1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/23(水) 23:22:53.30 ID:1iVui3GE0
○咲-sakiのssです
○キャラ崩壊、口調が安定しない所があります
○今の季節とは逆ですが、話の中では季節は夏です
○グロは含まない(予定)です

これらが苦手な方はご注意ください

それでもよろしい方はお付き合いください



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1358950973

引用元: 蒲原「果物をつくるぞー!」衣「衣はとっても幸せだぞ!」 

 

3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/23(水) 23:24:30.96 ID:1iVui3GE0
長野県 ワハハ果樹園

ブァァァァァ!キキーーーッ!!

智美「ただいまー、ふー暑い暑い」

衣「おお、お帰り智美!今冷たい麦茶を持ってくるからちょっと待っててくれ」

智美「ありがと~、しかし今年はまた暑いな」

智美「まあおかげ果物の方も良く育ってくれるんだけどさー」ワハハ

衣「待たせたな智美、さあどうぞ!」

智美「おー、それじゃあさっそく…あー生き返る!!」ゴッキュゴッギュ!

衣「外はカンカン照りだからな、くれぐれも日射病とかで倒れないでくれよな」

智美「大丈夫!そこまで私もひ弱じゃないぞー」


4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/23(水) 23:27:40.55 ID:1iVui3GE0
衣「それで、今日の収穫の方はどうだったんだ?」

智美「うん、桃がいいのがたくさんとれたぞ!。それでこれから出荷場に持っていくからその前に休憩も兼ねて寄ったんだ」

衣「それじゃあそれが終われば今日の作業は終了か」

智美「まあまだ雑務があるけどなーっとそうだ、衣にこれを…」ガサゴソ

衣「なんだ、何かお土産でもあるのか!?」

智美「じゃーん!今日収穫した中で一番美味しそうな桃だぞー」ババァーン!

衣「おお!これはまた大ぶりで食べ応えがありそうな桃だな!」

智美「今日の夕飯のデザートにでもどうかと思ってなー、冷蔵庫で冷やして置いてもらえるか?」

衣「承知した!!しかしこんないいデザートがあるのだから夕飯もそれに見合うぐらいの豪華なものにしないとな!」

智美「わはは、それは楽しみだなー」

衣「うむ、ぜひ期待しててくれ!」

5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/23(水) 23:30:19.98 ID:1iVui3GE0
智美「それじゃあ、そろそろ出かけるとするか」

衣「分かった!道中気をつけてな」

智美「大丈夫だって、こんな所じゃ気をつけるのは動物の飛び出しぐらいだしなー」

衣「…いや、運転の方なんだが」ボソッ

智美「うん、衣―何か言ったか?」

衣「い、いや何でもないんだ、気にしなくていいぞ」

智美「それじゃあ、行ってきまーす!!」

ギュギュギュギュギュ!!ギュイィィィィィン!!!

衣「いってらっしゃーい!!」

衣「…それにしても、いつ見ても冷や冷やさせられるな。あの運転は」


7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/23(水) 23:34:00.80 ID:1iVui3GE0
ワハハ果樹園 出荷場

智美「はい、それじゃあこれが今日の分です!」

従業員「はい、じゃあちょっと待ってて下さいね、今計量しちゃいますんで…」

智美「そんなに焦らなくてもいいですよ、急いでいるってわけではないんで」

従業員「いやいや、オーナーを待たせるわけにもいけませんし」

智美「オーナーって、そんな大層な呼び方をしなくていいですよ」

従業員「…はい、計量の方は終わりましたので、後でデータをオーナーの自宅に送っておきますね」

智美「うん、よろしくお願いします」

従業員「しかし…この桃、オーナー自ら運んできてるんですよね」

智美「まあそうですね。人件費削減って訳ではないですが、自分でできる事は自分でしたいので」

従業員「そう言ってもらえると嬉しいんですが…傷一つないのがなんというか…」

智美「ワハハ、果物はいわば自分の子供みたいなもんですし、傷つけるような事はしませんよ!」

従業員「はぁ…」

従業員『…あの運転で、なんで傷がつかないんだろう…?』


8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/23(水) 23:38:24.04 ID:1iVui3GE0
智美「それじゃあ一仕事終わった事だし、帰るとしますかなー」

従業員「そうそうオーナー、オーナーにお客さんが来ているんですが」

智美「私に客…どこかの会社の人?」

従業員「いえ、そういう感じでは…若い女性の方ですが」

智美「女性?うーん、心当たりが多すぎるなー」

従業員「今は事務所の方で待ってもらってますので行ってあげてください」

智美「りょーかーい!それじゃあまた明日ー」

従業員「はい!お疲れ様です!!」


9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/23(水) 23:43:00.62 ID:1iVui3GE0
智美「さて…一体誰だろう?」ガチャ

???「久しぶりだな、蒲原。元気そうで安心したよ」

智美「ってユミちんじゃないか!いやー久しぶりだなー!!」

ゆみ「本当に久しぶりだな。考えてみたら成人の日以来か」

智美「ごめんなー、ちょっとこっちの方も色々と忙しくってな―」

ゆみ「なに、こっちも蒲原が多忙なのは知っているさ。今ではここのオーナーなんだからな」

智美「ユミちんまでその呼び方はやめてくれよー、柄じゃないんだからさ」

ゆみ「確かに、蒲原はそういう柄じゃないな」

智美「うう、そこまでハッキリ言われると傷つくな…」

ゆみ「冗談だ、蒲原はうまくやってるよ」

10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/23(水) 23:46:43.64 ID:1iVui3GE0
智美「そういえばゆみちんは今は何をやってるんだ?」

ゆみ「今は麻雀のコーチとして長野県内の高校を回っているよ」

智美「コーチか―、確かにゆみちんにはあってそうだな」

ゆみ「これでも一応麻雀プロの資格は持っているからな、まあ現役で活躍してるのには遠く及ばないが」

智美「やっぱりプロ雀士は厳しいのか~」

ゆみ「…今、プロ雀士の世界はえらい事になってるぞ」

智美「そ、そうなのか?」

ゆみ「あの全国大会のメンバーに加え、現役復帰した赤土プロや小鍛冶プロがいたりと、もうある意味無法地帯だな」

智美「それは、なんというか恐ろしいな…」

ゆみ「ああ、まさにプライドの削り合いだよ、あれは」


11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/23(水) 23:52:48.75 ID:1iVui3GE0
智美「っとそうだ、なんか長話になりそうだし、どうせならウチに来ないか?」

ゆみ「蒲原の家にか?」

智美「うん、こっからそんなに距離はないしそっちの方がいいんじゃないかな?」

ゆみ「そうだな…ではそうさせてもらうか」

智美「了解したぞー、それじゃあ車に乗って…」

ゆみ「その辺は大丈夫だ。私もここまで自分の車で来たからさ。蒲原の車の後をついていくよ」

智美「そうかー、ゆみちんももう足を必要としなくなったか…なんというか、寂しいもんだなー」

ゆみ「まあ、長野で生活するためには必要だしな」

智美「それならさっそく行くとするか!」

ゆみ「そうだ、あまりスピードは出さないでくれよ。なにしろ初めて行く所だから…」

智美「大丈夫だって!じゃあいくぞー」

ボボボボボボボォォォォォ!ギュイィィィィィン!!

ゆみ「……」

ゆみ「…運転だけは、相変らずなんだな」ハァ


12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/23(水) 23:56:11.18 ID:1iVui3GE0
~ ~ ~

智美「おーし、到着~っと」

ゆみ「ここか…なかなかいい家じゃないか」

智美「まあ2人で済むには十分すぎる大きさだな」

ゆみ「それじゃあ、お邪魔します」

智美「お邪魔してくれ―」

衣「おかえり智美、お客様かー?」

智美「そうだぞー、それでなんだけど後でお茶を持ってきてくれるか?」

衣「了解したぞー!」

智美「じゃあゆみちん、こっちの部屋だ」

ゆみ「なるほど、なかなか仲良くやってるみたいだな」

智美「もちろん!一応夫婦だしなー」

ゆみ「そうか…そういえばそうだったか」

13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/24(木) 00:00:53.72 ID:azRbwegC0
蒲衣邸 応接室

智美「さて、ユミちん。他になんか用事があったんじゃないのか?」

ゆみ「…まあ、久しぶりに蒲原の顔が見たくなったという方が大きかったんだが、ちょっとモモから頼まれごとをしてな」

智美「あれ、たしかユミちんってモモと同棲してるんだっけ?」

ゆみ「…改めてそう言われると恥ずかしいな///」

智美「いやいや深い意味はないんだぞー仲いい事はいいじゃないか」

ゆみ「まあそのモモからな、『ワハハ果樹園のモモを一度でいいから食べてみたいっす!』ってせがまれてな…出来たら少し譲ってもらいたいんだが」

智美「なんだ、そんな相談かー。だったら電話で言ってくれればすぐに送ったのに」

ゆみ「いやいや、忙しい中そこまで手間をかけさせる訳には…っていうか蒲原、お前は知らないのか?」

智美「?何をだー」

ゆみ「その調子だと本当に知らないみたいだな…ワハハ果樹園の評判だよ」


14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/24(木) 00:05:03.35 ID:azRbwegC0
智美「評判?そんなの気にした事もないなー」

ゆみ「あのな…『一口食べればワハハがこぼれる!』っていうぐらいお前の所の果物は美味くて評判がいいんだぞ」

ゆみ「評判だけじゃないな、東京の高級フルーツ店に並んだり海外に輸出されたりと…それをなんでお前が知らないんだよ」

智美「そういうのは全部龍門渕グループに任せてるからなー、私はただここで果物を作るだけさ」

智美「それにそういうのも龍門渕グループが宣伝してくれてるからだと思うぞ?」

ゆみ「…いくら宣伝しても肝心の味が悪ければ誰も買わないだろうが」

智美「そう言われればそうだな。まあいつでも笑顔で作ってるおかげかもなー」ワハハ

ゆみ「ずいぶんと非科学的な意見だな」

智美「いやいや、果物の方も人の気持ちを感じ取るんだよ、きっと。笑いかければ甘くなって、逆に不機嫌にやってれば渋くなったりってね」

ゆみ「…うん、蒲原を見てるとそれが正しい気がするよ」


15: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/24(木) 00:10:43.79 ID:azRbwegC0
衣「失礼します。麦茶をお持ちしました…って!」ガチャッ

ゆみ「ああ、ありがとう」

衣「お前は確か敦賀学園の大将の…!?」

ゆみ「覚えててくれたか、天江」

衣「もちろんだとも!あんな最高の対局をしたメンバーを衣が忘れるわけなかろう!!」

ゆみ「それは光栄だな。まあ私も忘れる事はないとは思うが」

衣「いや懐かしいなー。そうだ、どうせならこの後一局していかないか?」

ゆみ「悪い。ちょっと今日はこの後用事が入っていてな…時間が作れそうにないんだ」

衣「そうか…残念だな」

ゆみ「そう残念がるなって、今度は他のメンバーも連れてくるからさ」

衣「…本当か!?」

ゆみ「もちろんだとも。その時に全力でやろうじゃないか」

衣「分かった。それじゃあ楽しみにしているぞ!!」

ゆみ「ああ、楽しみにしていてくれよ」

智美「ワハハ~、なんか完全に空気だぞー」


16: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/24(木) 00:14:08.84 ID:azRbwegC0
衣「それじゃあ敦賀の、少しでもゆっくりしていってくれ」

智美「ああ、そうさせてもらうよ」

衣「では、衣はこれで失礼するぞ」ガチャリ

智美「衣のやつ、麻雀の話になると相変らずああなっちゃうからなー」

ゆみ「いいじゃないか、それだけまだ麻雀を愛してるって事だろ?」

智美「そうなんだけど…たまに付き合わされると疲れるんだぞ」

ゆみ「ちなみに、天江の方は実力は落ちてたりするのか?」

智美「まさかー!何回も飛ばされる身にもなってくれよー」

ゆみ「…ご愁傷さまとしか言えないな」

智美「そのおかげで、私も少しは強くなっているみたいなんだけど…衣とやってると実感が湧かないんだよ」

ゆみ「案外プロと互角に戦えるんじゃないか?」

智美「まさか!ゆみちんも過大評価しすぎだって」

ゆみ「ははは、そうだな。悪い悪い」

ゆみ『…こんど他のメンバーをを連れてきて、この二人に全く勝てなかったら…どうするか』

17: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/24(木) 00:19:07.57 ID:azRbwegC0
ゆみ「しかし、2人ともなかなかサマになってるじゃないか」

智美「そうか?確かに身体を動かす事は嫌いじゃないしなー」

ゆみ「うん、蒲原は事務仕事とかよりもそっちの方が似合ってるぞ」

智美「まあ生活するためには働かない訳にはいかないしな、それに衣も頑張ってくれてるし」

ゆみ「まさかあのお子様があんなに主婦業をこなすとは…前の姿からは想像もつかないな」

智美「主婦業だけじゃなくて、ネット上での宣伝とか経理とかもやってくれてるんだぞ!」

ゆみ「お前が威張るな」

智美「ゆみちんは相変らず手厳しいなー」ワハハ


18: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/24(木) 00:22:34.59 ID:azRbwegC0
ゆみ「しかし…あれから五年も経つのか」

智美「なんだ、ユミちんが昔の事を思い出すなんて珍しいなー」

ゆみ「お前は私をなんだと思ってるんだ」

智美「冗談だって、で、何が五年も経つんだ?」

ゆみ「…蒲原が大学を辞めてだよ。というか分かっているんだろ?」

智美「そうか…もうそんなに経つのか~いや、実感が全くないなー」

ゆみ「まあ大学を辞めるだけならまだしも、それと同時に天江との婚約だったしな。…形だけだったにせよ、忘れるわけがないだろう」

智美「……」

ゆみ「もっとも、私よりも蒲原の方が印象に残ってるだろうけどな」

智美「…うん、あの時はそれしかないと思ったからさ…」


19: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/24(木) 00:25:05.77 ID:azRbwegC0
今日はここまでです

前のスレで『もう蒲原と衣は結婚しちゃいなよ』的なレスがあったので結婚させてみました
後悔はしていないです。

二人が不幸にならない(ある意味)異質なスレですが、まあ楽しんでくれればありがたいです

それでは、また

25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/24(木) 23:30:38.76 ID:azRbwegC0
~五年前 龍門渕邸~

智美「衣が…結婚!?」

透華「ええ、正確には婚約ですけど、ほぼ確定したようなものですわね」

智美「な、なんで急に…だってまだ衣は高校を卒業するかって時なんだぞ?」

透華「お父様は最低でも高校を出てればいいと言っていますの」

智美「そんな…まだ大学だって色々とあるじゃないか!それなのになんで」

透華「『衣にとっていい条件の人がいたから、相手方の気の変わらない内に婚約しなさい』とお父様は言っていましたが、要は厄介払いみたいなものですわ」

智美「厄介払い!?衣を一体なんだと思ってるんだよ!?」

透華「…お父様からしてみれば、衣は今でも不気味な子なのですよ」

26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/24(木) 23:36:57.62 ID:azRbwegC0
透華「もちろん私たちは…いえ、智美さんもでしょうが、そんな事は思わないでしょうが父は衣の底知れぬ力を恐れています」

透華「恐らくは近いうちに何らかの形で衣が龍門渕に悪影響を与えると、そう信じ込んでいるんでしょう」

透華「だから高校を卒業して、すぐに結婚してもらってここから出ていってほしいんですよ」

透華「さらに龍門渕にとってプラスとなる相手と結婚してもらえれば万々歳…恐らくそう思っているんですよ」

智美「…相手方は、どんな人なんだ?」

透華「私も調べましたけど、とてもいい人ですよ」

透華「家柄、学歴、趣味、その他諸々…合格点以上です」

透華「衣が気にいるかは別としても、父が勧めるだけあって申し分ない人ですよ」

27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/24(木) 23:43:11.20 ID:azRbwegC0
智美「気にいる…そうだ!相手が衣を気にいらないっていう場合も」

透華「多分それはないと思います」

透華「いえ、たとえ気にいらない点があったとしても、相手方は龍門渕という後ろ盾翌欲しさに多少の事には目をつぶると思います」

智美「それって…完全に!!」

透華「ええ、政略結婚ですね」

智美「それで、衣はどうなんだ。やっぱり反対してるのか?」

透華「…衣は、この婚約に乗り気です」


28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/24(木) 23:56:37.17 ID:azRbwegC0
智美「乗り気…!?なんでだ」

智美「なんでこんな裏しかない婚約を…受け入れようとしてるんだ!!」バン!

透華「落ち着いてくださいまし、衣には衣なりに考えての事だと思いますわ」

智美「考え…?」

透華「…あなたも知っているとは思いますが、衣は前に自分の両親を事故で無くしています」

透華「その後、龍門渕家で衣を引き取りましたが、衣はその事を今でも気にしてるのかと」

透華「今回の事はきっと、あの子なりの恩返しだと思いますわ」

智美「そ、そんな…」

透華「私も決していいとは思えませんけど、本人が言うのだからこちらからは否定もできません」


29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/25(金) 00:03:10.49 ID:t34rPAHh0
智美「それじゃあ…自分の、衣の気持ちはどうなるんだよ!!」

透華「衣の事ですから、恐らくはずっと気持ちを押し殺して過ごすかと…」

智美「それが…衣の幸せなのか?」

透華「…私も心配してるんです」

透華「気持ちを押し殺しすぎた衣が、前みたいになってしまうんじゃないかと…」

智美「前みたいに?」

透華「智美さんは知らないと思いますが、私たちが初めて衣にあった時、あの子はまるで人形のようでしたわ」

透華「感情もない、糸の切れたマリオネットのような…少しでも手を触れたら壊れてしまいそうな…そんな危なっかしい状態でしたの」

透華「更に衣を恐れた父が別宅に衣を閉じ込めた事によりその態度は更に硬化していきました」

透華「今では明るく振舞っていますが、衣にはそんな時期があったんです」


30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/25(金) 00:08:18.21 ID:t34rPAHh0
智美「じゃあ…このままだとまた衣はそんな風になるかもと…?」

透華「…確証はありません、けど…」

智美「じゃあ、なんで止めようとしないんだよ!」

透華「…いくら私でも、婚約なんていう重大な事を変えられるほどの力はないですわ!!」

透華「あなたに分かります!?そんな風になると分かっていても、何もできない私のこの無力さが!」

透華「分かっています、分かっていますけど…どうしようもないんですのよ…」グスッ

智美「……悪い、つい怒鳴っちゃって」

透華「…いえ、あなたの気持ちを考えれば怒鳴るのは当然だと思いますわ」


31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/25(金) 00:14:12.01 ID:t34rPAHh0
智美「…衣、私には何にも言ってくれなかったんだ」

智美「そんな大事な話なら、真っ先に私に言ってくれてもいいのに…」

智美「けど、今日透華さんから聞かされるまで、何も知らなかったんだよ」

智美「ワハハ…笑うしかないよなーこれって」

智美「私って、衣にとってそれだけの存在だったんだろうなー」

透華「智美さん。それは違いますわ」

透華「先ほど、衣がこの話に乗り気だといいましたが…智美さんの話をしようとすると、いつも黙り込んでしまうんです」

透華「というよりは、智美さんに知られてるのを恐れていたのかもしれません」

智美「…?」

透華「分かりませんか?衣はあなたの事が好きだからですよ」


32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/25(金) 00:20:28.03 ID:t34rPAHh0
智美「衣が、私の事を…!!」

透華「…もしこの話があなたに知られてしまったら、もしかしたら嫌われてしまうのではないか」

透華「いや、嫌われないにしても、今までみたいな関係はなくなってしまうんじゃないかと…」

透華「当然といえば当然ですわ。結婚した相手を無理に連れまわすなんて事、あなたが出来るはずがありませんからね」

透華「だから衣は黙っていたんですよ」

透華「智美さん、あなたを失いたくないから…!!」

智美「……」

透華「あなたと出会ってから、衣は変わりました」

透華「いえ、変わったというより成長したといった方が正しいかもしれません」

透華「…少し癪に障りますが、あなたといる時の衣の表情、とてもいいものでした」

透華「私たちといる時とは違う…言うなれば恋人に見せるような表情でしたわ」


33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/25(金) 00:25:54.84 ID:t34rPAHh0
智美「じゃあ…なんで私は…」

智美「衣が…苦しんでる事に気付けなかったんだよ…!」

透華「……」

智美「…無理を承知で聞きたいんだけど」

透華「…はい」

智美「その婚約、取り消すって事は…」

透華「できませんね、少なくとも衣本人が了承しているんですもの。部外者が口をはさめるものではないですわ」

智美「じゃあ…」

透華「けど、もしも衣が…」

透華「衣が、誰か他のと婚約したいと、心から思っているのでしたら、可能性はあります」


34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/25(金) 00:29:26.20 ID:t34rPAHh0
智美「あるのか、少しでも可能性が」

透華「ただ、問題は衣を心変わり出来るほどの相手がいるか…この一点ですね」

智美「それってつまり…」

透華「…私からはこれ以上言えません」

智美「……衣は?」

透華「部屋にいますわ。ちなみに智美さんがいる事は衣は知りません」

智美「ありがとう、それじゃあ…行ってくる」ガチャ

透華「……」


35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/25(金) 00:35:32.95 ID:t34rPAHh0
一「…透華、これで良かったの?」スッ

透華「一、聞いていましたの?」

一「ゴメン、けどどうしても気になっちゃって…」

透華「…私も気持ちは智美さんと同じですわ」

透華「衣が政略結婚の犠牲になるのは、見ていられませんから…!!」

一「後はまあ、衣がどう出るかだよね」

透華「…正直、この後どうなるかは見当もつきません」

透華「けど、もしも衣が自分の気持ちに正直になってくれれば…やりようはいくらでもあります」

一「逆に、衣が最後まで龍門渕の事を考えて婚約の事を守ろうとした場合は」

透華「……その時はその時、諦めるしかないでしょう」

透華「けど、あの二人の気持ちが本物なら…きっと大丈夫ですわ」

一「…うん、そうだね」




37: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 00:08:30.35 ID:QZRXj9IB0
竜門渕別宅 衣の部屋

コンコン

衣「はーい」ガチャ

智美「おー衣、久しぶりだなー」

衣「智美!?どうしたんだ、連絡もなく急にやってくるなんて」

智美「ドッキリっぽくしてみたんだぞ、驚いたかー?」

衣「そりゃあまあ、いきなり来られれば誰だって驚くさ」

智美「ははは、ドッキリ大成功だな!」

衣「もう、一体何なんだよ~」


38: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 00:11:40.40 ID:QZRXj9IB0
智美「ワハハ、ところでこの大量のドレスは一体何なんだ?」

衣「それか!?あー、それはだな…」

智美「…ひょっとして、婚約の時に着る衣装なのか~?」

衣「!!!智美、まさか…」

智美「…うん、ここに来る前に透華さんから聞いたよ。衣、婚約するんだってな」

衣「……うん」

智美「いや~、ユミちんとかに先を越されるんじゃないかとおもっていたけど、まさか衣に先を越されるなんて想像もしなかったぞー」

衣「…ああ、どうだ!さすがに智美でも驚いただろ?」

智美「そりゃあもう!だからさっきのドッキリを仕掛けたんだ」

衣「全く、智美は子供っぽいな」

智美「見かけが子供の衣に言われたくはないぞー」

衣「うるさーい!!」


39: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 00:16:09.97 ID:QZRXj9IB0
智美「しかし、すごい数のドレスだなー、和洋中、何でもあるじゃないか」

衣「透華の父上が用意してくれたんだぞ!人生で一度きりの事なんだから心の無いように思い切りやってくれだってさ」

智美「そうかー、ずいぶん優しいんだな」

衣「うん、それで今ドレスの品定めをしていた所だ」

智美「けど、衣が着たらどれもこれも発表会みたいな感じになりそうだけどな」

衣「はいはい、どうせ衣は幼児体型だぞ!何か悪いか!?」

智美「冗談だって、しかし衣が結婚するとなるともう今までみたいに出かけたりはできなくなるんだろうなー」

衣「…うむ、嫁ぐという事はつまりそういう事だからな」


40: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 00:19:38.30 ID:QZRXj9IB0
智美「いやー、今思い出しても楽しかったなーって思うよ、ホントに」

衣「そうだな、確かに色んなところに行ったな…智美のヘタクソな運転でさ」

智美「ヘタクソは余計だぞ、それに衣もそんな運転を楽しがっていたじゃないか」

衣「うん…本当に楽しかったぞ」

智美「ほら、2人で龍門渕に何の連絡も入れずに北海道まで行った事を覚えているか?」

衣「ああ、散々透華達に怒られた時の事だろ?」

智美「まさか帰ってきてみたら、衣専用の捜索隊が出てるなんて思いもしなかったしな」

衣「智美は危うく誘拐犯で逮捕される所だったし」

智美「あの時は思いつきの行動なんてするもんじゃないって心から思い知らされたぞ…」ワハハ

41: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 00:26:35.97 ID:QZRXj9IB0
衣「他にも花火を見にいったりもしたな」

智美「花火だけじゃなく、色んな祭にも参加したっけ」

衣「うん、なにしろ衣はあまりああいう祭りに行った事が無いからな」

智美「衣、どこ行ってもものすごーくはしゃいでたよな」ワハハ

衣「むぅ、何故祭りの屋台というのはあんなに気になるものなのだろう…」

智美「それが祭りの魅力さー。まあそれ以外にも紅葉を見にいったり、温泉に浸かりにいったり…本当に色々とやったなー」

衣「うん、どの思い出も今でも昨日の事のように思い出せるぞ!」

智美「けど、もうそういう無茶も出来なくなっちゃうんだよな…」


42: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 00:29:07.95 ID:QZRXj9IB0
衣「…まあ、仕方ないさ」

智美「……」シュン

衣「そ、そんなしけっぽい顔をしないでくれよ、智美はいつもみたいに笑っているのが似合ってるんだからそんな顔されると反応にこまってしまうぞ」

智美「…衣は」

智美「…衣は、本当にこれでいいのか?」

衣「……」

智美「この婚約、私がいうのもあれだけど衣は望んでいないと思うんだ」

衣「…なんでそう決めつける?」

智美「なんとなく。ただ、私にはわかる。だって衣、全然嬉しそうじゃないもん」

智美「確かに表面上は嬉しそうにはしてるけど、少なくとも私といる時にはそんな顔はしなかった」

智美「…衣は今、心から笑ってない」


43: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 00:33:07.58 ID:QZRXj9IB0
衣「…そんな事はないぞ」

智美「嘘だ!」

衣「嘘じゃない!」

智美「じゃあ、衣は相手の人のどういう所が気にいったのさ」

衣「それは…頭もよさそうだし、何より優しそうな人だったし…」

智美「やっぱり違う!!衣はそんな所は気にしないはずだもん!!」

智美「衣が大事にする所はそんなところじゃない、衣が心から信頼できるかどうかでしょ」

智美「そんな額面通りな所を衣が気にするはずはない!!」バン!

衣「…っ!」


44: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 00:38:05.58 ID:QZRXj9IB0

智美「…ねえ衣、衣の気持ちを正直に話してよ。いやならいやってもいいんだよ…」

衣「……」

智美「私じゃ頼りにならないかもしれないけどさ、衣が不安なら相談になってあげたいんだ」

衣「……嫌さ」

衣「私だって、本当はこんな事はしたくないよ…」ジワッ

智美「衣…」

衣「けど、遅かれ早かれこうなる事は分かっていたんだ」

衣「私は龍門渕家からしてみたら異質な存在。いずれ排除されるのは覚悟してたさ」


45: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 00:43:14.26 ID:QZRXj9IB0
衣「更に今回、透華の父上からの紹介ときた。…私を救ってくれた人の好意を否定する訳にはいかないだろ?」

衣「それを否定したら、龍門渕家に対する完全な裏切りとなってしまう」

衣「衣はそれはしたくないんだ。何より透華達には返しきれないほどの恩もあるしな」

衣「だからこれは運命。衣はそう受け止めた」

智美「運命なんて…そんな」

衣「智美に黙っていたのは悪かったと思う。ゴメン。ただ…全部が終わってから話したかったんだ」

衣「智美には特に…心配をかけたくなくて」

衣「私のワガママにも付き合ってもらったし、色んなところに連れていってもらったし」

衣「智美は私が知らなかった世界を見せてくれたんだよ」

衣「だから…言いたくなくなかったんだ」


46: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 00:46:42.88 ID:QZRXj9IB0
衣「もしこの事を言ったら、私から離れていくんじゃないかと思うと…」

衣「もし智美に嫌われたら、衣は、衣は…!!」ポロッ

智美「衣…泣いてるの?」

衣「泣いてる?不思議だな…なにも悲しくないのに」

衣「そう、悲しくないはずなんだ…けどなんでだ?」ポロポロ

衣「なんで涙が止まらないんだろう…智美?」ポロポロ…

智美「衣!!」ギュッ

衣「!!!」

衣「…同情か?憐れんでいるのか?」

衣「だったら結構だ。むしろ困る…せっかくの決意が鈍りそうだ」

智美「違う、同情なんかじゃない。これは…私の気持ちだ!」


47: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 00:50:00.45 ID:QZRXj9IB0
智美「もうこうなったらハッキリと言う。私は衣が誰かと婚約するなんていやだ!」

智美「衣の事情なんか知らない、私は衣と離れたくなんてない」

衣「智美…」

智美「それに…衣の辛い顔を見るのはもっと嫌だ!!」

智美「だから…衣も素直になってよ…」

衣「…!ああ、言ってやるぞ!!」

衣「私もこんな婚約は嫌だ!!好きでもない人との結婚なんてしたくない」

衣「もっと色々なところを智美と2人で見たいし、出来る事ならずっと一緒に過ごしたい!」

衣「けど…もうどうしようもないんだよ…」


48: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 00:54:47.97 ID:QZRXj9IB0
智美「じゃあ衣、逃げよう!!」

智美「そんな嫌な事を無理にする事なんてない、2人でどこかに逃げちゃおうよ」

智美「大丈夫、後の事は透華さん達が上手くやってくれるよ…多分」

衣「…智美は、それでもいいのか?逃げるなんて簡単なことじゃないぞ」

智美「もちろん、大変なのはわかってるけど衣と一緒ならどこまででも行ってやるぞー!」

衣「…ありがとう、智美」ギュッ

智美「まあ、惚れた弱みってやつかもな―」

衣「なっ///!」

智美「ワハハー、じゃあ、気付かれない内にさっそく逃げようか」ガチャ

透華「…残念ですけど、そんな計画を見逃すほどこっちもそこまで甘くはないですわ」


49: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 00:57:18.35 ID:QZRXj9IB0
衣「と、透華…」

智美「…ゴメン、立場的に辛いのは分かるけど通してくれないか?」

透華「そこで私がはいとでもいうと思います?」

衣「透華…どうしても駄目か」

透華「この件に関しては衣だけではなく龍門渕家が関わっていますから」

智美「じゃあ…さっき言った可能性っていうのは嘘だったのか!?」

透華「落ち着いてください智美さん。まずはこちらの話を聞いていただけませんか?」

衣「……うん」

50: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 01:01:46.62 ID:QZRXj9IB0
透華「まず、あなた達がしようとしていた逃げるという選択肢ですが、これは却下です」

透華「これでも龍門渕家はそれなりの情報網を持っています。たとえ何処へ逃げたとしても早ければ三日、遅くとも一月もあれば見つけ出してしましますわ」

透華「もちろんその後の事は…非常に厄介な物になると思います」

透華「次に衣の縁談を破談にする選択肢。正直なところこれも難しいですわ」

透華「今から反対した所で、一時の気の迷いとして相手にされない可能性が高いです。衣も仮にも一時的には婚約を望んだ訳ですから」

透華「まあ正当な理由があれば話は別でしょうけど…」

智美「じゃあ結局ダメなんじゃないか!!」

透華「ですから、こちらから一つ提案させてもらいたいんです」

透華「これが上手くいけば…多分衣の婚約の話はなくなると思います」

51: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 01:07:43.83 ID:QZRXj9IB0
衣「そんな方法が、あるというのか…?」

透華「…ただ、これを実現させるには2人にかなりの負担を強いる事になりますわよ」

智美「衣が助かるなら何でもいいさ!それで、その方法というのを教えてくれないか?」

透華「それでは、こちらを見ていただけます?」バサッ

衣「なんだこの書類は」

智美「龍門渕系列果樹園設立概要…?」

透華「まだ書類の段階ですが、近いうちに龍門渕系列で果樹園を経営するプロジェクトができる予定です」

透華「それで、この果樹園のオーナーを智美さん。あなたにお願いしたいんです」

智美「…はぁ!?」


52: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 01:12:41.14 ID:QZRXj9IB0
智美「…はぁ!?」

透華「予想通りの反応ですわね」

智美「いやいや、流石にそんな急にオーナーになってもらいって言われてもさ」

透華「もちろん、サポートの方は龍門渕の方でさせていただきますわ」

智美「それにしても、オーナーって…」

透華「それで衣、あなたには智美さんのマネージャーとして仕事をしてもらいます」

衣「衣がマネージャー!?」

透華「ええ、2人で一つのプロジェクトを進めていってほしいんですの」


53: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 01:14:20.54 ID:QZRXj9IB0
智美「…にしても、これと衣の婚約がどうつながるっていうんだ?」

透華「そうですね、あなた達にはこのプロジェクトと同時に婚約をしていただきます」

透華「…こうすれば、父に説明する際の正当な理由にはなりますから」

智美「」

衣「」

透華「まあまとめますと、龍門渕が関われる形で仕事をしてもらい、父の説得のために2人には婚約してもらいたいと…そういう事ですわ」

智美「…ゴメン、話しが飛び過ぎてて何が何だか分からないんだが…」

衣「うん、衣も混乱してる」


54: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 01:18:49.71 ID:QZRXj9IB0
透華「…こうするしかない理由はいくつかあります」

透華「第一に父を納得させるだけの理由づけです。流石に衣が他の人と婚約したと言ってしまえば、父も無理強いはさせないはずです」

透華「第二に家柄です。父はかなり家柄を気にするたちですが、自分の関わってるプロジェクトの担当者となればそこまで否定はしないでしょう」

透華「…まあ性別の点では間違いなく言われると思いますけど」

智美「そ、そうだよな…やっぱり」

透華「けど安心して下さいまし。父への説得は私が直接やらせていただきます」

透華「流石に実の娘が説得すれば多少の無理はきくはずですし…」

衣「…けど、後で透華の立場がわるくなったりするんじゃないか?」

透華「そうかも知れませんわね。けど、それよりも…」

透華「衣を苦しめる事の方が、もっともっと辛いですからこれぐらいの事は何とでもないですわ」



55: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 01:22:25.55 ID:QZRXj9IB0
衣「透華…」

透華「それよりも問題はあなた達ですわよ」

透華「もしこれをやろうとした場合、もうあまり時間はありません」

透華「智美さんは…辛いでしょうが大学を辞めてもらって、本格的にプロジェクトに参加してもらう事になりますし」

透華「衣も卒業と同時にマネージャーとしての勉学に励んでもらう事になります」

透華「いい意味でも悪い意味でも、間違いなく今までと生活は一変しますわよ」

透華「…あなた達に、それができる覚悟はありますか?」

智美「……」

衣「……」


56: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 01:25:38.69 ID:QZRXj9IB0
智美「…まあ私は、大学に行ったからといって特に将来何になりたいとかはなかったからさー、別にやめる事には抵抗はないぞー」

智美「それにどっちかって言ったら、果樹園とかで身体を動かしていた方か自分には向くと思うからさー」

智美「それにずっと衣ともいれるみたいだし…私は後悔はしないぞ」

智美「それよりも衣が辛そうにしてる姿を見る方が私には耐えられそうにないしな」

透華「…そうですか」

衣「…衣も」

衣「…衣だって、後悔する訳が無いだろう!!」

衣「いいだろう、衣は自分の思ったままに生きてやる」

衣「マネージャーでも何でもやってやるし、智美との婚約も望むところだ!」

衣「衣は…智美と共に生きる!」

智美「衣…」

57: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/27(日) 01:29:00.37 ID:QZRXj9IB0
透華「…決まりですわね。ハギヨシ」パチッ

ハギヨシ「ここに」スッ

透華「プロジェクトの内容整理から父の説得…これから忙しくなりますわよ」

ハギヨシ「お任せください、私にできる事でしたら何でもやらせていただきます」

透華「頼もしいですわね」

ハギヨシ「なにより、お二方の幸せのためですからね」

衣「…けど、本当にいいのか、智美」

智美「…衣こそ、私なんかでいいのか?」

衣「…もちろんだ!!」

智美「私もだよ、衣」

智美「まあ色々と失敗とかするかもしれないけど…これからもよろしく」

衣「こっちこそ、迷惑をかける事も多くあるだろうが、よろしく頼むぞ…」

智美「ワハハ…衣」

衣「智美…」

「「大好き」」


60: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:36:46.40 ID:gcFubt6N0
~ ~ ~

ゆみ「…あの時は、本当に冗談だと思ったんだがな。蒲原が大学を辞めるなんてさ」

智美「ワハハ、まあ普通そうだよなー」

ゆみ「更に天江と婚約だなんて…理由を説明されるまでは全く理解ができなかったな」

智美「あの時はみんなユミちんと同じ反応をされたなー、いやー懐かしい」

ゆみ「それに、蒲原が大学を辞めた後はこっちもほとんど会わなかったしな」

智美「会わなかったというか、こっちも色々とやる事が合って会えなかったんだぞー」

ゆみ「やる事というと、やっぱり果物の育てるのに関係した事か?」

智美「そりゃあもう、育て方から品質の管理、その他諸々詰め込まれたなー。正直大学の勉強の方が簡単だと思ったぐらいだぞ」ワハハ

61: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:47:06.14 ID:gcFubt6N0
ゆみ「そういえば蒲原が忙しかった間は天江の方はどうしていたんだ?」

智美「衣の方も同じく事務方の勉強と…花嫁修業?をしてたらしいぞ」

ゆみ「花嫁修業?」

智美「衣も龍門渕家から離れるし、今までみたいにメイドにやってもらうこともできないからっていう事で透華さん直々に教えたらしいんだ」

ゆみ「あのお嬢様がか…想像がつかないな」

智美「なんだかんだ言って衣を溺愛していたからなー」

ゆみ「さしずめお母さんといったところか」

智美「…まあそんな訳でお互いにやることも色々とあったから、あんまりユミちんとかに会えなかったんだよ」

ゆみ「いや、事情が事情だから仕方ないだろう」

智美「そのおかげで今は2人で滞りなく生活出来てるしなー」

ゆみ「それどころか大繁盛だろ。龍門渕家の協力があるにしても普通にすごいぞ」


62: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 21:55:26.35 ID:gcFubt6N0
智美「ワハハ、しかしこのご時世に本当にありがたい事だよなー」

ゆみ「そういえば、2人は結婚式とかはやっていないのか?龍門渕の事だからド派手なのをやるかと思ったんだが」

智美「そういえば…まあお互いに忙しかったしそれどころじゃなかったし。というよりそんな行事があったのか」

ゆみ「蒲原、お前…」

智美「まあ思い出しただけでよしとしてさ、そろそろユミちんの目的でもある桃を収穫にでも行ってくるかな」ヨイショット

ゆみ「悪いな…一応代金の方は用意してきたんだがこれで足りるか?」

智美「なにを言ってるのさ、私とユミちんの仲だろー。そんなのいらないって」

ゆみ「いやしかし、他で買えばかなりするし…」

智美「いいからいいから!遠慮しないで持ってけドロボー」

ゆみ「ドロボーは余計だ。けど、ありがとう」

智美「どういたしましてー」ワハハ

63: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 22:02:17.19 ID:gcFubt6N0
~ 数十分後 ~

ゆみ「…蒲原、これは」

智美「なにって桃だけど、見て分からないか~?」

ゆみ「いや、分かる。桃ってのは見て分かるんだけどさ…」

桃「」ドザーーー!!!

ゆみ「なんなんだこの量はーーー!!!」

智美「いやー、モモのやつがどれだけ食べるか分からないからさ、とりあえず多めに用意したんだけど足りなかったか?」

ゆみ「いや、いくら大食であってもこの量は食べられないぞ…っていうか本当にいいのか?」

智美「いいさ、それに食べきれなかったら近所の人にお裾分けでもしてあげなよ」

ゆみ「…本当に何から何まですまんな、押しかけて来た身なのに」

智美「気にするなって、それよりも今度来るときは他のみんなも連れて来てくれよなー」ワハハ


64: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 22:11:54.57 ID:gcFubt6N0
ゆみ「ああ、分かってるさ。それじゃあモモも待ってる事だしここらで帰らせてもらうかな」

智美「おお、じゃあ気をつけて帰ってくれ」

ゆみ「大丈夫だ、私は蒲原ほど激しい運転はできないからな」

智美「んー?それってどういう意味だ~?」

ゆみ「冗談だよ、それじゃあ…またな」

智美「ああ、またなー!!」

ブロロロロロ…

衣「なんだ、敦賀の大将はもう帰ってしまったのか?」ヒョコッ

智美「まあ向こうも色々とあるんだよ」

衣「そうか…まあまた次があるか。それより智美、夕餉の支度が整ったぞ!」

智美「おお!で今日の夕飯はなんなんだ―?」

衣「ふっふっふっ、今日は衣特製のタルタル御膳だ!」

智美「わー、名前の通りタルタル尽くしなのか」

衣「もちろんだ、それじゃあ冷めないうちに食べるぞ」

智美「了解だ―!」

65: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 22:25:11.59 ID:gcFubt6N0
~ ~ ~

智美「ふぅ、ご馳走様でした」

衣「お粗末さまでした。っとそうそう、デザートに智美が昼に持ってきてくれた桃があるぞ」

智美「ああそういえばあったなー。で、どこにあるんだ?」

衣「冷蔵庫の中だ。器に二つ入ってるから衣の分も出しといてもらえるか」

智美「はいよー」ガチャッ

衣「智美は咲に食べててくれ。衣はちょっと洗いものを済ませてしまうからな」

智美「それじゃあ遠慮なく…うん、流石私が育てただけあって甘いぞ!」モグモグ

衣「そうか、それは楽しみだな」

智美「うん、ちょっと足りなそうだから衣の方から少し」

衣「…智美?」ゴゴゴゴゴゴ

智美「じ、冗談だぞ…」


66: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 22:42:46.55 ID:gcFubt6N0
衣「…うん、とっても甘くておいしい!」ムシャムシャ

智美「何てったって今日取れたばっかりだからな!!」

衣「やはり果物は取れたてのものが一番だなー」

智美「しかし、衣も洗いものとか料理とか家事をこなせるようになったんだなぁ」

衣「むー、なんだその言い方は?」

智美「いや、正直に言うと一緒に暮らし始めた時はさ、衣には無理なんじゃないかと思ってたから」

衣「衣を馬鹿にするな!これぐらいの事ができない訳ないだろう」

智美「といいつつも、初めの頃は結構失敗してたけどなー」

衣「うぐっ!?」

67: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 22:52:56.58 ID:gcFubt6N0
智美「まあ何にせよ、衣には他にも色々とやってもらってるし本当に感謝しているよ」

衣「…?どうしたんだ智美、急にそんな事言いだすなんて」

智美「…いや、いきなりこんな話をするのもなんだけどさ…今日ユミちんと話しをしながら思ったんだけど、私たちって…結婚式をしてないよね」

衣「まあそうだな。龍門渕家でやってくれるとは言ったけど、その時は2人ともそれどころじゃなかったし、いざ仕事を始めるとそんな余裕もなかったしな」

智美「それでなんだけど…今は少し余裕も出てきたしさ、正式に結婚式を挙げないか?」

衣「…え?」

智美「もちろん私のガラじゃないのは分かってるんだけど…衣のためにやってあげたいーって思って」

衣「……」


68: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 23:01:32.57 ID:gcFubt6N0
智美「ほら、そうすればまたあの時みたいに他の高校メンバーも集まってくれるだろうし、衣も嬉しいかな~…なんて」

衣「……」

智美「あー、やっぱりいきなりすぎたかな…」

衣「…そんな事ない」

智美「へ?」

衣「衣は、今ものすごくうれしいぞ!!」ウルッ

智美「って衣泣いてる!?」

衣「馬鹿、これは嬉し涙だ!!」

智美「…じゃあ衣」

衣「ああ、そんな提案なら大賛成だ!しかも智美の方から言ってくれるなんて…本当に、夢みたいで…」グスッ


69: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 23:13:23.02 ID:gcFubt6N0
智美「という事は、やっぱり衣も結婚式を挙げたいと思ってたのか」

衣「当たり前だろう!けど、智美も毎日忙しいから、きっと無理なんだろうなと思っていたんだ」

智美「そうだったんだ…ゴメンね、気付いてあげられなくて」

衣「…いいんだ、それより今の方が大事だしな!!よーし、そうと決まったらさっそく準備に入るぞ!!」

智美「今から!?いや、私は明日の仕事もあるし今日はちょっと…」

衣「えっ」

智美「ほら、もう少しで桃の旬も終わるからさ、その後ゆっくりやるっていうのはどうかな~と思いまして」

衣「……」

智美「それにさ、衣も今日は色々と作ったりで疲れているだろう。だからまた後でもさ…」

衣「…智美は、本当は衣としたくないのか。結婚式?」ウルッ

智美「い、いやーそんな事はないぞ」アセアセ!


70: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/01/30(水) 23:34:13.52 ID:gcFubt6N0
衣「ならいいじゃないか!それじゃあまずは式場からか…」カタカタ…

智美「ワハハ~いや、参ったなー」

智美『…まずいな、こうなると衣、何が何でも止まらないぞ』

衣「っとそうだ智美、一つ聞いておきたい事があるんだが」

智美「なんだ、改まって」

衣「智美は、今幸せか?」

智美「当たり前じゃないか、衣がいて、こうして仲良く生活できて…これで幸せじゃないなんて言ったら罰が当たるぞ」

衣「良かった。衣も同じだ」

衣「こうして智美と一緒にいれて、毎日が充実していて…」

衣「衣はとっても幸せだぞ!」




カン!