1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/21(土) 02:00:24.21 ID:HpQydjvt0

P「あずささん、今日もお疲れ様です」

あずさ「ありがとうございます~、プロデューサーさんもお疲れ様です」

P「今日はあずささんの名演技のおかげで一発OKでしたからね、いつもより楽させてもらってますよ」

あずさ「かなり早く終わりましたからね~、おかげでこうしてプロデューサーさんと夕飯もご一緒できますし」

P「えぇ、たまにしかこうやって出来ませんしね!いつもはコンビニと沸騰したお湯に頼り切りな生活ですから」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1342803623

引用元: あずさ「少し愛して、長~く愛して」 

 

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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/21(土) 02:14:38.80 ID:HpQydjvt0

あずさ「あら、自炊はしないんですか?」

P「独身男の一人暮らしじゃ、洗濯ぐらいが精いっぱいですよ…だからたまにはこうやってリッチなご飯を食べたいんです」


今日のお仕事は、CM撮影
本当なら夜中まで一日中かかるような予定だったけれど、監督さんに納得していただけたのか本番一回目でOKを出してもらえました
かなり早くお仕事を上がれたので、プロデューサーさんと二人きりでのご飯となりました
今日一日、いえ…数か月分のお仕事のご褒美です


あずさ「でも、このお店…なんだかとっても高そうなんですけど~…」

P「気にしなくても大丈夫ですよ!今日は頑張ったあずささんにご褒美です」


大切な人と過ごせる大切な時間、話の話題でいきなり出るのがお金の話…
大人だからこそ気にする事だと思うけれど、自分でも可愛げがあるとは思えない

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/21(土) 02:20:54.49 ID:HpQydjvt0
これが、みんななら…もっと違う、可愛げのある会話にでも持っていけるのかしら?


あずさ「それじゃあ、今日はお言葉に甘えてごちそうになります」

P「そうしてください!」

あずさ「はい、それじゃあ~…このお酒を頼んでも良いですか?」

P「気にせずじゃんじゃん頼んでください、今日は765プロの大人組で楽しみましょう!」

あずさ「はい!」


なんとなく、甘そうで可愛らしいお酒を選んでみて…それをなんとなくプロデューサーさんに見せる
自分でも意味があるかは分からない行動だけど、今はそうしたかった

4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/21(土) 02:28:22.86 ID:HpQydjvt0
P「俺は、やっぱりビールにします!」

P「ところでそのお酒、すごく可愛いですね」

あずさ「そうですね~メニューを見て、可愛かったので決めたんです」


可愛い、この一言が欲しかったのかしら?なんとなくなんかじゃなく、ただこの一言が欲しかった?


P「明るくて、薄いピンク色…なんだか春香みたいだ!」

あずさ「そう…ですね、上に乗ってるお花も春香ちゃんのリボンみたい」

P「本当だ!ますます春香に見えてきちゃいましたよ…」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/21(土) 02:37:23.71 ID:HpQydjvt0
好きな人が自分と一緒に居て、他の女の子の名前を発した時…
なんでもない会話なのに、心を刺すような痛みが走る
一緒に走り続けている仲間でもそれは感じる物みたい

あずさ「ところでプロデューサーさん…今日のお仕事の事なんですけど?」

P「今日のお仕事って、CM撮影の事ですよね?どうかしたんですか?」


どこにも表現できない焦りといら立ちを隠すための急な話題転換、といっても仕事の話なら不自然じゃないと思う
仕事の好きなこの人の事だ、きっと会話なら弾む


6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/21(土) 02:45:00.12 ID:HpQydjvt0
あずさ「私、勉強不足で知らなかったんですけど…あれは昔放送されていた物のリメイクだと聞いたんですが」

P「あぁ…それは俺がちゃんと伝えてなかったのが悪いんですよ」

あずさ「い~え、私が実際に出るお仕事なんですから自分でしっかり知っていなきゃ駄目だったんです、それで…」

P「そうですね、続編もあるかもしれませんしここでしっかりと伝えておきましょうか!」

あずさ「おねがいします」


ほら、仕事の話になったら会話が弾む


7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/21(土) 02:51:02.26 ID:HpQydjvt0
P「さっき、あずささんが言った通り…このCMは昔放送されていたもののリメイクなんですよ」

あずさ「はい」

P「だいたい30年くらい前から20年くらい前まで、当時の有名女優と著名な映画監督のタッグで作られたものだったんだ」

あずさ「すごいですね~、まるで映画やドラマみたい」

P「いや、みたいじゃなくて…もう映画やドラマそのものなんですよ」

あずさ「そのもの?」


8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/21(土) 03:01:55.96 ID:HpQydjvt0
あらあら、なんだか仕事モードの導火線に火を付けてしまったみたい

P「そう、そのもの!たかだか数十秒の中に一個の作品が出来てるんだよ!」

P「基本的には女優が部屋の中に映って、淡々とした音楽が流れるだけ…でもそれだけで完成しちゃうんだ」

あずさ「確かに、今回は別取りのナレーション以外は台詞がありませんでしたね~」

P「あとは、まぁこう言っちゃなんだけど…そこに女性の持つ独特の嫉妬心とかヒステリーさとかが絡められているんだ」

あずさ「机をひっくり返す演技なんて初めてで緊張しちゃいました」



9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/21(土) 03:10:28.34 ID:HpQydjvt0
プロデューサーさんがこんなにも目を輝かせながら話すのだから、きっと元のCMは素晴らしいものだったんでしょうね
そう考えると、少し今日の演技が不安になってきた

あずさ「プロデューサーさん?」

P「ん?どうしたんですかあずささん?」

あずさ「正直に言って、今日の私の演技…どうだったでしょうか?」


元となったCMに関わっていたのは有名女優と監督
今回の監督もかなり著名な方だったけれど、女優という面で見れば私なんかまだ駆け出し
とてもじゃないけど後世に語られるような有名女優の後を告げる立場に今は無いはず

P「本家にはまだ敵わないけれど、とても良い演技でしたよ?」

あずさ「でも、今の私じゃまだ役不足なんじゃないでしょうか?」



10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/21(土) 03:19:47.31 ID:HpQydjvt0
P「…」


ここで黙ってしまうこの男の人を、頼りない人だとは思わない
むしろ、本当に私の事を思ってくれているからこそ、言葉を選んでくれている


P「正直言って、今回の仕事が来た時…あずささんではこの役に合わないような気がしたんです」

あずさ「…」

P「別にあずささんが悪いわけじゃないんです!でも、この役にはあずささんは優し過ぎる」



わかっているようで、私の事をわかっていない
本当にわかっているのなら私の事を優しいだなんて言わない
年下の仲間に嫉妬心を覚えて、そしてプロデューサーさんと二人でいるこの時間に優越感を覚えている私は優しくなんてない


P「この役は、嫉妬心といら立ちを出してもらわなきゃならない…そう考えると」

P「決して、適役では無かったでしょう」

15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/22(日) 16:12:28.54 ID:gG2tRegb0
P「それでも、これから先のあずささんの芸能生活を考えた時…」

P「賭けかもしれませんが、きっと新しい何かが開けるはずだと思いました」

あずさ「賭け…ですか?」

P「あずささんがファンに持たれているイメージを根底から変える可能性もあるからです」


私の持っている物を根底から変えてくる程の仕事
賭けとまで意気込んで今回の仕事を得てくれたプロデューサーさんの気持ちに、私は表現という形で応える事が出来たのだろうか?

16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/22(日) 16:13:13.60 ID:gG2tRegb0
あずさ「そこまで考えていてくれたんですね~」

P「そこまで考えるのが僕の仕事ですから」

あずさ「仕事…ですか?」

P「いや、ここまで行くともう使命ですかね?」

あずさ「でも、使命とまで思いながら貰ったお仕事を…」

あずさ「私自身、しっかりとできたんでしょうか」

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/22(日) 16:14:52.56 ID:gG2tRegb0
P「さっきも言ったじゃないですか、本家の女優にはまだ敵いませんけど、それでも素晴らしい演技でしたよ!」

あずさ「それなら、プロデューサーさんの言うところの新しい何かは開けたんですか?」




何を焦っているのかは自分でもわかっている
私はきっと怖いんだ、今回の仕事を使命とまで言ってくれる彼の気持ちに応えられていないのではないと
そしてそうだとして、彼が私の事を見捨ててしまうんじゃないかと
アイドルとして始動が遅かった私よりも、これから先のある子達に彼の情熱の全てが行ってしまうと

18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/22(日) 16:15:42.67 ID:gG2tRegb0
P「それはまだわかりません、きっと俺個人では判断できないような事ですから」

あずさ「…」

P「それじゃあ少し話はそれますけど、本家CMの女優の話でもしましょうか」

あずさ「女優さんの話ですか?」

P「はい、あずささんはこのCMの女優の事は知らないんですよね?」

あずさ「そうですね~、知りませんでした」

19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/22(日) 16:29:44.12 ID:gG2tRegb0
P「この女優、もちろん俺やあずささんが生まれる前に活躍していた女優なんですが」

P「小悪魔的な容姿とハスキーボイスで若い時には男性から凄い人気を誇っていたらしいです」

あずさ「小悪魔的ですか、なんだか美希ちゃんみたいですね?」

P「まぁそれだけなら美希かもしれませんね、でもさすがに美希にお酒のCMは早いですよ」

あずさ「そうですね~」

P「まぁとにかく、それに加えて演技も印象的な物が多くて女優としてのレベルも高かったと思います」

あずさ「まぁ~…本当にすごい人だったんですね」

20: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/22(日) 16:30:25.03 ID:gG2tRegb0
P「その代償と言うか…私生活はかなりスキャンダラスな人だったみたいですけど」

あずさ「何かあったんですか?」

P「若い時には深夜遅くまで六本木で飲み歩いたり、結婚は二度したんですがどちらも長く続かなかったり」

P「何度も大病を患っていて、活動を休止する事も多かったらしいです」

あずさ「そうなんですか…」

21: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/22(日) 16:31:04.77 ID:gG2tRegb0
P「さっき俺が言った、あずささんがまだ本家には敵わないって言ったのには」

P「この辺りの人生経験の違いっていうのが大きな要因なんです」

あずさ「確かに、二回も結婚する姿はちょっと想像できませんね~…」

P「様々な恋愛や、苦楽を経験してきたからこそ…あの出来上がった演技をする事が出来たんじゃないでしょうかね?」

あずさ「恋愛や、苦楽…」



そこまで奔放な人生が送れるとは思えないわ…
まぁ恋愛なら、進行形でしているのだけれど…
この人そういうところは本当に鈍感だし

22: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/22(日) 16:31:42.63 ID:gG2tRegb0
P「あの監督の気に入りようだと、さっきも言ったように今回のCMは続編がある可能性も高いです」

P「だとしたら、このCMをあずささんの今後の芸能人生でのライフワークみたいなものにしていけたら」

P「いつか本家だって越えるクオリティが生み出せるんじゃないかと思うんですけどね!」



確かに、その人に比べるといろんな経験が足りていないのは自分でもわかる
台詞や動きの一つ一つに全て共感できるかと言えばそうでは無かったし
そもそもあの演技自体が大人の女性のそれであるのか、私にはまだわからないけれど
いつか私にもわかる時が来るのかしら?
分かった時にこの人は私の隣に居てくれるのかしら?

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/22(日) 16:32:13.31 ID:gG2tRegb0
あずさ「あの~、プロデューサーさん?」

P「なんですか?あずささん」

あずさ「プロデューサーさんは今回のCMが私のライフワークになればいいって言いましたよね?」

P「え、えぇ」

あずさ「私、きっとそれを完成させるまでには長い時間がかかるんじゃないかと思うんです」

P「はい、きっと…すぐにってわけには行かないと思います」

あずさ「だとしたら…だとしたらですよプロデューサーさん」

あずさ「その長い時間の終わりに、プロデューサーさんは居てくれますか?」

24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/22(日) 16:32:39.28 ID:gG2tRegb0
自分では思い切った話題のつもり、でもこの人はやっぱり気づかないだろうな
仮に気づいて色よい返事が聞けなかったら、その時はそう…お酒のせいにしよう


P「何言ってんですかあずささん、嫌がられたって一緒にいますよ」

あずさ「えっ…」


きっとこの人に私の言った事の真意は伝わっていない
それでもこの一言に顔を熱くさせないわけがなかった


P「俺は、アイドル三浦あずさから女優三浦あずさの最後まで全部見ますよ」

P「それが俺のライフワークになるんですから」

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/22(日) 16:33:16.67 ID:gG2tRegb0
まだ頬は熱い、耳までも真っ赤になっているんじゃないだろうか…
恋敵達に今は負けている事はあるかもしれないけど、これから先もこの人と一緒に居られる確信が持てたのは嬉しい
長い恋路になるかもしれないけれど、その長さが私にとってプラスになる



あずさ「あらあら~、他の子たちが聞いたら嫉妬しちゃいそうな一言ですね?」

P「まぁ、良い顔はしなさそうですけど…でも本当にそう思ってるんですよ」



ここまでの言葉を聞けただけで、今日の収穫は充分かもしれない
この一言だけで半年は仕事に打ち込める自信もある
あぁ…今になって少しだけあのCMのキャッチコピーの意味が分かったかもしれないわ
でも、自分だけこんなにフワフワした気持ちにさせられるのはどこか納得がいかない

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(東京都) 2012/07/22(日) 16:34:52.22 ID:gG2tRegb0
そうだ…少しくらいこの人にもフワフワしてもらおう…



あずさ「そうですか…プロデューサーさん、ありがとうございます」

P「いや、俺は感謝されるような事なんてしてませんよ!ただ、これからも宜しくお願いします!」

あずさ「はい…プロデューサーさん」


あずさ「少し愛して、長~く愛してくださいね?」


終わり