1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:08:02.38 ID:qsadPkX80
注意点

時系列は新約後
独自設定・独自解釈かなりあり
オリジナル要素・設定結構あり
贔屓割とあり
厨二展開爆発
登場人物は大体パワーアップしてる
人がバンバン死ぬ

質問とかにはなるべく応えていこうとは思ってる

引用元: アレイスター「さあ、最後の晩餐(ショータイム)だ」 

 

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:08:50.62 ID:qsadPkX80
12月23日

第三次世界大戦が終結して約2カ月が経った。大戦直後は平和以外の何物でもなかったが
11月、すぐに変化は訪れた。『新入生』達による学園都市への大規模クーデターだった。
だがそれは、主にとある少年達の活躍によって事なきを得た。

その少年達とは、上条当麻、一方通行、浜面仕上の3人である。このクーデターを通し
一方通行はさらなる覚醒を、浜面仕上は『素養格付』(パラメータリスト)の壁を越え
能力を発現、そして上条当麻の戦闘センスにもさらなる磨きがかかった。

しかし、これら全ては学園都市統括理事長アレイスター=クロウリーの思惑通りだった。
これから起こる事に備えて……

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:10:45.18 ID:qsadPkX80
元暗部『アイテム』が住んでいるマンション

絹旗「『素養格付』の壁を越え能力を発現、ってたかだか低能力者(レベル1)じゃないですか。
   超威張るほどではないですよね」

いきなり喧嘩腰の発言をした少女は『アイテム』の中で最年少
『窒素装甲』(オフェンスアーマー)の能力を持つ、絹旗最愛だ。

浜面「誰も威張ってねーだろ。てかその言い方は酷くない!?
   それに大能力者(レベル4)と比べられてもだな」

『アイテム』の中で唯一の男、浜面仕上はそう言い返した。彼は今でこそ
レベル1であるが、つい先日までは、ぶっちぎりの無能力者(レベル0)だった。

それでも超能力者(レベル5)に2回勝利したり、第三次世界大戦の激戦区を
渡り歩いたりしてきた過去を持つ、割と世紀末帝王HAMADURAだったりする。

麦野「しかも『肉体強化』(オートエンハンス)とかありふれすぎ。レベル0の時の方が
   まだレベル0という個性があったのに」

そんな発言をした彼女は、学園都市でも7人しかいないレベル5の第4位
『原子崩し』(メルトダウナー)の麦野沈利。紆余曲折あって今は左手が義手、右眼が義眼である。普段は特殊メイクで隠している。

浜面「何言ってんだよ。レベル0は学園都市に6割も居るんだぞ。
   レベル1になっただけ今までよりは個性あるだろ!それにレベル5に言われてもだな!」

滝壺「そんな個性とかどうでも良いよ。はまづらははまづらだから」

そんな風に浜面のフォローに入った彼女の名前は滝壺理后。
能力はレベル4の『能力追跡』(AIMストーカー)。
療養中の身であったが、つい先日治療が完了した。浜面とラブラブ。

浜面「滝壺///」

滝壺「はまづら///」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:12:10.57 ID:qsadPkX80
麦野「(まーた始まったよ……)」

絹旗「(超甘々空間ですよね。てか私達、超邪魔者ですよね)」

麦野「(でもねぇ……新しく家探すのも面倒臭いしねぇ……)」

絹旗「(そうですよね。一応それぞれに部屋はありますし、このままでも超問題ないですよね)」

フレメア「大体!私にも構ってほしい!にゃあ!」

駄々をこねだしたのは、フレメア=セイヴェルンという少女。
とある事情で麦野が殺してしまった『アイテム』の構成員だった
フレンダ=セイヴェルンの実の妹だ。

何の罪もないのに、とある目的から『新入生』達に狙われていたところを浜面達に助けられた。
その後麦野が『フレンダの妹なら、私が面倒を見る』とか言い出したので
こういう風に『アイテム』と暮らしている。

麦野「はいはい。じゃあ私と遊ぶ?」

フレメア「うん。ブラッド&デストロイがやりたいな」

麦野・絹旗「「……え??」」

フレメア「あれ?大体聞こえなかった?ブラッド&デストロイがやりたいな」

麦野「え?いやでも、そんなのじゃなくてもいろいろあるにゃーん?ほら、ど○ぶつの森とかさ」

フレメア「ブラッド&デストロイ」

絹旗「マ○オパーティとか、超どうですか?」

フレメア「ブラッド&デストロイ」

麦野「じゃあせめて、大○闘スマッシュブラザーズDXとか」

フレメア「ブラッド&デストロイがやりたい!」

麦野(フレンダ、あんたの妹、手に負えないよ……)

こんな感じで『アイテム』は超平和だった。

6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:13:27.14 ID:qsadPkX80
黄泉川のマンション

打ち止め「ねぇねぇ一方通行(アクセラレータ)、ミサカと遊ぼうよ、ってミサカはミサカは
     駄々をこねてみる」

ものすごく面倒臭い口調のこの少女の名前は、打ち止め(ラストオーダー)。
オリジナルである御坂美琴のクローンで、見た目は10歳くらい。
紆余曲折を経て、今では一方通行と家族のような関係。

一方通行「あァ?だりィからパス」

そんな素っ気ない返事をする少年は一方通行。先日の『新入生』のクーデターを通して
『絶対能力者』(レベル6)へと『最強』から『無敵』へと進化(シフト)した。
能力は『一方通行』。簡単に言うと『ベクトル操作』である。チョーカーのバッテリーは
今や1時間は持ち、日常生活でも杖を使わなくても良いぐらいには回復した。

番外個体「そんなこと言わないで、少しぐらい遊んであげれば良いじゃん」

一方通行に向かって、少し生意気な口を聞く彼女は番外個体(ミサカワースト)。
第三次製造計画(サードシーズン)により新たに生み出されたクローン。一方通行に救われた。

一方通行「ンな事言うなら、オマエが遊ンでやれよ」

番外個体「仕方ないな~。今からミサカが子供の扱い方と言うものを見せてやるから見習え!
     ほーら打ち止めちゃーん、お姉さんと一緒に遊びましょうね~」

打ち止め「ミサカはそんなに子供じゃない!ってミサカはミサカは憤慨してみる!」

7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:14:49.20 ID:qsadPkX80
黄泉川「随分賑やかじゃんよ」

打ち止めと番外個体のやり取りを、微笑ましく見守る女性は黄泉川愛穂。
この部屋の家主であり、教師兼『警備員』(アンチスキル)でもある。

芳川「明るいのも良いけど、私はもう少し落ち着きも持ってほしいと思うわね」

彼女は芳川桔梗。もともとは研究者だったが、現在は黄泉川のマンションで居候しているニート。
黄泉川とは旧知の仲である。

黄泉川「その言い方は無いじゃんよ。桔梗は人の事とやかく言う前に早く次の仕事見つけるじゃん」

芳川「分かっているわよ」

黄泉川「分かったんならそれで良いじゃん。ところで一方通行、買い物に行ってくるじゃんよ」

一方通行「はァ?何でだよ?今日は天皇誕生日で祝日だろうが。オマエが行け」

黄泉川「なーに言ってんじゃんよ。アンチスキルは祝日でも仕事があるじゃん」

一方通行「じゃあ芳川に行かせろよ」

芳川「私はちょっと忙しいから無理なのよ」

一方通行「どっからどう見ても、TV見てくつろいでいるようにしか見えないンですけどォ。
     これは俺の目の錯覚ですかァ?」

芳川「だから言っているでしょ。TV見るのが忙しいの」

しれっとした顔で芳川はそう言い切った。

一方通行(殴りてェ)

一方通行は純粋にそう思った。

8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:15:58.06 ID:qsadPkX80
黄泉川「私は一方通行に頼んでるじゃんよ」

黄泉川「前にも言ったじゃん。買い物でもなんでもいいから『日常』に触れて
    社会の歯車の一員になれって」

一方通行「チッ、分かったよ分かりましたよ。行けばいいンだろ?」

一方通行はとても億劫そうにソファーから起きあがる。

打ち止め「ミサカも行くー、ってミサカはミサカは宣言してみる」

番外個体「み、ミサカも行きたいっ!」

打ち止め「駄目ーっ!今回はミサカと行くの、ってミサカはミサカは今回は負けない
     と意気込んでみる!」

番外個体「はっはっはーっ!ミサカに敵うのかなぁ!」

一方通行を巡って、軽い戦争をする打ち止めと番外個体だったが、そこへ黄泉川が一言。

黄泉川「3人で行けばいいじゃんよ」

打ち止め・番外個体「「あ」」

そんなこんなで仲良く?買い物に行った3人であった。

9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:17:53.67 ID:qsadPkX80
第7学区 とある学生寮

禁書「ねぇとうま、暇だから外に行って遊ぼうよ」

彼女の名前は禁書目録(インデックス)。『完全記憶能力』があり
頭の中に10万3000冊の魔道書を記憶していると言うトンデモ少女。食いしん坊。

上条「今は筋トレ中だから無理。それに寒いし」

筋トレをしている少年は上条当麻。夏休み以前の記憶がない。
彼には『幻想殺し』(イマジンブレイカー)という、それが異能の力であるのならば
神様の奇跡でさえ打ち消せる、と言う触れ込みの凄い右手を持っているが
身体検査(システムスキャン)上はレベル0判定なので、極貧高校生。

禁書「いいじゃんそんなの!昔はそんなことしてなかったのに!」

上条「いーや駄目だね。俺は気づいたんだ。俺の攻撃方法は殴ることしかできない。
   近距離戦しかできないんだ。そのためには体を鍛えといた方が良いだろ?
   今まで何故体を鍛えてこなかったのか、我ながら不思議なくらいだ」

禁書「何でとうまの中では、戦いがあるのが前提なの!?とうまは元々、ただの高校生なんだよ!?
   戦いがあるほうが異常だし、今後もしあったとしても、そう言う戦いには参加しなくても
   良いかも!」

上条「でも戦いなんてなくても、筋トレして特にデメリットは無いだろ?」

禁書「むぅー。今までずーっと私に記憶喪失の事隠していたくせに!」

上条「う!?そこ言われると弱るな……でも今まで隠していたのは、お前の悲しむ顔を
   見たくないと思ってだな……」

禁書「き、気持ちは嬉しいけど、そう言って私の怒りを和らげようとする手には
   乗らないんだよ///」

と言いつつ、いつものインデックスならこのまま噛みついてもおかしくないのだが
面と向かって言われると、さすがに嬉しかったようで、噛みつく事は無かった。

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:19:26.19 ID:qsadPkX80
上条(ふぅ。何とか噛みつきを回避できましたか)

禁書「……そうだね。外に出たら“また”女の子とお知り合いになったりするかもしれないから
   このままずっと、家で筋トレしてもらってる方が良いかも」

上条「何だよその言い方……まるで俺が1歩でも外に出れば、女の子と仲良くなって
   帰ってくるみたいな言い方じゃねぇか」

するとインデックスは溜息をつきながら

禁書「とうま、それ本気で言ってるの?これだから無自覚は困るんだよ」

上条「あ、あの~、インデックスさん?何故そこで深い溜息を吐くのでせうか?」

禁書「ねぇとうま、私の気持ち考えたことある?」

インデックスは腹筋最中の上条に跨った。

上条「お、おい!」

禁書「私はとうまが学校に行っている間、ずーっと一人ぼっちなんだよ?私だって寂しいんだよ?」

インデックスは若干涙目になりながら、じっと上条を見つめる。

上条「……」

禁書「だから、たまには私と遊んで欲しいかも」

上条「……そうだな。たまには遊ぶのも悪くないな」

禁書「でも外に出ると、とうまは女の子のところに行っちゃうから、この部屋の中で
   出来る事をしようよ」

上条「い、家の中で、しようよ……」

今現在、上条はインデックスに跨られている。
上条は健全な高校生であるため、女の子が自分の腰辺りの上に居るのは、若干刺激的なのである。
その状況で“しようよ”なんて言われたのだ。紳士である上条の理性も少し吹っ飛びかけた。

11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:20:24.04 ID:qsadPkX80
上条「///」

禁書「どうしたのとうま?顔が赤いよ?熱でもあるの?」

インデックスが心配そうに上条の顔を覗き込む。顔の距離は10cmまで近づく。

上条「だ、大丈夫。上条さんは今日も健康体です!はい!」

禁書「……よく分からないけど大丈夫なら良いんだよ。それより今思いついたんだけど
   人生ゲームって言うのをやってみたいかも!」

上条「人生ゲームか……あったっけなぁ……」

禁書「とりあえず一緒に探そうよ。見つからなかったら一緒に買いに行くんだよ!」

上条「はいはい、分かりましたよ」

上条は面倒臭そうに、けれども嬉しさも込めて、そう返事をした。

12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:22:21.23 ID:qsadPkX80
イギリス清教 第零聖堂区『必要悪の教会』(ネセサリウス)

ステイル「最大主教(アークビショップ)!この書類に書いてあることは本当なのですか!」

大声でそう叫んだ彼は、ステイル=マグヌス。
イギリス清教に所属する炎を得意とする魔術師である。
2mの大男であるが、14歳。
魔法名は『我が名が最強である理由をここに証明する(Fortis931)』。

ローラ「ええ、本当よ」

軽い返事をしたのは、イギリス清教の最大主教であるローラ=スチュアート。
身長の2.5倍位ある、宝石店にそのまま売られてもおかしくない金髪をもつ
見た目18歳くらいの少女だ。

ステイル「こ、この書類には『学園都市の襲撃を認める』とありますが……
     何故学園都市を攻める必要があるのですか!」

ローラ「簡単なことなのよ。あそこには殺さなければいけなし人がいるの」

ステイル「な、何を」

ローラ「アレイスター=クロウリー。奴は生きていたのよ。学園都市統括理事長として」

ステイル「そんな……確かに学園都市統括理事長は、あの最悪の魔術師と言われた
     アレイスター=クロウリーと同名ではあるが、時代的にどう考えたって
     生きているはずがない!」

ローラ「私もそう思っていた時もあった。でも第3次世界大戦が終戦した10月30日に
    わずか700秒程度の間ではあったけど、生体反応が出たのよ」

ローラは若干気分が昂ぶっているせいか、似非古文口調ではなくなっていた。

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:24:13.06 ID:qsadPkX80
ステイル「ですが、あそこには禁書目録が……」

ローラ「そんなことは関係なしにつきなのよ。それに、呼び戻そうと思えば
    いつでも呼び戻せしこともできる」

ステイル「しかし」

ローラ「しかしではない。ステイルも知っているでしょう?イギリスはクーデター以降
    弱っているの。だがここで学園都市を潰せば、我らイギリスは力を取り戻す」

ローラ「それどころか、科学サイドという一大勢力が無くなれば、我ら魔術サイドが
    世界を手中に治めることもできる」

ローラ「それに魔術世界の歴史上最大の汚点とも云われる、アレイスターを潰したいでしょ?」

ローラ「つい先日、学園都市でクーデターがあったのは知っているでしょう?
    この好機を逃す手は無しにつきなのよ」

ステイル「そんなことは関係ない。……駄目だ、貴方は危険すぎる……!」

ステイル「今のところ世界は平和そのものだし、何よりあそこには禁書目録がいる。
     彼女を危険に巻き込むわけにはいかない」

ステイル「こんな書類、僕が今ここで燃やしてやる!」

ローラ「そんな口を聞きて良いのかしら?私には遠隔制御霊装がありしことよ?」

ステイル「この女狐めが!」

ステイルは感情を隠すことができなかった。

ローラ「ふふふ。さあ、分かったら明日にでも、学園都市に攻めたりけるから
    相応の準備をしなさい」

14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:26:02.30 ID:qsadPkX80
翌日 上条の通う学校

上条(眠い……)

現在、上条の通う高校では、終業式の真っ最中である。

昨日はあの後、人生ゲームを探すも結局なかったので
買いに行くためにインデックスと出掛けたのだ。
にもかかわらず、いつも通りインデックスが『おなかすいた』と喚きだしたので
食べ放題バイキングに行ったところ、店側に『勘弁して下さい』と泣きつかれて
いろいろ大変だったりした。

そして校長先生の長話のコンボである。上条の疲れはピークに達していた。

上条(話長いな……)

青ピ「(カミやん、カミやん)」

ひそひそ声で上条に話しかけてきた彼は、青髪ピアス。
見た目が青い髪の毛に、ピアスをつけていることからそう呼ばれている。本名も能力も不明である。

上条「(なんだよ)」

青ピ「(なんか疲れているようやけど、大丈夫なん?)」

上条「(大丈夫じゃねーよ。こっちは昨日の事でヘトヘトなんだよ)」

青ピ「(なになに、昨日何があったん?)」

上条「(昨日インデックスと出掛けたんだけど、あいつが食べ過ぎてよ。
   俺は色々と大変だったんだよ)」

青ピ「(おいカミやん、そのインデックスって娘、確か大覇星祭の打ち上げの時と
   鍋の時に居たシスターちゃんの事やろ?)」

上条「(……そうだけど)」

青ピ「ふざけんなやカミやーん!それデートやないかーっ!」

いきなり大声を出す青髪。当然、全校生徒の注目は上条と青髪に集まる。

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:27:05.14 ID:qsadPkX80
上条「ど、どうしたんだよ!」

青ピ「おまっ、あんな可愛い子とデートできたって言うのに、疲れたやと!?
   デートしたくてもできん、僕の気持ち考えろやーっ!」

上条「お、落ち着けって!」

小萌「あ、青髪ちゃーん!静かにするのですよー!」

大声で青髪を注意する彼女は月詠小萌。
身長135cmで小学6年生ぐらいにしか見えないが酒も煙草も大好きな、立派な大人であり教師である。

青ピ「僕はたった今決めた!今からカミやんを排除する!」

上条「ちょ」

青髪が上条に襲いかかろうとした、その時だった。

災誤「騒ぐな!」

青髪「ぐへっ!」

青髪は災誤(ゴリラ)に殴られ気絶した。そのまま災誤にかつがれて退場する。

上条(ふぅ、何とか助かったか)

数分後、終業式は終了した。

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:28:42.45 ID:qsadPkX80
黄泉川のマンション

打ち止め「あなたは今日も寝てばっかりなのね、ってミサカはミサカは呆れてみる」

一方通行「疲れが溜まってンだよ」

打ち止め「嘘ー!ミサカはもうこんなに元気なのに、ってミサカはミサカは
     天真爛漫ぶりをアピールしてみる!」

一方通行「うるせェなァ」

打ち止め「あなたはクーデターが終了して以降寝てばっかりじゃない
     ってミサカはミサカはあなたの怠慢さに呆れてみる」

一方通行「クーデターが終了して以降って……まだ2週間も経ってねェじゃねェか」

番外個体「いや、普通の人は丸3日も休めば、元気に回復するんだけどね」

一方通行「俺は普通じゃないの」

番外個体「そんなこと分かってるよ。あなたの正体はモヤシだよね」

一方通行「……」

番外個体「シカトかよ」

打ち止め「ミサカとあーそーぼー、ってミサカはミサカは懇願してみたり」

一方通行「番外個体、遊ンでやれ」

打ち止め「いーやーだー。ミサカはあなたと遊びたい、ってミサカはミサカは
     あなたの提案を却下!」

番外個体「ほぅら、熱烈なラブコールだよ~?」

一方通行「……何がしてェンだ」

打ち止め「今日はクリスマス・イブって日らしくて、学園都市も盛り上がっているみたいだから
     とりあえず外に出よう、ってミサカはミサカはソワソワしてみる」

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:29:34.71 ID:qsadPkX80
芳川「そうね。それがいいわ。行ってきなさい。3人で」

一方通行(こンな糞寒い中、外に出るのかよ…)

打ち止め「さっさと準備して出発するよー、ってミサカはミサカは姉御気どり」

番外個体「若いってのは良いね。元気があって」

一方通行「ナンバリング的には、オマエの方が妹だろうが」

こうして3人はクリスマス・イブで盛り上がる学園都市へと繰り出していった。

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:31:07.73 ID:qsadPkX80
『アイテム』が住んでいるマンション

浜面「わたくし浜面仕上ですが、現在緊急事態です」

浜面「恥ずかしながら、わたくし浜面仕上は、今まで彼女というものがいたことがなかったので
   今日までクリスマスという行事があったことを、すっかり忘れてしまっていたのです」

浜面「何が言いたいかって言うと、滝壺へのプレゼントを買っていないのです。
   幸い、あと1日猶予がありますが、どうしたらいいか困っています」

フレメア「浜面、さっきから、大体誰に向かって喋ってるの?」

浜面「え?いや~別に」

絹旗「フレメアちゃん、あまり浜面に近付かない方が良いですよ。
   浜面は超浜面ですから、どうせ超気持ち悪い妄想でもしていたんでしょう」

フレメア「そうなの?」

浜面「違うって。あまり絹旗お姉ちゃんの言うことは信じるなよ。コラ絹旗!
   あんまりデタラメ教えるんじゃありません!」

絹旗「うわ!何ですかその口調!超気持ち悪いです」

浜面「なんかさぁ!最近お前、俺に冷たすぎない!?」

絹旗「全然。超そんなことはありませんけど」

そこへ麦野が、うるさいな。と言う調子を含めた声で

麦野「はーまづらぁ、鮭弁買って来い」

浜面「唐突!?」

麦野「腹が減ったんだよ。いいから買って来い。30個」

絹旗「では、私はマシュマロを超お願いします」

浜面「はいはい」

滝壺「私も付いて行くよ。はまづら一人だけだと荷物大変でしょ?」

浜面「滝壺~(感動)」

ここで浜面は、ああなんて優しいんだ。さすが我が姫!と思っていたのだがあることを思いつく。

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:32:22.64 ID:qsadPkX80
浜面(待てよ。ひょっとしたらこれ、滝壺のプレゼントを探すいい機会じゃないか?
   ここは敢えて……)

浜面「気持ちは嬉しいけど、病み上がりの滝壺に重い荷物を持たせるわけにはいかないから
   俺一人で行くよ」

滝壺「はまづら、そんな気遣いいらないよ。私は、はまづらと一緒に居られるだけで幸せだから」

浜面(ああ!なんて良い子なんだ!可愛すぎる!俺には勿体ないくらいだ!
   でもその優しさが今は辛い!)

浜面(いや待てよ。一緒に居られるだけで幸せ=プレゼントなくても俺さえいれば良い
   という公式が成り立たないか?)

浜面(いやでも、クリスマスにプレゼントなしは……さすがにないよな)

と5秒くらい浜面が考えていると

滝壺「はまづら、どうかした?」

浜面「え?いや別に何でも」

滝壺「じゃあ買い物に行こうか」

浜面「いや、やっぱりさ。滝壺はまだ病み上がりだし、休んでいてくれよ」

滝壺「……そう。分かった」

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:33:27.90 ID:qsadPkX80
フレメア「じゃあさ、大体私も買い物に連れてって」

浜面「……お菓子とかは買わないぞ?」

フレメア「にゃあぁぁぁあああ!?浜面のケチ!大体、少しぐらい買ってくれても良いじゃん!」

浜面「無駄遣いはいけません!」

麦野「いいわよ。これでフレメアにお菓子でもおもちゃでも、何でも買ってあげなさい」

麦野は財布から、万札を数枚取り出す。

浜面「さすが、レベル5は財力が違うな。でもフレメアのこと、こんなに甘やかしていいのか?」

フレメア「全然、大体甘やかされてないもん。にゃあ」

麦野「そんなことはどうでもいいんだよ。いいから早く買ってきて」

浜面「へいへい」

そんなこんなで、浜面とフレメアのおつかいスタートである。

だがこんなにも平和な日常の終わりは、確実に近付いていた。

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:34:24.76 ID:qsadPkX80
放課後 上条の通う高校

上条「さ~て、帰るかな~」

姫神「か。上条君」

勇気を振り絞って、上条に話しかけた彼女は姫神秋沙。
『吸血殺し』(ディープブラッド)という、吸血鬼に対しては必殺の能力を有している。
今はその力を、イギリス清教からもらった十字架で抑えている。

上条「ん?どうした姫神?」

姫神「そ。その。明日。わ。私と」

上条「明日?明日がどうしたんだ?」

姫神「だ。だから。明日。私と」

その時だった。姫神を押し退けて、カチューシャをつけた女の子が上条の目の前に出てきた。

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:36:00.62 ID:qsadPkX80
カチューシャ「か、上条君。明日って何の日か分かる?」

上条「お前も明日って……明日ってなんかあったっけ?」

カチューシャ「もう!上条君の馬鹿!明日はクリスマスじゃない///」

上条「ああ~、そう言えばそうだ」

カチューシャ「だから、明日、私と一緒に、で、デートしない?///」

上条「え?俺と?」

カチューシャ「うん///」

上条「マジか。まあ気持ちは嬉しいけどよ。俺なんかで良いのか?」

カチュ-シャ「な、何言ってんのよ!私は上条君と行きたくてわざわざ誘ってんのよ!
       言わせないでよ、恥ずかしい///」

瞬間、男子達から「ヒューヒュー、アツイねぇ!」「また上条かよ……」「リア充爆発しろ」
などなど、喜怒哀楽が入り混じった野次が飛んできた。

上条「そ、そうか。じゃあ俺でよけれ」

姫神「待って」

そこに姫神が割って入る。

姫神「最初は。私が誘おうとしていた。私も上条君とデートしたい///」

女子A「そ、それだったら私だって上条君とデートしたい!」

と姫神、女子Aに続いて「私も!」「私だって!」と次々に上条とデート志望の女子が。

男子A「おい、あいつハーレムルート入ろうとしてんぞ」

男子B「そろそろ見逃せないレベルだな」

男子C「よし!奴を仕留めるか!」

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:37:58.64 ID:qsadPkX80
うおーっ!と男子勢による暴動が起こる。
そんな中冷静な少女が一人立ち上がり、教卓へと足を運び

吹寄「うるさーい!」

教卓を思いっきり叩き、クラス全員を一撃で黙らせたのは、吹寄制理。
健康グッズにはまっている、黒髪巨乳おでこDXな少女。

吹寄「上条!貴様、忘れている事があるわよ!」

上条「忘れている事?」

吹寄「貴様、ただでさえ頭悪いのに、学校も碌に来ない日が多かったわよね」

上条「……あ」

吹寄「思い出した?その埋め合わせのために、明日から私と一緒に補習があること」

上条「そ、そうだったーっ!」

その瞬間、クラスの女子達は絶望へ叩き落とされた。
一方男子勢は「イヤッホォォォォォウ!」と一気にハイテンションに。
が、そこで冷静な男子がある事に気づく。

男子D「ん?待てよ……今吹寄の奴“私と一緒に”って……」

男子E「え?吹寄って頭いいから、補習なんてあるわけなくね?」

吹寄「私がボランティアでこいつの補習の面倒見るの。
   このクラスから留年者を出すのも癪だからね」

その瞬間男子勢は、対カミジョー属性鉄壁の女が陥落したと思い、絶望へ。
一方女子勢は女子勢で「吹寄さんはライバルじゃないと思ったのに」
「ホルスタイン乳が!抜け駆けかよ!」と暴言を吐く者までいる始末だった。

と吹寄以外のクラスメイト(上条も含む)が絶望していたその時
ガララッ!と教室のドアを開ける一つの影が。

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:39:07.23 ID:qsadPkX80
土御門「盛り上がるのはそこまでだぜい」

彼は土御門元春。上条が住んでいる学生寮の隣人で
多角スパイでもあり、暗部の人間でもあり、とにかく凄い人物。

上条「土御門!?」

土御門「ちょっとカミやん借りていくぜい」

そう言いながら、土御門は上条の腕を引っ張る。

上条「ちょ、いきなりなんなんだよ」

土御門「良いから、黙ってついてこい」

土御門の目が鋭くなった。
上条は普段のふざけた調子の彼も、エージェントである真面目な時の彼も知っている。
今の目つきは、まさにエージェントのそれだった。

上条「……分かった」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:42:00.63 ID:qsadPkX80
上条の通う高校 屋上

土御門「カミやん。落ち着いて聞いてくれ」

上条「な、なんだ」

土御門「今日、イギリス清教率いる魔術サイドが、学園都市に攻めてきた」

上条は土御門の言っている意味が分からなかった。

上条「は?」

土御門「だから今日、イギリス清教率いる魔術サイドが、学園都市に攻めてきたんだって」

上条「聞こえなかった訳じゃねぇよ!」

上条「なんで、だって、おかしくないか?第3次世界大戦では
   学園都市とイギリス清教は協力したんじゃないのかよ!」

土御門「まあ落ち着け。確かにそうだが、あの大戦以降、科学サイド>魔術サイド
    というパワーバランスになった」

土御門「だが学園都市は先日のクーデターで弱ってしまった。魔術サイド>科学サイドにしたい
    イギリス清教にとっては、今が攻め時って訳だ」

上条「理屈は分かった。けどよ、別に学園都市はイギリス清教と敵対関係では無いはずだし
   このままどちらも何もしなければ、世界は平和のままのはずだろ?
   どうしてわざわざ攻め込んでくるんだよ!?」

土御門「人間ってのは、自分が他者より優れていると、こいつよりはマシだと
    どこかで少しでも優越感に浸っていないと、生きていけないものさ」
    優劣を逆転したいんだよ。平和とか、そんなの関係なくな」

上条「ふざけんな!」

土御門「……」

上条「そんな程度の理由で、これから学園都市は攻められて
   俺の大切な人達が傷つけられていくのかよ!そんなこと、俺が絶対にさせねぇ!」

上条「いいぜ、イギリス清教。テメェらが立場を逆転するためだけに
   人を傷つけて、何も感じないと言うのなら――」

上条「――そんなふざけた幻想は、欠片も残さずぶち壊してやる!」

土御門「カミやん、カッコつけているとこ悪いが、既に学園都市とイギリス清教の戦いは
    始まっているぞ」

上条「なんだって!?」

土御門「空を見てみろ」

上条は空を見上げた。
そこには学園都市の戦闘機が何十機も飛んでいる光景があった。

土御門「まだ本格的に戦いが始まった訳じゃないが、水面下では戦いは確実に進行しているし
    これからさらに加速するだろう」

土御門「カミやん。念のためインデックスのもとに急ぐんだ」

上条「そうだ、インデックス!」

言うが早いか、上条はインデックスのもとへ走りだした。

土御門「さて、俺も動くとするか」

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:43:44.41 ID:qsadPkX80
上条がインデックスのもとへ走りだした頃 上条の学生寮

禁書「ふんふふん♪ふんふふん♪ふんふんふ~ん♪」

鼻歌交じりでご機嫌のインデックス。何故かと言えば、インデックスが大好きなアニメ
超起動少女(マジカルパワード)カナミンが、冬休みに一挙再放送されるからだ。

禁書「とうま、まだかな~」

そして明日からは冬休み。
上条当麻とも一緒に過ごせるので(上条が冬休みに補習がある事は知らない)インデックスは
嬉しくてたまらないのだ。

今か今かと上条の帰りを待つインデックス。
そんな事を思っていたころ、ガチャ、と扉の開く音がした。

禁書「あ、とうま帰って来たんだ……ね」

部屋の扉を開けて入ってきたのは上条ではなく、隻眼の男だった。

隻眼の男「一緒に来てもらおうか。『禁書目録』」

禁書「え?あ……そんな……だって……」

インデックスはかなり動揺していた。

まず1つ目。この男は多分魔術師だ。それも相当レベルの。だから怖くて仕方ない。

2つ目は、この男に気付かなかった自分に動揺していた。
扉を開けられるまで、その姿を見るまでに気づく事が出来なかった。

そして3つ目。何故こんなにも強力な魔術師が、学園都市に居るのだろうか?
まして、上条の部屋に来れたのだろうか?

インデックスは動揺しすぎて、過呼吸になりかけていた。

隻眼の男「この調子なら、勝手に気絶してくれそうだな」

禁書(とう……ま……)

結局、過呼吸をこじらせたインデックスは意識を失った。

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:45:55.49 ID:qsadPkX80
第6学区

一方通行「帰りてェ」

現在一方通行達は、学園都市の中でもアミューズメント施設が多く集結した場所にいる。
一方通行はそこで様々なゲコ太グッズを買わされたり、様々な施設に連れ回されたりして
疲弊していた。今はベンチで休憩中である。

番外個体「情けないねェ。女の子とのデートも満足にできねェのかよ?」

一方通行「したことねェし、出来るわけねェだろ。てか俺の真似すンな。気色悪ィ」

番外個体「あははは。あなたの真似って案外楽しいね」

一方通行「あっそ」

番外個体「素っ気ないなぁー。女の子の話はちゃんと聞いてあげないと」

一方通行「知ったこっちゃねェよ」

打ち止め「ねーねー。次はあれに乗ろう、ってミサカはミサカはあなたの腕を引っ張ってみる」

打ち止めが一方通行の腕を引っ張りながら指差したのは、観覧車だった。

一方通行「あァ?ンなもン番外個体と一緒に乗って来いよ。俺はここで休ンでる」

打ち止め「やだ。ミサカはあなたと一緒に乗りたいの、ってミサカはミサカは大胆発言」

番外個体「みっ、ミサカもっ、ミサカも乗りたい!」

一方通行「チッ。仕方ねェ。3人で乗りゃあいいンだろ?」

打ち止め「そうそう。そうと決まれば、観覧車までダッシュ!ってミサカはミサカは
     爆走してみたり~」

一方通行「そンなに慌てンな。転ぶぞ」

打ち止め「ミサカがそんなドジな真似するはずが、あ!」

ドジな真似するはずがない。の台詞途中に早速転んだ打ち止め。

一方通行「言わンこっちゃねェ」

28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:48:36.01 ID:qsadPkX80
一方通行「ほら、早く起きろ」

一方通行は倒れた打ち止めに手を差し伸べた。

打ち止め「……」

だが打ち止めは、一向に一方通行の手を取らないどころか、言葉一つ発しない。

一方通行「打ち止め……?」

一方通行が打ち止めの様子を窺おうとした、その時、ドサッ!と後ろから何かが倒れた音がした。

一方通行「あァ?」

訝しげに一方通行は振り返った。番外個体が息苦しそうに倒れていた。

一方通行「番外個体!」

一方通行は番外個体のもとへ近付く。

一方通行「おい、どうした?何があった?」

番外個体「妹……達……」

一方通行「妹達(シスターズ)がどうしたンだ!?」

番外個体「世界中の……妹達が……次々と……殺されている……」

一方通行「なンだとォ!?」

今の一方通行の演算能力は、1万人近い妹達の代理演算で行われている。
つまり妹達が殺されてしまうと、一方通行は能力は愚か、日常生活すらままならなくなってしまう。
そして何より、これ以上妹達を殺されること自体許せなかった。

一方通行「妹達を殺している奴はどこだ?」

番外個体「世界中にいる……妹達は……現在進行形で……同時多発的に殺されている……
     さすがの……あなたでも……全部は回れない……だから……妹達の虐殺が……
     一番激しいところ……」

番外個体「ロシアに……向かってほしい……」

一方通行「あァ、分かった」

一方通行は返事をした直後、あるところに電話をかける。

29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:51:02.39 ID:qsadPkX80
一方通行「土御門」

土御門『今そちらに結標を向かわせている。番外個体と打ち止めは
    とりあえず「冥土帰し」(ヘブンキャンセラー)のところに預ける』

一方通行「まだ何も言ってねェけど」

土御門『事情は大体分かっている。いいからお前は妹達を助けに心おきなくロシアまで行って来い』

毎度のことだが、何故土御門は何でも知っているのだろうか。
疑問だったが、今はそんなこと気にしている場合ではない。

一方通行「結標なンかに、こいつら預けて大丈夫なのか?」

土御門『結標はショタコンだから、幼女には興味ないぞ?』

一方通行「当たり前だ。そンなこと聞いてンじゃねェよ。実力的に大丈夫か聞いてンだ」

結標「あら、随分な言い草ね」

いきなり虚空から現れた彼女は結標淡希。能力は『座標移動』(ムーブポイント)。

土御門『大丈夫だろ。結標もついにレベル5、それも第2位になったんだからな。
    テレポートできる距離と質量も、前より格段に上がっているし
    自身の転移も今は余裕みたいだからな』

一方通行「ふーン」

結標「反応薄いわね。ま、レベル6のあなたからすれば、私なんて雑魚も同然でしょうね」

一方通行「うン」

結標「ものすごく正直ね。この子たちを壁か地面の中へテレポートしようかしら」

一方通行「オマエ……死にたいのか?」

結標「冗談よ。じゃあそういうことで、この子達を病院へ送ってくるから」

宣言通り、結標と打ち止めと番外個体が、目の前から消えた。

土御門『これで大丈夫だろ。行ってこい、一方通行』

一方通行「気安く命令口調やめろ」

一方通行は電話を切り、チョーカーのスイッチを能力使用モードにし、飛ぶ。向かうはロシア。

30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:53:01.92 ID:qsadPkX80
第5学区

フレメア「浜面!大体これも欲しい!」

浜面「はいはい。分かりましたよ姫」

フレメア「早く早く!」

浜面(それにしても一体何品買うつもりだ?宅配サービスだから荷物の心配は無いけど
   もうそろそろ金の方が……)

浜面は麦野に10万程貰っていたのだが
ぬいぐるみやらゲームやらを買わされたおかげで、既に残りは5万程だった。

浜面(昼飯代とか、滝壺へのプレゼント代を考えると、そろそろきついな)

浜面「フレメア、そろそろ飯にしないか?」

フレメア「うん。大体おなか減ったしそうしよう。にゃあ」

浜面(ふぅ。これでようやく買い物地獄から抜け出せましたな)

浜面はそんな事を考えながら、フレメアを連れて近くのファミレスに入る。

店員「いらっしゃいませー。何名様ですか?」

フレメア「大体2名様」

店員「喫煙席と禁煙席、どちらにしますか?」

フレメア「大体禁煙席で」

店員「かしこまりました。ではこちらへどうぞー」

案内された席に座ってから、注文を決めた後、浜面はこう切り出した。

浜面「なあフレメア、女の子にはどんなプレゼントあげた方が良いと思う?」

フレメア「う~ん、私だったらブラッド&デストロイとか、鯖缶とかくれたら大体嬉しい」

浜面「そ、そうか」

浜面(ブラッド&デストロイあげて喜ぶ女の子なんて、フレメアぐらいじゃないか?
   鯖缶好きなのは、姉の遺伝か?)

などと適当に考えながら、結局滝壺にあげるプレゼントどうすんだ!?と悶絶する浜面。
それを訝しげに見るフレメア。というか外出した本来の目的が麦野の鮭弁と
絹旗のマシュマロのおつかいという事を忘れている2人。

フレメア「どうしたの浜面?悩みなら大体聞いてあげるよ?迷える子浜面の為に」

浜面「なんだよ子浜面って!馬鹿にすんなよ!」

10歳くらいの女の子に馬鹿にされ、しかも少し大人気なくキレてしまう浜面。
そんな時だった。

31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:55:20.45 ID:qsadPkX80
お姉さん「きゃ!」

浜面「へ?」

浜面達が居る席の横を通りかかった、ドリンクを持ったお姉さんが盛大にコケた。
そのお姉さんが持っていたドリンクは、見事に浜面にかかった。

浜面(マジか)

店員「だ、大丈夫ですかお客様!」

浜面「まあ、なんとか」

お姉さん「あいたたた。あっ!ごめんなさいね。お姉さんの不注意で
     こんなにビショ濡れになっちゃって」

お姉さん「お詫びに、これからお姉さんが、何でも一つだけ言う事を聞いてあげるわ」

浜面(なんですと!?)

浜面がこんなに興奮するのには訳があった。
なにせそのお姉さんは、爆乳な上に、ふわふわ金髪カールで超美人という
エロの化身のような人だったからだ。
そんな人が「何でも一つだけ言う事を聞く」と言い出したのだ。
健全な男児である浜面仕上は、興奮度MAXだった。

浜面(なんてナイスバディーなんだ!スタイルだけなら、滝壺すらも凌駕している!?)

などと内心で葛藤している浜面だったが、そこにフレメアが一言。

フレメア「大体浜面、なんかエロい」

浜面「え?」

お姉さん「あら、そうなの?お姉さんをそんな目線で見てくれるなんて嬉しいわ♡」

浜面「いえわたくしは、そんなやましい気持などは一切なくってですね……って、え?」

お姉さん「あら、そうなの?お姉さんはもうそんなに魅力ないのかしら」

浜面(え?何この人?エロい目線で見られる方が嬉しい人なの?え?何それ?)

お姉さん「とりあえず一緒にご飯食べない?お姉さんも今来て注文したトコだったの」

浜面「そ、そうっすね」

32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:56:46.60 ID:qsadPkX80
とりあえずお姉さんと相席することになった浜面とフレメア。3分後、それぞれ注文した品が来た。

お姉さん「ここで会ったのも何かの縁。君の名前はなんて言うのかしら?」

浜面「俺の名前は浜面仕上。そちらは?」

お姉さん「浜面クンね。お姉さんの名前はオリアナ=トムソン。オリアナでもトムソンでも
     お姉さんでも、呼び方は何でもいいわよ」

浜面「じゃあオリアナさんで」

オリアナ「ええ」

浜面「あのー、相談があるんですけど、聞いてもらっても良いですか?」

オリアナ「もちろん」

浜面「あの……俺彼女いるんですけど、クリスマスのプレゼントまだ買ってなくて……何あげたら
   良いと思いますか?」

オリアナ「そうね……本当に愛し合っている2人なら、何あげても喜ぶと思うわよ。
     たとえそれがどんな安物であっても、心さえこもっていれば、ね」

浜面「そうですか……ありがとうございました!」

オリアナ「いえいえ」

33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 21:59:10.80 ID:qsadPkX80
その後も案外会話が盛り上がる2人(主に浜面の麦野と絹旗の愚痴)。
それが面白くないのか、フレメアが割って入る。

フレメア「大体、もうおなか一杯になっちゃった。もう出よう」

浜面「駄目じゃないか。ちょっと残して。ちゃんと食べなさい!」

フレメア「いーやーだー。大体もうおなかいっぱいー!」

浜面「……分かったよ。じゃあ俺が食べるから少し待っていてくれ」

フレメア「大体分かった」

しかし、再びオリアナと浜面の2人だけで会話が弾んでしまう。面白くないと思ったフレメアは

フレメア「もう浜面の馬鹿!大体麦野お姉ちゃんの鮭弁と絹旗お姉ちゃんの
     マシュマロを買うんでしょ!?」

浜面「あ。(やっべーそうだった。今頃麦野キレてるんじゃねぇか?)」

とりあえず携帯を見てみるが、幸いまだ着信は無かった。

浜面「フレメア、気付いていたんなら、なんでもっと早く教えてくれなかったんだよ」

フレメア「だって……浜面と2人でいるのが楽しかったんだもん……だから
     すぐには帰りたくないな、って思ったんだもん……」

浜面「そ、そうだったのか」

オリアナ「あら、浜面クンって結構モテるのね」

浜面「モテるとかじゃなくて、懐かれているだけですよ。じゃあおつかいもあるんで、俺はこれで」

オリアナ「ちょっと待って。私、車で来てるの。だから送ってあげるわよ」

別に電車でもバスでも、帰る方法はいくらでもあるのだが
せっかく送ってくれると言うし、車の方がいろいろ楽だなと判断した浜面は

浜面「じゃあお言葉に甘えて」

オリアナ「じゃあ行きましょ」

3人は食事代を払い、ファミレスを出て、オリアナの車へ乗り込む。

浜面「へー。高そうな車ですね」

オリアナ「お姉さん自慢の車よん♪」

フレメア「それじゃあ、大体そう言うことでしゅっぱ~つ」

こうして浜面とフレメアを乗せた車は発進した。

34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 22:00:17.01 ID:qsadPkX80
上条の寮

上条(ドアノブが明らかに壊されている……!)

上条「インデックス!」

勢い良く扉を開け叫んだ。返事は無い。
中に入り少し様子を見てみたが、荒らされた形跡は特に見られない。
だがインデックスの姿だけがどこにもない。

上条「くっそ!遅かったか!」

とりあえず携帯を取り出し、土御門に電話をかける。

上条「もしもし」

土御門『どうだ、カミやん』

上条「既に……いなかった……」

土御門『そうか、遅かったか。だが嘆いていても仕方ない。とりあえず第22学区へ来てくれ。
    そこで作戦会議だ』

上条「分かった」

電話を切り、第22学区へ向かう。

35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 22:01:24.98 ID:qsadPkX80
その頃一方通行は、天使化して時速8000kmでロシア上空を飛んでいた。

一方通行(どこに行けばいいか分からねェが、とりあえず飛び回っとくか)

そう考え1分ほど空を飛んでいると
地上からドォン、バゴォン!と爆発音が聞こえてきた。

一方通行(あそこかァ!)

地上へ急降下していく一方通行。そして1秒もかからずに、ドガァァァン!と地上へ激突した。

魔術師達「何だ、今の音は!」

一方通行「ビンゴみてェだなァ」

魔術師達「な、何だあれは!」

妹達「一方……通行……」

一方通行「さァて、天国行きのチケットをプレゼントしてやるよォ!」

一方通行の一方的な大虐殺が始まった。

36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 22:02:42.02 ID:qsadPkX80
イタリアのミラノ とある民家の前

オッレルス「ふぅ。こんなもんかな」

妹達「助けていただきありがとうございました、とミサカ達はお礼を言います」

オッレルス「どういたしまして」

妹達を助けた彼はオッレルス。数多くの魔道書の『原典』(オリジン)の知識を実用化し
魔神としての力を振るう為に『北欧王座』(フリズスキャルヴ)を利用している。

シルビア「どういたしまして、じゃないわよ!」

オッレルス「痛!」

オッレルスを殴った彼女はシルビア。英国所属の魔術師であり『聖人』でもある。

シルビア「まーた10人も女の子助けちゃって」

オッレルス「仕方ないだろ。目の前で困っている人がいたら助けるのが普通だ」

シルビア「もう今月になって保護する子供達、これで何人目よ?」

オッレルス「今まで90人だったから、今日で100人いった」

シルビア「100人いった。じゃないわよ!」

再びオッレルスを殴るシルビア。

オッレルス「痛!」

シルビア「100人の子供達の面倒見るのが、どれだけ大変か分かってんの?」

オッレルス「はい、承知しています。いつもシルビアさんには感謝しています」

シルビア「分かってるなら良いけど」

シルビア「まあ、私も、あんたのそういうところに惚れたし」

オッレルス「なら、もう少し優しく接してくれませんかね」

シルビア「何だと!?」

ヘッドロックをかけるシルビア。

オッレルス「ちょ、ギブギブ!」

37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 22:05:02.69 ID:qsadPkX80
フィアンマ「昼間っから俺様の目の前で、イチャついてんじゃねぇよ」

2人に軽口を叩く彼は、元『神の右席』フィアンマ。
間違ったやり方で世界を救おうとしたが、上条に敗れ、阻止される。
その後、アレイスターの手によって瀕死に追い込まれるが
オッレルスとシルビアによって保護された。

オッレルス「これがイチャついているように見えるのかい?助けておくれよ」

フィアンマ「お前なら、抜け出そうと思えばいつでも抜け出せるだろ」

フィアンマ「それを抜け出さないってことは、シルビアのおっぱいを堪能したいからか?」

シルビア「げ、そんな考えなの?」

シルビアは即座にヘッドロックを解いた。

オッレルス「ちょ、違いますよ!?あれはフィアンマが言ったデタラメで」

シルビア「うるさい!もう近付くな変態!」

オッレルス「え……」

オッレルスは激しく落ち込む。

フィアンマ「はっはっはっ!本当にこいつらのやりとりはいつ見ても面白いな。飽きがこない」

ヴェント「本当ね」

彼女はヴェント。元『神の右席』の一人。
第3次世界大戦後は、行くアテもなく彷徨っていたところをオッレルス達に保護された。

ヴェント「本当、あの2人が羨ましい」

そんな事を言うヴェントを、フィアンマはじーっと見た。その後、ヴェントを引き寄せる。

ヴェント「な、何?」

フィアンマ「お前、やっぱり顔面のピアスとって薄化粧にしたら美人だな」

ヴェント「な、何言って……ん」

フィアンマはヴェントの唇に自分の唇を重ねた。

38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 22:06:35.51 ID:qsadPkX80
オッレルス・シルビア・妹達「「「な!?」」」 

ヴェント「ちょ、何すんのさ///」

フィアンマ「いいだろ別に。俺様達は恋人同士なわけだし」

ヴェント「そ、そうかもしんないけど。こんな、皆の前で///」

フィアンマ「お前がラブラブなのが羨ましいって言うから、キスしてやったのに」

ヴェント「だ、だから、その、嬉しいけど、場所を考えてほしいわけであって///」

シルビア「ラブラブで良いなぁ」

オッレルス「じゃあ俺達も……するか?」

シルビア「は、な、何言ってんのよ!誰があんたなんかと///」

オッレルス(全く、こういうところで照れるのがまた可愛いんだよなぁ)

シルビア「な、なにニヤついてるんだ気持ち悪い!」

シルビアは、恥かしそうにそっぽを向いた。

オッレルス(ああ、可愛い)

なんだか2組のカップルがイチャつきだしたところで

妹達「あ、あのー」

シルビア「何?」

妹達「ミサカ達は別に保護してもらわなくてもやっていけます、とミサカ達は宣言します」

39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/28(木) 22:08:49.46 ID:qsadPkX80
オッレルス「駄目だ」

妹達「え?」

オッレルス「君達は一方通行という、学園都市の切り札を動かす重要な鍵となっている」

妹達「ど、どうしてそれを」

オッレルス「まあいろいろとね。君達がいなくなると、一方通行が機能しなくなる」

オッレルス「そして一方通行という切り札が使えなくなると、学園都市の戦力は著しく低下する」

オッレルス「本当は世界中に散らばっている妹達全てを助けたいところだが、時間的に
      さすがにそれは無理だ」

オッレルス「だからせめて、君達だけでも守り通さないといけない」

妹達「何故ですか」

オッレルス「何故って、今説明した通り」

妹達「そうではなくて、何故ミサカ達や一方通行、ひいては学園都市の心配をするのですか?」

妹達「先程のあなたの戦闘を見させてもらいましたが、敵は『何故だ!何故魔術サイドである
   貴様達が、科学サイドのこいつらに味方している!』などと言っていました」

妹達「『魔術』というのがミサカ達にはよくわかりませんがあなた達は魔術サイドの人間で
   ミサカ達とは本来敵対関係にあるのではないですか?とミサカ達は当然の疑問を
   投げかけます」

オッレルス「じゃあ逆に質問するけど、もし君達の目の前で、君達の嫌いな人が
      誰かに殺されかかっていたとしたら、そいつが嫌いだからと言って
      君達は助けないのかい?」

妹達「それは……助けるとは思いますが」

オッレルス「それと同じさ」

妹達「……」

44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 11:46:31.08 ID:D9cHSfej0
オッレルス「と、まあカッコつけて言ってみたけど」

オッレルス「君達もそのネットワークを通して分かっていると思うけど
      今の学園都市は軽い戦争状態だ」

妹達「そ、それは」

オッレルス「別に隠さなくても良い。俺達は分かってて助けたんだから」

オッレルス「何故そんなことになっているかと言うと、ローラがとある人間を殺すためだけに
      学園都市を襲っているからだ」

妹達「ローラとは?そしてとある人間とは?」

オッレルス「ローラはイギリス清教って言うところの最大主教さ。
      今では魔術サイドの長と言っても過言ではないだろうな。
      そしてとある人間とは、学園都市統括理事長アレイスター=クロウリー」

妹達「!」

オッレルス「アレイスターを殺す為だけに学園都市の子供達を巻き込むのはおかしい。
      俺達はこの争いを止めたいんだ。学園都市の第1位、一方通行が負けると
      戦況は一気に傾くだろ?それを防ぎたいのさ」

妹達「なるほど。それでミサカ達を。ですが、そればらば急いで学園都市に応援に行かないと」

オッレルス「そう言うと思ったよ。準備はもう出来ている。まずは今から、ヴェントの
      風の魔術で一方通行のところへ行く」

妹達「……あなたは一体、何者なのでしょうか?」

オッレルス「オッレルス。魔神になり損ねた、惨めな魔術師だよ」

ヴェント「何カッコつけてんだか。こっちの準備は出来たわよ」

オッレルス「そっか。他の皆も大丈夫か?」

シルビア「当たり前よ」

フィアンマ「俺様も完璧だ」

妹達「あの、ミサカ達はどうすれば……?」

オッレルス「そのままでいいよ。よし、じゃあ頼む」

ヴェント「OK」

ヴェントが返事をすると、風がオッレルス達や妹達の体を包む。

妹達「わっ」

オッレルス「それでは、ロシアへ向けてしゅっぱーつ!」

こうしてオッレルス達は、ロシアに居る一方通行のもとへ。

45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 11:48:38.99 ID:D9cHSfej0
第22学区

上条「ど、どうなってんだよ……」

上条が第22学区に辿り着いて、最初の感想がそれだった。

上条「人が……1人もいねぇ……」

ステイル「忘れたのかい上条当麻。これは人払いの刻印(ルーン)だよ」

声は後方から聞こえてきた。上条は勢い良く振り返る。

ステイル「おっと失敬。そういや最初に会った時の僕と神裂の事は忘れていたんだったね」

上条「土御門はどこだ?それとお前は敵なのか?味方なのか?」

ステイルと言えば、なんだかんだで結構共闘している仲間みたいなものだ。
しかし今回は、イギリス清教自体が敵と言う事もあって、念のため確認をした。

ステイル「質問は1つずつにしてくれよ」

ステイル「1つ目の回答としては、これは土御門の罠だ。いい加減気付け」

上条「は?」

言っている意味が分からなかった。

ステイル「2つ目の回答は、君を倒すためにここに来た!つまり君の敵さ!」

上条(やっぱステイルまで敵なのかよ!)

ステイル「さあ、行くよ!」

上条(来る!)

46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 11:49:58.14 ID:D9cHSfej0
ステイル「巨人に苦痛の贈り物を!」

ステイルは炎剣を上条にではなく、上条の数m手前の地面に向かって放る。
当然地面が爆発する。その爆風自体は、上条の『幻想殺し』で防ぐことが出来るが
爆発によって砕けた地面の破片を防ぐことは出来ない。

上条「くそっ!」

上条は、素早く数歩後退することで破片をやり過ごす。

ステイル「原初の炎、その意味は光、優しき温もりを守り厳しき裁きを与える剣を!」

間髪容れずに、今度はステイル自身が炎剣を持って突っ込んでくる。
上条はそれを右手で受けて立とうとするが

ステイル「弾けろぉ!」

ステイルが叫ぶと同時、上条の右拳が届く前に、炎剣は爆発した。
上条の右手は、爆風は難なく防いだ。しかし煙は残ってしまっている。

上条(煙で周りが見えねぇ……!)

ステイル「灰は灰に、塵は塵に、吸血殺しの紅十字!」

声は左から聞こえてきた。ステイルの右手からは赤い炎
左手からは青白い炎が、それぞれ伸びてくる。

上条「う、おおおおお!」

煙が完全に晴れたわけではないため、炎は見えないが悠長に考えている暇はない。
すぐに炎は来る。そう思い咄嗟に右拳を右斜め前方へ叩きこむ。

キュイーン!と甲高い音が響いた。
炎を消せたと確信した上条は、殴った勢いそのままで右斜め前方に転がりこんだ。

47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 11:51:03.78 ID:D9cHSfej0
上条(何とかして近付かないと……!)

勢いよくステイルへ向かって駆け出す。

ステイル「はあ!」

今度は周りの地面の前後左右から、炎の鞭が4本伸びてくる。

上条「こんな技、見たことねぇぞ!」

ステイル「僕だって成長しているんだよ!」

上条は臆せず、迫りくる4本の炎の鞭の内、前方から伸びてくるものを打ち消し
そのまま前進する。左右と後方から迫っていた炎の鞭は、ぶつかり爆発した。

上条「とりあえず、これで目を覚ませ!」

ステイル「ふん」

上条の拳は、ステイルの体をすり抜けた。

上条「な!?」

ステイル「それは蜃気楼だ」

声は後方から聞こえてきた。

ステイル「炎の鞭は防いだみたいだけど……ならこれはどうかな!」

上条が素早く振り返ると、巨大な炎の球体がゆっくり迫ってきているところだった。

48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 11:52:45.33 ID:D9cHSfej0
上条(この程度の速度なら、俺の『幻想殺し』で速攻で消せる!)

炎の球体に向かって駆け出す。

ステイル「君も学習しないねぇ。拡散しろぉ!」

炎の球体は爆発した。爆発したと言っても、ただ爆発したわけではなく
直径10cm程、長さは50cm程の炎の槍が拡散するように爆発した。

上条(これは――)

炎の槍は、ステイル以外の全方向へ向かって拡散していく。上条に向かってくるのは10本程。

上条(――全部綺麗には避けきれねぇな!)

それでも、ここで引く訳にはいかない。上条は勢いを落とさず突っ込んでいく。

上条「うおおおお!」

炎の槍を避ける、消す、しかし3本目が左腕を掠める。

上条「ぐっ!」

消す、避ける、避ける、7本目が右腕を掠める。

上条「があっ!」

8本目を消す、しかし9本目と10本目がそれぞれの両脚を掠めた。

上条「あがっ!」

直撃を免れたとは言え、3000度の炎の槍は掠めただけでも相当な激痛だった。
上条はたまらず片膝をついてしまう。

ステイル「膝をついている暇があるのかなぁ!」

ステイルが上条に向かって駆け出す。

上条「くっ!」

ステイル「喰らえ!」

ステイルは飛び膝蹴りをかました。上条は咄嗟に両腕を交差させてガードをしたが
2mの長身から放たれる飛び膝蹴りの威力は相当なものだった。
上条は地面を数m転がったが、その勢いを利用してすぐに立ち上がった。

49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 11:54:47.02 ID:D9cHSfej0
上条「はぁ~、痛ってぇ~」

じんじんと痛む両腕を振り、調子を確かめる。
どうやら骨が折れたりヒビが入ったりした様子はない。

上条「お前、相当強くなったんじゃないか?魔術も前より多彩だし体術も凄かった」

ステイル「君に僕の何が分かる。いいからおとなしく消し炭になってくれないかな」

上条「だって俺、お前の事ただのニコチン中毒だと思ってたし」

上条「それに三沢塾の時だって、建宮と戦ったときだって、オリアナと戦ったときだって
   お前そんなに役に立ってなかったじゃん?」

ステイル「えらく余裕じゃないか。僕にはまだ『魔女狩りの王』(イノケンティウス)という
     切り札があると言うのに」

ステイル「そしてここは地下街。イノケンティウスと相性が良い」

上条「はっ!んなもん使わせなきゃいいだけだろ」

ステイル「なら見せてやろう。僕の切り札を」

上条「させるかよ!」

ステイルに詠唱はさせまいと、上条は駆け出す。

ステイル「世界を構築する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎よ
     それは生命を育む恵みの光にして、邪悪を罰する裁きの光なり」

上条「詠唱はさせねぇ!」

しかし、上条の拳はまたしてもすり抜けた。

上条(また蜃気楼!?)

本物のステイルは、その蜃気楼からさらに数十m後方にいた。

ステイル「それは穏やかな幸福を満たすと同時、冷たき闇を滅する凍える不幸なり
     その名は炎、その役は剣、顕現せよ、我が身を喰らいて力と為せ」

ステイル「イノケンティウス!」

ステイルの呼びかけとともに、イノケンティウスが顕現した。

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 11:56:02.60 ID:D9cHSfej0
上条「出させちまったか……しかもオルソラ救出の時より遥かにでかいし。はぁ……不幸だ……」

ステイル「だからその余裕はどこから来るんだ!いけ!イノケンティウス!」

ステイルに呼応するように、イノケンティウスの左手が上条に迫る。

上条「んなもん効かねぇよ!」

打ち消せない事を逆に利用し、上条はその左拳を掴み取り、右後方へ受け流す。
その後、すぐさま右拳が飛んでくるが、それを左に転がることでやり過ごす。

ステイル「ならばこれはどうだ!」

今度は幅30m、高さは20mほどの炎の波が迫ってくる。

上条「俺には効かねぇ!」

甲高い音と共に、炎の波も『幻想殺し』によって、あっさり破壊される。

ステイル「これならどうだ!」

イノケンティウスが雄叫びをあげる。瞬間、上条の真下の地面から炎の柱が現れた。

上条「っ!」

上条は、それすらも素早いフットワークで避けて消した。
その後も何本か、上条を狙って地面から炎の柱が出てくるが
避けては消し、避けては消し、を繰り返した。

上条「いい加減懲りろよ。効かねぇんだよ!」

ステイル「これなら!」

今度は火炎放射が放たれた。

上条「効かない」

火炎放射すらも当然のように受け流す。

51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 11:57:06.57 ID:D9cHSfej0
上条「今度はこっちから行くぜ!」

ステイル「ははっ!イノケンティウスへ突っ込んでどうするつもりだい!」

上条「こうするんだよ!」

上条はイノケンティウスを殴るのではなく、大きく引っ掻くように右手を振るった。
すると一瞬ではあったが、イノケンティウスの引っ掻かれた部分が消えた。

上条「とうっ!」

上条はその一瞬出来た隙間を潜り抜けた。

上条「お前の切り札、抜けたぜ!」

ステイル「くそっ!」

ステイルは咄嗟に両腕をクロスさせてガードを作る。

上条「へっ!そんなチャチなガード、こうやって破れるんだよ!」

上条は、右足でステイルの両腕を蹴りあげた。

ステイル(ガードが解かれ――!)

上条「とりあえず、お前にはいろいろ喋ってもらおうか!」

ドガァ!と上条の拳がステイルの顔面に突き刺さる。
ステイルは竹とんぼのように回転し、後頭部を地面に強打し、仰向けのまま気絶した。

52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 11:58:04.12 ID:D9cHSfej0
上条「やべ……気絶しちまったか……」

これでは情報が聞けないと思った上条だったが、先程のステイルが言った事。

『1つ目の回答としては、これは土御門の罠だ。いい加減気付け』

上条「……こうなったら、土御門に直接電話をかけるしかないか……」

意を決して、土御門に電話をかける上条。

土御門『どうしたカミやん』

上条「第22学区へ行ったらステイルがいた。で倒した」

上条「そして妙な事を言った。『これは土御門の罠だ』って」

上条「違うよな!?土御門!」

土御門『……第7学区の俺達の高校の教室まで来てくれ』

それだけ言って電話は切れた。

上条「……行くしかないか」

53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 11:59:00.85 ID:D9cHSfej0
ロシア

魔術師達は一方通行の手によって、ただの肉塊と成り果てていた。
20人ほどいたが、要した時間はわずか5分。

一方通行「大丈夫か」

妹達「助かりました一方通行、とミサカ達はお礼を言います」

15人ほどいた妹達はそうお礼をした。

一方通行「そンなことはどうでもいいから、次の妹達のところへ行くぞ」

妹達「はい」

そうしてさっさと次の妹達のところへ行こうと思った矢先だった。

ワシリーサ「あらあら、それはちょっと困るな~」

一方通行「あァ!?」

ランシス・フロリス・ベイロープ「「「ふふふ」」」

一方通行「またワラワラと」

サーシャ「私見1。私達を先程までの雑魚たちと一緒にしてもらっては困ります」

ワシリーサ「そう言う訳だから、いかせてもらうZE!一本足の人喰いばあさん!」

54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:00:22.85 ID:D9cHSfej0
ランシス・フロリス・ベイロープ・サーシャ、そしてワシリーサの
一本足の人喰いばあさんが、一斉に一方通行に襲い掛かる。

一方通行「その程度でどうにかなると思ってンのかァ!」

一方通行の背中から黒い翼が噴射される。
その一撃だけで、ランシス・フロリス・ベイロープ・サーシャは葬られた。
それでも一本足の人喰いばあさんだけは、黒い翼と拮抗した。

一方通行「やるじゃねェか」

ワシリーサ「よくも……よくもサーシャちゃんをーーー!」

激昂するワシリーサに連動して、人喰いばあさんが力を増す。
それは黒い翼を押し始めるほどだった。だが一方通行は余裕を崩さない。

一方通行「時間がねェンだ。これで決める」

その瞬間、一方通行の黒い翼が純白に変化した。圧倒的な白い翼の力の前に
一本足の人喰いばあさんは為す術なく切り裂かれ、ワシリーサをも切り裂いた。

一方通行「終わった。次の妹達のもとへ行くぞ」

しかし、後方から何者かの気配。
一方通行は気だるげに振り返った。

オッレルス「ちょっと待ってくれないか」

一方通行「なァーンなーンですかァ?オマエは?」

55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:02:18.86 ID:D9cHSfej0
オッレルス「俺の名前はオッレルス。詳しい事は省くけど、君達の味方だ」

オッレルスに保護された妹達「これは本当のことです、とミサカ達はフォローしときます」

一方通行「俺の邪魔をしねェならそれでいい。早く次の妹達のもとに行かねェと」

オッレルス「駄目だ。ここにいるのと、学園都市にいる妹達以外は全滅している」

一方通行「勝手なこと言うなよ。オマエに何が分かるってンだ?」

一方通行はオッレルスの胸倉をつかむ。その時、上から声が聞えてきた。

エツァリ「その方が言うのは、本当ですよー」

一方通行「海原か」

エツァリ「学園都市の時速7000kmの旅客機で、迎えに来ました」

一方通行「そンなもン、俺は無くても」

エツァリ「妹達や、そこにいる4人の魔術師の為に用意したものですよ」

一方通行「あっそ」

素っ気ない返事をする一方通行だったが
妹達の為ならともかく今来た4人の魔術師の為に用意した、と言うのはおかしい。
なんかもういろいろと訳が分からなかったが、そんなこと気にしている場合ではなかった。

一方通行「じゃあさっさと学園都市に戻るぞ」

そうして一方通行達は、超音速旅客機に乗り込み学園都市へ。

56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:04:40.27 ID:D9cHSfej0
オリアナの車

浜面「オリアナさん、こっち、方向が違うんですけど……」

オリアナ「いいじゃない。このまま帰るなんて勿体ないわ。お姉さんと“イイコト”しましょ?」

浜面「っ!」

若干エロい雰囲気の台詞を言われているにもかかわらず、全く興奮しない。
あるのは寒気だけ。浜面は確信した。自分達は誘拐されていると。

オリアナ「どうしたの?お姉さんとイイコトを」

浜面「オリアナさん、もうそろそろその白々しい演技やめません?」

オリアナ「あら、ただの坊やかと思ったら、意外と勘が鋭いのね」

浜面「鋭いもんか。こうやって車に乗っちまってる時点でアウトだよ」

浜面「アンタ、何者だ?」

オリアナ「お姉さんの名前はオリアナ=トムソン。って自己紹介したはずだけどなぁ」

浜面「そのふざけた喋り方は演技じゃないのか」

オリアナ「まあね」

浜面(そんなことはどうでもいい。この状況をどうするかだ。
   相手の素性は分からないし滝壺達を巻き込みたくない。よって助けを呼ぶのは却下)

浜面(となると自力で脱出するしかないわけだが……)

チラッとフレメアの方を見る浜面。フレメアは震えていた。

57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:07:23.49 ID:D9cHSfej0
浜面(フレメアもいるし、どうするべきか……)

現在浜面達を乗せている車は高速道路を走っている。
ここで下手に車から飛び降りれば、ただではすまない。
ましてやフレメアもいる。車から飛び降りるのはまず無理だ。

ではオリアナの邪魔をして車を止めるべきか?
いや、それも下手すると車が横転してしまうなどの危険性もある。
しかし、このまま何もしなければどこかへと連れ去られてしまうだけだ。

オリアナ「何かいろいろと考えているようだけど、ここから逃げようなんて思ってないわよね?」

浜面「……目的は何だ?」

オリアナ「教えると思う?」

浜面「そうかよ」

浜面は持っていた拳銃の銃口を、オリアナの側頭部に突きつけた。

浜面「フレメアの手前、あまり手荒なことはしたくなかったんだけどな」

オリアナ「あら、そんな立派なものも持っていたのね」

浜面「そのふざけた喋り方はやめろ。それと今すぐUターンして引き返せ」

オリアナ「嫌だと言ったら?」

浜面「迷わず引き金を引くに決まってんだろ」

オリアナ「お姉さん、強引な人は嫌いじゃないけど、早漏はあまり好きじゃないわね」

浜面「だからそのふざけた喋り方を」

浜面が何か言いきる前に、オリアナは車のブレーキを思いっきり踏む。
それはつまり、慣性の法則によって車に乗っている全員が前のめりになるという事。
しかし、それはさほど問題ではない。シートベルトがあるからだ。だが

ブチッ!と助手席に座っていた浜面のシートベルトが千切れた。
結果として浜面は、フロントガラスに思い切りぶつかった。

浜面「く……そ……」

オリアナ「うふ♪」

そしてオリアナは即座に単語帳の1ページを千切り、浜面に貼りつける。
オリアナが貼りつけた『速記原典』(ショートハンド)からそこそこの威力の電流が流れた。

浜面「があああああ!」

頭部を強打した上に、電撃を喰らった浜面は気絶してしまった。

58: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:09:20.74 ID:D9cHSfej0
フレメア「は、浜面!浜面!!」

オリアナ「お嬢ちゃんも、少しの間眠っていてもらおうかしら」

オリアナは『速記原典』すら使わず
どこからともなく出した催涙スプレーを使い、フレメアを眠らせた。

オリアナ「さて、これで後はあそこへ行くだけね」

再び車を発進させようと前を向きなおすオリアナ。
すると数十m先に1人の少女が仁王立ちしているのが見えた。

オリアナ(高速道路に仁王立ちって、明らかに一般人ではないわよね)

そう考えたオリアナはアクセルを全開にし、少女に突っ込む。そして――

ドゴォン!と車の方が少女に止められた。

オリアナ(ふふ。これが『能力者』ってわけね)

オリアナはアクセルペダルを踏み続ける。しかし少女は、吹き飛ばされるどころか片手を離す。
離した片手で、懐からレディース用の拳銃を取り出す。そして迷わずその銃口をオリアナへ向ける。

オリアナ(このフロントガラスは防弾性。そんなチャチな拳銃ではどうにも)

少女は迷わず引き金を引く。当然、オリアナは銃弾なんて弾かれるだけだろうと思っていた。
しかし、そんな思惑に反して、ビシィ!と銃弾はフロントガラスにめり込んだ。

オリアナ(え?)

そして2発目。今度はガラスが砕け散った。
さすがにヤバいと思ったオリアナは、車から急いで降り単語帳の1ページを千切る。
そこから出てきたのは雲の塊。オリアナはそれに乗り一旦上空に避難する。
少女は構わず雲に乗ったオリアナに向かって、2,3回発砲した。
だがオリアナを乗せた雲は素早く動き、銃弾を避けた。

59: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:11:59.16 ID:D9cHSfej0
少女「雲に乗るなんて、超メルヘンチックな人ですね」

オリアナ「銃の引き金を迷わず引ける女の子って、将来が心配だわ」

その言葉に少女はイラっときたのか、さらに2,3回発砲した。
しかし、オリアナを乗せた雲は、いともたやすくそれらを避けた。

オリアナ「んもう、危ないんだから♡」

少女「そんなエロい感じ出したって、同姓相手には超イライラを募らせるだけですが」

オリアナ「だってそれが狙いだもの」

少女「へーそうですか。でも、そろそろ超笑い事では済まされませんよ」

少女がそう呟いた。オリアナは、何を言っているんだと思っていた。
見たところ少女は空を飛べそうもないし、この距離で銃弾を当てられるスキルもなさそうだ。

そんな少女が「笑い事で済まない」と言ったって、説得力がなさすぎる。
オリアナは心の中で嘲笑っていた。だが直後――

何かビームのようなものが、オリアナに直撃した。

少女「超ナイスです、麦野!」

麦野「まあ、私の実力なら当然ね」

滝壺「いや、まだだよ」

オリアナ「ああ~びっくり。少々焦ったから濡らしちゃったわ。見てみる?
     下着までびちゃびちゃだよ」

麦野「お前みたいなビッチのきったない下着見て誰が喜ぶんだよ?
   そこのバカ面なら、興奮するかもしれないけど」

滝壺「ちょっとむぎの。はまづらはそんなに馬鹿じゃない」

少女「ちょ、ちょっと2人とも言い争っている場合じゃ……」

麦野「全く。元はと言えば絹旗、アンタがちゃんと仕留めないから」

絹旗「そんな!超とばっちりです!」

60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:13:47.88 ID:D9cHSfej0
オリアナ「ふぅ~ん。あなた達が、麦野沈理、滝壺理后、絹旗最愛なのね」

麦野・滝壺・絹旗「「「!!!」」」

オリアナ「案外皆若いのね。強力な人達、って聞いていたから、もっとゴツいの想像していたけど」
     どれもこれもお子様だったのね」

麦野「そんなこと、おばさんに言われても……ね!」

『原子崩し』により出来たビームで攻撃する。オリアナは、それをいとも容易く避ける。

オリアナ「そんな普通な攻め方じゃあね。さっきは不意打ちだったから濡らしちゃったけど」

麦野「あっそ。じゃあこれはどう?」

麦野は『拡散支援半導体』(シリコンバーン)を前方に投げる。
それに自身の能力で出来たビームを当てた。ビームは拡散してオリアナに襲い掛かる。
これは避けられないだろう。と麦野は思っていたが、そもそもオリアナは避けなかった。
オリアナは『速記原典』を使い、麦野の攻撃を難なく防いだ。

オリアナ「んもう。そんなにがっつかないでよ」

麦野(なんだあれは?私の攻撃を喰らう前に、単語帳のようなものを口で千切っていたが……
   私の能力を防ぐなんて、どんな能力者だ?)

オリアナ「あなた達、案外強くて危険だから、お姉さん一旦逃げるわね」

絹旗「超勝手にしてください」

オリアナ「あら、追わないの?」

絹旗「今は浜面とフレメアちゃんの安全が超優先ですから」

オリアナ「あらそう。じゃあお姉さんはこれにて退散!」

そう言った瞬間、オリアナの乗っていた雲が爆発した。
その煙が晴れたころには、オリアナは既にいなかった。

61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:15:58.83 ID:D9cHSfej0
絹旗は、浜面とフレメアを車から出し、担いだ。

麦野(それにしても、あいつは一体どういう能力なんだ?)

麦野(……まあどうでもいいか。滝壺の能力で、どこにいるかは分かるんだし)

麦野「滝壺、やつはどこへ行った?」

滝壺「それが……分からない」

麦野「あれだけ時間があったのに、やつのAIM拡散力場を捕捉出来なかったのか?」

滝壺「違う。そうじゃない。あの人からはAIM拡散力場がでてないの」

麦野「はあ?意味が不明なんですけど」

滝壺「私にも、よくわからない」

そこで浜面とフレメアを担いだ、絹旗が一言。

絹旗「それって、超“能力者じゃない”ってことじゃ……」

麦野「どういうことだ?」

絹旗「だってあの人、超雲を出しただけじゃなく、麦野の攻撃も防いでいましたよね。
   “雲を出したまま”」

麦野「そう言えば……」

絹旗「あの人が雲を出す能力者だと超仮定すると、逆に言えば、雲しか出せない事になります」

絹旗「ですが、あの人は明らかに雲とは違うもので、麦野の攻撃を超防いでいました。
   それはおかしいことです」

絹旗「だって『多重能力者』(デュアルスキル)は理論上、超不可能なんですから」

絹旗「つまり、これらから超導き出せる答えは、あの女は能力者ではない。
   ということではないでしょうか」

滝壺「確かに、それなら辻褄は合う」

麦野「だとすると、やつは一体何者なんだ?」

絹旗「その答えはまだ超分かりませんが」

滝壺「とりあえずは、はまづらたちを病院へ運ばないとね」

『アイテム』は、とりあえず『冥土帰し』の病院へ。

こうして少年達やその仲間達は、戦いの渦へと巻き込まれていく。

62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:18:04.93 ID:D9cHSfej0
風紀委員 第177支部

初春「白井さん!第1学区のレストランで火災発生です!
   原因は『発火能力者』(パイロキネシスト)による放火だそうです!至急現場へ!」

喰い気味にインカムで指示を飛ばす彼女は、初春飾利。
能力はレべル1の『定温保存』(サーマルハンド)。
ハッカーたちの間では『守護神』(ゴールキーパー)と呼ばれるほど情報戦が得意。

白井「これで3件目ですの。一体学園都市で何が起こっていると言うんですの?」

初春飾利に疑問を投げかけた彼女は、白井黒子。能力はレベル4の『空間移動』(テレポート)。
御坂美琴を『お姉様』と呼び、尊敬している。

初春「さあ、それは分からないですけど。白井さんなら余裕ですよね?」

白井「簡単に言ってくれますけどね、さっき解決した2件の事件の犯人も
   なかなか強かったですのよ?こんなに疲れたのは
   『幻想御手』(レベルアッパー)事件以来ですの」

初春「白井さんが疲れるほど強かったんですか?」

白井「ええ。前2人は間違いなく、レベル3以上ではありましたわね」

とテレポートしながら初春と会話しているうちに、現場へたどり着く。

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:19:10.84 ID:D9cHSfej0
白井「ジャッジメントですの!あなたを放火犯として拘束させていただきますの!」

発火能力者?「ふん、やれるものならやってみろ!」

それなりの大きさの炎が白井に向けて放たれる。

白井(そこそこでかい炎ですけど)

白井はテレポートで攻撃を避けつつ

発火能力者?「女はどこへ……?」

白井「ここですわ!」

男の後頭部付近にテレポートし、ドロップキックをお見舞いした。

発火能力者?「ぐはっ!」

男が倒れたところへ、白井はすかさず金属矢をテレポートさせ、男を地面に縫い付けた。

発火能力者?「ちぃ!動けねぇ!」

64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:20:17.92 ID:D9cHSfej0
白井「初春。放火犯、拘束完了ですの」

初春「御苦労さまでした」

男はまだ起き上がろうと必死にもがいていた。

白井「もう諦めなさいな」

発火能力者?「ふざけんな!こんな……こんな小娘になめられてたまるかよぉー!」

男はそう叫ぶと、掌から炎を出す。

白井「な」

直後、男は炎を地面に放った。それは爆発して、金属矢を地面もろとも抉り取った。

発火能力者?「へっへっへっ。さあ、第2ラウンド開始と行こうぜ」

白井「自ら出した炎とはいえ、立てるなんておかしいですの……」

発火能力者?「はっ!魔術師って言うのは、自分が使う魔術の属性には
       ある程度、耐性があるってもんよ」

白井「『魔術師』?」

魔術師「それじゃあいくぜぇ!」

65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:23:15.19 ID:D9cHSfej0
白井(9月1日に泥人形を使いこなした、あれと同類のものでしょうか?
   まあどの道拘束することに変わりはありませんの!)

魔術師「おらよ!」

魔術師の炎が、白井へ向かう。
白井はそれをテレポートで難なくかわし

白井「攻撃が単調ですのよ!」

再び魔術師の後頭部付近へテレポートしていた。

魔術師「お前こそ、さっきと全く同じ手とは、単純にもほどがあるぜぇ!」

魔術師は思いっきりしゃがんだ。当然白井のキックは外れた。

白井「!?」

魔術師「ひゃひゃ!パンツが丸見えだぜ~!」

下品な叫び声をあげながらも、魔術師は白井の右足を掴み背中から地面に叩きつけようとする。

白井「甘いですわよ!」

だが白井は、体を後方へブリッジを描く様に捻り、地に両手をつき叩きつけられるのを防ぐ。

魔術師「あ?」

構わず白井は、左足で右足を掴んでいる魔術師の右手を挟み、そのまま捻る。
痛みでたまらず右手を離す魔術師。白井はさらに畳みかけるように、腕のバネを使い
とんぼ返りするように、男の顔面を蹴り飛ばす。

魔術師「がはっ!」

白井「まだまだですの!」

完全に起き上がった白井は、掌底を2,3発腹に叩きこむ。

魔術師「ごっ、がっ!」

白井「とどめですの!お姉様直伝……」

白井「ちぇいさーっ!ですの!」

実際は教えてもらってなどいないのだが、見様見真似でやった回し蹴りは
見事に魔術師の顔面に決まった。

白井「今度こそ終了ですわね」

66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:24:54.33 ID:D9cHSfej0
初春「……さん……白井さん!いきなり爆発音が聞こえましたが、どうかしたんですか!?」

白井「ああ初春。一度拘束した男が暴れたんですの。完全に黙らせましたけど」

初春「それは良かったです。安心しましたよ。白井さんに万が一の事があって
   入院とかしてしまうと、私の仕事量が増えてしまいますからね」

白井「……素敵すぎる友情をありがとうですわ。これから支部に戻ったら
   真っ先に服だけをテレポートして、この寒空に放置して差し上げますから
   今から楽しみに待っていてくださいですの」

初春「それは無理ですよ。だってまた事件が発生していますから」

白井「ぬおおおお!本来ならばお姉様とのデートのはずだったのにいいいい!」

とりあえず男を倒し、いつも通りのふざけた調子に戻る白井と初春だった。

67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:26:19.67 ID:D9cHSfej0
その頃、白井黒子が敬愛する『お姉様』は第7学区の街を歩いていた。

御坂「はぁ……全く、なんでアイツ電話に出ないのよ……」

電話に出ない“アイツ”に文句を言っているのは、御坂美琴。
能力はレベル5の『超電磁砲』(レールガン)で、レベル5の中では第3位。

御坂「……アイツがロシアから帰って来た後、私を心配させた罪で
   また『罰ゲーム』をとりつけることに成功したけど……」

御坂「もしかして、今日のデートの約束忘れているんじゃないでしょうね……」

しかもさっきから空を飛ぶ戦闘機の音はうるさいし、時々爆発音も聞こえていた。
でも単身でロシアへ行った事や今までの事(一方通行の実験を止めようとした時など)
を白井に話した時
『お願いですから、もう2度と危険な事には関わらないでくださいまし』
と泣いて言われてしまったのだ。

そこまで言われてしまうと、さすがに自重しないといけないな、と思ったのだ。
もう目の前で何か事件が起こったとき以外は、自ら危険なことに首を突っ込むのは
やめようと決めたのだ。

そんな事を思い出していた、その時だった。

御坂「あ」

数m先を、ツンツン頭のあの馬鹿が走っているのが見えた。御坂は追いかけるため走り出す。

68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:27:50.51 ID:D9cHSfej0
御坂「ちょっとアンター!」

聞こえていないのか、無視なのか、反応が返ってこない。

御坂「ちょっとー!ちょっとー!!」

やはり返事がない。いくら聞こえていないだけかもしれないとは言え
さすがにイラついてきた御坂は

御坂「ちょっとー、って言ってんでしょうが無視すんなやこらーっ!」

御坂は、電撃を上条の目の前に落ちるように放った。

上条「おわっ!」

本当に驚いている様だ。どうやら本当に聞こえていなかっただけらしい。

御坂「全く。アンタ、私との約束すっぽかしといて何やってんのよ」

上条「御坂か。すまん、今急いでるんだ。また今度」

上条は再び走り出そうとする。

御坂「ア・ン・タ・は~!今日は罰ゲームで私と1日付き合う約束だったでしょーが!」

だから御坂は、上条の腕をガッチリ掴んだ。

上条「……そうだったっけか?」

御坂「そうよ。だから今からでもいいから付き合いなさい、って何その傷!」

御坂はステイルに負わされた火傷を見て驚く。

上条「これは、まあ、いろいろとあってだな……」

上条は、御坂に魔術サイドとの戦争の事を教えていいのか、一瞬逡巡したが

上条「とにかく急いでるんだ。だから今日は一緒に行けない。すまん。
   この埋め合わせは今度するからさ」

御坂「はあ?意味わかんないんですけど。てかとりあえず病院行かないと」

上条「頼む!」

御坂「え?」

上条「今急いでるんだ!埋め合わせは絶対するからさ!今回だけは頼むよ……」

いつもと違う上条に、御坂は言葉を失う。そして、ある考えに至った。

御坂「アンタ……ひょっとしてまた危ない事に首突っ込んでるの?」

上条「……」

69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:29:49.53 ID:D9cHSfej0
御坂「前にも言ったわよね。アンタはもう少し他人を頼りなさい、って」

御坂「困っているなら遠慮なく言って。私だって力になれる!」

確かに御坂が戦力に加わってくれれば頼もしい。でも御坂を巻き込むわけにはいかない。

上条「それも、できない」

御坂「なんで!どうして!」

御坂は問い詰める。上条は答えられない。そんな時

神裂「上条当麻、あなたを倒します」

神すら裂く女、神裂火織が突如、5mほど先の道路に降臨した。

上条「か、んざき……!」

神裂「七閃!」

7本の鋼糸(ワイヤー)が一斉に上条に襲い掛かる。

上条「っ!」

不意打ちに近い攻撃だったが、それでも上条は、御坂を突き飛ばし
7本すべてのワイヤーを避けきる。

上条(やっぱ、神裂も敵なのかよ……!)

神裂「ならば直接……!」

神裂が上条に突っ込もうと、身構えた時だった。
ビリビリィ!と神裂の目の前に電撃が放たれた。

神裂「なんのつもりですか?」

御坂「そりゃこっちの台詞よ……」

御坂「アンタこそなんのつもりじゃボケー!!!」

上条「ひ!?」

あまりの気迫に、上条の方がビビってしまった。

70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:31:03.90 ID:D9cHSfej0
神裂「あなたに用はありません。用があるのは上条当麻だけです」

御坂「私だってコイツと用事があるの。邪魔をするって言うのなら、容赦はしないわよ」

上条「駄目だ御坂!こいつは相当強い!お前だけじゃ」

御坂「アンタ、先急いでるんでしょ?」

御坂「ここは私に任せて、アンタは行きなさい」

上条「でも」

御坂「罰ゲームよ!」

御坂「ここは私を信頼して任せてくれたら、今日の約束すっぽかした事、許してあげる」

上条「……分かった。すまない。御坂」

上条はだいぶ迷ったが、ここは御坂を信頼して、先を急ぐことにした。

神裂「勝手に話を進めているようですが、させません!」

御坂「そりゃ、こっちの台詞だっつーの!」

今度は神裂に直接電撃を放つ。
神裂はそれを避けるが、上条は取り逃がしてしまう。

神裂「仕方がありません。あなたを説得してから、上条当麻を追います」

御坂「やれるものなら、やってみろっつーの!」

御坂と神裂、科学と魔術のエース同士が交差する時、戦いは始まる――!

71: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:33:00.93 ID:D9cHSfej0
神裂「先程も言った通り、私は上条当麻ただ一人にだけしか用はありません」

神裂「ですので、私は出来ればあなたと戦いたくありません」

御坂「そんな危ないものぶら下げておきながら、何言ってんだか」

御坂が言う“危ないもの”とは
神裂が腰につけている『七天七刀』(しちてんしちとう)のことだ。

神裂「あなたこそ、その電撃、やたらめったら放つものではないと思いますが」

御坂「私はちゃんと手加減してるし」

そこでようやく、御坂はある事に気付く。

御坂「それにしても、人がいないわね」

神裂「人払いのルーンを刻んでいますからね」

御坂「ふーん。よくわかんないけど、人がいないなら遠慮はいらないわね!」

御坂「一撃で終わらせる!」

人を気にしなくて良いと分かった御坂は、雷撃の槍を神裂に向けて放つ。
さっきの威嚇の電撃とは、威力も速度も数段違う。もちろん死なない程度には
手加減してあるが、喰らえば気絶以上は堅い。これで終わりだ。

神裂「確かに、危険ではありますが」

しかし、声は頭上から聞こえてきた。

御坂(な!?)

神裂「喰らわなければ、何の問題もありません」

神裂は鞘に入れたままの刀を振り下ろす。
御坂はそれを、バックステップで何とかかわした。

72: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:34:48.31 ID:D9cHSfej0
御坂「アンタ、その動きただの人間じゃないわね」

神裂「……」

御坂「私の雷撃の槍を避けた上に、反撃までしてくるなんて人間の動きじゃない。
   『肉体強化』の能力者って訳でもなさそうだし、アンタ何者なの?」

神裂「私は『聖人』と言って、あなたの言う通り普通の人間ではありません」

神裂「はっきり言って私は強いですよ。事実あなたの電撃を避けて反撃すること位は
   容易に出来ました。それに私は、まだ実力の半分も出していません。
   あなたに勝機は無いと思われます。おとなしくここを通してもらえませんか?」

御坂「随分と嘗めた口聞くじゃない。私だって、こう見えてもこの街で4番目に強いんだけど。
   それと力をセーブしているのは、アンタだけじゃないのよ」

御坂「私だって“普通の”人間相手には手加減する常識ぐらいある。
   でもアンタが普通じゃないと言うのなら、こっちも全力で戦える!」

御坂の前髪から紫電が迸る。それを御坂は纏った。

神裂「なるほど。先程の一撃までも手加減だったのですね」

73: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:37:00.85 ID:D9cHSfej0
御坂「今から、私の全力って言うのを見せてあげる!」

御坂がそう宣言した次の瞬間には、御坂は神裂の視界から消えていた。

御坂「ちぇいさーっ!」

一瞬で神裂の後方に回り込み、回し蹴りを繰り出していた。

神裂(速い――!)

ゴシャ!と神裂は刀の鞘で蹴りを受け止めた。

神裂「その速さ、その硬度、電撃を体に纏うことで、人間離れした動きが出来るのですね」

御坂「たったの一撃でそこまで見破られるとはね。分析力もなかなかじゃない」

御坂「なら、こう言うのはどうかしら!」

御坂は距離を取り、ズズズ!と周りから、砂鉄を浮かび上がらせた。

神裂(これは……)

砂鉄は形を鋭利に変えて、一斉に神裂に襲い掛かる。

神裂(この程度では私を捉えることはできません!)

それら全てを、神裂は容易に避ける。

御坂「やるじゃない!でもまだまだぁ!」

砂鉄の攻撃はより激しさを増す。それでも神裂は、砂鉄の猛攻をすべて避けきる。

神裂「もうその手は通用しません!」

砂鉄による嵐のような攻撃を潜り抜け、御坂に肉迫する。
御坂は距離を取ろうと逃げる。そして再び砂鉄の攻撃。攻撃はいつまで経っても止まない。
別に避けられない訳ではないが、埒が明かないと思った神裂は

神裂「七閃!」

7本のワイヤーは、砂鉄を切り裂き、そのまま御坂のもとへ。

御坂(来る!)

御坂は砂鉄を器用に操り、厚さ10cmはある砂鉄の盾を即席で作る。
ギギギギギ!とワイヤーが8cmのところまで喰い込んだが、止まった。

74: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:38:41.99 ID:D9cHSfej0
御坂「はああああ!」

御坂は両手に砂鉄の剣を持ち、突っ込む。

直後、刀と刀がぶつかり合う音が木霊した。刀と刀をぶつけあったまま、両者は拮抗する。

御坂「おかしいわね。この剣は超振動している上に、私の電撃を纏わせているから
   ガード不可のはずなんだけど」

神裂「この『七天七刀』を、普通の刀と一緒にしてもらっては困ります」

御坂の電撃砂鉄チェーンソーと、神裂の七天七刀が擦りあい火花散る中、会話は続く。

御坂「何言ってんの。ただの太刀じゃない」

神裂「この刀は魔術でコーティングされています」

御坂「魔術?そんなオカルト、信じられるかっつーの!」

神裂「別に信じてもらわなくても……結構です!」

神裂は御坂をあっさりと振り払う。

御坂「まだまだぁ!」

あらゆる方向、あらゆる角度から斬りかかる。
ガァン!ゴン!ギィン!と刀がぶつかり合う音が連続して木霊する。

御坂「よく防ぐわねぇ!これならどうよ!」

御坂は両手の砂鉄剣を一つにし、振り下ろす。

神裂「無駄です!」

だがやはり、あっさりと刀で受け止められてしまう。

神裂「思いあがらないでください。刀の使い方に慣れている私に刀で勝とうなんて100年早いです」

御坂「そんなもん関係ない!」

神裂「ありますよ。今からその証拠をお見せしましょう」

75: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:40:26.04 ID:D9cHSfej0
御坂はまたも神裂に振り払われた。
振り払われたと言っても、先程までとは比べ物にならない威力でだ。

御坂(なんて力……!)

神裂に振り払われた勢いで、御坂は数十m地面を滑る。
そして、わずかだが、靴が滑る音が後方から聞こえた。

御坂(――!)

神裂は鞘の先端で突きを繰り出す。御坂はギリギリのところで体を捻り、なんとか突きを避けたが

神裂「一撃だけでは終わりませんよ」

バババババ!と猛烈な連続の突き攻撃が繰り出された。

御坂(っ!)

それでも御坂は、間一髪でそれらの攻撃を全て避けきる。神裂の攻撃の手が一瞬緩む。

御坂(――これで)

神裂「まだです」

神裂は攻撃の手を緩めたのではない。溜めたのだ。
1秒後“溜めの突き”の一撃が、御坂の心臓目がけて放たれた。

御坂(避けきれない!)

鞘とはいえ、心臓付近に喰らえば、確実に呼吸困難以上のことにはなってしまう。
だが避けきれない。

御坂(なんとかこの剣で……!)

神裂の突きを、砂鉄の剣で受けた。
しかし、その衝撃で御坂はノーバウンドで数十m吹き飛ばされて、壁に激突した。

76: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:41:48.15 ID:D9cHSfej0
御坂「がっ!ごほっ!ごほっ!」

思わず御坂は咳き込む。

神裂「その纏っている電撃、速度と硬度、さらには反応速度まで上がっているのですか」

御坂「……まあね。今の私は電撃で神経を活発化させているの」

御坂「それで反射神経とか運動神経を飛躍的に上げている。私が纏っている電撃は
   硬度だけを上げているにすぎないわ」

神裂「そんなに詳しく説明していいのですか?」

御坂「アンタ、科学駄目そうだから。言っても分からないでしょ?」

神裂「うるっせぇんだよ、ド素人が!」

御坂「え?」

神裂「知ったような口を聞くな!あなたに私の洗濯機へ対する思いが分かるんですか!」

御坂(なんかめちゃくちゃヒートアップさせちゃったわね。
   しかも洗濯機とか訳わかんない事言ってるし)

御坂(挑発したつもりではあったけど、ここまで怒らせてしまうとはね……)

神裂「あなたには、少々痛い目を見てもらいます!」

御坂「嫌なこった!」

とりあえず一旦距離を取ろうと、御坂は即座に逃げる。

神裂「逃がすかぁ!」

御坂(さっきまでは敬語使ってたわよね?キャラ豹変しすぎ!)

そんな事を考えつつ、神裂から逃げ続ける。

77: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:45:02.98 ID:D9cHSfej0
御坂「アンタの言う通りよ。刀の戦い……というより近距離戦じゃアンタに分がある。
   だから私は遠距離から、アンタを狙うことにするわ!」

神裂「させると思いますか!逃がしはしません!近距離戦に持ち込みます!」

御坂「嫌だって言ってるでしょ!」

逃げながらも、砂鉄を操り、神裂の追跡を振り切ろうとする。

神裂「無駄!」

神裂は刀を抜き、砂鉄を切り裂いていく。

御坂(さっきまでは、頑なに鞘だけでしか攻撃してこなかったのに、普通に刀抜いてるし!
   って、そんな悠長に考えている場合じゃないか!)

神裂は徐々に距離を詰めてくる。

御坂(こうなったら!)

御坂は、神裂に向かって電撃を放つ。

神裂は、電撃を刀であっさり弾く。そして御坂に肉迫し――

ザシュ!と御坂を一閃した。

神裂「安心してください。加減はしてあります」

と切った御坂を見下ろして言った。

御坂「……」

神裂「手加減はしたのですが、気絶してしまったようですね」

そうして神裂が踵を返そうとした瞬間――

御坂「さっきから誰に向かって喋ってるの?」

切ったはずの御坂からではなく、後方からその声は聞こえてきた。
そしてもう一つ、金属を弾いたような音もした。

それはコインを弾いた音――!

御坂「喰らいなさい!」

神裂(っ!)

御坂の必殺技『超電磁砲』(レールガン)が神裂目がけて一直線に駆け抜けた。
その余波だけで地面は抉れ、莫大な煙が立ち込めた。

御坂(これでさすがに……)

神裂「まだ終わっていませんよ」

煙からいきなり神裂は現れ、さらに切りかかってきた。
それでも御坂はバックステップで、神裂の不意の一閃を紙一重で避けた。

78: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:47:07.61 ID:D9cHSfej0
御坂「まさか……私の『超電磁砲』を避けたって言うの?」

神裂「ええ。『聖人』である私にとっては、あの程度なら避けられないこともないです」

御坂「あの程度とは言ってくれるじゃない。あれでも私の必殺技なんだけど」

神裂「もう分かったでしょう?あなたは必殺技ですら私には避けられる。
   これでどうやって私に勝つと言うのですか?」

御坂「どうとでもなるわよ。だって不意打ち自体は成功していたもの」

神裂「そうですね。あれは一体どういうトリックだったのでしょうか?」

御坂「あなたが切ったのは、私が作った電撃の分身よ」

神裂「道理で手応えがないと思いましたよ。ですが、いつ入れ替わったと言うのでしょうか?」

神裂「私はあなたを追いかける時、一瞬たりともあなたから目を離さなかったはずですが」

御坂「簡単な事よ。私の電撃自体は防いでいたかもしれないけど私の電撃は閃光にもなる。
   つまり目くらましにもなる。その隙に入れ替わっただけの話」

神裂「なるほど」

御坂「本当に分かってる?」

馬鹿にした感じで言った御坂に対し、神裂は多少の怒りを覚えながら

神裂「何故そんなに余裕なのでしょうか?あなたの全ての技は私には悉く通じず
   必殺技ですら避けられると言うのに」

御坂「今の状態の私で勝てないなら、この戦いの間に成長してでも勝つまでよ」

御坂「こっから先の戦いは、私自身でも未知の領域、120%でいかせてもらうわ!」

79: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:49:49.03 ID:D9cHSfej0
御坂「はあああああああああああああ!」

今までのどんな電撃よりも大きい電撃を放つ。

神裂「電撃を大きくしただけでは効きません!」

刀で電撃を弾く神裂。

御坂「ちぇいさーっ!」

その間に、先程と同じく神裂の後ろに回り込み、いつもと同じように右足で回し蹴りを放つ。
それはあっさりと腕で止められてしまった。

御坂「まだまだぁ!」

即座に逆回転をし、もう一度回し蹴りを放つ。だがやはり腕で止められてしまった。

神裂「近距離戦では勝てないと分かっていながら突っ込むとは。
   ひょっとしてあなたは馬鹿なのですか?」

御坂「アンタ程ではないけどね!」

御坂は即座に砂鉄電磁剣を作り、切りかかる。周りの砂鉄も神裂を攻撃する。

それら攻撃を時には受け止め、時には避ける神裂。

御坂「だらあああああああああああああああ!」

御坂は全力で叫んだ。雷撃の槍、砂鉄、そして御坂自身。
今までの戦法をフルパワーで、なおかつ一斉で神裂に挑みかかる。

神裂はそれらを、かわし、ワイヤーで防ぎ、ワイヤーで魔法陣を描き
刀で切り裂くなどして、全て無傷で防ぐ。

御坂(まだよ……まだ力を出せる!)

激しい戦いの中で空中を舞っていた御坂は、そのままの体勢で『超電磁砲』を2発連続で放つ。

神裂「はあっ!」

神裂はその2発を刀で撃ち落とす。

御坂「まだよ!」

今度はコインを4枚弾く。
それを、両手と両足を使い4発連続で放つ。

神裂「ふっ!」

やはり全弾撃ち落とす神裂。

80: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:51:11.24 ID:D9cHSfej0
神裂「何発やっても無駄です!」

御坂(手持ちのコインは30枚で7枚使ったから、残るコインは23枚。それで終わらせる!)

御坂「どおおおらああああああああああああああああ!」

『超電磁砲』を両手両足フルに使い撃つ、撃つ、撃つ、撃つ、撃つ!
23発の『超電磁砲』が1秒もかからずに神裂に向かう!

神裂「唯閃!」

神裂も自身最大の抜刀術『唯閃』を行使した。
その一閃のみで、23発全ての『超電磁砲』を撃ち落とした。

神裂(唯閃まで使わされるとは……少々焦りましたが、これで)

81: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:53:30.51 ID:D9cHSfej0
御坂(まだ……まだ100%の力を出し切っただけ……)

御坂(越えるんだ。限界を!)

御坂「これが私の限界突破、だああーっ!」

雄叫びをあげる御坂の周りから、莫大な砂鉄が舞い上がる。
また砂鉄か、無駄な事を。と神裂は思っていたのだが

砂鉄はその場で形を変え、長さ30cm、直径10cm程の槍となって浮いた。
その数200程。しかもそれが全部高速回転している。

神裂(まさか……)

御坂「喰らいなさい!『超電磁槍』(レールランス)!」

再び両手両足フルに使った攻撃が始まった。先程までと違う点は2つ。

1つ目は、砂鉄の槍が高速でジャイロ回転していること。

そして、もう1つ。桁違いの数だ。御坂は100発の砂鉄の槍を、3秒かからずに放ちきる。

神裂「唯閃!」

神裂は唯閃を繰り出すが、撃ち落とせるのは1回につき、せいぜい30発が限界だ。
それでも神裂の抜刀術、唯閃は1回に1秒もかからない。

よって3秒ないとは言え、4回も出せば、完全に防ぎきれるはずだった。
そして神裂には、それを出来る技量があった。

にもかかわらず、両頬、両脇腹、両脚の横、計6発を撃ち落とせなかった。

その6発は、あくまで通り過ぎただけだった。決して直撃したわけではなかった。
ましてや掠ってすらもいなかった。

だがジャイロ回転した超高速の槍は、通り過ぎたその余波だけで
周りの物を引き裂いていくほどの力があった。

よって神裂の、頬や脇腹、足の皮膚は2割ほど削られた。

神裂「ぐ!」

神裂は初めて悶絶する。しかもこれで終わりではない。まだ残り100発の槍が残っている。
そう思い顔をあげた神裂の見た光景は想像の斜め上を行くものだった。

82: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:54:50.86 ID:D9cHSfej0
100本分の砂鉄の槍が1本に集結されていた。その大きさは長さ30m、直径2mほどか。

神裂(避けられるか……いや避けたところで、余波でやられる!)

神裂(ここは唯閃で切り裂くしかない!)

御坂「これで……終わりよ!」

『超巨大電磁槍』が放たれた。

神裂「唯閃!」

ギギギギギ!と槍と剣がぶつかり合う音が木霊する。
さすがにこの大きさだけあって、神裂もそう簡単に切り裂けない。

神裂「はあああああああああああああああ!」

神裂が雄叫びをあげる。そして

バゴオォォォン!と一帯に電撃の巨大槍が蹂躙した音が響いた。

御坂「やっ……た……」

全ての力を使い果たした御坂は、その場でうつ伏せに倒れた。

83: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:56:25.22 ID:D9cHSfej0
御坂(でも、あの人死んじゃったかな……)

今更ながら少し後悔してしまう。でも手加減できる相手だし仕方なったか。
でも人を殺すと言うのは、どんな理由があってもいけないわけで。とかいろいろ
考えていた御坂だったが、それらの心配は杞憂に終わった。

神裂「はぁ……はぁ……」

煙の中から息切れしながらも、神裂が再び御坂の前に立ったからだ。

御坂「な、なんで……」

神裂「さすがに……焦りましたよ。切り裂くのを止めて……
   刀の先端に魔力を集中して……突くことによって……直撃を免れました」

御坂「あの状況で……それだけのことを……やってのけるなんてね……」

神裂「とは言え、唯閃の使い過ぎや最後の激突で、結構なダメージを受けましたけどね」

御坂「勝者の……余裕ってわけ?」

神裂「そんなつもりは。さて、あくまで私の目的は上条当麻なので。それでは」

負けず嫌いの御坂も、負けを認めざるを得なかった。
自身の技を全て防がれ、挙句の果て充電切れ。御坂は自分自身が情けなかった。

御坂(せっかく……アイツが初めて……私を頼ってくれたのに……)

悔しくて仕方なかった。目尻からは涙が流れるくらいには。

そんな御坂を一瞥して、神裂は先へ行こうと歩を進めた。が

神裂(……何か来る!)

そう感じた神裂は、数歩後退する。
するとさっきまで立っていた場所から、カランカランと金属の矢が落ちた。

84: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/29(金) 12:58:05.40 ID:D9cHSfej0
神裂(金属矢が、虚空から現れた……?)

白井「許しませんの……」

気がつけば、御坂の近くにツインテールの女の子が立っていた。

神裂「何がですか?」

白井「お姉様をボロボロにし、泣かせた事に決まっていますの」

神裂「お姉様、ということは、あなた達は姉妹なのですか?あまり似ていませんね」

白井「姉妹ではありません。先輩後輩の関係ですの」

白井「そんなことより、実はお姉様とあなたの戦いは拝見させていただきましたの」

神裂は、人払いのルーンを刻んでいるのに、何故ここに来れたのか?
と疑問に感じつつも、尋ねる。

神裂「見ていたのなら、何故加勢しなかったのですか?」

白井「理由は2つ」

白井「1つ。お姉様は自分の戦いに手を出されるのを嫌っていますの」

白井「そして2つ目。先程の戦いは、あまりにも激しすぎて
   わたくしが入ってもついていけず、足手まといにしかならないと思ったからですの」

神裂「では、今ここであなたが出てきても、私には勝てないのでは?」

白井「そうですわね。お姉様より弱いわたくしが
   お姉様に勝ったあなたに勝てる確率は低いですわね」

白井「ですが、そんなことはどうでもいいですの。
   あなたがお姉様を傷つけ、泣かせた、その事実は変わらない」

白井「たとえどれだけの実力差があろうともお姉様を傷つけたあなたに
   黒子は絶対に負けられませんの!」

御坂「や……めなさ……い……黒子……」

神裂「いいでしょう。ならば叩きのめすまで!」

95: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 20:54:06.37 ID:6MLEAleW0
神裂は一瞬で白井に肉迫する。そして鞘の横薙ぎの一撃が振るわれた。

白井「甘いですの!」

白井はそれを避け、神裂の後頭部へとキックを入れるためのテレポートをする。
だが神裂は、それを見越したように、先の一撃からそのまま回転斬りへと移行する。

白井「な!?」

白井は慌ててテレポートして、距離をとる。

白井「何故わたくしの攻撃が分かったんですの?」

神裂「勘と反射神経。ただそれだけです」

白井(なるほど。お姉様を倒すだけありますの。
   ですが、黒子の実力もこんなもんじゃありませんの!)

白井はパッパッパッ!と連続でテレポートする。

神裂「かき乱す作戦かもしれませんが、そんなことでは動揺しませんよ」

白井「ではそろそろ!」

白井はまず、正面から攻撃を仕掛けた。神裂はそれに対し横薙ぎの一撃を振るった。
当然白井はテレポートで避ける。

神裂(後ろか!?いや……上!)

神裂は上へと、突きの一撃を放った。それも白井はテレポートで避ける。

神裂(今度こそ……後ろか!)

神裂は思った。刀は今、上の突きの後なので使えない。
今更ながら、回転斬りを防ぐために、これを狙っていたのかと気付いた。
それでも神裂は後方を一切見ずに、右足で後ろ蹴りを放った。
しかし手応えがない。またしても避けられた。そして――

白井「ちぇいさーっ!」

神裂の右側に現れた白井の、回し蹴りが来るところだった。

神裂(甘い!)

神裂は刀を地面につき、棒高跳びの要領で6m程ジャンプし、回し蹴りを避けた。

96: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 20:55:57.42 ID:6MLEAleW0
白井「今の連続攻撃が避けられてしまうとは……」

神裂「もう諦めてはくれませんか?私の狙いは上条当麻です。私はそこを通りたいだけなのです。
   通してくれれば、こちらから攻撃は加えません」

白井「それは無理ですわ。わたくしはジャッジメントですの。
   正直不本意ではありますが、わたくしの目の前で学園都市の住人である
   あの殿方を傷つけるのなら、風紀を乱す者として見過ごす訳にはいきませんの」

神裂「見たところ、あなたは既に、かなり消耗しています。
   早くその電撃少女と一緒に病院へと行った方がよろしいかと」

白井「あなたに心配される覚えはありませんわ。それにあなたもボロボロではございませんか」

神裂「私は普通の人間とは違います」

白井「わたくしも普通の人間とは違いますのよ」

神裂「……どうしても戦うしかないのですか」

白井「あなたが素直に拘束されてくだされば、戦う必要はありませんわよ?」

身構える2人。静寂が訪れる。

御坂「黒子……もう……やめなさ」

御坂の声を遮るように、2人は再び激突する。

97: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 20:57:09.94 ID:6MLEAleW0
神裂はイラついていた。かれこれ2分程、自分の得意な近距離で戦っているにもかかわらず
一向にダメージが与えられない。

一方の白井も、これだけテレポートして攻撃を繰り出しているにもかかわらず
かわされ、いなされ、防がれ、とにかくダメージを与えられないことに辟易し始めていた。

白井(仕方ないですの!ここは肉を斬らせて骨を断つしか……!)

そう考えた白井は、神裂の横薙ぎの一撃を、敢えてテレポートせず受け止めた。

白井「がは!」

神裂「!?」

ミシィ!と嫌な音が聞こえたが、痛みの中演算に集中し、刀を100m先にあった
ビルの壁の中にテレポートした。壁の中と言っても、刃の部分だけしか埋められず
柄は出たままだが。

白井「これで純粋な肉弾戦に持ち込みましたの……」

神裂「刀が使えない肉弾戦だろうと、あなたには負けませんよ」

98: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 20:58:39.53 ID:6MLEAleW0
そうして神裂が刀を失って、純粋な肉弾戦に入ってから10分が経過した。
神裂は、攻撃を防ぎ続ければ体力が切れて勝手に自爆してくれるだろうと、たかをくくっていた。

だがそのテレポートと体術のキレは一向に落ちなかった。

神裂「あなたは10分間、全力で動きっぱなしだというのに、何故いまだにそこまでの動きが
   出来るのですか!?」

白井「――!」

神裂の問いに白井は答えない。否、答えないのではなく
あまりの集中力で神裂の声が聞こえていない。

神裂(彼女の原動力であろう、あの電撃少女は、そこまでの人だと言うのですか!?)

白井の攻撃、反応速度は衰えるどころか、徐々に激しさを増していく。

神裂(この私が押されて!)

ついに白井の拳が、神裂の頬を掠めた。

神裂(くっ!)

神裂の攻撃は一向に当たらない。対して白井の攻撃は掠り始めている。

神裂(このままでは……仕方ありません!)

神裂は敢えて白井の拳を受ける。その代わり白井の拳をしっかり掴んだ。

神裂(捉えました!)

しかしそれは間違いだった。1秒後、視界が変わった。
正確には、視点が低くなった。まるで背が縮んだような感じだ。
その答えはすぐに分かった。

99: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:00:14.63 ID:6MLEAleW0
神裂「ぐあっ!」

膝から下の脚に激痛が走った。思わず目線をそこへ持っていくと、なんと地面に埋まっていた。

何故このような事が起こったかと言えば
白井が神裂を地面の中にテレポートしたからに他ならない。

少しでも脚を動かそうものならば激痛が走るのだが、抜けださなければ話にならない。
そう思い、両手を地につき抜けだそうと試みたが
白井の、顎から突き上げる強力なキックがそれをさせなかった。

神裂「がは!」

さすがの『聖人』神裂火織もこれは効いた。白井の攻撃は終わらない。

膝から下の脚が埋まっている神裂に対して、白井は容赦なく何十発もの拳と蹴りを叩きこんだ。

前方をガードすれば後方から、後方を意識すれば前方から集中砲火を喰らった。
ならばと思い、前方にも後方にも意識を集中するが、意識の隙間をかい潜って
ダメージを与えてくる。そのあまりの鬼畜っぷりは、御坂ですらも引く位だった。

100: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:02:30.08 ID:6MLEAleW0
御坂「もういい!もうやめて黒子!それ以上やったら、その人死んじゃう!」

白井「何故止めますの!?お姉様だって、この方を殺そうとしたじゃありませんか!」

御坂「それは……手加減できなかっただけで……」

白井「そんなの言い訳ではありませんか!それに何よりお姉様をここまで傷つけたこの方を
   黒子は許せませんの!」

御坂「その私がやめてって言ってるんだから、やめなさいよ!」

白井は御坂を無視し、神裂への暴力を止めない。

御坂「やめてって……言ってんでしょーが!」

御坂の電撃が白井へと飛ぶ。充電切れ状態から振り絞った一撃の為、通常に比べ威力は相当弱いが
それでも全身に軽度の火傷を負わせ、気絶させるぐらいの威力はある。

だが白井は、それをテレポートで避ける。避けた電撃は神裂にヒットした。

神裂「あああああ!」

御坂「あ……」

白井「ざまぁですの」

神裂を見下ろしながら、白井は言い放った。そして暴力を再開した。

御坂「黒子!黒子!!」

今の御坂には叫ぶ事は出来ても、白井を抑えられるだけの力はない。

101: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:03:50.04 ID:6MLEAleW0
白井「さあ、そろそろ終わりですの!」

白井の全力の両脚飛び蹴りが、神裂の顔面に炸裂した。
これで終わった。と白井は思ったが

ガシィ!と神裂の右手が、白井の右足を掴んだ。
そしてそのまま、とてつもない勢いでビルの方へ投げ飛ばした。

その隙に神裂は、激痛を伴いながらも地面から抜け出そうと試みる。
一方で、白井は神裂の数十m上とテレポートしていた。

それはつまり、投げ飛ばされた勢いそのままの白井が隕石の如く
神裂の脳天に落下してくることを意味していた。

神裂はそれに気づいてはいたが、未だに地面から抜け出せていない。
よってかわすことはできない。受けて立つしかない。

落下してくる白井。対し神裂は左拳に力を込める。そして――

白井の両脚と神裂の左拳のアッパーが激突した。
瞬間、白井の両脚と神裂の左腕から血が噴き出した。

白井・神裂「「がああああ!!」」

御坂「黒子ー!」

103: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:05:13.39 ID:6MLEAleW0
悶絶する2人。御坂は白井に向かって叫ぶが、返事がない。
白井は神裂戦の前に、いくつかの戦いをこなしてきた。
加えて神裂戦でも限界を超えた戦いをしてきた。

そして今、両脚が潰れたことによって、白井は完全に力尽きてしまった。
もはや意識も朦朧としている。御坂は這いずりながらも、白井のもとへ向かう。

一方で神裂は、右手を地につき力を込め、強引に地面から抜け出した。
その時に脚の皮膚がそこそこ剥がれたが、構わずビルに埋まっている刀を引き抜きに行く。
そして右手だけでビルから刀を抜いた。刀を抜いたことでビルが崩れた。

それにしても、殴られ蹴られ左手は潰され、両足もボロボロ。
さすがの神裂も戦うのは愚か、上条を追う力も残っていなかった。

だから神裂は、即興で簡単な魔法陣を描き、周りにある瓦礫や自分が持っていた手荷物を置き
回復魔法を行使した。

神裂「ふぅ」

完全回復とまでは行かないが、剥がれた皮膚はある程度は元に戻り、出血も止まった。

104: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:06:09.83 ID:6MLEAleW0
ようやく御坂は、白井のもとに辿り着いた。

御坂「黒子……大丈夫……?」

白井「お……姉……様……ごめん……なさい……ですの……」

御坂「ホント……世話の焼ける後輩なんだから……」

白井「あの方……どうやら……回復したみたいですの……」

御坂「そんなことはどうでもいいのよ……黒子が無事なら……」

白井「お姉様……」

105: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:07:34.11 ID:6MLEAleW0
そんな2人を遠目に見ながら、神裂は今度こそ上条を追いかけようと歩を進めた。が

神裂(何か来る!)

神裂は反射的に数m後退する。するとさっきまで立っていた場所の地面がへこんだ。

いや、へこんだと言うよりは抉れたと言うのが正しいのか。とにかく地面が少し消滅した。

神裂(次から次へと……人払いは本当に発動しているのでしょうか?)

神裂は呆れながらも上を見た。するとビルから身を乗り出している男が見えた。
黒曜石で出来た、ナイフのようなものを持っている。
トリックは分からないが、多分あのナイフで攻撃してきたのだろうと思う。

神裂(あの男は今ビルの上に居る……そして先の遠距離攻撃は気をつければ
   絶対に避けられる。ここは無視をして、先を急ぎましょう)

そう思い、走り出す神裂であったが、その男は、ビルから突如飛び降りた。

どう言う理屈かは分からないが、その男は至極当然のように無傷で神裂の目の前に降り立った。

男「あなたですか?御坂さんとその御友人を傷つけたのは」

神裂「私は何もしていませんよ。あの2人が勝手に突っかかってきて、勝手に倒れただけです」

言いながら神裂は気付いた。いつの間にかあの2人がいない。

106: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:09:13.33 ID:6MLEAleW0
神裂(この私が今まで気づかないとは……)

男「お二方は、こちらで回収させていただきました」

神裂「別に構わないですよ。あの2人に用はありませんから」

男「ところで、僕はあなたが憎いので、少々痛い目を見てもらうかもしれません」

神裂「あなたに憎まれる覚えなどないのですが」

男「それがあるんですよ。僕の想い人を傷つけてくれましたからね」

神裂「よく分かりませんが、邪魔をするなら」

男「神裂火織」

神裂「何故私の名を?」

男「いやぁ、こちらにもエージェントがいましてね。あなたの事は大体分かっています。
  その強さも」

男「その強さを分かった上で、あなたを倒すと言っているんです」

男の威圧感は、先程の白井と同等かそれ以上だった。それにこの感覚は――

神裂「あなた……魔術師ですか?」

男「ええまあ。エツァリと申します」

エツァリ「さて、会話はこれぐらいにして、そろそろ始めましょうか」

こうして、極東の魔術師とアステカの魔術師の戦いの火蓋が切って落とされた。

107: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:10:28.96 ID:6MLEAleW0
麦野達はワゴン車で冥土返しの病院を目指していた。

絹旗「それにしても、学園都市の拳銃は超凄いですね。防弾ガラスでも2発で壊せましたよ」

滝壺「学園都市の科学技術は、外部より2,30年進んでいるからね。その程度は割と当然だと思う」

麦野「寧ろまだ2発もかかるのかと思うわ。そこは1発で貫けよと」

半蔵「なんか……女の子達が拳銃について語っているかと思うと……世も末だな」

感慨深く呟いた彼は、服部半蔵。
今は凋落した忍者の末裔である服部家の子孫で、超有名な忍者である『服部半蔵』の名を
継ぐものである。

麦野「なんか言った?」

半蔵「いいえ、何も」

滝壺「それにしても、はんぞうも割と運転うまいよね」

半蔵「まあ俺も浜面の横で、ずっと運転してるところ見てたからな」

滝壺「はまづらを迎えに行くときに、運転手がいなくて困ってたから
   はんぞうには、皆感謝してるよ」

半蔵(はぁ……浜面はこんなに優しい子が彼女なのか……羨ましすぎる)

郭「どうかしました?半蔵様」

半蔵の事を様づけで呼ぶ彼女は郭。半蔵に付きまとう、くの一の末裔だ。

半蔵「なんでもないよ」

108: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:11:22.49 ID:6MLEAleW0
麦野「(てかさ、この女何なの?何で普通にいるの?)」

絹旗「(よく分かりませんが、半蔵さんに超付きまとっているくの一みたいですね)」

麦野「(ふーん。まあ役に立つなら良いけど、役に立たないなら邪魔なだけなんだけど)」

絹旗「(これから何かに役に立つかもしれませんし、今のところは害もないですから
   超ほっといても問題ないんじゃないですかね?)」

郭「全部聞こえていますよ。麦野氏、絹旗氏」

思わずドキッとする麦野と絹旗。

郭「別に気にしていませんから、堂々と会話しちゃってください」

麦野「じゃあ遠慮なく」

麦野と絹旗は、郭に対して失礼なことから先程までの拳銃の話など、遠慮なく雑談し始めた。

郭「順応早いですね……」

麦野「なんか言った?」

郭「いいえ、何も」

109: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:12:48.39 ID:6MLEAleW0
浜面「ん……あ……」

滝壺に膝枕されていた浜面が目を覚ました。

滝壺「あ、はまづら、大丈夫?」

浜面「あ……ああ……って、あの女はどこだ!?」

麦野「何騒いでんだ。私達が追い払ったってーの」

浜面「そ、そっか。俺、あの人にやられたのか……」

麦野「ほんと、アンタ助けるのに苦労したんだから。感謝しなさいよね」

浜面「あ、ああ。ってかフレメアは!?」

絹旗「ああもう超やかましいな。フレメアちゃんならそこで寝ていますよ。
   多分催涙スプレーか何かで眠らされたのでしょう。命に別状はありませんよ」

浜面「そ、そうか……良かった」

だが今回浜面は、フレメアは愚か自分自身すら守る事が出来なかった。
もし滝壺達が助けに来なければ、間違いなく敵に捕まっていただろう。

半蔵「浜面、あんまり落ち込むなよ。今回は相手が悪かったんだ。一応全員無事だしな」

浜面「半蔵?お前どうしてここに?」

半蔵「こいつらがお前を助けに行くために、運転手を探してるって聞いたから
   俺が立候補したんだよ。親友の為だしな」

浜面「そ、そうか。でも滝壺とか、半蔵の事知ってたっけ?」

滝壺「うん。前の『新入生』のクーデターの時に、一度会った」

浜面「じゃあさ、俺の位置はどうやって分かったんだ?」

滝壺「それはもちろん、私の能力を使ったからだよ」

滝壺の能力は一度記録したAIM拡散力場の持ち主を、たとえ太陽系の外に出ても
追い続け検索・補足出来る。今の滝壺は『体晶』がなくても、ある程度能力が使える。
そして浜面は先日レベル1になったことにより、滝壺の能力を十二分に活かせたのだ。

110: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:14:12.39 ID:6MLEAleW0
浜面「そうか。やっぱ『アイテム』って凄いな」

絹旗「うわ。なんか超キモいです」

浜面「なんで!?」

郭「そんなことより浜面氏!私の事はノータッチですか!?」

浜面「どうせ半蔵についてきただけだろうなー。と思って」

郭「浜面氏のくせに~」

麦野「そんなに元気なら病院へ連れて行く必要はないな」

浜面「俺は良くても、フレメアを連れていかないとだな」

麦野「そうだな。ところで浜面、運転変わってやれ……よ」

浜面「どうした?」

麦野(この感覚――!)

麦野「滝壺!私の能力の補助を!」

滝壺「うん!」

麦野の能力『原子崩し』はビームを出せるだけでなく、盾なども作れる。
それを滝壺の補助でより精密にして、強化することもできる。

麦野はビームでワゴンの屋根を消し飛ばし、ワゴンの周りに滝壺の補助を受けた盾を展開する。

浜面「何やってんだ麦――」

浜面が言い終わる前に――
突如現れた3機の『六枚羽』による一斉掃射が、麦野達の乗るワゴンを襲った。

ドドドドド!と激しい攻撃で揺れるワゴンだったが、麦野の盾のおかげでダメージは無い。
そして『六枚羽』の攻撃をひとしきり防ぎきった後

麦野「今度はこっちの番よ!」

麦野は『拡散支援半導体』を使い、自身のビームを拡散させる。
六枚羽達はビームを攻撃してを防ごうとするが、麦野のビームはそれら全てを貫き
六枚羽達を撃ち落とした。

111: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:15:43.29 ID:6MLEAleW0
滝壺「さすが、むぎのだね」

麦野「滝壺の補助があったからよ」

絹旗「安心するのはまだ超早いみたいですよ」

今度は麦野達が乗っているワゴンを追うように、2台の黒い装甲車が走ってきた。

麦野「この!」

麦野はビームを放つが避けられてしまう。
そうこうしている間に、2台の装甲車はワゴンを挟むように横につく。

麦野「服部!ブレーキだ!」

半蔵「お、おう!」

言われた通り、急ブレーキをかける半蔵。すると、目の前で装甲車と装甲車がぶつかった。
ワゴンを挟み撃ちにするつもりだったのだ。

麦野「よし!この距離なら!」

標的までは数m。麦野は再びビームを放つ。
だがたったの数mであるにもかかわらず、装甲車はビームを避けた。

麦野「な!?」

間髪容れず装甲車は交互にワゴンへとアタックを仕掛ける。

麦野「ちょ、なんとかしてこの攻撃から抜けだして!」

半蔵「無理だ!そんな運転スキル、俺には無い!」

絹旗「超仕方ありませんね」

浜面「絹旗!?」

絹旗はワゴンの上部から身を乗り出し、装甲車の1台へと飛び移った。

112: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:17:31.94 ID:6MLEAleW0
浜面「絹旗!」

絹旗「超大丈夫ですよ。こう見えても私はレベル4の『窒素装甲』ですからね。
   まずは1台超潰します!」

絹旗は装甲車の上で大きく振りかぶり、拳を振り下ろす。その一撃は装甲車を大きくへこませた。

絹旗「な……」

絹旗は驚愕した。装甲車は確かにへこんだ。だがそれだけ。へこんだだけだったからだ。
絹旗の一撃を受ければ、普通の車なら大破してもおかしくないのに。

絹旗(この車超堅い……!ここは一旦ワゴンに戻りましょうか)

そう思った絹旗だったが、装甲車が突然激しく動き、振り落とされそうになる。

浜面「絹旗!早く戻れ!」

装甲車は暴れながら、ワゴンとの距離を離していく。どうやらワゴンと絹旗を引き離したいようだ。

絹旗「私の事は超構いません!皆さんは先に病院へ!」

浜面「絶対に!絶対についてこいよ!」

絹旗(そんな事、浜面に言われなくても超分かってますよ)

こうして絹旗は離脱した。そして浜面達の危機も依然続いている。

浜面「麦野、早くもう1台の装甲車を何とかしないと……!」

麦野「そんなこと分かってる!でも当たらないんだよ!」

麦野はさっきからビームを放っているが、悉く避けられる。

浜面「さっきの、シリコンなんとかを使えば良いんじゃねぇのか!」

麦野「さっきので失くなっちまったんだよ!」

浜面「そ、そうか」

半蔵「くっそ……何とか出来ないか郭!」

郭「そんなこと言われても……あ」

半蔵「どうした!?」

郭「私、巻き菱を持っていました!」

半蔵「どうしてそれを早く出さなかった!?」

郭「いやぁ、今思い出したんですよ」

半蔵「ああもう分かったから!早く撒け!」

郭「はい!半蔵様!」

返事をした郭は勢い良く、空いた屋根から巻き菱をばらまく。
巻き菱を踏んだ装甲車のタイヤはパンクし、あらぬ方向に走って行った。

113: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:18:32.59 ID:6MLEAleW0
麦野「おい。そんな便利なものあったのかよ」

郭「すいません麦野氏。巻き菱の存在を忘れていまして」

浜面「助かったよ郭ちゃん」

郭「ありがとうございます浜面氏」

麦野「(浜面の奴、何でこいつには優しくて、私には冷たいんだ……)」

浜面「ん?なんか言ったか麦野?」

麦野「な、何でもないっ!」

滝壺「とりあえず一難去ったね」

浜面「ああそうだな。あとは早くフレメアを病院に連れて行って、絹旗を助けに行かないと」

だがまだ危機は去っていなかった。
浜面達のワゴンの後ろから5m前後の大きさの、カマキリのような何かが来る。

それはフレメアと初めて会った日『新入生』と初めて激闘を繰り広げた時に見た
ファイブオーバーモデルケース“レールガン”のような駆動鎧(パワードスーツ)だった。

浜面「一難去ってまた一難、ってか……」

114: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:20:15.34 ID:6MLEAleW0
しかも、目を凝らして良く見てみると、モデルケースレールガンではない。
カマキリの羽を収めるための腹部側面と、前足保護カバー側面に、それぞれ文字が刻印されていた。

FIVE_Over.Modelcase_“MELTDOWNER”
Gatling_Meltdowner、と。

浜面「麦野!滝壺の補助ありで『原子崩し』の特大で強固な壁を作れぇ!」

麦野「はあ!?攻撃して壊した方が」

浜面「駄目だ!防御じゃなきゃ駄目なんだ!」

麦野「分かったよ。滝壺!」

滝壺「うん!」

浜面に言われた通り、滝壺の補助でより強固になった『原子崩し』の盾を展開する。
その1秒後だった。1分間に4000発に相当する『原子崩し』の掃射がワゴンに向けて放たれた。

半蔵「うおおおお!?」

激しく揺れるワゴン。

浜面「集中しろよ麦野!少しでも気を抜いたら貫かれるぞ!」

麦野「分かってるっつーの!」

浜面「滝壺も頼むぞ!」

滝壺「うん!」

郭「なるほど!浜面氏はまともに撃ちあっても負けると分かっていたから防御を選択したのですね」

浜面「そうだ。ファイブオーバーは威力もさることながら、1番恐ろしいのは連射性だ。
   多分威力だけなら麦野の方が上だろうが、連射で負けると思ったから防御を選んだ」

半蔵「でもこのままじゃジリ貧じゃねぇか……」

浜面「その点は、俺に考えがある。多少賭けだがな」

115: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:21:32.20 ID:6MLEAleW0
そうして、浜面の考えがある発言から4分が経過した。
その間は『原子崩し』を、ずっと連射され続けていた。
考えがあると言いながら、特別指示もしないし
ただ黙っているだけの浜面に、麦野がついに痺れを切らした。

麦野「浜面……!私も滝壺もそろそろ限界が近いんだけど……!考えって何だよ!」

浜面「多分……あと1分だ……あと1分だけ耐えてくれ!」

麦野「……分かったよ!踏ん張ってよ滝壺!」

滝壺「うん……!」

半蔵「おいおい浜面、本当に大丈夫なのか!?」

浜面「さっきも言った通り、確実な手ではない。寧ろ賭けだ。
   だが今はこの可能性に懸けるしかない」

116: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:22:52.37 ID:6MLEAleW0
そうして耐えてくれ発言から1分が経過した。
するとカマキリの『原子崩し』の連射が突然止まった。

浜面「今だ麦野!防御を解いて、お前の一撃をカマキリにぶち当ててやれ!」

麦野「ようやく反撃か!」

即座に盾を解き、『原子崩し』のビームを放つ。それは見事にカマキリへ当たった。撃墜成功だ。

浜面「よっしゃあ!」

麦野「めっちゃ疲れたー」

滝壺「はまづら……」

浜面「おっと」

倒れ込む滝壺を受け止める浜面。

浜面「病み上がりなのに良く頑張ってくれたな。ありがとう」

滝壺「どういたしまして」

麦野「ちょっとー、私にもお礼は?」

浜面「ああ。麦野もありがとう」

麦野「う、うん///」

浜面「おい麦野、顔赤いけど大丈夫か?」

麦野「だ、大丈夫だし!浜面に心配される覚えはないっ!」

浜面「そ、そうか」

117: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:25:28.88 ID:6MLEAleW0
郭「それより浜面氏、何故連射が止まった瞬間、すぐ反撃すると言う思考に至ったんですか?」

郭「攻撃が効かないから、一呼吸置いただけとか、溜め攻撃が来ると言う可能性も
  考えられたじゃないですか?でも浜面氏は迷わず反撃するという事を選んだ。何故?」

浜面「半蔵は知っているだろうけど、俺、あのカマキリのレールガンバージョンと
   戦ったことあるんだ。さらに言えば、あれに乗ったこともある。
   それで分かった事があるんだ」

浜面「あの連射は永遠には出来ない。ってことがね」

郭「ほう。それは何故?」

浜面「あのカマキリの連射には、膨大な電力を消費すると同時に凄まじい熱も発する。
   その熱を下げるために、冷却期間が必要になる。そこを狙ったんだ」

浜面「でもそれはレールガンバージョンの話であって、メルトダウナーバージョンにも
   その法則が通用するか分からなかったし、冷却期間に入るまで、どれくらい耐えれば
   良いかも分からなかったし、さっきの郭ちゃんが言ったこともあったし
   不安要素だらけだった」

浜面「だけど麦野達の限界も近かったし、あそこで攻撃してなかったら
   また連射が始まっただけだっただろうし、あのまま耐え続けるだけだったら
   どの道俺達は死んでいただろう」

浜面「だから少しでも連射が止まった瞬間に、すぐさま攻撃することに懸けたんだ」

半蔵「浜面……お前、度胸あるな」

郭「浜面氏も色々考えていたんですね!」

半蔵「つかお前は終始マイペースだったよな」

郭「そんなことありませんよ。私は私なりにですね」

半蔵「あーもう分かったから。それより浜面、運転変わってくんね?」

浜面「あぁ~、まあ別にいいけ」

滝壺「はまづらは一応怪我人。できればはんぞうに引き続き運転してほしい」

半蔵「そ、そうっすか」

半蔵(そこまでして、滝壺は浜面とくっついていたいのか……チクショー、羨ましいぜ
   浜面の野郎!)

郭「そんなに浜面氏が羨ましいんですか?私なら半蔵様に一生ついていくのに///」

半蔵「は?え?何お前?心読めるの!?『読心能力者』(サイコメトラー)!?」

郭「半蔵様が考えている事はすべてお見通しです」

半蔵(なん……だと……)

118: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:27:55.89 ID:6MLEAleW0
次々とトラブルが起こったと言うのに、まるで何事もなかったかのように盛り上がる車内。

そんな中フレメアも目を覚ました。

フレメア「ん……」

麦野「お、フレメア。ようやく目を覚ましたのね」

フレメア「麦野お姉ちゃん……?大体ここはどこ?」

麦野「ここはワゴンの中。今病院へ向かっているところだったけど
   フレメアも目を覚ました事だし、いかなくてもいいかな?」

滝壺「それは駄目だよむぎの。はまづらも怪我してるし」

麦野「滝壺、アンタのノロケはもう聞き飽きたよ……」

滝壺「それだけじゃないよ。なんか学園都市中の様子もおかしいから
   安全な病院へ行こうと言うのもある」

浜面「でも絹旗は連れて帰らなくていいのか?」

滝壺「きぬはたは大丈夫だよ。私は信じてる」

浜面「そっか。ところで半蔵、あとどれくらいでこの高速道路抜けられるんだ?」

半蔵「多分あと2分くらいじゃねぇかな」

浜面「そうか」

フレメア「ねぇねぇ、大体何で、このワゴンには屋根がないの?寒い」

浜面「まあいろいろとあってな。麦野が吹き飛ばしたんだよ。少しの間我慢してくれ」

フレメア「あれ?ねぇ、大体前見て浜面!」

こいつ人の話ちゃんと聞いてんのか?と思いつつ
言われた通り目線を前に持っていく。そこには驚くべき光景があった。

119: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/30(土) 21:30:39.52 ID:6MLEAleW0
浜面「嘘……だろ……?」

フレメア「あれ、フレンダお姉ちゃんじゃない!?」

麦野・滝壺「「え??」」

麦野と滝壺も前に視線を向ける。

そこには、確かに金髪碧眼の女子高生、まさにフレンダ=セイヴェルンが数十m先に立っていた。

だがそれはおかしい。何故なら麦野がフレンダを殺してしまったからだ。
彼女が生きているはずがないのだ。

浜面「な、何が……起こっているんだ……?」

半蔵「な、何だ!?知り合いなのか!?止まった方がいいのか!?」

と言っても、ここは高速道路なので、車を止めるなんてことは非常識以外の何物でもない。
まあどちらかと言えば、女子高生が高速道路に突っ立っている事の方が異質ではあるが。

麦野「止まれ!」

半蔵「お、おう」

半蔵はブレーキをかけ、ワゴンを止める。

フレメア「フレンダお姉ちゃーん!」

浜面「……待てフレメア!何か様子が――!」

浜面が違和感に気付いた、次の瞬間、フレンダはフレメアに向かって爆弾を投げた。

フレメア「え?」

浜面「フレメアーっ!」

浜面はフレメアのもとに飛び込み、抱え込む。ボガァン!と爆弾は浜面ごとフレメアを飲み込んだ。かに思えたが、麦野が能力で盾を作っていた。

浜面「た、助かったぞ麦野」

しかし、麦野はそんな声は聞こえていなかった。

麦野「アンタ、何者なワケ!?」

麦野の質問を無視し、フレンダは無言で、何かのスイッチのようなものを押す。
瞬間、浜面達が立っている高速道路が、ガラガラと音を立てて崩落した。

浜面(まさか……高速道路の柱の至る所に爆弾が仕掛けてあって
   それを一斉に爆発させて、崩落させったってのか!?)

しかしそんな事を考えている場合ではない。この高速道路は高さ20m位の位置にある。
このまま落ちたら死ぬ。この状況で出来ることと言えば……

126: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/07/31(日) 00:09:17.53 ID:s/+bFleT0
崩落現場から約8kmの地点

絹旗「とりあえず、装甲車は超潰しましたが、これからどうしましょうかねぇ」

あの後絹旗は、装甲車を潰すことには成功したが、高速道路から落ちてしまった。
とは言え『窒素装甲』があったため、20mの高さから落下したが傷一つつかなかった。

絹旗「あーあ、ここからじゃ帰り方が分かりませんし、超だりぃ~」

ぼやきながらトボトボ歩き出す絹旗。その時だった。

黒夜「だるいなら、私が送ってあげようかァ~。天国にィィィ!」

後方から、突如下品な少女の声が聞こえてきた。
黒夜の能力『窒素爆槍』(ボンバーランス)が、絹旗に向かって炸裂した。

ボガァァァン!と『窒素爆槍』が辺りを蹂躙する音が響いた。

絹旗「あなたも超しつこいですねぇ。今までで懲りなかったんですか?」

『窒素装甲』を纏っている絹旗は無傷だった。

黒夜と絹旗はクーデターが起こる少し前、暗部からの『新入生』と『卒業生』として
過去に1度激突している。
その時は、絹旗個人は負けてしまったが『卒業生』としては『新入生』に勝利した。
続くクーデター本番では、どちらも関わってはいたが、直接戦うことは無かった。
結局クーデターも失敗に終わり、絹旗は勝手に死んだものと思っていた。

黒夜「少し負けたぐらいで挫折するぐらいなら、初めからクーデターなンて、起こさねェよォ!」

黒夜の脇腹から無数の『腕』が出てくる。黒夜の能力は『窒素爆槍』。
掌から窒素の槍を生み出す能力だ。つまり掌がたくさんあれば、という発想で
黒夜は自ら改造人間(サイボーグ)になったのだ。

黒夜は地面に『窒素爆槍』を放ち、その爆風で空を飛ぶ。
その後も『窒素爆槍』を微妙に出力し続け浮遊した。

135: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 09:37:53.92 ID:tiKOg62V0
黒夜「さァて、空中からの攻撃に耐えられるかなァ!」

黒夜の数千の腕から『窒素爆槍』が放たれる。『窒素爆槍』の雨が、絹旗を襲う!

ズドドドド!と凄まじい音が辺りを蹂躙する。

黒夜「ははははは!呆気ねェなァ、絹旗ちゃンよォ!」

莫大な煙が立ち込める中、黒夜は勝利を確信する。

絹旗「まだ勝負は超終わっていませんよ」

絹旗は無傷で立っていた。

黒夜「へェ。少しはマシになったンだねェ」

絹旗「私は超優等生ですからね。劣等性のあなたとは違うんです」

黒夜(窒素で直径2m程の盾を作って防いだのか)

黒夜「少しぐらい窒素を使えるようになったからって、粋がってンじゃねェぞォ!」

再び『窒素爆槍』の雨を降らせる黒夜。だが絹旗は、またしても平然と立っていた。

黒夜「ちィ!」

絹旗「もう終わりですか?では今度は超こっちの番です」

黒夜「はァ?」

黒夜は、こっちの番も何もただでさえ近距離戦しかできず、遠距離戦が苦手な絹旗に
空を飛んでいる自分に攻撃など当てられるものかと思っていた。

絹旗「ほい!」

掛け声とともに、絹旗はボールを投げるような動作をした。

黒夜「なァーにやってンだァ!絹旗ちゃ」

その言葉は途切れることとなった。黒夜の機械の腕がいきなりちぎれたからだ。

136: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 09:40:24.98 ID:tiKOg62V0
黒夜「おォ!?」

何故だ。と黒夜は思った。
その間にも絹旗は、再びボールを投げるようなモーションに入っている。

黒夜(まさか……)

黒夜は『窒素爆槍』を出力し、5m程右へ移動する。
するとさっきまでいた場所から、空気を切るような音が聞こえた。

黒夜「もしや、オマエ……!」

絹旗「超頭が悪い黒夜でも、さすがに気付きましたか?」

絹旗「超そういうことです。掌で窒素の球を作って投げたんですよ」

黒夜(そこまで窒素を使いこなしているって言うのか!?)

絹旗「そして、こんな事も出来ます」

そう言うと絹旗は、両掌を合わせる。それを徐々に離していく。
一般人からすれば、女の子が両掌を合わせて離しただけにしか見えない。だが黒夜には見えていた。
絹旗が掌を離していくのに合わせて、槍のようなものが出来上がっていくのが。

絹旗「それ!」

絹旗は、その窒素の槍を黒夜目掛けて投げた。

黒夜「糞が!なめてンじゃねェぞぉ!」

黒夜は『窒素爆槍』で受けて立つ。ボガァァァン!と槍と槍が激突した。結果は相殺。

137: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 09:42:03.61 ID:tiKOg62V0
黒夜「はン!所詮はその程度かァ!」

絹旗を見下しながら、余裕をアピールする。そこである事に気付く。

黒夜「!?」

いつの間に作ったのだろうか。絹旗の周りに、1辺が1m程の窒素で出来た立方体が10個ほど見えた。それらを絹旗は、拳と蹴りで黒夜目掛けて放った。

黒夜「ちィ!」

黒夜は窒素の塊を、相殺や避けるなどして、全てやり過ごす。

黒夜「成程ねェ。認めてやるよ。オマエは以前より大分窒素を使いこなしている」

黒夜「だがなァ、いくら遠距離攻撃が出来ても、そンなチャチな攻撃、相殺する事も
   避ける事も出来るンだよォ!」

絹旗「で、言いたい事は超それだけですか?」

黒夜「あァ!?」

絹旗「私の攻撃を防げるからって、超良い気になっているようですが
   あなたの攻撃も、私には超効かないんですよ?」

黒夜「その心配はいらねェよ。私には、まだ違う攻撃手段がある」

絹旗の真上に移動しながら、黒夜はそう言った。

黒夜「例えば、こう言う風に力を1つに集めて、超巨大な『窒素爆槍』で攻撃するとかなァ!」

『窒素爆槍』が1点に集められる。

138: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 09:43:39.41 ID:tiKOg62V0
対して絹旗が執った行動は、両手を高く上にかざしただけだった。

黒夜「まァ賢明な判断だとは思うよ?この大きさの『窒素爆槍』なら
   逃げたって吹き飛ぶだけだろうしね」

黒夜「それならば、受け止めた方が可能性があるって言うのは
   妥当な判断だと思うけど……どの道オマエは終わりだァ!」

黒夜は勝利を確信し、超巨大『窒素爆槍』を放つ。

黒夜「消し飛べェ!」

超巨大『窒素爆槍』が迫る中、絹旗はこう考えていた。

絹旗(私の能力は“窒素”を纏う事。最近はある程度操れるようにもなってきた)

絹旗(ならば敵の攻撃とは言え、窒素である以上、操り、超何とか出来るはず!)

もちろん、確実に操れるなんて保証はない。そのまま押し潰されてしまう可能性も少なくない。
だが逃げたところで、黒夜の言う通り吹き飛ばされるだけだ。
“溜め”が完了する前に攻撃したって、残りの腕で、避けられるか相殺されるだけだろう。
だから受け止め、操る可能性に絹旗は懸けた。

絹旗(自分を超信じるんだ!!)

そして――

超巨大『窒素爆槍』が絹旗に激突した。

139: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 09:45:12.68 ID:tiKOg62V0
絹旗(ぐぅぅぅぅ!)

激突した瞬間に押し潰されそうになる絹旗。
そのあまりの圧力に、2秒もたずに片膝をついてしまう。

絹旗(違う……受け止めるのでは……駄目です……纏うんだ……この窒素すらも……!)

以前は、体表面から数cmしか窒素を纏えなかったが、今では20cmは纏える。
だが、少し窒素を吸収し纏ったくらいでは、膨大な窒素で出来た黒夜の槍は受け切れない。

絹旗(纏いきれない……窒素は……発散させる……!)

絹旗「う、あああああああああ!」

この瞬間をもって、絹旗は覚醒し、能力者として一段階成長した。
ついに『窒素爆槍』の受け流しが始まった。

黒夜「何ィ!?」

『窒素爆槍』はどんどん吸収され、発散されていく。

黒夜「糞がァ!」

その様を見て焦った黒夜は、通常の『窒素爆槍』をいくつも放つ。
だがその全ては吸収され、発散された。

黒夜「まだまだァ!」

懲りずに『窒素爆槍』を放ち続けるが、やはり吸収、発散され……

140: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 09:46:05.57 ID:tiKOg62V0
1分後

黒夜「はァはァ……」

絹旗「もうこの私に、窒素での攻撃は超効きません」

黒夜「嘘だ、嘘だ、嘘だァ!」

切り札すら防がれたからか、黒夜は錯乱する。

黒夜「ハ、ハハ、そうだよ。いくら私の攻撃が効かないからって
   お前の遠距離攻撃も私には届かないんだよォ!」

絹旗「何だ、超そんなことですか。私だって、攻撃方法は超1つじゃないんですよ?」

そう言うと絹旗はジャンプした。そしてさらに、空中でもう一度ジャンプした。

141: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 09:47:36.61 ID:tiKOg62V0
黒夜「何が……起こって……」

絹旗「今みたいに、空気中の窒素を操って足場を作れば、超解決する問題なんですよ!」

絹旗は、何度も空中でジャンプして、黒夜との距離を詰める。

黒夜「うわァァァ!?くるなァァァ!」

黒夜は『窒素爆槍』を放つが、ボシュゥゥ!とあっさり受け流される。

絹旗「だから超効かないと言っているでしょう」

黒夜「くっ!」

黒夜はたまらず逃げる。

絹旗「超どうしたんですか?黒夜ちゃーん?」

黒夜「糞がァ!馬鹿にしやがってェ!」

どこに収納していたのか、黒夜は拳銃を100丁ほど出し撃ちまくる。

絹旗「レベル4の攻撃が超効かないのに、拳銃如きが効くわけないでしょう」

弾丸は悉く弾かれる。これでは埒があかない。

黒夜「これならどうだァ!」

今度は10個のロケットランチャーに、50個の手榴弾を出す。そして全てを一気に絹旗に炸裂させる。
バガァァァン!と辺りにとんでもない爆音が響いた。

142: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 09:49:16.38 ID:tiKOg62V0
黒夜「ハハ……これで」

絹旗「これで……超なんですか?」

煙の中から平然と現れる絹旗。

黒夜「化け物……め……」

絹旗「自らの体を改造した、サイボーグにだけは超言われたくないですね!」

黒夜「糞ォォォ!最後の勝負だァ!」

先程の大きさではないとは言え、即席で割と大きい『窒素爆槍』を作り、放った。

黒夜「この距離なら、さすがのオマエも受け流す事も、避ける事も出来ねェだろォ!」

絹旗「その即席で作った槍ですが、力の焦点が合わず超隙だらけですよ。
   どんなに大きい力でも、その隙が『弱所』となり
   その『弱所』を突かれれば、その力の半分も超発揮できません」

絹旗「ぶっちゃけ受け流すのは簡単ですが、超癪なので真っ向から打ち破らせてもらいます!」

絹旗の右掌の上で、窒素が乱回転しながら集まり、球状に圧縮され、そのまま留まる!

絹旗「窒素丸!!!」

絹旗の窒素丸と黒夜の『窒素爆槍』が激突する。力の大きさだけなら、黒夜の方が上だった。
だが絹旗の一点集中し『弱所』を突いた窒素丸と、黒夜のでかいが隙だらけの力。
優劣は明らかだった。

黒夜「この私が……負け……」

絹旗「おおおおお!」

絹旗の窒素丸は『窒素爆槍』を貫き、そのまま黒夜へ直撃する。

黒夜「ごっ、がああああああああああああああ!」

黒夜は、そのまま100m程吹き飛び、地面に叩きつけられた。

143: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 09:51:01.72 ID:tiKOg62V0
第7学区 上条の通う高校

ガララッ!と勢い良く扉を開け放つ上条。すると窓のそばに、金髪でグラサンの男が立っていた。

上条「土御門……」

土御門「あの強くなったステイルでも止めらないとはな」

上条「ステイルが、土御門が罠を仕掛けたとか言ってたけど、嘘だよな?」

土御門「それにねーちんも突破したって言うのか。あ、それは『超電磁砲』が相手してるんだっけ」

土御門「ちなみに現在、学園都市には第一級警報(コードレッド)が発令されている。
    皆核シェルター級の避難所に避難しているだろう。風紀委員と警備員は除いてな」

上条の質問を無視し、土御門はそう続けた。

上条「そんなこと聞いてんじゃねぇ!
   お前が俺を罠に嵌めて、ステイルと戦わせたかどうか聞いてんだ!」

土御門「本当だ」

上条「何で……?」

土御門「不覚にも、イギリス清教に舞夏を人質に取られてしまってな」

舞夏とは、土御門の義理の妹である。土御門の最も大切なモノで
彼女の為ならば、世界を敵に回す覚悟があるぐらいだ。

土御門「そして、カミやんを殺せ。と言われた」

土御門「ステイルもねーちんも『禁書目録』を人質に取られた。
    そして同じく、カミやんを殺せと命令された」

土御門「俺はその手助けをしたって訳だ。いやイギリス清教、ひいては魔術サイド全体が
    何らかの弱みを握られたり、操られたりでローラに踊らされている。
    目的はアレイスターと上条当麻の抹殺。ついでに学園都市滅亡らしい」

上条「……」

土御門「すまないなカミやん。そんなお前を助ける事は出来ない。
    寧ろ殺そうとしている。恨んでくれても構わない」

上条「そう言うことだったのか。別に恨みはしないさ。ただ俺を殺すんじゃなくて
   お前の手で舞夏を救い出すと言う選択肢は無かったのかと問いたいけどな」

土御門「……カミやん、世の中は綺麗事だけじゃ済まないんだよ。
    これ以上の会話は無用だ。死んでくれ」

144: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 09:52:30.96 ID:tiKOg62V0
土御門は懐から拳銃を取り出し、その引き金を迷わず引いた。
対し上条は、即座に横に転がりこみ、教室の扉から出ていく。

土御門「直線になっている廊下じゃ、逃げ切るのは容易じゃないぞ!」

土御門は即座に上条を追いかけるが、廊下には上条の姿がない。
代わりに窓が開いていた。

土御門(ここは3階……飛び降りればただでは済まないはずだが……)

一応窓から顔を出して確認する。

土御門(なるほど。駐輪場の屋根に落ちた訳か)

上条は屋根から降りて、何か自転車をいじっている。土御門も屋根の上に飛び降りる。

上条「うおおおお!」

土御門が屋根に降り立った瞬間、間髪容れずに上条は自転車を投げつけた。

土御門「ちっ!」

土御門は拳銃をもう1丁取りだし、2つの拳銃で自転車を撃ち抜く。
上条は2台目の自転車を投げつける。

土御門「しつこい!」

2台目の自転車も撃ち抜く。上条は3台目の自転車を投げつける。

土御門(銃弾を無くさせる気か!?)

3台目の自転車を撃ち抜きながら、土御門は考える。上条は4台目の自転車を投げた。

土御門(銃弾なんてまだまだあるが、このままだとキリがないのは事実。ここは)

145: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 09:54:14.36 ID:tiKOg62V0
土御門は一旦銃をしまい、ジャンプし、上条が投げた自転車を空中でキャッチする。
そしてそのまま上条に投げ返す。

上条「ぬお!?」

上条は急いで横に転がる。土御門は地面に着地後、すぐ銃を引き抜く。
だが上条は既に起き上がっており、土御門に殴りかかろうとしていた。

土御門(速い――!が――)

充分避けられる、と土御門は思っていた。
だが土御門の体は、足に痛みと共にガクン、と地面に縫い付けられたように傾くだけ。

土御門(この技は……!)

土御門がよくやる反則技、踏み砕きだ。上条は左足で土御門の右足を潰し動きを止めたのだ。
そして動けないまま、上条の強力な拳が飛んでくる。咄嗟に、両手を使って顔と胸を守る。
だが上条の拳は顔でも胸でもなく、腹に直撃した。

土御門「ごはっ!」

上条に殴られた土御門は、そのまま自転車の集団に突っ込んだ。
その衝撃で2丁の拳銃を落としてしまう。上条はその2丁の拳銃をすかさず拾い、遠くへ投げる。

上条「立てよ土御門。義妹を救いにも行かずに俺なんかに現を抜かしている
   馬鹿兄貴の目を覚まさせてやるよ」

土御門「素人が調子に乗るなよ」

土御門はゆっくり起き上がる。

上条「『御使堕し』(エンゼルフォール)の時のリベンジはさせてもらう」

土御門「いいぜカミやん。素人とプロの、格の違いってやつを見せてやるよ」

146: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 09:55:43.02 ID:tiKOg62V0
結論から言うと、浜面達は全員無事だった。
麦野の『原子崩し』で落下速度を落として着地したのだ。
完全に無傷のスマートな着地とはいかなかったが。

麦野・滝壺・浜面「「「痛て……」」」

フレメア「浜面、大体大丈夫?」

フレメアは浜面に抱かれて落ちたため、無傷。忍者の末裔である半蔵と郭も無傷で着地していた。

浜面「さすが、忍者の末裔だけあるな」

半蔵「……つか、そんなに余裕ぶっこいてる状況じゃないみたいだぞ」

郭「あの金髪の娘が、銃器を持って近付いてきています」

郭の言う通り、フレンダが銃器を持って近付いてきていた。

半蔵「どうする?戦っても良いのか?」

浜面「いや……そいつは……」

浜面はたじろいだ。まだ混乱しているのだ。その時、麦野が口を開いた。

麦野「服部、郭、お前らは何もしなくて良い。浜面と滝壺もだ。私がやる」

麦野が表立つ。

浜面「大丈夫なのか?」

麦野「当たり前だ。あれはフレンダじゃない」

麦野「お前らは知らないだろうが、あの『超電磁砲』にもクローンがいるぐらいだ。
   学園都市の技術は既にそこまでの領域に達している」

浜面「マジかよ……」

麦野「だからあいつもクローンか、精巧なロボットか。はたまた別の何かか。
   どの道あいつはフレンダでもなんでもない。私が2秒で消し炭にする」

麦野「フレンダを侮辱した事、許さない……!」

麦野が攻撃をしようと構えた、その時だった。
3m程の大きさのゴリラの形をした駆動鎧が上空から降ってきた。
それともう1機。5m程の、隼の形をした駆動鎧も飛んできた。

その隼の駆動鎧は、フレンダを乗せ、フレメアを掴みどこかへ飛んでいった。

麦野「待ちやがれ!」

麦野はその駆動鎧が飛んで行った方向へ走っていく。

147: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 09:56:55.62 ID:tiKOg62V0
浜面「ちょ、待て麦野!」

ゴリラ『貴様らの相手は、この俺だ』

ゴリラが浜面の前に立ち塞がる。そしてその拳が、浜面目がけて振り下ろされた。
浜面は横に転がり、なんとか拳を回避する。

浜面「くっそ!」

滝壺「はまづら!」

半蔵「郭!」

郭「はい!」

ゴリラを挟むように、半蔵と郭は同時に走り出す。両者が手に持っているのは鎖鎌。

半蔵「おらっ!」

郭「はあっ!」

2人は同時に、鎖鎌をゴリラに向けて投げつける。それはゴリラに巻き付いた。

半蔵「引っ張るぞ!」

郭「はい!」

ゴリラを引き裂こうと、鎖鎌を同時に引っ張る2人。

ゴリラ『その程度の攻撃で、この駆動鎧が潰れるとでも?』

ゴリラは引き裂かれるどころか傷1つつかなかった。
ゴリラは鎖鎌を掴み、そのまま回転する。半蔵と郭を投げ飛ばすためだ。
ヤバい、と思った2人は咄嗟に鎖鎌から手を離す。

148: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 09:58:26.95 ID:tiKOg62V0
ゴリラ『邪魔だな貴様ら。仕方ない。自動操作に切り替えるか』

そう言うと、ゴリラの駆動鎧の中から男が出てきた。
その男は駆動鎧から降りると、浜面達の方へ歩み寄る。

半蔵「おらよ!」

半蔵は持っていたクナイを、その男に向かって投げるが、ゴリラがそれを阻んだ。

男「貴様ら忍者の相手は、その駆動鎧がやる。そして浜面仕上、貴様の相手はこの俺だ」

浜面「お前、何者だ?」

男「俺は鬼塚剛。お前らにやられた『新入生』の残党だ」

浜面「『新入生』の、残党だと!?」

鬼塚「お前の能力は『オートエンハンス』のレベル1。
   能力の詳細は、能力発動後1分はレベル0のまま。1分後にレベル1の『肉体強化』に相当する」

鬼塚「その2分後にレベル2、その3分後にレベル3、その4分後にレベル4相当になる。
   そしてその5分後、能力が切れる」

鬼塚「要するに、10分でレベル4になり、15分でレベル0に戻ってしまうってわけだ」

浜面「こっちの情報は筒抜けか……」

鬼塚「俺の能力を教えてやろう。レベル4の『肉体強化』系(パーツエンハンス)だ」

浜面「『パーツエンハンス』?」

鬼塚「百聞は一見にしかず。どう言う能力か見せてやろう。ぬん!」

掛け声とともに、鬼塚の右腕が3倍程太くなった。

149: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:00:09.03 ID:tiKOg62V0
鬼塚「こう言う風に、俺は体の部位ごとを強化できる。この腕はレベル2相当だ」

浜面「へぇ……なんでその情報を俺に教えるんだ?」

鬼塚「男と男が喧嘩するのはフェアじゃなきゃな。俺だけ貴様の事を知っていて
   貴様は俺の事知らない、ではアンフェアだろ?ほら貴様も能力を発動しろ」

浜面「じゃあ遠慮なく!はっ!」

鬼塚「発動したみたいだな。ま、今から1分はレベル0のままだろうがな」

鬼塚「では行くぞ」

鬼塚は脚を強化し、凄まじい勢いで浜面に肉迫する。

浜面(速え――!)

ドガァン!と鬼塚の強化された腕の一撃が浜面を襲った。
浜面は咄嗟に両腕でガードしていたとはいえ、数m地面を転がった。

鬼塚「1分どころか、10秒も保たないか」

浜面「ふ……ざけやがって。何がフェアだ。お前はレベル4、俺はレベル1。
   その時点で既にフェアじゃないんだよ」

鬼塚「馬鹿者。今の俺は腕も脚もレベル2相当だし、互いに能力が分かった時点で
   フェアだろう。最終的には貴様もレベル4になるんだしな」

浜面「意味が分からねぇ。けど俺はお前みたいに正攻法ではいかない。何でもやらせてもらう」

浜面は拳銃を取り出した。

鬼塚「拳銃如きで、この俺を撃ち抜けるとでも?」

浜面は無言で2回発砲した。鬼塚はそれを最小限の動きだけでかわす。

鬼塚「おらぁ!」

浜面の手ごと拳銃を蹴り飛ばし、間髪容れずに強化した左腕のラリアットをお見舞いした。

浜面「ごはっ!」

浜面は再び地面を数m転がる。追撃しようと、鬼塚は近付くが

浜面は突然起き上がり、頭突きをかました。

鬼塚「ぬがっ!」

浜面「まだまだぁ!」

そこからさらに拳を2発、鬼塚の顔面に叩きつける。

鬼塚「がっ!」

浜面「まだだっ!」

さらに追撃しようとしたが、鬼塚がそこで一旦距離をとった。

150: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:01:41.15 ID:tiKOg62V0
鬼塚「どう言う事だ?何故貴様は、レベル1相当になっている?
   まだ能力発動から、30秒も経っていないはずだが……」

浜面「言ったはずだ。勝つ為なら俺は何でもすると」

鬼塚「意味が分からん。質問の答えになっていない」

浜面「簡単な事さ。滝壺の補助で、俺の能力進化までの時間を短くしただけさ」

鬼塚「成程。ではこちらも、さらにレベルを上げていこうか。ぬん!」

先程の距離をとる時に、脚はレベル3相当になっていた。腕もレベル3相当になる。

鬼塚「おおおおおお!」

鬼塚の怒涛の拳の連撃が浜面を襲う。

浜面(滝壺の補助であと20秒も耐えれば、レベル2相当になれるはず……!)

浜面(そこまで耐える……!)

鬼塚の攻撃を、受け止め、いなし、かわすなどして、クリーンヒットを免れる。

鬼塚「ほう。その動き、ただの素人じゃないな」

浜面「元々、武装無能力者集団(スキルアウト)で体は鍛えてあった。
   そして最近、ボクシングもやり始めた」

鬼塚「少しボクシングをかじったところで、俺の拳を避けられるのは腹が立つなぁ!」

鬼塚の攻撃が、より一層激しさを増す。

浜面「攻撃が段々大振りになってるぜ!そんなんじゃ当たるもんも当たらねぇよ!」

151: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:03:50.32 ID:tiKOg62V0
そして20秒。浜面はレベル2相当になった。

浜面「おおお!」

浜面の渾身の一撃が、鬼塚の顔面に突き刺さった。

鬼塚「ごふぁ!」

鬼塚は数m地面を転がる。

鬼塚「最初の一撃は防げなかった癖に、今の連続攻撃を防ぎきるとはな」

浜面「最初の一撃は不意打ちみたいなものだったからな。
   冷静に対処すればなんてことはない」

鬼塚「どこまでもイラつく奴だ。ならば見せてやろう。レベル4の力を」

浜面「させるか!」

浜面は能力を発動させまいと、鬼塚に殴りかかるが

鬼塚「残念。もう腕はレベル4になった。レベル2程度の攻撃では
   この腕をクロスしてガードしていればノーダメージだ」

それでも浜面は攻撃を止めない。

鬼塚「無駄だと……言っている!」

鬼塚は、両腕をクロスしたまま、浜面へ体当たりをかます。
浜面はノーバウンドで数m吹き飛んだ。

浜面(く……レベル3相当までは、あと2分くらいか……?)

鬼塚「見せてやろう。これがレベル4の真の力だ!ぬん!」

瞬間、鬼塚の体が膨れ上がった。
結果として、半蔵と郭が今も戦っているゴリラの駆動鎧と、大差ない大きさになった。

鬼塚「いくぞぉ!」

3mほどの大きさになった癖に、速さまで増した、鬼塚の怒涛の攻撃に
なんとかクリーンヒットは避けるも、反撃が出来ない。浜面は仕方なく一旦距離を取るが

鬼塚「逃げるのなら、厄介な滝壺理后から始末する」

鬼塚の攻撃の矛先が滝壺へ向く。

浜面「滝壺ぉーっ!」

浜面は滝壺を抱え込むように飛び込む。2人は、鬼塚の攻撃を何とか避けた。

152: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:05:41.79 ID:tiKOg62V0
浜面「とりあえず、滝壺を安全な場所まで運ばないと……!」

浜面は、滝壺をお姫様抱っこしながら逃げる。

鬼塚「お荷物を抱えながら、俺から逃げられるとでも思っているのか!」

鬼塚は地面を殴り、そこからできた破片を掴み投げる。破片と言っても、1m程の塊をだ。

浜面「お……おお……!」

浜面は、直撃を避けようとジグザグに走る、時折ジャンプするなどして逃げたが
やがて足はもつれ、転んだ。

浜面「滝壺、お前だけでも逃げてくれ!俺の補助は遠くからで良い!」

滝壺「でも、それじゃあはまづらが」

浜面「いいから早く!」

滝壺「……絶対ちゃんと迎えに来てね。迎えに来ないと許さないんだから」

浜面「ああ、分かってるよ」

鬼塚「そんなに余裕で良いのかな?」

鬼塚は既に浜面の真後ろにいた。そしてそのまま拳を振り下ろす。
浜面はそれを何とか避けるも、鬼塚の猛攻撃は続く。

浜面は先程までと同じく、クリーンヒットは避ける。
だが逆に言えば、避けきっているのはクリーンヒットだけ。
鬼塚の拳が地面にぶつかったときに飛び散る破片や、強力な一撃を避けきれず
受け流すときに、受け流しているとは言え、ダメージは溜まっていく。

浜面「くっ!」

浜面は、ついに片膝をついてしまう。

鬼塚(チャンス!)

浜面はガードをするも、鬼塚の右拳の一撃で15mほど地面を転がった。

鬼塚「まだまだぁ!」

鬼塚はその場で10mほどジャンプした。
そのまま倒れている浜面に向かって、空中からかかと落としを炸裂させた。

153: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:06:50.85 ID:tiKOg62V0
鬼塚「ほう……よく避けたな」

浜面「うおおおお!」

間髪容れずに鬼塚の腹に拳を叩きこむ。

鬼塚「先程よりは威力が高まったな。レベル3相当になったのか。
   だがレベル4の今の俺には、レベル3相当の攻撃もまるで効かん」

浜面「く……!」

再び鬼塚の、鬼のような連撃が浜面を襲った。

浜面(避けられる……!レベル3の今なら、ほぼ完璧に避けきれる!
   今は攻撃が効いてないみたいだが、レベル4になれば攻撃も通用するはず!
   それまで耐える!)

154: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:07:52.99 ID:tiKOg62V0
鬼塚「ちょこまかちょこまかと、鬱陶しいな」

鬼塚は攻撃を避けられてイライラしていたのか、両手を組み、それを振り下ろしてきた。

浜面(大振りになった……!チャンス!)

浜面は鬼塚の一撃を避け、振り下ろされた腕を駆け上がる。

浜面「喰らいやがれ!」

そして浜面の全力の蹴りの一撃が、鬼塚の顔面に叩きこまれた。

浜面(これで少しは……!)

鬼塚「だから効かんと言っているだろう?」

浜面(やば……!)

鬼塚は浜面を掴み、投げ飛ばす。浜面はノーバウンドで数十m先の高速道路の柱に激突した。

浜面「がはっ!」

鬼塚「まだだ!」

鬼塚は、高速道路にもたれかかっている浜面に迫る。

浜面(なんとか……しねぇと!)

浜面は痛む体に鞭打ち、距離を取ろうと逃げる。

鬼塚「さっきから逃げてばかり……男なら正面から正々堂々戦え!」

浜面「何度も言うけど、俺は勝つためなら何でもする!」

鬼塚「つまらん……つまらんぞぉー!」

155: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:09:55.19 ID:tiKOg62V0
鬼塚は先程と同じように地面を殴り、その破片を浜面に投げまくる。

浜面(レベル3の今なら……避けきれるはず!)

浜面は投げられてくる破片を全て避ける。

鬼塚「おらぁぁぁ!」

破片攻撃はさらに激しさを増していく。

浜面(攻撃が激しくなってきた……このままじゃ避けきれない……!)

そう考えた浜面は、今まではただ避けていただけだった1m程の破片を、蹴りで軌道を逸らす。

浜面(これで何とか)

鬼塚「おおおおお!」

破片攻撃が終わったと思ったら、今度は鬼塚自身が飛び込んできた。

浜面(また近付かれちまった!)

鬼塚の連撃が浜面を襲うが、クリーンヒットだけは避け続ける。
しかし、徐々にダメージは溜まっていく。

浜面(このままじゃ……ジリ貧だ……!こうなったら1度攻撃を受けて……!)

そう考えた浜面は、鬼塚の拳を敢えて受け止めた。
そしてそのまま、1本背負いで鬼塚を地面に叩きつける。
仰向けに倒れた鬼塚の首辺りに乗っかり、顔面に拳のラッシュを叩きつける。

浜面(攻撃の手を緩めるな!攻撃を続けていれば、いつかは!)

そう信じ、攻撃を続けたが、パシィ!と拳を受け止められた。

鬼塚「何度言ったら分かる?お前の攻撃はもう効かない、と」

鬼塚は浜面を掴み、地面に叩きつける。
その後すかさず、地面に伏している浜面に、拳を2,3,4と振り下ろす。
計10発の拳を振り下ろした後、とどめの肘を喰らわせた。
その威力は浜面を中心に、半径10mの地面にヒビを入れるほどだった。
浜面もガードはしていたが、既に解かれ、白目を向いて気を失っていた。

鬼塚「ふぅ。ようやく終わったか」

滝壺「はまづらぁー!」

滝壺の叫び声が聞こえた。鬼塚には、その声は聞こえるだけで、姿は見えない。
どこに居るかまでは分からない、しかしそう遠くへは行っていないだろうと思う。

鬼塚「滝壺理后ー!次は貴様の番だー!」

鬼塚は大声で叫んだ。そして滝壺を探そうと歩き出した時だった。

156: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:11:10.97 ID:tiKOg62V0
浜面「……待てよ」

鬼塚「……ほう」

浜面「まだ勝負は……終わってねぇぞ……」

鬼塚「やめておけ。そんな状態では、俺を倒すことは愚か、最早傷をつけることすら不可能だろう」

鬼塚「しかし、まさか先の一撃で死んでないとはな。そうだな。
   せめてもの手向けだ。あとで滝壺理后と、仲良くあの世へ送ってやろう」

浜面「……させねぇよ」

鬼塚「何?」

浜面「させねぇって言ってんだろ!」

瞬間、浜面の拳が鬼塚の顔面に突き刺さった。

鬼塚「ごっふぁ!」

鬼塚は10mほど吹き飛ばされた。

鬼塚「貴……様、その速度と威力、レベル4相当になったと言うのか!?」

浜面「ああ。これから滝壺の補助のおかげで6分間、レベル4相当の力を使える」

浜面「この6分で決める!」

鬼塚「くくく、そうか。ようやく面白くなってきたなぁ!」

鬼塚「この6分間、貴様から逃げ続けて、能力が切れたところをいたぶるのもいいが
   癪だから、真正面から打ち砕いてやるよぉ!」

最後の6分間が、始まった。

157: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:12:50.98 ID:tiKOg62V0
浜面と鬼塚は、同時に地面を蹴った。
ドガァ!と拳と拳がぶつかる。

鬼塚「この俺と互角の力とはな」

浜面「当たり前だろ。同じレベル4相当なんだから」

その後も拳と拳がぶつかり合う。

浜面(このままじゃ6分経っちまう……!)

もう既に1分ほど殴り合っている浜面は、焦っていた。

浜面(こうなったら……賭けだが、やってみるか!)

浜面は一旦距離をとる。

鬼塚「どうした!?早くしないとレベル4相当の能力が消えるぞ!」

鬼塚が物凄い勢いで迫る。

浜面(集中しろ……!集中しろ……!)

鬼塚は拳を振るった。が、浜面は鬼塚の視界から消え去った。

鬼塚「な!?」

驚く鬼塚。そこへ浜面が、空中からドロップキックを繰り出した。

鬼塚「ぶふぉあ!?」

たまらず後退する鬼塚。浜面は地面着地後、追撃を仕掛けようと左拳に力を込めている。
それを見た鬼塚は、反射的に右拳を繰り出す。
右拳と左拳が激突した。瞬間、ブシャア!と腕は潰れ、血が溢れた。

158: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:14:32.84 ID:tiKOg62V0
浜面「あぁ~、痛ってぇー」

鬼塚「く……何故だ……?」

鬼塚「何故俺の右腕が潰れ、貴様の左腕が残っている!」

浜面「そのトリックを、教えると思うか?」

鬼塚「くそがぁ!」

鬼塚は闇雲に拳を振るう。

浜面「遅いぜ!」

しかし浜面は既に、鬼塚の後方へ回り込んでいた。そしてそのまま回し蹴りを浴びせる。

鬼塚「ごあっ!な……ぜ……!」

その後も浜面は高速で動きまわり、時には蹴りを繰り出し、鬼塚を翻弄する。

鬼塚「何故そんなに速く動けるー!」

鬼塚は冷静さを失って、その場で両腕を水平に広げ、回転する。

鬼塚「これならどの方向から攻撃されても、問題ないぞぉ!」

浜面「馬鹿かお前?上がカラ空きなんだよ!」

浜面の全力のかかと落としが、鬼塚の頭頂部に炸裂した。

159: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:16:18.76 ID:tiKOg62V0
鬼塚「ぶるふぁ!?」

浜面(ここだ!)

浜面は、ここぞとばかりに猛ラッシュを仕掛ける。

浜面(反撃する暇を与えるな!息さえさせるな!能力は残り2分もない!チャンスは今しかない!)

さすがの鬼塚も、この猛ラッシュは効いたのか、体のサイズが、元の190cmに戻った。

浜面(これで決める!)

浜面「うおおおおおおおおおおおおお!」

ドガァン!と浜面の渾身の一撃が、鬼塚の腹部に深く突き刺さった。
その拳が突き刺さったまま、浜面は走る。

浜面「おおおおおおおおおおおおおお!」

そして拳ごと、鬼塚を高速道路の柱に叩きつけた。

鬼塚「ごはぁあああああ!」

鬼塚は高速道路の柱に深くめり込んだ。

浜面「これ……で」

終わった。と浜面は思ったが、柱にめり込んだ鬼塚から、ヌッと手が伸びてきた。

浜面「おお!?」

浜面はそれを数歩後退することでやり過ごす。

160: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:18:20.40 ID:tiKOg62V0
浜面「まだ……動けるのか……?」

鬼塚「はぁ、はぁ、分かったぞ。貴様が突如早く動いたり、拳の威力が増したトリックが」

鬼塚「貴様はレベル4相当の力を、拳や脚に一点集中していたのだな」

『肉体強化』系の能力者というのは、力が身体中に、均等に強化される。
浜面は、それを一点集中する事によって、集中した箇所が、一時的にレベル4を超える力を
発揮できたのだ。

浜面「バレちまったか。まあ俺は、どの道もうすぐ能力が消える。
   お前がまだ立ち上がるのなら、俺は次の一撃に全てを懸けるだけだ」

浜面はレベル4相当の力を、全て右拳に集中する。

鬼塚「能力にこういう使い方があったとはな。ならば俺も、残った力の全てを左腕に集中しよう」

鬼塚も、一度は解けた能力を左腕に集中する。
その結果、左腕の大きさは元の10倍以上になった。

浜面「はは。お前、そんな不安定な状態で、攻撃を繰り出すつもりか?」

鬼塚「どうせ次の一撃で、拳と拳をぶつけ合って、全てが終わる。何か問題でも?」

浜面「そうか」

そして、2人は同時に地面を蹴った。

161: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:19:59.03 ID:tiKOg62V0
浜面・鬼塚「「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」」

鬼塚と浜面の拳が激突する!かの様に思われたが、鬼塚の左腕が空を切った。

鬼塚「な……にが」

浜面「そんなもん決まってる」

浜面の声は上から聞こえてきた。

浜面「お前とぶつかる直前に、脚に力を集中して、避けただけだ。
   馬鹿正直に勝負なんてするかよ」

鬼塚「ふ、ざけるなぁー!」

鬼塚は叫んだ。しかし、左腕だけが異様にでかくなって
バランスがうまくとれない鬼塚は動けない。浜面は、再び右拳に力を集中する。

浜面「これで、今度こそ決着だ!」

浜面の究極の一撃が、鬼塚の顔面に突き刺さった。
その一撃は、鬼塚を地面に1mほどめり込ませ、鬼塚を中心に半径30mの地面に
ヒビが入るほどだった。完全に意識を失って聞こえていないであろう鬼塚に向かって
浜面はこう言った。

浜面「『暗部』の人間のくせに、変なところで正々堂々だったのが敗因だったな」

滝壺「はまづらぁー!」

浜面「俺の……勝ち……だね」

滝壺が走ってきたところを見ながら、限界まで力を使い果たした浜面も倒れた。

162: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:21:53.39 ID:tiKOg62V0
浜面達が激闘を繰り広げた地点から3kmほど行った場所

麦野「はぁはぁ」

麦野は、5mほどの大きさの隼の形をした駆動鎧を追って、走っていた。

麦野(くそ……!どこまで逃げる気だ……!)

麦野がそう考え始めた時に、隼はゆっくり地面に降り立った。
隼の上に乗っていたフレンダが降りた。

フレンダ「麦野」

麦野「軽々しく私の名前を呼ばないでくれる?」

フレンダ「麦野、結局私の事死んだと思っていた訳でしょ?」

麦野「当たり前でしょ。だって私が、この手でフレンダを殺したもの。生きているはずがない」

フレンダ「結局、上半身と下半身がさよならしても、『冥土帰し』にかかれば
     ちょちょいのちょい!って訳よ」

麦野「有り得ないわ。あれで生きているはずがない」

フレンダ「これを見ても、まだ信じられない?」

フレンダは自分の服を捲りあげる。そこには、上半身と下半身を縫合したような跡があった。

フレンダ「大体、麦野も『冥土帰し』の『負の遺産』で、そこまで蘇ったんでしょ?
     『冥土帰し』の凄さは麦野も分かっているはず」

フレンダ「結局、私は本物のフレンダって訳よ」

麦野「……もしかして本当の本当にフレンダなの?」

フレンダ「そうよ。やっと信じてくれたのね麦野!」

フレンダは麦野に向かって走り出す。

麦野「フレンダ!」

フレンダ「麦野!」

抱き合う麦野とフレンダ。

麦野「フレンダ……会いたかった……会いたかったよぉ!」

フレンダ「私も……私もだよぉ!」

163: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:23:22.60 ID:tiKOg62V0
フレンダ(なーんちゃって。嘘に決まってんじゃん。死ね!)

フレンダは抱き合った状態から、隠し持っていたナイフを取り出し

麦野「なーんて、言ってほしかったかぁ、偽物野郎」

ザシュ!と、フレンダのナイフを持っていた右腕が消し飛んだ。

フレンダ「きゃぁぁぁあああ!」

悶えるフレンダ。

フレンダ「何で……私が本物のフレンダでないと思ったぁー!?」

麦野「いやいや普通に有り得ないでしょ。誤魔化しきれるとでも思ったの?
   傷跡については、特殊メイクでどうとでもなるし、アンタが『暗部』だとしたら
   フレンダの口癖、その他行動パターンをある程度把握していてもおかしくはない」

麦野「それに、もしアンタが本物のフレンダなら、どうしてフレメアを連れて逃げた?
   高速道路を爆破する意味も分からないし。いろいろと杜撰すぎたわね」

フレンダ(適当にフレンダの真似して動揺させれば、レベル0なんかに
     2度も負けるアマちゃんなんて倒せると思ったのに……!)

麦野「さて、消えて頂戴」

フレメア「待ってぇーっ!」

倒れているフレンダと麦野の間に、フレメアが割り込んだ。

164: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:24:21.51 ID:tiKOg62V0
麦野「どうしたのフレメア?どいて。そいつを殺せない」

フレメア「フレンダお姉ちゃんに、こんな事するなんて、麦野お姉ちゃんは酷いよ!」

麦野「何言っているんだフレメア?こいつはフレンダじゃない。ひょっとして操られているのか?」

しかし、別段操られているようには見えない。

フレメア「おかしいよ……今の麦野お姉ちゃん、怖すぎる……」

麦野「こいつは生きているだけでフレンダを侮辱しているようなものだ。
   まだまだ『お仕置き』が必要なぐらいだよ」

フレンダ「調子に乗るなよぉー!」

フレンダは、今まで庇ってくれていたフレメアを人質に取る。

フレンダ「どうだ。これで」

しかし、その言葉は最後まで続かなかった。
麦野の『原子崩し』がフレンダの左脚を消し飛ばしたからだ。

フレンダ「ぐおおあああ!」

165: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:25:28.35 ID:tiKOg62V0
麦野「ほら、庇ってくれたフレメアに、こんなことするんだ。まだまだお仕置きが足りない」

フレメア「もう良いよ!もうやめてよ麦野お姉ちゃん!」

麦野「何なのフレメア?あまり邪魔すると、あなたも消すわよ」

フレメア「え?」

麦野「分かったらそこをどきなさい」

そう言って麦野は、フレメアを振り払うように殴り飛ばした。

フレンダ「あんた……外道なんてもんじゃないわね」

麦野「お前にだけは言われたくないわ」

そうして麦野は、とどめを刺そうとする。

フレンダ「く!ファルコーン!」

フレンダが叫ぶと、さっきの隼の駆動鎧が突っ込んできた。

麦野「ふん」

だが麦野は『原子崩し』で、あっさりと隼を消し飛ばした。

フレンダ「あ……ああ……」

左腕だけで必死に這いつくばるように逃げるフレンダ。

麦野「じゃあ今度こそ終わりね」

麦野が最後の攻撃をしようとした、その時だった。

絹旗「麦野!」

麦野「絹旗か」

166: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:26:52.55 ID:tiKOg62V0
絹旗は状況を確認する。右腕と左脚がないフレンダ。
しかしながら、多分あれは偽者だろう。と絹旗は判断した。

しかし、フレメアが傷ついているのはどう言うことか。
まさかレベル5の麦野が守り切れなかったとでも言うのか。

いや、それにしては偽者相手に、優位に立っているようにしか見えない。
となると、フレンダの容姿をした偽者相手に激情して、その勢いで
フレメアにまで暴力を振るった。と考えるのが妥当なところか。

絹旗には心当たりがいくつかあった。麦野は一度思い込むと一直線のタイプだ。
その手で同胞のフレンダを手にかけ、浜面や滝壺をも手にかけようとした事もある。

絹旗「フレメアちゃんが傷ついているのは、超麦野の仕業ですか?」

麦野「まあね。この偽物野郎を殺すのに邪魔してきやがったから、ちょっと躾をね」

絹旗「もう良いでしょう。その偽者は既にボロボロです。超放っておいても、問題ないはずです」

麦野「駄目よ。こいつはフレンダを侮辱した。まずは残りの四肢を消し飛ばす」

絹旗「麦野!もうそんな無意味なことは超やめましょう!」

麦野「何?ひょっとして絹旗も、躾が必要なのかしら?」

絹旗「ぐぬぬ」

167: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:28:43.31 ID:tiKOg62V0
絹旗はレベル4だ。しかも黒夜戦を通し、さらなる成長をしている。
既にレベル4以上レベル5未満の力ぐらいはある。

しかし、相手は正真正銘のレベル5。止められる確率は限りなく低い。
麦野は偽者相手にキレているだけだし、ここで止めに入らなくても何も問題は無い。

でも、それでも絹旗は止めなきゃいけないと思った。
偽者とは言え、フレンダを殺してしまったら、それこそ相手の思う壺というか
人間として本当に終わってしまう。そんな気がしたから。

絹旗「もうこんな人間とは思えない超鬼畜の所業はやめましょうよ。
   浜面や滝壺さんのもとに帰りましょうよ」

麦野「分かった。アンタにも躾が必要みたいね」

麦野の意識は絹旗に向きかけていた。

フレンダ(チャンス!)

フレンダは左手で拳銃を引き抜き、発砲しようとしたが
麦野の能力により、左腕までも消されただけだった。

フレンダ「うわあああああ!」

絹旗「麦野!」

麦野「ちょっと待ってよ絹旗ちゃん。今のは正当防衛でしょ?」

そして麦野は、未だに悶絶しているフレンダを見下しながら

麦野「あーあ。なんかもう面倒くさくなっちゃった。消えて」

そうして麦野は、最後の一撃をフレンダに放った。放たれた跡には、塵も残らなかった。

168: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:29:25.13 ID:tiKOg62V0
絹旗「麦野……」

結局、偽者を麦野に殺させてしまった。でも仕方ないかと思った。
とりあえず、この件はこれで終わり。再び浜面と滝壺を探そうではないか。
そう考えていた時だった。

麦野「さて、今度はお前の躾でも始めようか」

絹旗「超マジですか……万事休す、ですかね……」

麦野の『躾』が始まろうとしていた。

169: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/05(金) 10:31:01.58 ID:tiKOg62V0
滝壺「!」

半蔵「どうした?」

滝壺「……意味が分からないけど、むぎのときぬはたが戦闘を始めてる……」

半蔵「なんだって!?」

滝壺「……ここから約3kmの地点。急いでいかなきゃ!」

半蔵「ちょ、待てよ。この状況で、レベル4とレベル5の間に割って入っても……」

浜面は重傷の上気絶。半蔵と郭も、ゴリラのコックピットを集中的に狙い
なんとか動きを止めたようだがボロボロ。滝壺もレベル4ではあるが戦闘には向いていない。
こんな状況で、戦闘系の能力者の2人を止められるとは思えない。

滝壺「でも、それでもいかなきゃ!」

郭「まあまあ滝壺氏、焦らないでください。3kmって言うのは結構距離ありますし
  気絶した浜面氏を運ぶのも一苦労なはずです」

滝壺「そんなこと言ったって!いそがなきゃ!」

郭「だから冷静になって下さいって」

半蔵「お前は少し落ち着きすぎだろ」

郭「今の状況じゃ、行っても戦いに巻き込まれて犬死にするだけです。
  まずは、私と半蔵様で止めた駆動鎧を動かせるかどうか、試してみましょう。
  もし動かす事が出来たなら、移動も早くなりますし、戦力にもなります」

半蔵「一理あるな……よっしゃ!そうと決まれば動くかどうか試すか!」

184: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 18:50:07.81 ID:/Y0I2UTx0
第7学区

エツァリ「いきますよ」

エツァリは『ウサギの骨』を素材とした、閃光の弾丸を放った。

神裂「ふん」

神裂は、それを横に2歩動いただけで避ける。めげずにエツァリは続けて3発、閃光の弾丸を放つ。

神裂「そんなものいくらやっても当たりませんよ」

神裂はそれらをすべて冷静に避け、エツァリの後方に回り込んでいた。
容赦ない神裂の一閃が放たれるが――

ガキィン!とその一閃はあっさり受け止められた。

神裂「そのナイフ、案外丈夫なのですね」

エツァリ「これは『トラウィスカルパンテクウトリの槍』と言いましてね。
効果は……まあ、貴方自身で体験して確かめてください」

槍の切っ先が神裂に向けられる。

神裂(これは!)

直感的に横へ数歩ずれる。すると切っ先が向けられた、神裂の遥か後方にあった車が抉られた。

神裂「なかなか危険なものを持っていますね。トリックは、簡単に言えば
   金星の光を反射させ、槍に変貌させ見えない光線として放つ。
   それが直撃したものは抉られる。そんなところでしょうか」

エツァリ「さすがの洞察力ですね。科学には疎くても、魔術には詳しいご様子だ。
     正確には、抉るのではなく『分解』しているんですけどね」

神裂「成程。ではガードでは駄目ですね。まあそれなら避ければ良いだけですが」

エツァリ「そうですね。それにしてもムカつきますね」

エツァリのスーツの懐から、巻き物状の『原典』(オリジン)が広がり、伸びた。
その巻き物の表面は、粉末の嵐となり神裂を襲う。

神裂「その程度で本気なのですか?」

とは言え、これだけ広い範囲かつ強力な攻撃だと、避ける事は出来ない。
しかし、刀を使えば余裕で防げる。と神裂は思っていた。

だが神裂は刀を抜いた瞬間、その刀は自身の意志とは関係なしに、首元へ向かった。

185: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 18:51:57.97 ID:/Y0I2UTx0
神裂「な!?」

思わず左手で右手を掴み、止める。その事に気を取られた神裂は、粉末の嵐をモロに喰らった。

神裂「ぐああああ!」

エツァリ「どうです?『暦石』の効力はすごいでしょう?」

神裂「これは……一体どういうことなのでしょうか?」

とりあえず刀を捨てながら、神裂は尋ねた。

エツァリ「『自分の肉を乾燥させて粉末状にしたものを周囲に散布し
     それが付着したものを自在に操る』という事です」

エツァリ「貴方が今、刀を捨てたのは賢明な判断というものでしょう」

神裂「自身の肉まで捧げて……そこまでして勝ちたいのですか?」

エツァリ「勝ちたいんじゃない。貴方を消したいんです」

神裂「刀が無くなった程度で、私を倒せるとは思わない事です」

エツァリは無視して、閃光の弾丸を5発放つ。

神裂「だから、当たらないと言っているでしょう?」

5発の弾丸を軽く避け、エツァリの後方に回り込む神裂。
そして蹴りを繰り出そうとしたが――

エツァリの右手の槍の切っ先は後方を向いていた。
それはつまり、後方に回り込んだ神裂に向いていると言う事。

神裂「くっ!」

神裂は身を捻り、ギリギリ直撃は避けるが、束ねていた髪の一部が『分解』された。
神裂は一旦距離をとる。

186: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 18:54:36.91 ID:/Y0I2UTx0
神裂「参りましたね。私の長髪まで『分解』してくれるとは」

エツァリ「髪の毛どころか、全てを『分解』して差し上げますよ」

にこりと冷たい笑みを浮かべながらそう言った。

エツァリ(とは言っても『ウサギの骨』のストックが無くなれば
     閃光の弾丸は放てなくなりますし、この槍も、いつまでもどこでも
     使える訳ではないですがね)

エツァリ(これ以上無駄打ちする訳にもいかないですし……さて、どうしたものでしょうか)

エツァリ(とりあえず、粉末の嵐でも放っときましょうか)

粉末の嵐が神裂に向かって吹き荒れる。

神裂(ジャンプすれば、身動きが取れない空中で、槍の標的にされる事は目に見えている。
   ここはやはり、後退してビルか何かの陰に隠れるのが妥当ですね)

神裂は、凄まじい速度で後退し、ビルの陰に隠れた。
粉末の嵐は過ぎ去ったが、今度は槍の『分解』がビルを抉った。

神裂「く!」

隠れているだけではいけないと思い、ビルの陰から出る。
何より、捨てっぱなしの七天七刀を槍で『分解』されては堪らない。
腰に差すだけなら大丈夫だろうと思い、神裂は高速で動きながら、刀を拾いに行く。

当然エツァリは神裂を狙って攻撃を放つ。
閃光の弾丸には限りがあるので、トラウィスカルパンテクウトリの槍でだ。

しかし、槍での攻撃の照準は元々難しく、まして高速で動く神裂をエツァリの槍は捉えきれない。
だからエツァリは、神裂が刀を拾いに行くことが分かったから、刀の付近に『分解』を放った。

神裂(そう来ましたか!)

だが神裂は、臆することなく刀を拾いに行く。
結果、刀を拾い上げることには成功するが、掠った『分解』は背中の皮膚を多少削いだ事となった。

187: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 18:56:04.49 ID:/Y0I2UTx0
神裂(やはり、腰に差すだけならば、問題ないようです)

エツァリ(やはり、粉末の嵐を連発するしかありませんね!)

粉末の嵐が、またしても神裂に向かって吹き荒れる。

神裂(多少賭けですが、やってみますか)

神裂は側にある砂利を拾い上げ、天高くエツァリに向かってジャンプする。
神裂のジャンプ力の前に、さすがの嵐も避けられてしまう。

エツァリ(空中とは言え、身を捻るくらいの事は出来るはず。
     閃光の弾丸は多分当たらない。ここはやはり、この槍で!)

槍の切っ先を神裂へ向ける。同時に見えない光線が発射される。

対し、神裂は持っていた砂利を投げつけた。
結果、槍の『分解』は砂利のいくつかにしか適用されず、奥の神裂には当たらなかった。

188: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 18:57:31.41 ID:/Y0I2UTx0
エツァリ「く!」

神裂はエツァリの前に降り立ち、素早い動きで槍を持っている右手に手刀を振り下ろした。
当然エツァリは槍を落とす。神裂はそれを思い切り蹴り飛ばした。
ならばとエツァリは、左手で閃光の弾丸を至近距離で放つが、それすらも避けられ
左手にも手刀をもらい『ウサギの骨』を落とす。

エツァリ「やりますね。しかし肉弾戦になろうと、自分は負けません!」

エツァリは拳を固く握りしめ、神裂に殴りかかる。

神裂「調子に乗らないでください」

ひらり、とエツァリの拳を避け、逆に左拳の一撃を腹に決める。

エツァリ「ごはっ!」

あまりに強力な一撃に、エツァリの体は数cm浮いた。為す術もなく、エツァリは力なく倒れていく。

神裂「やはり『原典』の所持者は、身体も丈夫になっているようですね。
   私の本気の一撃を受けたのに、意識を保てるなんて。普通の人間なら
   意識を失うどころか、内臓までつぶれていたでしょう」

エツァリ「ぐ……!」

エツァリはそれでも神裂に抗おうと、手を伸ばす。

神裂「もう少しだけ、痛めつけておく必要がありますね」

グシャ!という音。神裂の革靴が、エツァリの伸びた手を踏みつけた音だった。

エツァリ「ぐああああ!」

悶えるエツァリに、神裂は鞘で何発か殴った。
10発ぐらい殴ったところだろうか。エツァリの動きが止まった。

189: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 18:58:45.46 ID:/Y0I2UTx0
神裂「ようやく大人しくなりましたか。まだ意識はあるようですが」

エツァリ「はぁ……はぁ……」

神裂「あの槍、やはり攻撃は一度に一対象しか出来ないのですね。
   そこに気付かなければ、長期戦になっていましたよ」

その時だった。エツァリの体がドクン!と大きく脈打った。
それは力の覚醒とか、そういうプラスの類ではなかった。
『原典』が、敗北したエツァリを蝕んでいるのだ。

神裂「これは滑稽ですね。最後は『原典』に見捨てられるなんて」

エツァリ(結局……自分はここまでの……人間だったと……言うことですか……情けない……)

ショチトル「エツァリお兄ちゃん!」

エツァリを「お兄ちゃん」と呼び、突然現れた少女はショチトル。
本当の兄弟という訳ではないが、エツァリとは師弟関係で、彼の事を慕っている。

エツァリ「ショチトル……ですか……」

ショチトル「もう喋るな……!」

エツァリ「御坂さんの……ご友人の……白井さんは……ちゃんと運び……ましたか?」

ショチトル「ああ運んだ!運んだから、もう喋るな!」

エツァリ「そう……ですか……それは……良かった」

エツァリはそこで気を失ってしまった。

190: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 18:59:55.85 ID:/Y0I2UTx0
ショチトル「貴様、よくも!」

ショチトルは神裂を睨む。

神裂「私を怨むより、早くその方を病院にでも運んだ方がいいですよ。
   私の目的は『上条当麻』なので、それでは」

やれやれ、今度こそ上条当麻を追いかけるか、と思ったその時だった。

建宮「ちょっと待ってほしいのよな。『女教皇』(プリエステス)」

彼は建宮斎字。大剣『フランベルジェ』を操る魔術師だ。

神裂「建宮、一体何の用です?」

建宮「何の用って、わざわざ聞くのよな?我ら天草式十字凄教の理念、覚えているのよな?女教皇」

神裂「『救われるものに救いの手を』ですが、それがどうかしたのですか?」

建宮「どうかしたのですかじゃないのよな!
   これだけの人を傷つけておいて、何故そんな涼しい顔をしていられる!」

神裂「……仕方ないじゃないですか!『禁書目録』を人質に取られているのですから!
   多少の犠牲は仕方ないんです!それに傷つけはしましたが、殺してはいませんし!」

建宮「そういう問題じゃないのよな!女教皇はあの少年に言われた事を忘れたのよな!?」

神裂は、あの少年の言葉を思い出す。

191: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:00:38.71 ID:/Y0I2UTx0

上条『テメェは力があるから、仕方なく人を守ってんのかよ!?』

上条『そうじゃねぇだろ!履き違えんじゃねぇぞ!
   守りたいモノがあるから、力を手に入れたんだろうが!』

192: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:02:01.59 ID:/Y0I2UTx0
建宮「女教皇は嬉々として、そのエピソードを教えてくれたのよな。
   アックア戦の時も、励みになったって」

建宮「ならここは!イギリス清教の言いなりになるんじゃなく
   上条当麻と一緒に『禁書目録』を救えば良いだけなのよな!」

神裂「忘れてなんていませんよ……!でも仕方ないんです!
   この『聖人』である私でも、イギリス清教という巨大な組織に比べれば
   ちっぽけなものなんです……」

建宮「そんなの関係ないのよな……!問題なのは、力の差じゃない。気持ちなのよな!
   ……今の女教皇には、こんな事も分からないらしい」

建宮「ならば、我ら天草式十字凄教で女教皇を止めるだけなのよな!」

建宮がそう叫ぶと、五和を始め、天草式の面々がどこからともなく現れた。

五和「女教皇……あなたを止めます!」

神裂「そこまでして私の邪魔をしたいのですか」

五和「間違った上司を止めるのが、部下の役目ですからね」

神裂「良いでしょう。これ以上足止めされては堪りません。
   私の全身全霊を以って、速攻で片をつけます」

神裂の威圧感が、先程までとは段違いに増していく。

神裂「Salvere000!」

ショチトル「なんて奴だ!まだこんな力を隠し持っていたのか」

建宮「女教皇が本気を出したのよな。お前さんは早く逃げた方が良い」

ショチトル「すまない。エツァリを病院に運んだら、私も加勢する」

建宮「その必要はないのよな」

ショチトル「え?」

建宮「それまでには片は付いている。俺達の勝利という形でな」

ショチトル「……そうか」

建宮「病院までの道中何が起こるか分からない。お前さんこそ、気を抜くなよ」

神裂「話は終わったようですね。では、行きます!」

建宮「行くぞ皆!女教皇の目を覚まさせてやるのよな!」

天草式「おおおおお!」

193: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:04:18.03 ID:/Y0I2UTx0
絹旗「くっ!」

絹旗は、目の前に窒素の盾を展開したり、避けるなどして、麦野の攻撃の直撃は避けてきた。
それでも吹き飛ばされるなどして、ノーダメージではなかった。

絹旗「もうやめましょうよ。こんな超無意味な事」

麦野「反省の態度が見られないわね」

麦野は容赦なく『原子崩し』のビームを連発する。
絹旗は、直撃は避けるも、やはり余波で吹き飛ばされてしまう。

麦野「ねぇ絹旗、私もお前を殺すつもりはないんだ。
   反省している態度を見せてくれればそれでいい」

絹旗は何も間違ったことはしていないのだが、正直かなり疲弊していた。
このまま戦い続けるのは無理があるし、謝れば終わるのか。
考えた絹旗は、とりあえず素直に謝ることにした。

絹旗「超すいませんでした」

麦野「……明らかに上辺だけよね?もう少し躾が必要かしら?」

絹旗「そんな!?謝ったのに超酷いです!」

麦野「だから、上辺だけの謝罪なんていらねぇんだよ。せめて土下座くらいしろ」

絹旗(超仕方ありませんね)

絹旗は素直に土下座をして謝る。

麦野「仕方ない。これで許してやるか」

絹旗(ふぅ。これで)

麦野「って、この程度で済むわけないだろうが」

絹旗「え?」

瞬間、至近距離でビームが放たれた。

絹旗「うっわあああああ!」

絹旗の目の前の地面にビームが直撃した。窒素の鎧を纏っているとは言え
絹旗は数m吹き飛ばされ、額からは一筋の血が流れた。

麦野「なあ絹旗、何でお前は私を止めたんだ?私は何か間違っていたか?
   フレンダの姿を勝手に使った敵を倒した。ただそれだけのことだろ!?」

194: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:05:13.60 ID:/Y0I2UTx0
絹旗「……そんなの、超間違っているに、決まっています」

麦野「何だと!?」

絹旗「どんな理由があっても、人を殺してはいけません。
   それにフレメアまで傷つけて、これのどこが超正しいって言うんですか!?」

麦野「元『暗部』で、たくさんの人を殺してきた私達が、今更人を殺すのがいけない
   なんて言う資格は無い。それにフレメアには、躾をしただけだ」

絹旗「だからこそ、もう二度と人を殺さないって超誓ったじゃないですか!
   それに麦野がフレメアにした事は、躾でもなんでもなく、ただの暴力です!」

麦野「うるさい!私だって!私だってそんなことは分かっている!」

麦野「う……ぐ……ああああああああ!」

麦野が絶叫した。同時に能力が暴走を始めた。

195: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:07:54.78 ID:/Y0I2UTx0
絹旗「麦野!」

麦野は力の暴走で、義手である左手が吹き飛んだ。加えて、全方向にビームが発射されている。
絹旗は、近付くどころかガードや避けることで精一杯だった。

絹旗(麦野……!)

その時だった。何かが動く影が見えた。フレンダは消滅した。
となると、考えられるのはフレメアだった。フレメアは麦野に向かって歩き出す。

絹旗「フレメアちゃん!?今の麦野に近付いては、超駄目です!」

絹旗の声が聞こえていないのか、はたまた無視しているのか。
フレメアは、構わず麦野に向かって歩き続ける。そして、麦野の腰辺りに抱きついた。

麦野のちぎれた左腕からは『原子崩し』で出来た腕が伸びており、依然ビームの発射も続いている。

その状況で、零距離のフレメアが無事でいられるのは、奇跡と言っても良かった。
フレメアはそのままの状態で、呟くように言った。

フレメア「本当は……大体分かってた。フレンダお姉ちゃんは、大体前に死んでいて
     死者が生き返る筈もないってことぐらい」

フレメア「でも……どうしても寂しかった!フレンダお姉ちゃんの訳がないって
     大体分かっていても、どうしても殺してほしくなかった!」

呟くような声から、段々大きな声に変わっていく。
絹旗の耳にも、届き始めるくらいに。

フレメア「だから……!私は止めに入った!」

フレメア「でも気付いた!私はもう大体1人じゃない。寂しくなんかないって!
     私には、浜面や滝壺お姉ちゃん、麦野お姉ちゃんや絹旗お姉ちゃんがいるから!」

絹旗「……フレメアちゃん」

フレメア「だから!こんなところでこんなことやってないで
     また皆と一緒に過ごそうよーーーーー!」

麦野「う、わああああああああああ!」

196: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:09:12.94 ID:/Y0I2UTx0
麦野が絶叫した途端、ビームの発射が終わった。
そして、前のめりになって、うつ伏せに倒れ込んだ。

フレメア「麦野……お姉ちゃん?」

絹旗「麦野!」

絹旗は、麦野を抱えるために側に寄った。

麦野「すまないな。フレメア、絹旗」

絹旗「本当、超大変でしたよ」

麦野「ふっ……ぐ、あああああああ!」

絹旗「超どうしたんですか!?」

麦野「私から……はな……れろ……」

見ると、ちぎれた左腕から能力が漏れ出している。
ここからビームか何かが、発射されてしまいそうだ。
そう判断した絹旗は、麦野の忠告通り、フレメアを抱えて一旦離れる。

麦野「く……もう……駄目……」

麦野の左腕から、ビームが発射された。
けれど、発射されたと言っても、そのビームが飛んでいく方向はランダム。
離れれば、絹旗達にはまず当たる事は無いだろう。と麦野は思っていた。

だが不幸にも、麦野のビームは絹旗達の方向に向かって行った。

絹旗(せめてフレメアちゃんだけは絶対に守る!)

絹旗は、身を挺してフレメアを守ろうと、フレメアの前に立つ。
いくら窒素を纏っているとはいえ、直撃すれば重傷は免れられない。

麦野・フレメア「「絹旗!(お姉ちゃん!)」」

197: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:11:11.20 ID:/Y0I2UTx0
滝壺「むぎの、きぬはたーーーーーーー!」

ゴリラに抱えられてやってきた、滝壺の叫び声。
と同時に、絹旗にあと10cmと言うところで、ビームは滝壺の能力により上へと逸らされた。

滝壺「大丈夫だった?きぬはた、ふれめあ?」

絹旗「ち、超助かりました」

フレメア「大体ありがとう。滝壺お姉ちゃん」

滝壺「……むぎの」

絹旗「あ、あの麦野は超悪くないと言うか……あまり責めないでください」

滝壺「責めるつもりなんてないよ。大方、偽ふれんだを見て逆上して
   能力が暴走しちゃったとか、そんな感じだよね?」

絹旗「え、ええ」

滝壺は麦野の側に寄った。

滝壺「気絶しているみたい」

半蔵「じゃあ、このゴリラで早いとこ病院に行こうぜ」

滝壺「それがいいね」

郭「じゃあ、行きましょう!」

滝壺一行は病院へと急ぐ。

198: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:12:33.84 ID:/Y0I2UTx0
第7学区

結論から言うと、天草式は神裂を倒すことには倒した。ただし、建宮も犠牲となってしまった。

天草式の面々は、アックア戦と同様に、一定の規則性を以って動くことにより
お互いの動体視力や運動能力を補強したのだ。

そして中心になったのは『聖人崩し』を使える五和だ。『聖人崩し』と言うのは
「聖人である神裂が『脅威』と思うような問題にさえ立ち向かわなくてはならない」
という理論のもとに生み出された。対聖人専用術式だ。
正直、天草式の連中は『聖人崩し』で何とかなると思っていた。自信はあった。

だが、いや、やはりと言うべきか。神裂火織と言う人間は思ったより強かった。
とても『聖人崩し』など決める余裕はなかった。
だから建宮は、神裂と刺し違え、五和にこう言った。

建宮「俺ごとやれ!五和!」

もちろん最初は無理だと思った。
だが建宮は神裂と刺し違えている時点で、助かる確率は低かった。

そして何より、ここで神裂を止めないと、上条当麻が狙われるのだ。
五和にとっては、世界で1番愛している人を傷つけられてしまう。
それに、これは上条当麻を守る戦いだった。

そう言った葛藤を経て、五和は、建宮ごと神裂に『聖人崩し』を見事に喰らわせた。

結果、建宮だけが死に、神裂は聖人の力を8割方失ったが、戦闘不能になっただけだった。

五和は罪悪感に苛まれていた。
他の天草式の面々も、五和になんと声をかければ良いか分からなかった。
そんな状況の中、天草式の1人である対馬が、五和の側に寄った。

199: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:13:52.89 ID:/Y0I2UTx0
対馬「五和、貴方の気持ちは分かる。けどさ、こんなところで立ち止まっていても仕方ないよ。
   行こう。上条君のもとへ」

五和「……建宮さんは私が殺したも同然です!こんな私が上条さんを守る資格なんてあるんですか!
   もういっそのこと死んでしまいたい!」

対馬「ふざけんじゃないわよ!」

五和「え?」

対馬「あんたが死んで誰が喜ぶの!?建宮は、そんなことを望んでいたと思うの!?
   建宮は上条君の事を託したのよ!五和に!私達に!」

対馬「本当に、本当に建宮の事を思うなら、死ぬんじゃなくて上条君を守りきることでしょ!?
   ……生きて償うのよ!もちろんあなた1人には背負わせない。皆で背負うから!」

対馬「それでも、まだ不貞腐れるって言うなら、それで良い。私達だけで上条君を助けに行く!
   どうするの!?」

五和「……行きます。行かせてください」

対馬「……よし。じゃあ早速行くよ」

200: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:15:44.41 ID:/Y0I2UTx0
同じく第7学区 『冥土帰し』の病院

ゴリラを全力疾走させた滝壺一行は、ようやく病院に辿り着いた。
現在、特に重傷である浜面と麦野は、速攻で治療に入った。
絹旗、半蔵、郭も軽傷ではないし、滝壺も能力を行使しすぎていたが
彼女達はとりあえず休んでいるだけだった。
何故なら、風紀委員である白井黒子とか言う少女や、エツァリとか言う少年など
彼女達よりも重症な患者がたくさんいたからだ。

それにしてもこの病院、レベル6である一方通行や、レベル5である結標淡希、
同じくレベル5の御坂美琴までいる凄い病院だ。

絹旗「(滝壺さん、この病院、なんでこんなに超有名人ばかりいるのでしょうか?)」

滝壺「(わからない。医者が凄い人だから、とか?)」

絹旗「(そう言う事を聞いているのではなくてですね。
   御坂美琴は超憔悴していますからともかく、一方通行と結標淡希は超無傷ですよね?
   病院に居る意味が分からないのですが)」

滝壺「(そう言われればそうだね。じゃあ、お見舞いとかかな?)」

絹旗「(いえ、超お見舞いとか、そんな感じではないと思います)」

絹旗「(大体、3mもの大きさのゴリラで、ここまで移動してきたって言うのに
   それまで人とか全く見かけませんでしたよね?なんか学園都市が
   超殺伐としていると言うか……それと何か関係があるんでしょうか?)」

滝壺「(うーん……そう言えば学園都市の様子は、今日の午後位からおかしかったよね。
   でも、もうよくわからない)」

滝壺は病院に着いた安心感と疲れで、思考を止めていた。

絹旗「(そ、そうですか)」

絹旗は、先程まではシリアス全開だったのに
病院に着いた途端に呑気になる滝壺に、少し呆れた。

だがそんな空気をぶち壊す出来事はすぐに起こった。

201: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:17:44.09 ID:/Y0I2UTx0
御坂「ちょ、ちょっと!何か軍隊のようなものが来てるわよ!」

御坂が窓から外を見下ろしながら、そう叫んだ。
急いで滝壺達も窓をのぞきに行く。

そこには確かに、500人程の群衆がこの病院に向かって歩いているところだった。
そのうちの半分は、修道服を着ている。残りの半分は鎧のようなものを着ていた。
どちらも科学一色の学園都市には不釣り合いだ。

結標「いよいよお出ましってわけね。滝壺理后、絹旗最愛、貴方達も協力して」

絹旗「それは良いですけど……て言うか、あれ何なんですか!?」

結標「『魔術』を使う、魔術師らしいわよ。私もさっきちょっと話を聞いたばかりでね。
   よく分からないんだけど、私達の敵である事だけは確かよ」

絹旗「(……もしかして、あのときの女は……魔術師だったのでしょうか……
   それに学園都市が殺伐としていた理由も……)」

結標「何ブツブツ言っているの?とにかく戦わないと、この病院もろとも、私達は殺されるわよ」

その言葉に反応したのは御坂だった。

御坂「なら私も協力する!」

結標「無理。力を使い果たしてから、そう時間は経ってないあなたがいても、足手まといなだけ」

御坂「……」

その言葉に御坂は反論できなかった。その時、後方から1つの白い影。

一方通行「オマエらは引っ込ンでろ。ここは俺1人でやる」

結標「本当にあなた1人で良いの?」

一方通行「当たり前だ。俺からすれば、オマエら全員邪魔なだけだ」

結標「……私達を傷つけない為に、体を張って護ってくれるのね。惚れちゃいそう」

一方通行「オマエとコントしている暇はねェ。俺を外にテレポートしろ。それだけでいい」

結標「はいはい」

瞬間、一方通行は消え、病院の外へテレポートされた。

202: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:18:41.66 ID:/Y0I2UTx0
絹旗「ちょ、1人で超大丈夫なんですか?」

結標「大丈夫よ。仮に死んだとしても、私には何の損も無いし」

絹旗「さっき惚れちゃいそう。とか言ってたじゃないですか」

結標「冗談に決まっているでしょ」

絹旗「私なら、超冗談でもそんなこと言わないですが。もしかして本当に好きだったりして」

結標「はあ……だから冗談だって……これだからお子様は」

絹旗「な、なんですかその言い方は!」

そんな会話を聞いて御坂は

御坂「ちょっとアンタら!お喋りしてる場合じゃないでしょ!?あいつ1人にさせて良いの!?」

御坂はそんな事を口走った。もちろん妹達の件を完全に許した訳ではないが
だからと言って、一方通行を1人にして死なせると言うのは間違っている。

結標「あいつの強さは、貴方も良く分かっているでしょ?きっと大丈夫よ」

御坂「そ、そうかもしんないけど」

結標「そんなに心配なら、戦いの様子を見ていればいいじゃない」

御坂「し、心配な訳じゃないけど……」

203: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:19:51.22 ID:/Y0I2UTx0
一方で、外では

一方通行「はァーい、ようこそ、地獄の入口へ!
     これから地獄への歓迎パーティを、盛大に開いてやるよォ!」

そのあまりの狂気っぷりに、魔術師の集団は怯んだ。

アニェーゼ「怯むこたぁねぇです!一斉にかかっちまってください!」

250人ほどのシスター軍団が、一斉に一方通行に襲い掛かる。

一方通行「消えろ」

その一言の後に、背中から黒い翼が噴射され、シスター軍団を一撃で薙ぎ払った。

アニェーゼ「んな!?」

キャーリサ「ならば行け!騎士軍団!」

今度は騎士の軍団が一方通行を襲う。

一方通行「だァーからァ、無駄だっつーの」

黒い翼が純白に変わる。頭上には小さな輪っかが出現。天使化したのだ。
白い翼は、これまた一撃で騎士達を葬った。

204: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:21:41.30 ID:/Y0I2UTx0
一方通行「さて、残り7人な訳だが。オマエらは楽しませてくれンのかァ?」

引き裂く様な笑みを浮かべる一方通行。

キャーリサ「怯むな!全員の持てる力全てを、奴に叩きつけよーではないか!」

赤いドレスに身を包んだ、イギリス第2王女キャーリサは、風の『短剣』を掲げる。

リメエア「……」

紫のドレスに身を包んだ、イギリス第1王女リメエアは、火の『杖』を掲げる。

ヴィリアン「……」

エメラルドグリーンのドレスに身を包んだ、イギリス第3王女ヴィリアンは、水の『杯』を掲げる。

リドヴィア「……」

白い擦り切れた修道服に身を包んだ、ローマ正教のシスターだったリドヴィア=ロレンツェッティは土の『円盤』を掲げる。

アニェーゼ「万物照応。五大の元素の元の第五。平和と秩序の象徴『司教杖』を展開!
      偶像の一。神の子と十字架の法則に従い、異なる物と異なる者を接続せよ!」

黒いミニスカートの、おおよそ修道服とは思えない修道服に身を包んだ
アニェーゼ=サンクティスは呪文を唱え、エーテルの『蓮の杖』(ロータスワンド)を掲げた。

キャーリサ「これで終わりだし!」

それら5つの武器から光が現れ、1つに集まる。

キャーリサ「いっけー!」

その光は一方通行へ。

オリアナ「『礎を担いし者(Basis104)!』

オリアナは魔法名を唱えた。

オリアナ「我が見に宿る全ての才能に告げる――」

オリアナ「――その全霊を開放し、眼の前の敵を討て!」

単語帳の全てのページを使った攻撃。上条の時とはまた違う効果を持つ。

ビアージオ「――十字架は悪性の拒絶を示すぅ!」

豪奢な法衣を纏った、元ローマ正教の司教(ビショップ)である
ビアージオ=ブゾーニは持っている全ての十字架を開放した。

それら全ての攻撃が一方通行を襲う。その攻撃は、小さな街なら丸ごと吹き飛ばせるほどだった。
ボガァァァァァン!と、全ての攻撃が一方通行に直撃した。

205: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:29:14.49 ID:/Y0I2UTx0
キャーリサ「はーはっはっ。案外、呆気ないものだったよーだし」

莫大な煙が立ち込める中、勝利を確信したキャーリサ。
しかし、それはすぐに動揺に変わる事になる。

一方通行「本当に面白ェよな。こンな攻撃で倒せると思ってンだから」

煙の中で、純白の少年は平然と無傷で笑っていたからだ。

キャーリサ「い、今の一撃を受けて無傷だと!?」

アニェーゼ「あ、有り得ねぇです……!」

一方通行「結局、傷をつけることすら敵わなかったみたいだが、まァ、なかなか楽しかったぜェ」

オリアナ「これはまずいわね。緊張で漏れちゃいそう」

ビアージオ「……悪魔が」

一方通行「何言ってンだ、おっさン。どっからどう見ても天使だろうがァ。
     ここまで楽しませてくれた礼だ。特別にさらなる力を見せてやるよ」

オリアナ「まだ上の力が出せるって言うの?」

一方通行「一瞬だからなァ?よく目ェ見開いて拝ンどけ」

そして――

一方通行の純白の翼が、更に大きくなり、銀色へと変化する。
頭上の輪っかも、2回りほど大きくなる。
何より1番大きな変化は、一方通行の後方にも大きな輪っかが出現した事だ。
それはただの円形の輪っかではなく、歯車のように凹凸があった。

アニェーゼ「こ、神々しい……まるで……神様……」

とは言え、魔術師達も神様なんてものは実際に見たことはない。
そもそも本当に居るのかも分からない。
けれど、その神々しさは、神様としか形容のしようがなかった。

キャーリサ「構わないし!もー一発全力でかますぞ!」

ビアージオ「私はもう無理だ。十字架がないからな」

オリアナ「私はまだ行けるわよ」

オリアナは、もう一束単語帳を取り出し、その全ページを千切る。

キャーリサ「行くぞ!」

キャーリサやアニェーゼ達も、一連の動作を繰り返し、5つの力を1つにした攻撃を繰り出す。

一方通行「無意味だっつーの」

一方通行は1歩も動かないどころか、何一つの動作もしなかった。
なのに――魔術師達の全力の一撃は、簡単に弾かれた。

206: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:31:20.43 ID:/Y0I2UTx0
キャーリサ「な、んで……」

一方通行「終わりだ」

一方通行が、その4文字の言葉を口にした直後、一方通行の背中の輪から大量の光線が飛び出し
光の雨となって魔術師達に降り注いだ。魔術師達は、跡形もなく消滅した。

一方通行「終わったか」

一方通行は神化を解く。一部始終を病院の窓から見ていた御坂の感想は

御坂「これが……レベル6……『神ならぬ身にて天上の意志に辿り着くもの』なの?
   凄すぎる……」

それしか言えなかった。

絹旗「ま、これで超一件落着って感じですね」

結標「……いや、どうやらまだみたいよ」

結標はそう言って、800mほど先の場所を指差す。そこに見たものは。

207: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:33:14.98 ID:/Y0I2UTx0
同じく第7学区 上条の通う高校の駐輪場

上条「行くぜ!」

最初に仕掛けたのは上条だった。先程と同じく、土御門の踏み砕きを実践するが

土御門「おいおい、そんな俺の真似事、2度も通用すると思うなよ!」

土御門は、上条の左足の踏み砕きを避け、逆にそれを右足で踏み返す。

上条「ぐあ!」

そしてすぐさま、必殺の後頭部攻撃(ブレインシェイカー)を喰らわそうと右手を伸ばす。
が、上条の左手がそれを阻んだ。それどころか、逆に右拳が飛んできた。

土御門(ちっ!)

土御門は、それを左手で受け止める。これで両者とも両手が使えなくなった。
ならば残る手段は――

土御門(これでも喰らえ!)

若干、というか相当無理があったが、土御門は右足で上条の足を踏んだまま
左足で上条の腹辺りに蹴りを放つ。さすがにこれは止められないだろう。
と土御門は思っていたが、上条は左足を踏まれたまま、右脚を挙げ折り畳み、ガードしてきた。

土御門(なっ!)

土御門は驚愕したが、ならばと頭突きを繰り出す。上条も考える事は同じだったようで
頭突きが飛んできた。直後、ゴガァ!と頭突きと頭突きが衝突した。
1秒経って揺らいだのは土御門の方だった。ヨロヨロと後退する土御門に上条は突っ込んだ。
拳でも蹴りでもなく、タックルで。

土御門「ごはっ!」

上条の渾身のタックルが、土御門の腹に直撃した。
攻撃を受けながらも、このままだとマウントポジションを取られる。
そう判断した土御門は、タックルを喰らった勢いのまま、巴投げを繰り出す。

土御門「おらよっ!」

上条「くっ!」

上条は思い切り投げられたが、空中で1回転しながら綺麗に地面に着地した。

208: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:34:15.15 ID:/Y0I2UTx0
上条「おっかしーなー。さっき思い切り右足踏んだのに、めちゃめちゃ動けるじゃん。
   俺の攻撃が甘かったのか?」

土御門「それはこっちの台詞だぜい。カミやんこそ、なんでそんなに動けるんだ?」

上条「我慢してるからに決まってんだろ」

土御門「俺も、そういうことだぜい」

上条「口が減らねぇなぁ」

土御門「それはカミやんだろ」

今度は2人同時に駆け出す。2人の右拳が交錯し、互いの顔面に突き刺さった。

土御門「くっ!」

ふらついたのは、またしても土御門。上条はそこへ右拳で追撃する。
土御門はそれを左肘でガードした。

土御門(これで――)

肘のガードにより、上条は右拳を痛めたはずだ。だとすると、蹴りは得意ではないはずだし
次は左拳が飛んでくるはず。

上条「な、めんなぁー!」

しかし土御門の予想に反して、上条は痛めた右拳を繰り出した。
土御門は予想外の攻撃にガードする事も出来ず、自転車の群衆までぶっ飛ばされた。

209: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:35:19.58 ID:/Y0I2UTx0
上条「テメェは、こんなところで俺と殴り合っている場合じゃねぇだろ!
   早く舞夏を助けに行けよ!」

土御門「だから、俺1人抵抗したって無駄なんだよ。お前を殺すしかない」

上条「ふっざけんな!そんなのテメェの勝手な都合だろうが!」

上条「舞夏が俺を、人を殺してまで、救ってほしいと思っているのか!?
   舞夏はずっと、お前の助けを待っているんじゃないのか!?

上条「テメェは一体、何のために力をつけた!?」

土御門「うる、せぇ」

上条「テメェはこんなところで何やってんだよ!」

土御門「うるせぇって言ってんだろ!」

土御門は跳ねるように起き上がり、上条に飛びかかる。

上条「いいぜ、テメェが俺を殺さなきゃ、舞夏を助けられないってほざくなら――」

上条「――まずは、そのふざけた幻想をぶち殺す!」

ドガァ!と上条のクロスカウンターの一撃が、土御門の顔面にクリーンヒットした。
土御門はまたしても自転車の群衆までぶっ飛ばされ、今度こそ気絶した。

上条「テメェが出来ないって言うなら、俺が舞夏を救ってやるよ」

気絶して、既に声が聞こえていないだろう土御門に、上条はそう言った。

210: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:36:57.07 ID:/Y0I2UTx0
シェリー「そいつは無理だな」

上条(っ!)

姿は見えないが、シェリーの言葉と同時に、上条の下の地面が揺れた。
ゴーレムが現れようとしているのだ。

上条(わざわざ俺の下から出そうとするとか、嘗めてんのか!)

上条は自分の右手を、地面に叩きつける。
それでゴーレムは崩れ去る。この場合は出現前だから何も起こらず、不発に終わる。
筈だったのに、地面は揺れ続けている。何の異変もなくゴーレムが“現れようとしている”。

上条「なんで!?」

とにかく、このままだとゴーレムの上になってしまうので
上条は転がるように前へ走り、駐輪場から脱出する。
その先のグラウンドには“既にゴーレムに乗った”シェリーがいた。

上条「は?」

そして駐輪場を突き破り、ゴーレムが“2体”現れた。

どう言う事だ?ゴーレムは1体までしか出せないんじゃなかったのか?
しかも『幻想殺し』で壊せない。上条は混乱していた。

困惑する上条に、ゴーレム3体のパンチが襲いかかった。

上条「ご、があああああああ!」

上条はパンチの直撃は避けるが、その衝撃の余波と地面の破片だけで
数mは吹き飛び、それなりのダメージを負った。

211: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:38:41.16 ID:/Y0I2UTx0
シェリー「滑稽だな。冥土の土産に教えてやるよ。
     何故私のゴーレムに『幻想殺し』が効かなかったのかを」

シェリーは勝手に語り出す。

シェリー「お前の『幻想殺し』には弱点がある。あらゆる異能を触れただけで消し飛ばす、
     強力無比な能力だが、反応できず異能に触れなくてアウト、という場合」

シェリー「その他、元を断たない限り再生するタイプの魔術に弱い、
     数が多すぎると迎撃しきれない、軌道が読めなければ触れない、
     有益無益の判断が出来ない、とかな」

よくそこまで調べたなと、上条は思う。

シェリー「今の私のゴーレムは『核』を中心に動いている。その『核』を
     消さない限り、ゴーレムの外殻にいくら触れても意味は無いのよ」

シェリー「ゴーレムが3体いることについては、私がパワーアップしたから。
     じゃあこれでバイバイ、上条当麻」

上条は土御門戦で足を痛めている。そしてなかなかのダメージを負った。
つまり動く元気がない。そこへ容赦なく、ゴーレムの拳が振り下ろされる。
避けられない!と上条は思わず目を瞑った。

212: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:40:19.20 ID:/Y0I2UTx0
だがいつまで経っても、衝撃は来なかった。上条は恐る恐る目を開ける。

そこには、昭和の(間違った)番長のような男が拳を素手で受け止め、平然と立っていた。

シェリー「な……に……」

男「お前が、上条当麻だな」

上条「そ、そうだけど、何故俺の名前を?」

男「芹亜から聞いたんだよ」

上条(せり、あ……せりあ……もしかして!)

上条「雲川先輩の事か!」

男「そう、それだ。俺は芹亜から、お前を助けるように言われたんだよ」

上条「そ、そうだったのか。で、あんたの名前は?」

男「自己紹介がまだだったな。削板軍覇だ。レベル5の第7位でナンバーセブンと呼ばれている。
  よろしくな!」

とここで、ゴーレムのパンチを受け止められて、呆気に取られていたシェリーが
ようやく我を取り戻し、残る2体のゴーレムで攻撃を仕掛ける。

削板「ふん!」

削板は、受け止めていたゴーレムの拳を、掴み、1体の方へ投げた。
そしてもう1体の攻撃は、あっさり避け、顔面に蹴りを叩きこんだ。
その蹴りだけで、ゴーレムの顔面は砕け、へこんだ。

シェリー「ちぃ!ゴーレム!そいつらを叩き潰せぇ!」

ゴーレム3体が、一斉に削板へ襲い掛かる。対し、削板は

削板「超スーパーウルトラボルケーノインフィニットグレートデンジャラス
   インフィニットすごいパーーーーーーーーンチ!」

訳の分からない事を叫びながら、両拳を思い切り前に突き出した。
それだけで、ゴーレム3体は砕け散りながら吹き飛び、シェリーも吹き飛んだ。

213: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:41:36.51 ID:/Y0I2UTx0
上条(す、すげぇ。ゴーレム3体を一撃で、しかもシェリーごと倒しやがった。
   インフィニットって2回言ってたけど)

削板「大丈夫だったか?」

上条「あ、はい。助かりました」

削板「そうか。じゃあ次は『冥土帰し』の病院に行くぞ」

上条「え?」

削板「お前の傷を治す為なのと、病院自体を守るためだ」

上条「は?病院を守る?」

削板「あっちを見てみろ。病院に向いている巨大な光があるだろ?あれを倒しに行くんだよ」

上条「本当だ!今まで気づかなかった」

削板「気付かないのも無理はない。あの巨大な光が出てきたのは
   ほんの1分前くらいの出来事だからな」

削板「と言う事で、急いでいくぞ上条!」

上条「ちょ、まっ」

そう言うと、削板はものすごい速度で走っていった。

214: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 19:52:03.90 ID:/Y0I2UTx0
上条(あら~)

置いてけぼりの上条。
とりあえず上条は、念には念を入れて、シェリーのオイルパステルを破壊しておく。
そう言えば、ステイルのルーンのカードも、片っ端から消しておくべきだったと後悔する。
とそこへ

削板「おいおい何をやっている?早く行くぞ」

削板は、わざわざ上条のところに戻ってきて急かした。

上条「い、いや~、削板が走るの速いから」

削板「何だと!?この程度の速度についてこれないとは、根性が足りんぞ!」

上条「え?ええ~?」

上条は、根性とか、そう言う問題じゃないと思っている。
先程彼が走っていた速度は、音速を超えているようにしか見えなかったからだ。

削板「俺はこれでも全力疾走じゃないぞ。5割程の力でしか走ってないぞ!」

上条「いやそう言われても、ついていけないものはついていけないわけでですね」

削板「ああもう分かった。よし!俺が担いで走ろう!」

上条「い、いや!それは勘弁してほしいです!」

さすがの上条でも、音速なんかで走られると
何か体に重大な負担がかかりそうだと言うことぐらい分かる。

上条「てか、それ以前に、俺はインデックスを助けなきゃ」

削板「ああ、そのインデックスについてだが、あの病院に行けば、事態が動く。
   って芹亜が言ってた」

上条「な、なんで雲川先輩がインデックスの事を?」

削板「さあね。俺はインデックスって言うのがよく分からんし、上条の事情についても
   よく知らない。けど、あいつ物知りだし、芹亜の言う事聞いてれば何とかなるぜ。きっと」

上条「……」

上条が雲川芹亜について知っている事と言えば、名前と頭がとても良いことぐらいだ。

上条「削板、雲川先輩に会わせてくれないか?」

削板「そんなことしなくても、電話で話せよ」

削板は、徐に携帯を取り出し雲川に電話をかけ、上条に渡す。

216: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/08(月) 20:06:51.52 ID:/Y0I2UTx0
書き忘れた。

何故魔術師達は病院を狙ったのか。
これは科学サイドの切り札、一方通行とその他レベル5がいるから
それをまとめて抹殺しようと言う事です。

あとどうでもいい情報として、戦闘不能の御坂をテレポートしたのは結標。
黒子を運んだのはショチトルです。

221: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:34:30.71 ID:baUWBQyL0
雲川『何だ?』

上条「もしもし、あの、上条ですけど。いきなりで悪いんですが、俺はインデックスを助けに
   行かなきゃいけないんです。何で病院に行かなきゃいけないんですか?」

雲川『お前じゃなきゃ勝てない敵がいるから、だけど。というかお前、インデックスが
   どこにいるかとか、何も知らないだろ?どうせ手掛かりは無いんだ。だったら
   病院へ行って、学園都市を守ることに専念した方が良いだろう?』

上条「いや、よく分からないんですけど」

雲川『良いから黙って私の言う事を聞け。何もしなくても、インデックスはきっとお前の前に
   姿を現す。だから今は病院へ急げ』

雲川『それと、この携帯の持ち主の馬鹿いるだろ?どうせお前を置いて音速で走りだしたり
   しただろうけど。だから「俺のペースに合わせて走って下さい」って頼め。
   私がそう言ったと言えば、言う事を聞くはずだ。それじゃ』

一方的に捲し立てられた上に、電話を切られた。
だが雲川の言う通り、インデックスに関する手掛かりは、今のところ無い。
ここは言う通り病院へ行くしかなさそうだ。

上条「あの、俺のペースに合わせて一緒に走って下さい」

削板「うーん。でも急がなきゃ」

上条「雲川先輩がそう言った」

削板「なに!?そうか。なら仕方ないな」

上条(削板と雲川先輩って、一体どういう関係なんだ?)

とにもかくにも『冥土帰し』の病院へ。

222: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:35:13.44 ID:baUWBQyL0
第7学区 窓のないビル

アレイスター「いよいよ大天使のお出ましか。ククク、楽しくなってきた」

学園都市統括理事長であり、世界最高最強の魔術師だった、男にも女にも、子供にも老人にも
聖人にも囚人にも見える『人間』は、そう言って、狡猾に笑った。

アレイスター「さあ、最後の晩餐(ショータイム)だ」

223: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:36:30.48 ID:baUWBQyL0
第7学区 『冥土帰し』の病院前

一方通行「あの光は……」

一方通行が言う『あの光』と言うのは、病院から800mほど先にある光の事だ。
一方通行はその光に、何か感じるものがあった。

一方通行「あの光は……ロシアで戦った……天使と同じような?」

一方通行がロシアで戦った天使、即ち『神の力』(ガブリエル)の事であるが
ガブリエルは、既に上条当麻によって消失した。となると、あの光は何なのだろうか?

そもそも、ガブリエルとは四大天使の1つである。それと同質の光と言う事は――

答えは簡単だった。
同じ四大天使の内の“2体”『神の薬』(ラファエル)と『神の火』(ウリエル)の顕現だった。

ラファエルの大きさは40mほどで、一般的なイメージの天使とは違い
頭上に輪っかこそあるが、土偶のような格好だった。

ウリエルも、頭上に輪っかこそあるが、竜のような形をしており
おおよそ天使とは呼べないものだった。

224: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:37:50.59 ID:baUWBQyL0
一方通行(明らかにヤベェな。だが)

一方通行は再び神化した。

一方通行「かかってこいやァ!」

天使には人間の言語は理解できない。それでも一方通行の挑発を皮切りに
2体の天使は800mの距離を一瞬にして移動し、一方通行に突っ込んだ。

一方通行は、自身の動きに連動する巨大な手を出現させ、2体の天使を受け止めた。

一方通行「『天使』ごときが『神』に逆らってンじゃねェ!」

受け止めた天使を、思い切り弾き飛ばした。その距離は約3km。
だが今の一方通行や天使にとっては、そんな距離は零距離も同じ。

1秒もかからずに、一方通行と2体の天使は再び激突した。

225: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:39:05.65 ID:baUWBQyL0
一方通行は焦っていた。神化は、その巨大な力に比例して制限時間も極端に短い。
今の一方通行では、せいぜい1分くらいが限度だろう。先の戦いも含めて、もう20秒は経っている。

加えて、天使と言うものはやはり強い。
ガブリエルとの戦いのときは、紫電を纏ったような天使と共闘しても倒すことは出来なかった。
そのクラスの化け物が2体。正直言って戦局は悪かった。

それでも、一方通行は諦めず何度も天使とぶつかる。

一方通行「負けられるかよォ!」

一方通行が2体の天使を相手に、多少押し始めた。
どんどん病院から遠ざかるように天使達を押し退ける。能力はあと20秒ほどか。

一方通行(これで決める!)

一方通行の後方にある大きい歯車が激しく回転し始めた。
すると2体の天使の真下から、白く大きな陣のようなものが現れた。

一方通行「終わりだァ!」

その陣から、莫大な光が飛び出した。2体の天使は為す術なく光の柱に飲み込まれた。

226: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:40:45.30 ID:baUWBQyL0
一方通行の神化は、まだ10秒ほどあったはずだが、力を使い切ったため
その力は解け、その場に倒れた。

一方通行「やったのか……?」

一方通行は淡い希望を抱くが、現実はそうは甘くなかった。

2体の天使は、ダメージを受けているようではあるものの、まだまだ戦えると言った感じだった。

一方通行「く……そが」

一方通行は戦うどころか、立ち上がることすらできない。
それでも、護りたいものがある。護らなければいけないものがある。
藁にもすがる思いで、一方通行はこう願った。

一方通行(起きろよ幻想(ラッキー)……手柄ならくれてやる……俺を踏みにじって……
     馬鹿笑いしても構わねェ)

一方通行(だから……誰でもいいから……これ以上あのクソガキと……それを取り巻く環境を……)

2体の天使達は、力の切れた一方通行など最早眼中にもないようだった。
ただ病院を見据えて、突撃する。その直前で――

紫電が2体の天使を穿った。

一方通行は、この紫色の電撃に見覚えがあった。それはロシアで見たものだ。
一方通行は力を振り絞って、空を見上げた。そこには

カザキリ「これ以上私の『友達』と、その大切な方々が住んでいるこの学園都市を
     傷つけはさせません!」

227: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:42:17.64 ID:baUWBQyL0
第7学区 病院へと向かう道

上条「くそ……!どうなってんだ……!?」

先程まで、銀色の光と、緑色と黄色の光がぶつかり合っていて、銀色の光が
病院から離すように、緑と黄色の光を押し、光の柱が出たと思ったら、銀色の光が途絶えた。
と思ったら、今度は紫色の光とぶつかりあっている。

削板「まあ、行けば分かるんだろう」

上条「それ、大丈夫なんですかね?」

削板「根性で何とかなる!」

上条「はあ……」

走りながら、上条はやっぱり不安が増していった。
そんな不安を拭おうとした訳ではないが、なんとなく横に目線を持っていくと

上条「あ、あれは!?」

路地の奥で五和が倒れているのを見つけた。

上条「ちょ、削板!こっちきてくれ!」

先頭を走っている削板にそう声をかけ、自身は路地の奥へと走っていく。

削板「お、おい!」

削板は仕方なく上条の後を追いかける。

上条「大丈夫か五和!?」

倒れている五和に寄り、抱え込む。その体はボロボロだ。

五和「う……上条……さん……?」

上条「一体何があったんだ!?」

削板「どうしたと言うんだ!」

五和「私の事は……良いですから……早く……ここから……逃げて下さい……」

上条「何を言って」

「ほう。まさかターゲットが自ら出向いてきてくれるとは、探す手間が省けたのである」

228: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:44:51.72 ID:baUWBQyL0
突然、後方から渋い声。その声の主は

上条「アックア!」

振り返ると、青いゴルフシャツのようなものを着た男が立っていた。

彼はアックア。元『神の右席』の1人で『聖人』でもあった。
今はその力は無く、イギリスで騎士を務めている。
アックアと言うのは、ローマ正教に居た時の名前で、本名はウィリアム=オルウェル。

その振り返った先に、更に驚くべき光景を目にした。

天草式全員が、倒れている。
大多数は気絶などで済んでいるようだが、何人かは死んでいるように見える。

上条「アックア、これはテメェの仕業か!?」

アックア「私の仕業と言うよりは、私『達』がやったことである」

アックアがそう言うと、フルンティングを携えた騎士団長(ナイトリーダー)と
カーテナ=セカンドを携えた英国女王エリザードが、物陰から現れた。

アックア「本来なら、これに20余名ほどの騎士達も居たのであるが
     思ったよりそこに倒れている奴らが強くてな。
     こちらもわずか3人しか残らなかったのである」

上条「何で……こんな事をした!?」

アックア「簡単なことである。上条当麻、貴公を殺すためである」

上条「なら俺だけを狙えば良かっただろ!何でこいつらを傷つけた!」

上条の問いに、何故か騎士団長、その名の通りイギリスの騎士派の長が答える。

騎士団長「そいつらがまるで『上条当麻』を匿っているような言い方をしたからだ」

上条「お前には聞いてねぇ!」

騎士団長は構わず無視し

騎士団長「で、そいつらを倒して、周りを探していたら、お前が出てきたという訳だ。
     どうやら匿っていると言うのは嘘だったらしい」

上条「ふざけ」

エリザード「下らん会話はここまでだ」

エリザードの言葉が上条の言葉を遮った。そして次の瞬間には――

エリザード「死ね」

エリザードは上条の目の前に出現し、上条の首を取ろうと
カーテナ=セカンドを水平に振るっていたところだった。

上条「っ!」

轟!と
カーテナ=セカンドの一振りは空を切った。

229: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:46:25.08 ID:baUWBQyL0
エリザード「よく避けたな」

エリザードは目線を少し上げてそう言った。その目線の先には

削板「3対1とは根性無しにも程がある。喧嘩をするなら、1対1だろう!」

近くにあったアパートの屋根の上に立ちながら、五和を抱えている上条ごと抱え込んだ削板がいた。

エリザード「これは喧嘩ではなく、戦いだ」

削板「屁理屈はよせ」

削板は上条を降ろす。

エリザード「生意気なガキだ」

次の瞬間、エリザードは一瞬で削板達の居る屋根の上に飛び乗り
カーテナ=セカンドを削板に振り下ろしていた。
その一撃で確実に仕留められると、エリザードは思っていた。

だが削板はエリザードの予想に反して、カーテナ=セカンドを白刃取りでキャッチした。
エリザードはさらに力を込めるが、押しきれない。

削板「ったくよぉ。あんた、ばあさんなのに、なんでこんなに速くて力があるんだ?」

エリザード「そんな事はどうでもいいだろう。ウィリアム!騎士団長!こいつは私がやる!
      お前らは上条当麻を殺れ!」

アックア・騎士団長「「はっ!!」」

ドン!と2人は地面を蹴って、上条の元へ。

230: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:47:49.45 ID:baUWBQyL0
2人は1秒もかからずに、上条の目の前へと現れた。

削板「させるか!」

削板は白刃取りしていたカーテナ=セカンドごとエリザードを横に投げ飛ばし
その後即座に、騎士団長のフルンティングを素手で受け止めた。

しかし、アックアが止めきれない。

削板「上条!」

削板は上条の方を見た。
上条は五和を抱え、アパートの屋根から飛び降りようとしているところだった。
アパートの高さは3階。飛び降りたって死にはしないだろうが
足を痛めるぐらいは間違いないだろう。

上条が五和を抱えて飛び降りるのと、アックアが持っている剣を振り下ろすのは同時だった。
アックアの一撃はアパートを崩壊させた。

上条は何とか着地に成功して、五和をゆっくりと地面に降ろした。

上条「五和、ここで」

アックア「会話している暇があると思うのであるか?」

アックアの踏みつけが、上条を狙い定めて襲い掛かってくる。

ドゴォ!とアックアが地面を踏みつけただけで、地面にヒビが入った。
上条は何とか避けたが、踏みつけの余波だけで数m地面を転がった。

231: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:48:54.37 ID:baUWBQyL0
上条「っは!」

上条は急いで起き上がり、目の前のアックアを見据えようとするが
既にアックアは上条の視界に居なかった。

上条(どこへ!?)

アックア「遅すぎるのである」

その声は左斜め後方から。アックアが剣を水平に振っているところだった。

上条は一瞬の判断でしゃがみ、肘を放った。
しかし、その時には既にアックアは上条の右側へと移動していて、剣を振り下ろしていた。

上条は体を捻り、紙一重でその一撃を避けたが、その後もアックアの攻撃は続いた。
縦に横にと、連続で繰り出されるアックアの攻撃を、上条は全て紙一重で避ける。

上条(反撃する暇どころか、呼吸すら、瞬きさえする間もねぇ!)

上条がそんな事を感じていると、アックアの攻撃の手が一瞬だが緩んだ。

上条(――今だ!)

上条は、アックアへ殴りかかろうとする。
アックアは今まで右手だけで持っていた剣を、両手で持ち
振り上げ“その状態のまま”上条の左側にスライドした。

上条(やば――)

アックアの凶悪な一撃が、振り下ろされた。

232: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:51:38.54 ID:baUWBQyL0
上条は両手持ちの一撃を何とか避けていたが、余波だけで数m地面を転がった。
そして後方にはビルの壁。もう後退して避ける事は出来ない。

アックア「終いである」

アックアは剣の切っ先を上条に向け、そのまま突っ込む。
上条はそれをしゃがむことで避ける。ドゴォン!と剣がビルに突き刺さり
その状態から、ビルの壁を抉りながら剣を右側に薙いだ。

上条(めちゃくちゃだ……!)

上条は右側に転がりながらそう思った。アックアの攻撃は終わらない。
水の魔術を使って地面を滑るようにして動く。

それでもアックアの攻撃を全て避ける上条。埒があかないと考えたアックアは、一旦距離を取る。

アックア「ならば、これはどうであるか」

アックアの周囲から、水が湧き出た。それは津波となって上条に襲い掛かる。

上条(異能の力ならば、恐れる事はねぇ!)

上条は臆せず津波に挑みかかり、キュイーン!と甲高い音と共に、津波を消し去る。
その津波の先に、アックアは両手で剣を持ち、上条の真正面で剣を振り上げていた。

上条(ようやく隙を見せたか!真正面からそんな大振り殴って下さいって言ってるようなもん――)

とそこで、上条は思った事を一瞬で反芻する。

アックアは、わざわざ一旦距離を取り、消されると分かっていながら津波を繰り出した。
それは多分、視界を一時シャットダウンする為だろう。

では何故視界を塞いだにもかかわらず、わざわざ真正面から
それも大振りで目の前に現れたのだろうか。まるでわざと隙を見せているような……
すると目の前のアックアが溶け始め――

上条(――違う!これは罠!――)

瞬時にそう考えを改め、バックステップをすると
そこに本物のアックアが、剣を地面に突き刺すように落下してきた。
その威力の余波で吹き飛ばされることは無かったが
代わりに地面から飛び散った、砂利の雨が上条の体を叩いた。

上条「ぐ……おお!」

上条は砂利に叩かれ悶えながらも、距離を取るために数歩後退するが

アックア「無駄である」

アックアは突き刺した剣を軸にして、回し蹴りを繰り出した。
上条は両腕をクロスしてガードはしたが、ノーバウンドで数十m先のビルの壁にぶつかった。
そのあまりの威力に、壁にはヒビが入り、上条の体内の空気はすべて吐き出された。

アックア「今度こそ終いである」

ビルの壁にもたれかかっている上条に向かって、アックアは剣を持って突っ込む。
そして――

ゴシャア!と肉を潰す音と、ビルにヒビが入る音が辺りに木霊した。

233: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:53:22.88 ID:baUWBQyL0
上条は何とか致命傷は避けていた。
と言っても、左脇腹には剣がしっかり貫通していた。

上条(けど……これで……剣は掴んだ……!)

上条は今、しっかりと剣を左手で抑えている。あとは右手を添えれば剣を打ち砕けるはず。

上条「これで……剣はもう使えねぇぞ!」

上条は右手で勢いよく剣に触れたが――

何も、起きない。

上条「な……んで……」

アックア「何か勘違いしているようであるが、この剣は何の変哲もない“ただの剣”である」

上条「嘘……だろ……」

上条はこの剣のおかげで、超人的な動きが出来るのかと思っていた。
そう思うのも無理はなかった。彼は世界大戦後に、土御門から
色々な人の状況を教えてもらったのだ。その時に、アックアに関してはこう聞いていた。

土御門『アックアは「聖人」の力を失った。今ではただのマッチョなおじさんって訳だぜい』

だから、きっと武器のせいで体が強化されていると思ったのだ。
いや、そんな事全く関係なかったとしても、武器はどうせ魔術的要素が絡んでいると思ったのだ。

しかし、これがただの武器だとするのなら
アックアは何故こんなにも超人的な動きが出来るのか。

アックア「……不思議そうな顔をしているのであるな。何かおかしいところがあるのであるか?」

上条「おか……しい……だろ……その動き……普通の人間……じゃない……」

アックア「そうか。私が『聖人』の力などを失ったにも関わらず
     この動きが出来ることに疑問を抱いたのであるか」

アックア「答えは簡単なのである。カーテナ=セカンドの欠片から
     力の一部を借りているだけなのである」

上条「そんな……裏技が……あったのかよ……」

アックア「武器が普通の剣である理由は、貴様の右手に対抗するためである」

そんなアックアの言葉も、剣を突き刺された状態で、最早意識すら朦朧として
思考も出来ない上条には聞こえていなかった。

234: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:55:03.81 ID:baUWBQyL0
アックア「さて、そろそろ終いにするであるか」

そう言って、アックアは剣を引き抜いた。
その事により崩れ落ちる上条に、剣を振り下ろそうと構えるアックア。
削板は騎士団長とエリザードを相手にしているため、当然助けには来れない。
その場に居る五和や天草式のメンバーも、未だに動けない。

アックア「さらばである」

そして、容赦なく剣が振り下ろされた。
一部始終を見ていた、五和や天草式のメンバーは思わず目を瞑った。

グシャ!と肉を潰す音が響き、辺りには鮮血が舞った。

ただし、それは上条の血ではなく、腹を殴られた、アックアの口から吐き出されたものだった。

アックア「な……にが……起こったのであるか……?」

五和や天草式メンバーは、アックアの動揺する声で、瞑っていた目を開いた。

フィアンマ「堕ちたものだな。後方のアックア」

そこには真っ赤で、異様な右手を持つ男が立っていた。

235: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:56:05.11 ID:baUWBQyL0
騎士団長「『射程距離』!」

削板との激しい攻防の中で、騎士団長はそう叫んだ。
剣の破片を発射し、それは見事に削板の顔面に直撃した。
ように見えたが、削板は破片を歯でキャッチしていた。

削板「ほほへいほへはほへほはほふほほはへひはひ!(その程度では俺を倒す事は出来ない!)」

破片を吐きだし、間髪入れず騎士団長に突っ込む。その速度は実に音速の2倍以上。

削板「どおおらあああああ!」

騎士団長「『耐久硬度』!」

その速度に騎士団長は反応し、叫ぶ。
フルンティングは、絶対破壊されない硬度になり、削板の渾身の拳の一撃を受け止めた。

騎士団長「ぐお!」

だが剣は破壊されなくとも、運動量までは打ち消せない。
運動量を受け取った騎士団長は、いくつかのビルを突き抜けながら、数百mは吹き飛ばされた。

236: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:57:41.10 ID:baUWBQyL0
エリザード「ほう。やるじゃないか」

削板の後方に居たエリザードが、カーテナ=セカンドを振り下ろしながらそう言った。
削板はそれを間一髪で避け、距離を取る。

削板「どうなってる?」

削板が先程まで居た場所が白くなっている。より正確に言えば空間が。

エリザード「次元を切断しただけだ」

切断した次元から、白い物質がいくつか零れ落ちた。
エリザードはその物質全てを、削板に向かって蹴りだした。

削板「すごいパーンチ!」

削板は『敢えて不安定な念動力の壁を作り、それを殴る事で壊して遠距離まで衝撃を飛ばす』
必殺技を繰り出した。

それだけで白い物質は砕け散り、逆にエリザードにまで衝撃は向かって行った。

エリザード「やるな。だが」

カーテナ=セカンドを水平に振るう。それだけで、衝撃波はあっさりと振り払われた。

削板「なかなか根性あるじゃねぇか!」

削板は、音速の2倍以上の速度でまっすぐ突っ込み
エリザードの顔を掴み、そのままビルの壁に向かって叩きつけた。
はずだったのだが、何の手応えもない。

削板「あれ?」

思わず顔面を掴んだはずの右手を見る。その時だった。

エリザード「何をやっている?遅すぎるぞ」

またしても後方に居たエリザード。カーテナ=セカンドを振り下ろそうとしている。

削板「っ!」

叩きつけるつもりで、ビルの壁まで行ってしまったので後退は出来ない。
だから削板は、背中から7色の煙を出しながら、空中へと避難した。

237: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/09(火) 23:59:24.04 ID:baUWBQyL0
削板は、空中からすごいパンチを連続で繰り出し
衝撃波の雨を降らせようと考え、拳をエリザードに向けて突き出そうとした。
しかしその時、赤く鋭い何かが横目に見えた。それは頭に向かって飛んできていた。
削板は何とか頭を動かし、そのまま喰らっていれば、脳味噌が吹き飛んでいたであろう一撃を
額を掠る程度に留めた。その影響で鉢巻は外れ、額からは一筋の血が流れた。

削板(あの紳士みたいな奴が、さっきみたいに遠距離から攻撃してきたのか。
   だがしばらくは戻って来れないはず。ここはまず、あの婆さんの根性を
   叩き直すのが先だな!)

そう思い、今度こそ拳をエリザードに向けて突き出そうとするが、既にエリザードの姿は無かった。

削板「な!?どこ行った!?隠れてないで正々堂々勝負しろ!」

叫ぶ削板だったが、当然返事は無い。
その時、上から空気を切るような音が、わずかに聞こえた。

エリザードが降ってくる音だと、直感で判断し、上も見ずに前方へと飛ぶ。
その直感は正しかった。1秒後には、次元を切り裂きながら地面へと激突したエリザードがいた。
もし前方に飛んでいなければ、今頃は次元の藻屑となっていた事だろう。

238: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:01:48.46 ID:25u0vCuc0
削板(油断も隙もねぇな!)

削板は改めて根性を入れ直す。しかし、削板にはそんな時間はなかった。
ビルを突き抜けながら吹き飛ばされたにもかかわらず、服が多少汚れ破け
額から血を流す程度の傷しか負っていない騎士団長が、削板の後方に居たからだ。

騎士団長「『武具重量』!」

フルンティングが縦に振るわれた。削板はそれを何とか白刃取りで受け止めるが
その剣は、その大きさからは考えられないほどに、圧倒的に重かった。

削板(ぐ……おお……!)

頭の真上で白刃取りしていた削板は、このままだと頭が剣で切り裂かれてしまうと
考え、せめて被害を最小限に留めようと、剣ごと白刃取りしている手を徐々に左へずらしていく。
その間に重さに耐えられなくなって、ついにフルンティングが左肩に触れた瞬間――

騎士団長「『切断威力』!」

スパッ!と、浅いながらも、削板の左肩が切り裂かれた。

削板「ぐあ!」

削板には多少の悶絶と、多大な困惑があった。
削板は心臓をはじめ、体中に銃弾を撃ち込まれようが、アイスピックで刺されようが
『痛い』程度で大したダメージを受けない。オッレルスの『北欧王座』ですら2度耐えた。
そんな自分が、切り裂かれた。とりあえず削板は、音速で距離を取る。

騎士団長「『移動速度!』」

しかし騎士団長は、その速度に追いついてきた。

削板「く!」

騎士団長「『切断威力』!」

そして再び、万物を切り裂く一撃が、今度は首目がけ水平に振るわれた。

削板「おお!」

削板はそれをしゃがむことで回避。そして反撃のアッパー。
騎士団長はそれを『武具重量』で迎え撃つ。

ゴドン!と削板は地面に叩きつけられた。騎士団長も吹き飛ばされはしたが
障害物が何もない真上に吹っ飛んだだけなので特にダメージは無し。

削板「ごほっ!ごほっ!」

地面に叩きつけられて、血を吐きながら咳き込んでいる削板に
騎士団長は、またしても『武具重量』で隕石のように落下してくる。

削板「おおっ!」

削板は即座に前方に転がり、騎士団長の一撃を避けた。
騎士団長の一撃は、騎士団長を中心に、半径100mほどの地面にヒビを入れ
辺りには莫大な煙を立ちこませた。

239: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:03:54.55 ID:25u0vCuc0
削板(ちっ!姿が見えねぇけど……!)

削板はおそらく騎士団長がいるであろう方向に、すごいパンチを3回ほど放った。
しかし手応えは無かった。
仕方なくもう3発ほど放とうと拳を突き出す前に、何か固いものが、肩に直撃した。

削板「がっ!」

拳銃ですら『痛い』程度には丈夫なはずなのに、激痛だった。
続いてその固いものは、流星群の如く次々と削板目がけて降り注いだ。

削板「ご……っは……!」

あまりにも突然の出来事に、防御する事も避ける事も出来ずに
為す術もなく、固いものの雨に打たれた。
その固いものの正体は、先程次元を切断しながら落下していたエリザードの
カーテナ=セカンドによって生み出された物質を、エリザードが連続で蹴ったものだった。

その物質のラッシュの後に、容赦なく騎士団長の『切断威力』の一閃が
削板の右脇腹を切り裂いた。

削板「ごふぁ!」

口からは血が溢れた。さすがの削板も倒れそうになり

とどめの、カーテナ=セカンドの次元をも切断する一撃が、次元もろとも削板を切り裂いた。

その直後にゴガァ!と壮絶な音が辺りに響いた。
削板が800m先のビルに激突した音だった。だがそれはおかしいことだった。

エリザード「……次元ごと切断したはずだが……?」

そう。つまり削板は吹き飛ばされるのではなく、本来なら次元の藻屑になっていなければおかしい。
削板との戦いで、常に余裕を見せていたエリザードは初めて困惑した。

エリザード(能力が本当に一瞬だが覚醒して、私の次元切断の一撃を
      あの程度の被害で留めたのか……?)

騎士団長「私がとどめを刺してきましょう」

騎士団長はそう言うと『移動速度』により削板のもとへ。

240: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:06:04.78 ID:25u0vCuc0
一方で削板は、ビルの壁にもたれかかっていた。
さすがの削板も、戦うどころか、立ち上がる気力さえなかった。

削板(俺は……とんだ根性無しだ……)

自責の念に駆られる削板だったが、体は動かない。動いてくれない。そんな時だった。

ポケットの中に入った携帯電話が鳴り響いた。
そんな中削板は、あの激戦の中でよく壊れなかったなぁ。さすが学園都市製。
とか、よくポケットから落ちなかったなぁ。とか考えていた。携帯に出る気力すらなかった。

すると携帯は、通話ボタンを押していないにもかかわらず、勝手に通話状態になった。
しかも、勝手にスピーカーモードにもなった。そこから聞こえた声は

雲川『何をしているの?早く立ちあがって敵を倒しなさい』

幼馴染みの雲川からだった。

削板「芹亜か……」

削板はボソッと、普通の通話状態でも聞こえないような声で呟いた。
当然、ポケットの中に入っていて、なおかつ折り畳まれている携帯に声が聞こえる訳などないのだが

雲川『何を情けない声を出しているんだか。根性無しにもほどがあるけど』

しっかり返事があった。

削板「そうだ……俺は根性無しだ……あまりにも情けねぇよな……」

削板「でもよ……もう体が動かねぇんだ……俺は……ここまでみたいだ……」

雲川『お前はその程度の男だったの?』

いつも冷静な、雲川の声が若干熱を帯びたようだった。

雲川『私はそんな男に惚れていたのか……全く、私も見る目がないな』

削板「は?」

削板は突然の告白に、情けない声をあげた。

削板「お前……何言って……」

雲川『言葉の通りだけど?』

削板「いや……いろいろおかしいだろ……このタイミングで告白とか……
   そもそもお前……上条の事が好きなんじゃ……ねぇのか……?」

雲川『そうだ。私は上条当麻も好きだけど。でもお前も好きなんだ。
   こんな尻軽女だけど、どうしようもないくらいお前も好きなんだ。だから勝て』

削板「だから勝て。って意味不明だぞ……俺以外の男も好きな女の為に……
   俺以外の好きな男を守る為に……この勝負勝てってか……理不尽すぎるだろ……」

雲川『そうだ。全部私の我儘だけど。でも好きな人には死んでほしくないんだ。
   お前も、上条も。至極当然の感情でしょ?死なない為には勝つしかない』

雲川『限界を超えてでも勝て。ただし絶対に死ぬな。
   上条当麻を護る者として、私の愛する人として、恰好ぐらいつけてみせろ』

そこで通話は終わった。

241: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:07:53.31 ID:25u0vCuc0
削板(無茶苦茶な事ばっか言いやがって……でも……なんか元気でたっつうか)

削板(確かに、こいつらぐらいはどうにかしないと、いくらなんでも恰好つかねぇよなぁ!)

体は動く。動いてくれる。ヨロヨロとした動きで、削板は立ちあがった。

騎士団長「何か言い残す事はあるか?」

既に削板の前に立ち塞がっていた騎士団長はそう言った。

削板「……絶対勝つ!」

騎士団長「そうか。ならば死ね。『切断威力』」

フルンティングの、万物を切り裂く一撃が振り下ろされた。
と同時に、騎士団長の体は顎に激痛を伴って、100mほど宙を舞った。

騎士団長「が……あ?」

騎士団長は痛みと共に、困惑があった。
何故自分は宙を舞っている?答えは簡単だった。

削板が音速を超えた速度で、アッパーを繰り出したからだった。攻撃はそれだけでは終わらない。

削板は空中で、騎士団長に音速を超えた蹴りを叩きこんだ。
当然、騎士団長は数百m程ぶっ飛ばされる訳なのだが

ぶっ飛んだ先には、削板がいた。再び強烈な蹴りが、騎士団長を襲った。
またしてもぶっ飛んだ騎士団長。そしてまたしてもその先に居た削板。
そしてまた蹴りの一撃。ぶっ飛んで再び蹴りの一撃。
その様は、騎士団長をサッカーボールにみたてた、1人サッカーのような状態だった。

この連続技で、さすがに意識が朦朧としてきた騎士団長。
無抵抗に仰向けで宙を舞っていると、正面に削板が現れた。
その両拳には、とんでもないエネルギーが集まっていた。その内の左拳が飛んでくる。

騎士団長「『耐久……硬度……』」

フルンティングを絶対破壊されないようにしてから、ガードする。
確かにフルンティングは破壊されなかった。だが構わず削板は

削板「うおおおおおおおおおおおおお!」

騎士団長を、拳ごと隕石の如く地面に叩きつけた。
その威力は騎士団長を中心に半径300mの地面にヒビを入れ
『耐久硬度』のフルンティングを砕くほどだった。

242: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:10:03.61 ID:25u0vCuc0
エリザード「やるじゃないか。しかし、そのボロボロの体で私に勝てるかな?」

莫大な煙が立ち込める中で、立ち上がる1つの影に向かってエリザードはそう言った。

削板「関係ねぇよ婆さん。どうせ次の一撃で全て決まるんだから」

削板は、右拳にエネルギーの全てを集結させた。

エリザード「私の一撃を受けると言うことは即ち、イギリスという一国を受け止めると言う事!
      それが貴様に出来るかぁ!」

エリザードは削板に向かって突っ込む。

削板「俺の根性に、不可能なことはねぇーッ!」

削板は突っ込んでくるエリザードに対して、右拳のカウンターを繰り出す。
次元を切り裂く一撃と『耐久硬度』のフルンティングをも砕いた一撃が激突した。

削板・エリザード「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」

両者の一撃は拮抗した。

エリザード「くくく、本当にこの一撃と拮抗するとはなぁ!
      だが、カーテナ=セカンドの力はこんなもんじゃないぞぉー!」

カーテナ=セカンドが若干押し始める。

削板「そんな事、俺も同じだあああああああああ!」

腕から血を噴き出しながら、強引に押し返す。

削板「たとえ、この右腕が潰れようとも!
   この勝負だけは、負けるわけにはいかねぇぇぇんだよぉぉぉ!」

削板の右拳が、さらに力強くなって、カーテナ=セカンドを押し返していく。。

エリザード「馬鹿な!?まだ力が出せると言うのか!?」

今度はカーテナ=セカンドが押され始めた。
動揺するエリザードに追い討ちをかけるように、ピシッ!と、カーテナ=セカンドにヒビが入った。

エリザード「なに!?」

削板「終わりだぁぁぁあああああ!!!」

バキャア!と、ついにカーテナ=セカンドは砕け散り
突き抜けた削板の右拳は、そのままエリザードの顔面に突き刺さった。
殴られたエリザードは、数kmにも亘って吹き飛び、いくつものビルを突き抜けた。

削板「なんとか……勝ったぜ……」

削板(だが……お前を……助けには……行けねぇや……上条……)

削板の意識はそこで途切れた。

243: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:11:08.47 ID:25u0vCuc0
アックア「カーテナ=セカンドの力が……消えた……!?」

フィアンマ「どうやら、あの騎士団長とエリザードを倒したみたいだな」

アックア「馬鹿な……そんなことが……有り得るのであるか……!?」

フィアンマ「現にカーテナ=セカンドの力は消えているだろう?現実を見ろ。アックア」

アックア「だが、私は弱くなった訳ではないのである。調子に乗らないので欲しいのである」

フィアンマ「お前こそ、カーテナ=セカンドの欠片を持っていて、天使級の
      力を振るえるからと言って、調子に乗ってもらっては困るな」

アックア「相変わらず口が減らないのであるな!」

アックアは自身が作った水流に乗り、フィアンマへと突っ込む。
対してフィアンマは

スッと右手を前方に突き出しただけだった。

アックア「嘗めているのであるか!」

アックアの容赦ない突きが、フィアンマを襲うが
ガキィィィン!と、その突きは右手であっさりと受け止められていた。
それだけではなかった。フィアンマが少し握る力を強めただけで、剣は粉々に砕けた。

アックア「馬鹿な!?」

アックアは一旦後退する。

244: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:13:50.57 ID:25u0vCuc0
フィアンア「何も驚く事は無いだろう。そんな霊装でも何でもないただの剣が
      俺様の右腕で砕けないわけがない」

アックア「そう言えばおかしいのである。噂では、貴様は右腕を失ったと聞いた。
     何故右腕が存在しているのであるか?そしてその右腕は
     何故そこまで強力なのであるか?」

フィアンマ「右腕を失ったという噂は知っていたくせに、オッレルスと言う
      魔術師に保護されたと言うのは聞いていなかったのか?」

アックア「オッレルス?」

フィアンマ「知らんのならそれでいい。説明も面倒なんでな。ま、俺様は確かに右腕を一度失った」

フィアンマ「が、オッレルスが俺様の第3の腕を、魔術を巧みに使い、俺の右肩に移植した。
      そうして第3の腕は、今となっては、俺様の本当の右腕となっている訳だ」

アックア「そんなことが可能なのであるか!?」

フィアンマ「現にその俺様が、今貴様の目の前に立っているだろ。もう一度言おうか?現実を見ろ」

アックア「つまり、その右腕は、第3の腕の力を持った右腕と言うことであるか?」

フィアンマ「まあ大分弱体化はしたがな。武器もないお前に負けるほどではない」

アックア(成程。厄介であるな。だが弱体化したと言うのなら、勝機は十分にあるのである)

アックアは細いワイヤーを取りだす。厳密に言えば、それはミクロサイズのチューブだった。
その内側から、樹脂のような液体が噴出した。
それは空気に触れると、固体化し四方八方に杭を飛び出させた。
原始的なメイスへと生まれ変わった。

アックア「勝負はここからである。Flere210(その涙の理由を変える者)!」

フィアンマ「格の違いを教えてやるか」

245: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:15:34.92 ID:25u0vCuc0
ドンッ!と壮絶な音と共に、アックアが地面を蹴る。
一瞬でフィアンマではなく、既に意識不明で倒れている上条のもとへ肉迫し
そのメイスを振り下ろした。

バゴォォォ!とフィアンマの右手がメイスを掴んでいた。

フィアンマ「俺様ではなく、上条当麻を直接狙うなんてな。
      せめて俺様を倒してからにしてくれんか?」

アックア「任務達成の条件は上条当麻の抹殺。貴様と直接戦う必要はないのである」

フィアンマ「ふ~ん。どうでもいいけど、メイスから手を離した方が良いぞ」

アックア「何を言って――」

アックアが言いかけた瞬間、メイスが突如燃えだした。

アックア「っ!」

メイスから手を離し、後退する。轟々と燃え盛るメイスを、フィアンマは上へ投げ飛ばした。
メイスは空中で灰となった。

246: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:16:41.57 ID:25u0vCuc0
フィアンマ「これで再び武器を失った訳だが……まだやるか?」

アックア「当たり前なのである。まだ終わりではないのである!」

再びワイヤー、厳密に言うとミクロサイズのチューブを取りだした。
そのチューブは膨らみ、弾けた。そこからは、アスカロンが出てきた。

フィアンマ「その程度の武器で、どうにかなると思っているのか?」

アックアは、フィアンマの問いかけを無視して、津波を繰り出す。
津波がフィアンマに襲い掛かるが

フィアンマ「ふん」

津波を振り払うように、右腕を軽く振っただけで、津波は蒸発した。

アックア「これならどうであるか!」

間髪入れずに、数千もの氷柱が生み出され、フィアンマと上条へ飛んでいく。

フィアンマ「無駄だ」

フィアンマが地に手をかざす。
それだけで上条とフィアンマの周囲の地面から炎が噴き出し
ドーム状となって2人を包み、氷柱の攻撃を全て防いだ。

フィアンマ「終わりか?」

ドームの炎が消えて、視界が戻るが、アックアは既に、フィアンマの視界から消えていた。

フィアンマ「……上か」

そう判断したフィアンマは右手から炎を噴き出し、左手で上条を抱え飛んだ。
その1秒後に、先程まで上条が横たわっていた場所に、アックアが落下してきた。

フィアンマ「さすが傭兵。デダラメな戦い方だ」

そう言いながら、フィアンマは上条を抱えさらに飛んでいく。

アックア「逃げるのであるか!」

フィアンマ「こちらの勝利条件は、お前を倒す事ではなく、上条当麻を守り切る事だからな」

アックア「逃がさないのである!」

247: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:18:22.17 ID:25u0vCuc0
フィアンマは上条を抱えながら、1km程飛んだところで地面に降り立った。

フィアンマ「お前……こいつを頼めるか?」

少女「はい!それはもう、私の愛する人の為なので!」

フィアンマ「そうか。じゃあ頼むぞ。一応腹の傷は焼いて塞いだが回復魔術を頼む。
      『幻想殺し』を避けて、部分ごとに回復させれば、右手以外は回復できるはずだ」

少女「はい!分かりました!そちらも頑張って下さいね!」

フィアンマ「お前のようなチビに、とやかく言われる筋合いはない」

少女「ただ応援しただけなのに!」

フィアンマ「いいから、早く行け」

少女「はい!」

少女はその小さい体で上条を抱え、鋼の手袋(トール)に乗り
それを操り、虫のように走って行った。丁度そこへアックアがやってきた。

アックア「あの少女は、我々の味方であった筈なのであるが……」

フィアンマ「あの少女はお前らの為ではなく、自分の“意思”で行動している。
      それだけだろう。お前と違って」

アックア「黙るのである!」

フィアンマの一言に激昂したアックアは、1mの太さはある水の鞭を、10本生み出した。
その鞭は一斉にフィアンマに襲い掛かる。

フィアンマ「ほう。先程よりは強力な魔術だな」

フィアンマは右腕を振るう。すると虚空から数十の炎の拳が現れ、鞭を蒸発させた。
その間にアックア自身が、フィアンマのもとへ突っ込む。

フィアンマ「攻撃が単調すぎる……クロスカウンターしてくださいと言っているようなものだぞ」

フィアンマは、アックアの顔面を狙って拳を繰り出す。
それは見事に直撃した。ただし、それは単なる水で出来た分身でしかなかった。

フィアンマ「だから攻撃が単調すぎると言っているだろう」

特に焦る事もなく、フィアンマは数歩後退する。
すると先程までフィアンマがいた地点に、アックアが落下してきた。

アックア「……読まれていたのであるか」

フィアンマ「元同僚だしな」

そう言うながら、右拳を繰り出す。

アックア「ふん!」

対してアックアも、アスカロンを振るう。右拳とアスカロンが激突した。

248: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:19:51.04 ID:25u0vCuc0
ズザザ!と靴が地面に擦れる音。アックアだけが一方的に弾かれた。

フィアンマ「さすがに丈夫だな。俺様の一撃を耐えるとは。だが、次で壊れるぞ」

アックア「調子に……乗らないでほしいのである!」

フィアンマの真上に、総重量2tはある水のハンマーが生み出された。

アックア「喝!」

掛け声と共に、水のハンマーが振り下ろされたが

フィアンマ「ふん」

フィアンマが右拳を上に突き出す。それだけで水のハンマーは一瞬で蒸発した。

アックア「これならどうであるかーっ!」

アックアがアスカロンを振るう。
その軌道から、とんでもない量の水が激流となってフィアンマに向かう。

フィアンマ「これは……強力だな。仕方ない、少しだけ力を出すか」

フィアンマは至って冷静に右拳を前に突き出す。
そこから超巨大な炎の拳が発射され、激流を一瞬で蒸発させた。
そして炎の拳は消えずにアックアへ向かう。

アックア「く!」

アックアはアスカロンと、即席で作りだした水の盾を展開してガードするが
それらを簡単に突き破って、炎の拳はアックアへ直撃した。

アックア「ぐおあああああああ!」

アックアは身を焦がすような痛みに襲われた。全身に重度の火傷を負ったのだ。
そこへ追撃を加えようと、フィアンマはアックアへ肉迫する。
アックアは、アスカロンを正面に構え、ガードを試みる。

フィアンマ「無駄だ」

フィアンマの右拳の一撃は、アスカロンを打ち砕き、そのままアックアの腹へと直撃した。
その一撃により、アックアは数kmほど吹き飛ばされ、ビルを幾つも突き抜けた。

フィアンマ「さて、俺様も急ぐか」

249: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:21:19.23 ID:25u0vCuc0
カザキリは2本の紫電の剣を生み出し、2体の天使に投げつける。
2体の天使は、それらを易々と避け、同時にカザキリへと突っ込む。
カザキリは冷静にその攻撃を避ける。

結果、ゴシャア!と2体の天使は激突した。
その隙にカザキリは、紫電の翼で2体の天使を包み込み
御坂以上の電撃(正確にはようなもの)を放った。しかし

ウリエル「hqhfqgbh殺glw」

ウリエルが暴風を巻き起こし、翼から強引に抜け出す。
続いて、尻尾のようなものを、カザキリに叩きつけようとする。
カザキリは、それを紫電の剣で受けて立つが、バリィィン!と紫電の剣は砕け
尻尾の一撃をまともに喰らい、幾つものビルを突き抜けながら、数十kmは吹き飛ばされた。
ウリエルの方もノーダメージと言う訳ではなく、尻尾はちぎれかかっていた。

今度こそ2体の天使は、病院へ突っ込もうとするが
カザキリが一瞬で舞い戻りウリエルにタックルをぶちかました。

今度はウリエルが吹き飛ばされる。それに黙っていなかったのはラファエル。
目にあたる部分から、極太のレーザー光線をカザキリに向けて放つ。
カザキリは翼で自身の体を包み込み、レーザーのダメージを最小限に防ぐ。
そうこうしている間にウリエルが再び舞い戻る。

250: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:22:48.88 ID:25u0vCuc0
カザキリ「さすがに、2体はきついですね……」

ガブリエルと戦った時は、真っ白な少年と共闘しても、倒すまでには至らなかった。
それなのに、目の前には、そのクラスの化け物が2体も居る。
状況は絶望的と言っても過言ではなかった。

カザキリ「それでも……『友達』とこの街を守るために負けられない!」

ウリエル「hdhhgh殺fjgwlr」

ウリエルから、風の刃が連続で繰り出された。

カザキリ「はああああああああ!」

カザキリはその攻撃を時には避け、時には翼で切り裂き、徐々に『神の火』に迫る。
そうしてある程度近付いたところで

カザキリ「ここだ!」

即席で紫電の槍を生み出しウリエルへ刺そうとする。
しかしその前に、瓦礫とコンクリートの雨がカザキリの体を叩いた。

カザキリ「が……ああ……」

正確に言うと、ビル群の雨。
カザキリの避けた風の刃が、カザキリの後方のビル群を切り裂き
そのビル群をラファエルがサイコキネシスで操ったのだ。
それでもカザキリは、なんとか耐えきる。
しかし、槍は消え満身創痍で、反撃は愚か、浮いているのがやっとの状態だった。

そんなカザキリに、容赦なくウリエルの風のブレスが放たれた。

カザキリは自身の翼でガードを試みたが、それも虚しく、ひらひらと地上へ堕ちた。
そこへ止めと言わんばかりにラファエルの極太レーザーが叩きこまれた。

カザキリ「う……あ……」

最早悲鳴を上げることすらできずに、倒れてしまった。

251: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:23:54.55 ID:25u0vCuc0
一方通行「あの天使でも……駄目だってのか……!」

思わず地面を拳に叩きつける。

一方通行「クソが……何とか……ならねェのかよォ!」

一方通行が咆哮したその時、カザキリがゆっくりと立ち上がった。

カザキリ「まだ……です……!」

既に満身創痍であるが、その眼光に諦めの色は見られない。

カザキリ(……もう私の力では、2体を狩ることは出来ない……でもせめて……道連れにしてでも
     1体は倒す!)

カザキリ「うあああああああああああ!」

カザキリが叫ぶと同時に、その体から数万の紫電が放たれた。それは2体の天使に襲い掛かった。
強力な攻撃だが、致命傷にはならない。だが動きを止める事は出来た。

ギャン!と、カザキリはその隙にラファエルの懐に突っ込み
そして自分ごとラファエルを遥か上空へ押し上げる。

カザキリ「これで終わりです!」

次の瞬間、上空4000mで、半径2kmにわたる爆発が起こった。

カザキリが執った手段――――自爆だった。

252: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:24:50.95 ID:25u0vCuc0
結果としてラファエルは消滅したがウリエルは残ってしまった。

一方通行「あの天使が……ここまでやってくれたンだ……
     いつまでも……倒れている訳にはいかねェ……」

一方通行はヨロヨロと立ちあがる。
ただでさえ天使化などで力を使い果たしている上、代理演算を行っている妹達の数も少ない。
今の一方通行の能力は、せいぜいレベル2程度だった。それでも諦めない。

一方通行「うあああァァァ!」

神化をしても倒せなかったのだ。通常状態、ましてやレベル2程度で敵うわけなどない。
それでも、わずかなベクトルの力を足に集約し、突っ込んでいく。

そんな一方通行に対して、容赦ない風のブレスが放たれた。

一方通行「うがあああァァァ!」

一方通行は、消失した。

253: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:27:30.00 ID:25u0vCuc0
上条「う……」

暗い路地裏で、上条は目を覚ました。

少女「あ、目覚めたみたいですね」

上条「お前……レッサーか……?」

レッサー「そうです。あなたの恋人、レッサーです」

上条「恋人ではねーだろ。つーかお前、俺の味方という事でいいのか?」

レッサー「はい、もちろんです!私はイギリスの為なら、敵であろうと助けますよ」

上条「イギリスの為?お前ら魔術サイドは、俺を消したがってたみたいだけど……は!
   もしや、これは罠!?」

飛び起き、構える上条。

レッサー「ち、違いますって!ああもう、本当の事を言います!私はあなたの事が好きなんです!
     だから、イギシス清教裏切ってあなたの事助けました!これでどうですか!」

上条「いや、それも罠なんじゃ……っ痛!」

レッサー「まだ安静にしていないと」

上条に寄り、介抱するレッサー。

上条「どうやら、本当に敵ではないみたいだな。でも安静にはしていられない。
   つーかここどこだ?早く病院へ行かないと!」

レッサー「ここはその辺の路地裏です。本当はトールに乗って移動しながら
     治療したかったんですけど、ガチャガチャ揺れるので
     こうしてトールから降りて治療したんです」

レッサー「フィアンマって人が焼いて傷を塞いだところに、私が回復魔術を施しました。
     少しは楽になったはずです。ですが、まだまだ重症です。
     急ぐ気持ちは分かりますが、もう少しだけ安静にしておいた方がいいと思います」

上条「そっか。とりあえずありがとう。でも病院へ急がないと」

レッサー「……仕方ありません。トールに乗って移動しましょう。
     右手は触れないように注意してください。(もう少し2人きりを楽しみたかったのに)」

上条「ああ」

254: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:28:35.23 ID:25u0vCuc0
まずレッサーがトールに乗り、その後に上条が乗る。

レッサー「飛ばしますんで、ちゃんと私に掴まっててくださいよ」

上条「おう」

返事をして、何の意識もせず、ただ丁度いい高さで、腕をレッサーへ回し
ムニュっと、何か柔らかいものを掴んだ。

上条「あれ?」

レッサー「あん♡」

同時に、トールが暴れ出した。レッサーが突然の事で操作を誤ってしまったのだ。
グラングランと、トールは右往左往に激しく揺れ動く。

上条「ご、ご、ごめん!だ、だか、ら、この、揺れを、とめ、て!」

上条はトールから落ちまいと、掴む力をさらに上げる。

レッサー「ああ♡そんな♡激しすぎます♡」

さらに暴走するトール。

上条「うわあああああ!もう駄目だああああ!」

レッサー「わ、私もですうううううう!」

瞬間、スパーン!と2人は地面から5mの高さのところまで放り出された。
このままだと頭から落ちる軌道だ。

レッサー「このまま落ちたら死にます――――!」

上条「んな事分かってる!」

上条(こんなところで死んでたまるかよ!)

上条は空中で姿勢を入れ替え、レッサーをお姫様だっこし、見事に地面に着地した。

255: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:29:51.80 ID:25u0vCuc0
上条「ふぅ、何とか助かったか」

レッサー「あ、ありがとうございました///私の操作ミスで放り出されたと言うのに。
     足、大丈夫ですか?」

完璧な着地とは言え、5mという高さから落ちて
足が痛まなかったわけはなかったが、上条は取り繕って

上条「大丈夫だよ。まあ元はと言えば俺のせいだし。今度は気をつけるよ」

レッサー「軽くなら……揉んでも大丈夫ですよ」

上条「その下ネタに持っていく思考は相変わらずかよ。てか駄目だろ。また操作ミスるだろ」

レッサー「さっきは心の準備が出来ていなかっただけです。来ると分かっていれば大丈夫です。
     なんなら下の方もいいで」

上条「馬鹿なこと言ってないで、早く行くぞ」

レッサー「ちぇ。仕方ありませんね」

そうして2人がトールに乗ろうとした時

ローラ「レッサー?何をやっているのかしら?」

上条「誰だ!?」

レッサー「ちっ!先手必勝!」

レッサーはトールを掴み、ローラへと突っ込んでいく。

レッサー「詠唱も、何らかのアクションもさせません!」

トールがローラを掴もうとする。

上条「駄目だ!一旦引っ込め!」

レッサー「え?」

上条の叫び声と同時に、ボガァァァン!とローラが爆発した。
その爆風でトールは粉々に砕け、レッサーは上条の手前まで吹き飛ばされた。

256: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:31:01.50 ID:25u0vCuc0
上条「レッサー!」

上条はレッサーに駆け寄ろうとする。

ローラ「巨人に苦痛の贈り物を♪」

ローラの炎がレッサー目がけて襲い掛かる。

上条(これはステイルの魔術!しかもステイルより何倍もでけぇ!けど、臆することはねぇ!)

上条の『幻想殺し』は異能の力であるならば、どれだけ強大な力であっても
ステイルの『魔女狩りの王』やインデックスの『竜王の殺息』(ドラゴンブレス)などの
持続系でなければ、基本的に打ち消せる。

上条はレッサーを狙う炎に迷わず右手を突き出し、打ち消した。

上条「大丈夫かレッサー!」

レッサー「……」

レッサーを抱え込み叫んだが、返事がない。そこへ容赦なく

ローラ「七閃♪」

7本のワイヤーが襲いかかってきた。

上条(今後は神裂の……!)

七閃はただのワイヤー攻撃。上条の右手では打ち消せない。
だから上条はレッサーを抱えて、逃げるために走り出した。

ローラ「逃げ切れると思いて?」

上条(くっ!)

シュルルル!と7本のワイヤーが高速で上条の背中に食い込んだ。

上条「が……あ……」

上条は思わず転んでしまう。レッサーは地面に投げだされた。

257: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/10(水) 00:32:49.90 ID:25u0vCuc0
ローラ「あらあら、もう終わりなのかしら?」

上条「お前、一体何者なんだ?」

ローラ「イギリス清教の最大主教、ローラ=スチュアート」

上条「何でステイルの魔術や神裂の技が使える?」

ローラ「私は、イギリスにある三大宗派のうちの1つ、清教派のトップなる者。
    これぐらいは当然なのよ」

上条「答えになってねぇんだよぉ!」

上条は駆け出し、ローラに殴りかかるが、シュボ!と拳はローラをすり抜けた。

上条(蜃気楼か!?)

ローラ「どこを見ているのかしら?」

声は後方から。本物のローラは、投げ出されたレッサーを踏みつけていた。

上条(抱えながら戦うのは無理だから、敢えて放っておいたのが仇になったか!)

上条「その足をどけやがれ!」

ローラ「そう。良いけど」

言われた通り、ローラはレッサーから足をどけた。

上条「えっ(そんなあっさり!?)」

直後、レッサーは目覚め起き上がった。

レッサー「ふぇ……あ!助けて下さ~い!」

起き上がったすぐ近くにローラが立っていたためか、レッサーは助けを求めて
上条に駆け寄り抱きついた。

レッサー「こ、怖かったですぅ~」

上条「無事でよかった。でもこれからあいつと戦わなきゃいけないから
   お前はその辺に隠れていてくれ」

レッサー「いえ、その必要はないですよ。だって――」

グサ!と氷のナイフが上条の背中に突き刺された。

上条「レッサー……お前……」

為す術もなく、上条は地面にうつ伏せに倒れた。

レッサー「――だってあなたは、ここで死ぬんですから」

270: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/15(月) 01:13:49.34 ID:itpxcIft0
ウリエル「shjshfw死fwrfjw?」

一般の人間には、理解し得ない言語を発したウリエル。
今発したのは「何故死んでいない?」というニュアンスの言語だった。

一方通行は確かに消失した。だが死んではいなかった。
ブレスを放った現場の、10mほど先に一方通行はいた。

一方通行「何でテメェらがここにいやがる!」

結標「何を怒っているの?私はあなたの命の恩人なのよ。感謝してほしいぐらいだわ。
   しかもこれで2度目。今度何かお礼頂戴」

結標がブレス直撃寸前に、一方通行をテレポートしたのだ。

一方通行「ふざけンな!テメェらじゃどうにもならねェ!100歩譲って
     助けてくれた事は感謝してやっても良いが、オマエらがここに
     来たところで何も出来やしねェ!今すぐ引き帰しやがれェ!」

結標「あら、あなたが素直に感謝して、しかも物凄い勢いで捲し立てるなんて
   相当危ないのかしら」

一方通行「良いから、早く帰」

御坂「黙りなさい一方通行。アンタ1人でやったってどうにもならないでしょーが。
   それに、アンタがいなくなると、あの子達が悲しむ」

一方通行「お子様が……力の差ってのが分からねェのか!このままだと死ぬぞ。
     妹達の身を案じるなら、オマエが帰れ!」

御坂「駄目よ!アンタがいなくても、私がいなくても駄目なの!一緒に生きて帰るのよ!」

一方通行「クソが……」

麦野「あんま粋がるなよ、第1位。私らが助けてやるっつってんだ。
   つーか今は、お前の方がよっぽど役に立たねぇわ。お前はそこらへんでマスでもかいてな」

一方通行「テメェこそ粋がンな三下が。そこの中2に負けるような雑魚が。帰れ」

絹旗「感謝の一言も超素直に言えないんですか?浜面の方が、数倍マシですね」

一方通行「ドチビが。レベル5ですらねェオマエは論外だ。さっさと帰れ」

絹旗「本当にこのモヤシは……私がボコボコにしましょうか?」

麦野「やめな絹旗。私らはそこのモヤシを倒すために来たんじゃない。助けるために来たんだ」

御坂「アンタは黙って休んでなさい」

結標「ま、作戦もあるし何とかなるでしょ。そう言う事だから、じゃあね~♪」

一方通行「まさか俺を、待ちやが――」

一方通行は何か言いかけたが
パッ!と結標のテレポートにより、一瞬で病院へ転送された。

その一部始終を見ていたウリエルは、標的を4人の少女に定めたようだった。

結標「さて、あちらさんも私達の事睨んでいるっぽいし、いよいよ来るわね。皆準備は良い?」

御坂「もっちろん!」

麦野「当たり前だ」

絹旗「超当然です!」

結標「OK。それじゃあ行くわよ!美琴!沈利!最愛!」

271: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/15(月) 01:15:00.65 ID:itpxcIft0
先手はウリエル。数千もの風の刃が生み出され、一斉に少女たちに向かって行く。

結標「皆!作戦は分かってるわね!それじゃあ行くわよ!」

御坂・麦野・絹旗「「「おう!!!」」」

パッ!と、結標の能力により、少女たちは全員テレポートされる。

結標自身がテレポートしたのはウリエルの目の前。

結標「喰らいなさい!」

結標は目にあたるであろう部分に、手榴弾をテレポートする。
ボガァァァン!と見事に爆発は決まった。

結標(これで少しは)

そう思っていた結標だが、煙が晴れる前に、風のブレスが飛んできた。

結標「さすがにこれだけで倒せるわけないか!」

文句を言いつつ、冷静にテレポートでブレスを避ける。

結標「ま、まだまだこれからだけどね!」

272: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/15(月) 01:15:39.74 ID:itpxcIft0
御坂と絹旗がテレポートされたのはウリエルの後方わずか50mほどの場所。

絹旗「おりゃあああああああ!」

御坂「だあああああああああ!」

結標がウリエルを引きつけている。その間に絹旗は手近なビルを殴りまくる。
ビルは徐々に崩れ、瓦礫になって積みあがる。それを御坂が、手と足を使って撃ちまくる。
大小様々な『超電磁砲』がウリエルに向かって行く。

しかしウリエルは全方向に広がる、風の波動攻撃を繰り出した。
それにより全ての『超電磁砲』は弾かれ、御坂や絹旗をも吹き飛ばした。

絹旗「くぅぅぅ!」

ドッ!ガッ!ゴッ!と、絹旗は地面に何度も叩きつけられた。
窒素を纏っているとは言え、ノーダメージという訳にはいかない。

御坂「ぐぅぅぅ!」

御坂は電磁力で勢いを殺しながら、何とかビルに貼りついた。

結標「大丈夫だった?」

テレポートしてきた結標が、2人を気遣う。

御坂「もちろん!まだまだ行けるわ!」

絹旗「超余裕です!」

結標「んじゃあ、行くわよ!」

273: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(北海道) 2011/08/15(月) 01:18:18.26 ID:itpxcIft0
強制的に病院にテレポートされた一方通行は
窓から戦闘の様子を見ながら愚痴を零していた。

一方通行「あれが作戦!?結標が気を引いている間に、ドチビがビルを崩して
     その瓦礫をオリジナルが撃ちまくる。あンなの無駄だ。天使には効きやしねェ」

滝壺「大丈夫だよ。私の補助もある」

一方通行「この病院から、4人に補助とは褒めてやりてェが
     そンな付け焼刃じゃあどうにもならねェ。根本的に次元が違ェ」

滝壺「違うよ。私が補助しているのは、あくまでむぎのだけ」

一方通行「どっちにしろ関係ねェ。そうだ。つーかその4位の糞ババアはどこ行きやがった?」

冥土帰し「落ち着こうか一方通行。君は少し、人を信じると言う事を覚えた方が良い。
     それに君は休んだ方が良いね?」

一方通行「今戦いを見ているだけのこの状況で、充分休ンでいる事になる。
     今妹達は合計で30人ほど。チョーカーのバッテリーを満タンまで充電したところで
     使える能力はせいぜいレベル2程度」

一方通行「だが天使化、神化にはチョーカーの代理演算は関係ねェ。だからこうやって
     休ンでいるだけでも意味はある。いざという時に助けにも行けるしなァ」

冥土帰し「その必要は無いと思うけどね?」

一方通行「どう見てもその必要しかねェだろうが」

冥土帰し「確かに、彼女達1人1人の力は、君に比べたらちっぽけなものだ。
     でもね、今の彼女たちは個人で戦っているんじゃない。チームで戦っているんだ」

冥土帰し「それは2人だから2倍、4人だから4倍とか、そんな単純ではなくて
     絆が深ければ、その力は何十倍、何百倍にもなる」

一方通行「仮にそうだとしても、さっきも言ったように次元が違ェ。
     何百倍じゃあ、どの道話にならねェ」

冥土帰し「じゃあ実際の戦いを見てみるんだね?」

一方通行は言われた通り、再び窓から戦闘の様子を眺める。
相変わらず、ダメージは碌に与えていないように見えるが……

冥土帰し「確かに、ダメージは限りなく0に近いかもしれない。
     例えるなら、HP10万の敵に、1ずつしかダメージを与えていないような
     そんなものかもしれない」

冥土帰し「けどそれは、逆に言えば10万回攻撃すれば倒せると言う事だね?
     つまり、やられなければ必ず勝利は見えてくる」

確かに理論的にはそれは可能だ。しかし現実的に重大な問題がある。

一方通行「このままだと、体力削り切る前にバテるに決まってンだろ。
     現に、戦っている3人はもうバテているように見えるが?」

冥土帰し「でも凄くないかい?彼女達1人1人なら、とっくにやられていたと思うよ?
     それをここまで粘るなんて。それに僕には、まだまだ行けるように見えるけどね?
     特に結標君はね」

一方通行「……」

冥土帰し「絆の力に関して、さっきは何百倍にもなる。という表現で止めたけど
     僕は何千倍、何億倍、いや無限大になると信じているよ」

一方通行「……あいつらに、絆があるとは思えねェ。それどころか因縁があるくらいだろ」

冥土帰し「この学園都市の危機の前に一致団結したのさ」

一方通行「一体あいつらに何を吹き込ンだ?」

冥土帰し「それはね――」