとすごい傷付く訳よ…」

麦野「まあいいわ。滝壺、あの"違う"能力の感じが観測されたのはどこから?」

滝壺「感じたのはほんとに僅かだったけど、低い所。地下だと思う」

フレンダ「そこにエレベーターがある訳よ」

麦野「それで地下へ行きましょう」

フレンダ「あ!ボタンを押すのは私なんだから!」ポチットナ

麦野「子供か…」

ウィーン

麦野「それにしても本当に人の気配が無いわね」

滝壺「誰もいなかったね」

フレンダ「……」

麦野「……」

滝壺「……」

麦野「何してるのフレンダ?早く押しなさいよ」

フレンダ「いや、その…」

フレンダ「地下へのボタンが無い訳よ」

128: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/10(土) 21:39:20.20 ID:+8YE5lJAO

麦野「フレンダ、いい?階数表示では『B1』と書いて『地下1階』を意味するのよ?」

フレンダ「いくらなんでも馬鹿にしすぎじゃない!?見てよほら!本当に無いから!」

滝壺「ほんとだ。1階以上しかないね」

麦野「このエレベーターからじゃ行けないのかしら。別ルートを探すわよ」


警備員「」

警備員「!」ハッ

警備員「あれ、俺いつのまに寝て…」

警備員「…じゃない!そうだあの外人の娘!まさか中に入ったんじゃないだろうな」

フレンダ「どうするの?」

麦野「階段を探すわ」

警備員「あ、いた。やっぱり入ってやがったか…」

警備員「おいアンタ!」

フレンダ「?」

滝壺「あ、さっきの人」

警備員「困るよ、勝手に入られちゃ。日本語分かる?えーと、じゃぱにーずおーけー?」

フレンダ「そりゃもちrむぐっ!」ガッ

麦野「この人、英語は話せるけど日本語はほとんど駄目なのよ。どうやらこの研究所に用があるみたいなんだけど、英語の話せる職員はいない?」

警備員「今はいない。というか、今日はもう閉館だ」

麦野「閉館?…随分と早いわね」

フレンダ「んーんー!」

警備員「ああ、よく分からないが急遽そうなった」

129: ◆uZgf.zR4f6 2011/12/10(土) 21:40:12.74 ID:+8YE5lJAO

麦野「そう。じゃあ今ここには貴方以外いないのかしら?」

警備員「その通り……いや、まてよ」

麦野「?」

警備員「そういえばまだ所長さんがいるかもな。俺が気ぜ…ごほん、気づかないうちに帰ったのかもしれんが」

麦野「どういうこと?」

フレンダ(麦野!息が!息がぁッ…!)バシバシ

警備員「所長さんは研究所内に自分専用の実験室を構えているそうで、よく一人で残ることがあるんだ。室内は貴重なデータやサンプルで溢れているとかで部屋の清掃も管理も自ら行っている」

警備員「帰る時間は本人次第で、帰らない日もままある」

警備員「場所はどの職員にも知らされていないそうだが、そこは所長さん本人しか入れない所らしい。エレベーターを用いているから恐らく最上階あたりだろうが…」

麦野「あやふやというか、伝聞推定が多いのね」パッ

フレンダ「ぷはっ!はー…はー…」

警備員「まあ、実際に見たことが無いからな」

フレンダ「あー…危うく窒そkぶほッ!!?」ドスッ

麦野「……」

フレンダ「」

警備員「なあ、さっきも思ったんだがその外人、日本語喋らなかったか?」

麦野「あら、気のせいでしてよ?」ウフフ

フレンダ「」チーン

140: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:31:40.12 ID:VU0Dd4BAO

警備員「…まあいいか。それはそうと、早いとこ出てくれないか?」

麦野「どうして?」

警備員「いやいや、先に言ったが今日はもう閉めてあるからな。悪いが用があるなら明日にしてくれ」

麦野(…こいつは何かを隠しているようには見えないわね)

麦野「断る、と言ったら?」

警備員「はあ?そりゃアンタ、締め出すしか無いだろう。俺は警備員なんだから」

麦野「ふふっ」サッ

警備員「!?」ガッ

ブンッ!

警備員「ぐあっ!」ドサッ

麦野「駄目じゃない。侵入を許した時点で警備員失格よ」ギリギリ

警備員「くっ…何者だ!?」

滝壺「シズリ=カーティス。ただの主婦だ」

警備員「なっ…お前、まさか錬金術を」

麦野「使えねえよ」メコッ

警備員「ギャース!!」

滝壺(メコッ て鳴った)

麦野「私達は地下へ行きたいだけなの。悪いけどちょっと眠ってて貰うわ」

警備員「そうはさせ……ん?地下だと?」

麦野「ええ、そこに恐らくこの研究所の機密が…」

警備員「地下なんてないぞ、ここには」

麦野「何を言ってるの?」

警備員「だからこの建物には地下など存在しない。嘘だと思うなら確かめてみろ」

麦野「…滝壺」

滝壺「うん」

141: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:32:42.51 ID:VU0Dd4BAO

麦野「どうだった?」

滝壺「本当。エレベーターはさっきのしかないし、階段もこの階より下には行けない」

警備員「そらみろ。分かったらお姉ちゃんよ、腕ほどいてくんねえかな」

麦野「……」

警備員「あ、でもこの体勢、何か柔らかいものが当たっtgブルァ!!」メコッ

警備員「」チーン

滝壺(またメコッ て鳴った)キラキラ

麦野「妙ね。滝壺、本当に地下から感じたの?」

滝壺「うん。微弱ではあったけど、位置は間違いない」

フレンダ「」チーン

麦野「お前は早く起きろ」コメッ

フレンダ「へぶっ!」

フレンダ「いたた…なんか悪い夢を見てた訳よ…」

麦野「でも、確かに下に続く階段も無いみたいね」

滝壺「うん。とにかく建物内を回ってみよう」

フレンダ「え結局、今どんな状況なの?」

麦野「絹旗か所長とやらを探すのよ。分散して調べるわ。私が2階、滝壺が3階、フレンダはそれ以外ね」

滝壺「わかった」

フレンダ「りょーか……ってあれ?心なしか私だけ範囲すんごい広くない?」

麦野「各自で合図できるものが欲しいわね。フレンダ何か良い物ない?」

フレンダ「もうこの扱いにも慣れてきた訳よ…。合図かー、ちょっと待って」ゴソゴソ

142: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:33:12.22 ID:VU0Dd4BAO

フレンダ「んー、これとか良いかも!」

麦野「『フレンダ様特製起爆閃光硝煙弾』…ご丁寧に取説まで書いてあるわね」

フレンダ「書いてある通り、ピンを引き抜いて丁度4秒で爆発して、同時に強烈な光を放つ閃光弾ね」

滝壺「これをどうするの?」

フレンダ「有事の際にこれをタイミングよく窓の外に投げる。もう日は落ちかけてるしかなり強烈な光だから、他の人にも雷が光ったときみたいに見えると思う。あ、投げた人は直視しちゃ駄目だからね」

フレンダ「で、起爆したとき硝煙がその場に滞空するようにしてあるから、光に気づいたら窓から見渡して煙を探せば、大体の位置が分かるって寸法な訳よ!なっはっはー!」

麦野「なるほどね。それじゃ急ぐわよ」ダッ

フレンダ「あれ?なんか感想ない!?すごーい!とか、かっけえっす先輩!とか…」

滝壺「大丈夫、私はそんな等閑にされるフレンダを応援してる」ナデナデ

フレンダ「うう…ありがとう滝壺」グスン

滝壺「急ごう。フレンダは私達の3倍動かなきゃいけないし」

フレンダ「そういえばそうだった訳よ…」


~四半刻後~

麦野「何も無いわね…」


滝壺「絹旗…」


フレンダ「!」


バァン!!

143: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:33:45.53 ID:VU0Dd4BAO

ピカッ!

麦野/滝壺「!!」

滝壺「破裂音と閃光…」

麦野(あの煙の位置は5階…フレンダか!)ダッ


~5階~

麦野(この辺りだったわね)

タタタ…

滝壺「むぎの!」

麦野「滝壺」

滝壺「…この部屋かな?」

麦野「恐らくね。後ろについてなさい、私が先に踏み込むわ」

滝壺「うん」


麦野「フレンダ!」バッ

フレンダ「あ」

麦野「……」

滝壺「これは…」

フレンダ「や、やっほー、2人とも」

麦野「…アンタなんで本やら棚やらに埋まってんのよ。敵は?」

フレンダ「えっとですねー、それがですねー」


フレンダ「…という訳でですねー」

麦野「要するにずっこけて誤射したと?」

滝壺「フレンダ、おばかさんだね」

フレンダ「そのまとめ方だと私がすごいアホみたいな訳よ!そうじゃなくてもうちょいエレガンt」

麦野「ああ?」

フレンダ「その通りでございます…」

滝壺「それで、そこから抜け出せなくなったの?」

フレンダ「お恥ずかしながら…」

麦野「分かったわ。助けてあげる」

フレンダ「むぎのぉ~」ウルウル

ピンッ

フレンダ「へっ?なんで閃光……そこに置くの!?え、ちょ、危」

アッー!

144: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:34:11.54 ID:VU0Dd4BAO

フレンダ「あうあう…網膜が…鼓膜が…」プスプス

麦野「そのどうしようもない頭を助けてあげようとしたのよ」

フレンダ「ノーサンキューな訳よ!!てゆーか閃光弾無駄にしないでよー、あれもう無いんだから」

滝壺「大丈夫、まだ私のが」

滝壺「……」

滝壺「フレンダ、ごめん。落としたみたい」

フレンダ「がーん」

麦野「いいわよ別に。もう分散して調べるのはおしまい。一旦下に降りるわ」

フレンダ「また新たに作り直そう…」


~1階~

ウィーン

所長(ひとまずあの大能力者は拘束した。研究に用いるのは明後日以降で良いか。明日は筋肉痛で動けんだろうしな。今日は些か運動しすぎた)

所長「ん?」

警備員「」チーン

所長「おい君。何をこんな所で寝て…」


滝壺「むぎの、次はどこを調べるの?」

フレンダ「結局、本当に絹旗はここにいるのかな?こんだけ探しても誰もいないしさ。あ、さっきの人」

麦野「次はそうね…」


所長「……」


麦野「……」

フレンダ「…あれ誰?」

所長「やれやれ」ダッ

フレンダ「あ、逃げた」

麦野「追うわよ!」ダッ

滝壺「あっちに曲がると確か…」

麦野「チッ、エレベーターか」

145: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:34:43.11 ID:VU0Dd4BAO

麦野「何階に逃げるつもりかしら」

滝壺「……?」

フレンダ「あれ、表示が動いてなくない?」

滝壺「でもドアが開かないよ」

麦野「ふん。ならぶっ壊すまでよ」

バシュッ!!

ウィーン

麦野「…!」

滝壺「下がってる…!」

フレンダ「なるほど、地下ね。…地下?」

ゴウン!

滝壺「止まった」

麦野「やっぱりあったのね…!」バシュッ!!

麦野「チッ、遅かったか。行くわよ!」

滝壺「飛び降りるの?」

麦野「いえ、見た感じかなり高いからワイヤーか作業用のステップを使いましょう」


フレンダ「よっ、と」シュタッ

滝壺「この扉、暗証番号と何かのスキャン認証が必要みたいだね」

麦野「面倒なものは全て破壊するわ」

フレンダ「頼もしすぎる…」

ズカァン!!


所長「……」

滝壺「いた!」

麦野「だだっ広い空間に出たわね」

所長「…ようこそ、とは言い難いな」

麦野「あら、お客様に対して失礼じゃない?」

所長「玄関を消し飛ばすような客を招いた覚えは無いぞ。茶菓子のひとつも出す気になれん」

麦野「結構よ。消費期限切れのまずいお菓子なんか食べてお腹を壊したくはないから」

所長「…とんだ悪客が来たもんだ」

146: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:35:10.71 ID:VU0Dd4BAO

麦野「そうね。貴方にとっては私達は招かれざる客ってとこかしら」

所長「…そうだな」フフ

麦野「あら、何か可笑しかった?」

所長「いやいや、似た表現をさっきも聞いたような気がしたんだよ」

フレンダ「さっきも…ってまさか」

所長「窒素使いの大能力者からね」

麦野「ッ……」

滝壺「きぬはた…!」

所長「ああ、そんな名前だったかな。データベースで見た記憶がある」

フレンダ「絹旗をどこにやった?」

所長「残念ながらそれは言えない。貴重な実験材料だからね。なに、今はまだ命に別状はない」

フレンダ「くっ…」

所長「ところで、君達暗部は何の目的でここに来たんだ?私はてっきり君達を学園都市上層部が依頼した殲滅部隊か何かだと思っていたのだが」

所長「まるで仲間を取り戻しにでも来たみたいじゃないか。学園都市の"闇"というのも存外情緒ある人員で構成されているんだな。ごっこ遊びでもやっているつもりか?」

フレンダ「そんなの…」

麦野「仲間意識は大切よ?」

麦野「任務を遂行する上で碌に連携の取れない人材はただの足枷にしかならないわ。それにレベル4の能力を持つとなれば、そもそもの個人が相当の戦力になる」

147: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:35:43.45 ID:VU0Dd4BAO

麦野「いくら補充が効くからといって、抜けた穴を埋めるのは簡単じゃないの。絹旗はみすみす手放すことの出来ない有能な仲間なのよ」

滝壺「むぎの…」

所長「そうか。まあその有能な仲間とやらは、己の力量を見誤り、調査不十分のまま単身で乗り込んだ果てに朽ちるという無能っぷりを見せてくれたがね」ニヤッ

麦野「殲滅部隊と言ったかしら。…無論、このチンケな研究所をブチ壊しに来たのもあるのよ」ニコッ

所長「…君もまた自分の力量を測り違えているようだな」

麦野「そう?私はちゃんと超能力者(レベル5)の判定が出ているわよ」サッ

所長「まさにその過信のことを言っているんだ」

バシュッ!!

フッ

麦野「!」

滝壺「消えた…!?」

フレンダ「麦野!後ろ!後ろォ!!」

滝壺「それしむらや」

所長「はっ!」グオンッ

麦野「チッ!」ブウンッ

ジュッ!

所長「やはり原子崩し。鉄でもお構いなく融かしてくるか」フッ

麦野(いつの間にか手に持っていた鉄棒…そしてあの移動)

麦野「…瞬間移動系の能力者ってわけね」バシュッ!

所長「ハズレだ」フッ

麦野(またテレポートか)

麦野「ご老体だからって体を労ってばかりじゃ余計鈍っていくわよ?」

148: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:36:09.06 ID:VU0Dd4BAO

所長「今日はもう充分に運動したとも。筋肉痛で1日動けなくなるくらいにね。だから明日は休みを取ったよ」

麦野「わざわざ休みを取らなくてもよかったのに。これから永い永い長期休暇に入るんだから」

所長「くくっ…君達は本当に発言がよく似ているな」

フレンダ「ていっ!」ボンッ

所長(…?なんの煙だ?毒性があるとまずいが)

所長「!」

ドカァン!!!

麦野(目眩ましの煙幕だったわけね)

フッ

所長「ふう、危うく爆発に巻き込まれるところ…」

フレンダ「はい、いらっしゃい」

所長「なっ!?」

メキッ

所長「ぐはあっ!!」

フレンダ「これ、オマケね」ポイッ

所長「!!」

ズガァン!!

フレンダ「ちぇー、また逃げられた」

所長「……」ハァ ハァ

所長「ちっ…爆弾小僧め」

フレンダ「ちょっとちょっと、この美少女のどこが小僧な訳、よっ!」シュッ

所長「ふん、当たらんぞ」フッ

フレンダ「……」ニッ

所長(曲がって…!?しまった、手裏剣か!だが飛距離が無い)

フレンダ「ところがどっこい!足元でドカーンと…」

シーン

フレンダ「…ありゃ?」

フレンダ「も、もう一丁!もう二丁!」シュッ シュッ

カッ

カッ

所長「……」

149: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:36:40.05 ID:VU0Dd4BAO

フレンダ「あれれー?」チキチキチキ

滝壺「不発だね」

所長「そのようだな」

麦野「……」

フレンダ「えっとぉー…」

フレンダ「てへっ♪」ペロッ

麦野「……」

フレンダ「ごめんなさいごめんなさい!怒っていいからなんか反応して!無反応が1番辛い訳よ!リアクションぷりいいず!!」

所長「悪いがコントに付き合う気は無いんだ。こちらから行かせて貰おう」バッ

ビシュッ!!

所長「おっと!」

麦野「油断してると火傷するわよ?」

所長「火傷程度じゃ済まないだろうな。なに、油断はしない」

フレンダ「……」チキチキチキ

麦野「はっ!」バシュッ!

所長「なんの」フッ

フレンダ「とりゃっ!」ポイッ

ボンッ

所長「また煙幕か。全く、芸が無……うっ!?」

フレンダ「見た目は同じでも、さっきと違って催涙ガスよ」

所長「ちっ…」バッ

所長(…わずかに目が霞むな)ゴホッ ゴホッ

フレンダ「……」チキチキチキ

バシュッ!!

所長「!!」

麦野「外れたわね…フレンダ、あんまり煙たい武器使わないでくれる?視界が悪くなるのはこっちも同じなんだから」

フレンダ「ごめんごめーん。でも私は爆弾使いだから、ある程度は許してね」

所長「ふう…」

150: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:37:50.93 ID:VU0Dd4BAO

所長「やはり多勢に無勢では不利は拭えないな」

麦野「果たして数の差だけかしら?」

麦野「どうやら貴方のテレポート、自分の身体の移動と物体の手元へのアポートしか出来ないようね。それに範囲と距離も小さい。レベルの低い瞬間移動だけでは攻撃の回避が関の山よ」

所長「まあ、そうだろう」

麦野「随分とあっさり認めるのね」

所長「……瞬間移動だけ、ならな!」

ボウッ!!

麦野「!」バッ

滝壺「火…!?」

麦野(どういうこと…?)バシュッ!!

所長「……」フッ

所長「はっ!」

麦野「!!」ブウンッ

バチイッ!

麦野「くっ…」

フレンダ「今度は電撃…!?」

所長「まださ。驚くがいい」

滝壺「周りのものが浮いた…!」

麦野「念力…?いや」

所長「風力だ!」ヒュオッ

麦野「チイッ」バッ

フレンダ「あいつ…何個能力を持っている訳よ…」

滝壺「ありえない。二重能力どころか、多重能力だなんて…!」

麦野「信じられないけど、ありえてるモンは仕方ないわ!」ビシュッ

ズガン!!

所長「なるほど、散弾か…あまり設備を壊さないでくれよ」ヒュッ

麦野「やっぱりそっちね!」

ビシュッ!

所長「!!」

フレンダ「当たった!」

151: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:38:24.48 ID:VU0Dd4BAO

麦野「こう何回も逃げられていると、段々とパターンが掴めて…」

麦野(おかしいわね…今…)

滝壺「ッ!むぎ…!」

バリィッ!!

麦野「がああっ!!?」

所長「手応えが無かった、だろう?」

フレンダ「そんな!確かに命中したはずじゃ…」

所長「当たったさ。実体ではない私にね」

フレンダ「どういうことよ?」

滝壺「たぶん、偏光能力…!」

所長「御名答。低範囲の攻撃ならば、瞬間移動を使わずとも回避できる」

フレンダ「そんなものまで…?アンタ、いくつ能力を持っている訳よ!」

所長「今ので全部だ。目下のところ、私の研究の全てだな」

滝壺「所有可能な能力は1人につき1つ。これが原則で、複数の能力所持に繋がる脳の解析はまだほとんど進んでいない。そう聞いていたけど…」

所長「その通りだよ。目下のところ本質的な二重および多重能力の実現に至った研究は存在しない」

麦野「ぐっ…」ヨロッ

フレンダ「麦野!大丈夫…?」

所長「現に私も厳密には多重能力者ではない。と言うかだ、そもそも能力者ですらないんだよ」

麦野「なに…?」

所長「まあ、同じ話をさっきもしたのでね。能力の異形態とでも認識しておけば良い」

152: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:38:54.95 ID:VU0Dd4BAO

麦野「…煮え切らないけど、今は気にしないことにするわ」

所長「そうするがいい。多重能力というものは、戦闘の場において個々のレベル差を補って有り余る応用力を持っている。それを身を以って知ることだな」

フレンダ「アンタにそれほどの実戦経験があるっていうの?」

所長「昔の話だがな。長いブランクの埋め合わせと模擬戦闘はさっき済んだ。あのレベル4のおかげでな」

麦野「……」

フレンダ「麦野」

麦野「?」

フレンダ「……」チラッ

麦野「……了解」

フレンダ「いく訳よ」チャッ

フレンダ「えいっ!」ヒュン

ボウンッ!!

所長「…煙が好きなようだな。若いうちから煙草に手を出すと碌なことが無いぞ」ヒュオッ!!

麦野(風で煙幕を晴らしてきたか。種明かしが済んだ今、瞬間移動のみを使う意味は無いわけね)

所長「機密性の維持に焦点を当てている構造上、この部屋は換気が弱いんだ。あまり空気を汚さないで欲しいね」

麦野「そう。なら貴方が呼吸を止めれば良いんじゃないかしら?」

所長「…面白いことを言うな。まずはその口を塞いでしまおうか」

麦野「なんか表現が気持ち悪いわね。貴方に奪われるくらいならアイツに奪ってもらうわよ」

153: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:39:24.34 ID:VU0Dd4BAO

所長「どういうことだ?」

麦野「何でもないわ。こっちの話。それよりいいのかしら?そんな所で突っ立っていて」

所長「!これは…ぬいぐるみ?」

カッチカッチカッチ

所長(いや、時限爆弾か!いつの間に…)フッ

ドオンッ!!

所長「ふう…だいぶ離れてしまったな」

所長「そういえばあの爆弾女の姿が見えないが」

フレンダ「よんだかな?」ブンッ

所長「!」ガッ

フレンダ「ちゃんと周囲を警戒しなくちゃダメな訳よ…!」ググッ

所長「親切だな。今爆弾を使えば負傷くらいはさせられたんじゃないか…?」グググ

フレンダ「あいにく、この距離でうまく使えるヤツを持ってきてないのよねっ…!」グッ

所長「そうか」フッ

フレンダ「!」スカッ

所長「そい!」ブンッ

フレンダ「よっと」サッ

フレンダ「てやっ」ボウンッ!

所長「また煙幕か…」

フレンダ「退散!」スタタター

所長「…?」

ビシュッ

所長「っ!」サッ

麦野「チッ…」

所長「危ない危ない。遠方からでも威力は変わらないな」

所長「さて、そろそろ終わりにしようじゃないか」

麦野「自害でもするのかしら?」

所長「まさか。このままでは埒が明かないからね、戦い方を変えるんだよ」


154: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:39:53.10 ID:VU0Dd4BAO

麦野「何か奥の手でもあるみたいね」

所長「奥の手か。さあ、どうだろうな」

麦野「ま、どっちでもいいけどね」バシュッ!

所長「そのレーザーももう見慣れたぞ」サッ

麦野「これならどう?」ビシュッ!

所長「どこに撃って…」

所長「ッ!」バッ

麦野「繰り出す光線の種類によっては反射させることもできるのよ?」バシュバシュッ!!

所長「…エアホッケーと同じだな。跳ね返る軌道には対応しづらい」ババッ

所長「だが多重能力を操る私にしてみれば、避けるのは容易いことだ」フッ

麦野(偏光と瞬間移動…厄介ね)

所長「人数の利をもってしてもこの様だ。攻撃が当たらない以上、そちらの敗北は…」

フレンダ「麦野!おっけーな訳よ」

麦野「遅いっつーの」

所長「なんだ?」

麦野「さあ?なにかしらね」ビシュッ!

所長「だから当たらんと…」フッ

フレンダ「どうかなっ」ピンッ

フレンダ「せい!」ポーン

所長(手榴弾?天井近くまで放って何のつもりだ?)

所長「かわすまでもない。先に爆破させて…」

パカッ

『ハズレ』

所長「…は?」

フレンダ「はっずれー♪」

フレンダ「んで、残念賞はコレな訳よ!」

所長「!!」

ズガガガガァン!!

155: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/04(水) 05:40:22.83 ID:VU0Dd4BAO

パラパラ…

麦野「……」

フレンダ「残念賞で大当り、ってね」

滝壺「フレンダ、今のは…?」

麦野「回避能力の高い敵が相手なら、回避が不可能なほどの広範な攻撃を仕掛ければ良い」

フレンダ「けどそんな大きな爆弾は持ってきてなかった」

滝壺「うん」

フレンダ「なら結局、ここで作っちゃえば良い訳よ」

滝壺「作る?」

フレンダ「このテープ。私特製の爆薬が一面に塗りこんであるんだよね」チキチキ

フレンダ「これにある一定以上の電圧をかけると」チャキッ

ボンッ!

フレンダ「こんな感じに一瞬で爆発。導火線も兼ねてるんだよね」

滝壺「おおー」

フレンダ「あとは上に投げたハズレ手榴弾。あれの中身は空っぽじゃなくて、とある起爆性粒子が詰め込んであったの」

フレンダ「地面のテープを起爆剤に誘爆が起きて、広範囲に爆破攻撃ができるって訳よ」

麦野「なかなかの威力だったわね」

フレンダ「何度も改良したからね…実用的な威力を得るまでものすごい苦労したもん」

フレンダ「あ!あとね、これ夜にやると綺麗な訳よ!粒子は広がりながら落ちるから、爆発の光がライトアップされたクリスマスツリーみたい…」

滝壺「!」

バチィッ!!

166: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/09(月) 00:19:09.64 ID:mFQTIA6y0

フレンダ「がッ…!」

滝壺「フレンダ!」

フレンダ「」ガクッ

所長「…やってくれるじゃないか」ゼェ ゼェ

麦野「…!」

所長「今のは…痛かった」

所長「痛かったぞおおおお!!!」

麦野(フ〇ーザね…)

滝壺(フ〇ーザ…)

ボウッ

所長「おおお!」バッ

ボワッ!!!

滝壺「大きい…」

麦野「放った火炎に風を当てて助燃…!そんなことも出来るのね」バシュッ!

麦野(チッ…防ぎきれないか!)バッ

所長「はああっ!」ヒュオンッ

麦野「ぐっ…!」

麦野「…滝壺、無事?」

滝壺「うん…なんとか」

所長「まだだ!まだ終わらんよ!」

麦野「ッ…」ビシュッ!!

バキンッ!

所長「…!?」シーン

所長(能力が…使えない?)

ウィーーン

滝壺「…何か出てきたよ」

麦野「……子供?」

所長「おやおや」

麦野「何かしら?これは」

所長(今までの戦闘の衝撃と先のレーザーで機械がイカれたか…それに)

所長「まあ、秘密の種といったところだな」

所長「その子供達は能力源だ」

滝壺「能力源…?」

麦野「話が見えないわね。能力というのは、能力者の能力のことかしら?」

所長「いかにも。言ったね、私は能力者ではないと」

167: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/09(月) 00:19:48.36 ID:mFQTIA6y0

麦野「能力の異形態、だったかしら?」

所長「そういうことにしておいたかな。とにかく、私の能力は私のものではなく、本来その子達のものなんだよ」

滝壺「その能力がなぜ…」

所長「能力の譲渡さ」

麦野「能力の譲渡?聞いたことがないわ」

所長「多重能力の研究過程で見つけた私の研究成果の1つだよ。まあ、本質的な多重能力とは結びつかないものだがね」

麦野「どういう仕組みか知らないけど、その子達が多重能力の源だっていうなら…」

所長「その能力源を断ってしまえば良い、か?なに、その必要は無い」カツ カツ

所長「…既に私は能力を使えなくなっているんだよ。君らが暴れて機械を壊してくれたおかげでね」

麦野「なに?」

所長「さらに、機械側に不正な処理が行われたと判断されてしまってね。タイマーが作動し始めたよ」

滝壺「タイマー…?」

所長「自爆装置さ」ピッ

麦・滝「!」

所長「ここは残り数分で跡形もなく消し飛んでしまう運命になった」

麦野「いろいろと解せないわね…。仮に本当に能力が使えなくなっていたとして、それをわざわざ教えて何か良いことでもあるの?」

所長「メリットは…特に無いな」

麦野「……」

168: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/09(月) 00:20:29.73 ID:mFQTIA6y0

所長「しかしまあ、デメリットも無い」

麦野「あるでしょ。今が殺し時だって言っているようなもんじゃない」

所長「…さっきとあるスイッチを押したんだが、そろそろ充分な効果をもたらす頃だな」

キイイイイイイイン

麦野「……ッ!!?」ズキン!!

滝壺「むぎの!?」

麦野「ぐあっ…!?ああああッ…てめェ……何を……した…!?」

所長「『AIMジャマー』なるものをご存知かな?」

滝壺「…能力者のAIM拡散力場に干渉して、能力の暴走を促す対能力者装置」

所長「正解だ。これはそれに類似した対能力者装置だな。理論は全く異なるがね」

麦野「…ぐッ…がああ」

所長「フィールドに干渉した結果、力は方向性を失うようになり、能力が暴走ではなく発現不可能な状態を引き起こす。出鱈目に跳ね返った力は能力者本人に返還され、体内の一部の電気信号を狂わせ激痛をもたらす」

滝壺「むぎの!しっかり…!」

所長「自爆装置の起動は予想外だが…まあいいだろう。ここはもはや機密性が保たれているとは言えん」

所長「もうじき場所を移す予定ではあった。準備が不十分な今では失うものは多いが、何十年も前に逆戻りする訳ではない」

麦野「い……ッあ…」

169: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/09(月) 00:21:19.21 ID:mFQTIA6y0

所長「ところで、君も能力者だと思っていたが」

滝壺「…私は能力者。でも、普段は無能力とほとんど変わらない」

滝壺(少し頭が痛いけど…)ズキッ

所長「特殊体質なんだな。あと戦えるのは君だけのようだが、どうするのかな?私としては早く脱出したいんだけどね」

滝壺「……」

滝壺(私はいつもむぎの達に守ってもらってばかりで、滅多に能力は使わないし、体術に長けているわけでもない)

滝壺(能力の戦闘じゃなくなった今、体晶も全く意味が無い。だけど…)

滝壺「させない。あなたは私が倒す」キッ

所長「ほう…良い眼だ」

麦野「ぐッ……滝……壺!」

滝壺「ごめんむぎの、もう少しだけ耐えて」サッ

所長「構えも立派だ。ここはひとつ、己の肉体のみでの真剣勝負!」

所長「…としてやりたいのは山々なんだが」ゴソッ

滝壺「…?」

所長「生憎、このご老体にはもう負担が大きすぎるんだよ」チャキッ

麦野「っ……!」

所長「どうにも能力者同士の戦いでは軽視されがちだがね。能力無しの戦闘では、勝敗を決定付けるほどの威力を持つ武器だろう」ニヤッ

滝壺「拳銃…!」

所長「能力が使える状況ならば、私も肉弾戦に臨んだかもしれないな」

170: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/09(月) 00:22:04.26 ID:mFQTIA6y0

所長「電気使いも慣れてくれば、身体能力を高めることが可能だからね。肉体強化ではないから負荷が掛かるが」

所長「それにしても、充分に装置の効果が認められたな。試験的に成功していたから能力者に対して有効である確率も低くないと踏んではいたが、見事に効果覿面だ」

麦野「ぐうっ……ああ…」

滝壺「……」ズキッ

所長「爆弾女を先に潰しておいたのは賢明だった。彼女は能力者では無かったようだしな」

滝壺「フレンダ…」

所長「能力というのはまだまだ謎の多い未完成なものだ。これから研究が進むにつれ、新しく判明する何かに私は大きな期待を寄せている」

所長「君は能力によりAIM拡散力場に干渉できると言ったね。君の能力は大いに研究の道を切り開く鍵となりうるものだ。是非利用させてほしい」

所長「どうだ。私と協力する気はないか?多少実験に苦しむこともあるだろうが、相応の待遇を施すことは約束しよう」

滝壺「誰が…」

所長「さらに、君のメンバーの命も保証しよう。このままでは施設もろともオダブツだろう?」

滝壺「…!」

麦野「ぐっ…駄目よ、滝壺…!」

滝壺「でも、そうしないと皆が…」

「その必要はねえぞ、滝壺」

171: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/09(月) 00:23:28.10 ID:mFQTIA6y0

滝壺「!」

所長「……」

浜面「そんなジジイに協力する必要なんざねえ」

滝壺「はまづら…!」

所長「とんだ邪魔が入ったな。君は『アイテム』の新入りか何かか?」

浜面「ああ。雑用係だがな」

滝壺「はまづら、今このフィールドには能力者を苦しめる電波みたいなものがあるの」

浜面「それで麦野が…」

所長「雑用か。なるほど、君は無能力者なんだな。だからそのように平然と立っていられる訳だ」

浜面「へっ。無能力が役に立つとは珍しいぜ」

所長「だが、それだけだ。無能力は所詮無能力。銃相手に何ができる?」チャキッ

浜面「……」

浜面「確かに、今のは俺には能力もなきゃ銃も無い」

滝壺「はまづら…」

浜面「けどな」

所長「?」

浜面「俺には魔法が使える!!」ドン

麦・滝「!?」

所長「……」

所長「…ぷっ…はっ…はははははははは!」

所長「魔法?魔法だと?超能力が使えないことに痛恨極まってオカルトごっこにでも走ったか?」

浜面「笑っていられるのも今のうちだ。俺が崩壊の呪文を唱えたが最後、お前はもはや戦闘不能になる」

滝壺「はまづら、何を…!?」

所長「くくっ…面白い。やってみたまえ」

172: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/09(月) 00:24:14.61 ID:mFQTIA6y0

浜面「なら、遠慮なくやらせてもらうぜ。後悔するなよ」

所長(崩壊の呪文?馬鹿げている。そんなものがあってたまるか)

浜面「はあああああああ…!」

滝壺(何が起こるの…!?)

コーン コーン…

所長(ん?何か跳ねて…)

浜面「バルス!!!!!」

ピカッ!!!ドンッ!!!

所長「!?」

滝壺「!!」

所長「ぐあああああ!?目が…!目があああああ!!」クラッ

浜面「今だ!」ダッ

浜面「オラァ!!」ブンッ

ドゴッ!!

所長「がッ……!」

所長「」チーン

浜面「ふう」

滝壺「うっ……はま…づら」

浜面「悪いな滝壺、巻き添い喰らわせちまって。事前に教えちゃ効果無いからな」

滝壺「今のって…」

浜面「ここにくる途中で拾ったんだよ。フレンダお手製の閃光弾」

滝壺「多分、私が落としたやつ」

浜面「そうなのか。それで、麦野が倒れてる理由は分かったけど、フレンダは?それに絹旗の姿が…」

滝壺「そうだ…!はまづら、この部屋は自爆装置が作動しているの!」

浜面「自爆装置…!?」

滝壺「フレンダは多分気絶してるだけだと思う。けど、絹旗の居場所が分からない。この部屋の中のはずだけど…」

浜面「時間が無い…か」

187: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/21(土) 22:00:03.71 ID:yHun/HtAO

浜面「フレンダ!おい!フレンダ!」ペシペシ

フレンダ「んっ…あれ?浜面…?」パチッ

浜面「大丈夫か?」

フレンダ「そっか。私、気を失ってたんだ」

フレンダ(なんか今回気絶キャラだなー…)

滝壺「ようやく、視界がはっきりしてきた」

浜面「よし、滝壺とフレンダは麦野を連れて脱出してくれ!俺は絹旗を探す!」ダッ

滝壺「待って。これを」サッ

浜面「俺の携帯…お前が持ってたのか」

滝壺「急ごう、はまづら」

浜面「ああ!」ダッ

フレンダ「あのー、毎度で悪いんだけど状況説明を…」

浜面「すまん、滝壺に聞いてくれ!」

フレンダ「ちょ…」

滝壺「フレンダ、むぎのの左肩を支えて!私は右肩を支えるから!」

麦野「ぐっ…あぅ…」

フレンダ「り、りょーかいな訳よ!それで滝壺、状況を説m」

滝壺「察して!」

フレンダ「あ…はい」シュン


浜面「爆発まであと何分だ…?自爆装置の解除とかできねえのか…」

所長「」チーン

浜面(こいつを起こして脅したところで無駄だろうな。絹旗の居場所にしても)

浜面(ん?この数字…カウントダウンしてるってことはこれが制限時間か?)

浜面「だとすると…あと5分ちょいか!」

188: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/21(土) 22:00:47.97 ID:yHun/HtAO

浜面(まずいな。具体的なリミットが分かったのは良いが時間がなさすぎる。遮二無二にでも探すしかないか…!)ダッ

浜面「絹旗!!聞こえるか!?聞こえたら返事してくれ!」

浜面「……」シーン

浜面「くそっ…見当がつかねえぞ」

浜面「絹旗ぁー!!」


~研究所前~

滝壺「とりあえず、むぎのを後部座席に寝かせよう」

フレンダ「そうだね。よい…しょっと」トサッ

麦野「うっ…」

滝壺「むぎの、具合は?」

麦野「ええ…あそこから離れたからだいぶマシになったわ。チッ、ただの機械で能力者を内側から攻撃するなんて…いったいどういう理論なのよ」

滝壺「分からないけど、とにかくここならあの装置の干渉は及ばない」

フレンダ「そうだ!私は無能力者だし、絹旗を探しに行ったほうが…」

滝壺「待って。その必要は無い」

フレンダ「え?」

滝壺「能力を妨害されないここからなら、能力追跡が可能なはず」パカッ

フレンダ「ちょっ…滝壺!」

滝壺「大丈夫。私の能力もAIM拡散力場への干渉。きっと妨害電波にも対抗できる」

フレンダ「そうじゃなくて…」

滝壺「お願い。今回私は…私だけが、何もできてない。皆に迷惑しかかけてない」

189: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/21(土) 22:01:21.71 ID:yHun/HtAO

フレンダ「そんなことは…」

滝壺「ある。最後くらい、皆の役に立ちたい…!」

麦野「滝壺…」

滝壺「だから、お願い」

フレンダ「っ…」

麦野「分かったわ。…やりなさい」



~研究所地下~

浜面「くそっ」バンッ

浜面(あと3分くらいか…!どうする?つーか本当に絹旗はここにいるんだろうな!?)

trrrrrrrr

浜面「!」

浜面「着信…?滝壺?」ピッ

滝壺『はまづら、きぬはたは見つかった?』

浜面「いやまだだ。それと爆発まで残り3分と少ししか…」

滝壺『X=0.0002316408、Y=-0.0008733295、Z=0.0000041967』

浜面「…へ?」

滝壺『今のは、はまづらから見た、きぬはたまでの絶対座標軸上での質点の差。つまり、はまづらがそこから動くべきベクトル成分』

浜面「えっと、じゃあ絹旗は近くにいるんだな!?」

滝壺『うん。案内するから、はまづら、一旦まっすぐ進んで』

浜面「ああ」ダッ

滝壺『…そのまま大体2時の方角に向かって』

浜面「2時ってと…こっちか」ダッ

浜面「滝壺、このまま行くと壁に当たるぞ!」

滝壺『近くに扉か何かない?』

浜面「あった!……チィッ、鍵が掛かってやがる!」ガチャ ガチャ

190: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/21(土) 22:01:49.08 ID:yHun/HtAO

滝壺『たぶん、絹旗はその中にいる!』

浜面「分かった!…って滝壺…」

滝壺『……』ハァ ハァ

浜面「お前、またアレを…!」

滝壺『大丈夫。私ができるのはこれくらいしかないから…!』ハァ ハァ

浜面「けど…」

滝壺『だから、はまづら。必ずきぬはたを助けて!今きぬはたを助けられるのはもう、はまづらしか…』

滝壺『っ!げほっ!ごほっ』ハァ ハァ

浜面「……分かった。ありがとな、滝壺」

滝壺『うん…』

ピッ

浜面(ドアをブチ破るか?…いや、幸いアナログ錠だ。うまくやればピッキングのほうが早いかもな)チャリッ

浜面「このタイプの鍵は…」カチカチ

浜面(あと何分だ?くそっ!落ち着け俺、冷静さを欠くとパフォーマンスが落ちるぞ!)カチカチ

浜面「っ…これで準備オーケー…だよな」クッ

浜面「頼む!開いてくれよ…!」


――――――――――――――
――――


絹旗(……)

絹旗(…あれ?ここは?)

絹旗(私、どうしてたんでしたっけ)

絹旗(!そうだ、私は研究所での戦いで…)

絹旗(…超やられてしまったんですね。そして、ここはあの世か、そこへ続く道中とかですか)

絹旗(何も無い…三途の川も、お花畑も、何も)

191: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/21(土) 22:02:15.31 ID:yHun/HtAO

絹旗(ただひたすらに超真っ白です)

絹旗(お迎えを待っているんでしょうか?)

絹旗(ふふ、死後の世界ですか。ちょっと楽しみですね)

絹旗(何かに生まれ変わるんでしょうか。それとも審判を下されて天国か地獄に……まあ、間違いなく私は地獄でしょうけど)

絹旗(……どうせなら天国がよかったなぁ。そうすれば、世界が俯瞰できたりするんですかね。皆のこともバッチリ見れちゃったりして)

絹旗(浜面のことも四六時中監視して…着替えとかお風呂とかも…ぐへへ)

絹旗(ってえええ何を考えてんですか私は!!ナシ!今のは超ナシです!!)

絹旗(……///)ハァ ハァ

絹旗(あ、迎えが来ました。すご、天使って初めて見…)

絹旗(ん?何かあの天使、バランス悪いというかキモイというか……ってか浜面!?)

浜面天使(きぃぬはたぁ~)フワフワ

絹旗(なんで顔だけ浜面なんですか!?超キモイです!!うわああこっち来る!!)

浜面天使(きぃぬはたぁ~~)フワフワ

ギャアアア…

――――――――――――――
――――


絹旗「ああああああ!!!」ガバッ

浜面「のああ!?」ビクッ!!

絹旗「はあ…はあ……え?浜面?」

浜面「お、おうよ」

192: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/21(土) 22:02:41.24 ID:yHun/HtAO

浜面「よかった、気がついたか」

絹旗「どうしてここに…」ジャラッ

絹旗「なんですか、この手錠?」

浜面「ああ、そりゃ…」

絹旗「!?まさか、超拘束プレイをしようっていうんじゃ…!」

浜面「言わねえよ!つーか聞け、今はそれどころじゃねえ!」

絹旗「ふん、誤魔化そうとしているあたりが怪し……があッ!?」ズキン!!

浜面「!?どうした絹旗!?」

絹旗「急に…全身に痛みが…」

浜面(そうか!能力者を攻撃する装置はまだ…)

浜面「くそっ!この手錠さえ外れれば…!」ガンガン

絹旗「浜面…?」

浜面「絹旗、今この研究所の地下では能力者のみを攻撃する電波みたいなものが放出されてるらしい」

絹旗「そんなものが…?ぐっ!」

浜面「そして、地下を消しとばす自爆装置が作動している。リミットは残り1分半ってところだ」

絹旗「な…!」

浜面「他の皆には麦野を連れて脱出してもらった。だから後はこの手錠の鎖さえ切れればなんだが…」ガンガン

絹旗「……」

浜面「くそっ!絹旗の能力が使えれば…!」

絹旗「そう…ですね。しかし今は…うぐっ…使えそうに…ありません」ハァ ハァ

浜面「他に何か方法は…」

絹旗「……」

193: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/21(土) 22:03:13.49 ID:yHun/HtAO

絹旗「…ありますよ」

浜面「本当か!?教えてくれ!」

絹旗「ええ…」ハァ ハァ

絹旗「私を置いて逃げて下さい」

浜面「!?」

絹旗「そうすれば…浜面は…助かります」ハァ ハァ

浜面「ばっ…何言ってんだ!それじゃ意味ねえだろ!!」

絹旗「意味なくなんか…ぐっ…ありません」

絹旗「ここでの研究には…子供達が使われていました」

絹旗「彼らは…元は私と同じ、置き去りです」

浜面「…!」

絹旗「親に見捨てられ、生きる場所を失った子供達」

絹旗「死んだほうがマシな人生を辿る私なんかよりも…もっと残酷な運命を背負って彼らは…"生かされて"いました」

絹旗「まだ…彼らの人生に、救いの道はあるのかもしれません。普通の人生を送れるようになる奇跡が…起こったかもしれません」

絹旗「[ピーーー]ば楽になれるとか…生まれ変わりがあるとか…信じているわけではありません。うぐっ……ですが…少なくとも今のまま"生かされて"しまうよりは…研究の"道具"としてただ利用されるよりかは」

絹旗「彼らを…救いのある道へと誘える…そう…思うんです」

浜面「……」

絹旗「だから無意味なんかじゃ…ありません。早く…逃げて下さい、浜面!」

194: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/21(土) 22:04:07.94 ID:yHun/HtAO

絹旗「2人共死ぬより、1人でも助かったほうが良いでしょう!逃げて下さい!」

浜面「……断る」

絹旗「っ…どうしてですか!?私を助けに来たんだとしても、そのことで浜面まで死んでしまったら超本末転倒じゃないですか…!」

絹旗「そもそも私は暗部です!補充はいくらでも利きます!死んだほうがマシな人生を送る、生きている価値なんてない、害を振り撒くだけの人間なんです!もはや後戻りできない闇にまで堕ちてしまった災厄です!」

絹旗「だけど浜面は違います!暗部の一員になりつつあっても、諦めなければまだ救いの手立てがきっとある!やり直せるかもしれないんです!」

絹旗「それなのに…私みたいな奴のために命を落としたら…!っ…どうして!どうして逃げないんですか!?」

浜面「絹旗…」

浜面「悪い、全然意味分かんねえ」

絹旗「…!?」

浜面「お前と俺じゃ生きてきた世界が違いすぎる。お前が見てきた闇ってのが俺には分からない」

浜面「苦しいだとか辛いだとかで片付けられないってのは分かっても、実際にどんなもんだったかってのは見当すらつかない。だから、お前の言ってることが俺にはさっぱり分かんねえんだよ」

絹旗「……」

195: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/21(土) 22:04:36.48 ID:yHun/HtAO

浜面「死んだほうがマシだとか、生きている価値が無いとか、そんなことが簡単に言えちまうくらいの闇に浸かりながら今まで生きてきたんだよな。やっぱり俺には想像つかねえよ」

浜面「けどよ」

浜面「今は…どうなんだ?」

絹旗「…!」

浜面「そりゃあ、やってることは正しいことなんかじゃない。仕事は非情で、今回みたいにいつだって死と隣り合わせだ」

浜面「でも、皆と過ごす時間はどうだ?学園都市暗部としての『アイテム』じゃなく、日常を共にする『アイテム』の仲間と居る時間は、そんなに悪いモンか?」

浜面「俺も配属された当初は思ったぜ。雑用係としてこれから毎日こんな破天荒な四女に足蹴にされる人生なのかって、運命を呪ったもんだ。今だってその役目は変わっちゃいない」

浜面「だけど、それでもいいかなって。そう思える自分がいるんだ」

浜面「どんなに不安定な日常でも、こいつらと一緒にバカやってられる。これももしかすると幸せなんじゃないかって」

浜面「これからもこいつらと一緒に生きていきたいって。そう思ったりもすんだよ」

絹旗「浜面…」

浜面「言ったな、俺にはお前が分かんねえ。お前はどう思ってたのか、分かんねえ」

196: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/21(土) 22:05:30.62 ID:yHun/HtAO

浜面「だから逆に、俺が今から言うことはお前には理解できないかもしれない」ドサッ ドサッ

絹旗「!?」

浜面「一度しか言わねえからよく聞いとけよ」ドサッ ドサッ

絹旗「浜面…何を…?そんなことしたら…!」

浜面「ふう…」パンパン

浜面「どうして逃げないか……だっけか」


浜面「そんなの決まってる。俺がお前と一緒に生きていたいからだ」

絹旗「……!!」

絹旗「な…な……///」

浜面「だから俺は賭けに出る。生きるほうに賭ける。こんなもんで助かるかは分かんねえけどな」バサッ

浜面「そんでもってお前も生きるほうに賭けてくれ」

絹旗「……」

浜面「死んだほうがいいなんて…言わないでくれ。不幸な考えは不幸を呼ぶ。運気を下げられちゃ困るからな」

絹旗「…近いです…ってか、超セクシャルハラスメントですよ、バカ面…」

浜面「あれ?もしかして絹旗、泣いてる?」

絹旗「な、泣いてなんかいませんよ!本当、バカなんじゃ…ないですか!ぐすっ…」

浜面「へいへい…馬鹿なのは否定できねえよ…」

絹旗「うっ…バカです…!バカ…!えぐっ……本当に……!」

浜面「さて………そろそろ、だな」グッ





ズガァァァン!!!!!!!

209: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 21:52:32.31 ID:dvvBEHXE0
麦・滝・フレ「!!!」

フレンダ「ちょっ…!?」

麦野「今のって…」

滝壺「……」

フレンダ「まさか…!間に合わなかった…?」

ガラガラ…

フレンダ「あ…建物が…」

麦野「…爆発の衝撃で一部崩れていってるのね」

フレンダ「っ…」

麦野「滝壺」

滝壺「…ごめん、もう体晶の効果が切れてて、分からない」ハァ ハァ

滝壺「浜面が…絹旗と接触したところまでは確認できたけど、それ以降は…」ハァ ハァ

麦野「そう。分かったわ、休んでなさい」

滝壺「……」

フレンダ「……」

フレンダ「…麦野、行こ」

麦野「どこへ行く気?」

フレンダ「どこって、2人を探しに行くに決まってる訳よ」

麦野「やめときなさい。どうせ中は瓦礫と火の海でしょ」

フレンダ「…それでも、行くしかないじゃん」

麦野「嫌よ。事後処理班に任せるわ。私達がわざわざ死体を引っ張り出す義務は無」

フレンダ「まだ死んだって決まったわけじゃない!!」

麦野「何言ってるの。あの爆音を聞いたでしょ?地下に居たなら全滅よ」

フレンダ「っ……でも…!もしかしたら…」

麦野「フレンダ、いい加減に…」

trrrrrrrr

trrrrrrrr

麦野「…!」

210: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 21:53:12.98 ID:dvvBEHXE0
麦野「着信…!」ピッ

フレンダ「もしかして浜面達…」

電話の女『あ、出た出た、やっほー諸君!』

麦野「…てめぇか」チッ

電話の女『かーっ!こいつときたらー!舌打ちとは失礼しちゃうなー全く!』

麦野「で?用件は?」

電話の女『いやー、そろそろ終わった頃かと思ってさ!良いタイミングだったかな?』

麦野「…毎回毎回どこで監視してやがんだ?胸糞わりいな」

電話の女『はっはー!ま、それでなんだけど、報告書と一緒に今回の件のデータを追加でアップしといたから、帰ったらそれも参考にして報告書書いといてねー!パスワード大丈夫?忘れてない?』

麦野「…ああ」

電話の女『オッケー!じゃ提出期限は明日中だから、そういうことでよろしくねー!』ピッ

麦野「チッ…」

滝壺「……」

フレンダ「……」

麦野「さ、帰るわよ」

フレンダ「ちょっと待つ訳よ麦野」

麦野「何?まだ何かあるの?」

フレンダ「だから!絹旗と浜面を」

麦野「だから無意味だっつってんだろうがァ!!」ダンッ

フレンダ「っ…!」ビクッ

麦野「何遍も言わせんな。2人は死んだんだ」

麦野「即死じゃないとしても今頃虫の息だ。もう助からねえよ」

211: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 21:54:18.76 ID:dvvBEHXE0

麦野「上の奴らのことだ、すぐにでも新たな人員を配備してくる。それでまた『アイテム』の誕生だ。再び普段通りくだらねえ生活が始まるだろうよ。何も変わりゃしねえ」

フレンダ「…違う」

麦野「…あ?」

フレンダ「そんなの違う!同じなんかじゃない!!」

フレンダ「たとえ今までと同じような仕事を繰り返す毎日が続くんだとしても…!あの2人がいないんだよ?それでも全く同じだなんて言えるの!?」

フレンダ「絶対…ぐすっ…絶対違う!皆が揃ってない『アイテム』なんて…今までの『アイテム』じゃないもん…!」

麦野「チッ…ガキかよ。いつからてめぇはそんな幼稚な思考をするようになったんだ?」

麦野「『アイテム』は学園都市の暗部組織だ。それ以外の何でもねえ。確かにメンバーはなるべく同じであって、お互い内情を知っていたほうが連携も取りやすい。仕事の効率も上がる」

麦野「だがいくら密に関わっていったところで、『仕事仲間』が限度だ。それより踏み込んだ関係、感情を持った時点で暗部組織として破綻する」

麦野「てめぇが今2人に抱いているのものは何だろうな?それはてめぇか持っていることが許されるものか?自分の頭で冷静に考えろ」

212: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 21:55:06.65 ID:dvvBEHXE0

フレンダ「…ひっく……」ズズッ

麦野「……」

フレンダ「……」ゴシゴシ

フレンダ「分かってる…私達のあるべき関係くらい」

フレンダ「暗部組織の設立される目的はそれぞれ異なっても、やるべき目標は与えられた任務の遂行ただ一点のみ。だから、組織内のメンバーがどう変動しようと、仕事がこなせなくてはならない」

フレンダ「それはつまり、メンバーに特別な感情を抱いてはいけないということ。『共に仕事を為す仲間』で止めなくてはならないということ」

フレンダ「私もずっとそうやってきたし、そうであることに何の違和感も感じなくなってた」

フレンダ「そうやって今まで…ずっと…」

フレンダ「だけど、本当はそうじゃなかった…!」グッ

麦野「……」

フレンダ「戦いの中で皆が傷つくのが、本当は嫌だった」

フレンダ「苦痛の毎日でも…皆といるだけで心が紛れてた」

フレンダ「こんな風に思えるのって……!!」

麦野「フレンダァ!!てめぇは…!」

フレンダ「じゃあ麦野は!?」

麦野「…!」

フレンダ「麦野はどうだったの!?皆のこと、本当はどう思ってた!?」

フレンダ「一緒に寝て!一緒に起きて!一緒にご飯食べて!!」

213: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 21:55:38.06 ID:dvvBEHXE0

フレンダ「ファミレスなのに持ち込みして!ドリンク片手におしゃべりして!雑用パシリをからかって!!」

フレンダ「どんな依頼でも皆でこなして!傷ついて!頑張って乗り越えた時は飲み明かして!皆で潰れて!」

フレンダ「誕生日が分からないから…結成記念を皆でお祝いしたりもして!」

フレンダ「麦野はそれでも…それでも皆がただの『仕事仲間』って言えるの!?それ以上の関係はありませんって、本当にそう思うの!?」

麦野「っ…」

フレンダ「私には無理だった!苦しい時も楽しい時も一緒にいてくれる皆がただの仕事仲間みたいな薄い関係だなんてこと…気づいてなかっただけで、本当は耐えられるわけなかった!」

フレンダ「麦野は…どうなの…!?」

麦野「……」

麦野「……うるせェ」

麦野「うるっせェんだよ!!!」バンッ

麦野「お前は何一つ分かっちゃいねぇ!!どう思うも何も関係ねぇよ!暗部だっつってんだろ!いい加減にしろ!!」

麦野「てめぇが抱えてんのは闇の世界において有害無益な感情でしかない!!そういう運命だ!!敷かれたレールの上を外れることは許されねぇんだよ!!」

麦野「そもそもてめぇの…!」

フレンダ「麦野」

214: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 21:56:16.70 ID:dvvBEHXE0

フレンダ「その話は…もういい訳よ」

フレンダ「私はね、麦野。暗部として生きる麦野に尋ねてるんじゃないんだよ。闇の内にいることは変えようがないけど、その中で"麦野沈利"本人がどう思っているのかを私は知りたい…!」

フレンダ「どうなの?麦野にとって私は…皆は…何?」

フレンダ「教えてよ」

麦野「っ……!」

麦野「……」

麦野「…嬉しかったわよ」

麦野「クズみたいな運命の元に生まれて、味気のない日々を送って」

麦野「流されるままに暗部に入って、ああまたくだらない毎日が始まるのねって、最初はそう思ってたわ」

麦野「実際くだらないことばっかりやってきたけど…でも、それまでとは違ったわ」

麦野「一人で流されるだけの日々とは違う毎日がそこにはあった。世間から外れた闇の世界で、人並みのような生活をする機会もできた」

麦野「初めて一緒に生きる仲間ができたのよ?そこが日の当たらない湿った世間の裏側だとしても…嬉しいに決まってるじゃない」

麦野「好きになるに…決まってるじゃない…!」

麦野「でも闇の世界では、そうあってはいけない。思うことすら許されない」

麦野「だから…ずっと…封じ込めてきたのに」

215: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 21:57:06.46 ID:dvvBEHXE0

麦野「いつだって切り捨てられる関係…それが自然であるように…疑いを持たないように…自分に思い込ませてきたっていうのに…!」

麦野「…何でよ……何で今更…!」ギリッ

フレンダ「……」

フレンダ「私もね…ずっとそうだった」

フレンダ「一緒に生きていても、仕事仲間として割り切る。難しいことだけど、暗部ならそれが当たり前って、自分に思い込ませてた。それで、そんな自分にもいつしか違和感すら持たなくなってた」

フレンダ「けど…」

フレンダ「あのね、つい最近、どっかのバカとちょっと話したの」

麦野「……」

フレンダ「そいつが気安く私を『友達』だなんて言った訳よ」

フレンダ「なにそれ?ってなった。んで、ちょっと突き放して否定してやったんだよね」

フレンダ「そしたらさ…そのバカは真面目な顔して切り出したの」

フレンダ「『残念だったな』」

フレンダ「『どんな闇の中にいても、俺は共に生きるやつを友と呼ぶ、だからお前らは友達だ』って」

フレンダ「『お前らがそう思ってくれなくても、俺はずっと友達として片想いし続けてやる』って…」

麦野「……」

フレンダ「ほんとバカだよね。バカみたいな考えだと思った」

216: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 21:57:48.23 ID:dvvBEHXE0

フレンダ「なのに……ね…」

フレンダ「信じられないくらい…嬉しかったの…!」ポロポロ

フレンダ「本当…もうわけわかんなくて…ずーーっと閉じ込めてた何かが…ひぐっ……一気に溢れてきちゃった感じで…」ポロポロ

フレンダ「嬉しすぎるのが悔しくて……でもやっぱり嬉しくて…ごめん、意味わかんないねっ…」ポロポロ

麦野「……」

フレンダ「んくっ……」ズズーッ

フレンダ「その場は大丈夫だったんだけどね…その日の夜に思い出して、ひとしきり泣いちゃった…えへ」

フレンダ「それからかな…皆のことをただの仕事仲間なんかじゃない、友達だって意識するようになったのは」

フレンダ「おまけに涙もろくなったっぽいし……あはは、とんだ迷惑な訳よ」

フレンダ「……」ズズッ

麦野「……」

麦野「…そう」

フレンダ「私は、助けに行くよ」

フレンダ「もう手遅れなのかもしれないけど…ちょっとでも可能性があるなら」

フレンダ「2人は…私の大切な友達だから…!」

フレンダ「麦野はどうするの?」

麦野「……」

麦野「フレンダ、アンタの気持ちはよく伝わったわ。悔しいけどね」

フレンダ「! なら…」

麦野「でも現実を見なさい」

217: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 21:58:26.33 ID:dvvBEHXE0

麦野「さっきの爆発の中にいて、助かる見込みはまず無いに等しい」

麦野「万が一即死でないにしても、能力が使えないレベルに負傷しているのは間違いないわ。中はきっと瓦礫と火の湖よ。生きている内に救出は土台不可能ね」

フレンダ「…現実を見るのは麦野のほうな訳よ」

麦野「…?」

フレンダ「さっきからそうやって悲観的なことばっかり言って、確かめようともしない!」

フレンダ「それって本当にもう2人が助からないって現実を受け入れたくないから、直視しないようにしてるだけじゃないの?」

麦野「……」

フレンダ「万が一じゃなくても、億が一にも運よく火や瓦礫から免れて、脱出できなくなってるだけかもしれないでしょ!助けを待ってるかもしれないよ?」

麦野「そんなの、有り得ないわ」

フレンダ「嘘だ!麦野だって本当はそう思ってるもん!」

麦野「何を…」

フレンダ「さっきの電話!麦野、着信先も見ずに取ったよね」

フレンダ「あれ、浜面達から掛かってきたのかもって一瞬でも期待したからじゃないの?じゃなきゃ普通あんなに慌てて取らないよね?」

麦野「っ…それは」

フレンダ「とにかく行ってみなきゃ何も始まらないよ!」

218: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 21:58:56.69 ID:dvvBEHXE0

フレンダ「どんな状態なのか…何が出来るか分からないけど、私一人より麦野がいてくれたほうが…絶対心強いから」

麦野「でも……」

滝壺「げほごほっ…むぎの。私からもお願いする」

フレンダ「滝壺…!アンタ身体は…」

滝壺「むぎの」

麦野「……」ハァ

麦野「分かったわ。時間とらせたわね。急ぐわよ」

フレンダ「麦野…!」

滝壺「ごめんね。私の能力さえ使えれば…ごほごほっげほっ!」

麦野「いいから、休んでなさい。行くわよフレンダ」タッ

フレンダ「…うん!」ダッ


滝壺(…はまづら、きぬはた。どうか無事でありますように)ハァ ハァ


~研究所入口~

フレンダ「あちこち崩れてて入りづらいなー…」ガラッ

麦野「こっちね…面倒だからレーザーで全部溶かしちゃおうかしら」

フレンダ「いやいや、それが2人に当たったら元も子も無い訳よ!」

麦野「…それもそうね」

フレンダ「浜面ー!絹旗ー!聞こえるー!?聞こえたら返事してー!」

フレンダ「……」シーン

麦野「……」

フレンダ「返事が無い、ただのs…あいたっ!」ベシッ

麦野「縁起でもないことを自分で言わないように。屍になってないこと前提で探してるんだから」

219: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 21:59:22.62 ID:dvvBEHXE0

フレンダ「うー、分かってる訳よ!屍じゃなくてシリアルって言おうとしただけなのに」

麦野「何それ…ていうかもっと悪いわよ。もはや木端微塵じゃない」

フレンダ「え、ちょっ、やめてよ麦野。縁起でもないなー」

麦野「…アンタ、シリアルになる?」


麦野「ともかく、返事が無いってことは、少なくとも目先の瓦礫は消し飛ばして良いのよね」スッ

ビシュッ!!

麦野「これで多少は進みやすいわ」

フレンダ「多少どころか見事に一本道なんですけど…」

麦野「あの角を曲がればエレベーターだったわね」

フレンダ「ついさっきの苦労を想起させられる訳よ…ステップを使って麦野を運ぶの大変だったんだから」

フレンダ「でも結局、麦野って見た目より重くn」

麦野「ああ?」ギュムッ

フレンダ「いふぁいいふぁい!ほっふぇふえんあいで!」ジタバタ

麦野「誰が重いって?」ギュムギュム

フレンダ「重ふないっへ言おうほひはほ!ほんほおにいふぁいはらはなひへ!!」バタバタ

麦野「裏を返せば見た目が重そうってことじゃない」パッ

フレンダ「はぁ…はぁ…いたたた、身長が高いっていう意味な訳よ…」ジンジン

麦野「ふん。だったら最初からそう言いなさい」

220: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 21:59:58.01 ID:dvvBEHXE0

フレンダ「うう……もー、私の端正で美しい顔が膨らんじゃったらどうすんのさ」

麦野「お餅みたいで丁度良いじゃない。お正月に使えるわ」

フレンダ「何に使う気!?How!お雑煮か!きなこ餅かっ!!」

麦野「その前に臼と杵が必要ね」

フレンダ「そこから!?ていうか膨らませたのにまた搗くの!?」ガーン

麦野「最終的には汚い鏡餅かしら」

フレンダ「食べてすらもらえないんだ…しかも汚いってつけないでよ、飾り物なら飾り物で…」

麦野「ほら、無駄口叩くのはやめて様子を見るわよ。真面目にやる気あるの?」

フレンダ「あ…うん」

フレンダ(麦野の言う通りだ。しっかりしなきゃな訳よ)

麦野「すごい熱気…下は燃え盛っているみたいね」

フレンダ「そうだね。救出するって言ったって一体どうしたら…」

麦野「くっ、金網さえあれば…!」

フレンダ「金網?麦野、もしかして何か策が」

麦野「お餅が焼けるのに…」

フレンダ「早速無駄口叩かないでくれない!?っていうかお餅から離れようよ!好きなの?実は超お餅好きなの!?」

麦野「す、好きなんかじゃないんだからー」

フレンダ「ツンデレ!?似合ってないし!棒読みだし!」

221: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 22:00:36.92 ID:dvvBEHXE0

麦野「ここもまた瓦礫の山ね」

フレンダ「絹旗ぁー!浜面ぁー!」

フレンダ「……」

麦野「応答なし。ここもブチ壊すわねえへへ」ビシュッ!!ズガン!!

フレンダ「うわー何その笑い…麦野がだんだん破壊神と化してきた訳…」

麦野「!」

モクモク…

フレンダ「黒煙だ…」

麦野「今ので地下との繋がりを塞いでいた瓦礫が崩れて、漏れ出てきたのね。燃えてるんだから当然だけど」

フレンダ「っ!それじゃあ地下は…」

麦野「既に煙が充満しているかもしれないわ。低所でも呼吸がままならない程に」

フレンダ「そんな…」

麦野「ここも…マズイわね。一旦退くわよ」グイッ

フレンダ「え?あっ…」

麦野「恐らく不完全燃焼が多い。中毒になるわ」タタタ

フレンダ「ちょ、ちょっと…!ちょっと待ってよ!」バッ

フレンダ「ここで退いちゃったら、結局いつ助けに入るのさ!?」

麦野「…この煙の中を?フレンダ、アンタ息止めて何分動けるつもり?」

フレンダ「うっ…」

麦野「一酸化炭素を甘く見ないことね。酸素の何千倍もヘモグロビンに結合しやすい上に解離しにくい、これの意味は分かるでしょう?」

フレンダ「……」

麦野「もう…諦めなさい」

222: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 22:01:03.91 ID:dvvBEHXE0

麦野「私達まで犠牲になってどうするのよ。それで何かが変わる?」

フレンダ「…でも…」

麦野「……」

フレンダ「っ…」グッ

麦野「あの2人はもう…」

フレンダ「麦野」

フレンダ「お願いだから…言わない…で」

麦野「私は神様じゃないのよ。言葉にしたことが実現するのでもないし、言葉にしないからといって事実が変わるわけでもない」

麦野「フレンダ、あなたがさっき言ってたこと、私だって同じように感じてたわ」

麦野「だけどね、『アイテム』の仲間が一蓮托生であったとしても、一心同体ではないの」

フレンダ「…だけど」

麦野「逆の立場で考えなさい。もしあなたが助けられる側だったら」

麦野「無謀にも自分を助けようとして、落とさないで済む命を落としてしまったと知ったら」

麦野「あなたはそれを望むのかしら?」

フレンダ「……」

フレンダ「…そんなの…嫌だけど」

麦野「分かった?残念だけど、おとなしく退くのが最善なのよ」

フレンダ「だとしても!!あの2人が居なくなっちゃうのはもっと嫌だよ!」

フレンダ「きっと…私には耐えられない…今だって…」フルフル

trrrrrrrr

麦野「……」

trrrrrrrr

223: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 22:01:37.82 ID:dvvBEHXE0

trrrピッ

『…!繋がった!?おい!俺だ!聞こえるか!?』

麦野「……」

『おい俺だ!…畜生ッ、やっと繋がったと思っ』ピッ

麦野「今の時代にオレオレ詐欺…古すぎてもはや新鮮味を感じるわね」ハァ

麦野「それで、さっきの続きだけど」

フレンダ「……」

麦野「…なに?」

フレンダ「今の、やたら聞き覚えがある声だったような…」

麦野「まさか。男で私の番号を知ってるやつなんて」

trrrrrrrr

麦野「……」パカッ

フレンダ「……」

麦野「……浜面…!?」

フレンダ「!!」

ピッ

『もしもし!麦野!聞こえるか!?』

麦野「ちょっ…浜面!?浜面なの!?」

浜面『ああそうだ!絹旗もいる!』

麦野「絹旗も!?」

フレンダ「絹旗…!」

麦野「あ、ああああんた今どどどこっどこどこどこにこに」ワタワタ

フレンダ「テンパりすぎやろ深呼吸せえや」

麦野「そ、そうね…」

麦野「……」スー ハー

麦野「いいわよ…」

浜面『地下から階段で上がろうとしてたんだが、コンクリートで埋められて出られないんだ』

浜面『防火扉でなんとか煙は凌げてる。だが長くは持ちそうにない。…麦野、反対側から抜け道を作れないか?』

224: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 22:02:12.91 ID:dvvBEHXE0

麦野「分かったわ!壁際に張り付いて待ってなさい!」

浜面『頼m…ザザッ……くそ、電波g…ガガッ…ピー…』ブツッ

麦野「……」ツー ツー

フレンダ「麦野!浜面達は?」

麦野「階段…あそこね…!」ダッ

フレンダ「あ、ちょっと麦野!」ダッ


~研究所内・B1‐1F階段~

浜面「はぁー…」ヘナッ

浜面「よかった…中々繋がらなかったけど、なんとか麦野達に連絡できた」

絹旗「……」スー スー

浜面「……」

浜面「よかった……本当によかった」

浜面「生きてるん、だよな、俺達」

絹旗「……」スー スー

浜面「……」

絹旗「…んぅ……」ゴロッ

浜面「頑張ったな、絹旗」


ズガァン!!

パラパラ…

浜面「うおっと!」

麦野「……」ハァ ハァ

フレンダ「…浜面!絹旗ぁ!」ダッ

麦野「あんた…一体どうやって…」

浜面「サンキューな二人共。助かったzぶほぁっ!」ドスッ

フレンダ「バカ…!」グッ

浜面「フレンダてめ…!何しやが」

フレンダ「バカバカ!何やってんのよ!!どんだけ心配したと思ってんの!?」ボカスカ

浜面「痛ぇ!痛……え?」

フレンダ「本当に…死んじゃってたらどうしようって…ひっく……怖かったんだから…」フルフル

225: ◆uZgf.zR4f6 2012/01/22(日) 22:02:39.68 ID:dvvBEHXE0

浜面「フレンダ…」

フレンダ「でも…よかった…!二人共…」ギュッ

浜面「ああ。生きてる」

麦野「なんか、まだ信じられないわね…」

浜面「触って確かめてみるか?」

麦野「いえ、結構よ。変態」

浜面「なんで!?」

麦野「それより、早く外に出ましょう。ここもいつまでも安全じゃない」

浜面「…だな。行くか」

麦野「フレンダも」

フレンダ「…うん!」


~研究所前~

滝壺「…!」ハッ

滝壺「むぎの!フレンダ!それに…」

浜面「待たせたな、滝壺」

絹旗「……」スー スー

滝壺「はまづら…きぬはた…。よかった、無事だったんだね」

浜面「ああ、なんとか」

滝壺「はまづらなら…きっと絹旗を助け出してくれるって、信じてた」ニコッ

浜面「いやいや、俺一人じゃどうにもできなかったよ。お前らのおかげだ、ありがとな」ナデナデ

滝壺「うん…//」

フレンダ「あ、ずるい!私も私も!」ヒョイ

浜面「へいへい」ナデナデ

フレンダ「えへ…//」

麦野「……」

浜面「…麦野も…か?」

麦野「はぁ!?ふざけないで!い、要らないに決まってるでしょ!!」

浜面「わ、分かってる!冗談だって!」

麦野「……ったく…」

240: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:18:20.43 ID:5W8bU/BAO

麦野「あーもう、とっとと帰るわよ。今日は疲れたわ」

フレンダ「私もー…お腹すいたーお風呂入りたーい眠たーい」

滝壺「欲望のかたまりだね」

浜面「そうだな。帰るとするか」

麦野「運転よろしくね。はい鍵」

浜面「あいよ…ってか、車2台あんのか」

麦野「私が乗ってきたほうがモノが良いから、そっちにしましょう」

フレンダ「結局、どっちも盗難車だけどねー」

麦野「何を言ってるの?私のは持ち主が快く譲ってくれたんじゃない」

フレンダ「あのさ麦野、怯えて泣きながら車のキーを譲渡する様を"快く"とは形容しない訳よ」

麦野「あら、何かしら?泣き虫フレンダ」

フレンダ「だ、誰が泣き虫な訳よ!?別に私は…!」

麦野「自分で言ったんじゃない。涙脆くなったって」

フレンダ「確かにそうは言ったけど…」

浜面「そういやフレンダの泣き顔なんて見たの初めてだったな」

フレンダ「う…忘れて欲しい訳よ」

浜面「そうなのか?俺的には結構良かったぞ?なんつーか、新鮮で」

フレンダ「あう……//」

麦野「"斬新で"の間違いじゃないの?」

フレンダ「やめて!なんかそれだと私が世にも珍妙な泣き顔してたみたいじゃん!」

241: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:18:49.94 ID:5W8bU/BAO

浜面「ま、いいや。出発するからシートベルト締めろよ」

滝壺「ごーごー」

麦野「絹旗は助手席ね」

フレンダ「広くなってよかった訳よ。またマトリックスすんのは嫌だし…」

浜面「よっと」グッ

ブロロロ…


滝壺「おなかすいた」

フレンダ「だね。夕飯どうしよっか?」

浜面「流石に作る気力は無いしな…外食してくか?」

フレンダ「えー、それもいいけどまず帰ってお風呂入りたーい」

滝壺「なら、出前とか…?」

浜面「あ、いいな滝壺。それだ、出前取ろう」

フレンダ「よーし、なんか携帯で探す訳よ!滝壺、一緒に見よっ」カコカコ

滝壺「うん」

麦野「…それで、浜面?」

浜面「ん?」

麦野「中で何があったのか教えて欲しいわね。爆発があった時、それから脱出するまで…」

麦野「どのタイミングで死んでもおかしくない状況だったはずよ。なのに無事で…あんたに至ってはほとんど無傷じゃない」

浜面「えーっと…どこから話せばいいのやら」

麦野「滝壺が電話をかけたあたりからよ」

浜面「そうだな…」

浜面「滝壺に誘導してもらって、俺は絹旗が捕われていた部屋へ侵入した。そこで絹旗を発見したまでは良かったんだが…」

242: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:19:18.44 ID:5W8bU/BAO

浜面「絹旗は鎖で繋がれて、気を失っていたんだ。それに能力者を攻撃する装置が作動していたから能力も使えなかった」

浜面「爆発までの時間は大体分かってた。その時既にあと1、2分だったか」

麦野「…絶体絶命ね」

浜面「だから俺は爆発自体を免れるのは諦めたんだ。爆発にさえ耐えれば、装置は壊れて絹旗の能力も使えるようになると踏んでな」

麦野「あの威力の爆発よ?別室だったとして、受けたらひとたまりも無いわ」

浜面「ああ。だがそれは、直接受けたなら、の話だ」

浜面「受ける衝撃を大幅に小さくできれば、少なくとも爆発の瞬間は身を守ることができる」

麦野「それはそうだけど、そう都合よく身を守る手段なんて…」

浜面「都合がよかったんだよ。丁度な」

麦野「…?」

浜面「あの研究所は表向き地下が無い建物だった。戦いのあった地下部屋は、たぶん新しく掘られたものじゃなく、元々存在していたものなんだと思う」

浜面「最後に俺らが居た空間にしたってそうだ。階段を塞いでいた壁は不自然すぎる。後から無理矢理埋めたとしか思えない」

麦野「…それが何か関係あるの?」

浜面「地下にも以前のまま手付かずの部屋があったんだ」

243: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:19:45.78 ID:5W8bU/BAO

浜面「絹旗が捕まっていた場所、俺らが居た部屋は……リネン室だったんだ」

麦野「リネン室…って、まさか…」

浜面「病院じゃないけど研究所だ、元から泊まり込みで布団やシーツを使う機会が多かったんだろ」

浜面「ありったけの掛け布団を部屋の入口から敷き詰めた。あと、部屋の反対側にもな」

麦野「それで爆風と衝撃を…?」

浜面「正直、そんなもんで身を守れるのか分からなかったな。圧力で潰されて終わりなんじゃないかとも思った」

浜面「だから、これは賭けだったんだ。俺と絹旗の生命を賭した大博打だ」

麦野「……」

浜面「まあ、結果的に上手くいってな。あん時は心底安堵したぜ…」

麦野「でも、そのあとは?地下は火の海で、有毒な煙だって充満していたでしょう?」

浜面「…見込んだ通り、能力の阻害効果は消えて、絹旗の窒素装甲は復活したんだ。つっても既に絹旗はボロボロで、能力を使う余裕なんて無かったと思う」

浜面「それでもアイツは能力を発動させて、鎖を引きちぎった」

浜面「部屋を抜けて広い空間に出たは良いが、火が回りはじめていたし、あちこちで副次的な爆発が起こっていた。入口までの道は閉ざされたも同然だったな」

244: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:20:14.95 ID:5W8bU/BAO

浜面「俺の身体能力じゃ到底抜けられなかったよ。でも、絹旗が居た」

浜面「華奢な体で男一人抱えてな、既に限界近い自分に鞭打って、爆発を避けながら走りまわってくれた」

浜面「それから、最初の爆発の影響で壁が崩れていたところを見つけた。そこが最後に俺達の居た階段に繋がっていたってワケだ」

浜面「そこで絹旗はぶっ倒れちまった。まあ、眠っただけだったんだけど」

絹旗「……」スー スー

浜面「はは……無茶しやがって」

麦野「そうだったのね…。それで、昇った先が埋め立てられていた、と」

浜面「ああ。防火扉が手動で下ろせたから一時的に煙は防げた。ただ電波がほとんど無くてな…電話が中々通じなかった」

浜面「やっと麦野に繋がったと思ったら切られちまうし…」

麦野「あ、あれは…まさかあんたからだとは思わなくて…!」

フレンダ「麦野ものすごいテンパってたもんねー。きゃはっ♪今思うとあれ可愛かっすんません調子乗りました本当すんませんっ!」

麦野「……」ハァ

浜面「んで、なんか出前取りたいやつ決まったのか?」

滝壺「…オードブルもいいかも」カコカコ

フレンダ「どれどれ?あー、これかぁ」

滝壺「他には…」カコカコ

245: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:20:40.89 ID:5W8bU/BAO

フレンダ「画像がよく見えない訳よ…あー、スマホにしたいなー」

浜面「今や携帯ユーザの半数近くがそうらしいからな。よく知らんけど良いんじゃねえの?」

フレンダ「うえぇ~手続きめんどくさーい浜面やってー」

浜面「コイツは…」ガーン

滝壺「はまづら、むぎの、なんかリクエストある?」

浜面「うーん、俺は特に無いな」

麦野「鮭と酒」

フレンダ(…ここはノーツッコミノーツッコミ)ガタガタ

浜面「またアルコール入んのか…ほどほどにしてくれよ?後始末が大変なんだ、色んな意味で」

滝壺「お寿司とか?」

フレンダ「あ、それ良い!1番高いやつ頼もう!」

麦野「サーモンとイクラは十貫入りのを1セットずつ注文よろしくね」

滝壺「了解、むぎの」

フレンダ「ずるーい!じゃ私もこっちのー…!」

ギャーギャー

浜面「……」

浜面(こうして見てると、ただの仲が良い友達同士なんだよなぁ)

浜面(フレンダはああ言ってくれたけど…やっぱり、そんな甘いことは考えちゃいけない世界なんだろうな)

浜面「……」チラッ

絹旗「……」スー スー

浜面「……」

浜面(それでも…何かきっと…)

浜面「!…そうだ」

滝壺「…?」

246: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:21:08.34 ID:5W8bU/BAO

滝壺「…はまづら?どうかしたの?」

麦野「滝壺、浜面はいつもどうかしてるものなのよ」

浜面「おおい!?勝手に決めんな!!」

フレンダ「それで?何かな、浜面どうか仕てる上くん?」

浜面「無理矢理すぎるわ!!」

浜面「もういいや…。でまあ、酒とかいろいろ買うにしても、お前らは一旦帰ったほうがいいだろ?」

麦野「そうね、一息つきたい気分だわ」

フレンダ「お風呂ー」

浜面「だよな。滝壺もだろ?」

滝壺「私は大丈夫。だけど、絹旗を介抱したいかな。手錠みたいなのも付いたままだし」

浜面「あ…そうか、鎖を引きちぎったから…」

フレンダ「それなら私にお任せな訳よ!道具があればたぶんキレイに外せるから」

浜面「そうか。なんにしても全員帰るんだよな。なら必要なものは全部俺が買ってくるよ」

滝壺「…本当に?」

麦野「あんた…」

浜面「いや、気にすんな。皆疲れてるだろ?」

麦野「何をそんな当たり前のことを…」

浜面「……」

フレンダ「結局、雑用係だしねー。あはっ」

浜面「さいでっか…」ズーン

滝壺「大丈夫。それでもめげずにパシられてくるはまづらを私は応援してる」

浜面「ありがとよ…」

247: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:21:34.75 ID:5W8bU/BAO

~アイテムアジト前~

浜面「他に注文無いな?じゃ、行ってくるぞ」

フレンダ「カレー缶もだかんね!忘れたら終身刑!」

浜面「いっそ死刑にしてくんねえかな…いや、どっちも嫌だけど」

麦野「滝壺、行くわよ」

滝壺「うん。よいしょ…」

絹旗「……」スー ピー

スタスタ…

フレンダ「……」

浜面「どうしたフレンダ?戻らないのか?」

フレンダ「えーっと…ね」

浜面「…?」

フレンダ「今回のこと、だけじゃないんだけど」

フレンダ「浜面に言っておきたいことが2つある訳よ」

浜面「お、おう…」

フレンダ「まずね」

フレンダ「よくも私達の関係をぶっ壊してくれたな、ってこと」ギロッ

浜面「えっ…?」ビクッ

フレンダ「私達は学園都市の闇に住む者。今まではそれに何の抵抗もなく、暗部として仕事をこなしてきた…つもりだった」

フレンダ「それが、アンタが入ってきてからのほんの短い期間で一気に変わったのよね」

フレンダ「おかげで、それまで気づかなかった…ううん、気づこうとしなかったことに気づいてしまった」

フレンダ「どう考えても全部が全部、アンタのせいな訳よ」

浜面「……」

フレンダ「それがひとつね」

248: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:22:01.35 ID:5W8bU/BAO

浜面(えらく抽象的で話がいまいち掴めないが…謝ったほうがいいのかな)

浜面「えーっと…す、すまなかった」

フレンダ「ん。で、もうひとつ」

フレンダ「同じことについてなんだけどね。今までの関係が壊れてしまったことで、私達には新たな関係ができた」

フレンダ「それはずっと望んではいけないものだったんだけど…」

浜面「……」

フレンダ「でも、悪い気はしなかった……むしろ、やっと手に入れた、って言うのかな」

フレンダ「少なくとも私は嬉しく思ってる。これもやっぱり、アンタのせいなんだよね」

浜面「お、おう…」

フレンダ「だからね、浜面。ちょっと耳貸して」

浜面「ん?こうか?」

フレンダ「……」スイッ

浜面「?」

フレンダ「…ありがと」

フレンダ「…ん…」チュッ

浜面「!!?」ビクッ

浜面「おま…!?今…キ、キ…!?」

フレンダ「しーっ!」

フレンダ「お返しと、お礼。両方だと思ってね」エヘッ

浜面「へ?あ…あぁ…」ドキドキ

フレンダ「ほーら!早く行かないと、帰った時に麦野からツノが…!」ニタニタ

浜面「行きます行きます!そうだ行こう今すぐに!」グッ

ブロロロ…

フレンダ「いってらー」ヒラヒラ

249: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:22:27.79 ID:5W8bU/BAO

浜面「焦った…いきなり何しやがんだフレンダのやつ…」ドキドキ

浜面「いやまあ、悪い気はしない…つーか良…」

浜面「だあっ!マズイマズイ!」ブンブン

浜面「えーっと、酒と缶詰と紙皿と…」

浜面(あとは……帰りがけに電気屋だな)

浜面(絹旗、喜んでくれっかな)



絹旗「……」クー クー

滝壺「絹旗、よく寝てるね」

フレンダ「結局、それだけ頑張ったってことじゃない?」

フレンダ「んっしょ…あ、滝壺、もうちょい肘押さえてて」

滝壺「うん」ガシッ

フレンダ「いよっ…と!」ガキンッ

フレンダ「取れたー!完了ー!」

滝壺「おおー」パチパチ

ガチャッ

麦野「お風呂お湯張ったわよ。私は後で良いから、あんた達先に入っちゃいなさい」

フレンダ「ありがと麦野ぉー♪お礼に私からのアツイ抱擁!いざLet's hugyaaaaaaaa!!!」

麦野「滝壺、絹旗と一緒に入れる?」メキメキ

滝壺「うん、いいよ」

フレンダ「むぎ…の゙…!ア…アイアンクローって案外……がくっ」バタッ

麦野「あと滝壺、コレも一緒にお願い。ちょっと狭いかもしれないけど、頭から湯舟にブチ込んどいて良いから」

滝壺「らじゃ」

フレンダ「」チーン

絹旗「……」スー スー

250: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:22:53.77 ID:5W8bU/BAO

フレンダ「こ、蟀谷が窪みかけた訳よ…」クラクラ

滝壺「大丈夫。たとえフレンダのこめかみが窪んだとしても、地球は何も無かったかのように廻り続ける」

フレンダ「うぅ…ありが…あれ?それ慰めでもなんでもなくない?むしろ私という個の存在の希薄さを啓こうとしてない?」

滝壺「気のせいだよ、フレンダ」

フレンダ「えー…」

絹旗「……」スー スー

滝壺「それにしても、きぬはた全然起きないね」

フレンダ「だねー。いっそ眠ったままお風呂入れちゃおうよ」

滝壺「そうだね。服も脱がしてあげないと」ヌガセヌガセ

フレンダ「あはっ、なんか小さい子の世話してるみたいな訳よ」

滝壺「それじゃ、入ろう」

フレンダ「ていうか滝壺一人じゃ大変じゃない?なんなら私も一緒に手伝うけど」

滝壺「3人も入れるかな?」

フレンダ「んー、誰かが湯舟に浸かっちゃえば大丈夫でしょ」

滝壺「なら、フレンダに先に入ってもらおうかな」

フレンダ「そう?じゃ、ちょっと待ってて。体だけぱぱっと洗っちゃうから」

滝壺「うん」


フレンダ「もーいーよー」

滝壺「おじゃまします」カララ

絹旗「……」クー クー

フレンダ「全く起きる気配がない訳よ…」

251: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:23:19.74 ID:5W8bU/BAO

滝壺「一人で座らせるのは危ないかな」

フレンダ「結局、膝の上でいいんじゃない?絹旗軽いしさ」

滝壺「うん。そうする」

フレンダ「シャワーの温度は…こんくらいかな。はい、滝壺」

滝壺「ありがとう」

ザー-

滝壺「そういえば、入浴剤変えたの?」

フレンダ「うん。初めて使ってみたけど、結構良い匂いかも」

滝壺「何の香りかな?柑橘系?」

フレンダ「なんだっけ、シークワーサーと何かだった気がする。浜面が買ってきたんだよね」

滝壺「はまづらが?」コシュ コシュ

フレンダ「んー、ていうか、何でもいいからって買ってこさせた。チョイスは浜面」

滝壺「そうなんだ」ワシャワシャ


フレンダ「はぅぁ~…極楽な訳よ…」

滝壺「極楽往生?」ワシャワシャ

フレンダ「そだね~…このまま安らかに……死んでたまるかっ!」バッシャ

滝壺「フレンダ、お湯撥ねる」

フレンダ「ごめんなさい…」

滝壺「きぬはたの髪は短くて洗いやすいね」ジャーー

フレンダ「やっぱそうだよねー。ちょっと羨ましい訳よ」

滝壺「ふんふふん♪」ワシャワシャ

フレンダ(滝壺、楽しそうだなー……)ブクブク

滝壺「ぶくぶくしない」

フレンダ「ごめんなさい…」ザバッ

252: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:23:45.70 ID:5W8bU/BAO

滝壺「ばばんばばんばんばん」

フレンダ「滝壺、湯舟に2人で入って狭くな…」

滝壺「ババン!ババン!バンバン!」

フレンダ「銃声だった!?」

滝壺「だめだよフレンダ、撃たれたらちゃんとふさわしいリアクションしないと」

フレンダ「えぇー…ツッコミで手一杯な訳よ」

滝壺「やりなおし」

フレンダ「はーい…」

滝壺「……」スゥ

滝壺「ババン!ババン!バンバン!ズドォン!キィィィィン……あぼーん!!おんぎゃあああ!」

フレンダ「……」

滝壺「……」

滝壺「フレンダ、ふざけてるの?」

フレンダ「ちょっと待ってよ!えっ?えっ?さっきと何か違うじゃん!無駄に激しくない?ってか悲鳴が既に入ってたんだけど!」

滝壺「そんなことでうろたえちゃダメ。もう一回」

フレンダ「そんなぁ…」

滝壺「テイクスリー」

フレンダ「よ、よーし!どんとこいな訳よ!」

滝壺「……」スゥ

滝壺「ババン!ババン!バンバン!」

フレンダ「ぎゃあああ!!やーらーれーたーぁー……ばたっ」バタッ

滝壺「もともと湯舟は大きめだし、きぬはたが小さいから大丈夫だよ」

フレンダ「結局、頑張ったのにコメントも何も無しなのね…」シクシク

253: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:24:11.74 ID:5W8bU/BAO

滝壺「いいお湯でした」

麦野「長かったわね」

フレンダ「ま、3人いたしね。追い焚きしとく?」

麦野「結構よ。ぬるめのほうが好きだから」

フレンダ「へ?そうだったっけ?麦野は熱いほうが…」

絹旗「う…ん」

滝壺「あ」

麦野「あら」

フレンダ「ようやくお目覚めな訳よ」

絹旗「ふえ?フレンダ…あれ、ここは?」

滝壺「おはよう、きぬはた」

絹旗「滝壺さん?私一体…確か研究所で…」

麦野「あそこでの戦いの後、今までずっと眠っていたのよ」

フレンダ「お風呂に入れても全く起きないくらい熟睡してたんだから」

絹旗「そ、そうだったんですか…皆無事で…」

絹旗「!」

絹旗「浜面…浜面は!?浜面はどこですか!?」

麦野「いないわよ」

絹旗「…!?」

滝壺「……」

絹旗「ちょ、ちょっと待って下さい!それってどういう」

フレンダ「あのね、絹旗」

絹旗「はい…」

フレンダ「結局、浜面はもう…」

絹旗「っ!?そんな…まさか…」

フレンダ「帰らぬひあたっ!!」ベシッ

麦野「帰ってこなきゃ困るでしょうが。買い出し行ってるだけじゃない」

絹旗「なんですかもう……驚かせないで下さいよ」

254: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:24:37.66 ID:5W8bU/BAO

滝壺「でも、本当に危なかったんだと思うよ」

フレンダ「そうそう。浜面が言うには、絹旗がいなければ脱出なんてできなかっただろうって」

絹旗「あはは…そもそも私があんなヘマしたのが超いけないんですけどね」

麦野「そうね。流石に今回のは独断専行が過ぎていたわ。私達に報告してからでも遅くなかったはずよ」

絹旗「すみません。不確定要素が多かったですし、それに…」

麦野「それに?」

絹旗「あ、いえ…なんでもないです」

フレンダ「……」

フレンダ「浜面を危険に巻き込みたくなかった」

絹旗「!」

フレンダ「私達に連絡すれば、遅かれ早かれ浜面もそれを知ることになる。だからそうなる前に、単身で依頼を完了しようとした……そうでしょ?」

絹旗「あう…それは…」

麦野「そうなの?絹旗?」

絹旗「……」

絹旗「…すみません」

麦野「…はぁ」

麦野「大方、そんなことだろうと思ったわ」

絹旗「え…?」

滝壺「私も。そうだと思った」

絹旗「え、ど、どうして皆さん…」

麦野「見てれば分かるわよ」

絹旗「な、何がですか?」

フレンダ「んー、絹旗が浜面に抱いてる感情とかね」

絹旗「……はい?」

255: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:25:17.07 ID:5W8bU/BAO

絹旗「私が…浜面に?」

絹旗「……」

絹旗「…ふぇ?ぅえ?ええええええええ!?」カァァ

フレンダ「ほーら」

絹旗「い、いやいやいや!何考えてるんですか!?」

絹旗「浜面は超雑用係であって、確かに大事な…仕事仲間かといえばまあ…そうですけど…!」ワタワタ

フレンダ「それだけ~?」ニタニタ

絹旗「そそそれだけって、ど、どういう意味ですか!?」

滝壺「きぬはた、顔がりんごみたいだよ」

麦野「…もうその反応で充分伝わったわ」

絹旗「何がですか!?べ、別に私は…!」

フレンダ「安心して、絹旗。私も同じだから」

絹旗「へ?同じって…」

フレンダ「そ。同じ」

絹旗「ま、まさかフレンダも…浜面が…す…好きd」

フレンダ「友達だと思ってる」

絹旗「えっ」

フレンダ「……」

絹旗「あ…いや…その」

フレンダ「あれえ~?絹旗今なんて言った~??なんか『好き』って聞こえ」

絹旗「わー!わー!!違います違います超違います!!聞き間違いです!!」

滝壺「きぬはた、私にもちゃんとそう聞こえたよ」

絹旗「ぐっ…」

滝壺「ついでに言うと、今の一連の話は全部録音してたよ」ピッ

絹旗「なん…だと…?」

256: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:25:44.74 ID:5W8bU/BAO

絹旗「滝壺さん」

滝壺「なに?きぬはた」

絹旗「一生のお願いがあ」

滝壺「無理」

絹旗「早っ!まだ超何も言ってないじゃないですか!」

滝壺「消してって言うんでしょ?」

絹旗「違います。そのボイスレコーダーを一瞬だけ拝借させて下さい」

滝壺「一瞬だけならいいよ」サッ

絹旗「ありがとうございまっせいあぁ!!」グシャッ

パラパラ…

滝壺「!!」

絹旗「ふふ…まさか瞬時に破壊するとは予想外だったでしょう」

絹旗「悪いとは思いましたが背に腹は替えられません。もちろん弁償はしますから。いくらですか?」

滝壺「私のボイスレコーダーは\530,000です」

絹旗「えぇー…またフリーザ様ですか…それで本当は?」

滝壺「本当だよ」

絹旗「なん…だと…?」

滝壺「これ領収書」スッ

絹旗「うわあ…本当だ」

滝壺「うん。でも別にいいよ」

絹旗「いえいえ流石に額が額ですし…そういうわけには超いきませんって」

滝壺「記録はSDに残ってるし」スッ

絹旗「なん…だと…?」

滝壺「動かぬ証拠」

絹旗「そんなぁ…」

滝壺「認めないとね。きぬはた」

絹旗「うぅ…」

絹旗「……確かに、私は浜面が…好きですよ」

257: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:26:21.79 ID:5W8bU/BAO

滝壺「ほむほむ」

フレンダ「えんだああああああああ!!!」

絹旗「ちょっ!ちょ、ちょっと待って下さいってば!」

フレンダ「いやあああああああああ!!!」

麦野「うるせええええええええ!!!」メコッ

フレンダ「あどゅっ!」

絹旗「超早とちりです!その…いろいろあるじゃないですか!」

滝壺「なにが?」

絹旗「『好き』って言っても…ほら、異性として好きーとか人間的に好きーとかドストエフスキーとか!」

フレンダ「……」

麦野「……」

滝壺「最後のは違うよね」

絹旗「ですよねー」

フレンダ「…ま、とにかくさ」

フレンダ「結局、どんな形であれ、私達は浜面が好きな訳よ」

滝壺「そうだね」

絹旗「この際それは認めます…超遺憾ながら」

麦野「……」

滝壺「むぎのもでしょ?」

麦野「…かもしれないわね」

フレンダ「うん」

フレンダ「それでさ…」



――――――――――――
―――



浜面「だいぶ大荷物になっちまったな。誰かに運ぶの手伝って…くれるわけねーか」

ガチャッ

浜面「買ってきたぞー」

浜面「…?」シーン

浜面「あれ?誰もいな」カチャ

パン!パン!パァン!!

浜面「!?」

258: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:26:47.64 ID:5W8bU/BAO

浜面「ク、クラッカー…?」

フレンダ「いえーい!おっかえりー!」

麦野「…おかえり」

絹旗「おかえりなさい」

滝壺「おかえり、はまづら」

浜面「お、おう…ただいま…?」

浜面「え、なにこれ?」

フレンダ「なんでもいいから!」

絹旗「まだ荷物あるんでしょう?超手伝いますよ」

浜面「え?いいのか?」

滝壺「私達は先に準備始めておくね」

麦野「あら、電話だわ」trrrrrrrr

絹旗「ほら、早く行きましょう」グイッ

浜面「ちょ、押すな押すな!」

フレンダ「おやおや?フリかな?」グイグイッ

浜面「ちげぇよ…おわっ!?まじで危ねぇから押すなって!」

麦野「はぁ?配達が遅れる?何言ってんのアンタ死にたいの?」

滝壺「ふんふん~ふんもっふん~」



浜面「えっと、フレンダはこれ、絹旗はこれ持てるか?」

フレンダ「お安い御用な訳よ」

絹旗「超余裕ですね。なんなら車ごとでも運べます」

浜面「いやいや…中に入らねえよ」

浜面「それにしても、どういう風の吹き回しだ?さっきのアレといい」

フレンダ「んー?さぁー、なんだろねー?」

浜面「なんだろねって……なんか裏がある気がしてならないんだが」

259: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:27:15.11 ID:5W8bU/BAO

絹旗「何言ってるんですか。労いの挨拶も、手伝いをするのも、超いつも通りですよ」

浜面「嘘つけ…」

浜面「それにクラッカーまであったしな。めでたいことでもあったのか?」

絹旗「誰がおめでたですか!!」

浜面「言ってねえよ!?」

フレンダ「ほんと浜面ってデリカシーが無いよね」

絹旗「まったくです。デリ面ですねデリ面」

浜面「だから言ってねえって!あとその略称だとデリヘルみたいに聞こえるからやめろ!」

フレンダ「うわっ…浜面のデリバリーとか…」

絹旗「需要が無いとかの騒ぎじゃないですね。確実に暴動が起きますよ」

浜面「お前ら…好き放題言いやがって…!確かに要らんだろうけど」


フレンダ「はい、とうちゃーく」ガチャッ

浜面「ふう。悪いな、助かったぜ」

絹旗「時に浜面、私とフレンダが持ったものは超分かりますが」

絹旗「浜面の持っているそれは何ですか?やたら大きいですけど」

浜面「ん、これか?これは…あれだ…」

浜面「見てのお楽しみだな。まあ、すぐにセットするから」

絹旗「…?」

滝壺「きぬはた、ちょっと手伝って」

絹旗「へ?あ、はーい」タタタ

浜面「……」

浜面「さてと、だ」

260: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:27:41.77 ID:5W8bU/BAO

絹旗「このお皿をテーブルに運べば良いんですか?」

滝壺「うん。あと湯のみも」

絹旗「了解です」

ガラッ

絹旗「あれ?」

浜面「よう。どうだ、絹旗」

絹旗「これって…」

浜面「こたつだよ。お前、欲しがってただろ?」

絹旗「え、ええ」

絹旗「って浜面、それだけで…?」

浜面「まあな」

絹旗「……」

浜面(あ、あれ?思ったより反応が芳しくないような)

絹旗(私は浜面と一緒に買いに行きたかったんですけど…)

絹旗(でも浜面、私のためにわざわざ買ってきてくれたんですね)

浜面「えっと…悪い、デザインとかはよく分かんねえから、なるべくシンプルで部屋と似た色合いのやつにしたんだけど、気に入らなかったか?」

絹旗「あ、いえ。超嬉しいです」ニコッ

浜面「…そりゃよかった」ホッ

絹旗「入ってみてもいいですか?」

浜面「ああ。今点けたばっかだからまだ暖かくないかもしれねえけど」

浜面「俺的には絹旗のために買ってきたからな。絹旗が1番に使ってほしい」

絹旗「そ、そうですか…//」

絹旗「ではでは遠慮なk」

フレンダ「!」

フレンダ「きゃっほい!こたつだこたつー!」ガバッ

浜・絹「えっ」

261: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:28:21.13 ID:5W8bU/BAO

フレンダ「あれ?あんま暖かくない訳よ。電源入ってないの?浜面ー」

浜面「えっ」

フレンダ「えっ」

麦野「あら?こたつなんてあったの?」

麦野「まあ、準備終わるまで待たせてもらうわね」ノソノソ

絹旗「えっ」

麦野「?」

滝壺「きぬはた、湯のみ持ってきちゃったからもう大丈夫だよ」カチャカチャ

滝壺「あとはお寿司が届くのを待つだけだね」モゾモゾ

浜面「えっ」

滝壺「えっ」

絹旗「えっ」

フレンダ「えっ」

麦野「なんなのよ…」

ピンポーン

寿司屋『逆だ小僧寿司でーす。ご注文の品をお届けに参りましたー』

浜面「あ、はいはい。いくらっすか?」

寿司屋「占めて\530,000になりまーす」

浜面「えっ」



滝壺「とりあえず、これで全部揃ったね。あとはお茶を…」

麦野「久々に熱燗にしてもいいわね。浜面、後でよろしく」

フレンダ「っとと、泡がこぼれる~」

絹旗「むむ…浜面!100%は100%でも、私は濃縮還元でないものを頼んだはずです!」

滝壺「……」

浜面「ところで、さっきから気になってたんだけどよ」

浜面「この薬玉は一体なんなんだ?」

フレンダ「ふふん」

フレンダ「今からそれを使う訳よ」

262: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:28:56.86 ID:5W8bU/BAO

絹旗「せっかくのお祝いですからね。こんなものでもあったほうがそれらしいでしょう」

浜面「へ?これってお祝いだったの?」

麦野「さっき決まったのよ」

滝壺「はまづら、引いてみて」

浜面「俺が引いていいのか?…頭に鈍器が落下してくるオチとかじゃないよな」

フレンダ「んなわけないでしょ」

絹旗「そんなことしませんよ。今回は」

浜面「次回以降も金輪際やめてくれ…」

浜面「じゃあ、引くぞ」グッ

パカッ! バサッ!

浜面「!」

浜面「なんだ?…新生アイテム誕生記念…?」

フレンダ「いっえーい!拍手~!」パチパチ

滝壺「うまく割れたね」

絹旗「えらくシンプルですね」

麦野「装飾詰めたらたへにかかるでしょ」

浜面「あのー、俺にはいまいち意味が…」

滝壺「見ての通りだよ。はまづら」

フレンダ「そ。私達は生まれ変わったのよ!さっき言ったことも含めてね」

浜面「さっき?ああ、買い出し前のあれ…!!」

浜面(やべえ!思い出しちまった…//)

絹旗「なんで紅くなってるんですか。超気色悪いです…。何かあったんですかフレンダ?」

フレンダ「んー?別に何もー?」タラー

絹旗「なぜ目を逸らすんですか…」

263: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:29:26.99 ID:5W8bU/BAO

滝壺「はまづら、何かあったの?」

浜面「い、いや!?何もねえって!な?」

フレンダ「ひどいですわ!あの行為を無かったものにするんですのね…!」オヨヨ

滝壺「はまづら…?」ゴゴゴ

浜面「変な芝居すんな!行為とか言うな!いろいろと誤解を招くだろうが!」

滝壺「あやしい」

浜面「怪しくない!怪しくないから!」

麦野「なんでもいいじゃない…早いとこ済ませてよ」ハァ

絹旗「それもそうですね」

絹旗「…浜面!」ビシッ

浜面「お、おう」

絹旗「コレの意味が分かりますか?」

浜面「……」

浜面「さっきフレンダから聞いた話だと、お前達の関係が変わった、ってことだったな。それが新生の意味か?」

絹旗「大雑把ですが…まあ、半分くらい正解です」

浜面「半分?」

絹旗「まず今までの関係を整理しておくとですね」

絹旗「アイテムというのは学園都市の暗部機関であり、その正規メンバーはリーダーである麦野、滝壺さん、フレンダ、私の4名」

絹旗「浜面は下っ端も下っ端、正規メンバー外のただの雑用係なんですよ」

浜面「そんなあえて言わなくても…」

絹旗「そして、私達は『仕事』をこなす仲間として活動してきました」

264: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:30:01.04 ID:5W8bU/BAO

絹旗「通常の人間社会の仕事とは隔絶された闇の中で、ただ共に任務を果たす仲間として」

絹旗「ですがその一方で、私達はまた平素の生活を共有することも超多くありました。平凡と言ってもいいかもしれません」

絹旗「具体的には映画館に行ったり、B級映画を観たり、劇場でポップコーンを食べたり…」

浜面「全部お前じゃねえか」

絹旗「えっ?」

浜面「いや、続けてくれ…」

絹旗「まあともかく、共に表社会での日常を過ごしてきました。今この時だってそうです」

絹旗「そういう仲がおそらく世間ではどのように認識されるのかは分かりますよね」

浜面「まあ…」

浜面「親しい間柄ってことだろ。平たく言っちまえば…友達なんじゃないか?」

絹旗「そうでしょうね」

絹旗「ですが、実際がどうであれ私達は暗部です。暗部ならばそれまでです。"そういうことにして"きて、それが当然となっていました」

絹旗「その当然を超打ち破ってしまったのが、浜面なんですよ」

浜面「俺が…?」

絹旗「浜面が『アイテム』に関わり始めて以来、私達の中に渦を巻きつつも停滞しきっていた"何か"、その流れが変わり始めたんです」

絹旗「そして……今回の件」

265: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:30:28.16 ID:5W8bU/BAO

絹旗「浜面の直接見ていないところで、私達の中でひとつの答えが整いました」

絹旗「私達の関係。結局、暗部にいても、表世界と何ら変わることのないその関係を手に入れた……違いますね、認めざるを得なくなったわけです」

浜面「……」

浜面「やっぱそういう風に、お前達の関係が変わったんだな」

浜面「俺はまだお前らとは付き合いが長くないし、育った環境が違いすぎるから、無責任な考えになっちまうけど…」

浜面「良いんじゃねえの。やっぱそういうのって大事なモンだと思うから」

絹旗「ええ。まあ…悪い気はしませんね」

浜面「そうか。なら確かに、祝ってやんねえとな」

浜面「そんじゃ、『新生』アイテムを祝して…」

フレンダ「ちょーっと待つ訳よ」

浜面「あん?」

フレンダ「絹旗が言ったじゃん。半分正解だって」

絹旗「超せっかちですね浜面は。まだ続きがあるんですよ」

浜面「お、おう…すまん」

浜面「でも何だ?お前達に生じた変化のほかに、『アイテム』を変えたことって…」

絹旗「……」

絹旗「先程述べたように、私達『アイテム』の関係を変える元となったのは浜面ですよね」

浜面「実感は無いが、そうらしいな」

266: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:30:54.72 ID:5W8bU/BAO

絹旗「また、最近は実戦においても何かしらの役割を担うこともありました」

絹旗「特に今回はそれが顕著でしたよね」

絹旗「単なる雑用係であるはずの浜面がいなければ、『アイテム』という組織は大きなダメージを負っていたかもしれません」

浜面「んな大袈裟な…」

絹旗「大袈裟なんかじゃ超ありませんよ。少なくとも私はそう思っています」

浜面「……」

浜面「仮にそうだったとしてもだ、フレンダの武器を使ったし、滝壺の能力で誘導してもらったし、麦野には脱出口を作ってもらった」

浜面「んで、お前が死に物狂いで俺を連れて崩れ落ちる火と瓦礫の中を突破してくれなきゃ、その時点でもうアウトだったんだ。」

浜面「お前らの助けがあってこそだ。そうでなきゃ俺は何も…」

絹旗「それです」

絹旗「それが、もう半分の答えですよ」

浜面「ど、どういうことだ?」

絹旗「分かりませんか?」

滝壺「はまづら、今までの自分の立ち位置を思い出して」

浜面「俺の立ち位置ってと、メンバーのサポーt」

フレンダ「雑用係でしょ」

浜面「同じ意味なんだから少しはマシな言い方させてくれよ…」

麦野「変なとこで格好つけてどうすんのよ」

267: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:31:23.36 ID:5W8bU/BAO

絹旗「その非正規メンバーでただのパシリの浜面ですが」

浜面「うわ、酷くなった」

絹旗「どうでしょう。経験値や戦闘力は少なくても、今や仕事をこなす上で私達と連携できるほどですよね」

絹旗「そこでです」

浜面「……」

絹旗「"浜面を、『アイテム』の正規メンバーとして迎え入れよう"」

浜面「…!」

絹旗「これが私達の出した結論。『新生アイテム』、残り半分の変革です」

浜面「お前ら…」

フレンダ「ま、そゆこと」

滝壺「ようこそ。はまづら」

麦野「ふん」

浜面「……」

浜面「ありがとな、皆」

絹旗「…何を言っているんですか?」

浜面「へ?」

絹旗「浜面は何か思い違いを超しています」

絹旗「"正規メンバー"として迎え入れるということがどういうことか、今一度考えてみてください」

浜面「あ…」

絹旗「学園都市の暗部組織の正規メンバーとなること、それはつまり一般人であった浜面が、闇の世界に引きずり込まれるということです」

絹旗「引っ越しとか転職とかそんなものとはワケが違う。一度足を踏み入れたが最後、抜け出すことは不可能に近いでしょう」

絹旗「私達がしたことはそういうことなんですよ」

268: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:31:49.88 ID:5W8bU/BAO

絹旗「だから、お礼を言われるのは超筋違いってもんです。分かりますよね?」

浜面「…ああ」

浜面「それでも俺はお前らに感謝するよ」

絹旗「…え?」

浜面「絹旗が言った通り『アイテム』の正規メンバーとなれば、俺は晴れて正式に暗部の仲間入りとなるわけだ」

浜面「そうなっちまえば、これまで身を置いてきた世界には戻れないかもしれない。今までより遥かに危険な環境で生きることになるだろうな」

浜面「…それでもだ」

浜面「お前らが俺を正規メンバーに迎え入れるってことは、俺は少しでもお前らに認めてもらえたってことだよな」

浜面「そしてそれは、単に戦闘要員としてだけじゃねえんだと思う」

浜面「お前達の関係の中に起きた変化に俺も巻き込まれたってんなら、迷惑なんかじゃない。俺は嬉しく思うぜ」

浜面「だからやっぱり礼を言わせてもらう。…ありがとな。お前ら」

絹旗「……」

浜面「んで、改めてよろしく、だ」

麦野「……」

滝壺「はまづら…」

フレンダ「あは…なんかオイシイとこ全部持っていかれちゃった感じがする訳よ」

絹旗「…本当に良いんですね?もう後戻りはできませんよ?」

浜面「ああ。構わねえよ」

269: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:32:16.21 ID:5W8bU/BAO

浜面「すでに片足は浸かっちまってんだ。どのみち逃げられやしねえよ」

絹旗「そうですか。では超乾杯しましょう」

浜面「えっ」

麦野「はーいじゃあ各自飲み物持ってー」

浜面「えっ」

絹旗「何アホみたいに(まあ実際アホですけど)驚いてるんですか浜面?」

浜面「何って、え?まじで?なんかほら、もうちょっと感傷に浸るとかそんな感じのやつがあるだろ!?あと括弧で閉じてある心の声思いっきり聞こえてるからな!!」

フレンダ「ウチって切り替えの早さがウリなんだよね」

浜面「んな設定初めて聞いたわ!つーかいくらなんでも切り替え早すぎるだろ!!」

滝壺「大丈夫。私は相も変わらずぞんざいな扱いを受けるはまづらを応援してる人がいるって信じてる」

浜面「お前は応援してくれないのかよ!」

フレンダ「ま、それは置いといて」

浜面「置いておかれた…」

絹旗「浜面、乾杯ですよ乾杯。何か面白い掛け声でやってください」

浜面「更に無茶振りされた…」

麦野「早くしてよね。麺がのびちゃうじゃない」

浜面「麺類なんてねえだろうが」

麦野「アンタの麺よ」

浜面「俺の麺!?なにそれどういう意味!?なんか怖い!!」

270: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:32:44.76 ID:5W8bU/BAO

滝壺「はよ」

浜面「くっ…」

浜面「腑に落ちねえことだらけだけどまあいい。乾杯するぞ」

浜面「えー…縁もたけなw」

フレンダ「かんぱあああああい!!!」

絹旗「超かんぱあああい!!」

滝壺「かんぱい」

麦野「……」グビグビ

浜面「やると思ったよ!!クソッ、単芝生やしたみたいになっちまったじゃねえか!」

フレンダ「結局、正規メンバーになったからって、所詮浜面はどこまでいっても雑用係とスベり担当の域を出ない訳よ」ゴクゴク

浜面「スベり担当なんて引き受けた記憶はねえよ!」

滝壺「はまづら、いつまで立ってるの?」

浜面「…それもそうだな」

浜面「こうなりゃヤケだ。朝まで飲み明かして…」

浜面「あれ?」

滝壺「どうしたの?」

浜面「いや…」

浜面(しまった…コタツは買ってきた、絹旗にも喜んでもらえた、そこまではいいが)

滝壺「?」

浜面(何も考えず正方形の卓を買ってきちまった。まあ円卓のものが少数派ってこともあるが…)

麦野「なるほどね」

麦野「人数は5人なのに、辺が4つの正方形のコタツを買ってしまい、自分が入れなくなっていると」ニヤニヤ

浜面「ぐっ…」

絹旗「……!」

271: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:33:10.49 ID:5W8bU/BAO

絹旗「や、やはり超浜面ですね!間抜けすぎます。呆れてものも言えません」

フレンダ「MONO」

絹旗「卓の裏面で顔を網焼きにされたいんですか?」

フレンダ「ごめんなさい…」

絹旗「普段から考えて行動しないからこういうことになるんですよ」

浜面「面目ない…まあ俺のミスだし今回は」

絹旗「そこでです!」

浜面「あん?」

絹旗「…はい!」スッ

浜面「?」

フレンダ「…あー」ニヤニヤ

麦野「何よ」

フレンダ「んーん。何でもない」

麦野「はあ…?顔がニヤけて更に気持ち悪いんだけど」

フレンダ「え、うそ?やばいやば…あれ?ちょっと麦野、『更に』ってどういう意味?」

絹旗「…ほら!」バンバン

浜面「へ?」

絹旗「だから!ここに入って良いって言ってるんですよ」

浜面「え?お前の隣にか!?」

絹旗「し、仕方ないでしょう!この中では私が一番小柄ですし!」

フレンダ「ま、胸も無いしねー」

絹旗「スレンダーなだけです!!ていうかフレンダに言われたくありません!」

フレンダ「な、なにおう!?」ガタッ

滝壺「スレンダ、机揺らさないで」

スレンダ「その呼び方…心なしかディスられてる気がする訳よ」

272: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:33:36.85 ID:5W8bU/BAO

浜面「ま、まあ落ち着けって。別に無理して俺が入る必要は…」

絹旗「そういう訳にはいきません!これが何のお祝いか忘れたんですか?」

絹旗「浜面を含めた『新生アイテム』の誕生祝いです。浜面が入らなければ意味無いじゃないですか!」

浜面「そ、そうか…」

浜面「なら、ありがたく入らせてもらうぜ」モゾモゾ

絹旗「…!」

絹旗「へへ変なとこ触ったらアバラですよ!//」

浜面「はは、折るのは勘弁してくれ」

絹旗「いえ、フレンダのアバラでぶん殴ります」

フレンダ「勝手に人のアバラ抜かないでよ!ってか絹旗、さっきのやつまだ恨んでんの!?」

絹旗「さて?何のことか超さっぱり分かりませんね」ゲシゲシ

フレンダ「嘘つくなっ!じゃあなんで足蹴ってくる訳よ!?っ…!このっこのっ!」ゲシゲシ

絹旗「痛っ!フレンダが超全力で蹴ってきました!滝壺さんに通報します!」

フレンダ「そんな強く蹴ってないでしょ!結局、絹旗が先に」

絹旗「えーん滝壺さーん(棒)」

滝壺「フレンダ。めっ」

フレンダ「そんなぁ…」

滝壺「あと、暴れないで」

フレンダ「ぐぬぬ…」

麦野「浜面、そこのお醤油とってくれる?」

浜面「はいよ」

273: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:34:04.76 ID:5W8bU/BAO

フレンダ「あ、私もお寿司食べたい!」

絹旗「おっと」ヒョイパクッ

フレンダ「のああああ!?私の鯖ちゃん!!!」

絹旗「すみません。手がますだおかだのおかだばりに超滑りました」モグモグ

フレンダ「絶対わざとでしょ!!もー許さないんだから!!」ガタッ

浜面「ま、まあ落ち着けって」

滝壺「だから暴れないで。フレンダ」

麦野「そうよ。うるさいったらありゃしないわ」

フレンダ「うぅ…これぞ四面楚歌…三面だけど」

滝壺「大丈夫。私はそんなうまいこと言ったようで言ってないフレンダをオーウェンしてる」

浜面「誰だよ…」

フレンダ「この虐げられキャラを誰かに代わって欲しい訳よ…」


絹旗(……)

絹旗(ふふ…楽しいですね)

絹旗(これからも暗部として生きることは変わらないのに、私達は確かに変わりました)

絹旗(そしてこれは悪いことじゃない。皆もきっとそう感じているでしょう)

絹旗(…あなたのおかげですよ。浜面)

浜面「ッ!!誰だ!ワサビ大量に入れやがったな!?お茶!お茶!!」ツーン

絹旗「……」

絹旗「浜面」

浜面「は、はひ?」

絹旗「……」

絹旗「やっぱり…冬はおこたが一番ですよね?」

274: ◆uZgf.zR4f6 2012/03/03(土) 02:45:24.07 ID:5W8bU/BAO
えっ?て感じがしないでもないけどおわりです!
まとめかたが分からなかったスンマセン('A`)

なんだかんだで総合スレで書きはじめてから1年も経ってしまいました…
当初から読んでくれた方、スレ建てしてから読んでくれた方、まとめ(られるのかしらんけど)で読んでくれた方
とにかく読んでくれた方に感謝です。
応援までしてくれた方に超感謝です。

禁書二期が放送してだいぶ経つから禁書SSは減ってきたけど、映画とか禁書三期とか超電磁砲二期があればまた盛り上がるよねきっと
とにかくアイテムのアニメ化を信じてワクテカしてますはい
アイテム好きです
絹旗好きです
でも1番好きなのはフレry
長くなるからこのへんでやめとこうもう長いけど

ともかく、お付き合いありがとうございました!
今日はこたつで寝ますノシ