前回 幼馴染「さ、学校に行きましょう!」 男「おう」

1 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:40:16 ID:JKRmBgjk
幼「何だか、高校生活ってあっという間ですね」

男「そうだなぁ」

幼「色々ありましたけど、もう3年生ですね」

男「3年生だなぁ」

幼「男、解ってますか?3年生なんですよ?」

男「解ってるよ」

幼「約束は?ちゃんと覚えてますか?」

男「もちろん覚えてるよ」

男「俺が幼の事をないがしろにする訳が無いでしょ」

幼「それなら良いんですけども!」 



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2 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:41:03 ID:JKRmBgjk
幼「それでですね」

男「ん?」

幼「デートがしてみたいです!」

男「何?突然…デート?」

幼「高校生になってから…」

幼「遊びに行くのはいつも友君と幼友ちゃんと、女さんが一緒でした」

男「俺達、仲良し5人組だもんな」

幼「…」 


3 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:41:41 ID:JKRmBgjk
幼「と、とにかく!私たち、2人きりでデートした事がありません!」

幼「友君と幼友ちゃんは2人でデートしてるのに!」

男「何で急にそんな…」

幼「夏休みに入ったら、お互い勉強忙しくなっちゃうし」

幼「今、思いついたので、今、言いました!」

幼「今週末、丁度連休じゃないですか?」

男「3連休だな」 

4 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:42:35 ID:JKRmBgjk
幼「だからデートしましょう!」

男「ん…んー?」

幼「ちゃんと待ち合わせしてお出かけですよ?」

男「すぐ隣りなんだから別に待ち合わせ無くても…」

幼「駄目です!待ち合わせは必須です!」

幼「私、30分前から待ってますからね!」

男「じゃあ俺は40分前から待つよ」

幼「駄目ですよ、そんなの」 

5 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:43:24 ID:JKRmBgjk
男「じゃあ幼も時間通りに、な?」

幼「良いじゃないですか。私、待ってみたいんです」

男「解ったよ、じゃあ俺は時間通りに行くから」

幼「どこに行くのか、楽しみにしてますからね?」

男「あ、俺が計画するのか?」

幼「当然です。エスコートして下さいね?」

男「とは言え、なぁ」 

6 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:44:04 ID:JKRmBgjk
幼「ちゃんと考えてくれれば、それで良いですから」

幼「身の丈に合った、男らしいデートプラン、期待してますよ」

男「ん…んー?」

幼「…解ってますか?」

男「解った。ちゃんと考える」

幼「ちゃんとおめかしもして下さいよ?」 

7 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:46:12 ID:JKRmBgjk
男「俺がどんな服持ってるかなんて、知ってるだろ?」

幼「デートに合ったコーディネートを考えて下さい」

男「解ったよ」

幼「っと、アパート着きましたね」

男「おう、それじゃまた後でな」

幼「はい、また後で」 

8 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:46:53 ID:JKRmBgjk
男「デートかぁ…そう言えば、した事なかったか」

男「いつも一緒に居るんだけどなぁ」

男「…これはかなり難しい問題だな」

男「友はどんなデートしてるんだろう…」

男「ちょっと電話してみるか」 

9 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:47:40 ID:JKRmBgjk
男『って訳なんだけどさ』

友『お前らさ』

男『ん?』

友『俺らと遊んでない時の休日ってどうしてんの?』

友『アパートの部屋が隣り同士で、付き合ってるんだろ?』

友『はっ!?まさか、高校生の分際で、爛れた関係を…?』 

10 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:48:40 ID:JKRmBgjk
男『まさか。普通に勉強したり、料理したり』

男『一緒にDVD観たり、そんな感じだよ』

友『宅デート?外には出ねーの?』

男『2人でスーパーに買い物に行く事はあるけどなー』

友『それはデートじゃねーな。日常生活だろ』

男『友と幼友って、2人でどんな所に行ってるのか聞きたいなーって』

友『んー…ありきたりだけどさ』

友『映画行ったり、ゲーセン行ったり』

友『カラオケ、ボーリング、ビリヤード』 

11 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:49:24 ID:JKRmBgjk
友『高校生の小遣いじゃ、そんな所かな』

男『それは普段、仲良し5人組で行くのと変わらんな』

友『本当はドライブとか行きたいけどな』

男『ドライブかー』

友『お前、免許取ったんだろ?』

男『うん、3月から教習所に通って』

男『誕生日に取った』

友『ならレンタカーでドライブとかどうだ?』 

12 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:50:14 ID:JKRmBgjk
男『うーん…レンタカーとか、怖いなぁ』

男『コスったりしたら、大変だし』

友『それもそうか』

友『それじゃ、無難に映画とか行けば?』

友『それで、昼飯は洒落たカフェで…とかさ』

友『その後、2人でカラオケとか』

友『それかショッピングとか…かなぁ』 

13 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:50:54 ID:JKRmBgjk
男『うーん…やっぱその辺りが無難かなぁ』

友『背伸びし過ぎたら、逆に幼ちゃんは怒っちゃうんじゃなか?』

男『はは、そうかもな』

友『まぁ、頑張れよ』

男『おう。頑張って見る』

友『んじゃ、また明日な』

男『ありがとな、友』 

14 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:51:29 ID:JKRmBgjk
幼「男!デートプランは考えましたか?」

男「ん、今考え中」

幼「私、すっごく楽しみです!」

男「まぁ、俺なりに頑張ってみるよ」

幼「はい!」

男「それより今日の2者面談、大丈夫か?」

幼「全然問題ありません!」 

15 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:52:22 ID:JKRmBgjk
A組担任「やっぱりあそこの専門学校、受けるのか」

男「はい。やっぱり作業療法士になりたいので」

A組担任「それだったら、こっちの学校の方がハードル低いぞ?」

A組担任「こっちは試験無しの面接だけだからな」

男「でも、金銭的な問題と、質の問題で…」

A組担任「…確かに学費が倍ほど違うからな」

男「はい」 

16 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:53:11 ID:JKRmBgjk
A組担任「本気なんだな?」

A組担任「正直、大学行くより難しいぞ?」

男「真剣に頑張ります」

A組担任「それなら、精一杯頑張れ」

A組担任「困った事があったら言えよ?」

A組担任「俺はお前の担任なんだからな」

男「はい!」 

17 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:54:07 ID:JKRmBgjk
B組担任「幼さんは大学受験ね」

幼「はい」

B組担任「幼さんの成績なら問題ないでしょう」

幼「ありがとうございます」

B組担任「けど、なぜ心理学科なの?」

幼「はい。心理学を勉強してやりたい仕事があるんです」

B組担任「やりたい仕事?」

幼「臨床心理士になりたいと思ってます」 

18 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:55:45 ID:JKRmBgjk
B組担任「それは…素晴らしいけど、大変な道のりよ?」

幼「覚悟は出来てます!」

B組担任「決意は固いみたいね」

幼「はい!」

B組担任「それじゃ、一緒に頑張って行きましょう!」

B組担任「なんでも相談してね?」

B組担任「私は幼さんの担任なんだから!」

幼「はい、よろしくお願いいします!」 

19 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:56:48 ID:JKRmBgjk
幼「二者面談どうでした?」

男「ん?んー…俺は専門学校だなぁ」

幼「やっぱりそうですか…」

男「幼は大学に進学するんだよな?」

幼「実は少しだけ迷ってます」

男「何で?」

幼「両親に金銭的負担をかけるのはどうかと思って…」 

20 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:57:48 ID:JKRmBgjk
男「でも、やりたい事があるんだろ?」

幼「はい。私は…子供の頃の事を活かして」

幼「カウンセラーになりたいんです」

男「カウンセラー?」

幼「小さい頃の事を思い出すと、今でも嫌な気分になります」

幼「たまに嫌な夢も見ますし」

男「…」

幼「でも、私の話しを聞いてくれたカウンセラーさんの事を思い出すと」

幼「凄くほっとします」 

21 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:58:23 ID:JKRmBgjk
幼「私みたいな目に遭ってしまった子の力になりたいんです」

男「うん、凄く良いな」

男「両親も絶対賛成してくれるよ」

幼「そう…でしょうか?」

男「絶対、間違いない」

幼「まぁ、実際に私が立ち直れた一番の理由は…」

幼「優しくて格好良い男の子が」

幼「ずーっと傍に居てくれたからなんですけどね?」

男「それは…まぁ、別の話しでしょ」 

22 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 05:59:16 ID:JKRmBgjk
幼「ともかくですね!」

男「うん」

幼「卒業するまでの約1年、よろしくお願いしますね、男」

男「こちらこそ、幼」

男「後はお互い合格に向けて、頑張るだけだな」

幼「…道、別れちゃいますね」

男「それは仕方ないだろ」 

23 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:00:00 ID:JKRmBgjk
幼「こうして、同じ道を帰る事も、あと数ヶ月で終わっちゃうんですよ?」

幼「寂しくないんですか?」

男「そりゃ、少しは寂しいさ」

幼「少しなんですか?」

男「だって…」

女「おーい、お二人さん」

幼「!?」 

24 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:00:43 ID:JKRmBgjk
女「今帰り?一緒に帰ろうよ」

女「…って幼さん、そんなに身構えないでよ」

幼「また、待ち伏せですか?」

女「違うよー。何でそんな敵みたいに言うの?」

幼「女さんは私の敵です!」

女「そんなに目の敵にしないでよー」

女「ね?男君!」 

25 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:01:21 ID:JKRmBgjk
男「…まぁ、幼にとっては敵じゃないんじゃないか?」

男「俺にとっては敵かもだけど…」

幼「男にとって敵なら、私にとっても敵です!」

女「もう、二人とも、考え過ぎだってー」

幼「そう言って、この2年の間に」

幼「何回騙された事か!」 

26 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:02:29 ID:JKRmBgjk
女「大丈夫、私ね、今好きな人が居るんだよ」

幼「ま、まさか…また…」

女「違う違う。全然違う」

女「後輩なんだけどね、ちょっと良いかなって思う人が居てね」

幼「へ、へー」

男「部活の後輩?」

女「良く解ったね!吹奏楽部の1年生なんだー」 

27 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:03:16 ID:JKRmBgjk
幼「1年生ですか…」

女「ん?何?」

幼「もしその人とお付き合いする事になったとして…」

幼「私たち、あと数ヶ月で卒業じゃないですか」

幼「卒業したら、もうその1年生の方とは」

幼「その…会えなくなるじゃないですか?」

女「え?そう?」

幼「違いますか?」 

28 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:04:22 ID:JKRmBgjk
女「別に外国に行く訳でもないし」

女「地面は続いてるんだから、いつでも会えるでしょ」

幼「…」

女「ま、私は好きな人が海外に行っちゃったとしても」

女「絶対会いに行くけどね!」

幼「そ、そうでしょうね」

男「まぁ、女さんは情熱的だもんね」

幼「情熱的ってずいぶん良い言い方ですね!」 

29 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:05:14 ID:JKRmBgjk
女「えへへ、そんな褒められても嬉しくなーいぞっと」

男・幼(褒めてはいない…)

女「あ、そう言えば男君ってさぁ」

男「ん?俺?」

女「専門学校に行くんでしょ?」

男「うん。作業療法士になりたくてね」

女「じゃあ、受験勉強とか無いの?」 

30 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:06:11 ID:JKRmBgjk
男「いや、普通に筆記試験と小論文あるよ」

女「じゃあさ!また勉強会しようよ、みんなで!」

幼「…私は反対です」

女「えー?何でー?幼ちゃんも進学でしょ?」

幼「そうですけど」

女「私も女子大に進学するつもりなんだけどさぁ」

女「今の成績だとちょっときつくて…」 

31 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:06:57 ID:JKRmBgjk
女「だから学年トップクラスのお2人に教えてもらいたいなーって」

幼「百歩譲って、図書館でなら良いですよ」

女「えー?幼ちゃんの部屋でやろうよー」

幼「それは絶対に嫌です!」

幼「女さんを家に入れるなんて、絶対嫌です」

女「そこまで言われると傷つくなぁ」

幼「以前の勉強会でされた事を考えたら…」 

32 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:07:43 ID:JKRmBgjk
女「もう、あんな事はしないからさー」

幼「絶対嫌です!」

女「じゃあ男君は?男君の部屋で勉強会やろうよ!」

男「俺もちょっと…」

女「えー?」

男「勉強なら図書館で出来るでしょ?」

女「むー。友達の家で勉強会って言うのが良いのにー」

女「あ!じゃあ私の部屋でやる?」 

33 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:08:25 ID:JKRmBgjk
幼「図書館でお願いします」

女「ちぇーっ」

男「教えるのはやぶさかじゃないからさ」

男「いつでも言ってよ」

男「図書館でね」

女「…あいー」

女「っと、私はここまでだね」

女「じゃあね、二人とも、また明日ね」

男・幼「また明日」 

34 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:09:23 ID:JKRmBgjk
幼「…はぁ」

男「どうした」

幼「未だに女さんを見るとハラハラします」

男「まぁ、それもこれも全部ひっくるめてさ」

男「青春の1ページに刻む思い出って事で」

幼「男は実害を被って無いからそんな事を…」 

35 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:11:31 ID:JKRmBgjk
男「…中3の時、幼が俺の進路を変えてくれたおかげで」

男「俺は色んな物を見れたし、色んな人にも会えた」

男「色んな事を考えられたし、将来の夢も持てた」

男「感謝なんて言葉で言い表せないくらい感謝してる」

幼「ど、どうしたんですか、突然」

男「女さんや友、幼友達との出会いも、大切な良い思い出になるって事」

幼「?」

男「この前、幼が言ってただろ」

幼「私、何か言いました?」 

36 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:12:17 ID:JKRmBgjk
男「もうすっかり春だって」

幼「あ、始業式の日に言いましたね」

男「桜並木を見ながら並んで通学するのも、今年が最後」

幼「…そうですね」

男「来年からは別々の道に進むけどさ」

男「だからこそ、今この一瞬が大事だなって思えるんだ」

幼「…はい」

男「おっと、暗い顔は無しだぜ、幼?」 

37 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:12:59 ID:JKRmBgjk
幼「は、はい、そうですね!」

幼「あと約1年は一緒に通学出来ますもんね!」

男「おう!それに気付かせてくれた幼に感謝してるって話しだよ」

幼「ふふっ…中3の時の私、グッジョブ!ですね?」

男「その通り、良くやった!中3の時の幼!」

男「だからって訳じゃないけどさ」

幼「はい?」 

38 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:13:46 ID:JKRmBgjk
男「デート、期待しててくれよ」

男「俺、頑張って考えるからさ」

男「絶対に幼が喜んで、2人の思い出に残るようなデートをさ」

幼「は、はい!」

男「それじゃまた後でな」

幼「はい、また後で」 

39 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:14:38 ID:JKRmBgjk
男「…」

男父「…よう、お帰り。久しぶりだな」

男「父ちゃん?俺の部屋で何してんの?」

男父「取り敢えず家捜しだな」

男父「しかしお前の部屋はつまらんなー」

男父「エッチな物が何も無いってのは年頃の男子として…」

男「何かあった?何で急に…」 

40 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:15:20 ID:JKRmBgjk
男父「一人暮らしの息子の様子を見に来たに決まってんだろ」

男「来るなら来るで連絡くらい…」

男父「サプラーイズ!」

男「まぁ、びっくりはしたけどさ」

男「マジで様子見に来ただけ?」

男父「フフフ、驚けよ?」

男「もう驚いてるよ」 

41 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:16:18 ID:JKRmBgjk
男父「もっとだもっと!」

男「もっと?」

男父「取り敢えず、表に出な」

男「何で?」

男父「お前に見せたい物があるんだよ」

男「はぁ」 

42 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:17:08 ID:JKRmBgjk
男「父ちゃん、どこまで行くんだよ」

男父「すぐそこの駐車場までだ」

男「駐車場?」

男父「ここだ」

男「何?」

男父「なぁ、こいつをどう思う?」 

43 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:17:40 ID:JKRmBgjk
男「え?これ?まさか…」

男父「羨ましいだろ!俺の愛車だ!」

男「でかっ!てか買ったの?」

男父「昔から憧れてたんだよ」

男「…こんなデカい車、必要あんの?」

男父「必要か不必要かで言えば、不必要かもしれねぇ…」

男父「でもなぁ」 

44 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:18:25 ID:JKRmBgjk
男父「欲しいか、欲しくないかで言ったら…」

男「まぁ、欲しかった訳ね」

男父「漢のロマンってやつだ」

男「で?これを見せるためにわざわざ来たのか?」

男父「まぁ、これの自慢はついでだ」

男「ついで?」

男父「その隣りにあるワゴンRな」

男「ん?」 

45 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:19:20 ID:JKRmBgjk
男父「俺のお古だが、お前にやる」

男「はぁ?」

男父「俺がちゃんと整備したんだ、あと10年は走るさ」

男「はぁ…」

男父「免許取ったんだろ?」

男「あぁ、先々週取ったけど…」

男父「ちょっと遅目の誕生日プレゼントだ」

男「えぇ?マジ?」 

46 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:20:19 ID:JKRmBgjk
男父「実はもうお前の名義に変えてある」

男父「駐車場も契約済みだ」

男父「いらんと言われても、俺が困るぞ?」

男「あ、あぁ、ありがとう。嬉しいよ」

男父「これで幼ちゃんとドライブでもしろよ」

男「あぁ、それは…」

男父「約束、破って無いだろうな?」

男「ちゃんと守ってるよ」 

47 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:21:54 ID:JKRmBgjk
男父「世間は見えたか?」

男「お陰様で少しは見えたと思うよ」

男父「進路はどうだ?」

男「専門学校に進学したいと思ってる」

男父「島から出て良かっただろ?」

男「うん、感謝してるよ、父ちゃん」

男父「んじゃ、頑張れよ」 

48 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:22:42 ID:JKRmBgjk
男父「ほら、これが鍵だ」
ポイッ

男「お、おう」
パシッ

男「て言うか、どうやってここまで運んで来たんだ?」

男父「フフフ。俺の車の助手席を見ろよ」

男「ん?」
そーっ 

49 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:23:31 ID:JKRmBgjk
男「…寝てるの?」

男父「起こすなよ?長距離運転で疲れてんだよ」

男父「そんじゃな」

男「え?帰るのか?」

男父「おう、今日中に帰りたいからな」

男父「もう出ないと、フェリーの時間に間に合わん」

男「幼には会って行かないのかよ」 

50 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:24:13 ID:JKRmBgjk
男父「まぁ、サプライズって事で」

男「それで良いのかよ、母ちゃん…」

男父「その車で、たまには家に顔出せよ」

男父「フェリー代くらい出してやっから」

男「あぁ、そうするよ」

男父「あとな」

男「何だよ」 

51 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:24:45 ID:JKRmBgjk
男父「キスくらいならセーフだぞ?」

男「…」

男父「じゃあな!」


男「はぁ…」

男「それにしても…車かよ」

男「今後必要になるかなと思ってはいたけど」

男「…父ちゃんありがとう」 

52 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:25:28 ID:JKRmBgjk
その日の夜

コンコン

幼「男、ちょっと良いですか?」

幼「…」

コンコン
幼「男?」

幼「…」

幼「もう寝てるんでしょうか?」

幼「まだ9時なのに…」 

53 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:26:08 ID:JKRmBgjk
幼「男、昨夜は随分と寝るのが早かったんですね」

男「あ、あぁ…ちょっと疲れてたからさ」

幼「ん?男、今ちょっと嘘つきましたか?」

男「んー?ついてないよ」

幼「…」
ジーッ

男「本当だって!」

男「それより明日の事なんだけどな」 

54 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:26:56 ID:JKRmBgjk
幼「はい、いよいよデートの日ですね!」

男「待ち合わせなんだけど、朝の8時で良いかな?」

幼「はい…え?8時ですか?早くないですか?」

男「ん、なるべく早くに出発したいんだ」

幼「解りました。どこで待ち合わせですか?」

男「ちょっと雰囲気無いかもしれないけど」

男「近くのローソンの駐車場で良いかな?」

幼「はい、解りました」

男「楽しみにしててくれよ」

幼「はいっ!すっごく楽しみです!」 

55 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:27:50 ID:JKRmBgjk
その日の夜

コンコン
幼「男、起きてますか?」

幼「…」

幼「本当に寝てるんでしょうか…」

幼「デートは明日なのに…」

幼「…」

幼「いいえ!男は楽しみにしてろって言ってくれました!」

幼「私が男を疑ってどうするんですか!」

幼「…お休みなさい、男」

幼「明日、楽しみにしてますから…」 

56 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:28:34 ID:JKRmBgjk
次の日

幼「よし!準備完了っ!」

幼「お弁当も準備万端!」

幼「幼友ちゃんに習ったメイクもばっちりだし」

幼「洋服も、男には内緒で買った勝負服だし」

幼「下着も…」

幼「…ま、まぁこれはあくまで念の為に、ですけど」

幼「7時15分…そろそろ出ましょう」

幼「楽しみです!」 

57 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:29:41 ID:JKRmBgjk
ローソンの駐車場

幼「…」

幼(…好きな人を待つって、こんなにソワソワする物なんですね)

幼(でも全然嫌じゃない、凄く楽しいソワソワですね)

幼(今日はきっと最高の1日になりますね!)

幼(8時になったら、きっとあの角から男が歩いて来ます)

幼(どんな格好で来るんでしょうか)

幼(男も私みたいに、こっそり服を買っているかもしれませんね) 

58 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:30:38 ID:JKRmBgjk
幼(もうすぐ8時ですね)

幼(そろそろあの角から、男が…)

ブロロロロロ

幼(あ、車が入って来た…)

キッ

幼(8時…男はまだ来ませんね) 

59 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:31:11 ID:JKRmBgjk
ウィーン
男「お待たせ、幼」

幼「えっ?男?…その車は…?」

男「へっへー。どうしたと思う?」

幼「まさかわざわざレンタカーを?」

男「ハズレ。これは正真正銘俺の車なのだ!貰い物だけど」

幼「へ?」 

60 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:32:23 ID:JKRmBgjk
幼「車貰ったって…意味が解りません!」

男「実は父ちゃんから貰ったんだ」

幼「あぁ…お父さん…さてはサプライズですね?」

男「うん。貰った本人もびっくりだよ」

男「さ、幼、乗って。行き先は決まってるから」

幼「は、はい…」
ガチャ
バタン

男「大丈夫、安全運転で行くからさ」 

61 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:34:16 ID:JKRmBgjk
幼「そこは別に不安じゃありません」

幼「男が私を乗せて危険運転する訳がありませんから」

男「うん」

幼「あ!さては、昨日、一昨日の夜…」

幼「運転の練習をしてたんですね?」

男「バレたか。その通り」

幼「心配して損しました」 

62 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:34:59 ID:JKRmBgjk
男「せっかく父ちゃんからのサプライズだったから」

男「幼にもサプライズを!と思って」

幼「その辺り、さすが親子ですね」

男「自分でもそう思うよ」

幼「いつ来てたんですか?」

男「一昨日、帰ったら部屋に居た」

幼「ひょとしてお母さんも?」

男「うん」 

63 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:35:44 ID:JKRmBgjk
幼「全く…サプライズの為とは言え、私に一言も無いなんて」

男「母ちゃん、寝てたんだ」

男「父ちゃんが買った新車の助手席でね」

幼「お母さんは普段あまり運転しませんからね」

男「うん、長距離運転で疲れてるから起こすなって言われた」

幼「まぁそれは…仕方無いですね」 

64 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:36:35 ID:JKRmBgjk
幼「それで、男、この車はどこに向かって走ってるんですか?」

男「着けば解るよ。今は内緒」

幼「むぅ…では到着するまで、面白い話しして下さい」

男「難しいなぁ…取り敢えず、普通の会話でお願いします」

男「…幼、今日の服超可愛いな。似合ってるぜ」

幼「気付いて貰えて嬉しいです!今日の為に買ったとっておきで…」 

65 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:37:33 ID:JKRmBgjk
幼「ここは…」

男「初めてだろ?」

幼「私、一度来てみたかったんです!」

男「知ってたよ。だから来たんだ」

幼「すっごく嬉しいです!」

男「喜んでくれて嬉しいよ」

幼「お、男!早く中に入りましょう!」

男「落ち着いて、幼。水族館は逃げないから」 

66 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:38:27 ID:JKRmBgjk
幼「…言葉が見つかりません」

男「うん、そうだなぁ」

幼「こんなに大きな水槽で…魚が…」

男「ジンベエザメってデカいなぁ」

幼「色んな魚がぐるぐる回って…とっても…」

幼「…」 

67 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:40:42 ID:JKRmBgjk
幼「綺麗ですね…」

男「…あぁ、綺麗だな」

幼「…はい」

男「…本当に、綺麗だな」

幼「…」

男「来て良かったよ」

幼「本当にそうですね…」 

68 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:41:16 ID:JKRmBgjk
幼「はぁ…言葉も無く1時間も大水槽の前で立ち尽くしてしまいましたね」

男「それだけの価値はあったなぁ」

幼「男、本当にありがとうございます」

男「俺だけの力じゃ無理だったけどね」

幼「後でお礼の電話をしなければ」

男「2人共、喜ぶと思うよ」 

69 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:42:00 ID:JKRmBgjk
幼「さて!次はあれです!男っ!」

男「イルカショー?」

幼「見たかったんですっ」

男「ん、丁度時間も良い感じだし、行こうか」

幼「はいっ!」 

70 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:42:34 ID:JKRmBgjk
幼「とっても凄かったですけども」

幼「最前列はやめておいた方が良かったですね…」

男「結構水かかっちまったな」

男「でもまぁ、この天気だし、すぐ乾くだろう」

幼「男、私の服、透けてません?」

男「ん…んー?」 

71 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:43:15 ID:JKRmBgjk
幼「…どうですか?」

男「大丈夫、どこも透けてないよ」

幼「ふぅ…まぁ、透けてても良いんですけど」

男「それは俺が嫌だから」

幼「ふふっ、男ならそう言ってくれると思ってましたよ」

男「あそこのベンチでちょっと休むか」

幼「…あそこのベンチ、どうして誰も座ってないんでしょうね?」

幼「他のベンチは人で一杯なのに…」 

72 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:44:30 ID:JKRmBgjk
男「今日暑いからなー」

男「あそこのベンチだけ、屋根が無いからじゃないか?」

幼「なるほど。でも、服を乾かしたい私たちにはピッタリですね」

幼「それじゃそこでお弁当にしましょう!」

男「じゃあ、俺、飲み物買って来るよ」

幼「お願いします」

男「幼はお茶で良い?」

幼「はい!緑茶でお願いします」

男「じゃ、ちょっと行って来る」 

73 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:45:08 ID:JKRmBgjk
幼「はぁ…私、こんなに幸せで良いんでしょうか」

幼「大好きな人と、楽しく過ごす時間…」

幼「大切な時間ですね」

幼「…」
ソワソワ

幼「…男、遅いですね」

幼「ふふっ…やっぱり私、男の事が大好きです」

幼「こんなわずかな時間も、離れてるとソワソワしてしまうなんて」

幼「…これからもずっと一緒に居たいです」

?「…なぁ、そこの姉ちゃん」 

74 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:45:45 ID:JKRmBgjk
幼「…」

?「あんただよ、聞こえてるんだろ?」

幼「ひょっとして私に話しかけてるんですか?」

?「そうだよ、あんただよ」

幼「どちら様ですか?」

幼「ナンパなら他を当たって下さい、連れが居ますので」

?「よっこいしょっと」
ドサ 

75 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:56:34 ID:JKRmBgjk
幼「ちょ、隣りに座らないで下さいっ」

幼「連れが居るって言ってるじゃないですか!」

幼「それに、お酒臭いです。寄らないで下さい!」

?「…お前、幼だろ?」

幼「な、なんですか?誰ですか?何故私の名前を知ってるんですか?」

?「母ちゃんに似て、美人になったなぁ」

幼「母を知ってるんですか?」

?「まだ思い出さねえのか?俺だよ俺」 

76 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:57:07 ID:JKRmBgjk
幼「わ、私はあなたみたいな人は、し、知りません」

?「あぁん?実の父親の顔、忘れる位、馬鹿に育ったのか?」

幼「あ…あ…」
ガタガタ

?「離婚したとは言えよう」

?「俺はお前の親父だぜ?」

元幼父「ちゃんと挨拶くらいしたらどうだ?あぁ?」

幼「わ、私は…」
ガタガタ 

77 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:58:06 ID:JKRmBgjk
元幼父「何だよ、何震えてんだ」

元幼父「また俺がお前の事、殴ると思ってんのか?」

元幼父「安心しろよ、殴ったりしねぇよ」

幼「な…何で…こんな所に…」
ガタガタ

元幼父「あぁ?俺が水族館に居たらおかしいか?」
ダンッ

幼「ひっ!」
ガタガタ 

78 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:58:54 ID:JKRmBgjk
元幼父「お前は相変わらず、憎たらしい目ぇしてやがるな」

元幼父「俺が今日、ここに居るのは偶然だからな?」

元幼父「狙って来た訳じゃねーからな」

幼「ぁ…」
ガタガタ

元幼父「んだよ、いい加減震えるの止めろっ!」

幼「ひっ…」
ガタガタ 

79 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 06:59:38 ID:JKRmBgjk
元幼父「俺がお前を虐待してるみたいだろ?なぁ!おい!」
ダンッ

幼「い、嫌っ…嫌っ…」
ガタガタ

元幼父「あぁ、その態度…変わってねぇなあ」

元幼父「あの女、相変わらず馬鹿なんだなぁ」

元幼父「教育がなってねーからこんな馬鹿な人間が育つんだ」 

80 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:00:14 ID:JKRmBgjk
元幼父「お前今、高校生くらいだろ?」

元幼父「なのに、実の親に挨拶も出来ねー」

元幼父「馬鹿は殴らなきゃ治らねーっての」

元幼父「なぁ、おい。お前もそう思うだろ?幼っ!」
ズイッ

幼(ま、また殴られる…嫌だ!痛いの嫌だ!)
ガタガタ


男「あの」 

81 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:01:10 ID:JKRmBgjk
元幼父「あぁ?何だ?」

男「今、その娘の事、殴ろうとしました?」

元幼父「あぁ、自分の娘を教育中だ、他人が口出す事じゃねーよ!」

男「他人じゃないので、そう言う訳には行かないです」
スッ

元幼父「あぁ?お前誰だ?」

男「…他人じゃないって言ってるでしょ」

元幼父「あん?ひょっとしてこいつの彼氏か?」

男「そうです」 

82 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:01:56 ID:JKRmBgjk
元幼父「けっ…ガキが色気付きやがって」

男「幼、大丈夫だから」

幼「…ぁ…」
ガタガタ

男「遅くなってごめんな」

幼「男ぉ…」
ガタガタ

元幼父「あー、彼氏君さぁ」

男「何ですか?」 

83 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:04:13 ID:JKRmBgjk
元幼父「そいつ馬鹿だから、言う事聞かせるには殴らないと駄目なんだよ」

元幼父「まぁ、教育って奴だ」

元幼父「だからそこどけ。ぶっ飛ばされんうちにな」

男「そうは行かないです」

男「彼女は俺の大切な人なので、ここは引けません」

男「愛する人を傷付けられて、黙ってる人間なんて居ないでしょ」

元幼父「…あぁ、お前も馬鹿なんだな?」 

84 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:05:10 ID:JKRmBgjk

元幼父「やっぱガキは殴られないと解らねぇんだ…」

男「殴られても、一歩も引きませんよ」

元幼父「ぷっ…あはははは」

元幼父「そうかそうか…彼女の前では格好つけたいもんなぁ」

男「…」

元幼父「でもなぁ…やっぱりガキの躾は大人の義務だからなぁ!」
バチィン

男「っく…」 

85 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:06:01 ID:JKRmBgjk
元幼父「さすが男の子、小さなガキとは違うなぁ…」
ドカッ

男「ぅ…」

幼「ゃ…」
ガタガタ

元幼父「オラ!ちゃんと目上の人間に敬意って奴を…」
ガスッ

男「…」 

86 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:06:38 ID:JKRmBgjk
元幼父「…何だ、その目」

男「…あんたが昔、幼にした事は許せない、許されない事だ」

元幼父「あん?」

男「会社の金横領して、クビになって、酒に溺れて」

男「自分の家族に暴力を振るう様な…」

男「クソ野郎に、敬意を持って接する事なんて出来ないね!」

元幼父「この野郎…殴られ足りないんだな?やっぱ馬鹿なんだな?」
バチッドスッ

男「っ…」 

87 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:07:33 ID:JKRmBgjk
幼「ぃゃ…」
ガタガタ

元幼父「オラ!さっきみたいに威勢のいい事言ってみろ、クソガキが!」
ドスッ

男「ぅ…」
フラフラ

幼(怖い…怖いよ…)
ガタガタ

幼(でも…このままじゃ男が…男っ!)
ガタガタ 

88 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:08:33 ID:JKRmBgjk
幼(男っ!!)

幼(…そうだ)

幼(こいつに殴られて、人間不信になってた私を)

幼(優しく見守ってくれて、仲良くしてくれて)

幼(いつだって、私の事を大切にしてくれて…)

幼(…私は…私はっ!) 

89 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:09:32 ID:JKRmBgjk
幼「止めて下さいっ!」

元幼父「あぁん?馬鹿はちょっと黙ってろよ」

幼「男は私の大切な人ですっ!」

幼「これ以上は…やらせませんっ!」

元幼父「はぁ?、生意気な口きく様になったなぁ」

元幼父「今度は右耳も聞こえなくしてやろうか?あぁ?」

幼「やれるもんならやってみやがれです!」 

90 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:10:45 ID:JKRmBgjk
幼(大丈夫、もう怖くない…)

幼(男の為なら…何も怖くないっ!)

元幼父「このガキがっ!」
バチンッ

幼「っ…」

男「お、幼っ!」

幼「…もう、あの頃の私とは違いますっ!」

幼「あなたの様な人に、屈したりしない!」

元幼父「このクソガキがっ!」 

91 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:11:22 ID:JKRmBgjk
ガシッ
警備員「ちょっと待った!」

元幼父「何だ?今、ガキを教育中だ。引っ込んでろよ」

警備員「今のそれは教育とは関係無く見えました」

元幼父「何だよ…俺ぁ客だぜ?おい」

元幼父「それに俺はこいつらの保護者だ」

元幼父「教育の邪魔だからどっか行け」 

92 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:12:03 ID:JKRmBgjk
警備員「…君たちはこの人の子なのかな?」

幼「いいえ、違います」

幼「この人が一方的に暴力を振るって来たんです」

元幼父「おい…あんまり俺を怒らせるなよ、馬鹿娘がっ!」

警備員「ちょっと3人とも、事務所まで来てもらえますかね?」

元幼父「おい…そんなガキの言う事を信じるのかよっ!」

警備員「少なくとも酔って公衆の面前で」

警備員「暴力を振るう人の言葉よりは信じられますね、元幼父さん」

元幼父「チッ…」 

93 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:12:58 ID:JKRmBgjk
幼「男!」

男「幼…大丈夫??」
フラフラ

幼「私は何ともありません!それより男の方こそ大丈夫ですか?」

男「ほっぺとお腹とスネが痛い…」

男「でも死ぬ程じゃないし、大丈夫だよ、幼」

男「こんな時、ドラマとかだと気を失ったりするのになぁ」

男「人間って、結構頑丈に出来てるもんだな」 

94 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:14:04 ID:JKRmBgjk
幼「何言ってるんですか!もう!男は無茶し過ぎですよ!」

幼「何で…殴り返さなかったんですか?」

男「ここで手出しちゃ、負けでしょ」

幼「負け…ですか」

男「そこのクソ野郎と同じになっちゃうだろ」

幼「もう…格好付け過ぎですよ…」
グスッ

男「泣くなよ、幼。もう大丈夫だから」
ナデナデ

幼「はい…」 


96 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:14:49 ID:JKRmBgjk
男「いえ、警察に連絡とかはしなくていいです」

警備員「でも暴行されたんだし、通報した方が良いんじゃないかな?」

男「別に大したことないです」

幼「男、良いんですか?」

男「うん」

元幼父「…色男だなぁ、オイ」 

97 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:15:38 ID:JKRmBgjk
男「勘違いしないで下さいよ?」

元幼父「あ?」

男「俺はあなたと金輪際、係わり合いたくないんです」

男「幼にも幼母にも、もう二度とあんたの顔を見せたくない」

男「今日、ここで会っちゃったのはまぁ、事故だとして」

男「警察沙汰なんかにしたら、またあなたの顔を見る事になる」

男「それが嫌なんで」

元幼父「はっ!それが色男だって言ってるんだよっ!馬鹿か?」 

98 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:17:29 ID:JKRmBgjk
警備員「大人げない…声の大きさ調整も出来ないんですか?」

元幼父「なんだとっ?」

警備員「そっちの彼の方がよっぽど大人ですよ」

元幼父「このっ…」

警備責任者「元幼父さん、酔って入館して、他のお客様に絡んで騒動を起こすのは」

警備責任者「迷惑だと言ったはずです、そして次は通報すると」

警備責任者「彼らには関係無く、業務妨害で通報しても良いんですよ?」

元幼父「…」

警備責任者「取り敢えず、もう二度と来ないで下さい。出禁です」 

99 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:18:53 ID:JKRmBgjk
>>95 そうです。

警備責任者「今日は災難だったね」

男「はは、まぁ少し」

幼「少しじゃありません!」

幼「…もし次、こんな事があったら」

幼「もっとこう…ガードするとか、して下さい!」

男「機会があったらそうするよ」 

100 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:19:27 ID:JKRmBgjk
警備責任者「あの…これ、良ければ受け取ってくれるかな?」
スッ

男「これは?」

警備責任者「この水族館の入場券が2枚入ってるよ」

男「良いんですか?」

警備責任者「このままだと、嫌な思い出しか残らなくて…」

警備責任者「もう2度と来なくなってしまうだろ?」

警備責任者「そうなったら悲しいからな」 

101 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:20:00 ID:JKRmBgjk
幼「ありがとうございますっ」
ペコッ

男「ありがとうございます、警備責任者さん」

警備責任者「ははは、是非また来てくれよ?」

男「はい、絶対また来ますよ」

警備責任者「車で来たんだよね?」

男「そうです」

警備責任者「帰り道、気をつけて」 

102 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:20:51 ID:JKRmBgjk
男「…」

幼「男、大丈夫ですか?」

男「大丈夫!って言いたいけど…」

男「ちょっと痛いかも」

幼「運転、変わってあげられれば良かったんですけど…」

幼「て言うか男、道が違うと思うんですけど」

幼「さっきの交差点、直進じゃなかったですか?」

男「家に帰るなら直進なんだけどさ…」 

103 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:21:29 ID:JKRmBgjk
男「ん…ごめん、幼」

男「ちょっと休みたい…」

幼「はい…でもどこで?」

男「そこに見える、ホテルで」

男「部屋取れたら…」

幼「ホ、ホテル…」

男「着いたら、ちょっとフロントで、部屋取れるか聞いて来てくれる?」

幼「は、はい」 

104 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:22:16 ID:JKRmBgjk
幼「部屋取れて良かったですね、男」

男「ん?んー…そだね…」

幼「い、勢いで、ホテルに入ってしまいましたね!」

幼「よくここにホテルがあるって解りましたね!」

男「ん、途中、看板が見えたから…」

幼「シーズン前とは言え、よくこんなリゾートホテルの部屋が空いてましたね!」

幼「ある意味、ラッキーですねっ」 

105 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:22:57 ID:JKRmBgjk
幼「それにしても、綺麗な部屋ですね」

幼「あ!こっちの窓から海も見えますよ!男!」

男「うん…そっか…それは良かった…」

幼「男、大丈夫ですか?」

男「ごめん…幼、ちょっと…休ませて…」

幼「は、はい!どうぞ!」

男「だはー」
ばふっ 

106 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:23:43 ID:JKRmBgjk
男「…」

幼「男、寝る前にちゃんと靴は脱いで、お布団に入って下さい」

男「ぉぅ…」
ゴソゴソ

男「ノリの効いたシーツ、ふかふかの布団、気持ちいいなぁ…」

幼「…そ、そうですか」

男「あぁ…幼も、入ってみ…」 

107 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:24:32 ID:JKRmBgjk
幼「は、はいっ!そのっ!それは、あの!」

幼「私もやぶさかでは無いんですけどっ!」

幼「でもお父さんとの約束もありますし!」

幼「でもでも、男がどうしてもと言うなら!」

幼「こ、これは決してやましい事を考えている訳ではなくて!」

幼「か、看病!そう!私をかばって、怪我をした男の事を!」

幼「看病すると言う事で…」 

108 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:25:06 ID:JKRmBgjk
男「…」スースー

幼「…男?」

男「…」スースー

幼「寝ちゃったんですか…はぁ…」

幼「…」

幼「もう!私だけ舞い上がって、馬鹿みたいじゃないですか!」

男「…」スースー

幼「ふふっ」 

109 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:25:44 ID:JKRmBgjk
幼「男、今日はありがとうございます」

幼「私を助けてくれて」

幼「男が傍に居てくれたから、私も勇気出せました」

幼「…初めて、あの人に反抗出来ました」

幼「ほっぺは痛かったけど、清清しました」

幼「きっともう嫌な夢も見ないと思います」

幼「本当にありがとうございます、男…」

幼「大好きです…」


ちゅっ 

110 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:26:20 ID:JKRmBgjk
男「…ん」

幼「…」スースー

男「…あれ?なんで幼が俺のベッドに?」

男「ん…んー?」

男「…」スースー

男「あ、そうか、ここホテルだ」

男「俺、寝ちゃったんだな」 

111 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:27:36 ID:JKRmBgjk
幼「…」スースー

男「ははっ、こっちに入って来ちゃったか」

男「これじゃベッド2つある意味無いし」

男「…」

男「しっかし今日は緊張したなぁ…」

男「話しには聞いてたけど、幼の実の親とは思えないなぁ」

男「全くクソ野郎って言葉がピッタリだったな」 

112 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:28:16 ID:JKRmBgjk
男「昔は優しくて格好良かったって言ってたけど」

男「…母ちゃんに似て良かったな、幼」

幼「…」スースー

男「ちょっと笑ってる…良い夢見てるのかな?」

男「今日の俺は、ちゃんと幼の事を守れたのかな」

男「一発庇いきれなくて、ほっぺが赤くなってるな…」

男「ごめんな、次はちゃんと守るから」
ナデナデ 

113 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:29:20 ID:JKRmBgjk

幼「…」
ニコッ

男「!!」

男「…あれ?何だこれヤバい」

男「動悸が激しいし、顔が熱いし」

男「よく考えたら、同じ布団で寝るなんて、何年ぶりだろ」

男「…」 

114 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:30:10 ID:JKRmBgjk
男「…あー、駄目だ駄目だ」

男「俺は不埒な事は考えてないぞ!断じて!」

男「断じて…」

幼「…」

男「幼、起きて無いよな?」

幼「…」

男「…ぅー」



ちゅっ 

115 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:31:08 ID:JKRmBgjk
男「やっちまった…」

男「…あぁ…もう!」

幼「…それはこちらの台詞ですよ、男」

男「う…やっぱ起きてたか…」

幼「なんでおでこなんですか!」

幼「キスしやすいように、顔を向けていたのに!」

男「駄目だから!約束だから!」 

116 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:31:44 ID:JKRmBgjk
幼「なら何でおでこにキスしたんですか?」

男「幼が可愛かったからだ」

幼「ふふっ、そこは正直なんですね」

男「だって本当にすげー可愛かったし」

幼「でも嬉しいですよ」

男「何が?」

幼「初めて、男の方からキスしてくれました!」

男「おう…そうか…」 

117 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:32:26 ID:JKRmBgjk
男「て言うか、どこから起きてた?」

男「ひょっとしてずっと起きてたか?」

幼「いえ、最初は本当に寝てましたよ」

幼「男が頭を撫でてくれたので起きました」

男「頭ナデナデは駄目かー」

幼「いえ、とっても嬉しかったですよ」

幼「小さい頃はよく撫でてくれたのに」

幼「最近は全然ですからね!」 

118 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:32:59 ID:JKRmBgjk
男「子供扱いっぽいかなと思って、やらない様にしてたんだけどな」

幼「思いませんよ。むしろ嬉しいのでどんどん撫でて下さい」

男「お、おぅ」

幼「今、撫でてくれても良いんですよ?」

男「う…」

幼「と言うか、頭を撫でるのは約束に反してませんよ!」

幼「普通のスキンシップじゃないですか!」 

119 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:33:44 ID:JKRmBgjk
幼「だから、今撫でて下さい!」

男「解ったよ…」
ナデナデ

幼「ふふっ…くすぐったいですね」

男「止めるか?」

幼「そのまましばらく撫でてもらえますか?」

男「おう」 

120 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:34:45 ID:JKRmBgjk
幼「小一時間くらい?」

男「いや、一時間は長いだろ!」

幼「今までの時間からしたら、短いくらいです!」

男「…そっか」
ナデナデ

男「本当はさ」

幼「はい?」 

121 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:35:30 ID:JKRmBgjk
男「キスくらいならセーフなんだって」

幼「!?」

男「この前、父ちゃんに言われたんだ」

男「だからまだ…」

幼「じゃあ、今すぐキスしましょう!」

男「ここじゃ駄目だ!絶対駄目!」

幼「どうしてですか!キス、セーフなんですよね?」

幼「私、キスしたいです!」 

122 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:36:05 ID:JKRmBgjk
男「あー、ここでキスしたらさ」

幼「はい」

男「理性が、その…持たないって言うか」

幼「理性?…あっ!」

男「だから駄目!」

幼「もう良いじゃないですか」

男「駄目です」 

123 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:36:43 ID:JKRmBgjk
幼「わ、私は、覚悟とか出来てますよ?」

幼「高校に入学したら、他の人の事好きになるかもなんて言われましたけど」

幼「やっぱり男以外の事を好きになるなんてありえません!」

幼「一生、男の傍に居ます!」

幼「だから…」

男「…」

幼「…」



ぐぅ… 

124 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:37:14 ID:JKRmBgjk
男・幼「…」

男「ぷっ…そう言えばお腹空いたな?」

幼「お、お恥ずかしい限りです…」

幼「お昼沢山食べるつもりで、朝も軽くしか食べてないので…」

幼「私の腹の虫は空気読めないですね…」

男「幼、お弁当は?」

幼「一応、備え付けの冷蔵庫に入れてあります」 

125 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:37:58 ID:JKRmBgjk
幼「サンドイッチなので、食べられると思います」

男「それじゃ、もう夕食の時間だけど、食べようか」

幼「はいっ」

男「…そう言うのはさ、幼」

幼「はい?」

男「ゆっくりで良いよ、ゆっくりで」

男「長い人生だ、まだまだ時間は沢山ある」

男「な?」

幼「…はい、男」 

126 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:39:03 ID:JKRmBgjk
幼「もうすっかり夏ですね」

男「そうだなぁ、もう7月だもんなぁ」

男「セミの鳴き声も五月蝿いなぁ」

幼「ふふっ、そこは風情じゃないですか?」

幼「聞きたくても、冬には聞けない物ですよ?」

男「それはそうだけどさ」 

127 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:40:01 ID:JKRmBgjk
幼「あ、そう言えば、男に聞きたい事が」

男「何?」

幼「なんで作業療法士になりたいんですか?」

男「また突然だな」

幼「理由聞いた事無いなと思って」

男「あー…高校進学決める時にさ」

男「家族で会議したじゃん」

幼「しましたね」 

128 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:40:48 ID:JKRmBgjk
男「自動車整備士になろうとしてた俺を」

男「父ちゃんが止めたじゃん」

幼「断固拒否って言ってましたね」

男「父ちゃんの跡継いで、島の皆の役に立ちたかったんだよ」

幼「俺の跡継ぎになるとか考えるな!って言ってましたね」

男「それでもやっぱり島の人の為になる仕事がしたいと思ってさ」 

129 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:41:41 ID:JKRmBgjk
男「色々考えたんだけど、地域医療に興味があるって言うか」

幼「地域医療ですか」

男「島のじいちゃん、ばあちゃん達さ」

男「脚が痛いとか、腰が痛いとか言ってたじゃん」

幼「言ってましたね」 

130 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:42:19 ID:JKRmBgjk
男「そう言う人達の役に立ちたいんだよ」

幼「なるほど…」

男「作業療法士として、経験を積んだら」

男「大学院で整形の勉強して、もっとみんなの役に立てる様にしたい…なぁ、と思ってるんだ」

幼「やっぱり男は凄いですね」

男「…だからさ、幼」

幼「ふふふ、言わなくても解ってますよ、男」 

131 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:43:22 ID:JKRmBgjk
幼「私の気持ちは揺るぎません!」

幼「男が求婚してくれるまで、ずっと待ってます!」

幼「あ、待ってるって言っても、もちろん」

幼「男の傍で…ですけどね!」

男「高校卒業したら、すぐ結婚!って言うかと思ったけど」

男「お互い、成長したよな」

幼「本当はそれが一番良いんですけどね!」 

132 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:44:10 ID:JKRmBgjk
幼「…でも、恋人とか夫婦とか、そんな肩書きじゃなくて」

幼「大好きな人と一緒に居られれば、それで…」

幼「それで満足です」

男「…俺、幼の事好きで良かった」

幼「へっ?な、なんですか突然」

男「幼の気持ちに、必ず応えるから」

幼「そ、そんな事、不意に言わないで下さいっ」 

133 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:45:39 ID:JKRmBgjk
幼「嬉しくって、舞い上がってしまいますっ」
タタッ

男「おい、走ると危ないぞ?」

幼「子供じゃありませんから、大丈夫で…きゃあっ!」
ドタッ

男「幼っ、大丈夫か?」

幼「いたた…、だ、大丈夫です」
スッ 

134 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:46:11 ID:JKRmBgjk
男「あー、カバンの中身ぶちまけちゃって…」
ヒョイヒョイ

幼「すみません、調子に乗りすぎました…」

男「ん?何だこの写真」
ピラッ

幼「あっ!それは!駄目です!」
バシッ!

幼「…見ました?」

男「うん、まぁ、見た」 

135 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:47:09 ID:JKRmBgjk
男「あれか、俺達が初めて会った日の…」

幼「そ、そうです…これ、私のお守りなので…」

男「そっか、そんな写真持ってたのか」

幼「いつもカバンに入れて歩いてるんですよ?」

幼「辛い事があった時、そっと見て、勇気を分けてもらうんです」

男「俺も…」

幼「え?」 

136 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:48:07 ID:JKRmBgjk
男「俺も欲しい!幼の写真!」

幼「ふふふっ…良いですよ、男にならどんな写真を撮られても…」

男「ち、違う!…あ、それはそれで欲しいけど!」

幼「?」

男「お人形さんみたな幼の小1の頃の写真、俺も欲しい!」

男「父ちゃんに言って、一枚焼いてもらおう」

幼「は、恥ずかしいからやめて下さいっ!」 

137 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:48:58 ID:JKRmBgjk
男「良いだろ?幼は持ってるんだから!」

幼「駄目です!」

男「えー…」

幼「それじゃ…今の2人の写真を撮りましょう」

幼「ツーショットです。そっちの方が良いですよね?」

男「ん…んー?そうか?」

幼「良く考えたら、2人っきりで写真を撮った事も無いじゃないですか」

男「そう言えばそうだな」 

138 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:49:36 ID:JKRmBgjk
幼「…携帯で今すぐ撮りましょう!」

幼「そして、速やかに待受画面に設定して下さい」

男「?」

幼「魔除けみたいな物です!」

男「魔除け?」

幼「他の女子と浮気しないように!」

男「余計な心配だけど、待受に設定するのは良いな」 

139 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:51:09 ID:JKRmBgjk
男「それじゃ撮るか!」

幼「ちょっと待って下さい、今、身だしなみを…」

男「良いから良いから!」
ギュッ

幼「わわっ」

男「撮るぞー」

幼「…えいっ!」

ちゅっ
カシャッ 

140 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:52:02 ID:JKRmBgjk
男「なっ!?今のは駄目だろ!」

幼「急に撮っちゃった仕返しです!」

男「えー?普段の幼の顔が良いよ、ありのままの幼の顔が」

幼「…もう!もうっ!」
バシッ

男「ちょ!痛いし!何だよ?」

幼「あんまり恥ずかしい事言わないで下さい!」 

141 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:52:34 ID:JKRmBgjk
幼「…男、携帯貸して下さい」

男「ん?どうぞ」

ピッピッピ
幼「っと、これで待受設定完了です!」

男「ありがと、幼」

男「良く撮れてるな、ちょっと恥ずかしいけど」 

142 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:53:50 ID:JKRmBgjk
幼「…この待受を変える時は」

男「へ?」

幼「私のウェディングドレス姿の写真にして下さいねっ!男!」



友「…なぁ、あれどう思う?」

幼友「往来でよくやるなぁって思う」

友「だよなぁ…」

女「幼ちゃん、記念撮影って言ったら、私ともキスしてくれるかな?」

友・幼友「や、それは無理でしょ!」



おわり
ちょっとおまけあり 

143 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:54:26 ID:JKRmBgjk
『初めて会った日』

男「えっ?今日?今日くるの?」

男父「そうだ、今日来るぞ」

男「なんじにくるの?」

男父「3時のフェリーだから…そろそろ迎えに行ってくるかな」

男「もう!そんなことはさきにいってよ!」
バシッ

男父「ははは、驚かそうと思ってな!」 

144 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:55:32 ID:JKRmBgjk
男「…メッチャおどろいたよ」

男父「ドッキリ大成功、イェーイ!」

男「はぁ…」

男父「それじゃ、行くかな」

男父「お前も一緒に迎えに行くか?」

男「ぼくはいいよ、ウチでまってるから…」

男父「何だ?照れてんのか?」 

145 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:56:56 ID:JKRmBgjk
男「あたりまえでしょ!」
バシッ

男父「ははは、そんじゃ、大人しく待ってろよ」

男「うん…」

男(どんなひとたちなんだろう)

男(幼母さんと幼ちゃん…)

男(あたらしいお母さんと、妹かぁ…)

男(なかよくできたらいいなぁ) 

146 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:57:41 ID:JKRmBgjk
幼母「ほら、幼ちゃん、もうすぐ港に着くわよ」

幼「…うん」

幼母「…まだ怖い?」

幼「あたらしいおとうさんとおにいちゃん…」

幼「幼のこと、ぶったりしない?」

幼母「大丈夫、2人とも優しいから」

幼母「絶対に幼ちゃんをぶったりしないから」

幼「…」

幼(どんなひとたちなんだろう)

幼(やっぱりちょっとこわい…)

幼(…) 

147 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:58:25 ID:JKRmBgjk
男父「おーい!こっちだこっちー!」
ブンブン

幼母「はーい!ほら、幼ちゃん」

幼「…うん」

男父「ようこそ!待ってたよ、2人とも!」

幼母「あー、本当に良い景色ね!」

男父「そうだろ。ま、それしか無いんだけどな!はははっ」 

148 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 07:59:38 ID:JKRmBgjk
幼「…」

男父「ん?幼ちゃん!船酔いかな?」

幼「…んん」

男父「そっか、おっさんが怖いのかな?」

幼「ちょっとだけ、おかおがこわい…」

男父「大丈夫大丈夫。おっさんは怖くないぞー?」

男父「今日から幼ちゃんの父ちゃんになるんだぞ?」

幼「…は、はい」 

149 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 08:00:26 ID:JKRmBgjk
男父「大丈夫!おっさんは声はデカいし、顔もちょっとだけ怖いけど」

男父「本当はとってもこわがりなんだぜ?」

幼「…そうなの?」

男父「幼ちゃんに嫌われたら、おっさんだけど泣くかもよ?」

幼母「ほら、幼ちゃん。お父さん泣かしちゃったら大変よ?」

幼「うん…おじさ…お、おとうさん…なかないで?」

男父「幼ちゃんに言われたら、お父さんもう泣けないなぁ」

男父「今日から宜しくね、幼ちゃん」

幼「…うん!」 

150 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 08:01:10 ID:JKRmBgjk
男父「それじゃ、2人とも、車に乗って乗って」

男父「家でお兄ちゃんが待ってるぞ?」

幼「…おにいちゃんもこわくない?」

男父「あぁ、全然怖くないぞー」

男父「優しいから大丈夫だー」

男父「あ!もしいじめられたら、お父さんに言いな?」

男父「でも、男は絶対いじめなんかしないと思うけどなー」

幼「なんで?」

男父「だってこんなに可愛い妹が出来たんだからな!はははっ」

幼「…」 

151 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 08:01:41 ID:JKRmBgjk
ピンポーン

男「!」

男父「男ー、帰ったぞー!」

男「い、今いくー!」

男(ついにきた!)

男(きんちょうする!)
ドタドタ 

152 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 08:02:12 ID:JKRmBgjk
男「あのっ」

男父「ほら、男、ちゃんと挨拶しろよ」

男「男です。こんにちは」
ペコッ

幼母「よろしくね、男ちゃん」

男「は、はい」

男(この人が、ぼくのお母さんになるひと…)

男(そして…) 

153 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 08:02:48 ID:JKRmBgjk
幼母「ほら、幼ちゃんも、ちゃんと挨拶しなさい」

幼母「男君があなたのお兄ちゃんになるのよ?」

男(このこが、ぼくの妹になる…)

男(幼ちゃん…)

男(すっげーかわいい!)

幼「…」 

154 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 08:03:24 ID:JKRmBgjk
幼(このひとが、わたしのおにいちゃん…)

幼(おとうさんはこわいかおしてるけど…)

幼(おにいちゃんは…)

幼(やさしそう…)

幼母「ほら、幼ちゃん?」

幼「…」
プイッ

男「!」 

155 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 08:05:35 ID:JKRmBgjk
幼母「もう、この子ったら…照れちゃって」

幼「てれてないし!」

幼母「ほら、2人共、握手握手!」

幼「あ、あくしゅ?」

幼母「仲良くしましょうっていう握手、出来るでしょ?」

幼「幼と、なかよく…してくれる?」

男「もちろんっ!」 

156 : ◆L0dG93FE2w:2013/05/12(日) 08:06:06 ID:JKRmBgjk
男父「お、シャッターチャンスな?」

男父「デジカメ、デジカメ…」
ピッ

男父「はい、2人とも!良い笑顔でー、握手っ!」

男「よろしくね、幼ちゃん」
ぎゅっ

幼「うん…よろしく…おねがいします」
ぎゅっ



幼「…おにいちゃん」
ボソッ



パシャッ



おわり